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ネガティブ男子・船本勇夫と、

ポジティブ女子・金崎智美ー


入れ替わってしまったふたりは、戸惑っていたー


「どうしよう…どうしよう…

 僕が金崎さんの身体になっちゃうなんて…

 金崎さんの身体が腐っちゃう…」

智美(勇夫)が、あたふたしているー

目に涙を浮かべながら、ネガティブオーラを

溢れさせているー


「ちょーっと!待って!落ち着いて!」

勇夫(智美)が言う。


「--わたしの身体は腐らないし、

 別に怒ってないから大丈夫!」

勇夫(智美)の言葉に、智美(勇夫)は

「ダメだぁぁぁ…」と頭を抱えてしゃがみこんでしまうー


「--ま、、まずは落ち着いて…」

勇夫(智美)は、苦笑いしながらそう呟いたー


ようやく智美になってしまった勇夫が落ち着いたところで、

勇夫(智美)は対策を考え出すー


「これって、階段からわたしたちが落ちちゃったから

 入れ替わっちゃった、ってやつだよね」

勇夫(智美)の言葉に、

智美(勇夫)は、じーっと勇夫(智美)の顔を見つめていたー


「え…??な、、なに?どうしたの?」

勇夫(智美)がそう言うと、

智美(勇夫)は「え…い、、いや、、ぼ、僕が…

僕がじゃないみたいな…」と、モジモジしながら答えたー。


普段明るく元気な智美が、

モジモジしていると、違和感が半端ではないー


「あ~~~、ふふ、そうね~」

勇夫(智美)が笑うー


いつもハッキリと喋ることもしない勇夫にとってー

中身が智美になったことで、ハキハキと喋っている自分を

見るのは、とても新鮮であり、違和感もすごかったー


「でもホラ、船本くんの身体だって、

 こういう風に明るくなれるってことだよ!」

勇夫(智美)が笑顔で言うー


勇夫の身体がこんな笑顔を浮かべたのは、

いつぶりだろうかー。


「---僕にはムリだよ…」

落ち込んだ表情の智美(勇夫)ー


智美がこんな弱弱しい雰囲気なのはー

超レアと言えるだろうー

普段の智美は、少なくとも学校では

絶対にネガティブな部分は見せないー


「---…で、元に戻る方法だけど~」

勇夫(智美)が口を開くー


智美は最初、

”ポジティブになるチャンスだよ!”などと

勇夫を励ましていたが、

勇夫が想像以上に落ち込んでいるし、

早く元に戻った方がいいかな、と思い、

元に戻るための方法を色々と考えてみたー


「元に戻れるのかな…」

智美(勇夫)が目に涙を浮かべながら言うー

完全に女々しいモードになってしまっているー


”わたしの身体の方が以外と似合ってるんじゃ…”

などと、勇夫になった智美は苦笑いしながら、

”元に戻れる可能性のある方法”として

色々なことを提案してみるー


「--お互い、反対側から向かって走って、ぶつかってみる!」

勇夫(智美)が提案すると、

智美(勇夫)が目に涙を浮かべたー


「怪我しちゃうよ…」

とー。


「---…階段からもう一度転がりおちてみる!」

勇夫(智美)が2番目アイデアを提案するー


智美的には、これが一番元に戻れる可能性が高いと考えていたー

何故なら”階段から落ちて”入れ替わったのだからー

もう一度階段から落ちれば、同じことが起きる可能性は

十分にからだー。


「--死んじゃうよ…」

智美(勇夫)が言う。


「え…??あ…うん…じゃあ、危なくない方法だけでも試してみようか…?

 キスするとか」

勇夫(智美)が言うと、

智美(勇夫)がみるみるうちに、真っ赤になっていくー


そしてー

目を逸らしながら「金崎さんが腐っちゃうよ…」と呟くー


手まで赤くなり始めている智美(勇夫)-。


「-ーーえ…ええぇぇ…」

勇夫(智美)は

”どの方法も試せないじゃん…”と突っ込みを心の中で入れるー


「---戻れないよぉぉぉぉぉぉ」

その場で泣き始めてしまう智美(勇夫)


「えっ…ちょ!?泣かないで!?」

勇夫(智美)が慌てるー


智美(勇夫)が声を出して泣きだしてしまいー

周囲に他の生徒が集まり始めていたー


「え…あ、、、えっ!?」

勇夫(智美)が戸惑うー


周囲ががやがやと言い始めるー


「おい、あいつ、金崎さん泣かせてるぞ」

「なに言ったんだよ~?船本の野郎」

「金崎さん、大丈夫~?」


「--!!」

勇夫(智美)が表情を歪めるー


この状況ーー

まるで、わたしが泣かせてるみたいだー


とー。


「あ、、え、、、えっと、、ごめん!ごめんねー!

 なんでもないよ!だいじょうぶだいじょうぶ!」

勇夫(智美)は、慌てふためきながら、

泣きじゃくっている智美(勇夫)を別の場所に移動させたー


「--と、とりあえず!」

勇夫(智美)が言うー


「寝れば治るかもだし!一度今日は帰ろうか!

 遅くなっちゃったし!」

勇夫(智美)の言葉に、

智美(勇夫)は「え…」と表情を暗くするー


「--帰るって…このまま?」

智美(勇夫)の言葉に、

「--だって…ずっと家に帰らないわけにもいかないでしょ?」と

勇夫(智美)が呟くー


智美(勇夫)は、困り果てていたが、

ようやく、目に涙を浮かべながら、

お互いのフリをして、お互いの家に帰ることを承諾したー


必要な情報を交換する智美と勇夫ー


分からないことがあれば、スマホで連絡をー、と

勇夫(智美)が言うとー

「---れ、、連絡取れないし」と智美(勇夫)が呟くー


「---?」

勇夫(智美)が首をかしげるー


「--か、、金崎さんの連絡先…知らないし」

智美(勇夫)の言葉に、

「--今、交換すればいいでしょ」と、勇夫(智美)が言うー。


「--え…だ、、だめだよ…僕が、金崎さんの連絡先を

 知ったりなんて…だ、、、だめだよ…」


「--勝手にダメにしないの!わたしがいいって言ってるんだから

 いいの!」

強引に連絡先を交換すると、

勇夫になった智美は、「明日朝、起きて元に戻ってたら

めでたしめでたし!」と、笑うー。


「---あ、、あの…トイレとか…着替えとか…どうしよう…」

智美(勇夫)が真っ赤になりながら言う。


「---う~ん…」

勇夫(智美)はそうは言いながらも、すぐに

「行かないわけにはいかないでしょ?

 わたしも、船本くんの身体、少し見ちゃうことになるし、

 まぁ…それは仕方ないよ。

 船本くんなら、わたしの身体で悪さしたりしないだろうし…


 …ってか、トイレとかちゃんと言ってね?

 金崎さんの身体見れない~~!見たら腐っちゃう~!とか言って

 お漏らししないでよね???」


苦笑いしながら勇夫(智美)が言うー。

漏らされた方が、腐っちゃうよ!と、冗談を言いながらー


智美(勇夫)は困惑しながらも、ようやく頷いたー


・・・・・・・・・・・・・・・


ふたりは、それぞれの家に帰宅したー。


「---ただい…ま」

智美(勇夫)は小声でそう呟くー

表情は、ものすごく暗いー


「--あ、智美おかえり~!」

姉らしき人物が、出迎えてくれるー


「今日は遅かったね?何かあったの~?」


”入れ替わった”ことで、いろいろ話をしていたから

帰るのが遅くなってしまっていたー


「ぁ…ご、、ごめんなさい…」

智美(勇夫)は思わず謝ってしまうー


「--ど、どうしたの?べ、別に怒ってないよ??」

姉が心配そうに言う。


「ぅ…ご、、ごめんなさい…ごめん・・・」

智美(勇夫)は暗い表情でそれだけ呟くと

うつむいたまま、学校で勇夫になった智美から

教えてもらった自分の部屋に向かったー


部屋に入る智美(勇夫)-


「うぅぅぅ…金崎さんの部屋を覗くなんて… 

 ごめん…ごめん」

智美(勇夫)は目を瞑りながら部屋に入ると、

そのまま部屋の中央に座ったー


”女の子の部屋を見ちゃだめだー”

”女の子の部屋を見ちゃだめだー”

呪文のようにそれを繰り返す智美(勇夫)


やがて、トイレに行きたくなってきてしまい、

必死に我慢し始めるー


冷や汗が出て来る智美(勇夫)-


「うぅぅぅぅぅ……ダメだよぉぉぉぉ」

智美(勇夫)が必死に我慢するー


これ以上はーー

と、思いながらスカートに手を触れて、

慌てて手を離すー


「うぁっ…ごめんなさい!」

スカートに手を触れたことをひとり謝る智美(勇夫)-


”漏らさないでよ”

そう言われたことを思い出して

慌ててトイレに向かうー


「--ちょ!?真っ青になって、どうしたの!?」

今度は母親が驚くー


トイレに駆け込んだ智美(勇夫)は、

混乱したままトイレに座って、

「うああああ…ごめんなさいごめんなさい!」と呟きながら

女の子としてのトイレを済ませたー


「----あぁぁぁ…」

部屋に戻ってもドキドキが止まらない智美(勇夫)ー


心臓が、張り裂けてしまいそうだー。

それもそのはず、

勇夫は、女性の下半身など、見たことがないー

あまりの恥ずかしさと背徳感のようなもので、

押しつぶされそうになってしまっていたー


「うぁぁぁ…ダメだぁ…僕は最低だぁ…僕は変態だぁ…」

頭を抱えてしまう智美(勇夫)


智美の髪に手が触れて

「うぁっ!ごめんなさい!」と一人叫ぶー


こんな状況ではー

何もすることなどできず、

智美(勇夫)は部屋の隅っこで、

ずっと目を瞑って体育座りを続けていたー


とてもー

智美の身体を楽しむ、などという発想に至るような状況ではなく

ただ、ずっと体育座りを続けていたー


・・・・・・・・・・・・


一方ー


勇夫になった智美は、

”めったにできない体験”として

帰宅してから、物珍しそうに勇夫の部屋を見つめていたー


「すっご~!意外と細かいのかな~!」

模型のようなものを見つめて勇夫(智美)は

目を輝かせるー


「男の子として着替えを経験するとか、

 すっごい体験!」


勇夫とは思えないぐらいに

明るく、嬉しそうに着替えると、

部屋の椅子に座って、

”だいじょうぶかな~?船本くん”などと

考え始めるー


「あ、そうだ、トイレも済ませておこ~!」

男のコとして、立ったままするー、ということも

一度は経験してみたかったー。


「そもそも、ちゃんと出来るかなぁ…」

汚しちゃったら、大変、と思いつつ、

それでも、初めての経験に前向きな智美は

ワクワクしていたー


「寝れば戻ってるかもだし、

 超貴重な経験になるかも!」


そんな風に、思っているとー

勇夫(智美)の耳に怒号が聞こえてきたー


「-----え?」

勇夫(智美)が”なになに”と思いながら

怒号のするリビングを見つめるとー

勇夫の母親と父親と思われる人物が

昼間から激しく怒鳴り合いをしていたー

そこに、勇夫の兄と思われる人物も参戦していてー

殴り合いに発展しているー


「ちょ!?ちょっと!?」

勇夫(智美)は思わず止めに入ってしまったー


だがー


”船本家の状況”を知らない智美の行動は

”悪手”だったー


逆上した父親に殴られー

兄に罵倒されー

母に笑われたー


放り出された勇夫(智美)は

部屋に逃げ込み、”ど、、どういうこと…?”と

戸惑うことしかできなかったー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


入れ替わってしまった二人の運命は…?

続きはまた近日中デス~!


※「ネガティブ⇔ポジティブ」は今月中に完結予定デス!

(月跨ぎをするとFANBOXでは読めなくなってしまう人も

 いらっしゃるかもしれないので、毎月、長編と週1回連載のお話以外は

 出来る限り月を跨がないように、完結させています)


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