Home Artists Posts Import Register

Content

「はい、プレゼント!」

大学生の頃の誕生日ー


和哉は、”それ”を貰ったー


「---え?なになに!?」

当時、大学生だった和哉が嬉しそうに包みを開けると、

可愛らしい柄の腕時計が出てきたー


「--!?」

和哉が驚くー


「和哉、いつも腕時計してるでしょ~?

 この前”最近調子が悪い”って言ってたから!」

亜優美が笑顔で言うー。


「--もしも今後、仕事とかで離れることがあっても、

 その腕時計を通じて、和哉のこと、見てるからね♪」

無邪気に笑う亜優美ー。


「------」

和哉は、祖父が時計屋を営んでいた影響からかー

腕時計をいつも身に着けているー


”調子が悪い”と言っていた和哉のために、

亜優美が用意したのが、花柄の腕時計ー


「---亜優美ぃ…」

和哉が苦笑いしながら言う。


「--え?」

亜優美が笑うー


亜優美は、時々”どこか抜けている”

真面目で優しく、明るく、友達も多いのだがー

急に、”天然”な一面も見せるー


どう考えても、女性向けー。

男の自分がする腕時計じゃないー


「--…」

和哉は”俺がこれを大学につけていくのかよ!?”と

突っ込みたくなったが、

それ以上は何も言わなかったー


亜優美は亜優美なりに、一生懸命選んできてくれたのだからー


和哉は優しく微笑んだー


「ありがとうー

 大事にするよー」


あれからーーー


”一度”も身に着けたことのない腕時計ー


けれどー

いつもいつも、和哉は、仕事に行くときも

鞄に”亜優美からもらった大切な腕時計”を

潜ませているー


”異世界に転生した、今”もー。



・・・・・・・・・・・・・・・・


★主要登場人物★


藤枝 和哉(ふじえだ かずや)/アリシア姫

異世界に転生後、女体化。行方不明のアリシア姫と間違えられてしまうことに…。


高梨 亜優美(たかなし あゆみ)

和哉の恋人。自ら命を絶とうとしていたところを、和哉が救い…?


神埼 省吾(かんざき しょうご)

和哉・亜優美の共通の友人。事故直前、亜優美と会話していた。


ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア

突如として現れて、女体化した和哉を魔物から救った王宮騎士団長たち。


ルベール

アリシア姫の世話係。


エックス

自らを死神と語る謎の生命体


※登場人物詳細

(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に

 プランご加入(ありがとうございます★☆!)済みですので、

 お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)

※ネタバレは基本ナシですが、これから出る主要人物も少し載ってますので注意デス!

fanbox post: creator/29593080/post/1260447

・・・・・・・・・・・・・・


「---亜優美ー」

アリシア姫の自室のベットに座りながら、

”元の世界”から持ってきた鞄を見つめる和哉ー


この世界に到着直後に女体化してしまって、

今はみんなに”アリシア姫”だと思われているー。


鞄の中にはー

大学時代に亜優美からもらった腕時計があるー。


大学を卒業して、社会人になって、

20代中盤になった今でも、

この腕時計は大切に、常に持ち歩いているー


まさかー

異世界にまで持ってくることになるなんてー


「--もしも今後、仕事とかで離れることがあっても、

 その腕時計を通じて、和哉のこと、見てるからね♪」


「----今も、俺のこと見ててくれてるのかな…」

少しだけ自虐的に笑うー


こんなことになるなんてー。


「--1週間…

 1週間だけ、待つー。

 その間にーー決めてほしい」


王宮騎士団長のひとり・ユーリスに言われた言葉を

思い出すー。


「急に、そんなこと言われてもなぁ…」

足を組みながらため息をつく和哉ー。


あのユーリスという騎士団長は”信頼できる男”に見えるー


だがー

それでも、自分にー


「---な、なんと…姫様のお姿でそのような…!はしたない!」

足を組んでいる和哉を見て、部屋に入ってきた

世話役のルベールが声を上げたー。


「---俺は姫様じゃないんだってば…」

和哉がため息をつきながら、足を組むのをやめて、

「と、いうか、頻繁におじいさん、ここに来るの?」と、尋ねるー


「お、、おじいさん!?こ、、コホン…

 これが、私の仕事でございます故ー」

ルベールはそう言うと、

「私は姫様のことを幼き頃より見ておりましてな…

 小さいころは姫様の教育係も務めたものです」

と、説明をつけ加えた。


「--ふ~ん…」

和哉がそう呟くと、ルベールは、和哉の服の着こなしを見て

「-ーーーあぁ…だらしない」と、嘆いたー。


「--し、仕方ないだろ?!

 俺、こんな服着たことないんだし!?」

和哉が、戸惑うー

姫のドレスなんて着たことがないー

いきなり、綺麗に着ろと言われる方が無理だー。


「じゃ、じゃあさ、じいさんが教えてくれよ

 俺だって、数日前まで男だったんだから!」


そう言うと、ルベールは首を振った。


「無理でございます」

とー。


「な、なんで!?姫様のお世話してたんじゃないの!?」

と、和哉は戸惑いの声を出したー


その声は当然、アリシア姫の声で

綺麗な声が部屋に響き渡るー


「---姫様のお着替えを覗くわけには参りませんので」

ルベールの言葉に、和哉は”そ、そりゃそうか”と思いながらも

「って、俺はアリシア姫じゃないし!急に女体化しただし!

 元男だし大丈夫だから!」と叫ぶー。


「--ダメです」

ルベールは即答したー。

例え、和哉が女体化した、”偽物”のアリシア姫で

あったとしても、ルベールは断固として見るつもりはなかったー


「なんでぇ!?俺の身体、別にアリシア姫の身体じゃないし!

 なんか急に女の身体になっただけだし!

 べ、、別に大丈夫だから、ほら…綺麗にドレスを着るために

 できれば手伝ってほしいなぁ…なんて」


「--ダメです」

ルベールはにっこり笑いながら即答した。


「ケチ!頑固じいさん!」

和哉が不貞腐れた様子で、胡坐をかくー。


「--こ、、こら!そんな格好はダメですぞ!」

ルベールが慌てて叫ぶー


「--だから~!俺は姫じゃないの!」

和哉がそう言うと、

ルベールはやれやれと言う様子で

”分かりました”と呟く。


”落ち着かない”

和哉はそう思ったー

部屋にいても落ち着かないー


ルベールとかいうじいさんがしょっちゅう

入って来るし、心が落ち着く暇がないー


ルベールが部屋から退出すると、

和哉は、ベットにぐったりと寝ころんだー


「あ~~髪が邪魔だなぁ…」

和哉は、仰向けになったまま、アリシア姫の部屋の

豪華な天井を見つめるー


「----どうなってるんだよ…ホント」

和哉が呟くー

口から出るのは、可愛い声ー

容姿は”アリシア姫”とやらとそっくりなのだろうー

みんな、自分のことを姫と呼ぶー。


「--あぁぁぁ…胸も気になるし、

 アソコにアレがないのも落ち着かないし…

 何よりこんな姫スタイルの格好…

 全然落ち着かない!」


髪を振り乱しながら起き上がるとーー


目の前に不気味な浮遊する生命体がいたーー


「----ぎゃああああああああああああ!お化け!」

和哉は悲鳴を思わず悲鳴を上げてしまうー


「おいおい、オバケとはご挨拶だな」

浮遊していた生命体ー”エックス”はそう言ったー


和哉がこの世界に転生して女体化した直後に

和哉の前に姿を現した自称”死神”


「ーーー交通事故で死ぬ運命だったお前をー

 救ってやったんだよ」


とも、言っていたー


「--うわぁ…びっくりした、、え、、エックスだっけ…?」

和哉がそう言うと、

エックスは「はははっ、姫扱いされて、大変そうじゃないか」

浮遊しながら、小柄なー妖精ぐらいのサイズの彼は、

そう呟いたー


「--な、何の用だよ…

 と、というか、こ、、この髪、邪魔なんだけど!」

和哉が、長くなった髪を掻きわけながら言うー。


「ーー切れ」

エックスが冷静にそう言い放ったー


「--…む、、胸も気になるんだけど!?

 せめて胸をどうにかー」


「-できるわけないだろ」

エックスが失笑したー


それを聞いて和哉が叫ぶー


「というか、俺、本当にどうなってるんだよ?」

ーと。


その問いにエックスは答えたー


「言っただろ?お前のいた世界とは別の世界だってー」

エックスは、最初に和哉に言ったことと、同じことを答えたー。


「そ、それは分かったけどさ…!

 ほら、なんで俺、女の身体になっちゃったの?

 全然、訳分からないけど?

 

 そ、そうだ…

 あと、俺って元の世界に帰れるんだよな?


 あ、あと、亜優美は!?」


和哉が叫ぶと、

エックスは「質問の多いやつだな。

3つも一気に答えるのは面倒くせぇ」と、言いながらも、

質問に答えたー


「亜優美?あぁ、お前と一緒にトラックに轢かれそうになっていた女か?」

エックスが言うー


「ーーそう!その子!

 その亜優美はいったいー」

和哉はそれが一番の気がかりだったー


目から涙をこぼしながら、放心状態で歩いていた亜優美ー

その亜優美がトラックに轢かれそうになりー

とっさに亜優美を突き飛ばした和哉ー


和哉はそのあと、気付いたら

この世界にいたー


だから、”亜優美がどうなったのか”を知らない


「---ーーーその女はー」

エックスがそう言いかけるー


その時だったー


部屋の扉が開きー

ルベールと見知らぬ女がやってきたー


「--おっと!またな”お姫様”」

エックスがからかうようにしてそう言うと、

そのまま姿を消したー


ルベールと、見知らぬ女にはエックスが

見えないようだったー


「-ーー今、誰と話されてましたかな?」

ルベールが不思議そうに言うー。


「あ、いや、なんでもない」

和哉がそう言うと、ルベールは、背後にいた女を紹介し始めたー


「この者はーラナ…。

 アリシア姫にお仕えしていた侍女ですー。」


ルベールに紹介された女・ラナは

「姫様にお仕えしていたラナと申します」と

丁寧に頭を下げたー

穏やかそうなー

まだ、年齢的には高校生ぐらいにも見えるような少女だー


「---お力になれるか分かりませんが、

 姫様のために、全力でお手伝いさせていただきますー」

ラナが頭を今一度下げたー。


「あ…えっと…」

和哉が戸惑っていると、

ルベールがそれを察して答えたー


「ラナには、あなたのこと、これまでのことを

 伝えてありますので、心配はいりませんぞ。


 あなたの身辺のお世話をするにはー

 その、私だけでは力不足ですからな…」


ルベールは目を逸らしながらそう答えたー


”姫様の裸を見たりはできない”

そう、言いたいようだー

さっき和哉がルベールに着替えのことで

文句を言ったから、

ルベールが気を利かせて、同性のーーー

侍女・ラナを連れてきてくれたようだー。


「ーーお、、俺のこと、いろいろな人に伝えていいのか?」

和哉が小声でルベールに聞くと、

「心配はいりませんぞ。ラナは姫様に忠誠を誓う優秀な侍女ー

 あなた様の力にもなりましょうぞ…

 ユーリス殿の許可も頂いております。

 これからは私とラナで、あなた様のお世話をさせていただきます」

と、小声で答えたー


「---は…はぁ」

和哉が戸惑っていると、ルベールは「では、私はこれでー」と

そのまま立ち去ってしまったー


部屋に残されたラナと和哉ー


「あ、、え、、、えっと…よろしく」

和哉がそう言うと、ラナが口を開いたー


「--わたし、あんたのために世話するんじゃないから」

とー。


「--え」

和哉が戸惑うー


さっき、ルベールと一緒にいたときと、

ラナの雰囲気が全然違うー


「え…あの…」

和哉が言うと、ラナはうんざりした様子で答えるー


「-わたしは、姫様のために、あんたの世話をするの!

 そもそも、姫様の姿になったとか、すっごい失礼じゃない?

 反省してよね」


ツンツンしながらラナが、何かを準備し始めるー


「---え、、あ、、、う、、うん」

和哉はラナの”気の強い本性”に戸惑うー


「--こっちに来て」

ラナが言う。


「え??」

和哉が戸惑うー


「--着替えの練習するんでしょ!は・や・く!」


「--は、、はひっ!」

和哉は、強気なラナに言われるがまま

”女の着替え”の練習を始めたー


・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「-------アリシア」

騎士団長・ユーリスは、アリシア姫のいない玉座を見つめるー。


ユーリスはアリシア姫の”幼馴染”であり、幼少期は

よく一緒に遊んでいたー

成長するにつれて”立場の違い”を自覚し、

姫と騎士としての間柄となりー、

その任務を忠実に果たしているー


公の場では”幼馴染”としての顔を出すことは決してないー


だが、二人きりになったりしたときには、

小さいころのような接し方をしたり”アリシア”と呼んだり

することもあるー


「---」

騎士団長・ユーリスにとっては、

アリシア姫は仕えるべき姫であり、大切なヒトでもあるー。


「---何か、私に隠してないか?」

ユーリスが廊下を歩いていると、女性騎士団長・ミリアが

待ち構えていたー


”氷の女”と呼ばれるほど任務に忠実でー

男顔負けの武術を戦場で振るうー。


「---隠す?俺が?」

ユーリスが苦笑いしながら答えるー


「--あぁ。ジークとフェルナンデスの目はごまかせても

 私の目はごまかせんぞ」

ミリアが、凛々しい女性、という雰囲気の声で

ユーリスを見つめるー


「---ー別に、何も隠してなんかないさ」

ユーリスは笑いながらそう言うと、立ち去っていくー


残されたミリアは、姫のいない玉座を見つめてー

「姫様…」と静かに呟いたー


・・・・・・・・・・・・


「--もっと、上品に食べなされ!」


食事中ー

世話役のルベールがガミガミとうるさいー


「あ~~!もう!じいさん!食事ぐらい好きに取らせてくれ!」

和哉が言うー。


髪が口に当たって落ち着かないー


「--ダメです」

ルベールが即答したー


「--あなた様がどういおうと、そのお姿はアリシア姫瓜二つ。

 姫としての振る舞いを身に着けていただけなければ

 困るのです!」


ルベールの言葉に、

和哉が「あ~!はいはい、分かりましたよ!」と

うんざりしながら、できるだけ丁寧に食事を口に運ぶ。


食事を終えた和哉は首を振るー


「あのじいさん、口うるさすぎだろ…

 おまけに頑固だし」

和哉がそう言いながら廊下を歩いていると、

「--あんたが悪いのよ」と、一緒にいた侍女のラナが吐き捨てたー


ルベールは口うるさいじいさんだし、

侍女のラナは、アリシア姫の偽物でもある和哉へのあたりが強いー


和哉は”帰りたい”と思いながら、

自分の部屋へと向かうー


「--歩き方!姫様はそんなガツガツ歩きませんぞ!」

ルベールが背後から叫ぶー


「--あ~~~!もう!」

和哉は、女の子らしい歩き方に変えると

イライラした様子で歩き始めたー


・・・・・・・・・・・・・・・


夜ーーー


ルベールが、王宮の書庫で、

何やら必死に本を読んでいるー。


「--------なるほど」

ルベールは、本を読みながらそう呟くー


蝋燭に照らされたルベールの表情は、

普段見せる表情とは違いー

険しい表情だったー


④へ続く


・・・・・・・・・・・


コメント


姫様としての生活に戸惑う主人公…

ちゃんと適応できるのでしょうか~?

世界の謎やバトル要素、女体化した状態でアタフタ要素などなど…

これからもいろいろな要素が出てきますよ~!


今日もありがとうございました!!

(Fanbox)


Files

Comments

No comments found for this post.