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父ー

矢島 典之(やじま のりゆき)は、

大手企業に勤務しているサラリーマンだ。

部下の面倒見も良く、部下から慕われているー。


半面、家では「親父モード」全開で、

ランニングシャツとトランクス姿で、新聞を読んだり、

野球中継を見ながら、大声で叫んだり、

選手の文句を言ったりー

とにかく、親父臭い感じだ。


今日もーーー

だらしない格好で新聞を”音読”しながら、過ごしているー。


「ねーーねーー!うるさいよ~!!」

高校1年の妹・矢島 遥香(やじま はるか)が、そんな父・典之に

文句を言っているー


これも、いつもの光景ー。


母・美佐江(みさえ)が、苦笑いしながらそんな光景を

見つめているー


遥香は思春期真っただ中。

親父モード全開の父・典之を”きもい”と嫌って

必要以外、口を利かないような状況が続いていたー。


「---あ~ほんとやだ」

遥香が、うんざりした様子で、近づいてくるー。


「---まぁまぁ」

遥香の兄にあたる長男・光輝(こうき)は、遥香のほうを見て笑うー。


幸いー

高校2年の光輝は、妹・遥香に嫌われることもなく、

今も普通に話せる間柄だったー。


スマホをいじる妹ー。

家事をしている母ー。

新聞を音読したり、ニュースを見て文句ばっかり言っている父ー。


これが、矢島家の”いつもの”日常だったー。


だがー、

ある日、”それ”は起きたのだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「--はぁ~~~~~!?!?!?!?!?」


「な、、なんだこれぇえええええええええ!?!?!?!?」


土曜日の朝ー。

妙に騒がしい声が廊下から聞こえたー。


部屋で、ゲーム実況を見ていた光輝が

”なんだなんだ?”と思いながら、

部屋の外に出るとー

そこには父・典之と妹・遥香の姿があったー。


「--ん?どしたの?」

光輝が不思議そうな表情で二人に話しかける。

二人が光輝のほうを見つめるー。


光輝は、「え?なに?」と、戸惑いながら

周囲を見渡すー。


”なんだこれえええええええ?”という声が聞こえたにしては、

特に異常が見当たらないー


「ん????」

光輝は頭に「?」マークを浮かべながら二人の方に近づいていくと、

二人が、お互いのほうを指さしたー


「--なんでわたしがもうひとり!?」

父・典之が、妹・遥香を指さしながら叫ぶー


「--は?」

光輝は思わず変な声を出した。


父が”わたし”と言っているー?

父が妹の遥香を指さして”なんでもうひとり?”と言っているー。


「--え…え……え…」

妹・遥香が、自分の手を見つめながら、顔を真っ赤にしているー


「ん~っと……」

父・典之と妹・遥香の”明らかにおかしい様子”を見ながら

光輝は苦笑いしたー


「--お、、俺にもわかるように説明してくれないかなぁ~」

とー。


妹の遥香と父の典之が同時に光輝のほうを見て叫んだ。


「俺たちー

「わたしたちー


入れ替わってる!?!?!?!?」


とー。


・・・・・・・・・・


リビングでー

家族4人が集まっていたー


どうやら、父の典之と妹の遥香の身体が入れ替わってしまったらしいー。


妹の遥香は、父・典之の身体にー

父・典之は、妹の遥香の身体にーーーー


「--も~~~なんなのぉ~~マジ最悪~~!」

女子高生らしい言葉遣いで、不貞腐れる典之(遥香)


「-ーーと、とにかく元に戻る方法を探そう」

遥香(典之)は、そわそわした様子だー。

遥香の服装がミニスカートであることもあり、

落ち着かないのかもしれないー。


「---…朝目が覚めたら入れ替わってたって……

 昨日、寝る前に何かおかしなことはなかったの?」

いつも冷静な母・美佐江が二人に聞くー。


「---と、特に何もなかったな」

遥香(典之)が落ち着かない様子で呟くー。


「--わたしだって、普通に寝ただけだよ!」

典之(遥香)が叫ぶー。


そしてすぐに


「あ~~!なんでわたしがこんな声なの!」

と、不満そうに、自分の口を触るー。

自分が喋っているのに、父の声が出ることに、

典之になった遥香は強い違和感と嫌悪を抱いていた。


「---…問題はどうやって元に戻るか…だな」

そう呟きながら遥香になった典之は、

足をだらしなく広げているー


すぐに典之(遥香)がそれに気づくー


「ちょっと!足をそんな風に広げないで!」


本気で怒っている口調だー。


「わ、、悪い…。」

遥香(典之)が気まずそうに足を整えるー。


「---ぶつかったりしたら、元に戻れないかな?」

光輝が提案するー


遥香(典之)と典之(遥香)が「え?」と、光輝のほうを見るー


光輝は”入れ替わり”の漫画や映画をいくつか見たことがある。

ぶつかって入れ替わったりー

階段から転がり落ちて入れ替わったりー

色々なシチュエーションがあったー。


まさか、現実で入れ替わりが起こるとは思わなかったけれどー

もしかしたら、元に戻れるかもしれないー。


「--ぶつかるって言っても…」

典之(遥香)が呟く。


「--よし!やってみるか!」

遥香(典之)が手を叩いて呟くー。


「--うるさい!わたしの身体でしゃべらないで!」

典之(遥香)は!あ~気持ち悪い!マジで最悪”と、

嫌悪を丸出しにしながら、首を振ったー


「---そうね。とにかくやってみるしかないんじゃない?」

母の美佐江も、そう呟き、

典之(遥香)と遥香(典之)は渋々”ぶつかって”みたー


だがー


「いった~」

「いてててててて」


二人は、元に戻ることはなかったー


光輝は”階段から転がり落ちること”を提案したがー

母の美佐江が”危ないからやめなさい”と、許可しなかったー。


さらに”キス”も提案したが

典之になった遥香が「死んでもキスなんてしないから!」と、

猛反発したことで、それも白紙になったー。


結局、二人は元に戻ることができないままー。


”今日が土曜日でよかった”

父・典之はそんな風に呟いたー。


土曜日ー

日曜日ー

幸い、父の典之も、妹の遥香も休みだー。

入れ替わった状態のまま学校に行ったり、

仕事に行ったり、ということは避けることができるー。


「--ーーーあ~~~!もう!!!最悪最悪最悪!」

典之(遥香)が叫ぶー。


光輝は、怒り心頭の妹をなんとかなだめようとしていたー


「ほ、ほら…寝れば治るかもしれないし」

光輝の言葉に、

「お兄ちゃんは他人事でいいよねーーー???」と、

典之(遥香)が、怒り心頭のまま叫ぶー。


「い、、いや、そんなんじゃないけど…

 ってか、、父さんの身体で、そんな頬を膨らまされても

 違和感すごいんだけど」


光輝が言うと、

頬を膨らませていた典之(遥香)が

「知らないもん!好きで入れ替わってるんじゃないもん!」と

不貞腐れてしまったー。


40代のおっさんの身体でそういう振る舞いをされると

中身が遥香だと分かっていても結構きついー。


「------」


可愛い声が聞こえてくるー。


光輝が振り返ると、

遥香(典之)が、あぐらをかいて、新聞を読んでいたー

いつもの通り、新聞の文章を音読しているー


遥香の可愛らしい声でー。


すぐに典之になった遥香が気づくー


「--ちょっと!ふざけないで!!!」

大声で叫ぶー


「-何、その座り方!」

スカートが乱れた状態であぐらをかいている遥香(典之)を見て

激怒する典之(遥香)


「--わたしの身体で新聞なんて読まないで!!」

怒りの形相で新聞を取り上げる典之(遥香)ー


心底怒っているのか、新聞をぐしゃぐしゃに丸めて

床にたたきつけるー。


「も~~~~!ほんとキモイ!わたしの身体返して!!

 返して!!!返せ!!!」

典之(遥香)が、泣きながら遥香(典之)に襲い掛かるー


「ちょ!!!お、、、おちつけ!」

遥香(典之)が慌てて、典之(遥香)を振り払おうとするもー


”力”が違ったー


遥香の身体では、典之の身体を振り払うことができないー


「返せ!わたしの身体を返せ!」

典之(遥香)が遥香(典之)を押し倒して、怒りの形相で叫んでいるー


「ちょ、ちょっと!落ち着けよ!」

たまらず、光輝が乱入して、典之(遥香)を押さえるー


乱れた状態で、戸惑っている遥香(典之)が、悲しそうな表情で呟くー


「--遥香…ごめんな

 父さんも、元に戻る方法、考えるからー。

 とにかく、今はこの状態で過ごすしかないんだ」

遥香(典之)の言葉に、

典之(遥香)は泣きながら「わたしの身体を返して!ドロボウ!」と叫ぶー


40代のおっさんが、泣きながら叫んでいるのを見るのは

結構きついー


そんな風に思いながら光輝は、

「俺も二人が戻れるように、色々調べてみるから」と、

何とか、典之になった遥香を落ち着かせるー。


母・美佐江も、典之になった遥香を落ち着かせる言葉を投げかけー

なんとか、典之(遥香)は落ち着いてくれたー。


・・・・・・・・・・・・・


「--わたしの身体でトイレに行かないで!」

「--わたしの身体でお風呂に入らないで!」

「--わたしの身体で着替えないで!!」


「----」

光輝は苦笑いしながら、その様子を聞いていた。


典之(遥香)の注文が多すぎるー。


「--わたし、ダイエット中だから食べる量は調整して!」

「--わたしの足を見ないで!」

「--胸に触れたら死刑!」


「---あの…」

遥香(典之)が顔を赤らめながら言うー。


「---も、、漏れそう…」

遥香(典之)が、スカートのあたりで手をパタパタ

させているー。


トイレを我慢しようとして、アソコを触ろうとしているのだが

触る肉棒が無くて、どうしていいか分からず、手を

パタパタさせているのだったー。


「わたしの身体で漏らさないで!トイレも許さない!」

典之(遥香)が叫ぶー


「おいおい」

光輝は”滅茶苦茶すぎる”と思いながら

「遥香の身体でおもらしされちゃうとか、もっと地獄だろ?

 トイレぐらいは行かせてあげないと」と、なんとか遥香を

説得するとー

典之(遥香)は、「トイレでは目を開かないこと!いい?」と叫んだー。


「---わ、、わかったよ」

遥香(典之)は戸惑いながらトイレに向かったー。


しかしー

すぐに声が聞こえたー


「--ど、、どうやってすりゃいいんだこれ…??

 遥香!!ちょっと来てくれ~!」


「はぁ~!?トイレもできないの!?マジありえない!」


ギャーギャーとトイレから声が聞こえるー


外から見たら

”父親が娘のトイレを手伝っている”という

完全に異様な光景ー


「--ありえない!ほんっとありえない!」

父の声が聞こえるー


「--い、いきなり女子としてトイレとか、無理だって!」

妹の声が聞こえるー。


ギャーギャーギャーギャーと騒ぎ声が聞こえてー

最後には


「も~~~~~~!漏らすとか最低!!!!!!!!」

と、父の大声が聞こえたー



「--あらら…」

光輝は、トイレから響いてくる声を聞きながら

苦笑いして、ため息をついたー


”これは…大変なことになるぞ”


とー。


・・・・・・・・・・・・


夜ー


結局、二人は元に戻らないままー

”寝れば治るだろう”という希望に賭けることにするー。


お互いは、それぞれ”中身”の部屋で過ごすことにしー

それぞれ部屋に入っていったー。


父・典之の姿で、遥香が遥香の部屋にいると感じると

強い違和感を感じるー。


そんな風に思いながら

光輝も「なんか疲れたな…」と思いながら自分の部屋に向かったー。


その時だったー


”おとうさん、だいすきっ♡”


変な声が聞こえたー


「---!?」

妹・遥香の声だー


妹・遥香の声が聞こえるー。

つまりー

妹・遥香の身体になった典之が言った言葉ー

ということになるー。


「---え」

嫌な予感を感じながら、父・典之の部屋をこっそり覗くと、

妹・遥香の身体になった典之が、

遥香の姿で、鏡に向かって「パパ、だいすき♡」と嬉しそうに

呟いていたー


娘の身体になった父が、

娘に「大好き」と言わせてひとりで喜んでいるー


そんな光景を見てしまった光輝は思わず心の中で叫んだー


”何してんだ親父ぃぃぃぃぃぃーーーーー!!!!”とー


こんなこと、遥香の身体でしてると知ったら、

父さん、殺されるぞ?と、”見なかったこと”にしながら、

光輝は自分の部屋に戻るのだったー。


②へ続く


・・・・・・・・・・・


コメント


父親と妹の入れ替わり…!


入れ替わって

親父モード全開な妹と、

乙女モード全開な父を前に

戸惑うお兄ちゃんの物語ですネ~!


次回もお楽しみに~!


お読み下さり、ありがとうございました!!

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