Home Artists Posts Import Register

Content

世の中には”闇”があるー。


決して、触れてはならない”闇”がー。

人間が、手にしてはならない”力”がー。


これはー

”力”を手にしてしまった”闇”の物語ー。


凶悪犯罪者が”他人を皮にして着込む”力を手にしてしまった

ことにより、起きる数々の悲劇ー。


そして、それに立ち向かった若き警察官の物語ー。


・・・・・・・・・・・・・・


登場人物


長瀬 治夫(ながせ はるお)

若き警察官。”皮”にまつわる事件に巻き込まれていく


松永 亜香里(まつなが あかり)

治夫の彼女。現在同居中。


塚田 総司(つかだ そうじ)

先輩刑事。治夫の面倒を見ている兄貴分。


片桐 由愛(かたぎり ゆめ)

かつて治夫に助けられた女子高生。


目黒 圭吾(めぐろ けいご)

警視正。計算高い性格の持ち主で、出世欲も強い。


黒崎 陣矢(くろさき じんや)

指名手配中の凶悪犯罪者


・・・・・・・・・・・・・・

交番勤務の警察官・長瀬 治夫(ながせ はるお)は、

今日も地域の平和を守るため、パトロールをしていたー。


「---戻りました」

治夫がパトロールを終えて、勤務先の交番に戻ると、

少し年上の先輩刑事・塚田 総司(つかだ そうじ)が

「ご苦労さん」と笑みを浮かべたー。


総司は、治夫にとって”兄貴分”と言える刑事でー

人当たりがよく、先輩としてとても頼りになる存在だー。


「--おはようございます~!」

そこに、声を掛けて来る可愛らしい女子高生ー。


彼女は、この交番の近所の高校に通う高校生・

片桐 由愛(かたぎり ゆめ)-。


「--お、由愛ちゃん おはよう」

治夫がいつものように返事をすると、

由愛は嬉しそうに微笑んだー。


半年前ー

この由愛という子は、部活帰りに、

柄の悪い地元の不良連中に絡まれてしまっていたー。


その現場を偶然目撃して助けたのが、治夫ー。


それからは、由愛は、恩人でもある治夫に懐き、

毎朝、この交番に顔を出しているのだったー。


「---ふ~ん、そうなのか~

 俺もなぁ~…テストは実は数学苦手でさ~」

治夫が笑いながら、由愛と雑談をしているー


地域の住人と触れ合うのも、交番勤務の警察官の仕事の一つだー。


「--ははは、いつまで話してるんだ?長瀬」

先輩刑事の総司が笑いながら治夫に声を掛けると、

治夫は、総司の方を見て、すみません、と笑いながら、

「じゃ、由愛ちゃん、頑張って」と声を掛けるー。


「ありがとうございます。長瀬さんも、頑張ってください!」

由愛はそれだけ言うと、微笑みながら立ち去って行ったー。


「--はっは~~」

総司が笑うー。


「--お前、あの子に惚れたりするんじゃねぇぞ?」

とー。


「--はっ!?え!?いやいやいや、それは絶対ないですから」

治夫が顔を赤らめながら言うー。


治夫には、大学生の頃からの付き合いの彼女・

松永 亜香里(まつなが あかり)がいるー。

現在は同居中で、亜香里一筋の治夫は「絶対、断じて、浮気などありません」と

自信満々に言うー。


「---ははは、そんなに大事にされて、

 羨ましいなぁ、彼女さんは」


雑談する二人ー。

そんな交番の脇には

”指名手配中”の凶悪犯罪者の顔写真が貼られていたー


”黒崎 陣矢(くろさき じんや)”

連続殺人を犯した人物でー

既に、5人ほど犠牲になっているー。


逮捕は時間の問題ー…

の、はずだったのだが、警察はこの陣矢の逮捕に手を焼いていたー


先日も、目黒(めぐろ)警視正が、陣矢を逮捕するために

特殊チームを結成した、などという話があったがー

交番勤務の治夫からしてみれば、あまり関係のない話でもあったー


「--ただいま~~」

帰宅する治夫ー


「おかえりさない!」

可愛らしい女性が出迎えるー。


この女性がー

治夫の彼女の亜香里だー。


亜香里は治夫と今日の出来事を話しながら楽しそうに笑うー。


こんな、幸せな日々がずっと、続くー。

そう、思っていたー。


治夫が、中学時代の卒業写真を見つめるー。

中学時代の恩師である、泉谷(いずみや)先生ー。


この泉谷先生こそが、

治夫が警察官を目指し始めた、理由ー。


「---」

懐かしそうに、泉谷先生の写る写真を見つめると、

治夫は、「今日も疲れたし、そろそろ寝るか」と笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「--ちょっとパトロールに行ってきます」

治夫がそう呟くと、

”近寄りがたいオーラ”を出している女性刑事の

宮辺 奈々子(みやべ ななこ)が、

淡々と「分かりました」と返事をしたー


奈々子も、同じ交番に勤務する仲間の一人だがー

常に”感情”を感じさせない機械的な感じの女性で、

年上だろうと、年下だろうと、誰に対しても敬語だー。


まるで”ロボット”かのように、人間味を感じさせないー。


「---はぁ~…宮辺さんと二人の時は

 パトロールしているに限るー」


夜の街を自転車で走る治夫ー。


「--」

奈々子から逃げるー

そんな意味合いがあるのはもちろんだったがー

当然、治夫は、街の治安を守ることに熱意を燃やしていたー。


以前、女子高生の由愛を助けた時もー

こうして、夜にパトロールをしていたからだー。


夜の路地をパトロールする治夫ー


その時だったー


「----やめてください!」


「--!?」

近くの通りから、女性の声が聞こえたー。


「--へへへ…逃がすかよ」

そして、男の声ー


「--!」

治夫はすぐに自転車を道の脇に止めると、

その声がした方向へと向かうー。


路地から、悲鳴のした狭い道を見つめるとーーー


そこにはーー

男と女がいたー。


一人はー

30、40代ぐらいの綺麗な感じの女性ー


もう一人はーー


「--!!!!!!!!」


逃亡中の凶悪犯罪者ー

黒崎 陣矢ーーーー


そしてーー

信じられないことが起きたー


黒崎 陣矢が、女性の後頭部を掴むとー

女性が”真っ二つ”に引き裂かれたー


「ーー」

応援を呼ぼうとしていた治夫は、唖然とするー。


目の前で、真っ二つに女性が引き裂かれたー


いいやー

それだけではないー

引き裂かれた女性は、まるで”着ぐるみ”のようにー

ペラペラの布のような状態になってー

地面に無残に崩れ落ちたのだー


言葉を失う治夫ー

すぐに飛び出そうとするもー


”さらに”

異常事態が起きたー


黒崎 陣矢がー

”皮”のようになった女性を掴みーー

そしてー

”着た”のだー。


「--ククク…」

女が、笑うー


黒崎 陣矢に”着られた”女が、笑うー


「---…!」

「---!!」


治夫と女の目が合うー。


「-----!」

女が驚いたような表情を浮かべているー


「ーー今、悲鳴が聞こえたものでー…

 何か、ありましたか?」

治夫は、戸惑いながら、そう尋ねるー。


今の光景はー?

黒崎陣矢がこの女性を”引き裂いて”

まるで、着ぐるみのように”着た”ように見えたー


いやー

だがしかしー

そんなこと、できるはずが、ないー


「---悲鳴?ふふ、聞き間違いじゃないですか?

 わたし、何も聞こえませんでしたよ?」

女が馬鹿にしたように笑うー


「--そ、、そうですか…」

治夫は混乱していたー

今のはーー、なんだー?


ふと、女の目に涙が浮かんでいることに気づく治夫ー。


「---」

治夫は、不審に思い、食い下がるー


「今、男があなたと一緒にいませんでしたか?」

とー。


「--男?ふふふ、何を言ってるんですか?

 ここには、わたし、一人ですよ」

女は、なおも馬鹿にした口調で呟いたー。


「---……」

治夫は戸惑うー。

だが、周囲を見渡しても、他に人はいないー。


”見間違え”かー?

いや、でも、確かにー


しかしー

この女性しかこの場におらずー

この女性自身も、何もないと言っている以上ー

何も、できないー


治夫は、夜間パトロールの一環として、

念のためその女性に職務質問を行い、

所持品などを軽く確認させてもらったが、異常はなかったー


「--失礼いたしました。お気をつけてお帰り下さい」

治夫は、そう頭を下げるがー

”さっきの光景は???”と何度も何度も頭の中で

自問自答していたー


「---ククク…」

立ち去る女は、凶悪な笑みを浮かべていたー


「---わたし、乗っ取られちゃいましたぁ~♡

 なんてな…」

女はペロリと唇を舐めると、そのまま立ち去って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・


翌朝ー


「---…あ、、、おはようございますー」


かつて助けた女子高生・由愛が今日も

交番の前を通りがかるー


だがー

今日の由愛は、なんだか元気がなかったー


「--お、由愛ちゃん どうしたんだ、今日は?」

治夫がいつものように声を掛けると、

由愛は「いえ……ちょっと、今朝”お母さん”の様子がおかしくて」と

苦笑いしたー


「-様子がおかしい?」

治夫が首を傾げると、

「あ、いえ、大したことじゃないんですけど…

 なんか、、こう、、わたしを妙に触ってきてー」と、

恥ずかしそうに由愛が答えたー。


「--ははは、そっかー。

 ま、何かあったら、話ぐらいはいつでも聞くよ」

治夫が、そう笑みを浮かべると、由愛も笑みを浮かべて

そのまま学校に向かったー。


「---何かあったのか?」

交番の奥にいた先輩の総司が声を掛けて来るー


「あぁ、いえ、特に問題はないみたいです」

治夫はそれだけ言うと、

”昨日の夜”見た光景について、総司に相談しようか迷ったー。


だがーー

”暗がり”だったし、見間違えかもしれないー。


黒崎陣矢が女性を着ぐるみのようにして着込んだー

そんな風に見えたーー


がーー

絶対にそんなこと、ありえないー


と、治夫は、昨日見た出来事を”何かの見間違い”と

自分の中で無理やり納得させてしまったー


だがー

それはーー

”間違い”だったー


・・・・・・・・・・・・・・・


夜ー


「---ふふふふっ…ふふふふふふふ」

女が、笑いながら、男を包丁で刺しているー。


自宅の庭先でーー

女が血のついた包丁をペロリと舐めるー


「--へへへ…”殺し”はやめられねぇ…

 ゾクゾクする…」


女は、夫を包丁で刺して、

ゾクゾクしながら顔を赤らめていたー。


ピキッー


女の後頭部が割れるようにしてー

中から凶悪犯・黒崎 陣矢の顔が出て来るー


「--人を皮にして着る力…たまんねぇぜ」

陣矢がそう呟くとーー

背後で物音がしたーー


「--お、、、おかあ…さん…?」

震えているのはー

陣矢に乗っ取られた女の娘ーーー


警察官・治夫に助けられたことのある女子高生・由愛ー。


「---見・た・な?」


昨夜ー

乗っ取られたのは、由愛の母親である・藤江(ふじえ)だったー。


「ーーーーー」

血のついた包丁を手に、藤江が、由愛の方を見つめるー


由愛が血まみれで倒れている父親に気づいて叫ぶー


「お、、お父さん!?」

目に涙を浮かべながら由愛が後ずさるー。


「--へへへへへっ…

 ”決めた”-


 俺はー

 しばらく”お前を着る”ぜー」


ペロリと唇を舐めると、藤江の身体がぱっくりと割れてー

まるで”脱皮”するかのように藤江を脱いだ陣矢はー

怯える由愛の頭を掴んでー

邪悪な笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「----きゃああああああああっ!」


偶然ー

由愛の家の近くをパトロールしていた治夫が、悲鳴に気づくー


治夫が何事かと、駆け付けるとー

そこにはー

血まみれの藤江の姿があったー


悲鳴を上げたのは、それを見た近所の住人ー。


「---あ、、、あ、、、あ、、」

藤江についている血はー

”乗っ取られていた藤江”が、夫を刺した時の返り血ー


「--な、、何があったんですか?!」

治夫が慌てて藤江に駆け寄るー


藤江はパニックになっていて、何を言っているか分からないー。


「---」

ただちに応援を呼び、治夫は、周囲の人から

”藤江が夫を自宅の庭で刺した”ということを聞かされるー。


「---!!!」

治夫は、そのまま藤江の家の方に向かうー


庭では、既に死亡している藤江の夫が倒れているー。


そしてーーー


「-----!!!」

自宅の中でーー

不気味な笑みを浮かべながら座り込んでいる女子高生を見つけてー

治夫は驚いたー


「--由愛…ちゃん…?」

治夫は、この家が、由愛の家だとは知らなかったー


毎朝交番で挨拶していたもののー

由愛の家には来たことがなかったし、

以前助けた際も、その場でやり取りしただけで、

由愛の両親のことも知らないー


だからこそー

”死亡した夫”と”夫を刺した妻”が

由愛の両親だと知って驚いたのだー


「--由愛ちゃん!…」

治夫は、由愛が、父親が母親に殺されたことに

動揺していると考えて、由愛を安心させようと言葉を掛けるー


治夫からの無線連絡で駆け付けた警官が、

放心状態の母親・藤江を逮捕して、そのまま連行していくー


「-----ありがとうございます。わたしは大丈夫ー」

由愛が静かに呟くー


「---由愛ちゃんー」

治夫は、由愛の方を見て、不安そうな表情を浮かべるー


駆け付けた警察官から声を掛けられて

由愛に背を向ける治夫ー


治夫が状況を説明するー


そんな治夫の背中を見つめながら、由愛は邪悪な笑みを浮かべたー


「---ククク…可愛い女子高生の身体、げーーーっと♡」

由愛は小声でそう呟くと、舌を出して唇をペロリと舐めたー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


今日から長編第4弾「皮モノ」がスタートします~!


今回はゾクゾク要素たっぷりのお話になると思いますので、

ぜひお楽しみくださいネ~!


第1話は、主要人物の顔見せと、凶悪犯との対峙…!

早速、主人公がかつて助けた女子高生が着られて

しまいましたネ~…!


続きはまた次回のお楽しみデス!


今日もありがとうございました!!

Files

Comments

No comments found for this post.