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夜ー。

周囲は静まり返っているー。


静まり返った道を歩く、一人の女子高生ー。


片桐 由愛は、静かに舌打ちをしたー。


可愛らしい女子高生の由愛ー。

しかし、今の由愛の中には、邪悪な男ー

凶悪犯罪者の黒崎 陣矢が潜んでいるー。


「--あの警察官、邪魔くせぇな…」

由愛はボソッと呟きながら、自宅に向かって歩き続けるー。


交番勤務の警察官・治夫に、由愛の母親である藤江を

皮にして、乗っ取る場面を目撃されたことからー

治夫は、由愛のことを疑っているー。


「---」


そんな由愛を遠目から見つめながら、笑みを浮かべる男がいたー。


最近、この辺りでは、痴漢の目撃情報が何度か寄せられていたー

それが、この男ー、岩滝 和雄(いわたき かずお)ー。


彼はー

由愛を見つめながら、笑みを浮かべたー


「へへへ…おいしそうな女子高生を発見~」

ペロリと唇を舐めながら、痴漢男・和雄は、

前を歩く可愛らしい女子高生に向かって早歩きで歩き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・


登場人物


長瀬 治夫(ながせ はるお)

若き警察官。”皮”にまつわる事件に巻き込まれていく


松永 亜香里(まつなが あかり)

治夫の彼女。現在同居中。


塚田 総司(つかだ そうじ)

先輩刑事。治夫の面倒を見ている兄貴分。


片桐 由愛(かたぎり ゆめ)

かつて治夫に助けられた女子高生。


宮辺 奈々子(みやべ ななこ)

交番勤務の女性刑事。近寄りがたいオーラを出している。


目黒 圭吾(めぐろ けいご)

警視正。計算高い性格の持ち主で、出世欲も強い。


黒崎 陣矢(くろさき じんや)

指名手配中の凶悪犯罪者


・・・・・・・・・・・・・・


夜の公園のトイレー


「ーーーくくくくくくっ」

由愛が邪悪な笑みを浮かべているー。


女子トイレの中で、悲鳴を上げながら

土下座していたのはーー

痴漢男・岩滝 和雄だったー。


”由愛の中に凶悪犯罪者の黒崎陣矢がいる”

などと、夢にも思っていない和雄は、由愛を襲って

返り討ちに遭い、公園の女子トイレに引きずりこまれたのだー


「---ほらぁ…命乞いしろよ、おっさん」

由愛が笑みを浮かべながら、和雄に向かって呟くー


和雄が「すみません…!すみません…!」と笑みを浮かべるー


由愛は、現役の女子高生とは思えないような

悪魔の笑みを浮かべると、

和雄の頭を踏みつけて、トイレの床に押し付けたー。


「--可愛い女子高生が歩いてたから、襲いたくなっちゃったか?あ?」

由愛が言うと、和雄は半泣きで、ごめんなさい!ごめんなさい!と叫ぶー。


「-くくくくくく…

 追い詰められた人間が命乞いする姿って、たまんねぇよなぁ」

可愛らしい声で叫ぶ由愛ー。


悲鳴を上げる和雄ー


”この女子高生は…この子はいったいなんなんだ!?”と

戸惑いながらも、和雄はひたすら命乞いをするー。


誰もやってこない夜の公園ー

由愛は、散々和雄をいたぶった末に、

最後には便器に和雄の顔面を突っ込んで、

何度も何度も、足で踏みつけ続けたー。


「-ひゃはははははははっ!!

 ははははははっ!あははははははははっ!!!

 死ね!!死ね!!!死ねええええええええええ!」


由愛とは思えないような狂った笑い声が響き渡るー


由愛を支配している黒崎陣矢はー

”命を奪うこと”に快感を感じる超・危険人物ー


「--はぁぁぁぁぁぁ…たまんねぇ」

由愛は笑みを浮かべると、動かなくなった和雄を放置して、

トイレの中で鞄から、昼間に皮にした別の女子生徒の皮を着こんで、

そのままトイレから外に出たー。


「へへへへへ…」

昼休みに皮にした由愛の友達、”舞子(まいこ)”という女子高生の皮を

着て、夜の街を歩く陣矢ー


”皮”を使い分ければー

誰にも、捕まらないー。


存分に、”快楽”を楽しむことが出来るー。


舞子は邪悪な笑みを浮かべながら、

由愛の家に向かって、歩き出すのだったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「---はい、、はい…ええ…」

交番勤務の警察官・宮辺 奈々子が、

誰かと電話で話しているー


「はいーー。彼はそう言っていますー。

 はいーーはい。わかりましたー。


 目黒警視正ー」


奈々子がそう言って電話を切ると、

パトロールを終えた治夫が戻って来たー。


「-あ、、戻りました」

治夫は、気まずそうに、机に座るー。


「----」

相変わらず、感情を感じさせない奈々子ー。


「--今の電話…」

治夫は”目黒警視正”という言葉が気になって、

奈々子に確認したー


目黒警視正は、最近、凶悪犯罪者・黒崎陣矢を追うために、

対策チームを結成したという話だー。


交番勤務の自分たちからすれば、雲の上のような存在だが、

何故、その目黒警視正と奈々子が電話で話をしていたのだろうかー。


「---…それを聞いて、どうするの?」

奈々子の”聞くな”オーラに、治夫は

「いえ、すみません」と頭を下げたー。


「----」

治夫はパソコンで、事件を確認するー


昨夜は、近くの公園で、痴漢の常習者であった男、

黒滝 和雄が無残な遺体で発見されたー。


そして、由愛の通う高校の生徒が、また一人、行方不明になったー。

これで、二人目だー。


「---」

治夫は、”やっぱり由愛ちゃんが…”と、困惑の表情を隠せないー


由愛の中に、”黒崎陣矢”が隠れているのだとしたら、

大変なことになるー。


だがー

先輩の総司からは”いい加減にしろ”と叱責されてしまったー。


もちろん、先輩の言い分は分かるー。

けれどー。


交番での仕事を終えて、帰路につく治夫ー


夜道を歩く治夫は、色々なことを考えていたー。


”由愛ちゃんの様子が、どう考えてもおかしいー”


以前、絡まれていた由愛を助けた時から、

毎日のように、交番前で、由愛とあいさつを交わしていたー。

その由愛の様子が、明らかにおかしいー

両親が事件沙汰になったからー?

いや、やはり、それだけではーー


「---これ以上、関わらないほうがいいー」


ーー!?

治夫が驚いて振り返ると、

背後に、立派なスーツを着た中年の男がいたー。

すらっとした体形の、優しそうな顔の男ー。

だが、その目は鋭く、底知れぬ”何か”を感じさせるー。


「---それが、あなたのためですー」

男が言うー。


車道を車が行きかう中、治夫は「あなたは…」と、

呟いてから、すぐに身なりを整えて、緊張した様子で

その男を見たー


何故なら、夜道で治夫に声をかけてきたのはー

”目黒警視正”だったのだからー。


”生”で目黒警視正と会うのは、これが始めてだったー。


「---どういうことですか?」

治夫が緊張した様子で尋ねるー。


すると、目黒警視正は笑みを浮かべたー。


「--黒崎 陣矢は、交番勤務のあなたが

 どうこうできる相手じゃないー

 そう、申し上げているのです」

目黒警視正の言葉は、丁寧だったー

遥か年下であるはずの治夫に対してもー。


「---…!?

 く、、黒崎陣矢について、何かご存じなのですか!?」

治夫が叫ぶー


”皮”のことを目黒警視正に伝えようとするー


しかし、目黒警視正は、その言葉を遮ったー。


「--黒崎陣矢のことは、忘れなさい。

 それが、あなたと、あなたの周りの人間を

 守ることに繋がりますー。」


そう言い放つと、目黒警視正は、

さらに付け足したー


「--まだ、間に合います。

 ”深淵”を覗き込んではならないー」


目黒警視正は、鋭い目つきでそう告げると、

そのまま立ち去っていくー


「--ちょ!待ってください!

 それはどういうーーー」


目黒警視正を追う治夫ー

だがー

曲がり角を曲がった時には、もう目黒警視正は姿を消していたー


「----……どういう…意味なんだ…」

治夫は、戸惑いながら、そう口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した治夫は、

目黒警視正の言葉を考えていたー。


同居している彼女の亜香里は、

またまた元気のない治夫のことを心配そうに見つめているー


「も~~、そんな顔ばかりしてると、

 顔が難しい顔になっちゃうよ~~?」


治夫の顔をぷにぷにしながら笑う亜香里ー。


「--ご、ごめん亜香里」

治夫は苦笑いしながらそう返事をするー。


「あ、そうそう、さっき聡美ちゃんから連絡があってー」

亜香里が治夫の妹・聡美から”来週”遊びに行くという

連絡があったことを告げるー。


妹の聡美は女子大生ー。

少し休みが続くために、遊びに来るのだというー。


”お兄ちゃん大好き”な聡美ー。

亜香里をライバル視していて、いつも一方的に火花を

散らせているー。


「はははー、また、亜香里に火花バチバチかな?」

治夫が少しだけ冗談を口にすると、

亜香里は「聡美ちゃんに認めてもらえるように頑張る!」と、

笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


治夫が交番に向かう途中ー。

女子高生とすれ違ったー。


”----これ以上”


ーー!?


その女子高生がすれ違いざまに呟くー


”これ以上ー

 ”俺”を詮索するなー

 これ以上、俺を詮索すればー

 お前は後悔することになるー”


「--!?」

治夫が振り返ると、

その女子高生は、もう、治夫から離れて、ゆっくりと立ち去ろうとしていたー


「--おい!どういう意味だー!」

治夫が叫ぶー。


だがー女子高生は返事をしないー


その女子高生はー

数日前、由愛に皮にされてしまい、行方不明になっている、舞子だったー


治夫は追おうとするが、信号が赤になり、舞子を

見失ってしまうー。


「くそっ!」

治夫が、怒りの形相で叫ぶー。


治夫から離れた舞子は笑みを浮かべながらー

後頭部をぱっくりと開くー


中から出て来たのは黒崎陣矢ー。


陣矢は笑みを浮かべながら、舞子の皮を鞄に詰め込むと、

鞄から由愛の皮を取り出して、由愛を着こみ、

高校へと向かうー


「--くくく…”警告”はしたぜー

 刑事さんよ」


陣矢は、まるで”服”を着替えるかのように、

舞子から由愛の皮に着替えて、高校に向かうのだったー


・・・・・・・・・・・・・


交番に到着した治夫は、また、考え込んでいたー。


「--おい」

先輩刑事の総司がそんな治夫を見て、声を掛けるー。


目黒警視正から”忠告”された件ー

そして、さっきの件ー


黒崎 陣矢が”他人を着こむ”ことに、治夫は

ほぼ確証を持っていたー。


だがーー


「--おい!!!」

総司が、治夫の肩を叩いたー


「あ、先輩…すみません」

治夫が総司の方を見ると、

総司は「いい加減にしろ」と、治夫を叱責するー。


治夫は、「申し訳ありません」と頭を下げるー。


そんな治夫を見て、総司は考え込むー


”あまりにも非現実的な妄想をして、

 暴走しているー”


治夫のことをそんな風に思いながらも、

同時に、治夫が誰よりも熱心なことを知っている総司は、

”治夫のやつがここまで悩むってことは…”と、

考え始めていたー。


そして、口を開くー。


「---……今週末、一緒に飲みにいかないか?」


「え?」

治夫が総司の方を見ると、総司は穏やかに笑っていたー


「--お前の話、ちゃんと聞いてやるー。

 何を見たのか、何が起きてるのか、お前はどう思ってるのかー

 ちゃんと、全部聞いてやるー。


 だから、もう、そんな顔をするな」


総司が、治夫の肩を優しく叩くと、

治夫は総司の方を見つめながら、

「でも……」と、不安そうな表情を浮かべるー


今までもそうだったしー

あまりにも非現実的すぎる話で、先輩の総司や、奈々子に

信じてもらえるとは思えないー


「---はは、もちろん、信じるか信じないかは別問題さ。

 でもなー

 後輩が悩んでるときは、話をしっかり聞くのが、

 先輩の役割だからなー。


 もう一度、お前の話を、しっかり聞いてやる。


 だから、もう、そんな顔、するな。な?」


総司の言葉に、治夫は「ありがとうございます」と、

少しだけ、気持ちが楽になった、という様子で

頭を下げたー。


総司は、よく治夫を揶揄ったりすることもあるが、

いざという時は、頼れる先輩だー。

こういう先輩が、身近にいてくれてよかったー、と

治夫はこれまでにも、何度も思ったー。


「--先輩、いつも…本当にありがとうございます」

治夫が今一度頭を下げると、

総司は「俺に惚れるなよ?」と冗談を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


今日は非番の治夫は、由愛の高校の様子を、

高校付近のカフェから確認していたー


既に2名の生徒が行方不明になっているー。


やはり、黒崎陣矢は”由愛”の中にいるー。

治夫は、そう考えていたー。


”由愛ちゃん…今、助けるからな…”

治夫は、そう思いながら、高校の様子を、

カフェから見つめていたー。


「-----」

由愛が登校してくるー。


「----チッ」

由愛は、治夫が見張っていることに気づくー。


そして、そのまま高校の中に入っていったー


・・・・・・・・・・・・・・


夕方ー


「--お疲れ様です」

機械のように感情を感じさせない奈々子が、

パトロールから戻った総司に声を掛けるー。


総司が「大変だったよ~」と、

パトロール中に起きた出来事を笑いながら話しているー。


「--あの~~」


「ん?」

総司と奈々子が、交番の入口に立つ女子高生の方を見ると、

そこには由愛が立っていたー


「--お、由愛ちゃん」

総司が、立ち上がり、由愛の方を見つめるー


「今日は、長瀬ならいないぞ?」

治夫が非番であることを告げる総司ー。


由愛は笑いながらー

「この前、悪態をついちゃったので、お詫びを

 しようと思ってー」と、呟くー


「---ははは、いいさ

 長瀬のやつも、由愛ちゃんを急に交番に引っ張り込んで、

 由愛ちゃんに迷惑かけたんだし、

 由愛ちゃんが怒るのも当然さ」


総司が笑いながら言うー。


奈々子は、交番に掛かって来た電話に出て、通報者の話を聞きながら

二人の様子を見つめているー。


その時だったー


由愛の顔から突然笑顔が消えたー。


「--!?」

由愛が鞄から、何かを取り出したー


総司が、それに気づくと同時に、銃声が響き渡ったー

身体ごと吹き飛ばされて壁に叩きつけられる総司ー。


由愛が鞄から銃を取り出して、総司を撃ったのだー。


「--え」

電話中だった奈々子が、咄嗟に受話器を置いて、

銃を抜こうとするー


しかしー

由愛は笑いながら振り返ってー

奈々子を撃ったー。


その場に崩れ落ちる奈々子ー


由愛が近づいてくるー。


「--ほらぁ…命乞い…♡ 命乞いしなよぉ♡」

由愛が興奮した様子で、血を流している奈々子を見つめるー


「--あ、、、あなた…や、、、やっぱり…」

奈々子が苦しそうに呟くー


「--い・の・ち・ご・い♡」

由愛が冷たい笑みを浮かべながら、倒れている奈々子に

銃を向けるー


奈々子は苦しそうに、由愛の方を睨むー


由愛は「チッ」と舌打ちすると、交番内に銃声が響き渡ったー。


奈々子が動かなくなるー。


「うああああああああああああっ!」

背後から、治夫の先輩・総司が、由愛の頭部をイスで殴りつけたー


だがー

振り返った由愛は、笑っていたー。


「---恨むなら、俺にしつこく付きまとった、あの刑事を

 恨むんだなー」


そう呟く由愛の後頭部がピキッと割れたー。


「---お、、、お、、、おまえ…!」

先程、撃たれた腹部から、血を流しながら総司が青ざめるー。


割れた由愛の顔から出て来たのはー

凶悪犯罪者・黒崎陣矢の顔ー


「--ーーーあばよ」

陣矢が不気味な笑みを浮かべるー。


銃声が響きー、

頭を撃ち抜かれた総司が、その場に崩れ落ちるー。


「---くくくくく…

 ひひひひひ、ははははははははははっ♡」

由愛は血をペロリと舐めると、騒ぎ始めた周囲を余所に、

堂々と歩き始めたー。


悲鳴を上げる通行人たちー。

すぐに死角に入り、別の皮を着こんだ黒崎陣矢はー

そのまま笑みを浮かべながら、立ち去って行ったー


・・・・・・・・・・・・・


「---(由愛ちゃん、出てこないな)」


高校から由愛が出てこないことを不審に思う治夫ー。


由愛は、裏門から既に高校を出ていたー


その時だったー。

治夫のスマホが鳴ったー


”---お前のせいで、犠牲者が出た”


その文章を見て、治夫は青ざめたー。


すぐに、彼女の亜香里に連絡を入れるー。

だが、亜香里は無事ー。


と、なるとーーー


勤務先の交番に駆け付けた治夫はーーー

その場で膝をついたーー


先輩の塚田総司と、宮辺奈々子の遺体が、

ちょうど、交番から運び出される光景を前にーー


治夫は、悔しそうに涙を流すことしかできなかったー



⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


深淵に踏み込んでしまった治夫…!

続きはまた次回デス~!


今日もお読み下さりありがとうございました!!

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