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”俺はずっと、純玲ちゃんの側にいるよ”


「ひひひ…」

母親の留美子までも、ストーカー男の譲治に憑依されてしまった。


ニヤニヤと笑う留美子ー


晩御飯を支度していた母・留美子が、支度を放り出して

よたよたと、純玲の方に歩いてくるー。


「え…嘘…やめてよ…ねぇ、お母さん…やめてよ!」

純玲が泣きながら言うー。


「---へへへへ…綺麗な唇だなぁ…純玲ちゃん!」

母の留美子が、乗っ取られたまま

実の娘にキスをするー


はぁはぁ、と母親が女として、興奮しているー


「やめて!お母さん!やめて!」

悲鳴を上げてもがく留美子ー


母・留美子は完全に譲治に乗っ取られているー

純玲の胸をわしづかみにして、

「純玲ちゃん、、へへ…ひひひひひっ♡」と

嬉しそうに笑っているー


「やめてってば!」

純玲が泣き叫ぶー


「--純玲ちゃんは、、俺のものだぁぁぁ…

 ずっとずっとずっと、俺は純玲ちゃんと

 一緒にいるんだぁぁぁ…」


ストーカー男・譲治の悪霊は

恨みをさらに増幅させて、暴走状態にあったー


母・留美子の身体が激しく興奮しているー

譲治の意のままに、実の娘を襲って

興奮しているー


「お母さん!目を覚まして!」

純玲が泣きながら言うー


留美子はそんな娘の涙などお構いなしに、

純玲の制服を脱がそうとしているー


「えへへ…純玲ちゃんの…ひひひ♡」


「やめてぇ!」

純玲が、留美子を振り払うー


留美子が背後の台所に激突して、

これから使おうと思って、ちょうど開けていた油の容器が

倒れるー


「---!」

留美子が目を見開くー


火がついたままのガス台と

中途半端に用意された状態の台所に油がーー


ゴォォオオオオオオオ


炎が一気に広がるー


「ひぃいああああああああっ!」

母親の留美子が炎に包まれるー


「う、、うそ…」

純玲が信じられないという表情で留美子の方に向かうー


「--ど、、どうしたの!?」

2階から降りてきた姉の海美が叫ぶー


さっきまで、ストーカー男に乗っ取られていた海美が

正気を取り戻して1階に降りてきたのだったー


「--え…おかあさ、、、あぅっ!?」

海美が、純玲の背後で震えるー


それに気づかず、悲鳴を上げている母・留美子を

助けようとする純玲ー


自宅の火が燃え広がるー


「--ーーお母さん!お母さん!」

純玲が、留美子を助けようとするー


しかしー


「うひっ♡」

背後から姉の海美が、純玲の胸を触ったー


「--ちょ!?お姉ちゃん!?」

純玲が怒鳴り声をあげるー


この状況に、もう、何も考える余裕がなかったー


お母さんを助けないとー

家の火を消さないとーー


「--うひひひひひ 純玲ちゃぁぁぁぁぁん」

再び乗っ取られた姉・海美が笑うー。


「離して!離してよぉ!!!」

もがく純玲ー


海美はお構いなしに、はぁはぁ♡と荒い息をしながら

純玲に襲い掛かるー

炎が上がる中ー

母親の安否など心配せずに、乱暴に実の妹にキスをする海美ー


海美の身体は、男に乗っ取られて

激しい興奮を感じているー

何もかも、男の意のままに操られている海美ー

実の妹を前に、欲求を爆発させているー


「--…変態!!!!最低!!!!

 わたしはあんたを絶対に許さない!」

純玲の怒りが爆発するー


ストーカー男に対する、この上ない怒りー


「----…!」

海美が表情を歪めるー


「--お姉ちゃん!ごめん!」

純玲は隙をついて海美を足で突き飛ばすと、

そのまま炎に巻き込まれた母・留美子の方に駆け寄るー


海美がゲラゲラ笑いながら

「純玲ちゃぁぁぁ~ん!」と叫んでいるー。


それを無視してー

スマホで必死に救急車を呼びながらー

純玲は、泣き叫ぶようにして

母を助けようとしたー


火は燃え広がりー


純玲は、母を失ったー。


家もー。


「どうして…」

純玲自身も火傷をして、入院することになってしまうー


姉の海美も同じく、火傷を負ったー。

海美の火傷は、純玲よりもさらにひどかったが、

命に別状はなかったー。

だが、”ストーカー男”に乗っ取られている間の記憶は海美にはなかったー。


「---どうして、こんなことにー」

父・太一が、唖然としながら怒りに拳を震わせているー。


「---お父さん…」

純玲が言うと、太一は「ごめんな…」と娘である純玲を

抱きしめたー


「---」

涙が溢れて来るー

”ごめんってあやまるのは、わたしのほうー”

そんな風に思ったー


わたしを付け回していた、あのストーカーが

全ての元凶なのだからー。


「---純玲…!!」

親友の和枝が、病室に駆け込んでくるー


家の火災を聞きつけて、お見舞いにやってきたのだったー。


「---…じゃ、俺は」

父の太一が、娘の親友と娘を二人きりに

してあげようと、配慮して一旦病室の外に出るー


しかしー


「----純玲ぇぇ~~♡」

親友の和枝が、純玲の方を見て、よだれを垂らすー


「----!!!」

純玲が、心臓が止まるような思いをしながら和枝を見るー


「--逃げられると思うんじゃねぇぞ?」

和枝が低い声で純玲のベットに乗りながら

純玲の方を脅すような目で見つめるー


「--あ、、あんた…今度は和枝に…」

純玲は、震えが止まらなかったー


怒りと、恐怖でーーー


だがーー

純玲はーーー


怒らなかったー

怖がりもしなかったー


「お願い…もう、、やめて…」


純玲が泣き出してしまうー


「---あ?」

和枝が不満そうに純玲を睨むー。

和枝も、”完全に”乗っ取られているー


「--狙いは、わたしでしょ…?

 お願いだから、もうこれ以上、

 わたしの大事な人たちを巻き込まないで…!」

純玲が、心からの涙をこぼすー


「------」

和枝が少しだけ表情を暗くするー


元々、ストーカー男は”目の保養”と、

純玲を見つめて楽しんでいるだけだったー

それも、立派なストーカーではあるし、

許されることではない。


けれど、元々は純玲に危害を加えるつもりなんて

なかったし、純玲が楽しそうにしている姿に

癒しを感じていたー


その純玲を今ー

ストーカーである譲治自身が、怖がらせてー

そしてー、泣かせてしまっているー。


「---……わかったよ」

乗っ取られたままの和枝がそう呟くと、

純玲のベットから離れるー。


病室の中で和枝は、純玲を見つめながら呟くー


「--俺は…純玲ちゃんを見ているだけで

 幸せだったんだー。

 楽しそうな純玲ちゃんを見ているだけでー」


落ち込んだ様子の和枝ー。

和枝が”俺”と言ったり、

いつもと違う様子でしゃべっていることに

純玲は強い違和感を覚えると同時に、

”早く和枝を助けてあげたい”と思ったー。


「--笑っている顔ー

 --楽しそうにしている顔…

 そんな純玲ちゃんを見ているだけで、俺は幸せだった」

和枝がいつもより低めの声で呟く。


「でも…いつの間にか俺は

 純玲ちゃんを怖がらせて…

 純玲ちゃんから大切なものを奪って…

 純玲ちゃんから、笑顔を消してしまった…」


和枝はそう言うと、

突然、病室の中で土下座をしたー


和枝が髪を垂らしながら病室で土下座しているー


「本当に、申し訳なかったー」


「--ちょ、ちょっと!」

純玲が思わず叫ぶー


「わ、、わたしの友達の身体で、そんなことしないで!」

純玲が怒り混じりで叫ぶと、

和枝は顔を上げたー


「----」

和枝を乗っ取っている譲治には、もう身体はないー

純玲に拒絶されたせいで事故を起こして

死んでしまったからー。


「---もう…純玲ちゃんを付け回したりしないよ…

 純玲ちゃんの友達にも家族にも、知り合いにも、

 憑依しない


 本当に、申し訳なかったー…


 俺は、純玲ちゃんの笑顔が大好きだったからー…

 その俺が…笑顔を消してしまうなんて


 すまなかった」


何度も何度も和枝の身体で謝る譲治ー。


純玲は「もういいので」と、泣きながら言うー


どんなに謝られたところで、

母親の留美子も、友達の比奈も帰って来ないー


今、憑依されている和枝だって、

憑依されていた友人の美由子も、姉の海美も

みんなみんな傷ついているー


父の太一だって、家族を失った悲しみで

深く傷ついているだろうー。


今更謝られたとしても、

もう、遅いー。


「---…わたしは、あなたを絶対許さない」

純玲が言うと、

和枝は悲しそうに頭を下げたー


「----本当に、申し訳ありませんでした」


「--二度とわたしの前に姿を現さないで!

 二度とわたしの大切なヒトたちを傷つけないで!」


純玲が泣き叫ぶと、

和枝は「約束します…」と頭を下げて、

そのまま意識を失い、病室の中に倒れたー


「---和枝!」

純玲が叫ぶー


だが、幸い、和枝はすぐに目を覚ましたー

「すみれ…???わ、わたしは…?」

戸惑う和枝ー


純玲はなんとか、和枝を落ち着かせると、

悲しそうに病室の外を見つめたー


心の傷は、簡単には癒えないー

純玲に、笑顔が戻ることはなかったー


純玲は、それからしばらく入院生活を送りー

ようやく退院した。

姉の海美も退院したもののー

家を失い、母を失った家族の心の傷は深かった。

父親の太一も落ち込みがちになった。


母・留美子はもう帰って来ないー。


そして、純玲にとっては

”友達”のひとり、比奈の命も奪われてしまった。

親友の和枝も、友人の美由子も

激しく落ち込んでいる様子だー


「----」


ストーカー男が大好きだった

”楽しそうな純玲”

”笑顔の純玲”は

もう、戻ってこないー


自分自身がそれを奪ってしまったー


でもーーー


「--また明日~!」

純玲は笑いながら、和枝と美由子に手を振るー。


ストーカー男の譲治が大好きだった

笑顔を浮かべて、純玲が下校していくー。


ストーカー男の譲治は、純玲の笑顔に魅せられたー

ホームレスという地獄のような生活の中に

光が差し込んだ気分だった。


純玲の笑顔は、何よりも美しかったー


そうだー

最初から、こうすれば良かったんだー。


「ただいま~~~!」


父・太一が手配した”新しい家”に帰宅する純玲ー


純玲は、部屋に入ると、

可愛らしい笑みを浮かべたー


最初から、こうすれば良かったー


「---俺が純玲ちゃんになればよかったんだー」

純玲が、邪悪な笑みを浮かべたー。

退院した後ー

純玲は、ストーカー男の譲治に憑依されてしまったー


もう、純玲ちゃんを付け回したりはしないー

”俺が”純玲ちゃんになるからー


もう、純玲ちゃんの大切なヒトたちに憑依はしないー

純玲ちゃんそのものに憑依するからー


純玲ちゃんの笑顔を消しちゃってごめんねー。


でも、大丈夫ー

俺が、きみを笑顔にしてあげるからー


「--わたしは、純玲…クスッ♡」


乗っ取られた純玲は、嬉しそうにそうほほ笑んだー


「こうすれば…いつも一緒だねー。

 いつもいつも、純玲ちゃんを見ていられるねー」

純玲はそう呟きながら

顔を赤くして、自分の映る鏡に、優しくキスをしたー



おわり


・・・・・・・・・


コメント


ポゼッションストーカーの最終回でした~!

最後は、ストーカーが行きつくところまで

行ってしまった感じですネ~!


お読み下さり、ありがとうございました!!




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