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幼馴染のクラスメイトー

桜井 由香里の背後に、

ある日”黒い人影”のようなものが憑いていることに気が付いた

男子高校生・黒山 和樹ー


他の人には、その黒い影が見えていないことに気づいた和樹は

由香里のことを心配して、由香里の様子を探っていたー


そしてー

「---見えてるでしょ?」


由香里に呼び出されて、そう問い詰められた和樹ー


下校して、夜になっても

由香里のあの時の表情が忘れられないー


由香里は、あの”黒い人影”に乗っ取られているのではないか…?

そんな不安が和樹の中によぎるー。


「---でも…」

和樹は、頭を抱えたー


由香里とは、幼馴染の間柄で、

大人しい性格の和樹にもよく話しかけてくれる。


けれどー

それ以上の関係ではない。

和樹は、正直に言えば由香里のことが好きだ。


でも、由香里の側はどうだろうか?

由香里はたぶん、和樹のことを”幼馴染”としてしか

考えていない。

それ以上でも、それ以下でもないのだ。


どうすることもできないー

和樹は、そう思う。


黒い人影が、和樹の気のせいなら、

これ以上由香里にあれこれ聞けば

さすがに由香里も嫌がるだろうし、

気持ち悪がられてしまうだろうー


そして、もしも本当に由香里が

黒い人影によって”何か”されていたのだとしてもー


「---」

和樹は頼れそうなクラスメイトを考えてみるー。


和樹にはあまり友達がいない。

そもそも、友達がいたとしても、

他のクラスメイトの雰囲気を見ている限り、

由香里の背後に憑りついているように見える

黒い人影のようなものは、

他の生徒には見えていないー

恐らく、先生にも。


見えていれば絶対に誰かは反応するはず。

先生も、クラスメイトも反応しないということは、

由香里の背後の人影が見えているのは、

和樹だけー。


トイレから聞こえてた喘ぎ声ー

一人で胸を触っていた由香里ー

そして、”見えてるんでしょ?”の言葉ー


これらを総合するとー

少なくとも”黒い人影”は、和樹の幻覚ではない。

由香里が”見えてるんでしょ?”と言った以上、

由香里はそれを自覚しているー


由香里の様子は一見、普通だ。

もしかしたら、今までにも胸を一人で触ったり

トイレで喘いだりはしていたのかもしれないー


でもーーー


なんだか、

なんだかおかしい気がするー


由香里が、黒い人影に憑りつかれていて

操られてるのだとしたら…?


「--どうすりゃいいんだよもう…」

和樹は、そう呟くと、頭を静かに抱えた。


・・・・・・・・・・・・


「おはよ~!」

和樹より後に、由香里が教室に入って来るー


今日も、由香里はいつも通りー。


「---…」

和樹は由香里の様子をじーっと観察しているー


「--…」

由香里は、普通にクラスメイトたちと話していて、

仕草もいつも通りに見えるー


”黒い人影”も相変わらず由香里の背後に憑いたままー


「---そうだよね~!去年は~」

去年の文化祭の話を友達としている由香里。


ー”乗っ取られてない”

和樹は、そう思ったー。


仮に、あの黒い人影が、由香里に憑りついて

由香里の身体を意のままに操ったりしているのであれば

”去年のこと”を知っているはずがないー。


和樹はそう思ったのだ。

少なくとも、数日前までは由香里の背後に黒い人影はなかった。


だからー

由香里を”別の何か”が乗っ取ったとするのであれば、

去年の文化祭のことを覚えているはずがないー。


そもそも、

”表向き”だけでも、由香里として

振舞うことはできないはずだ。


中身が変われば、必ず

”最近変だな”と思う仕草やふるまいが出て来るー


今のところ、由香里が一人で胸を触ったり

喘いだりしていたりしたことや、

”見えてるんでしょ”と聞いてきたこと以外は

”普通”だー。


幼馴染で、そこそこ親しいとは言え、

和樹は由香里のことを深く知ってるわけではない。

年ごろだし、エッチなことを一人、したくなったりも

するのかもしれないー



「--お前さぁ」

ー!?


和樹は声をかけられて我に返ったー。


クラスメイトの福原だ。

この前、”由香里の背後に黒い影が見えないかどうか?”を

和樹が確認した生徒だ。


「--さっきからずっと、桜井さんの方を見てるよな?」

ニヤニヤしながら言う福原。


「えーーー、、あ、、い、、いやっ!その」

和樹は顔を真っ赤にしながら目を逸らす。


「へ~~~!桜井さんのこと、好きなのか?」

小声でニヤニヤしながら言う福原


「ちがっ!!ちがっ!!!!ちがうよぉ!」

和樹が大声で叫ぶー。


由香里も、そんな和樹の方を、遠目から見つめるー。


「--はは~!分かりやすいな~!」

福原は、和樹を揶揄って笑っているー。


そんな和樹の様子を、

由香里は少しだけ見つめた後に

誰にも気づかれないように密かに”舌打ち”したー


・・・・・・・・


放課後ー


和樹は、由香里の様子を探り続けていたー

今日は、昼休みの間も特におかしな様子はなかったー


「--これじゃ僕、完全にストーカーだよ…」

そうは思いながらも、和樹は、

幼馴染の由香里のことが心配で心配で

仕方がなかったー


何も無ければ、それでいい。

それ以上付き纏うつもりもない。


でもー

もしも、あの黒い人影が、由香里に何かしているのであれば…


由香里は、正門から出ると、普通に道を歩いていくー

スマホを手に取ると、立ち止まって

何か話をし始めるー


距離があるので、会話の内容は聞こえないー

本当はもっと近づきたかったが、

これ以上近づけば、由香里に見つかる気がするー


「---」

由香里はスマホを鞄にしまうと、歩き出したー。


そして、人の気配のしないほうに向かって行くー

時折、髪を邪魔くさそうにどかすような仕草をしながら、

足早に、どんどん人の気配がしないほうに向かう由香里。


「---桜井さんの家って…こっちじゃなかったよな…?」

和樹は呟く。


最近は行き来はないが、小さいころは

親同士も仲良かったために、由香里の家に何度か

行ったことがある。


由香里が引っ越しでもしていない限り

今も同じ場所に住んでいるはずだ。


だがー

今、由香里が向かっている方向は、全然違う方向だ。


「---」

寂れた空き地のようなところにやってきた由香里は

立ち止るー。


そしてー

反対側からゴスロリのような恰好の女が出てきたー。


「--誰?」

和樹は、解体待ちの寂れたアパートの壁に隠れながら

由香里とゴスロリ女の方を見るー


由香里が笑う。


「へ~…!いい身体じゃん!

 その格好は?  その女の元々の趣味?

 それとも、お前の?」


由香里とは思えないような言葉遣いー


「----」

和樹は表情を歪めるー


”由香里が黒い人影に乗っ取られているのではないか”

そんな、嫌な予感はずっとしていたー

だが、和樹は信じたくなかった。

”そうかもしれない”という嫌な予感を

ずっと押さえつけてきたー


だがー

由香里のあんな言葉遣いー


それは、和樹の”嫌な予感”が的中しつつあることを

意味していた。


「---へへ、俺の趣味だよ。

 どうだ?似合うだろ?」

ゴスロリの衣装をふわふわさせながら笑うゴスロリ女。


「へへへへ」

由香里が汚らしく笑うー。


「----!」

和樹がアパートの壁際から、顔を少しだけ出すとー

相手のゴスロリ女の背後にも、

由香里と同じような”黒い人影”が確認できたー


「---!」

和樹は、震えていたー


やっぱりーー

やっぱり、桜井さんは”何か”に乗っ取られているー


「--そういえばさ、

 この女のクラスメイトにさ」


由香里が、自分のことを”この女”と表現するー


「---”影”が見えてるっぽいやつがいるんだよ」

由香里はそう言うと、

近くの壁に背中をつけて、腕を組みながら

片足を壁につけた。


ゴスロリ女が「気のせいだろ~?」と笑う。


「-”俺たち”にしか見えないんだからー」

ゴスロリ女の言葉に、

由香里は「まぁな」と呟く。


和樹は、震えが止まらなかったー

由香里が何かに乗っ取られているー


でも、なんでー?

昼間は由香里として普通にふるまっているー

何の”不自然な部分”も存在しないー


それなのに…


「---しっかし、他人の記憶を全部奪えるなんて

 不思議だよなぁ~」

ゴスロリ女が笑うー


「ふふ…そうね。”わたし”だったら、こういうとき

 どう反応するかまで分かるもんね…くくく」

由香里が笑うー


”記憶を奪えるー”


和樹は、そこまで聞いて

”これ以上は僕が危ない”と、

身の危険を察知して、そのまま

その場から立ち去ったー


由香里が何かに乗っ取られているー

それは、”間違いない”と

和樹は確信したー


そのことに気づいているのは、

”自分”だけー

何故だかは分からないけど、

由香里とゴスロリ女に”憑いている何か”が

和樹には見えるー。


あいつらの会話を聞く限りー

”あいつら”にしか見えないはずのものが、

僕には見えるー


そう思った和樹は、

決意するー


”逃げてちゃいけない”

ビビりの和樹だったが

幼馴染の由香里のためー

和樹は、”戦う”決意をした。



翌日ーーー


和樹は、由香里を空き教室に呼び出した。


「なぁに?どうしたの?」

由香里がやってくるー


いつも通りの穏やかな表情を浮かべてー


「---桜井さん…」

和樹は、震えながら口を開いたー


勇気を出せー

和樹は、心の中でそう叫んだー


和樹は、小さいころから、

何だかんだで由香里に助けてもらってきたー。

いじめに発展しそうなことがあったときも

由香里が守ってくれて、結局、いじめに

発展することはなかったー。


由香里は、ずっとずっと”幼馴染”でしかない

自分を守ってくれたー


だったら今度はー

今度は、僕が守る番だー


「---お前は…誰だ!」

和樹は、由香里の背後に潜む黒い人影を

指さして叫んだー


「----え?」

由香里がきょとんとした表情を浮かべるー


そして、わざとらしく背後を振り返るー。


「--とぼけるな!!

 昨日、僕は見たんだ!!!

 別の女の人と話してるのを!」


和樹がそう叫ぶと、

由香里が和樹の方を見てーー


邪悪な笑みを浮かべたー


「---ひっ!?」

和樹は思わず怯えてしまうー


そしてーー

由香里が口を開くと、

そこから、ランプの精霊のように、

黒い人影が飛び出したー


いつも、和樹が見ている人影よりも

ハッキリと、くっきりと見えるー


「--やっぱ見えてたのか」

黒い人影と由香里が同時に声を出すー


「--見ての通り、この女は、俺のものだー

 身体も、心もー

 全て意のままに俺が操ってるー」


由香里と黒い影の声が同時に聞こえるー


由香里は大口を開いたまま

そこから、ランプの精霊のように飛び出した

黒い人影が、和樹を見る。


「な…な、、、なんだ、、おまえ…」

和樹が震えるー


由香里から飛び出した黒い影は笑うー


そしてー

由香里の身体の中に戻っていくー


「わたしは、由香里だよ」

歪んだ笑みを浮かべながら言う。


「違う!桜井さんを返せ!」

和樹が叫ぶー


由香里は、憑依されているー

何者かにー


由香里の背後に見えていた黒い人影は

”憑依されている人間”特有の”オーラ”


普通の人間には見えないはずなのだが、

なぜか、和樹にはそれが見えるー


「--どうして、お前にそれが見えたのか…」

由香里はニヤニヤしながら言うー


”俺たち”にしか、見えないはずなのだがー。


「--ま、いいや」

由香里はそう言うと、

和樹の方を挑発的に見つめたー


「---俺の邪魔をしたら、

 裸になって、外を大声で笑いながら走ってやるぞ?


 そしたら、どうなるか、わかるよなぁ?」

由香里が和樹を睨むー


”そんなことしねぇけどなー”

由香里に憑依している男は、そう思いながら笑うー。

由香里の身体は最高だー

だから、それを壊すような真似は”飽きるまで”はしないー

でも、由香里の身体を人質にすれば、この和樹とかいうやつは

びびるはずだー


「----」


和樹は戸惑う。


そんなことされたらー

由香里の人生はーー


「ぼ、、ぼ、、僕は…僕は…」

和樹は震えながら由香里の方を見つめ返すー


由香里は薄ら笑みを浮かべるー


「僕は、、必ず、桜井さんを助け出す!」

和樹の言葉に

由香里は鼻で笑うと

「やれるもんならやってみな」と言いながら

そのまま空き教室の外へと出て行ったーーー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・


コメント


憑依されてしまった幼馴染を助けることはできるのでしょうか~?

続きは木曜日頃を予定しています~☆

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