<入れ替わり>風邪でも休めないあなたに②~対決~ (Pixiv Fanbox)
Content
神威高校サッカー部のキャプテン・哲真は、
宿敵でもある牙王高校との試合を目前にして、
風邪を引いてしまったー
因縁の相手との試合に、なんとしても出たい哲真ー
そんな哲真にー
”奇跡”が起きたー
”チェンジ☆アプリ”
他人と身体を入れ替えることのできる、謎のアプリー
”風邪でも休めないあなたに”と宣伝されていたそのアプリを、
彼女・莉音の許可を受けた上で使いー
莉音と哲真は入れ替わったー。
”何としてでも、試合に出る”ためにー。
・・・・・・・・・・・・
「---ーー」
どよめく会場ー
ジャージ姿の莉音(哲真)が、会場に入ってきたことに
神威高校サッカー部のメンバーが驚いているー
”キャプテン”である、哲真の彼女・莉音のことは
神威高校のサッカー部員たちは知っているー
「待たせたな」
莉音(哲真)が可愛い声で呟くー
「--え?」
「--あ、、、あの…」
2年生も、1年生も困り果てている様子だ。
「---あ、、、え、、え~っと」
莉音(哲真)が綺麗な黒髪を掻きむしりながら、
”そっか…そりゃ、莉音が来たら驚くよな”と考えるー。
とにかく試合に出たいー
その一心で、あまり、莉音の身体で試合会場に姿を
現わしたらー?
ということを、考えていなかったー
「あの…キャプテンは?」
1年生が心配そうに聞くー
「--哲真は…どうしたんだ?」
哲真の友人の2年生が不安そうに聞くー
「---ん、、、ん。えっとな…
説明してる時間はないんだ」
ジャージ姿の莉音(哲真)が
腰に手を当てながら呟くー。
「まぁ、その、あれだ。
見た目は莉音だけど、俺だよ、哲真だよー」
莉音(哲真)の言葉に、チームメイトたちは
唖然としているー
何を言っているのか、全く意味が分からないー
「--ちょ、、し、、信じろって!
と、とにかく俺は哲真なんだよ!」
だがー
周囲は、唖然としたままだー
可愛らしい容姿ー
可愛い声ー
いきなりそんなことを言われても、困ってしまうー
「---あ~~~、え~~~えっと…」
莉音(哲真)は頭を掻きながら、あ~面倒くせぇ!と叫んだー
とにかくー
とにかく牙王高校に勝たないといけないー
「--いいから俺は哲真だ!」
そう言いながら、ジャージを脱ぎ捨てる莉音(哲真)-
その下からは”市原”と書かれたユニフォームが姿を現したー
キャプテン・市原哲真のユニフォームを着ている莉音(哲真)-
だがー
それを見ても、チームメイトたちは、
莉音の中身が哲真だとは信じてくれないー
「--だぁぁぁ~~~~~!」
莉音(哲真)が叫んだー
”俺は哲真だ!”と、どんなに言っても、信じてもらえそうにないー
もうこうなったら面倒くせぇ!
そう思いながら、莉音(哲真)は叫ぶー
「俺…いや、哲真は、今日は来ないから!!!
代わりに、、代わりにわたしが、みんなと戦うから!」
莉音(哲真)は、入れ替わりを信じてもらうことを諦めてー
”彼氏の代理で来ました”と叫ぶー
「---は、、はぁ!?!?いやいや、桜木さん、そりゃ無…」
同じ2年生のチームメイトの言葉を遮り、
莉音(哲真)は、鋭い目つきで呟いたー
「--ーーうるさい!!!
とにかく、俺は牙王高校に勝ちたいんだよ!!!
風邪でも休めないんだよ!!!
みんな、、頼むから何も言わずに、
今日だけは、俺…あ、いや、わたしがキャプテンってことで
黙って納得してくれ!!」
莉音(哲真)の言葉にー
チームメイトたちは、困り果てた様子を見せながらも、
ようやく頷いたー
だがー
”キャプテン”の代わりに”その彼女”がやってきたー
と、いう事実はー
対戦相手の牙王高校の闘志に火をつけてしまったー
「-----舐められたものだな」
牙王高校のキャプテン・織田長信が呟くー。
「---哲真…」
哲真の幼馴染で、牙王高校エースの春義も表情を歪めるー
”侮辱された”
と、そう感じていたー
対戦相手である神威高校のキャプテン・哲真が試合を放棄し、
あろうことか、自分の彼女である莉音を代わりに、よこしたー
”侮辱されているー”
牙王高校メンバーたちは、そう思って、激しい闘志を燃やすー。
そしてー
キックオフの時間がやってきたー
「”神威高校”VS”牙王高校”-
ただいまより、試合を開始いたしますー」
神威高校と牙王高校の生徒がチラホラ応援に来ている中ー
その試合は、始まったー
”俺は、今日この日のために練習してきたんだー
とにかく、俺は勝つ”
自分が莉音の身体であることも忘れてー
試合に集中する莉音(哲真)-
哲真はとにかく、”目先の試合”のことしか
考えていなかったー
莉音の姿で試合に来たことも、
後でなんとか言い訳しよう、ぐらいにしか考えていないー
とにかくー
とにかく、風邪でも休めないー
試合に、勝ちたいー
勝ちたいー
その一心だった。
しかしー
試合が始まってすぐー
莉音(哲真)は表情を歪めたー
「---!!!」
身体が、思うように、動かないー
いやー
動きはするー
だがー
感覚がーーー
全然ーーー
「---!」
相手チームの選手に、あっけなくボールを奪われー
強烈なシュートをお見舞いされたー
0-1
あっという間の出来事だったー
「---あ…」
莉音(哲真)が唖然とするー
”り、、莉音の身体…運動神経ってか…
小回りが利かねぇ…”
莉音(哲真)は困惑したー
試合中の立ち回りは散々練習しているー
中身は哲真だから、
当然”立ち回り”は熟知しているし、
これまでの練習の知識、
サッカー選手としての知識も、全て”頭”の中にあるー
だがしかしー
”莉音の身体”がそれについてこれないー
走ったときの感覚も違うし、
試合開始3分で息切れしているー
走ると胸が揺れるし
髪もふわふわして気になるー
「---く、、、くそっ」
莉音(哲真)は呟くー
”身体が違えば、感覚も違うー”
そんな、当たり前のことを、計算できていなかったー
誰の身体であろうと、
”身体”で覚えている試合中の立ち回りー
そして、知識と経験で、莉音の身体でも普通に戦えると思っていたー
ボールを狙って牙王高校の
ペリー山本と、ザビエル大河原が、近づいてくるー
ハーフでイケメンな二人だー。
「--あぅっ!?」
ボールをけろうとして、滑って転倒してしまう莉音(哲真)-
「--吾輩は、最強であるー
実績はまだないー」
相手チームの冬目漱石が、そう呟きながら
素早い動きで、ゴールを決めるー
0-2。
「--くそっ!くそっ!くそっ!」
莉音(哲真)が叫ぶー
この1年の俺の練習は何だったー?
”弱くね?今年の神威高”
1年生のときー
牙王高校から言われた屈辱の言葉ー
あの屈辱を晴らすためにー
俺はこの1年、死に物狂いで練習してきたのにー
風邪でー?
風邪ごときでー?
俺の1年は、パーになるのか???
「--う、、、うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
莉音(哲真)は雄たけびを上げたー
女子の雄たけびにー
味方の神威高校も、対戦相手の牙王高校も戸惑うー。
「---まだ、、、まだ負けてねぇぇぇぇ!」
莉音として振舞うことも忘れて
大声で叫ぶと莉音(哲真)は、莉音の身体を無理やり動かしてー
ボールの元に走っていくー
”負けるわけには、いかないー”
・・・・・・・・・・・・・
「---------……」
一方、哲真になった莉音は、
”結構つらいんだけど”と、一人、哲真として、
哲真の家で休んでいたー
「---はぁぁ…意外ときつ…」
哲真(莉音)は、額を触るー
結構、熱があるー。
哲真の身体をちょっと眺めてようかな~とか、
思っていたが正直、かなり倦怠感が強いー。
これじゃあ、せっかく入れ替わったのに
何かを楽しむ、とかそういう気分にはなれないー
「ふぁ~~~…だめ…」
哲真(莉音)は仰向けに、ベッドの上に寝ころぶと
天井を見つめたー
「--っていうか…わたしの身体で
だいじょうぶだったかな…?」
哲真(莉音)は思うー
あまりの勢いでお願いされたため、ついあまり深く考えずに
入れ替わってしまったものの、
莉音は超がつくほど運動音痴だー。
いくら哲真とは言え、”わたしの身体でサッカーなんてできるのかな?”と
苦笑いするー
「--ってか…みんなどう思ってるかな…?
急にわたしが試合に出るとか…」
哲真(莉音)は色々気になってきて、そわそわしてくるー
「---しかもわたし、明日絶対筋肉痛じゃん!」
哲真(莉音)が叫ぶ。
莉音の身体でサッカーなんてやったら、絶対に
筋肉痛になるー
哲真(莉音)はそう思いながら、
”やっぱ入れ替わりしなきゃよかった~”と呟くー
「---入れ替わり?」
「--!?!?!?!?」
哲真(莉音)が、ビクッとして、ベッドから飛び起きると、
そこには、哲真の妹である心愛がいたー
「あ、、、心愛ちゃん…!久しぶり!」
哲真(莉音)は、つい”莉音”としての反応をしてしまったー
「心愛ちゃん…?久しぶり…?」
心愛が首を傾げるー
「--あ、、、~~あ、~~~~いや、えっと、、、
ここあ、、、ここあ、、、久しぶりにここあが飲みたいなぁ~!なんて」
哲真(莉音)が必死に誤魔化そうとするー
「--ーーー入れ替わりってなに?」
心愛がにこにこしながら哲真(莉音)を見ているー
彼氏の哲真がよく言っていたー
”俺の妹は怖い”とー。
莉音も心愛とは面識があるが、
心愛は怒ると、満面の笑みを浮かべたままキレるのだー。
「---あ、、え~っと、、そ、、それはその…
安静してて暇だから、、、俺の名は。見てて…」
有名な入れ替わり映画の名前を口にする哲真(莉音)---
「-ーーーふ~~~~~~~~~ん」
ニコニコしながら心愛が言う。
明らかに疑われているー
”ちょっ!?!?どうしてわたしがこんな目に…”
哲真(莉音)は、そう思いながら
なんとか誤魔化そうと、わざと咳き込み始めて
「な、、なんか、調子悪くなってきた…寝る!」と叫びー
そのまま布団に潜りこんだー
”だ、、大丈夫だよね???”
心愛が部屋から出ていくのを待つ哲真(莉音)-
入れ替わりがバレたら色々厄介そうだー
「----!」
哲真(莉音)の布団が、突然めくられたー
心愛が、哲真(莉音)の目の前にやってきていたー
「---入れ替わりってどういうこと?
ぜーんぶ、話してもらうから」
心愛が、満面の笑みで言う。
「---ひっ!?!?だ、、だから…わ、、わた、、いや、俺は」
哲真(莉音)があたふたしながら言うー
哲真はこんなに普段、あたふたしないー
哲真の股間のアレが、何故か勃起しているー
”ちょ!?なにこれ!?どうやってコントロールするの!?”
哲真(莉音)がそう思っているとー
「ーーー白状しやがれです」
と、心愛がほほ笑みながら言ったー
「は、、、はひっ…」
哲真(莉音)は、妹の心愛に追い詰められて
入れ替わりのことを全部白状してしまったー
・・・・・・・・・・・・・・
0-6
前半戦が終わったー
ハーフタイムに入るー
「----…今年もダメだな」
チームメイトが言うー
「--キャプテンが来ないなんて…」
1年生が言うー
「--はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
莉音(哲真)は既に息切れしていたー
莉音の身体ではーー
まともに戦うこともできないー
「----キャプテンは、本当にどうしちゃったんですか?」
後輩が、莉音(哲真)を見て言うー
莉音(哲真)は”俺が哲真だ”と言う気力も失って
ただひたすらにゼェ、ゼェ、と息切れしていたー
”こんなだったら、風邪引いてる俺の身体の方がましだったかも”
トイレにも行きたくなってきたし、
もはや気分は最悪だー
一体どうすればーーー
今年もーーーー
勝てないー
1年間の努力が、水の泡ー
「くそっ!誰か、髪を適当に結んでくれ!
邪魔で仕方がない!
あと、こう、、、その、胸も!
なんか違和感がやばいから、
えっと、、ほら、包帯とかでぐるぐる固定できないかな?」
無茶を言い出す莉音(哲真)-
「--え、、ちょ…えっと…急に結べって言われても」
「いいから適当に!」
髪を適当に作ったポニーテールのような状態にしてー
さらに、胸を指さす莉音(哲真)
「そ、、そこの包帯で、胸をぐるぐる巻きにして
押さえつけてくれ!邪魔でジャマでー」
莉音(哲真)の言葉に、
周囲は、困惑しながらもー
言われた通りに、包帯で無理やり胸を押さえつけるような感じにするー
「--う~ん…あんま意味ねぇかも」
莉音(哲真)は、
試合に熱くなって、すっかり莉音として振舞うことを忘れていたー
「よし!お前ら!絶対勝つぞ!」
莉音(哲真)が可愛い声で叫ぶー
周囲はーーー
ドン引きしていたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・
コメント
試合の行く末と、入れ替わりの結末は、
次回の最終回までお待ちくださいネ~!
今日もお読み下さりありがとうございました!!