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神威高校サッカー部のキャプテン・哲真は、

宿敵でもある牙王高校との試合を目前にして、

風邪を引いてしまったー


因縁の相手との試合に、なんとしても出たい哲真ー


そんな哲真にー

”奇跡”が起きたー


”チェンジ☆アプリ”

他人と身体を入れ替えることのできる、謎のアプリー

”風邪でも休めないあなたに”と宣伝されていたそのアプリを、

彼女・莉音の許可を受けた上で使いー


莉音と哲真は入れ替わったー。


”何としてでも、試合に出る”ためにー。


・・・・・・・・・・・・


「---ーー」

どよめく会場ー


ジャージ姿の莉音(哲真)が、会場に入ってきたことに

神威高校サッカー部のメンバーが驚いているー


”キャプテン”である、哲真の彼女・莉音のことは

神威高校のサッカー部員たちは知っているー


「待たせたな」

莉音(哲真)が可愛い声で呟くー


「--え?」

「--あ、、、あの…」

2年生も、1年生も困り果てている様子だ。


「---あ、、、え、、え~っと」

莉音(哲真)が綺麗な黒髪を掻きむしりながら、

”そっか…そりゃ、莉音が来たら驚くよな”と考えるー。


とにかく試合に出たいー

その一心で、あまり、莉音の身体で試合会場に姿を

現わしたらー?

ということを、考えていなかったー


「あの…キャプテンは?」

1年生が心配そうに聞くー


「--哲真は…どうしたんだ?」

哲真の友人の2年生が不安そうに聞くー


「---ん、、、ん。えっとな…

 説明してる時間はないんだ」

ジャージ姿の莉音(哲真)が

腰に手を当てながら呟くー。


「まぁ、その、あれだ。

 見た目は莉音だけど、俺だよ、哲真だよー」

莉音(哲真)の言葉に、チームメイトたちは

唖然としているー


何を言っているのか、全く意味が分からないー


「--ちょ、、し、、信じろって!

 と、とにかく俺は哲真なんだよ!」


だがー

周囲は、唖然としたままだー


可愛らしい容姿ー

可愛い声ー

いきなりそんなことを言われても、困ってしまうー


「---あ~~~、え~~~えっと…」

莉音(哲真)は頭を掻きながら、あ~面倒くせぇ!と叫んだー


とにかくー

とにかく牙王高校に勝たないといけないー


「--いいから俺は哲真だ!」

そう言いながら、ジャージを脱ぎ捨てる莉音(哲真)-


その下からは”市原”と書かれたユニフォームが姿を現したー

キャプテン・市原哲真のユニフォームを着ている莉音(哲真)-


だがー

それを見ても、チームメイトたちは、

莉音の中身が哲真だとは信じてくれないー


「--だぁぁぁ~~~~~!」

莉音(哲真)が叫んだー


”俺は哲真だ!”と、どんなに言っても、信じてもらえそうにないー

もうこうなったら面倒くせぇ!


そう思いながら、莉音(哲真)は叫ぶー


「俺…いや、哲真は、今日は来ないから!!!

 代わりに、、代わりにわたしが、みんなと戦うから!」

莉音(哲真)は、入れ替わりを信じてもらうことを諦めてー

”彼氏の代理で来ました”と叫ぶー


「---は、、はぁ!?!?いやいや、桜木さん、そりゃ無…」

同じ2年生のチームメイトの言葉を遮り、

莉音(哲真)は、鋭い目つきで呟いたー


「--ーーうるさい!!!

 とにかく、俺は牙王高校に勝ちたいんだよ!!!

 風邪でも休めないんだよ!!!


 みんな、、頼むから何も言わずに、

 今日だけは、俺…あ、いや、わたしがキャプテンってことで

 黙って納得してくれ!!」


莉音(哲真)の言葉にー

チームメイトたちは、困り果てた様子を見せながらも、

ようやく頷いたー


だがー

”キャプテン”の代わりに”その彼女”がやってきたー


と、いう事実はー

対戦相手の牙王高校の闘志に火をつけてしまったー


「-----舐められたものだな」

牙王高校のキャプテン・織田長信が呟くー。


「---哲真…」

哲真の幼馴染で、牙王高校エースの春義も表情を歪めるー


”侮辱された”

と、そう感じていたー


対戦相手である神威高校のキャプテン・哲真が試合を放棄し、

あろうことか、自分の彼女である莉音を代わりに、よこしたー


”侮辱されているー”

牙王高校メンバーたちは、そう思って、激しい闘志を燃やすー。


そしてー

キックオフの時間がやってきたー


「”神威高校”VS”牙王高校”-

 ただいまより、試合を開始いたしますー」


神威高校と牙王高校の生徒がチラホラ応援に来ている中ー

その試合は、始まったー


”俺は、今日この日のために練習してきたんだー

 とにかく、俺は勝つ”


自分が莉音の身体であることも忘れてー

試合に集中する莉音(哲真)-


哲真はとにかく、”目先の試合”のことしか

考えていなかったー

莉音の姿で試合に来たことも、

後でなんとか言い訳しよう、ぐらいにしか考えていないー


とにかくー

とにかく、風邪でも休めないー

試合に、勝ちたいー

勝ちたいー


その一心だった。


しかしー

試合が始まってすぐー

莉音(哲真)は表情を歪めたー


「---!!!」

身体が、思うように、動かないー


いやー

動きはするー


だがー

感覚がーーー

全然ーーー


「---!」

相手チームの選手に、あっけなくボールを奪われー

強烈なシュートをお見舞いされたー


0-1


あっという間の出来事だったー


「---あ…」

莉音(哲真)が唖然とするー


”り、、莉音の身体…運動神経ってか…

 小回りが利かねぇ…”


莉音(哲真)は困惑したー


試合中の立ち回りは散々練習しているー

中身は哲真だから、

当然”立ち回り”は熟知しているし、

これまでの練習の知識、

サッカー選手としての知識も、全て”頭”の中にあるー


だがしかしー


”莉音の身体”がそれについてこれないー


走ったときの感覚も違うし、

試合開始3分で息切れしているー


走ると胸が揺れるし

髪もふわふわして気になるー


「---く、、、くそっ」

莉音(哲真)は呟くー


”身体が違えば、感覚も違うー”

そんな、当たり前のことを、計算できていなかったー


誰の身体であろうと、

”身体”で覚えている試合中の立ち回りー

そして、知識と経験で、莉音の身体でも普通に戦えると思っていたー


ボールを狙って牙王高校の

ペリー山本と、ザビエル大河原が、近づいてくるー

ハーフでイケメンな二人だー。


「--あぅっ!?」

ボールをけろうとして、滑って転倒してしまう莉音(哲真)-


「--吾輩は、最強であるー

 実績はまだないー」

相手チームの冬目漱石が、そう呟きながら

素早い動きで、ゴールを決めるー


0-2。


「--くそっ!くそっ!くそっ!」

莉音(哲真)が叫ぶー


この1年の俺の練習は何だったー?


”弱くね?今年の神威高”


1年生のときー

牙王高校から言われた屈辱の言葉ー


あの屈辱を晴らすためにー

俺はこの1年、死に物狂いで練習してきたのにー


風邪でー?

風邪ごときでー?

俺の1年は、パーになるのか???


「--う、、、うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

莉音(哲真)は雄たけびを上げたー


女子の雄たけびにー

味方の神威高校も、対戦相手の牙王高校も戸惑うー。


「---まだ、、、まだ負けてねぇぇぇぇ!」

莉音として振舞うことも忘れて

大声で叫ぶと莉音(哲真)は、莉音の身体を無理やり動かしてー

ボールの元に走っていくー


”負けるわけには、いかないー”


・・・・・・・・・・・・・


「---------……」

一方、哲真になった莉音は、

”結構つらいんだけど”と、一人、哲真として、

哲真の家で休んでいたー


「---はぁぁ…意外ときつ…」

哲真(莉音)は、額を触るー

結構、熱があるー。


哲真の身体をちょっと眺めてようかな~とか、

思っていたが正直、かなり倦怠感が強いー。

これじゃあ、せっかく入れ替わったのに

何かを楽しむ、とかそういう気分にはなれないー


「ふぁ~~~…だめ…」

哲真(莉音)は仰向けに、ベッドの上に寝ころぶと

天井を見つめたー


「--っていうか…わたしの身体で

 だいじょうぶだったかな…?」

哲真(莉音)は思うー

あまりの勢いでお願いされたため、ついあまり深く考えずに

入れ替わってしまったものの、

莉音は超がつくほど運動音痴だー。

いくら哲真とは言え、”わたしの身体でサッカーなんてできるのかな?”と

苦笑いするー


「--ってか…みんなどう思ってるかな…?

 急にわたしが試合に出るとか…」

哲真(莉音)は色々気になってきて、そわそわしてくるー


「---しかもわたし、明日絶対筋肉痛じゃん!」

哲真(莉音)が叫ぶ。

莉音の身体でサッカーなんてやったら、絶対に

筋肉痛になるー


哲真(莉音)はそう思いながら、

”やっぱ入れ替わりしなきゃよかった~”と呟くー


「---入れ替わり?」


「--!?!?!?!?」

哲真(莉音)が、ビクッとして、ベッドから飛び起きると、

そこには、哲真の妹である心愛がいたー


「あ、、、心愛ちゃん…!久しぶり!」

哲真(莉音)は、つい”莉音”としての反応をしてしまったー


「心愛ちゃん…?久しぶり…?」

心愛が首を傾げるー


「--あ、、、~~あ、~~~~いや、えっと、、、

 ここあ、、、ここあ、、、久しぶりにここあが飲みたいなぁ~!なんて」

哲真(莉音)が必死に誤魔化そうとするー


「--ーーー入れ替わりってなに?」

心愛がにこにこしながら哲真(莉音)を見ているー


彼氏の哲真がよく言っていたー


”俺の妹は怖い”とー。


莉音も心愛とは面識があるが、

心愛は怒ると、満面の笑みを浮かべたままキレるのだー。


「---あ、、え~っと、、そ、、それはその…

 安静してて暇だから、、、俺の名は。見てて…」


有名な入れ替わり映画の名前を口にする哲真(莉音)---


「-ーーーふ~~~~~~~~~ん」

ニコニコしながら心愛が言う。


明らかに疑われているー


”ちょっ!?!?どうしてわたしがこんな目に…”

哲真(莉音)は、そう思いながら

なんとか誤魔化そうと、わざと咳き込み始めて

「な、、なんか、調子悪くなってきた…寝る!」と叫びー

そのまま布団に潜りこんだー


”だ、、大丈夫だよね???”

心愛が部屋から出ていくのを待つ哲真(莉音)-

入れ替わりがバレたら色々厄介そうだー


「----!」

哲真(莉音)の布団が、突然めくられたー


心愛が、哲真(莉音)の目の前にやってきていたー


「---入れ替わりってどういうこと?

 ぜーんぶ、話してもらうから」

心愛が、満面の笑みで言う。


「---ひっ!?!?だ、、だから…わ、、わた、、いや、俺は」

哲真(莉音)があたふたしながら言うー

哲真はこんなに普段、あたふたしないー


哲真の股間のアレが、何故か勃起しているー


”ちょ!?なにこれ!?どうやってコントロールするの!?”

哲真(莉音)がそう思っているとー


「ーーー白状しやがれです」

と、心愛がほほ笑みながら言ったー


「は、、、はひっ…」

哲真(莉音)は、妹の心愛に追い詰められて

入れ替わりのことを全部白状してしまったー


・・・・・・・・・・・・・・


0-6


前半戦が終わったー

ハーフタイムに入るー


「----…今年もダメだな」

チームメイトが言うー


「--キャプテンが来ないなんて…」

1年生が言うー


「--はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

莉音(哲真)は既に息切れしていたー

莉音の身体ではーー

まともに戦うこともできないー


「----キャプテンは、本当にどうしちゃったんですか?」

後輩が、莉音(哲真)を見て言うー


莉音(哲真)は”俺が哲真だ”と言う気力も失って

ただひたすらにゼェ、ゼェ、と息切れしていたー


”こんなだったら、風邪引いてる俺の身体の方がましだったかも”


トイレにも行きたくなってきたし、

もはや気分は最悪だー

一体どうすればーーー


今年もーーーー

勝てないー


1年間の努力が、水の泡ー


「くそっ!誰か、髪を適当に結んでくれ!

 邪魔で仕方がない!


 あと、こう、、、その、胸も!

 なんか違和感がやばいから、

 えっと、、ほら、包帯とかでぐるぐる固定できないかな?」


無茶を言い出す莉音(哲真)-


「--え、、ちょ…えっと…急に結べって言われても」


「いいから適当に!」

髪を適当に作ったポニーテールのような状態にしてー

さらに、胸を指さす莉音(哲真)


「そ、、そこの包帯で、胸をぐるぐる巻きにして

 押さえつけてくれ!邪魔でジャマでー」

莉音(哲真)の言葉に、

周囲は、困惑しながらもー

言われた通りに、包帯で無理やり胸を押さえつけるような感じにするー


「--う~ん…あんま意味ねぇかも」

莉音(哲真)は、

試合に熱くなって、すっかり莉音として振舞うことを忘れていたー


「よし!お前ら!絶対勝つぞ!」

莉音(哲真)が可愛い声で叫ぶー


周囲はーーー

ドン引きしていたー


③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・


コメント


試合の行く末と、入れ替わりの結末は、

次回の最終回までお待ちくださいネ~!


今日もお読み下さりありがとうございました!!

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