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”和”を感じさせる屋敷ー

いかにも”一般人”ではないかのような男たちが、ぞろぞろと

後からついてくるー。


梓紗(史和)は、怯えながら

梓紗の父親の後について、歩いていくー。


”これ…寿司屋…??? 

 え…これ、すし屋なのか…?”

史和は、戸惑うー。


梓紗からは、”父親はすし職人”だと聞いていたからだー。


だがー。

これは、どう見てもー


極道的な、あれだー。


「---梓紗」

父親が鋭い声を出すー


「ひぇっ!」

梓紗(史和)が思わず変な声を出してしまうと、

父親は梓紗(史和)の方を見て、”父親”としての

優しい笑みを浮かべたー


「---おじいちゃんに、最後の挨拶をしなさいー」

そう言うと、父親が扉を開けたー。


その先には、弱り切った高齢の老人の姿があったー。

間もなく、息を引き取ろうとしているその男がー

梓紗の祖父なのだろうー。


”シゲくん”と呼ばれる男が”先代の頭が危篤”と言っていたー。


梓紗(史和)は父親に言われるがままに

祖父の手を握ってー

目から涙をボロボロとこぼしたー。


父親が目を静かに閉じるー。

我が娘が、祖父の死を目前にして涙を流している光景を見て、

目を閉じているのだー。


「お嬢…」

背後に整列したいかにもな感じの男たちも涙をこぼすー。


梓紗(史和)は、祖父の手を握りながらー

涙を流すー


やがて、祖父は息を引き取ったーー。


梓紗の父親は静かに命を捧げー

部下たちは、悲しそうに涙を流すー


だがーーー

梓紗(史和)が泣いている理由は、

梓紗になっている史和にとっては”見ず知らずの祖父”が

死んだことに対してではなかったー


”怖ええええええよぉぉぉぉぉぉ…たすけて梓紗…

 なにこれ…ここ…寿司屋じゃないよね…?え??あ??”


梓紗(史和)は、ビビりまくっていたー。

なんだか、極道組織みたいな梓紗の実家にー


・・・・・・・・・・・・・・・


その日の夜ー。


梓紗(史和)は史和(梓紗)に対して

LINEで”実家に行った”ことを説明しようかどうか、

迷っていたー。


だがー


「---ふぁ…あぁぁ…あぁぁぁぁぁぁぁ…」

梓紗(史和)はガクガク震えながらー

気づいたときには失禁してしまっていたー。


自分の下着を濡らしながら、水たまりを作ってしまう梓紗(史和)-


史和はー

普段は虚勢を張っているもののー

実は”ビビり”だったー。

ビビりの癖に、浮気しているのだー。


「--…ひ…ひ、、ひぃぃぃぃぃっぃぃぃぃぃぃ」

梓紗(史和)は、

”あれ絶対寿司職人じゃねぇ!”と叫びながら、

部屋の中で一人、震え続けたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「---」

史和(梓紗)は、部屋で一人、涙を流していたー


「おじいちゃん…」

史和になった梓紗ー。

だが、スマホは”梓紗”のものを持っているために、

祖父の死の件が、伝わって来たのだー。


「---って…」

史和(梓紗)は青ざめるー


「って、、ことは…わ、、わたしの実家に、

 史和が行ったってことだよね…?」

史和(梓紗)は戸惑いながら、そう呟くと、

「あぁぁ…どうしよう…史和に嫌われちゃう!」と

一人、男の声で頭を抱え始めたー。


「--わたしが極道の娘だなんて知ったら

 史和絶対嫌がるし…!」


史和(梓紗)は、スマホを手に、

”言い訳しようかなぁ…”と色々考えたものの、

良いアイデアが浮かばなかったため、

そのままその日は寝てしまったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「お、、おはよう…」

梓紗(史和)は、青ざめた顔色で、史和(梓紗)に挨拶をするー。


「--お、、おはよ…」

史和(梓紗)も、ぎこちなく挨拶するー。


二人は”中身”の家で過ごしているー。

梓紗になった史和は、”史和”のアパートで夜を過ごしー

史和になった梓紗は、”梓紗”のアパートで夜を過ごしているー。


万が一、誰かに見られても”彼氏です” ”彼女です”で

言い訳することが出来るー。

付き合っているのは、事実なのだからー。


史和のアパートにやってきた史和(梓紗)は、昨日と同じように、

梓紗になった史和のメイクを手伝うー。

逆に、梓紗(史和)は、史和になった梓紗の髭剃りや、準備を手伝うー。


二人は、その間も無言だったー。


「----………あ、、あのさ」

梓紗(史和)は、ついに震えながら答えたー


初日は、お風呂に入った際に、梓紗の身体でエッチなことを

実は少ししてしまった史和だったが、

昨日は、全くそういうこともしなかったー


寧ろ、1時間もかけて、梓紗の身体を入念に洗ったー

”お嬢様の身体、、しっかり洗わないと殺される…!”と半泣きでー。


「---…あの…あの…あの」

梓紗(史和)は、ビクビクしながら昨日のことを

聞こうとしていたー。


梓紗は、史和に”父親はすし職人”だと”嘘”をついているー

実家はお寿司屋であるとー。


だがー

昨日、梓紗(史和)が実家に行った際に見た光景はー

どう考えても”寿司屋”ではなかったー。


あれは、どう見てもー


「----」

史和(梓紗)も戸惑っているー。

史和の身体になっても、スマホは自分のー”梓紗”のものを

持っているからー、

父親からのLINEで”梓紗(史和)が祖父の最後に立ち会った”ことを

既に知っているー。


だから、どう説明すれば良いのか迷っていたー


「あのさ…お嬢……いや、梓紗の実家に昨日、行ったんだけどさ」

梓紗(史和)が、そう口を開くと、

史和(梓紗)は咄嗟に返事をしたー


「--お寿司屋」

とー。


「---え いや、あれは、、どう見てもーー


「-お寿司屋!!!!!!!!!」

史和(梓紗)は、大きな声を出したー。


別に怒っていたわけではなく、

梓紗も必死に実家のことがバレないように、

さらに嘘を重ねただけだったのだがー、

すっかりビビっていた梓紗(史和)は

「は、、はい!!お嬢!!!!!」と叫んでしまったー


「---…その呼び方やめて」

史和(梓紗)がイヤそうに呟くと、

梓紗(史和)は

「すみませんでした!お嬢!」と頭を下げたー


「----」

史和(梓紗)は、悲しそうに、そんな梓紗(史和)の様子を見つめながらー

二人は今日も、元に戻れないまま、大学に向かうー。


・・・・・・・・・・・・・・・


大学の昼休みー

正門前で一息ついているとー

父親の部下である”シゲくん”が、「あ!お嬢!」と手を振って来たー。


「---ひっ」

梓紗(史和)は思わず悲鳴を上げてしまったが、

すぐに、気を取り直すー。


「ちょっと、時間ありますか?」と

尋ねて来る”シゲくん”に、「あ、、ある…」と返事をする梓紗(史和)-


大学の近くを歩きながらシゲくんは、

”祖父を失った梓紗を慰める”言葉を色々掛けてくれたー。


”シゲくん”は、梓紗のことを気遣って

わざわざ大学までやってきたのだー。


「--(シゲくん、いいやつだな)」

梓紗(史和)はそんな風に思いながら、

シゲくんの方を見つめるー。


”この人は話しやすそうだ…”

ちょろい史和は、ついそう思ってしまって

口を開いたー


「あ、、あの…梓紗、、あ、いや、

 わたしにもし彼氏が出来たら、

 組長、、あ、いや、お父さんは喜んでくれるかな…?」


梓紗(史和)が言うと、

シゲくんは少し驚いた顔をしながら

「お嬢に彼氏が!?」と叫んだー。


「あ、いや、たとえ話っていうかー」


その言葉を遮るように、シゲくんは笑ったー。


「--そりゃもう、お嬢の彼氏でしたら

 組を上げて、感激しますよ」


その言葉に、梓紗(史和)は、安心しつつもー

”やっぱ寿司屋じゃねぇじゃん!”と心の中で突っ込むー。


そしてー

梓紗(史和)はもう一つ聞いてみたー。


「もし、、もし、その彼氏が浮気してたらーーー


「--ははは、そりゃもうー」

シゲくんは、梓紗(史和)の言葉を最後まで聞く前に

笑みを浮かべながら言い放ったー


「--ぶち殺しますわ」

と、満面の笑みで。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「---…話って?」

一方、史和になった梓紗は、史和の浮気相手である麗子から

呼び出されていたー


”また、このストーカーの子ね…

 史和も大変だなぁ…

 ここはガツンとわたしが言ってあげなくちゃ…”


史和(梓紗)は、史和から

”麗子はストーカーで迷惑してる”と嘘の説明を受けていたー


そう信じている史和(梓紗)は言うー。


「--い、いい加減にしろ!

 これ以上、俺に付きまとうな!」

とー。


”史和、優しいから、わたしが代わりにガツン!と!”

梓紗はそんな風に思っていると、

麗子が、スマホを差し出したー


「--ふざけないで」

麗子が怒りの形相で呟くー。


「---え?」

史和(梓紗)が唖然とするー


麗子が差し出したスマホには、

麗子と史和が仲良くしている写真が保存されているー


キスし合っている写真や、

抱き合っている動画もあるー


さらにはー

”愛してるよ 麗子”

”わたしも”

”俺は梓紗なんかより、麗子のほうが大事なんだ”


という、会話の音声までーーー


「---わたしを捨てるなら、わたしにも考えがあるからー。」

麗子が怒りの形相で言うー


「史和の彼女に、これ、全部見せるからー。

 ”あなたの彼氏は浮気してます”って」

麗子の言葉に、

史和(梓紗)は、唖然としていたー。


”浮気”ーー

史和は、浮気をしていたーーー


「-----」

口をぽかんと開けたまま史和(梓紗)は、呟くー。


「---うわき…うわき…うわき…」

史和(梓紗)の様子に、浮気相手・麗子は

戸惑った表情を浮かべるー。


「--うわきうわきうわきうわきうわきうわきうわき…????」

史和(梓紗)が”浮気”と何度も何度も呟くー


麗子は怒りの形相で、

「ちょっと!聞いてるの!」と叫ぶー


「--うるさい!!あんたは黙ってて!」

史和(梓紗)が急に怒鳴り声をあげるー


麗子は急な史和(梓紗)の豹変に驚いて尻餅をついてしまうー。


「---ひっ!?!?!?」

そんな麗子を無視して立ち去っていく史和(梓紗)-


”史和が浮気ー?”

”史和が、浮気ー???浮気ーーー?????”


史和(梓紗)はギリギリと歯ぎしりをしながら

怒りの形相で廊下を歩くー


「おー!史和!そういえばさ、昨日、彼女さんからカツ丼ー」

史和の親友、藤岡が、そんな史和(梓紗)の姿を

見かけて笑いながら話しかけて来るー


「うるさい!!!黙って!」

史和(梓紗)はそう叫ぶと、怒りの形相でスマホを手にしたー


”わたし、浮気されてたー”

連絡相手は”シゲくん”-


身体は史和だが、スマホは梓紗のものを持っているー。

史和(梓紗)は怒りの形相で

付き合っていた彼氏がいること

その彼氏が浮気していたことを、シゲくんに相談したーー


・・・・・・・・・・・・・・・


「--じゃ、わたし、大学に戻るね」

昼休みの終わりの時間が近づき、大学に戻ろうとする梓紗(史和)-


「--はい、お嬢。頑張って」

シゲくんは頭を下げたー。


その時だったー。


シゲくんのスマホに、史和(梓紗)が送ったLINEが届くー。


「----!」

シゲくんは、ミシッとスマホを握りしめたー。


「-うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

シゲくんが叫ぶー。


ビクッと、立ち去ろうとしていた梓紗(史和)が驚くー

シゲくんが駆け寄ってきて、

「こ、、これマジっすかお嬢!」と叫ぶー。


シゲくんのスマホには、

史和(梓紗)が送った、”浮気されていた…”という

文章が表示されていたー。


それを見た梓紗(史和)は

”ダメだ…俺、死んだ…”と、死んだ気持になりながら

その文章を見るー


だが、そこにはー

”彼氏”とだけ書かれていて史和の名前は書かれていなかったー


シゲくんは「こいつ誰っすか?許せねぇ…お嬢を泣かせるなんて!」と

怒りの形相ー。


目の前にいる梓紗(史和)と今、話していた最中だったのに、

その梓紗から長文のLINEが届くなんておかしいのだが、

単細胞なシゲくんは、そのことには全く気づいていないー。


「---ひ、、、ひ、、、ひ…」

梓紗(史和)は泣きそうになっているー


「お嬢を泣かせるなんてゆるせねぇぇぇ!!!

 彼氏の名前はーー!?」


シゲくんが叫ぶー


あまりの恐怖に、梓紗(史和)は

咄嗟に嘘をついたーー


「か、、彼氏、、かれ、、彼氏は…藤岡…」


梓紗(史和)は、

史和の親友・藤岡の名前を出したー


また、嘘をついたー



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


嘘に嘘を重ねて混沌とした状態に…!

二人の運命は…?

ついでに藤岡君の運命は…!?


続きはまた次回デス~!


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