<入れ替わり>嘘つき男と嘘つき女③~お嬢~ (Pixiv Fanbox)
Content
”和”を感じさせる屋敷ー
いかにも”一般人”ではないかのような男たちが、ぞろぞろと
後からついてくるー。
梓紗(史和)は、怯えながら
梓紗の父親の後について、歩いていくー。
”これ…寿司屋…???
え…これ、すし屋なのか…?”
史和は、戸惑うー。
梓紗からは、”父親はすし職人”だと聞いていたからだー。
だがー。
これは、どう見てもー
極道的な、あれだー。
「---梓紗」
父親が鋭い声を出すー
「ひぇっ!」
梓紗(史和)が思わず変な声を出してしまうと、
父親は梓紗(史和)の方を見て、”父親”としての
優しい笑みを浮かべたー
「---おじいちゃんに、最後の挨拶をしなさいー」
そう言うと、父親が扉を開けたー。
その先には、弱り切った高齢の老人の姿があったー。
間もなく、息を引き取ろうとしているその男がー
梓紗の祖父なのだろうー。
”シゲくん”と呼ばれる男が”先代の頭が危篤”と言っていたー。
梓紗(史和)は父親に言われるがままに
祖父の手を握ってー
目から涙をボロボロとこぼしたー。
父親が目を静かに閉じるー。
我が娘が、祖父の死を目前にして涙を流している光景を見て、
目を閉じているのだー。
「お嬢…」
背後に整列したいかにもな感じの男たちも涙をこぼすー。
梓紗(史和)は、祖父の手を握りながらー
涙を流すー
やがて、祖父は息を引き取ったーー。
梓紗の父親は静かに命を捧げー
部下たちは、悲しそうに涙を流すー
だがーーー
梓紗(史和)が泣いている理由は、
梓紗になっている史和にとっては”見ず知らずの祖父”が
死んだことに対してではなかったー
”怖ええええええよぉぉぉぉぉぉ…たすけて梓紗…
なにこれ…ここ…寿司屋じゃないよね…?え??あ??”
梓紗(史和)は、ビビりまくっていたー。
なんだか、極道組織みたいな梓紗の実家にー
・・・・・・・・・・・・・・・
その日の夜ー。
梓紗(史和)は史和(梓紗)に対して
LINEで”実家に行った”ことを説明しようかどうか、
迷っていたー。
だがー
「---ふぁ…あぁぁ…あぁぁぁぁぁぁぁ…」
梓紗(史和)はガクガク震えながらー
気づいたときには失禁してしまっていたー。
自分の下着を濡らしながら、水たまりを作ってしまう梓紗(史和)-
史和はー
普段は虚勢を張っているもののー
実は”ビビり”だったー。
ビビりの癖に、浮気しているのだー。
「--…ひ…ひ、、ひぃぃぃぃぃっぃぃぃぃぃぃ」
梓紗(史和)は、
”あれ絶対寿司職人じゃねぇ!”と叫びながら、
部屋の中で一人、震え続けたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---」
史和(梓紗)は、部屋で一人、涙を流していたー
「おじいちゃん…」
史和になった梓紗ー。
だが、スマホは”梓紗”のものを持っているために、
祖父の死の件が、伝わって来たのだー。
「---って…」
史和(梓紗)は青ざめるー
「って、、ことは…わ、、わたしの実家に、
史和が行ったってことだよね…?」
史和(梓紗)は戸惑いながら、そう呟くと、
「あぁぁ…どうしよう…史和に嫌われちゃう!」と
一人、男の声で頭を抱え始めたー。
「--わたしが極道の娘だなんて知ったら
史和絶対嫌がるし…!」
史和(梓紗)は、スマホを手に、
”言い訳しようかなぁ…”と色々考えたものの、
良いアイデアが浮かばなかったため、
そのままその日は寝てしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「お、、おはよう…」
梓紗(史和)は、青ざめた顔色で、史和(梓紗)に挨拶をするー。
「--お、、おはよ…」
史和(梓紗)も、ぎこちなく挨拶するー。
二人は”中身”の家で過ごしているー。
梓紗になった史和は、”史和”のアパートで夜を過ごしー
史和になった梓紗は、”梓紗”のアパートで夜を過ごしているー。
万が一、誰かに見られても”彼氏です” ”彼女です”で
言い訳することが出来るー。
付き合っているのは、事実なのだからー。
史和のアパートにやってきた史和(梓紗)は、昨日と同じように、
梓紗になった史和のメイクを手伝うー。
逆に、梓紗(史和)は、史和になった梓紗の髭剃りや、準備を手伝うー。
二人は、その間も無言だったー。
「----………あ、、あのさ」
梓紗(史和)は、ついに震えながら答えたー
初日は、お風呂に入った際に、梓紗の身体でエッチなことを
実は少ししてしまった史和だったが、
昨日は、全くそういうこともしなかったー
寧ろ、1時間もかけて、梓紗の身体を入念に洗ったー
”お嬢様の身体、、しっかり洗わないと殺される…!”と半泣きでー。
「---…あの…あの…あの」
梓紗(史和)は、ビクビクしながら昨日のことを
聞こうとしていたー。
梓紗は、史和に”父親はすし職人”だと”嘘”をついているー
実家はお寿司屋であるとー。
だがー
昨日、梓紗(史和)が実家に行った際に見た光景はー
どう考えても”寿司屋”ではなかったー。
あれは、どう見てもー
「----」
史和(梓紗)も戸惑っているー。
史和の身体になっても、スマホは自分のー”梓紗”のものを
持っているからー、
父親からのLINEで”梓紗(史和)が祖父の最後に立ち会った”ことを
既に知っているー。
だから、どう説明すれば良いのか迷っていたー
「あのさ…お嬢……いや、梓紗の実家に昨日、行ったんだけどさ」
梓紗(史和)が、そう口を開くと、
史和(梓紗)は咄嗟に返事をしたー
「--お寿司屋」
とー。
「---え いや、あれは、、どう見てもーー
「-お寿司屋!!!!!!!!!」
史和(梓紗)は、大きな声を出したー。
別に怒っていたわけではなく、
梓紗も必死に実家のことがバレないように、
さらに嘘を重ねただけだったのだがー、
すっかりビビっていた梓紗(史和)は
「は、、はい!!お嬢!!!!!」と叫んでしまったー
「---…その呼び方やめて」
史和(梓紗)がイヤそうに呟くと、
梓紗(史和)は
「すみませんでした!お嬢!」と頭を下げたー
「----」
史和(梓紗)は、悲しそうに、そんな梓紗(史和)の様子を見つめながらー
二人は今日も、元に戻れないまま、大学に向かうー。
・・・・・・・・・・・・・・・
大学の昼休みー
正門前で一息ついているとー
父親の部下である”シゲくん”が、「あ!お嬢!」と手を振って来たー。
「---ひっ」
梓紗(史和)は思わず悲鳴を上げてしまったが、
すぐに、気を取り直すー。
「ちょっと、時間ありますか?」と
尋ねて来る”シゲくん”に、「あ、、ある…」と返事をする梓紗(史和)-
大学の近くを歩きながらシゲくんは、
”祖父を失った梓紗を慰める”言葉を色々掛けてくれたー。
”シゲくん”は、梓紗のことを気遣って
わざわざ大学までやってきたのだー。
「--(シゲくん、いいやつだな)」
梓紗(史和)はそんな風に思いながら、
シゲくんの方を見つめるー。
”この人は話しやすそうだ…”
ちょろい史和は、ついそう思ってしまって
口を開いたー
「あ、、あの…梓紗、、あ、いや、
わたしにもし彼氏が出来たら、
組長、、あ、いや、お父さんは喜んでくれるかな…?」
梓紗(史和)が言うと、
シゲくんは少し驚いた顔をしながら
「お嬢に彼氏が!?」と叫んだー。
「あ、いや、たとえ話っていうかー」
その言葉を遮るように、シゲくんは笑ったー。
「--そりゃもう、お嬢の彼氏でしたら
組を上げて、感激しますよ」
その言葉に、梓紗(史和)は、安心しつつもー
”やっぱ寿司屋じゃねぇじゃん!”と心の中で突っ込むー。
そしてー
梓紗(史和)はもう一つ聞いてみたー。
「もし、、もし、その彼氏が浮気してたらーーー
「--ははは、そりゃもうー」
シゲくんは、梓紗(史和)の言葉を最後まで聞く前に
笑みを浮かべながら言い放ったー
「--ぶち殺しますわ」
と、満面の笑みで。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---…話って?」
一方、史和になった梓紗は、史和の浮気相手である麗子から
呼び出されていたー
”また、このストーカーの子ね…
史和も大変だなぁ…
ここはガツンとわたしが言ってあげなくちゃ…”
史和(梓紗)は、史和から
”麗子はストーカーで迷惑してる”と嘘の説明を受けていたー
そう信じている史和(梓紗)は言うー。
「--い、いい加減にしろ!
これ以上、俺に付きまとうな!」
とー。
”史和、優しいから、わたしが代わりにガツン!と!”
梓紗はそんな風に思っていると、
麗子が、スマホを差し出したー
「--ふざけないで」
麗子が怒りの形相で呟くー。
「---え?」
史和(梓紗)が唖然とするー
麗子が差し出したスマホには、
麗子と史和が仲良くしている写真が保存されているー
キスし合っている写真や、
抱き合っている動画もあるー
さらにはー
”愛してるよ 麗子”
”わたしも”
”俺は梓紗なんかより、麗子のほうが大事なんだ”
という、会話の音声までーーー
「---わたしを捨てるなら、わたしにも考えがあるからー。」
麗子が怒りの形相で言うー
「史和の彼女に、これ、全部見せるからー。
”あなたの彼氏は浮気してます”って」
麗子の言葉に、
史和(梓紗)は、唖然としていたー。
”浮気”ーー
史和は、浮気をしていたーーー
「-----」
口をぽかんと開けたまま史和(梓紗)は、呟くー。
「---うわき…うわき…うわき…」
史和(梓紗)の様子に、浮気相手・麗子は
戸惑った表情を浮かべるー。
「--うわきうわきうわきうわきうわきうわきうわき…????」
史和(梓紗)が”浮気”と何度も何度も呟くー
麗子は怒りの形相で、
「ちょっと!聞いてるの!」と叫ぶー
「--うるさい!!あんたは黙ってて!」
史和(梓紗)が急に怒鳴り声をあげるー
麗子は急な史和(梓紗)の豹変に驚いて尻餅をついてしまうー。
「---ひっ!?!?!?」
そんな麗子を無視して立ち去っていく史和(梓紗)-
”史和が浮気ー?”
”史和が、浮気ー???浮気ーーー?????”
史和(梓紗)はギリギリと歯ぎしりをしながら
怒りの形相で廊下を歩くー
「おー!史和!そういえばさ、昨日、彼女さんからカツ丼ー」
史和の親友、藤岡が、そんな史和(梓紗)の姿を
見かけて笑いながら話しかけて来るー
「うるさい!!!黙って!」
史和(梓紗)はそう叫ぶと、怒りの形相でスマホを手にしたー
”わたし、浮気されてたー”
連絡相手は”シゲくん”-
身体は史和だが、スマホは梓紗のものを持っているー。
史和(梓紗)は怒りの形相で
付き合っていた彼氏がいること
その彼氏が浮気していたことを、シゲくんに相談したーー
・・・・・・・・・・・・・・・
「--じゃ、わたし、大学に戻るね」
昼休みの終わりの時間が近づき、大学に戻ろうとする梓紗(史和)-
「--はい、お嬢。頑張って」
シゲくんは頭を下げたー。
その時だったー。
シゲくんのスマホに、史和(梓紗)が送ったLINEが届くー。
「----!」
シゲくんは、ミシッとスマホを握りしめたー。
「-うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
シゲくんが叫ぶー。
ビクッと、立ち去ろうとしていた梓紗(史和)が驚くー
シゲくんが駆け寄ってきて、
「こ、、これマジっすかお嬢!」と叫ぶー。
シゲくんのスマホには、
史和(梓紗)が送った、”浮気されていた…”という
文章が表示されていたー。
それを見た梓紗(史和)は
”ダメだ…俺、死んだ…”と、死んだ気持になりながら
その文章を見るー
だが、そこにはー
”彼氏”とだけ書かれていて史和の名前は書かれていなかったー
シゲくんは「こいつ誰っすか?許せねぇ…お嬢を泣かせるなんて!」と
怒りの形相ー。
目の前にいる梓紗(史和)と今、話していた最中だったのに、
その梓紗から長文のLINEが届くなんておかしいのだが、
単細胞なシゲくんは、そのことには全く気づいていないー。
「---ひ、、、ひ、、、ひ…」
梓紗(史和)は泣きそうになっているー
「お嬢を泣かせるなんてゆるせねぇぇぇ!!!
彼氏の名前はーー!?」
シゲくんが叫ぶー
あまりの恐怖に、梓紗(史和)は
咄嗟に嘘をついたーー
「か、、彼氏、、かれ、、彼氏は…藤岡…」
梓紗(史和)は、
史和の親友・藤岡の名前を出したー
また、嘘をついたー
④へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
嘘に嘘を重ねて混沌とした状態に…!
二人の運命は…?
ついでに藤岡君の運命は…!?
続きはまた次回デス~!