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※「風邪でも休めないあなたに」の後日談デス! 

 本編をまだ読まれていない方は、先に本編のほうをご覧ください☆


・・・・・・・・・・・・・


サッカー部に所属する男子高校生・市原 哲真(いちはら てつま)は

重要な試合の直前に、あろうことか風邪を引いてしまった。


哲真が通う神威高校(かむいこうこう)の宿敵であり

牙王高校(がおうこうこう)との試合を絶対に休むことはできないー。


そんな中、哲真は出会ったー


”チェンジ☆アプリ”とー。


大事な仕事ー

大事な会議ー

大事な用事ー

大事な試合ー

そんな日に風邪をひいてしまったあなたのために!


そんなキャッチコピーで、宣伝されていた怪しげなアプリ。


哲真は、それを使い、彼女の

桜木 莉音(さくらぎ りおん)に頼み込み、

莉音の同意を貰ったうえで、身体を入れ替えて、

莉音の身体で、サッカー部の試合に出場したー。


結果ー

試合には負けてしまったものの、

充実した勝負に、莉音(哲真)は満足したのだったー。


だがー


”お兄ちゃん--ココアの刑だね!”


妹の心愛(ここあ)-

とても無邪気で可愛らしく、そして怖いー…

そんな妹から

”彼女と身体を入れ替えて、試合に出た”ことを

こっぴどく叱られてー


散々な目に、哲真は遭う羽目になったのだったー。


そしてー

あれから半月ー。


風邪もすっかり治り、学校で、莉音と雑談している哲真。


「--ねぇねぇ、あれってまだあるの?」

莉音がふいに、尋ねてきたー。


”チェンジ☆アプリ”のことだー。


「あ~あれね…あれさ、俺がインストールした少し後に

 配信が終了になって、跡形もなくなっちゃったんだよな~…」

哲真がそう言いながら

”削除された”ダウンロードページを莉音に見せる。


「ふ~ん、そうなんだ~…

 でも、不思議な体験だったよね~」

莉音が言うと、

哲真が「あの時は本当にありがとな!」とほほ笑んだー。


「--あ、でも…

 俺はインストール済みだったから、まだ使えるみたいだけど」と、

哲真は苦笑いしながらスマホを見せた。


莉音は笑うー。


「--ちょっと~?悪用しようとか、思ってない~?」

冗談っぽく言う莉音。


哲真は「まさか」と首を振った。


哲真に「チェンジ☆アプリ」を悪用するつもりなんてないし、

そもそもこのアプリは、

莉音と入れ替わったときもそうだったが、

”相手と入れ替わりたい”とお互いが念じない限り

効果を発揮しないようなのだ。


だからー

悪用することは、基本的にはできない。


「--それに、やっぱ自分の身体が一番だしな」

哲真がそう言うと、

莉音も「確かにわたしも、この身体が一番しっくり来るかも!」

と、微笑んだー。


チェンジ☆アプリの話はそこで終わるー。


「あ、そうだ、心愛ちゃんは元気?

 入れ替わりのとき、ずいぶん怒ってたけど」

莉音の言葉に、哲真は苦笑いした。


「心愛?相変わらずだよー

 昨日も心愛との約束忘れてたら、

 心愛アッパーカット食らっちゃってさ~!」


笑う哲真ー


莉音は”何だかんだで仲良しってことだよね?”と苦笑いしたー


・・・・・・・・・・・・・・・


「ねぇねぇお兄ちゃん~」


帰宅後ー

中学3年生の妹・心愛が声を掛けてきたー。


哲真と心愛は、基本的には仲良しで、

思春期真っただ中でも、お互いに会話が無くなるー、だとか

そういうことはないー


ただーーー

時々、心愛が、怖いー


と、哲真は感じるー


心愛は怒ると、満面の笑みのまま、

パンを握りつぶしたり、乱暴にものを扱ったりするー。


そしてー

口調に乱暴な言葉が混じったりしてー

とにかく、怖い。


「---ん?どうした?」

哲真が心愛の方を見るー


でもー

それは、怒ったときの話ー。


普段はこうして、

普通に、仲良しだー


「--お兄ちゃん、莉音お姉ちゃんと入れ替わった時の

 チェンジ☆アプリって、まだ持ってるの?」


心愛の言葉に、哲真はドキッとするー。


哲真の彼女・莉音には、心愛も懐いていて、

年上なこともあってか、「莉音お姉ちゃん」と呼び、

懐いている。


そのせいかー

”彼女と入れ替わって、彼女の身体で試合に出た”ことに

すごく怒っていてー

この世のあらゆる恐怖を内包したかのようなー

”ココアの刑”をあの日、受けることになってしまったのだったー。


あの恐怖は、半月が経過した今でも忘れないー


「----え、、えと、、消したよ…」

哲真が、戸惑いながら言うー。


「---ふ~ん、消したんだ?」

心愛が、哲真の顔を見つめながらにっこりとほほ笑むー


「う、、うん…だってほら、心愛に怒られたし」

哲真は、心愛から目を逸らすー


「お兄ちゃん~、どうしてわたしから目を逸らすの~?」

心愛がにっこりと笑っているー。


「---え……け、消したよ…ホントだって」

哲真は、今度はキョロキョロしながら答えるー


「--アプリじゃなくて、お兄ちゃんが消えちゃうよ?」

心愛が満面の笑みで言うー


「は、、はひっ!?」

哲真は、悲鳴に似た声をあげてー、

「け、、消してないです、すみませんでした…」と

心愛に謝ったー


「嘘つきは泥棒のはじまり、だぞ!」

心愛が、哲真をぺしっ!と叩くと、

哲真のほうを見て、突然、哲真の方を指さしたー。


「えっ!?今度はわたしとお兄ちゃんが入れ替わっちゃった!?」

心愛が突然、意味の分からないことを口にするー


「え?」

哲真は、思わず間抜けな声を出してしまうー


「----って、風になったら、お兄ちゃん、どうする?」

心愛が微笑むー。


「--え!??え??

 だ、、大丈夫だよ」

哲真は、笑いながらスマホを手にした。


「チェンジ☆アプリは、お互いアプリを起動したスマホを握りしめて、

 相手と入れ替わりたい、って念じないと入れ替わったりしないから」


そうー

チェンジ☆アプリは、”悪用防止”を掲げていて

健全な入れ替わりのみに使えるようにと、

色々な”制約”があったー。


お互いのスマホにチェンジ☆アプリがインストールされていることー

お互いが、アプリを起動したスマホを握りしめることー

そして、お互いが、相手と入れ替わりたい、と思うことー


これらを満たさないと入れ替われない。

つまりー

”相手の同意なく入れ替わること”は

限りなく不可能に近かったー。


「--だから、俺と心愛が入れ替わっちゃうことは、ないよ」

哲真は、そう言うと、さらに付け加えた。


「それに、チェンジ☆アプリは、あのあとすぐに配信停止に

 なったし、もう、入れ替わることはできーーーー」


哲真はそこまで言うと、言葉を止めたー

心愛が嬉しそうに、自分のスマホの画面を見せているー


「じゃーん!」

心愛が笑うー。


「--え…」

哲真は凍り付いた。


心愛のスマホに「チェンジ☆アプリ」がー。


「--お兄ちゃんが莉音お姉ちゃんと入れ替わってたのを

 知ったすぐあとに、インストールしておいたんだよ~!」

心愛が嬉しそうに言うー


「そ、、そ、そっか」

哲真は何となく嫌な予感を覚えるー。


「お兄ちゃんさ、今度はわたしと入れ替わってみようよ!」

とー。


「え……え…え~~~」

哲真は、返事に困ってしまうー。


「明日は土曜日だし、ホラ、学校も休みだしちょうどいいでしょ!」

心愛が言う。


「わたしってば、可愛いだけじゃなくて、天才っ!」

一人で嬉しそうにしている心愛。


”え、、いやいや…明日、莉音が家に遊びに来るんだけど…”

哲真はそう思いながら、

「明日は莉音が家に来るからさ…ちょっと」と、口にするー


するとー

心愛が「ふ~ん」と、にこにこしながら頷いたー


「莉音お姉ちゃんとは入れ替われるのに、

 可愛い妹とは、入れ替われねぇってこと?」


にこにこしながら言う心愛ー


心愛は怒っていると、言葉の一部だけ荒くなるー。


「ひぃっ!?」


”俺の酒は飲めねぇってのか?”のおじさんみたいな台詞言うなよ!と

思いながらー

「--で、、でも…」と哲真が戸惑うー


「大丈夫!入れ替わった状態で、莉音お姉ちゃんを出迎えて

 びっくりさせちゃお!」


心愛が、チェンジ☆アプリを既に起動したスマホを見せながらー

「えいえい、おー!」と哲真の返事を待つことなく

”強引に”入れ替わることを決定したー


「---とほほ…」

哲真は、渋々と、チェンジ☆アプリを起動してー、

そのまま心愛と入れ替わったー。


・・・・・・・・・・・・・・・


「どう?お兄ちゃん?どう?わたしの身体?」

哲真になった心愛が嬉しそうに笑っているー


「--え…え…ど、、どうって…」

心愛になった哲真は戸惑うー


”あんま変なこと言うと、怒られそうだしな…”とー


「か、、か、、かわいいなぁ…って」

心愛(哲真)が言うと、


「え~~~?それほどでもぉ~」と、

恥ずかしそうに、けれどもとても分かりやすく喜んでいたー


もじもじしている哲真(心愛)-


”って、俺の身体でそんな仕草しないでくれ!”

と、内心で叫ぶー。


そしてーー


突然、哲真(心愛)が、

心愛(哲真)を掴みーー

壁に無理やり押し付けてー

壁ドンしてきたー


「ひっ!?!?」

心愛(哲真)が思わず変な声を出してしまうー


心愛の身体の非力さとー

男との力の違いー

抵抗することができないままー

壁ドンされたことに驚いてしまうー。


「---ーちょっと、ツラ貸せよ」

哲真(心愛)が、低い声で呟くー


「ひっ!?!?えっ!?!?」

心愛(哲真)が、思わず目に涙を浮かべながら言うと、

哲真(心愛)が微笑んだー


「どう??どう???男の人っぽかった?

 どう???」


哲真(心愛)の言葉にー

心愛(哲真)は「わ、、、わぁ…すごい…」と、

放心状態になりながら拍手をしたーー


「----じゃあ、明日は、莉音お姉ちゃんドッキリ大作戦!だよ!

 頑張ろうね!」


哲真(心愛)が笑う。

心愛(哲真)は引きつった笑みを浮かべることしかできなかったー


・・・・・・・・・・・・


翌日ー


♪~~~


莉音がやってきたー


「お、来た!」

心愛(哲真)が玄関に向かおうとすると、

哲真(心愛)が「ストーップ!」と叫んだー


「--え」

心愛(哲真)の言葉に、

哲真(心愛)は言う。


「-お兄ちゃんは、今、可愛い可愛い心愛ちゃんなの!

 わたしが莉音お姉ちゃんを出迎えたら、変でしょ?」


哲真(心愛)の言葉に

「はは、、そ、、そうだな…」と呟く心愛(哲真)-


”自分のことを可愛い可愛い心愛ちゃんなんて言うかフツー?”と

突っ込みを入れながらも

「--り、、莉音に変なこと言うなよ?」

と、心愛(哲真)は釘をさすー


「だいじょうぶだいじょうぶ!

 わたし、これでもお芝居上手いんだから!」

と、哲真(心愛)はドヤ顔で笑みを浮かべたー


「--お兄ちゃん!ちゃんとわたしのフリしてよね!?

 できなかったら、

 ココアの刑だよ!」


哲真(心愛)が言うー


「ひっ!?!?は、、はい!」

心愛(哲真)が、恐ろしい「刑」を思い出して

直立不動で敬礼すると、哲真(心愛)は、

「よき心構えであるぞ」と、何故か急に殿様口調で呟きー

そのまま玄関に向かったー


”本当に大丈夫なのかよ…

心配そうに部屋から顔を出し、

廊下から吹き抜けになっていて、

ちょうど少しだけ見える玄関の方を見つめるー。


玄関の扉を開ける哲真(心愛)


莉音が「おじゃましま~す」と入って来るー。


「莉音おねえちゃ~ん!!!待ってました!」

哲真(心愛)はそう、叫んだー


「-----え?」

莉音が、哲真が”莉音お姉ちゃん~”と叫んだことに

首を傾げるー。


「あ」

哲真(心愛)が、”しまった”という表情を浮かべるー


「------」

心愛(哲真)は、一人、静かに部屋に戻り、

頭を抱えたー


”だめだこりゃ”

とー。



<後編>に続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


「風邪でも休めないあなたに」の後日談デス!


風邪はもう治ってしまいましたが(笑)

心愛ちゃんのキャラに、そこそこ反響(?)があったので、

今度は心愛ちゃんとの入れ替わりを書いてみました!


後編もあるので、ぜひ楽しみにしていてください!


今日もありがとうございました~~!

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Comments

飛龍

「これはイケメンすぎる演技でお兄ちゃんがやきもきするパターンかな」と思って読んでたら速攻でバレて爆笑しました…w 続きも楽しみです~

無名

コメントありがとうございます~☆早速バレ…ギリギリセーフかも…?次回を楽しみにしていてください~☆!!