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「---魔王デモス!」

勇者バロンは、契約精霊の騎士・ドルドスと共に、

邪念城の最上階にたどり着いていたー


途中で対峙した魔将軍ボルボロスを倒し、

勇者の剣を取り戻したバロンー。


だがー勇者の剣を前にしても、

魔王デモスは余裕の表情を浮かべていたー。


”勇者の剣には細工をしてあるのよー。

 勇者バロンは、どの道、あなたの前で死ぬー

 安心なさいー”


王国の女王ライラの言葉を思い出すー。


”女王ライラ”と”魔王デモス”は密かに結託しているー

”戦争”を程よく繰り返すことで、

民衆から適度に”搾り取る”口実に出来るからだー。

下々は苦しみ、女王ライラや魔王デモスらー

”上流階級”は私服を肥やすー。


そんな世界のために

敵であるはずの女王ライラと魔王デモスは結託していたー。


そのことを知るのは、当事者らのみー


そして、勇者の剣には、女王ライラが事前に細工をしてありー

力が暴走しー

勇者バロンは、魔王デモスの前で、死ぬのだとー、

女王ライラから聞かされていたー


「--小僧…ここまでたどり着いたことを、誉めてやろう」

魔王デモスが笑うー。

魔王デモスの周囲には”闇の霧”が広がっているー


その中には、魔王デモスの契約精霊である”ナイトメア”が潜んでいるー


ナイトメアは黒い霧のような姿をした精霊だー。


「---魔王デモスー

 平和のためー…

 俺がお前を倒す!


 行くぞ!ドルドス!」


騎士ドルドスに声を掛けると

騎士ドルドスも「遅れをとるなよ!バロン!」と叫ぶー


勇者バロンと騎士ドルドスー

魔王デモスと精霊ナイトメアー


その激突が今、始まったのだったー。


・・・・・・・・・・・・・


”ククク…闇の巫女よー

 どうやら、完全に闇に身をゆだねる決意が出来たようだな”


巫女セレナの精霊・リリに憑依した魔術師カオスが笑うー。

リリのメイド服はすっかり漆黒に染まりー

リリも邪悪な笑みを浮かべているー


「---黙りなさい。あんたはわたしのために働いていればいいの」

セレナは鋭い口調でそう呟くと

笑みを浮かべたー


「--人間って、本当に愚かー。

 みんなみんなみんな、わたしが支配してあげる…

 くっふふふふふふ」


セレナは、”精霊”の影響を受け、

完全に闇に染まり、歪んでしまっていたー。


人間は、契約した精霊の”影響”を少なからず受けるー。

互いに信頼している間柄であれば、人格に影響を

及ぼしたりすることはまずないものの、

人間と契約した精霊が互いに反発しあっていたりー

カオスに憑依されたリリのように”意図的に”契約した人間を

染めようとしたりした場合は、強い影響を与えるー


セレナはー

洗脳されたわけでも、憑依されたわけでもないもののー

完全に闇に飲まれ、歪んでしまっていたー。


「--ククク…お前はもう完全に”闇の巫女”だな」

リリが凶悪な笑みを浮かべるー


「--ふふふ…わたしは闇に選ばれたのー

 闇がわたしを選んだのよ。

 あんたは黙ってわたしに従ってなさい」


大人しく、心優しかったセレナとは思えない表情で

笑いながら、セレナはゆっくりと歩き出すー


・・・・・・・・・・・・・・


「---見えない敵の攻撃ー」

勇者バロンが激しく動き回りながら、呟くー


「--我が精霊”ナイトメア”-

 そう簡単に攻略なぞ出来ぬぞ」


魔王デモスが笑うー。


暗闇に潜む精霊・ナイトメアの、四方八方からの攻撃に苦戦する

勇者バロンと騎士ドルドスー。


その時だったー


「-----!!!」

勇者バロンの勇者の剣が光り輝くー。


魔王デモスが、エネルギー弾のようなものを大量に放出しー

それを防ぐために騎士ドルドスが、剣で魔王デモスに斬りかかるー


しかしー

精霊・ナイトメアの攻撃によって阻まれてしまうー。


「----これは」

勇者バロンは、騎士ドルドスが戦っている間に、

剣を見つめながら驚いていたー


剣が”異常な光”を発揮しているー

勇者バロンの身体に強大な負荷がかかるー。


「----クク」

魔王デモスが笑うー


女王ライラから聞いている話ではー

”勇者の剣”は暴走しー

勇者バロンを飲み込みー、

バロンは死ぬ、と聞いているー


「---茶番は終わりだー。

 ご苦労だったな。勇者バロン」

笑みを浮かべる魔王デモスー


勇者の剣の光がさらに強くなるー。


「---バロン!?」

騎士ドルドスが驚いているー。


「---ナイトメアよー。

 もう十分だー。」

魔王デモスが呟くと、デモスの精霊・ナイトメアは闇に溶け込みー

戦闘態勢を解くー。


あとは、勇者バロンの死を見届けるだけー


だがーー


「---この力…!

 剣が俺に力を貸してくれているのか?」

勇者バロンは、そう呟いたー


「--!?」

魔王デモスが驚くー


”勇者の剣の力が暴走して、勇者バロンは死ぬように細工してあるー”

女王ライラからそう説明されたー。


しかしー

勇者バロンは、強大な光の力を手にー

剣を持ちー

魔王デモスの方に向かってきているー


「--なにっ!?”話”が違うーー!

 ナイトメア!」

魔王デモスは叫んだー。

だが”一度戦闘態勢を解除”してしまった精霊・ナイトメアは間に合わずー

勇者の剣がー

魔王デモスに強大な光を叩きつけたー


「ぐおおおおおおおおおおおおおっ!!!!?」

玉座から崩れ落ちる魔王デモスー。


「--やった…!魔王を…!」

勇者バロンは、そう呟くと、

その場に膝をつくー。


勇者の剣の力が、バロンの身体に負荷を与えたー。


「--大丈夫か?」

駆け寄る精霊・ドルドスに、勇者バロンは「問題ない」と返事をするー


「--な、、なぜ…だ?」

魔王デモスが驚いているとーー

邪念城の最上階であるこの部屋にー

誰かが入って来たー


「--ククク…無様な魔王様ね…」

入って来たのはー

悪女のような服装に、悪女のような笑みを浮かべたセレナー


「--セレナ!?」

バロンが驚くー。


「---貴様…!」

魔王デモスが、セレナを睨むー

セレナには、魔王配下のカオスが憑依した精霊・リリが

宿っていて、間接的にセレナを闇堕ちさせたはずー。

それなのに、何故?


「--”勇者の剣”を一度奪った時にさらに”細工”しましたー」

セレナの身体から、黒いメイド服の精霊・リリが飛び出すー


リリに憑依しているカオスは、リリの綺麗な顔を歪めながら笑うー。


”魔王デモス”と”女王ライラ”の結託をカオスは知っていたー。

だが、カオスは魔王デモスとは違い、

”魔物が世界を支配するべき”と考えていたー。


だからー

人間の女王と結託している魔王デモスのやり方には不満があったし、

どうにか魔王を排除したいとも考えていたー


セレナが想像以上に闇に飲まれー

最高の力を発揮したことからー

魔術師カオスは、魔王デモスを葬る決意を固めたー。


「--女王ライラによって”細工”されていた勇者の剣に

 この私がさらに”細工”しましたー。

 勇者バロンが死なない程度に、力を暴走させー

 その暴走した力で、魔王デモス様ー

 あなたを倒せるようにー」


リリが笑いながら言うー


女王ライラの”細工”は、勇者の剣が圧倒的光で暴走ー、

勇者バロンを飲み込むー、というものだったー


しかし、それを、勇者から剣を奪った時に”細工”しー、

少し弱めておいたことで、

勇者バロンを飲み込むほどの暴走はせずー

結果ー、勇者バロンは魔王デモスを倒したー


「--セレナ…リリ!どういうことなんだ!?」

状況を飲み込めていない勇者バロンー


「---我がーーこの精霊リリに憑依してー」

リリから、カオスが半分だけ飛び出して、

リリとカオスが同時に同じ言葉を発するー


「--そして、精霊リリを通してー

 契約主である巫女・セレナも闇に染めたー」

リリとカオスの邪悪な笑みー


セレナは「--染められたんじゃない。

わたしが自ら望んだこと」と、

カオスの方を睨みながら呟くー


「--!!」

勇者バロンは、リリも、セレナも敵の手に落ちていたことを

ようやく確信するー。


「---ナイトメアー!」

瀕死の魔王デモスが叫ぶー


しかしー


「--うるさい魔王ね!!消えろ!!!!!!!」

セレナが光の魔王を唱えるとー

魔王デモスにそれが直撃しー

魔王デモスも精霊・ナイトメアも消滅したー


「--くくく…あははははははははははっ!」

魔王デモスが消滅した際に吹き出した闇を浴びながらー

セレナが目を赤く光らせて気持ちよさそうに笑うー


「--セレナ…!セレナ!!! 正気を取り戻せ!」

勇者バロンが叫ぶー


「--正気ぃぃ~~~~~~~~?

 わたしは正気ですよぉ~~~!

 クク、ふふふふ、


 あんたが、、リーネリーネリーネリーネうっさいから…!

 あんたが、、、あんたが…」


歯ぎしりをしながら、勇者バロンを睨むセレナー

バロンの幼馴染であるリーネへの嫉妬を口にするー


「--セレナ!!!!頼む!!!!

 君は立派で心優しい巫女のはずだ!!セレナ!」

勇者バロンが叫ぶー


セレナは冷たい目で勇者バロンを見つめたー


「立派???心優しい???

 そうやって勝手に”上から目線”で他人を評価してーー


 思いあがるのもいい加減にしろ!!!!」

セレナが乱暴な口調で叫ぶー。


「---ククク…今のセレナに何を言っても無駄だ」

メイド型の精霊・リリが笑うー。


「--り、、リリも目を覚ますんだ!」

勇者バロンは、憑依されているリリの方を見つめるー


だがー

リリは完全に乗っ取られていて、正気を取り戻す気配は、まるでないー


「----あぁぁぁぁ…わたしを受け止めてくれるのは”闇”だけー」

セレナがうっとりした目で闇を見つめるー。


「--ククク、この女はー

 真面目で大人しい故にー色々なことを我慢していたようだなー」

リリが笑うー。


「--だからこそ、闇に堕ちやすいー」

リリの言葉を無視して、セレナは勇者バロンの方に歩んでいくー。


「--セレナっ…!」

勇者バロンは”暴走した勇者の剣”を振るったことにより

満身創痍だったー。


「---死ね」

セレナが低い声で呟くー。


「--ぬおおおおおおおお!!!!!!!!」

騎士ドルドスが、セレナに突進するー。


吹き飛ばされるセレナー


「--!」

精霊・リリも一瞬驚いた表情を浮かべるー


「--邪魔すんじゃねぇぇええええええ!」

セレナが鬼のような形相で起き上がると、

強大な光と闇を混ぜた魔法を放つー


それが騎士ドルドスに直撃するー

吹き飛ばされー

ドルドスの姿が消えていくー


「--うああああああああああああああっ!」

叫ぶ勇者バロンー


セレナはバロンを殴り倒すと、

悪の女王かのように、バロンを足で踏みにじったー


「ククク…無様な勇者さまっ!

 ククク…わたしに命乞いしてごらん?


 ほら、見下していたわたしに命乞いー

 してごらんー?


 死にたくないでしょ?

 してごらんなさいー


 ほら、

 命乞いしろよ!」


セレナが叫ぶー


勇者バロンは、そんなセレナの方を悲しそうに見つめるー


「--そんな目でわたしを見るな!」

セレナが勇者バロンを思いきり踏みつけるー


悲鳴を上げるバロンー


そんな様子を、憑依されているリリはとても嬉しそうに見つめながらー

悪魔のような笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・


「---!」

王城では、女王ライラが目を見開いていたー。


「--魔王の気配が消えた?」

魔王デモスの死を悟る女王ライラー


ライラはすぐに、脇に控える自身の契約精霊・エンジェルの方を見て叫んだー


「--すぐに戦闘準備なさい」

とー。


「--闇が、来るー」


女王ライラは、険しい表情で、そう呟いたー


⑦へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


前回のあとがきで「次回で完結かも?」と書きましたが

今回で完結させると、駆け足モードになってしまうので、

⑦で完結にしました!


長編と週間連載以外のお話は月を跨がないように完結する!

というのは、変わりませんので、安心してくださいネ~!

次回で本当に最終回デス!


今日もありがとうございました!

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