<MC>お前の彼女は俺たちのパシリだ④~裏切り者~ (Pixiv Fanbox)
Content
「穂乃香…」
文哉は絶望の表情を浮かべていたー
龍一郎たちに、穂乃香は洗脳されているー
このままでは、穂乃香はどんどん変わって行ってしまいー
身も心も、アイツらのパシリになってしまうー
「----急に朝早く呼び出して、
いきなり洗脳とか、あり得ないでしょ!?!?
いくら文哉だからって、わたし、怒るよ!?」
穂乃香の怒りの形相を思い出すー
穂乃香は完全に洗脳の術中にあるー。
教室に戻った文哉はー
朝の学活が始まる前にー
B組の教室を訪れたー
穂乃香が龍一郎ら不良とゲラゲラ笑いながら
楽しそうに話しているー
もはやー
龍一郎ら3人に、完全に洗脳されて、
穂乃香は3人に溶け込んでしまっているー
早くー
早く、助けなくてはー
「--…今日の放課後ー」
文哉がB組の教室に入り、龍一郎らに向かって
歩いていきながら言うー。
「今日の放課後、話がある」
文哉が怒りの形相で言うー。
「--文哉?どうしたの?怖い顔して?」
龍一郎と喋っていた穂乃香が笑うー
「--へへ、穂乃香の言う通りだぜ?
どうしたんだよ、怖い顔して」
龍一郎が笑みを浮かべるとー
文哉は動じることなく、龍一郎を睨みつけるー
「ーお前らが穂乃香を洗脳してることは分かってるー
そのことについて、話がある」
文哉の言葉に、穂乃香が「え?ちょっと、文哉、
まだ洗脳とか言ってんの?」と表情を歪めるー
「---穂乃香を元に戻せ」
文哉の言葉に、ロン毛の達平が笑うー
「---はははは、洗脳~?なんのことかなぁ~?」
とぼける達平ー
拳を握りしめる文哉ー
今にも爆発してしまいそうなほどの怒りー
「--いい加減にして!」
穂乃香が叫んだー
「穂乃香、俺を信じてくれ!
これは穂乃香のためなんだ」
文哉がそれだけ言うと、再び龍一郎の方に視線を向けるー
龍一郎は笑ったー
「--いいだろう。放課後、じっくり話を聞いてやろうじゃねぇか
いいよな?達平」
リーダー格の龍一郎が言うと
”洗脳”使いのロン毛の不良・達平は頷いたー。
眼鏡をかけた卓は気まずそうにしているー
「---穂乃香は、絶対にお前たちの好きにはさせない」
文哉はそれだけ言うと、B組の教室から
外に出て、自分の教室へと戻って行ったー
自分の教室に戻ると、
B組の教室に遊びに行っていた穂乃香も戻ってきたー
そしてー
パチン!!!
穂乃香が、文哉の頬を思いっきりビンタしたー
「---っ…穂乃香…?」
文哉が戸惑うー
「--最低。何が洗脳よ!わたしを馬鹿にしてるの?」
穂乃香が怒りの形相で叫ぶー
「--ち、、違う…!違うんだ穂乃香!
さっきも言ったけど、穂乃香はあいつらにーー」
「--洗脳なんか、されてない!!!」
穂乃香が目に涙を浮かべながら叫ぶー
「--どうして??どうしてそんなこと言うの???
彼女の言うこと、信じられないの????
急に洗脳されてるとか言われて…
酷いよ…」
穂乃香がその場で悲しそうに泣き出してしまうー
「--ほ、、穂乃香」
文哉は周囲のクラスメイトたちを見つめるー
非常に立場の悪い状況ー
達平たちが”あえて、文哉に対する好意”を
そのままにしているのはー
”こういうこと”にするためー。
穂乃香に対し、”彼氏は敵だ”などと洗脳すれば
仲を引き裂くことは簡単だー。
だが、それではつまらないー
他の部分だけを洗脳していきー
こうして”心から”愛情を引き裂いていくー
C組の教室の外から、
そのやり取りを見つめていた龍一郎と達平は笑ったー
「----ー」
だがー
不良三人組のひとり・卓は笑っていなかったー
彼は”洗脳”という行為自体に引け目を感じていたー
ここ数日で、穂乃香は、まるで別人のように変わってしまった。
その力に、恐怖を感じているのだー。
「---おい」
龍一郎が、卓の方を見る。
「な、なんだよ?」
卓が、ビクッとしながら返事をする。
「--あいつに”洗脳”のこと教えたの、テメェだろ?」
龍一郎が、卓を睨むー
「---!」
卓が表情を歪めるー
そうー
文哉に”彼女は洗脳されている”と告げたのは卓だー。
「---放課後。楽しみだな」
龍一郎は脅すようにそう言うと、
達平もニヤニヤしながら卓を見つめたー
卓は、足がすくんでその場から動くこともできなくなってしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・
昼休みー
「---何があったの?」
穂乃香の親友で演劇部の部長である順子が、
朝の”ビンタ騒動”のことを聞いてきたー
”洗脳”のことを言うべきかどうかー
文哉は悩んでいたー
だがー
言わないほうがいいー
洗脳なんてことが広まれば、穂乃香が余計に傷つくだけだー。
「----……」
順子は、文哉の方を見つめると、
”言えない事情がある”と悟るー。
「--わかった…でも…
これだけは忘れないで」
順子が言う。
「--わたしは、穂乃香と、加賀山くんのことを
応援してる。
何が起こってるか知らないけど、負けないで」
順子の言葉に、
文哉は「ありがとう」と、力強く答えたー
穂乃香は、周囲に対して高飛車な態度を取り始めているー
これも”洗脳”の影響だー
さっきも鞄の中に煙草を忍ばせているのを確認したー
常習的に、穂乃香は喫煙しているー。
早くー
早く、止めないとー。
そうこうしているうちに、5時間目が終わりー
6時間目が終わるー。
”放課後”がやってきたー
龍一郎・達平・卓の三人を屋上に呼び出してあるー
恐らく、穂乃香も一緒に来るだろうー
卓は、文哉に対して”洗脳”のことを教えてくれた人物だが
卓には、良心が残っていた可能性もあるがー
結局は、龍一郎・達平と同類に過ぎないし、
裏切る可能性もあるー
文哉はため息をついて、屋上に向かおうとするー
「--おい、加賀山」
廊下を歩いていると、
体育教師の穂塚に呼び止められたー
いつもジャージ姿の、熱血体育教師だ。
「---え、あ、はい…」
戸惑いながら文哉が振り返ると、穂塚が口を開いたー
「ーーお前の彼女の尾崎…」
穂塚先生が近づいてくるー
”尾崎”とは、穂乃香のことだー。
「--…」
嫌な予感を覚えながら、文哉は穂塚先生の方を見るー
穂塚先生は校則違反に人一倍厳しいー
「--最近、コソコソ隠れて、煙草吸ってないか?」
穂塚先生が言うー。
「--!」
文哉がドキッとしてしまうー
穂乃香の喫煙のことは隠しているー
穂乃香が本当に自分の意思で喫煙しているのであれば、
龍一郎ら不良にしたのと同じように
先生に報告するー
生徒会副会長として、正義感溢れる文哉は
例え相手が彼女であっても、そうするだろうー
だが、今の穂乃香が喫煙しているのは
”自分の意思”ではないー。
「-----俺の目をごまかそうたってそうはいかない」
穂塚先生が言うー
「--尾崎、最近空き教室とか、トイレで
隠れて煙草吸ってるだろ?
B組の柄の悪いやつらとつるんでるみたいだしな」
穂塚先生の言葉に、
文哉は”返事”を慎重に考えるー
ここで、”返事”を間違えば
最悪、穂乃香は停学処分になる可能性すらあるー。
穂塚先生が、なぜ穂乃香ではなく文哉に
聞いてくるのかは知らないが、
とにかく、直接穂乃香に質問されるのもまずいー。
今の”洗脳”された穂乃香は、先生に対しても
反抗的な態度を取る可能性は十分に考えられるからだ。
とにかく、穂塚先生を止めないといけないー。
「---あ、、あの…」
文哉が口を開くー
「--ほ、、穂乃香はそんなことしません」
文哉が断言するようにして言う。
「-ほぅ?」
穂塚先生が文哉の方を見つめる。
「--絶対にーー」
文哉は、強いまなざしで穂塚先生を見つめたー
穂塚先生に小細工は無用ー
強い意志で、勝負するー
文哉はそう考えたのだったー
「----彼女を、庇うのか?」
穂塚先生が言うー
「いえ、事実です」
文哉が、即答するー
「---お前が停学になるかもしれないぞ?」
穂塚先生が”脅し”をかけるー
”彼女を庇うなら停学になるのはお前だぞ”とー。
「---俺も、穂乃香も、停学にはなりません」
文哉はそう言い放つと
「失礼します」と頭を下げたー
屋上で話をつけるー
穂乃香を洗脳から救い出しー
龍一郎たちに真実を話させるー
そうすれば、いいだけの話だー。
「----」
立ち去っていく文哉の方を見つめて、穂塚先生は舌打ちをしたー
・・・・・・・・・・・・
屋上ーーー
「--ーー裏切り者に地獄を見せてやれ」
ロン毛の達平が穂乃香を”洗脳”していたー
「うん」
穂乃香がうなずくー
龍一郎が笑いながら、その様子を見ているー
「--ま、、待ってくれ」
眼鏡をかけた卓が悲鳴を上げているー
「---…裏切り者はゆるさない」
洗脳された穂乃香が近づいてくるー
「--ひ…お、、俺は…!
お、、尾崎さん!い、、いいのかよ!?
お前、洗脳されてるんだぞ!?」
卓が叫ぶー
卓は”洗脳のことを文哉に伝えた裏切り者”として
粛清されようとしていたー
「---どいつもこいつも…」
穂乃香が歯ぎしりしながら呟くー
「わたしは洗脳なんかされてない!」
穂乃香がグーで卓を殴りつけたー
「おっほ!!真面目な優等生の暴力だ!」
達平が笑いながら叫ぶー
あの穂乃香を洗脳でここまで変えてやったー
躊躇なく、人に暴力を振るう穂乃香を見て
達平は興奮していたー
「--や、、やめてくれ!やめてくれ!」
逃げまどう卓を穂乃香は追い回して
壁に押し付けたー
「--謝りなよ」
穂乃香が表情を歪めて言うー
「--だ、、だれに!?」
卓がおびえながら叫ぶー
「-龍一郎と達平に謝りなさい」
穂乃香が冷たい口調で言うー
完全に洗脳されている穂乃香は、
龍一郎と達平の代わりに、卓に”お仕置き”をしているー
「---だ、、だから…お前は洗脳されてるんだよ…!
目を覚ませよ!」
卓が叫ぶー
「--されてねぇよ!!!!!!!!」
穂乃香がぶち切れた口調で叫んだー
「--ひっ!?!?」
卓が尻餅をついてしまうー
穂乃香が卓を掴んで屋上の中央の方に押し飛ばすー
卓の眼鏡が吹き飛ぶー
「--裏切り者!」
「--裏切り者!」
龍一郎と達平が、手を叩きながらコールをしているー
「おじけづきやがって!
洗脳のこと、あの正義の副会長野郎に伝えたんだろ?」
龍一郎が言うと、
卓は「だ、、、だって…こ、、これ、やべぇって!」と叫ぶー
洗脳された穂乃香の方を指さすー
「こ、、これ、、やりすぎだろ!?!?
おかしいと思わねぇのか!」
卓が叫ぶー
「--…っ」
ロン毛の達平が不愉快そうに、舌打ちするー
「--おい、穂乃香!こいつ、ボコボコにしてやれ」
達平が言うと、穂乃香は「うん!」とほほ笑むー
穂乃香は停学になるだろうー
だがー
それも、また、面白いー
正義の副会長がどうするか、楽しみだー
「--や、、やめ…」
悲鳴を上げる卓ー
穂乃香は容赦なく卓の顔面を蹴り飛ばしたー
スカートがふわっと舞うー。
倒れた卓の上に乗ってー
卓を何度も何度もビンタするー
「--裏切り者は、許さない」
穂乃香が鋭い目つきで卓を睨むー
龍一郎と達平が”自分の手を汚すことなく”
裏切り者の卓を傷めつけるー
「--た、、助けて…」
卓が悲鳴を上げるー
穂乃香が、もう一度、卓をビンタしようとしたその時だったー
「やめろ!!!!!!!!!」
穂塚先生との会話を終えてー
屋上にやってきた文哉が叫んだー
「お~~~!正義の生徒会副会長さんのお出ましか」
龍一郎が笑うー
「---」
ロン毛の達平がニヤリと笑みを浮かべるー
「---あ、文哉!」
穂乃香がほほ笑むー。
「---穂乃香…もう、、もうやめてくれ」
文哉はそれだけ言うと、
穂乃香から視線を逸らして、龍一郎と達平を睨んだー
「--穂乃香を、元に戻してもらうー」
決意の眼差しで二人を見つめる文哉ー
文哉も”無策”でここに来たわけではないー
”勝算”があって、ここにいるー。
”フィナーレ”の幕が上がろうとしていたー
⑤へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回デス~!
果たして、登場人物たちの運命は…?
ぜひお楽しみくださいネ~