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「--ーーーちゃんと仕事してくれませんか?」

若い女性社員が、部長に向かってうんざりした様子で呟くー


「--わ、、わ、、悪かったよ…」

髪の毛が薄くなっている中年の男性ー。

篠原部長は、冷や汗をかきながら呟くー。


「---みんな、迷惑してるんですからね

 謝ってください」


篠原部長のミスを責め立てる

女性社員ー。

入社1年目、と言われても頷いてしまうような、

そんな若さの女性社員に、

2倍は生きているであろう篠原部長は、

言い返せずに、うつむいているー。


「---」

そんな様子を見つめながら、女性社員は、

篠原部長に顔を近づけると、

耳打ちしたー


”ほら、さっさと謝れよ?な?”

脅すような口調ー


可愛い顔立ちにー

綺麗な声ー


だがー

その表情と、口調はー

まるで”中身が別人”かのように、

威圧感たっぷりだったー。


「---…さぁ」

若い女性社員が、篠原部長から離れると、

「--ここにいるわたしたち全員に謝ってください」と、

笑みを浮かべながら言ったー


「ご、、、ご、、ごめんなさい…」

篠原部長が、オフィスで土下座をするー。


若い女性社員を含む全員に、頭を下げるー。


「---ふふふ…」

若い女性社員は、そんな篠原部長の姿を見つめながらー

不気味な笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・


「いやぁ~里中さん、ホントガツン!と言ってくれるから

 すっきりするよ~!」


先輩の男性社員・黒田 浜夫(くろだ はまお)が、

笑いながら言うー


「いえ、わたしなんて全然」

里中 優愛(さとなか ゆあ)が、満面の笑みで微笑むー。


先ほど、篠原部長に対して、土下座を要求した

若い女性社員だー。


「ーーほんと~、篠原部長、酷かったからねぇ」

同じ部署のおばさん社員・山田 野々江(やまだ ののえ)が笑うー。


篠原部長はー

”パワハラ”上司だった。

典型的なパワハラを繰り返していた上司で、

篠原部長の”せい”で、退職を余儀なくされた人間も、

相応の数、存在している。


だが、最近は変わったー

今年の春入社して、まだ入社1年も経過していない里中 優愛が、

ある日、突然”切れた”のだー。


優愛も、篠原部長からパワハラを受けていた。

だが、ある日を境に、優愛は篠原部長に対して、辛辣な接し方を

するようになり、今では篠原部長は”別人”のように

弱弱しく、パワハラ上司の面影なんて、無くなってしまっていたー。


「--ガツンと言うのが、一番ですから」

優愛が微笑みながら言うー


「ホント、里中さんのおかげで働きやすくなったよ~!

 俺なんていつも、篠原部長にパワハラされるたびに

 心の中で「死ね!」って思ってたからなぁ~」


浜夫が笑いながら言う。

そして、野々江のほうを見て、

「あ、ここだけの話ですよ」と、苦笑いしながら浜夫が言うと、

野々江も「その気持ちわかるわぁ~」

と、微笑んだー。


休憩室で雑談する三人ー。

やがて、浜夫と野々江が立ち去っていくと、

優愛の表情から笑みが消えたー


「--ふ~ん…」

鋭い目つきで、浜夫らが立ち去って行った休憩室の

入口の方を見つめるー。


そして、煙草を取り出すと、

タバコを咥えながら一人、足を組んで、煙を吐き出したー。


「--お前らの言葉、ちゃんと覚えておくよ」

低い声で呟く優愛の表情はー

まるで”別人”のようだったー


・・・・・・・・・・・・・・・・


その日も、1日が流れていくー


篠原部長は、隅っこの方で、まるで存在感がなく、

黙々と仕事をこなしたり、

時々ため息をついたり、泣きそうな表情を浮かべたりしているー。


最近は、ずっとそうだ。

”鬱にでもなったんじゃないか”

そんな噂まで流れていたりー

”自業自得だろ”とあざ笑われていたりー、

今までのパワハラに対する仕返し、と言わんばかりに、

周囲の風当たりは、”物凄く”強い状態だった。


やがて、退勤の時間帯がやってきてー

浜夫がー

野々江がー

そして、他の社員たちが帰っていくー。


篠原部長が、”変わる前”は、サービス残業が

当たり前だったが、

今は、篠原部長が何も言わなくなったために

時間内での退勤が当たり前になっているー。


「----」

オフィスに残ったのは篠原部長と優愛の二人だけー。


優愛がパソコンのキーを叩いているー。

篠原部長は、そんな優愛のほうをチラチラと気にしては、

ハンカチで汗をぬぐうー。


室温はそんな下がっていないはずなのだがー

とても冷たく、居心地の悪い空気に、

篠原部長は感じていたー


やがてーー

優愛の手が止まり、キーボードを打つ音が止むー。


しばしの、静寂ー。


「-------」

優愛が、立ち上がって、篠原部長のほうに近づいてくるー


篠原部長は、

入社1年目の女子社員が相手とは思えないほどに、

何故だか怯えていたー。


そしてー

優愛が、篠原部長の前にやってくるとーー

突然、優愛がグーで篠原部長を殴りつけたー


「ひっ!?」

篠原部長が、窓際に追い詰められて悲鳴を上げるー。


「--ちゃんと”部長”やれって、言ってんだろうが?」

優愛が、恐ろしい形相と声で篠原部長を追い詰めるー。


「ひっ、、す、、すみません…

 申し訳ありません」

泣きそうになりながら言う篠原部長ー


まるでーー

”立場が逆転”しているかのようにー


「ーーー俺の言うこと聞いてないと

 ”身体”は返してあげないよ?」

優愛が、笑いながら言う。


「--お、、お願いですから、 

 わたしの身体、返してください!」

篠原部長が叫ぶー


異様な光景ー

何も知らない人間が見たら、

”一体何が起こっているのか”と

首を傾げてしまうに違いないー。


そうーーー

二人はーー

”入れ替わって”

いたのだー。


”パワハラ”を繰り返す篠原部長は、

ネットで”入れ替わり薬”というものを

手に入れたのだー。


そしてー

それを使って、入社1年目の優愛と

自分の身体を入れ替えたのだー。


「--みんな俺のこと、舐めてやがる。

 お前のせいだ」

優愛(篠原部長)が、鋭い口調で言うー


「---そ、、そんなこと…」

篠原部長(優愛)が泣きそうになりながら言うー。


横暴な態度の優愛と、

泣きそうになっている篠原部長ー。


普通じゃ、理解することもできそうにない

”異常な光景”だー。


「----お前がちゃんと、俺として振舞わねぇから、

 こういうことになるんだろうが!」

優愛(篠原部長)が怒鳴り声をあげるー

可愛い声なのに、恐怖すら感じる怒鳴り声だー。


タバコに火をつけて、それを吸い始める優愛(篠原部長)-


篠原部長(優愛)が「わたしの身体で…タバコはやめてください」と

嘆願するー


しかし、それを無視される篠原部長(優愛)-


「いいか?奴らに調子に乗らせるな。

 ちゃんとガツンと言って、舐められねぇようにするんだよ」


優愛(篠原部長)の言葉に、

篠原部長(優愛)は、泣きながら「そんなのパワハラです…」と呟くー


「--うるせぇ!!!

 パワハラパワハラ言いやがって!

 根性なしどもめ!」


優愛(篠原部長)は怒りの形相で叫んだー。


「---俺を満足させねぇと、身体は返さねぇからな?

 わかってんだろうな?」


優愛(篠原部長)は脅すような口調で言ったー。


「はい……うぅぅぅ」

篠原部長(優愛)が泣き出してしまうー


来週は遠距離の彼氏との久しぶりのデートも

あったのにー

篠原部長に身体を奪われた状態では、

会うことすらできないー


どうしてー

どうして、こんなことにー


・・・・・・・・・・・・


1か月前ー


入社半年の優愛は、

入社1年目の優愛に対しても例外なく行われる

篠原部長のパワハラに苦しめられていた。


想像を絶するパワハラぶりー。


裏で、先輩社員の浜夫や、

面倒見の良いおばさん、という感じの社員・野々江に

悩みを聞いてもらいながら、

なんとかやってきたー。


だが、ある日ー


篠原部長に呼び出された優愛はー

珍しく穏やかな笑みを浮かべた篠原部長を見て

震えていたー。


優愛が篠原部長から受けていたのは

”パワハラ”だけではないー


”セクハラ”も受けていたのだー


「俺の女になれ」

と、何度か言われていて、

そのことを彼氏にも相談していたー。


緊張の中ー

呼び出された部屋のイスに座り、お茶を口にしたところでー

優愛の意識が遠のいたー。


そして、目を覚ました時には、

優愛が篠原部長にー、

篠原部長が優愛になっていたー。


驚く篠原部長(優愛)に対して

優愛(篠原部長)は言い放ったー


「---今日からお前が、”部長”をやるんだ」

とー。


意味が分からないー

優愛はそう思った。


だが、優愛になった篠原部長は、

淡々と告げたー。


ネットで手に入れた入れ替わり薬を使って

優愛と自分の身体を入れ替えたことをー。


しばらくの間、いい子にしていて、

”俺が満足したら”身体を返してやるよ、と

笑う優愛(篠原部長)-


篠原部長になってしまった優愛は、

泣き叫びながら身体を返してほしいーと嘆願したが、

当然、優愛になった篠原部長が、それを受け入れてくれることはなかったー


それどころかー


「--お前の態度次第じゃ、この身体で夜の仕事を始めたり、

 AVに出演したり、ネット上でエッチな写真ばらまいたりして

 やってもいいんだぞ?」


と、脅されてしまいー

優愛は、篠原部長として、振舞うことを”強要”されてしまっていたのだー



「------」

1か月前のことを思い出しながら

コンビニに立ち寄る篠原部長(優愛)-。


「---」

コンビニ弁当を購入して、

寂しく一人歩くー。


そして、ボロアパートに帰って来ると、

独身の篠原部長の部屋で、

篠原部長になってしまった優愛は、泣き始めたー


身体を奪われてから1か月ー

未だに身体を返してくれる気配がないー


”お前の成長のため”

”必ず身体は返す”などと言われ続けてー

しかも、毎日のように”逆パワハラ”を受け続けているー


結果ー

周囲は篠原部長のパワハラを食い止めた入社1年目の女子社員として

”今の優愛”をほめたたえているしー、

優愛になった篠原部長も、有頂天になっているー


こんなことが、いつまで続くのかー


”部長として振舞え”

そんなこと言われたって、できるはずがないー


けれどー


”1週間以内に、あの生意気な奴らを

 黙らせなかったら、どうなるかわかってるよな?”


そう書かれたLINEを見つめながら

篠原部長(優愛)は涙を流すー


何が目的なのかー

いつ身体を返してくれるのかー


何も分からないまま身体を奪われてー

そして、篠原部長として振舞うことを強要されているー


自分の身体が”人質”に取られてしまっている

この状態ではーーー

”何も”反撃することもできないー


「わたし…どうすれば」

篠原部長(優愛)は、部屋で一人、泣き始めたー


中年の、髪の薄くなった一人暮らしの男が

部屋で泣いていても、

世間は、誰一人同情してくれないー

誰一人、助けてくれないー


・・・・・・・・・・・・・・


「--へへへへへっ」

可愛らしい部屋で、一人、テレビを見ながら笑っている優愛(篠原部長)-


ランニングシャツに、トランクスという姿で、

ブラもつけず、

枝豆とビールを口にしながら笑っているー


「--ははははははっ!使えねーやろーだな!」

テレビを見ながらひとり笑う優愛(篠原部長)ー


可愛らしい雰囲気の一見こぎれいな部屋だが、

”中身”が違うからだろうかー

部屋の一部にはゴミが散乱して、散らかってきているー


「はぁ~~~~」

テレビを見終えると優愛(篠原部長)は

アソコのあたりをボリボリと掻き始めると、

枝豆の皮をゴミ袋に入れて、ゴミ箱に放り投げたー


そしてー

鏡を見てー

鏡に映った、おじさんスタイルの優愛の姿を見てー

ひとり、興奮した表情を浮かべるのだったー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


入社1年目の女子社員と入れ替わったパワハラ上司の

目的とは…!?


今日もお読み下さりありがとうございました!!

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Comments

飛龍

ダークで好きです~! 部長は一体何を企んでいるのか…? 続きが楽しみです!

無名

コメントありがとうございます~!部長の恐怖は、まだまだこれからデス~笑★