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「僕は、必ず、詩織を助け出すー。

 大好きな詩織をー

 この世の何よりも大切な詩織をー」


祐平は、山中の光の渦にたどり着くとー


もう何回目かも忘れそうな”タイムスリップ”をしたー。


10月20日ー

詩織は、”黒い影”に憑依されるー。


そして、その黒い影=謎の男は10月19日の放課後ー

クラスメイトの瑠菜に憑依するー

その瑠菜が10月20日の昼休みに詩織を理科室に呼び出し、

そこで詩織に憑依するのだー。


そこまでは、分かったー


あとはーーー


「ねぇ~~!!!祐平!!寝てるの~???」

10月19日に戻ったー


”憑依される前の詩織”


「ーー僕、絶対に詩織を助けるからー」

祐平はほほ笑むー


「へ?」

詩織が苦笑いするー


「祐平ってば、寝ぼけてるの~?」

-と。


「--寝ぼけてなんかいないよー」

祐平は、少しだけ寂しそうに言うと、

”詩織のこの笑顔、絶対に消させはしない”

とー、決意を新たにしたー


親友の和馬といつものような雑談をしながらー

放課後を待つー


放課後、クラスメイトの瑠菜が、

前回のタイムスリップの際に、男に襲われて

憑依された場所に先にたどり着くー。


そこにはー

”男”がいたー。


「----」

祐平は、脇道に身を隠すようにしている男の背後を取り、

背後から声を掛けたー。


「あの…」

祐平が声を掛けると、瑠菜に憑依し、その後詩織に憑依する男が、振り返ったー。


「---ん?」

男が振り返るー


男は、もっと強面の男かと思ったがー

違ったー。


意外と、臆病そうなー

優しそうな顔立ちに見えるー


「---!!」

男が表情を歪めるー。


「--ここで、何をしているんですか?」

祐平が語気を強めると、

男は笑ったー。


「---別に。人と待ち合わせをしていてね」

男はとぼけたー。


「--深森、瑠菜さんをですか?」

祐平が尋ねるー


男は露骨に表情を歪めたー


「-----……」

”なんて言うか考えている”

そんな、感じだったー。


「----”破滅の未来”を防ぐためー

 その身体、貰うぞ」


 詩織への憑依は”確実”に成功させないといけないからー

 この子でテストして正解だったなぁ」


祐平は、前回のタイムスリップの際に、

この男が言っていた台詞を、そっくりそのまま呟いたー


男が表情を歪めるー


そして、少し考えるようなしぐさをしてから、

「--お前…”使った”な?」

と、祐平を睨みつけたー。


「使った?」

祐平が首を傾げるー。


「そうかそうか。つまりこれは”何回目”か

 分からないってことか…

 ……チッ、厄介だな」

男はそう呟くと、舌打ちをしたー。


”タイムスリップで何度か、10月19日からの出来事を繰り返している”と

悟られたようだー。


「----」

瑠菜が、脇道横の通りを、普通に下校していくー


”よかったー…とりあえず、深森さんへの憑依は阻止できた”


瑠菜は、そのままー

男に襲われることなくー

祐平や男に気づかず、そのまま通り過ぎるー。


「---詩織を救うために

 何度も何度もタイムスリップした…

 そうだろ?」

男は、祐平の言動から、それを読み取ったー。


「---」

祐平は答えないー。


「----クク、そうかそうか。

 お前の目を見れば良くわかるー。

 

 詩織を救うためにー

 そうだなぁ…

 ま、そうするか」


男は、そう言うと、意外にも敵意を見せずに、

脇道付近の公園を指さすと、

「あそこで話そう」と呟いた。


警戒する祐平。


だが、男は

「あそこなら、人目もある。

 お前にとっても、安心だろ?」と、呟いたー


確かに、それはそうだー。

と、祐平は、男の提案に乗り、公園のベンチに腰掛ける。


男は、ベンチには座らずー

立ったままー。


「--山中にある光の渦…

 あれを見つけて、使ったんだろ?」

男の言葉に、祐平は頷くー


「チッ…

 じゃあ俺は、何度も同じ時間を繰り返していることに気づかず、

 今、こうしてるってわけか」

と、呟いたー


そして、祐平の方を見ると、

男は呟いたー。


「---詩織を助けたいならー…

 ”俺に好きにさせろ”」


とー。


「--は???」

祐平は思わず不満そうな声を出した。


「ふ、、ふざけるな!お前は明日、20日に詩織に憑依して

 それから詩織の身体で好き放題して、

 詩織をとんでもない不良にするつもりだろ!?」


祐平の言葉に、

男は、「まぁ、そうなるな…だが、それがお前と詩織と俺のためだ」と呟くー。


「---何が詩織のためだ!」


祐平は泣きながら言うー。


”お前に憑依された詩織は、

 地元のワルとつるみだして、11月23日ー

 ちょうど一か月後に、トラブルで水死体として見つかるんだ!”


とー。


「--なんだと!?」

男が表情を歪めたー


「---…」

祐平は、男を睨むー


祐平の目を見つめて、男は、”本当”だと理解したのか、

首を振ったー


「詩織が死ぬ…

 そんな… くそっ…」

男は、それだけ言うと、しばらく考えた末に、言葉を発したー。


「---…仕方ねぇ…

 じゃあ…信じてもらえるか分からねぇけど…

 ”全て”教えてやるー


 お前が、”俺の言う通り”にするならー

 詩織には憑依しないー


 俺はー

 詩織を宇宙で一番愛しているんだー。


 だからー」


男の言葉に、祐平は「どういう意味だ?」と叫ぶー。


男は呟いたー。


「--俺は…月岡 祐平ー

 25年後から来たー

 ”お前”だー」


祐平を指さしながらー

男は、そう呟いたー


「--!?!?!?!?!?!?」

”未来から来た僕が、詩織に憑依して、詩織を破滅させる!?”


「そ、、そんな…??え?」

祐平が戸惑うと、

未来から来た祐平は続けたー


「山中にあるのは、”タイムゲート”。

 俺が25年後の未来ー

 2045年から、ここに来るために使ったモノだ。


 この時代に到着したのが、今日ー

 2020年10月19日ー」


それを聞いて、祐平は咄嗟に聞き返すー


「何時ごろに来たんだ?」

とー。


未来の祐平は「お昼すぎだな」、と答えた。


「----」


祐平は思うー

あの光の渦ー

この男の言う”タイムゲート”をくぐるたびに、

10月19日の昼休みに戻っていたのは、おそらくー

”行き先”がこの男の到着した時間ー

10月19日のお昼ごろに設定されていたからー


なのだと。


「---…僕が10月19日にいつも戻っていたのは」

祐平がそう言いかけると、


「ああ…”出口”を10月19日昼に設定してるからなー…

 それでだろ?」

と、未来の祐平は呟いたー。


「--どうして、今日なんだ?」

祐平が言うと、

未来の祐平は、「まぁ…日付は適当だよ。

この時代にとにかく来る必要があった」と、

説明したー。


そしてー

次に未来の祐平を名乗る男の口から出た言葉はー

”あまりにも”衝撃的ー

だった。


・・・・・・・・・・・・・


ーーー僕はーーーー

”未来の僕”を思いきり殴りつけてー

”殺した”


ーそして、僕は光の渦に飛び込んだー。


これでー

僕が”未来の僕”を殺したこともなかったことになりー

”未来の僕”は、そのことを忘れているー。


僕はー

認めないー


絶対にー


・・・・・・・・・・・・


「----」

祐平は、頭を抱えていたー


”未来の祐平”が語った

衝撃的な事実は、祐平の心に深い戸惑いを生んだー


そしてー、

未来の祐平が、詩織に憑依する理由を知った今ー、


未来の自分を止めるにはー

”未来の自分”を殺すしか、

”未来の自分”の提案を受け入れるかー、

するしかなかったー


”目的”上、未来の祐平は、永遠に詩織を狙うだろうー


だがー

未来の祐平の提案はー


”詩織と別れろ 二度と連絡を取るな”だったー。


そんなこと、

受け入れられるはずがないー


”殺すかー”

”受け入れるかー”


祐平は、何度もタイムスリップを繰り返した末にー

最後の賭けに出たー


あの男が本当に、

”未来の僕”ならーーー

”詩織の言葉”なら耳を傾けるかもしれないー、


とー。。


自分が未来の祐平で、同じ立場ならー

”過去の自分”の言葉には耳を貸さないだろうー


だが、”過去の詩織”の言葉ならー。


祐平は決意するー


詩織になんとか、この状況を理解してもらってー

10月20日の昼休みー

理科室で、”詩織に憑依しにやってきた未来の祐平”を

説得してもらうー。


「--詩織…信じられないと思うけど…」

祐平は、詩織に、話を切り出したー。


祐平は、10月19日の放課後ー

詩織に全てを話したー


このままだと、詩織は明日、憑依されることー

憑依された詩織は、不良になってしまってー

1か月後に、地元のワルとのトラブルで死亡することー。

憑依したのは、2045年からやってきた祐平自身であることー。


全てを包み隠さず話したー


「--ふふ」

詩織は笑ったー


当然だったー。

”憑依”

”未来”

ありえないワードが多すぎるのだー


「--祐平ってば、なんだかすごい」

詩織が笑いながら言うー。


「-違うんだ!本当なんだ!」

祐平が叫ぶー


そして、時計を見るー。


「今頃、未来の僕が、深森さんに憑依してる時間だ!」

祐平が叫ぶー。


「--……ちょ、ちょっと…落ち着いて…?」

詩織が戸惑いながら言うー。


祐平の話を信じることはできないー

が、

あまりにも祐平が必死なためー

詩織も、不気味に思い始めていたー


「--憑依された深森さんが、明日、昼休みに本庄先生が呼んでたよって、

 詩織を理科室に呼び出すんだ!


 そして、理科室で詩織は憑依される!」


祐平が必死に叫ぶー。


前にもー

詩織に憑依のことを伝えた時はあったー。


その時は、祐平が言った通り、瑠菜から理科室に呼び出された時にー

祐平の言葉を半分、信じてくれたー


でも、半分じゃだめだー


理科室にやってきた”未来の僕”を、

詩織に説得してもらうー。


それしか、救う方法はないー。


”未来の僕”を止めるにはー

未来の僕を改心させるしかないー。


未来の僕を力づくで止めるにはー

”命を奪う”しかないー

それではー祐平が人殺しになってしまうし、

自分の未来にも影響が出る恐れがあるー。


かといって、未来の祐平の言う通り、

詩織と別れるーなんてことはしたくないー


詩織はー

僕だけの詩織なのだからー


「---!!」

祐平は表情を歪めるー。


やっぱりー


やっぱりーーーー

”あれ”は本当なんだー

と、思ってしまうー


未来の祐平が、わざわざ過去に来て

詩織に憑依した理由ー。


その、目的ー


それを、いやでも思い出してしまうー。


でもー


祐平は、詩織を見つめたー


「僕はーー

 詩織を殺しちゃうみたいなんだ、未来でー」


信じたくないー

そんなこと、自分がするわけがないー


でも、彼はーー言った。

未来の祐平は、確かに言った。


”---お前は、俺はーー

 詩織を、殺すー”


とー。


互いの両親の許可を取ってー

詩織と同居を始めてー


でも、別々の大学に通ううちに、

祐平は、詩織を束縛するようになるー。

嫉妬深い祐平はー

詩織が、別の大学で、他の男と関わることに、

激しい嫉妬を覚えー

やがて、詩織を狂気的なまでに束縛するようになるー


詩織に泣かれて、一旦は落ち着くものの、

さらにエスカレートしてー

詩織は、やがて、「ごめんね」という言葉を残して

家を飛び出してしまうー


詩織は浮気していたわけでもなく

”普通”の範囲内で、大学の男子と絡んでいただけー


祐平が勝手に嫉妬し、勝手に狂気的な束縛をした結果ー


怒り狂った祐平は、

家を飛び出した詩織を追いかけてー

家に無理やり連れ戻したー


大学を卒業するまでに、激しい束縛をしー

詩織は、精神的に病み、壊れてしまったー


社会人になり、

祐平は、そんな詩織に苛立ち、

詩織に暴力を振るうようになったー。


”笑顔が消えた詩織”を許せないー

そう思ったー。


そして、ついに、詩織と口論になりー

泣き叫びながら祐平はー

詩織をーーー。


未来の祐平はーー

詩織を殺したー


全て、自業自得ー。


”このままだと、

 俺は詩織を殺すー


 そして、俺は逮捕されて

 両親は、犯罪者の親として蔑まれ、最後には心中自殺ー。


 服役を終えたあとも、職に就くことができずー

 地獄のような人生を送るー”


未来の祐平はそう言ったー


未来の祐平はー

10年以上も禁忌の研究を続けー

タイムゲートと憑依薬を完成させたー


そしてー

この時代にやってきてー

”祐平が詩織を殺してしまう未来”を変えるーーー

という目的を果たすためー

詩織に憑依したのだったー


詩織はー

僕だけの詩織なのだからー


今、

祐平は無意識にそう思っていたー


これまでも、何度か”度を越した感情”を抱くことがあったー


”未来の僕が、詩織を殺すなんてありえない”と

最初は思っていたがー

未来の自分が、詩織を束縛し始めるー


その”素質”を自分で、祐平は自覚してしまったのだー


「--詩織…僕は……僕は、そんなことしないって絶対に約束するー。」


祐平は、さらに説明を付け加えたー


未来の自分が未来の詩織に何をするのかー

未来の自分が、この時代に来て、詩織に憑依して、何をしようとしているのかー


全てを、泣きながら語るー。


「未来の僕は間違ってるー

 詩織に憑依して、僕と詩織を強引に引き裂いてもー

 詩織は…

 あんな悪い子になっちゃったら…詩織は結局幸せになんかなれないー」


祐平は決意するー


未来の僕を止めるー、と。


そしてー

”未来を知った”のだからー

未来は変わるはずだー、と。


僕は、詩織を束縛なんかしない、絶対にー…。


祐平は、”信じられない”と、戸惑っている詩織に対しー

言い放ったー


「--僕がタイムスリップしてる証拠ー

 見せるよ」

祐平が言う。


「---…」

詩織は戸惑うー


山奥に女子を連れて行くー

詩織に警戒されるだろうと思って

ずっと避けてきたがー

多少強引にでもー

連れて行くしかないー。


”山奥にタイムゲートがある”

祐平は、詩織にそう伝えたー


詩織にも、10月19日昼休みへのタイムスリップを体験してもらうことが

できればーーー


信じてもらえる、はずだー。


祐平の、未来の自分との最終決戦が、

始まろうとしていたー


⑥へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


破滅の未来からやってきた未来の祐平ー。


タイムスリップの末に、

待ち受けている、運命はー?


次回が最終回の予定デス!


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