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アリー。

当たり前のように存在するその昆虫がー

ある日”突然変異”したー


きっかけは何だったのだろうか。

汚染された地球環境かー

それとも、アリの生存するための本能かー。


いやー

明確なきっかけなどないのかもしれないー


生物は、長い年月をかけて、進化を続けてきたー

”今”たまたま、そのタイミングが重なったー

それだけのことなのかもしれないー


変異を起こしたアリはー

ある能力を身に着けた。

それは、人間にとって”最低最悪の能力”-


”耳から人の体に侵入して、人間を支配すること”


その能力を身に着けたアリは、次々と人間に憑依したー。


それもー女性ばかりに。


アリがエッチなわけではない。

この行動には、変異したアリたちの”とある目的”があったのだー


それはー

”女性の体を使い、アリのDNAの混じった

新人類を生み出すこと”


出産が出来る女性の身体にばかり憑依していたのはー

それが、目的だったー


だが、このことは一般には知られていない。


世間では女性が次々と失踪する事件、として

不気味に扱われていたのだ。


”アリが人間に憑依する”

そんなことが世間に知られれば、世間は大パニックになってしまうー。


そのためー

この恐るべき事実は隠蔽されていたー


「--今日もお疲れ様!」


ごく普通のサラリーマン・柳田 正治(やなぎだ せいじ)に

向かって、正治と同居している彼女の

上橋 百恵(かみはし ももえ)が笑顔で言うー。


正治は、彼女の百恵と同居している

24歳のサラリーマンだ。

百恵は23歳。

お互いに大学で出会い、意気投合、

将来的には、結婚も考えているー


「---明日はようやく休みだよ」

正治が言うと、百恵が笑う


「やっと二人で一緒に過ごせるね♪」

百恵の笑顔。

これこそが正治の活力の源と言ってもいい。


仕事は厳しいが、

百恵が支えてくれているからこそ、

正治も頑張ることができるー。


彼女は、誰よりも優しい。


「---ごめんな。忙しくていつもどこにも

 連れていけなくて」

正治が言うと、百恵が首を振った


「ううん。大丈夫」

百恵は微笑んで言う-


”正治”と一緒に居れるだけで幸せだよ、と。


「---あ、いけない、ちょっとキッチンの片づけしてくるね」

百恵が可愛らしく微笑んでキッチンの方に向かって行く。


正治はその様子を微笑ましく見ていた。


”幸せ”が

間もなく散ることになるとも知らずにー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


キッチンについた百恵は

”アリ”を見つけた


「あれ…このアリ?」


アリに見えるー

だがー

いつも見るアリとは少し違う気がするー


あくまでも”気がする”だけで、

なんとなく違和感を感じたー


「---ヒアリ…とかじゃないよね?」

シロアリやら、ヒアリやら、人間に害を与えるアリかも…と

考えた百恵は”退治しておこうかな”と呟くー


その時だったー。


アリが突然飛び跳ねて、

彼女の耳に入り込んだ。


「-----ひっ!?!?!?」

百恵が、慌てて耳のあたりを払うー


だが、飛び跳ねたアリは、的確に百恵の耳の中に侵入したー


百恵が「え、、ちょっ!?」と慌てていると

突然、彼女の脳に、衝撃が走る。


百恵に侵入したアリが耳から脳に入り込んだ。


わたしはーー…??

あれ…???


わたしは…百恵…

わたしは・・・ももえ???

わたしは…・・・……あり…


百恵の思考が、アリに支配されていく。

そしてーー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ガチャ。


「ん…?」

正治が首を傾げるー


突然、玄関の音が聞こえたからだー


誰かが入ってきたのか、

それとも百恵がー?


だが、百恵が黙って出かけていくことは、基本、ないー


そんな風に思いながら、正治が玄関の方を見つめると、


ロングスカート姿の

百恵が靴も履かずに、

外へと出て行ったー


「???」

正治は不審に思い、後をつけることにした。


”靴を履かずに外に出ていく”

なんて、おかしいー


「-どうしたんだ?」

正治はそう思い、声を掛けようとするもー

”浮気とかじゃないよな…?”と不安になって

声をかけられないまま、百恵の後をつけていくー


”浮気”-

百恵の性格からして、それはないー

しかも、彼氏が家にいるときに急に出ていくなんて

バレバレの行為を取る人間など、まずいないだろうー。


百恵はおぼつかない足取りで、

何かを呟きながら、ひたすら夜の街を歩いていた


「わたしは、あり…

 わたしは、あり…」


そう聞こえた気がした。


「---どういうことだ?」

正治は首を傾げる。


”アリ”とは、何かー。

疑問に思いながらも、

正治が追跡を続けると、

彼女はとある廃ビルに辿り着き、

そこにそのまま入っていった。


「うっふふふふふふふ♪」

「あはははははははは~♡」

「えへっえへへへへへ♡」


中から複数の喘ぎ声が聞こえるー


そして異様なにおいがするー

正治は表情を歪めたー


”中で一体、何をしているー?”


正治が、ビルの入り口から身を隠すようにして

中を見つめるとー


そこには何百もの女性が、四つん這いになって、

縦横無尽に動き回っていた。


そして、中心には数人の男性がいて、

次々と女性に襲われて悲鳴をあげている


「こーーー、これはーーー」


四つん這いの女性が数百人。

それも生気のない表情で、うわごとを言いながら

徘徊している。


まるでーーー

アリのようにーー。


「わたしはアリーー」

「わたしはアリー」


喘ぎ声をあげる女性と、

”わたしはあり”だと呟く女性。


あまりの数の多さに俺は恐怖した。


”虫”のようにー

カサカサと徘徊する女性たちー


その時だった。

彼女の百恵の姿が目に入る。


服を汚し、四足で、倒れている男の顔にキスをしているー。


「も、、、百恵!どうしたんだよ!」

正治は慌てて近づいた。


百恵の動きが止まるー


「--い、、いったい、何を…!?」

正治が冷や汗をかきながら呟くー


この状況はいったいー?

訳が分からないー


百恵は、笑みを浮かべながら

正治の方を向くと、


こう、呟いたー


「私はーーーアリーー」


正治は、何が起きたのか理解できないまま、

そのまま百恵にー

他の女性たちに襲われーーーー

激しいエッチを繰り広げさせられる羽目になってしまったーー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1か月後。

廃ビルの入り口で死体が見つかった。


24歳の柳田正治という男性。

全裸の状態で、体には多数の体液が付着していたという。


警察は暴漢に襲われたものと見て

捜査を進めているが、いまだに犯人は特定できていない。


そして、この地域では、1か月前と変わらず…

女性の失踪も相次いでいたーーー。


おわり


・・・・・・・・・・・


コメント


「ヒアリ」というタイトルで、ずいぶん前に書いた作品を

リメイクしてみました~!

読み返してみたら、ヒアリである必要が特になかったので、

普通のアリに変えて、分かりやすく作り替えをして、

こんな感じになりました!!!


お読み下さりありがとうございました!!


※原作が今の作品よりも短いため、リメイク後のバージョンも

 短めです。

 そのため、100円プランでも読めるようにしてありますー!

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