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★あらすじ★


階段から転落した際に入れ替わってしまった

真司と愛梨。

二人は、元に戻る方法を模索しながら、お互いとして

日常生活を送っていく。


しかし、不器用な二人は互いにすれ違っていき、

浅沼教授の陰謀と、消息不明だった姉の詩織からの言葉で

愛梨になった真司は自暴自棄になってしまい、

愛梨の身体でエッチなことをしてしまう…。


・・・・・・・・・


★主な登場人物★


橋口 真司

大学生。彼女と入れ替わってしまう。


川上 愛梨

真司の彼女。真司と入れ替わってしまう。


馬淵 香澄

同級生。愛梨の幼馴染で親友。


中条 東吾

同級生。真司・愛梨の共通の友人。


天童 麗

同級生。頼りになるお姉さん風の女性。


風間 龍平

同級生。嫌味なインテリ学生で、裏で悪さをしている


※登場人物詳細

(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に

 プランご加入(ありがとうございます!)頂いているので

 お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)

fanbox post: creator/29593080/post/1060230

・・・・・・・・・・・・


「--出て行く?」

真司の父親・和博(かずひろ)が呟く。


「----俺は、あんたたちみたいには絶対にならない」

真司が、父の和博に対してそう言い放つー


高校卒業後、真司は実家を飛び出した。

暴力、喧嘩、浮気ー

こんな、ドロドロした家庭にいつまでもいるつもりはないー


「--ー俺は絶対に、ちゃんと働いて、

 幸せな家庭を作ってーーー」


真司がそこまで言うと、父の和博は笑ったー


”お前には無理だ”

とー。


”お前には、俺の血が流れているー”

とー。


和博は笑ったー


「--”断言”してやるよ。

 お前は俺の息子だー。

 お前は必ずいつか人を傷つけるー

 必ずー」


和博が邪悪な笑みを浮かべるー


ーーーー


俺はーー


俺はーーーー


「うわあああああ!!!!」


飛び起きる愛梨(真司)-

愛梨の可愛い声が部屋に響き渡るー。


「--はぁ…はぁ…」

冷や汗をかいている愛梨(真司)


「夢…か」

長い髪を邪魔くさそうにどかしながら、

愛梨(真司)が立ち上がるー


家を出てからー

時々見る夢ー


「--”断言”してやるよ。

 お前は俺の息子だー。

 お前は必ずいつか人を傷つけるー

 必ずー」


父・和博の言葉が、呪いのように

頭の中に響き渡るー


「ふざけるな…。俺は…俺は、あんたとは違うー」


窓の外を見つめながら深呼吸する愛梨(真司)-


愛梨の身体になってもー

この夢、見るんだな…


そんな風に思いながら、愛梨(真司)は大学に向かう準備を始めたー


・・・・・・・・・・・・


真司(愛梨)は、浅沼教授の研究室で

浅沼教授に入れ替わったときのことを

細かく伝えていたー。


「--ふむ…そうか…

 何らかの衝撃が加わった弾みで…」

浅沼教授がパソコンをいじりながら

何かを計算しているようだ。


時折咳き込む浅沼教授ー


真司(愛梨)は

「わたしたち…元に戻れそうですか…?」

と不安そうに呟くと、

浅沼教授は、パソコンをいじる手を止めて

真司(愛梨)の方を見たー


「--正直、今の時点では何とも言えない。

 だが、可能性は0ではない」


浅沼教授はそう答えたー。


真司(愛梨)は頭を下げて

研究室から外に出るー


浅沼教授と相談しながら元に戻る方法を模索するー

それが、今のところ、愛梨が考えた最良の方法ー。

真司は、最近あまり連絡をくれないし、

どこか余所余所しいー。


真司も不安なんだろうし、

わたしが頑張らないとー。


真司(愛梨)はそんな風に思いながら

大学内を歩くー。


浅沼教授に相談したことで、真司(愛梨)は

”希望”を感じていたー

浅沼教授は本当に熱心に、元に戻る方法を

調べてくれているし、戻れる日はいつか必ずきっと来るー。


だがー

入れ替わりの件はひとまず置いておくとしても

愛梨には気になることがあったー


それが、

愛梨の幼馴染で親友の馬淵 香澄のことだー。


香澄とは、小学生時代からの付き合いで、

ずっと、愛梨と一緒だった。

大の仲良しだと思っていたし、

何か困ったことがあると、香澄は本当に

親身になって、愛梨のことを助けてくれたー


でもー


”入れ替わっている”ことを知らない香澄は

真司の姿をしている愛梨にこう言ったー


「だってさ~愛梨、ウザくない?

 自分はいい子です!みたいな感じがにじみ出てるしさ~

 見ててむかつくんだよね~」


それが、香澄の本心なのかー


香澄は、愛梨の知らないところで、

真司に言い寄っていて、しかも、

愛梨の悪口を言っていたー。


それは、まぎれもない事実ー。


愛梨は、香澄のこと親友だと思っていた。


けれどー

そう思っていたのは”自分”だけー?


「---大丈夫か?」


ー!


真司(愛梨)が振り返ると、

真司と愛梨の共通の友人・東吾がいた。


入れ替わりのことを唯一知っている東吾は、

何かと、愛梨と真司のことを気にかけてくれているー。


東吾に、浅沼教授に相談しながら

一緒に元に戻る方法を模索していることを話す真司(愛梨)-


東吾は、複雑な表情を浮かべながらその話を聞く。


真司と愛梨の距離に溝が出来てきていることはー

東吾もなんとなく察知していたー

なんとかしてあげたいと思いつつ、どうすることもできないー


浅沼教授は確かに研究熱心で、

元に戻る方法も見つけてくれるかもしれないが、

東吾自身も、浅沼教授が” 何か企んでいる ”ような

気がしてならず、少し不安になるー


「それと…」

真司(愛梨)は、

”このまま一人で抱え込んじゃだめだよね”と、

親友・香澄のことを、東吾に相談したー。


香澄は、愛梨の知らないところで、

真司に言い寄っていたことー

愛梨の悪口を言っていたことー


そして、中身が愛梨だと知らずに

悪口を言って来たことー。


「------」

東吾が、難しい表情を浮かべるー。


「---やっぱり、わたし、嫌われてるのかな?」

真司(愛梨)が悲しそうに呟くと、

東吾は口を開いたー


「---馬淵さんが…ねぇ」

東吾はさらに考えると、口を開いたー。


「---でもさ、変だよな」


「え?」

真司(愛梨)が東吾の方を見ると、

東吾は続けるー。


「--馬淵さん、基本、愛梨のこと大好きな感じだし、

 俺、結構友達多いほうだけどさ、

 他の人に対して、愛梨の悪口言ってるのは

 見たことないんだよな」


東吾が呟くー


香澄は”真司以外”には愛梨の悪口を言っているのを

見たことがないー


もちろん、東吾が知らないところで

言っている可能性もあるが、

愛梨のいないところでも、香澄は

愛梨のことを庇うような発言が多いし、

愛梨のことを本当に友達として

大好き、というのが溢れ出ているような

行動・言動が多いー


「---直接、聞いてみたらどうだ?」

東吾が言う。


「--え」

真司(愛梨)の言葉に、

東吾が笑う


「ほら、今、真司の身体なわけだろ?

 だったらー

 今が聞くチャンスじゃないか。

 真司としてー。


 このまま元の身体に戻ったとしても

 ずっとモヤモヤしたまま馬淵さんと

 仲良くしていくなんて、イヤだろ?」


東吾の言葉に、でも…、と呟く真司(愛梨)-。


「--俺は馬淵さんのことあまり深くは知らないからさ…

 だから、やっぱり、愛梨が自分で

 聞くしかないと思うんだ」

東吾の言葉に、真司(愛梨)は少し迷った後に

「うん、そうだね」と呟くー


香澄とは、ずっと昔から仲良しだー。

それなのに、引け目を感じていてどうする?


ちゃんとー

ちゃんと、聞かなくちゃ。


「--ほんとは、…”愛梨”として聞きたかったけど」

真司(愛梨)が苦笑いしながら言う。


でもー

今は真司の身体。

それは、できないー


「--ありがと!」

真司(愛梨)はそう言うと、立ち去っていくー


どことなく可愛らしい立ち去り方な真司(愛梨)を見てー

”真司の姿には似合わねぇな”と苦笑いする東吾ー


そして、東吾は呟くー


「不器用だよな…二人とも」


愛梨は、相手のことを考えすぎて

控えめになりすぎているー


真司は、優しすぎて、それ故に

一人で何でも抱え込みすぎているー。


「----」

二人は”アンバランス”だー。


東吾は、そんな二人を

それぞれ知っているー

愛梨とは小学生時代にー

真司とは高校時代に一緒だったからだー。


「---俺が…」

東吾が立ち上がるー


「--足りない部分は、俺が補ってやる。

 だからー…がんばれ」


真司(愛梨)の後ろ姿を見ながら東吾は

静かにそう呟くと、ある人物の元へと向かったー


・・・・・・・・・・・・・・・


「---橋口くん!ま~だ、愛梨と付き合ってるの?」

愛梨の親友であり、幼馴染の香澄が笑いながら言う。


「---…」

真司の身体になってから、香澄はやたらと

真司(愛梨)のところにやってきているー


元から、こうだったのだろうかー。


「---」

真司(愛梨)は深呼吸をするー


小学生の時もー

中学生の時もー

高校の時もー

ずっとずっと、香澄と仲良しだったー


香澄の笑顔に、嘘はなかったー

わたしと香澄は、本当に仲良しだったー


「---あのさ」

真司(愛梨)が香澄を見つめながら言う。


「え?」

香澄が真司(愛梨)の方を見るー


「--わた、、、…あ、、愛梨のこと」

真司(愛梨)は、真司のふりをしながら言う


「愛梨のこと…本当に嫌いなのか?」

真司(愛梨)が言うと、

香澄は笑いながら答えたー


「前も言ったでしょ~?うざいって」

香澄の言葉に、

真司(愛梨)は傷つきながら、さらに続けたー


「--本当に…?

 本当に、そうなのか?


 いつも、愛梨とかす、、馬淵さんは、

 本当に仲良しに見えてたし、

 俺以外には、悪口も言ってないみたいだし…


 どうして、どうして、俺だけに

 愛梨の悪口を言うんだ?」


真司(愛梨)は

”真司っぽく言えた!”と内心で思いながら

香澄の反応を待つー


「--------…」

香澄が、目を逸らしながら

落ち着かない様子で、口を開くー


「---……愛梨は……友達だよ。

 わたしの、一番の」


香澄が、戸惑いながら口にするー


「----」

真司(愛梨)が、香澄の方を真剣な表情で見つめるー


「-…----でも…でもね…

 わたしは…橋口くんが…」


真司(愛梨)は思うー


”もしかして、香澄はー

 真司のことを…?”


「---ごめん…忘れて…

 ほんとは…愛梨のこと、うざいなんて思ってない…

 でも…どうしても…

 わたしは、やっと”見つけた”からー


 どうしても、どうしても、橋口君に

 振り返ってもらいたくてーー」


香澄が、涙目で言う。


「え…どういう…?」

真司(愛梨)が、香澄の言葉の意味が分からずに

そう言うと、香澄は「愛梨に言わないで…

愛梨、すっごく繊細だから、きっと傷ついちゃう…」と

言い残して、そのまま足早に立ち去って行ったー


「香澄ー…」

真司(愛梨)が呟くー


香澄も、真司のことが好きなのー?


一瞬そう思った真司(愛梨)

けれどもー”それだけじゃない”

気がするー


・・・・・・・・・・・・・


真司(愛梨)の前から立ち去った香澄は

鞄の中から、小さな写真を取り出すー


そこには、香澄と男が写っているー


「---お兄ちゃん…」

香澄は、静かにそう呟いたー


”香澄ー

 必ず帰ってくるから、いい子にしてるんだぞ”


兄の言葉を思い出すー


けれどー

兄は、そのままー


香澄と一緒に

写真に写る”お兄ちゃん”は、

どことなく、真司に似ていたー


・・・・・・・・・・・・・


「---そう」

輝く夕日の中ー


天童 麗はそう呟いたー


”腹黒女子”とも呼ばれる麗に、

東吾は”入れ替わり”のことを相談したー


「奢るのは、今度のお昼でいいかな?」

東吾が言うと、麗は「2回」と呟いた。


「--話が重いから、2回」

とー。


「--はは、分かったわかった」

東吾が苦笑いしながら言う。


麗は、そんな東吾の反応を見ると

「--わたしも、できる限りのことはしてみる」と、

東吾に優しく言い放ったー


麗は、”信用”できるー

東吾はそう思って、相談した。


入れ替わりを知るのは本人たちと

浅沼教授、そして東吾だけー。

さすがに、荷が重すぎるー。

何とか、二人を元に戻してあげたいー

そのためには、協力者が多い方がいい。


麗はー

”見返り”を必ず求めて来ることから

”腹黒”などと言われているがー、

その反面”見返り”を用意すれば、絶対に

麗は、他言しないし、一生懸命手伝ってくれるー


「----じゃ、わたしはこれで」

麗が立ち去って行こうとするー


「--天童さんって、本当は優しいよな」

東吾が少し笑いながら言うー。


「----」

麗が立ち止って、少し間を置いてから呟く。


「--わたしが、人に優しくするのは、

 見返りが欲しいから…

 それだけよ」


麗が少し寂しそうに、そう呟くー


東吾は、麗が”意図的に、他人と距離が近くなりすぎないようにしている”

ように思えてならなかったー


見返りが欲しいー、のではなく

”無理に見返りを求めている”気がするー


「----そっか」

けれどー、東吾はそれ以上は詮索しなかったー


「----」


人は、なりたい自分になることはできないー

どこかで必ず”幻想”を抱きながら

日常を送るー


わたしは、なれなかったー

”なりたい自分”にー。


”平和”

そんなものはないー。


幻想を抱いて、自己満足の優しさを押し付けてー


そしてーー

待っていたのはーーー


”優しすぎて、辛くなっちゃったー”


”あの子”が、飛び降りる前にわたしに言った言葉ー


それがーーー

今でも、忘れられないー


言葉は、呪いー。

まるで、呪いのように、

麗の中に”あの子”の言葉が響き続けているー。


麗は少しだけほほ笑むと、

東吾の方を見て呟いたー


「----生きるって、難しいよねー」


寂しそうにー


”幻想”は

”現実”にはならないー


”綺麗事”だけではー

何も解決しないー


麗は、それを誰よりも知っているからー


だからーー

もう、”優しくしない”と決めたからー


「--ー橋口くんと川上さんを助けるために

 わたしも入れ替わりのこと、

 全力で調べてみる」

麗は、まっすぐ東吾の方を見て言い放つ。


「--あぁ。頼む」

東吾が頭を下げるー


「--ーーーま、お昼2回奢ってもらうため、

 が一番だけどね」


麗はそう言ってほほ笑むと、

そのまま立ち去って行ったー


「真司…愛梨…」

東吾が夕日を見つめながら呟くー


二人を、なんとか助けてあげたいー

入れ替わったまま二人の関係が

引き裂かれるようなことはあってはならないー


東吾は、「必ず助けてやるからな」と

呟くと、そのまま歩き出したー


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「------へぇ」

東吾と麗の会話を盗み聞きしていた男子生徒が

笑みを浮かべたー


他人の弱みを握り、ゆすりを繰り返す

インテリ大学生ー風間 龍平ー


「--入れ替わり…ね」

龍平は邪悪な笑みを浮かべると、

そのまま静かに立ち去って行ったー。



⑬へ続く


・・・・・・・・・・・・・


コメント


長編第12話でした~!


書き終えて思ったのですが、

今回は愛梨になった真司視点は

ほとんどなかったですネ~!


次回は、また近日中に~!

(Fanbox)


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