<憑依>おばあちゃん わたしだよ②~金を狙う孫娘~ (Pixiv Fanbox)
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「くくく…」
紗智が不気味な笑みを浮かべるー
いつも通りの”穏やかな”雰囲気の服装で、
紗智は、昨日に引き続き、祖母・富江の家にやってきていたー
インターホンを鳴らすー
祖母の富江は足腰が弱く、なかなか出てこないー
腕を組んでイライラした様子で
「おっせぇなクソババアが…」
と、呟く紗智ー。
紗智本人はー
”大好きなおばあちゃん”に対して
このようなことは絶対に思わないー。
祖母・富江のことを心から大切にしているからだー。
しかしー
今の紗智はー
詐欺グループの男・倉林に憑依されて
身も心も完全に乗っ取られてしまっていた。
「---」
イライラしながら、綺麗な生足を晒したミニスカート姿で
脚をトントンさせる紗智ー
そんな風にイライラしていると、
ようやく祖母の富江が出てきたー。
「---あら~!紗智!」
「--あ、おばあちゃん!わたしだよ~!」
紗智は笑顔を作って、手を振るー
「---二日連続で来てくれるなんて、嬉しいわ~」
富江が笑いながら、紗智を家の中に招き入れるー
可愛い可愛い孫娘はー
悪魔のような男たちに乗っ取られているとも知らずにー。
「-ーーそういえば、さっき、大学から電話があったんだけど、
紗智、学費を滞納してるんだって?」
祖母・富江が心配そうに言うー
「---うん…」
紗智は、悲しそうに呟くー
「--バイト先も色々苦しくて、急にシフト減らされちゃったりして」
紗智が言葉を続けるー
紗智はー
大学の学費を滞納などしていないー。
バイト先のシフトも減らされていないー。
だがー、
”手筈通り”
紗智に憑依している倉林の仲間であり、リーダー格の本郷が、
大学の職員を装い、紗智の祖母の富江に、
学費の滞納について、連絡したのだー。
富江は、”その電話”だけでお金を振り込むほど
愚かではなかったし、
”確認してみます”と言って、電話を切ったー。
だがー
こうして今、紗智本人がやってきていることで、
”本当に学費を滞納してしまっているんだ…”と、
祖母の富江は思ってしまうー。
「ーーあ、でも、大丈夫…大丈夫だよ、おばあちゃん!
わたし、なんとかするから」
紗智が言うと、
祖母の富江は「そんなこと言わないの」と
笑顔で紗智の肩を叩いたー。
富江が部屋の奥の方に向かっていくー。
厳重にしまわれていた箱を取り出す富江ー
「くくく…ババア…早く金を出しな」
富江の後ろ姿を見ながら、紗智は小声で呟くー
「--実の可愛い孫が、大好きな祖母を騙して
金を巻き上げるなんてー
最高だぜ」
紗智の身体が、倉林の意のままに興奮しているのを感じてー
紗智に憑依している倉林は、さらに興奮してしまうー。
「--ほら、紗智…」
富江が、封筒に入った大金を紗智に渡すー。
「---そ、そんな、おばあちゃん!いいってば!」
そう言いながらも、現金の枚数を数えだす紗智ー。
指をペロリと舐めて、
札束を数えるー
”へへ…”
紗智に憑依している倉林が笑うー。
だがー
「--これじゃ、足りないかも」
紗智が不安そうに言うー。
”このババアの金は、こんなもんじゃねぇ。
残りは銀行か?”
紗智が、祖母の富江に現金を催促するー。
富江は、”紗智が父親や母親には学費のことを言いづらいのだろう”と
思い、可愛い孫のために、と紗智の両親に学費のことは確認せずに、
今、こうして紗智にお金を渡しているー
”紗智の祖母が、紗智の両親に確認の電話をしたりはしない”
事前調査で、本郷や倉林たち詐欺グループは
そう”確信”していた。
「---ごめんねぇ、紗智…今、家にあるのはこれだけなの」
富江が苦笑いしながら言うー
「--(いいから出せよ)」
紗智は内心でそう思いながら、
「おばあちゃんさぁ…銀行にお金、入ってたよね?」
と、富江の方を見つめるー
「え……」
富江の表情に戸惑いの色が浮かんだー。
「-ーーおばあちゃん、通帳貸して。
わたしが、お金下ろしてくるから」
紗智が、祖母の富江に通帳を要求するー
だがー
富江は戸惑っていたー。
「---そ、、それは…
ごめんね…紗智」
”おかしい”ー
そんな、疑いの色が富江の顔に浮かんだー。
これまで、数々の老人から、金を奪い取って来た詐欺グループ。
憑依で、実の孫や孫娘を乗っ取れば
簡単なことだったー。
それにー
ターゲットの高齢者がある程度、ボケていて、
判断能力が衰えているケースも多くー
スムーズにお金を奪うことが出来ていた。
しかしー
富江は年齢の割にしっかりとしておりー
紗智がいつも”おばあちゃん気を付けて”と、
一人暮らしのおばあちゃんのことを心配し、
いつも、詐欺について注意喚起をしていたために、
富江の警戒心は人一倍強かったのだー。
「---…わたしのために、おねがいっ!」
紗智が両手を合わせて、お願いポーズを作るー
「---…紗智…今日、、なんだか、変じゃない…?」
富江の表情が一気に不安そうな表情に変わるー。
「へ、変?わたしが!?
何言ってるの~?
ほら、どこからどうみても、わたし、
おばあちゃんの可愛い可愛い孫の紗智だよ!」
紗智が両手を広げながら笑うー。
「---…でも…」
富江は戸惑っているー
目の前にいる”紗智”に違和感を感じているー。
そして、紗智からいつも”詐欺”に注意するように言われていたため
”お金”を欲しがる紗智の行動に強い違和感を覚えていたー。
「---でも、じゃないでしょ」
少しだけ苛立ちを見せる紗智。
「---ほら、可愛い孫のために、お金、出して。
通帳、どこ?」
紗智がキョロキョロしながら言うー。
「--ごめん、紗智…ちょっと、、」
富江はそう言うと、紗智が以前、富江にプレゼントした
スマホを手に、紗智に連絡を入れたー。
”目の前にいる紗智が偽物なのではないか”
そう、疑っているのだろうー。
紗智は笑みを浮かべるー
”ククク…”身体”は本物だから、無駄だぜ?クソババア”
「---」
紗智は、自分の鞄から、鳴り響くスマホを取り出して笑うー。
「--わたし、本物だよ?
おばあちゃんもしかして、疑ってるの?」
顔は笑っているー
だが、紗智は顔をヒクヒクさせていたー。
怒りを必死に隠しているー
「---……紗智…
月々の学費なら、毎月、足りないときは助けてあげるから…
まずはそれで、何か月かはー」
「---いいから、お金ちょうだい!さっさとして!」
紗智が、うんざりした様子で声を荒げたー
「さ、、紗智…?」
戸惑う富江ー
明らかにいつもの紗智と違うと気づくー
「--通帳。早く出して」
紗智が、イライラしながら富江に対して手を伸ばすー
”ここまで頑固なババアは初めてだ”と
紗智に憑依している倉林は戸惑いながら、
富江の方を見るー
富江は、首を振りながらー
「あなた…紗智じゃない…!」
と、後ずさるー。
「--はぁ?どこからどうみてもわたしは紗智よ!
おばあちゃんの可愛い可愛い孫の紗智よ!」
紗智がそう言いながら、壁際に後ずさっていく富江を
追い詰めるー
「--通帳。出して。 ほら、、早く!」
紗智が声を荒げるー
富江が泣きそうになりながら
首を横に振るー
「--通帳出せって言ってるんだよ!このクソババア!」
紗智が鬼のような形相で叫んだー
「ひっ…」
富江が思わず尻餅をついてしまうー。
「--ふぅぅぅぅぅぅ~~~~」
”つい”素を出してしまったー
そんな風に思いながら、
紗智は無理やり笑顔を作るー
「--通帳、ちょうだい?おばあちゃん」
紗智の笑顔に、富江は「あ、、あなた、、誰!?」と叫ぶー
”勘のいいババアだ…”
紗智は面倒臭そうに舌打ちすると、
「--おばあちゃんの大事な大事な孫の紗智だよ!」
と、笑みを浮かべたー
「違う…!違う…!」
祖母の富江は、弱弱しく呟いているー
「---~~~~」
イライラした様子で髪をぐしゃぐしゃかきむしる紗智ー
「--どこが違うっての?」
紗智は舌打ちをしながら、富江を睨むー
「---……」
富江が泣きながら首を振っているー
弱弱しい老人のくせにー
と、紗智は思いながら富江の部屋を荒らし始めるー
「--やめて!」
富江が泣き叫ぶー。
「--通帳どこ?」
紗智が呟くー
「--やめてよ!」
”おばあちゃんを泣かせているー”
紗智本人がもしも今の光景を知ったら、
全力で止めに入るだろうー
だが、今の紗智は倉林に完全に乗っ取られていてー
身も心も完全に倉林の意のままー
大好きなおばあちゃんを自分が泣かせていようと、
何も関係はないー。
「-----どこなんだよ!」
紗智が、富江の方を見て怒鳴り声をあげるー。
「---…」
富江が首を振るー
”紗智と約束したから”
とー
”世の中には悪い人がいっぱいいるから、騙されないで”
と、紗智はいつも、おばあちゃんに
詐欺事件などが起きるたびに優しく注意していたー
そんな「孫」の言葉を
富江は、一生懸命守ろうとしているー。
「---わたしが紗智だって言ってんだろうが!」
紗智が怒りの形相で叫ぶー。
「---さ、、紗智だけど…紗智じゃない…!」
富江が泣きながら叫ぶー。
妙に勘の良いババアだー
と、紗智は怒り狂いながら、部屋を乱暴に探し回るー
”こうなったら実力コースだ”
紗智が髪を乱しながら、何度も何度も舌打ちして、
おばあちゃんの部屋を荒らしていくー。
倉林ら詐欺グループは、以前も”失敗”したことは
何度かあったー。
だが、そんな場合は”実力コース”で現金を奪い取るー。
今ー
倉林は、紗智の身体に憑依しているー
つまり、この状況であれば、罪を犯すのは紗智なのだー。
法律上、倉林ではなく、紗智が犯人になるのだー。
「---やめて!!!」
富江が泣きながら紗智を止めようとするー
「-邪魔すんじゃねぇ!ババア!」
紗智が鬼のような形相で叫んで、
富江を突き飛ばすー。
「-----」
富江が床に倒れて、涙を流すー
「--------!」
紗智は、そんな富江の姿を見て、
突然、激しい頭痛のようなものを覚えたー
”--!?!?”
紗智に憑依している倉林が、初めての感覚に驚くー
「---に、、、に、、、、」
”---!?
この女の意識ー!?”
倉林は戸惑ったー
今までにこんなことは一度もなかったー
だがー
「---おばあ…ちゃん……逃げて…」
紗智の口が、倉林の意識とは関係なく、動くー
「--さ、、紗智…?」
富江が泣きながら紗智の方を見るー
”大好きなおばあちゃん”の涙を見て、
紗智自身の意識が、わずかに戻ったー
「--逃げ……て… 逃げ…
うあああああああああああああああああああっ!
うるせえええええええええええええええええ!」
鬼のような形相で叫び出す紗智ー
「--黙ってろ!このクソ女!」
”紗智へのお仕置き”と言わんばかりに
壁に頭を自ら叩きつけると、
頬から軽く血を流しながら、
紗智は、富江を乱暴につかむー
「--早く出せよ通帳。 な?
可愛い孫がお願いしてんだよ。
な?おい?」
紗智が低い声で富江を睨むー
だが、富江は通帳を出そうとはしなかったー
「---あなたは、、あなたは、、紗智じゃない!
紗智を返して!」
とー。
「バ、、、ババア~~~~~~!」
紗智がギリギリと唇を噛みながら、怒りの形相で
富江を睨みつけるー
あたふたしながら、スマホを手にする富江ー
警察を呼ぼうとしているー
「--お~っと、待ちな!」
紗智が、そんな富江を見ながら叫んだー。
「---…おばあちゃんに理解できるかは分からないけどー
”身体”は、大事な大事な紗智ちゃんの身体だからーー
警察を呼んだらー
大事なわたしが逮捕されちゃうよ~?
ふふ、、、ふふふふ、
ほら、大人しく通帳だせよ?な?」
紗智の言葉に、富江は震えながらスマホを手から落としー
紗智の方を見つめたー
③へ続く
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コメント
発覚した憑依…!
果たして、おばあちゃんと孫の絆の行方は…?
続きはまた次回デス~!
今日もありがとうございました!!