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コンビニの店内に入ってきた男は、

目を疑っていたー


それも、そのはずー

コンビニの店内はまるで誰かが暴れたかのように無茶苦茶だ。


弁当は散らかり、

棚は全て倒されている。

そして、その中心に、

乱れきった朱里がいる。


朱里とは思えないような、凶悪な笑みを浮かべた朱里ー


髪は乱れ、

服は汚れている。

手には切り傷が出来ており、血も流れている。


「---何見てるの?」

朱里が冷たい声で言うー

うすら笑みを浮かべて、

店内に入ってきた男を見下すようにー


顔は少し赤らんでいるー


一瞬、男は泣いたのか?と思っていたがー

そうではなかったー

今の朱里は、コンビニに対する復讐心で支配されているー

顔が赤らんでいるのはー

コンビニを滅茶苦茶にしてやったという達成感で

興奮しているのだー。


「お…おい、なんだよこれ?

 大丈夫か?」

男は問いかけるー


男は、朱里の彼氏で

同じ大学に通う瀬田川 亮(せたがわ りょう)-。

バイト上がりの朱里を迎えに来て、

そのまま二人でご飯を食べたり、買い物をしたり、という

約束をしていたのだった。


だがー

コンビニの光景を見て、亮は戸惑うことしかできなかったー


明らかにー

”何か”があったー。

そんな光景だったからだ。


強盗かーー?

強盗と争ううちに、手に傷を作ってしまったのか・・・?


「--朱里…け、、警察呼ぶか…?

 何があったんだ?」

強盗にでも襲われたと判断した亮は、

朱里にそう呼びかけるー


しかし、朱里はクスクスと笑ったー。


「大丈夫~~?フフフ…

 私は大丈夫よ♪

 今、すっごい良い気分なの!」


朱里は満面の笑みで言う


亮は戸惑う。

コンビニ強盗の仕業ーー

とも、思っていたのだが

それにしては、朱里の様子がおかしいー。


しかし、このコンビニのありさまは??


「おい、朱里、手から血が…」

血が床に垂れている。

とりあえず、朱里にそのことを伝える亮ー


しかし、朱里は気にも留めず言う。


「あはは、、別にいいじゃない、

 わたしは困らないし?」

そう言うと、服で乱暴に血をふき取った。

そして、傷口をペロリと舐めて、

血が混じった唾をその場に吐き捨てる朱里ー。


「お、、、おい!何してんだよ朱里!」

亮はたまらず、朱里に近づいて腕をつかんだ。


「止血しないと」

亮が、ポケットからハンカチを取り出し、

朱里の傷口を止血しようとすると、

突然、朱里は亮にキスをしたー


「んっ…♡」

そのまま朱里が舌を亮に絡めさせようとするー


亮はあわてて朱里を振り払った。


「おい、ここどこだと思ってるんだよ!」

亮は思わず声を荒げたー


状況が分からないー

朱里の怪我も心配だー

焦りばかりが膨らんでいくー


「どこって?コンビニじゃない

 恨んでも恨んでも足りないコンビニ。

 だからこうやってぶっ壊してやったの♪

 凄いでしょ?」


朱里はそう言うと、亮に対して可愛らしくウインクした


そういえば、酒の匂いがする

亮が、そう感じてー

朱里の方を見るー


”まさか、朱里が酔って暴れたんじゃ…”

と、いう嫌な予感が亮の中で膨らんでいくー。


「おい・・・朱里、まさか酔って?」

亮が恐る恐る聞くと、朱里は微笑んだ


「お前・・・どうしちゃったんだよ・・・おい!」

亮は朱里の肩をつかんで揺さぶった。


「・・・うっせぇんだよ!」

突然、朱里が大声で怒鳴った。


「あ・・・朱里・・・?」

亮はうろたえたー

心優しい朱里とは思えない凶悪な言動ー

一体、朱里はどうしてしまったのか。


「お前、本当に馬鹿だな、

 教えてやるよ。

 今、この女はな、俺に体を乗っ取られてんだよ。


 だから、こうして、コンビニをぶっ壊したりすることも

 できるってことだ」


朱里が可愛らしい声で乱暴な言葉を口にする。

朱里が、絶対に口にしないような言葉をー


「な…なんだと…?」

亮は、信じられないという思いで言葉を口にするー


”朱里が乗っ取られている

そんな馬鹿な”

とー。


朱里は舌打ちをすると、

口を開いたー


「・・・言葉もでねぇか?

 信じられねぇってツラだな おい」

朱里が俺を睨みつける。


こんな朱里の顔は見たことが無いー

亮は、冷や汗を額から流していくー。


「・・・この女も可哀想にな。

 俺はこのコンビニに復讐しようと思ってた。

 でよ、バイト一人になるのが今日だけだったってわけよ。

 で、たまたまコイツがその一人のバイトだった。

 

 誰でも良かったんだよ。

 コンビニに復讐できればな」


そう言いながら、朱里がタバコに火をつけるー


「おい、やめろ!朱里を返せ!

 朱里の体でたばこなんか吸うな!」


亮は必死に叫んだ。


朱里がこんなことするはずがない。

と、すれば朱里は本当に・・・


すると朱里が狂ったように笑い始めた


「安心しろよ、もう出てくよ、言われなくてもな。

 もう次のバイトの子が店に来るころだ。

 面倒ごとはごめんなんでな」


朱里はニヤついた顔で俺を見る。

亮の事を心底見下している。


あの優しい朱里がーー

こんな顔をするなんてーーー


「--ぷは~」

朱里が煙草の煙を吹きだすと、

そのまま頭をぐしゃぐしゃに掻きむしるー。


満足そうにコンビニの店内を見つめる朱里ー


”復讐成功ー”

朱里が、悪魔のような笑みを浮かべるー


朱里本人は喜んでいないのにー

乗っ取られた朱里は、ゾクゾクするほどに

喜んでいるー


「あ~~~楽しかった!

 朱里 大満足♪」


朱里が可愛らしいしぐさで飛び跳ねる


「や・・・やめてくれ!朱里をもてあそぶな」

亮がたまらず叫ぶー

今にも朱里に飛びかかって、殴りつけそうなほどに

怒りの形相を浮かべた亮ー。


「あ~~~~~うぜぇ」

朱里が髪を狂ったように掻きむしるー


整っていたロングヘアーはもはやボロボロだ。


そしてーーー

武器な笑みを浮かべたー


「じゃ、望み通り解放してやるけどよ・・・

 この状況、どうするのか、楽しみだな!」


「え??」

亮が間抜けな声を出すー


その意味が、少しの間理解できなかったからだー。


そしてーー

笑みを浮かべていた朱里の笑みが消え、

朱里がその場に倒れた。


こぼれているジュースの上に朱里はうつ伏せに倒れてしまう


「---ちょっと、何これ」

店の入り口の方で声がした。


次のバイトの子だ


亮は戸惑うー。


「うっ・・・」

朱里が目を覚ます


「お、、おい朱里?」

亮が朱里を呼びかけると、

朱里が周囲を見渡す


「え・・・え??何これ・・・え?? 

 私・・・あれ???」

朱里が混乱している。

自分の手の出血を見た朱里が悲鳴を上げる


「イヤッ・・・え??イヤッ・・・何これ!」

亮は朱里を抱きかかえた。


亮にはほかにーーーどうすることもできなかった


コンビニの惨状ー

朱里が暴れたこの状況ー


いったいーー

どう説明すればーー?


亮はコンビニ入り口に野次馬が

集まり始めているのを見て

戸惑うことしかできなかったー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌週。


何食わぬ顔で”朱里に憑依した男”は

コンビニを訪れたー


”しぶとく営業してやがる”


あの朱里とかいう娘を乗っ取った時、シフト表を

確認しておいた。


あのままなら、また今日もあの娘がいるはずだ。

だが、店内をのぞいても雪村朱里の姿は無かった。

憎き店長と男のバイトしか見えない


「・・・朱里ちゃん、どうしちゃったんでしょうね」

男のバイトが口を開く


「・・・困った娘だよ。

 あんなに暴れるなんて。

 しかも、何も覚えてないなんてな・・・」

店長がそう呟く。


”彼”はーー

コンビニの前から立ち去った。


あの娘には恨みはないが、仕方のないことだ。

あの日いたのがあの女だった。

ただ、それだけのことだ。


だが、、思ったよりコンビニは堪えてないようだな。

また、次を考えるとするか。。。


そう呟くと、男は不気味な笑みを浮かべたー



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・


コメント


コンビニバイトの悲劇のリメイク作品でした~!


原作の本編はここで終っていて、

番外編がいくつかあるのですが、

リメイク版では番外編も番号を続けてそのまま

書いていきます~!


今日もありがとうございました!!


「コンビニバイトの悲劇」は原作が、今の私の作品よりも

短いため、リメイク版もいつもより短めになっています。

そのため、100円プランでも読めるようにしてあります!


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