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入れ替わってしまった大学生カップルの史和と梓紗は

互いに”嘘つき”だったー。


大学でも、よく”嘘”をつくためー

嘘つきカップルとして有名だった二人ー


そんな二人は、”相手”にも嘘をついていたー。


史和はー

後輩の麗子と”浮気”しているー

かなり深い関係だー。

梓紗のことも好きだが、麗子のことも好きー

そのことを隠しているー。


一方の梓紗はー

父親が”すし職人”だと、史和に説明していたが

実は父親は極道組織の組長であり、

娘である梓紗を溺愛している父親だー。


しかも、梓紗はその”父親”にも、嘘をついていてー

”彼氏はいない”と説明しているー


嘘渦巻く二人ー


翌日になっても、二人は入れ替わったままだったー。


「--やっぱ、戻ってないかぁ…」

梓紗(史和)が、自分の綺麗な手を見つめながら呟くー。


”まぁ、そうだよね~…わたしもちょっと期待したんだけど”

史和(梓紗)が電話先で呟くー。


「--と、ところで…昨日は何か異変はなかったか?」

梓紗(史和)が落ち着かない様子で梓紗の髪をいじりながら

呟くー


”浮気”がバレないかどうか、心配で心配で

仕方がないのだ。


”え?うん…まぁ…この身体に違和感!ってぐらいかな~?

 そっちは?”


史和(梓紗)の電話口の声から察するに

”浮気”はまだバレていないー


浮気相手の麗子には、

”梓紗と入れ替わってしまった”ことを昨日、即座に

電話で説明したのだが、

信じてもらえなかったー。


嫉妬と束縛の激しい麗子がおかしな行動に

出る可能性もあるー。


「--え、あぁ、俺のほうも平気だよ。

 お風呂はその…滅茶苦茶ドキドキしたけど」

梓紗(史和)の言葉に、

”気にしなくていいよ!変なコトしなければ!”と、

史和(梓紗)は笑ったー


昨日のお風呂は大変だったー。

大好きな彼女の裸を見ながら、女の身体を洗うー。

と、いうのは、さすがに刺激的すぎたー。


正直なところー

ちょっとエッチなこともしてしまったー。


けれどー

まぁー

それは、仕方がないことだろうー


「--してないさ。梓紗のこと、大事だから

 大切にこの身体を使わないとなー」


梓紗(史和)は、また嘘をついたー。


「--あ、で、大学、どうする?今日は休んだほうがー」

梓紗(史和)は、大学は休もうと考えていたー


お互いに、相手に成り済ませる気はしないしー、

何より、浮気相手の後輩・麗子のこともあるー。

正直なところ、大学には行きたくないし

行かせたくないー


”え?行くでしょ?

 だって、いつ元に戻れるか分からないんだし”

史和(梓紗)の言葉に、

梓紗(史和)は


「えっ!?」と

間抜けな声を出してしまうー


「--で、でも、ほら、お互いに成り済ませるか分からないしー」


”え~、いざとなったら言えばいいだけだし、

 そもそもずっと戻れなかったら、

 休んでたら留年・退学コースだよ?

 だから、大学はいかないと~”


史和(梓紗)の言葉に、

「そ、、それはそうだけど…」と、呟く梓紗(史和)-


”くそっーー

 まずい…なんとかしないと”


梓紗(史和)は焦りながらもー

「わ、、わかった、いこう」と、

戸惑いながら呟いたー。


”あ、そうだ!今からそっちに行くね!

 男の人の準備とかあんまりよくわからないし、

 史和も、メイクとかできないでしょ?”


その言葉に、

梓紗(史和)は頷いたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


史和の家にやってきた

史和(梓紗)ー


梓紗(史和)のメイクを

史和になった梓紗が行うー。


史和(梓紗)の髭剃りや準備を

梓紗になった史和が行うー。


「--これでよし」

梓紗(史和)が言うと、

史和(梓紗)は「明日からは自分でできそうだね」と、微笑むー。


「--と、ところでさ」

梓紗(史和)は、スカートに落ち着かない様子を見せながら、

史和(梓紗)の方を見つめたー。


「--お、、俺…俺、、、さ」

梓紗(史和)は、唾をゴクリと飲み込むー


”浮気相手の麗子”とは、大学内でも度々会うー。

”あまり大っぴらに関わらないでほしい”ということは

伝えてあるが、

いつ声をかけて来るか分からないー


ここは、先手を打つべきだー


「--実は後輩の女に、その…ストーカーされていて…」

梓紗(史和)が顔を真っ赤にしながら言うと、

「えぇっ!?」と

史和(梓紗)が驚いたー


後輩の麗子は、ストーカーであり、

勝手に付き合っているという妄想をしていて、

困っているー、

と、梓紗(史和)は”嘘”をついたー


「そうなんだ…大変だね…

 じゃあ、もしその子に声を掛けられたらどうしたらいいのかな?」

史和(梓紗)の言葉に、

梓紗(史和)は「とりあえず無視しといてくれれば」と答えたー


「うん。わかった」

史和(梓紗)は頷くとー


”あ、そうだ…”と

梓紗は内心で考えるー


時々大学に、父親が心配して若衆のシゲという男を送って来るー。


”シゲくん、優しいけど、見た目がヤバヤバだからなぁ~…”

梓紗はそんな風に思うと、

口を開いたー


「--あのね、史和 

 幼馴染のシゲくんっていう人がわたしの知り合いにいるんだけど、

 その人、いい人なんだけど、見た目がヤバヤバだから、

 急に話しかけられてもびっくりしないでね」

史和(梓紗)の言葉に

梓紗(史和)は「シゲくん!?」と、首を傾げるー


史和(梓紗)は

小さい頃の幼馴染で恋愛感情はない、と説明したー


恋愛感情は確かにないのだが

”小さい頃の幼馴染”は嘘だー。


父親の組の若衆ー。

つまり、裏社会の組織の一員だー。


「---わ、わかったー」


2人は相手の”嘘”を信じながら、大学に向かうー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーおはよ~~~!」

史和(梓紗)が、友達の女子たちに手を振るー


「え…?」

「--え?」

「--キモ」


史和が、女子のような笑顔で手を振ってきたことに驚く女子たちー


「---あ」

史和(梓紗)はいきなり失敗してしまったことに

顔を赤らめて、その場から立ち去るー


”やばっ!いきなり失敗しちゃった”

そんな風に思いながら廊下を歩いているとー


「--史和♡!」

と、後輩の麗子が駆け寄ってきたー


”この子がストーカーの後輩…?”

史和になっている梓紗はそう思いながら、無視をして歩き続けるー。


「--え?ちょ、史和!

 どうしたの?わたし、何かした?


 あ、そうそう、昨日、史和の女から電話がかかってきたの!

 入れ替わったとかなんとか嘘をついて、

 わたしを史和から引き離そうとしてきてさ~!


 卑怯だよね!ああいう女」


麗子が笑うー


「--え?」

史和(梓紗)が立ち止まるー。


「--どういうこと?」

史和のフリをして梓紗が聞くと、

麗子はペラペラと、昨日、梓紗(史和)が掛けて来た電話の内容を

全て喋ってしまったー


「---は」

史和(梓紗)の表情が曇るー


”後輩の麗子は、ストーカーであり、

勝手に付き合っているという妄想をしていて、

困っているー”


史和の言葉を思い出す梓紗ー。


”あ、これも妄想なのかな…?”

戸惑いながら、史和(梓紗)は”良かれと思って”

麗子に言い放ったー


「--ストーカーやめてくれる?

 これ以上、付きまとわれると、迷惑だし

 大学側に言うから」


史和(梓紗)が言い放つー


”史和、優しすぎてガツンと言えないから、

 わたしが代わりに言ってあげなくちゃ”


「---は?」

麗子が表情を歪めるー。


「--わた、、俺、迷惑してるんだ。

 あんまり付きまとうなら、俺にも考えがあるから」

史和(梓紗)は、堂々とそう言い放つと、

そのまま唖然としている麗子を無視して、

立ち去っていくー


麗子は、放心状態で廊下に立ち尽くしながらー

ギリギリと歯ぎしりをし始めたー


・・・・・・・・・・・・・・・


「---!」

「----え」


うっかり男子トイレに入ってしまった梓紗(史和)は、

中にいた男子と目が合って、

顔を真っ赤にしてそのまま廊下に飛び出したー。


昼休みになると、食堂で、いつものようにカツ丼の

大盛を頼んで、それを食べ始める梓紗(史和)


だがー


「--あれ…」

途中で満腹になってきてしまう梓紗(史和)-


「---やべっ…梓紗の身体だからか!」

すぐに気付いた梓紗(史和)は

”食堂のおばちゃん”残すと怒るからなぁ~…と

戸惑いながら周囲を見渡したー


「あっ!藤岡!」

思わず叫ぶ梓紗(史和)


「-へ?」

藤岡と呼ばれた男子大学生が、驚いて振り返るー。


藤岡は、史和の親友だー。


「--ふ、、ふ、、、藤岡!頼みがある!」

梓紗(史和)に、突然呼び捨てにされた藤岡は

唖然としているー


史和の親友である藤岡は、当然梓紗とも面識があるが、

いつも「藤岡くん」と呼ばれているー


しかもーー


「--ちょっと、カツ丼、食べきれなくて…!

 食べてくれ!」

梓紗(史和)の言葉に、藤岡は、口をぽかんと開いているー


「--え」

戸惑う藤岡ー


突然、親友の彼女から、

”わたしの食いかけを食べてくれ”と言われている状態ー


意味が分からないー


「--え…え…え???俺が倉守さんの残飯を食べるの?」

戸惑う藤岡ー


そこでやっと梓紗(史和)も、

自分の行動に気づくー


”あ、、やべっ!ついいつもの癖で藤岡に!”

梓紗(史和)は、半分パニックになりながらー

”そうだー、藤岡なら、”とー


「じ、実は俺、梓紗と入れ替わっちゃって」

と、梓紗(史和)は苦笑いしながら、そう呟いたー


「は????」

藤岡が戸惑うー。


「--は、、ははははははっ」

そして、笑いだすー。


「--倉守さんも、嘘つくの好きだなぁ~」

とー。


「-えっ!?ちがっ!マジだって!」

梓紗(史和)が叫ぶー。


その場で、自分の胸をこっそり触って見せる梓紗(史和)-


「ほ、ほら、梓紗、こんなことしないだろ?

 俺だよ、俺!藤岡!信じてくれよ!」

梓紗(史和)の言葉に、藤岡は首を振ったー


「自分の身体、大事にしろよ、倉守さん」

とー。


”嘘のために胸も揉む女”だと思われてしまった

梓紗(史和)-


藤岡が立ち去っていくー。


「おい!ちょ!?嘘じゃないんだって!

 つうかカツ丼食ってくれ!」


梓紗(史和)は必死に叫んだがー

既に手遅れだったー。



ドタバタしているうちに、大学での1日が終わるー。


梓紗(史和)は、史和(梓紗)を大学の正門前で待っていたー。

史和(梓紗)に提出しないといけないレポートがあり、

その提出に行っているため、少し出て来るのが遅れているのだー。


その時だったー


「---!!」


”さっきの態度 マジでむかつくー

 なんなら、浮気のこと、彼女さんにぶちまけてもいいのよ?”


後輩の麗子からのLINE-


「え」

梓紗(史和)は唖然としてしまうー。


梓紗になってはいるものの、スマホは史和のものを持っている状態ー。

先程の史和(梓紗)の態度に怒り狂った浮気相手・麗子が

LINEを送って来たのだー


”え?ちょ!?どういうことだよ!?”

梓紗(史和)は慌てて浮気相手の麗子にLINEを送り返すー


しかしー


「お嬢!」


ーー!?


梓紗(史和)が、ギョッとするー。


そこには、いかにもヤバそうな若い男がー。


”これが、シゲくんかー”

幼馴染だと”嘘”の説明を受けている梓紗(史和)は、

「あ、シゲくん!」

と、手を振るー。


「お嬢!緊急事態です。すぐに車へ」

”シゲくん”が言うー


「お、、お嬢?え?」

訳が分からないまま車に乗せられた梓紗(史和)-


戸惑いながら

「シゲくん…緊急事態って?」

と、首を傾げると、

”シゲくん”は答えたー。


「--先代の頭が、危篤ですー」

とー


”先代の頭”とは、梓紗の祖父のことだー


しかしー

梓紗の父親が、裏社会の組織だと知らない史和は戸惑うー。


「---え」

連れてこられた先はー

和風な屋敷だったー


”任侠”と掲げられた看板ー


「お嬢!お帰りなさいませ!」

黒服の男たちが左右に1列ずつ並んで頭を下げるー


「---え」

梓紗(史和)は震えたー。


「----梓紗ーーー」

着物姿の、強面の、けれども威厳を感じる梓紗の父親が出て来るー。


梓紗(史和)を無言でぎゅっと抱きしめると、

父親は、「--こっちだ」と、梓紗にとってのおじいちゃんが

いる部屋に向かって歩き出したー。


「---え…え…?」

梓紗(史和)はガクガク震えていたー


”あ、、、あ、、、あ、、、あずさ…?

 お、、お父さん…ホントに、、、すし職人なんだよな…???”


震えながら梓紗(史和)は、

父親に先導されるかたちで、そのまま屋敷の奥へと向かったー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


嘘つきカップルの入れ替わりは大変な方向に…!?


お読み下さりありがとうございました!!

続きはまた次回デス☆

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