<入れ替わり>揺れるトライアングル①~発端~ (Pixiv Fanbox)
Content
大粒の雪が空から舞い落ちるー。
2月の雪の日ー。
男子高校生の森本 純也(もりもと じゅんや)は、
寂しそうな表情でスマホの写真を見つめるー。
ライトアップされた遊園地ー。
観覧車が、色とりどりの光を放つ中ー、
彼は、一人、寂しげにー
その光を見つめていたー
幻想的な光が、美しく、そして、虚しく光輝くー。
「--------」
純也が顔をあげると、そこには”大切な人”がいたー。
もう、戻れないー
あの時にはー。
それでもー
純也が、悲しそうに、相手に向かって微笑むー。
そして、”大切な写真”を見つめるー。
純也と、純也にくっつく可愛らしい少女とー
二人を見守る男子生徒ー。
三人はー
いつも仲良しだったー
小さいころから、ずっとー
三人、一緒だったー。
「----ーー」
純也がスマホをしまうと、
少しだけ驚いた様子で相手を見つめたー
三人の絆は、もう戻らないー
三人の絆ー
決して切れないはずだった、絆が壊れていくー。
「----…---
ーー光が、寂しく、光輝くー。
もう戻れない、あの幸せな日々を照らすかのようにー
どうしてー
どうして、こんなことになってしまったのだろうー。
この1か月間ー
揺れ動く三人の絆にー
”答え”が出されようとしていたー。
「---」
純也が、静かに口を開いたー
光輝く、遊園地の中でー。
・・・・・・・・・・・・・・
「---あけおめあけおめ!」
3学期の初日ー
男子生徒の風間 英司(かざま えいじ)は
教室に入って来るなり、
親友である純也の肩を叩きながら、新年の挨拶を口にしたー
「ーー今年もよろしく!」
純也と英司がいつものように、仲良く挨拶を交わすと
それを見ていた純也の彼女・白崎 穂乃香(しろさき ほのか)が、
微笑ましそうに「二人って本当に仲良しだよね~」と、笑うー。
「ーーはは、ま、小さいころからずっと一緒だしな」
英司が笑いながら言う。
純也・英司・穂乃香は小さいころからの付き合いだー
小学時代から、中学、高校に至るまで、
全て同じ学校で、今では固い絆で結ばれているー
高校に入学してから、純也と穂乃香は”幼馴染”の枠を超えー、
彼氏と彼女の関係になった。
その時も、嫉妬一つせず、英司は、純也と穂乃香を祝福してくれたー。
付き合いを始めてから既に1年ー。
英司は、今も変わらず、純也の親友であり、穂乃香の親友であり続けているー。
もちろん、穂乃香と浮気をするようなこともなければ、
本当に頼れる心からの親友と言える存在だー。
「--お、そうだ!そういえば、例の写真」
英司が笑いながらスマホを取り出したー。
「お~!クリスマスの時のやつじゃん」
純也が言うと、
穂乃香も「あ~!よく撮れてる~!」と微笑ましそうに笑ったー。
純也・英司・穂乃香の3人が笑顔で写る写真ー
純也と穂乃香が仲良さそうに、身体を密着させて、
英司がそれを微笑ましそうに見守っている写真だー。
「--記念にお前らにも送っとくぜ?」
英司が言うー。
「うんうん!もらうもらう!」
穂乃香が写真を見つめながら言うー。
純也・穂乃香・英司の絆はー
決して壊れない、固い結束で結ばれているーーー
はずだったー。
3学期が始まって1週間が経過したある日ー。
”それ”は起きたー。
「--相変わらず仲良しなの?純也くんとは?」
穂乃香の姉・千里(ちさと)が微笑みながら尋ねる。
穂乃香の姉である千里は、現在大学に通っているー。
いかにも”お姉さん”という感じの女子大生だー。
「--うん!もちろん!いってきます!」
穂乃香が家から飛び出すー
この日ーーー
”信じられない出来事”が起きるなどとは、夢にも思わずにー。
「--あ、雪…!」
穂乃香が空を見上げながら学校に向かうー。
”雪が降って来たよ~!さむ~い!”
穂乃香からのLINEを見てほほ笑む純也ー
”風邪引くなよ~!”
”そっちこそ~!”
いつものように、やり取りを繰り返す純也ー。
純也はこの日、少し早めに学校に来ていたー。
「----」
と、いうのも、生徒会の話し合いがあるからだー。
純也は、生徒会の副会長ー
この学校では、月に一度生徒会の話し合いが存在しているー。
それに、出席しているのだー。
「-----」
生徒会会長の久保田 洋平(くぼた ようへい)が、
何やら概要を説明しているー。
会長の久保田も同じ、2年生の生徒ー。
1月に入り、既に3年生は登校日も減りつつあり、
事実上、2年生が、学校の最上級生のような、そんな状態-。
「----」
純也の隣に座っている眼鏡の少女が、純也のほうをチラッと見つめるー。
1年生の生徒会書記・神谷 雫(かみや しずく)-。
生徒会の話し合いが進む中ー
”それ”は起きようとしていたー。
洋平が、チラリと時計を見つめるー。
雫が、純也のほうを見つめるー。
同時刻ー。
朝に図書室に足を運び、その帰りに偶然鉢合わせした穂乃香と、
二人の共通の友人・英司が話しながら階段を下っていたー
「--でもさぁ、ホント、穂乃香ちゃんと純也は仲良しだよな~!
イチャラブカップルって感じで」
英司が笑いながら言うとー
穂乃香は恥ずかしそうに
「そ、そんなにイチャイチャしてないでしょ!?」と笑うー。
「はははっ!第3者から見ると、結構イチャイチャしてるように見えるんだぜ~」
「そうかなぁ…」
何気ない会話を交わす二人ー
ーー!!
「おっと!?!?」
その時ー
英司がバランスを崩しー
前を歩いていた穂乃香にぶつかりー
そのまま二人は、階段から転がり落ちてしまったー
・・・・・・・・・・・・・・
そんなことが起きているとも知らず
生徒会室で話し合いが続いているー。
「--1月は、2年生のスキー教室もあるので、
スキー教室についてはまた、生徒会からもプリントをーー」
生徒会長の洋平はそこまで話すと、言葉を止めた。
生徒会室の外が騒がしい。
「-?」
なんだ?と思いながら純也が外のほうを見るー。
”階段から落っこちたってよ!”
”大丈夫か、あの二人ー”
”女子のほうは血を流してたよな”
”ーやばくね?”
そんな声が生徒会室の外から聞こえた。
「--何かあったんでしょうか?」
後輩の雫が呟くー。
純也が廊下に出て、
「何かあったのか?」と廊下でざわついていた生徒の一人に聞くとー
「--あ、森本!」
と、その生徒は純也のほうを見たー
「---お前の彼女、階段から落っこちて保健室に運ばれたぞ」
その言葉に、純也は青ざめた表情で、
保健室へと駆け込んだー。
”女子のほうは血を流してたよな”
”ーやばくね?”
その言葉が、頭の中に響き渡るー
「--穂乃香!!!!」
慌てて保健室に飛び込むとー
「--ちょ!?いきなり大声出さないでよ」
と、保健室の先生・由美(ゆみ)が、驚いた表情を浮かべたー
「あ、すみません」
純也が頭を下げて「穂乃香が、、あ、いえ、白崎さんが
階段から落ちたって聞いて」と、心配そうに言うと、
「あはっ!だいじょうぶだいじょうぶ!」と、
保健室の先生・由美は笑ったー。
一つのベットのほうを指さす由美ー。
由美は、保健室の先生で、とても優しいのだが、
なんだか軽い性格で、ちょっとギャルっぽい感じが見受けられるー
過去を語らないが、”絶対元ギャルだろ”と男子を中心に
噂されているほどだー。
「---」
由美が指さしたベットのほうを見つめるとー
そこには、額の端の方に小さな絆創膏を貼り付けた穂乃香と、
穂乃香の横で「あっ!」と声を出している英司がいたー。
「--穂乃香!」
純也が言うと、
穂乃香が少し引きつった笑みを浮かべたー。
「--純也…」
英司が複雑そうな表情を浮かべるー
「--何があったんだよ?」
純也が二人に近づいていき、ベットに座っている穂乃香のほうを見つめるとー
穂乃香が「……俺と穂乃香ちゃんで階段から落ちちゃってさ…」と呟いたー
「え?」
純也は、首を傾げたー
「----ん?」
穂乃香が純也のほうを見るー
由美先生も不思議そうに、三人のほうを見ているー
「あ、いや、うん。わたしと……その、風間くんで、一緒に
階段から落ちちゃって」
と、穂乃香が少し顔を赤らめながら呟いたー
「そ、、そうなの…」
英司が顔を赤らめながら目を逸らすー
「ん????ん???…と、とにかく無事でよかった」
純也はそう言いながらも、二人がよそよそしいー
というか、何か違和感のある振る舞いなことに気づき、
戸惑うー。
「----な、何かあったのか?」
穂乃香の「血が出てる」というのが
ほんのちょっとのかすり傷っぽいことに安心しながらもー
二人の態度に違和感を隠せない純也ー
「--どこか痛いところがあったら言うのよ~?
隠しちゃだめ!」
由美先生が声をかけるー
「あ、、あぁ、いえ、そういうことじゃないんです」
穂乃香が苦笑いしながら言うー
さっきから、顔が少し赤い気がするー
隣に立っている英司も、余所余所しいー
「あ、そだ!わたし、ちょっと用事があるから、
教室に戻るんだったら、適当に戻ってね!
ばいばい!」
由美先生が、保健室から外に出ていくー。
純也は「あ、はい」と返事をしながら、
由美先生が出ていくのを見つめているとー
「純也…」
と、穂乃香が口を開いたー。
「---…」
英司が、保健室を見渡すー。
保健室には3人しかいないー。
英司がそれを確認すると、穂乃香と目を合わせて、頷いたー。
「--あのさ…」
穂乃香が純也のほうを見て口を開くー
「-ーーー」
純也は穂乃香のほうを不安そうに見つめながら
穂乃香の言葉の続きを待つー
穂乃香は少しだけ迷ったあとに、
驚きの言葉を口にしたー。
「---俺が英司で…隣にいるのが穂乃香ちゃん…って言ったら…
信じてくれるか?」
とー。
「----ーん?」
純也は思わず間抜けな声を出してしまうー。
「---ど、どういうこと?」
純也が聞き返すとー
穂乃香が綺麗な黒髪をボリボリと掻きむしってから、
ひと思いに、言葉を口にしたー
「--俺と、穂乃香ちゃん…
階段から転がり落ちた時に、”入れ替わっちゃった”んだよ!」
とー、
穂乃香が、そう、口にしたー。
「--え…」
純也が唖然とするー
「----は、、はは、、ははははははははははっ!」
唖然としていた純也が笑いだすー。
「-どうせ英司が考えたんだろ~?
アニメじゃあるまいし、階段から落ちて入れ替わるなんて
現実じゃ起きるわけーー」
「--起きたの!」
英司が叫ぶー
目に涙を浮かべながらー
ベットに座る穂乃香が、辛そうな表情でうつむいているー。
「---え……」
純也は二人の反応を見てー
”これはドッキリではない”と悟るー
「え……も、、、もしかして…本当に…?」
戸惑いながら二人を見る純也ー
「--そ、、そうだよ…俺が…穂乃香ちゃんで…
穂乃香ちゃんが俺になっちゃったんだよ」
と、穂乃香(英司)がそう呟いたー
「--わ、、わたしたち…どうすれば…」
英司(穂乃香)が、英司とは思えないようなしぐさで、
純也の手を握るー。
「--ちょ、、ちょ、、落ち着けって!」
純也はそう言うと、
二人が階段から転落するまでの話を確認したー。
二人の話を聞き終えると、純也は頷くー。
「--ーーーわかった…」
純也は頷くと、
”信じてくれるの…?”と不安そうにしている英司(穂乃香)に対して、
「--もちろん」と、頷いた。
穂乃香(英司)は
「ーーお前が来るまで、穂乃香ちゃんとも少し話し合ったんだけどさ、
とりあえず、元に戻れるまで…
お互いとして過ごすしかねぇかなって…
俺が穂乃香ちゃんとして、穂乃香ちゃんが俺として…」
と、呟くー。
純也は「でも」と反論しようとしたが、
英司(穂乃香)が「わたしたち、入れ替わっちゃったの…なんて
言っても、ほとんどの人は信じてくれないと思うし」と、不安そうにつぶやいたー。
純也も色々考えて「確かにそうだな…」と頷くー。
そうこうしているうちに、
保健室の先生・由美が戻ってきて、
穂乃香(英司)が、何度か咳払いをすると
「あ、、あの、わたし、もう大丈夫そうなので」と、
由美先生に伝えたー。
「--あら、そう?お大事に~~」
保健室から出る三人ー。
「---…」
不安そうにしている穂乃香(英司)と英司(穂乃香)を見つめて、
純也は優しく微笑んだー
「-大丈夫。すぐ、元に戻れるからさ!な!」
純也が穂乃香(英司)に向かって言うー。
「---あぁ…だよな」
穂乃香(英司)が少しだけ微笑むー
その様子をちょっぴり複雑そうに見つめる英司(穂乃香)-
この時はまだー
”三人の絆”に大きな影響をもたらすなんて、
夢にも思っていなかったー
絆が、歪むなんてー
夢にもー
思っていなかったー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
今日は冒頭部分でした!
次回から入れ替わり三角関係MAX(?)なのですが、
①だけでは魅力が伝わりにくそう…なので、
予告を用意しました!!↓
②予告ー
入れ替わってしまった親友と彼女ー。
穂乃香になった英司ー
身体は彼女ながら、付き合いやすいその性格に、
中身が”親友”だと分かっていながら
次第に親友(体は彼女)に”安心感”のようなものを覚えてしまう純也ー
英司になった穂乃香は、
そんな二人を見て、純也のことを信用しながらも、
嫉妬と「このまま純也が取られてしまうのではないか」
という強い不安から、積極的に英司の身体のまま
純也にアプローチを掛けていくー
けれどー
純也はどうしても”英司の身体”の穂乃香を
拒絶してしまう部分が出てきてしまってー
揺れるトライアングル②は、
近日中に執筆予定デス~!