Home Artists Posts Import Register

Content

「ーーーおはよ~!」

誰にでも優しい幼馴染の女子高生・

桜井 由香里(さくらい ゆかり)から、

声を掛けられた。


「あ、お、、おはよ~!」

大人しい性格の男子・黒山 和樹(くろやま かずき)は

その笑顔に戸惑いながらも、いつものように返事をした。


「--今日も寝癖ついてるよ~!」

由香里が笑いながら和樹の方を指さす。


和樹は「え??え!?」と慌てながら

髪の毛を手で整えるー


和樹は正直、あまり友達が多いほうではないし、

女子と話すようなことも、基本的にはない。

授業や学校行事などで”必要”になれば

話すが、女友達はいないし、ましてや彼女なども

いなかったー。


そんな和樹にとって”唯一”、話しかけてくれる女子が

幼馴染の由香里だった。


由香里は成績もよくて、友達も多いー


大人しくて、友達が少な目な和樹とは

”正反対”の立ち位置にいるような、

輝きが眩しい同級生だったー。


でも、そんな由香里は、

”幼馴染”だからだろうか。

和樹のことをよく気遣ってくれるし、

何かと心配してくれている。


そんな由香里に対しては

和樹も心を許していたし、

”恋愛的な好き”なのかは、恋愛経験のない和樹には

よくわからなかったが、とにかく

一緒にいると安心するー


そんな感じの子だったー


しかしー


しかし、ある日ー。


「----え」

和樹は、唖然とするー。


学校にやってきた和樹は、

由香里の背後に”不気味な黒い人影のようなもの”が

”憑いている”ことに気づいたのだー


”な、、なんだあれ…?”

和樹は由香里の方をチラッと見るー


由香里の背後に、ぴったりと黒い人影のようなものが

ついていて、”由香里と同じ動き”をしているー。


まるでーー

その黒い人影が、由香里に憑りついて、

”操っている”かのようにー。


「---あ、うん!うん!いいよ~!」

由香里はいつものように友達と

楽しそうに雑談しているー


特に変わった様子はないー。


”幻覚”かと思い、目を何度も何度もこする和樹。

しかしー

和樹の目には”由香里の背後の黒い人影”が見えるー

その影が消えることはなかったー。


周囲が反応している様子もない。


”ついに僕、おかしくなったのかな…?”

和樹は、由香里の方を見ながら、そう思うー。


由香里の背後に黒い人影のようなものが

憑りついているなんて、あるはずがないー

大体、もしそうなら、

絶対にクラスの誰かが騒ぐはずだ。


「---あ、あのさ」

和樹は、比較的誰とでもしゃべる男子・福原(ふくはら)に

尋ねるー。


「---桜井さんの背後に、何か見えない?」

とー。


福原は、由香里の方を見ると

首をかしげて苦笑いしたー。


「何も見えねぇけど?」

とー。


「--だ、だよね」

和樹はそう返事をすると、

由香里の方から目を逸らしたー。


・・・・・・・・・


昼休みー


和樹は、由香里の様子を探っていたー

由香里の背後に見えている、”謎の黒い人影”は

相変わらず見えたままだ。

だが、由香里に変わった様子はないし、

クラスメイトの福井も”何もない”と言っていた。


と、なれば、

”僕が何か病気なのかなー?”と不安を感じるのも

無理はなかった。

由香里の背後に憑いているもののことを

指摘するクラスメイトはいない。


「----」

和樹は、気になって由香里の昼休みの様子を

チェックすることにしたー。


廊下に出て行く由香里ー

そういえば、今日は、由香里から

一度も話しかけてくれてないー。


いやー

そういう日もよくあるのだが、

”不気味な黒い影”が見えるだけに

ちょっと不安になってしまっていた。


由香里の背後の人影が、由香里と同じ動きをしているー


「---…」

和樹は、そんな由香里を尾行しながら思うー


”これじゃ、ストーカーみたいじゃないか”

とー。


でも、由香里のことが心配だった。

由香里の背後に憑いている黒い人影は

一体何なのだろうー?


自分の目がおかしくなっただけならー

自分の頭がおかしくなっただけならー

別に、それならそれでいい。


でもー。

でも、もしもあの黒い影が

由香里に何か危害を加えようとしているのであればー。


由香里のことを、助けたいー。

こんなちっぽけな自分に何かできるのかどうか、と

言われたら、何もできないかもしれないけれど…


由香里が突然振り返るー


「--!」

和樹はとっさに廊下の柱の陰に身を隠した。


「------」

由香里が、いつもは見せないような怖い表情で

こちら側を睨んでいるー


「----…」

和樹は由香里のその表情を見て、違和感を覚えるー


小さいころから、何だかんだで、

同じ学校で過ごしてきた由香里の、

あんな怖い顔は見たことがないー。


「---くひっ…♡」

由香里が、前を向くと、

不気味な笑い声を浮かべたー。


「--え…」

柱から顔を出して由香里の様子を見つめるー


すると、信じられないことに

由香里が自分の胸を揉んでいたー。


「---……!!!」

和樹は、戸惑ってしまうー。


”どういうこと…?”

和樹の中に色々な考えがよぎるー

あの黒い人影はー?


「---いい身体…ゲットしたぜぇ…」

聞いたことのない声が聞こえて来るー

由香里の声と一緒にー。


”え……”


黒い人影のようなものが、胸を揉むような仕草をしているー

由香里が、その人影と同じ動きをして、胸を揉んでいるー。


「--…まさか…」

和樹は、再び柱の影に隠れながら戸惑う。


”桜井さんは、あの人影のようなものに

 乗っ取られているー?”

そんな風に思ったー


いやいやいや、そんなことあるはずないー。

和樹はそんな風に思いながらも、

由香里の仕草を見て、不安を覚える。


「あはははは!」

少しだけ笑うと、由香里は再び歩き出して

そのまま女子トイレの中に入って行ってしまったー。


流石に、これ以上の追跡はできないー


女子トイレの扉の側にある水道で、

手を洗うふりをしながら、

中の雰囲気を音だけで感じ取るー


するとー

”女の喘ぎ声”が聞こえてきたー


「え…」

和樹は戸惑いを隠せないー


女子トイレに入って行った由香里が

エッチなことをしているのだろうかー。


そんな、はずはー


ガチャー


和樹が考え込んでいると、いつの間にか

由香里がトイレから出てきたー


由香里と目が合う。


「--あ、黒山くん。

 どしたの?」

由香里がほほ笑むー


由香里の背後の黒い人影のようなものには

よく見ると、顔のようなものがうっすらと見えるー


「え…あ…え、、、いや…

 ちょっと手が汚れたから…」

和樹は戸惑いながらそう返事をするー


由香里の顔は、少し赤らんでいるー。


由香里は”いつものように”にっこりと笑うと

そのまま立ち去ろうとしたー


そしてー

黒い人影が不気味にニヤア…と口元を歪めたー


「---!!!!」

和樹は思うー


あれはー”幻覚”なんかじゃない。

由香里に、何かが”憑いて”いるー


何かがー。


和樹は、唖然としながらも、由香里の追跡をさらに続けたー。


だがー

それ以上、由香里はおかしな行動をしなかった。

普通に教室に戻り、普通に友達と話をしているー


けれどー

”黒い人影”は消えないままー

誰も、何も言わないー

だから、自分以外にはあの”人影”が

見えていないことだけは確かだ。


でも、その人影は見え続けているー

和樹の目にはー。



帰宅した和樹は、

スマホでいろいろと調べてみるー。


”人影のようなものが憑りついている”

そんな情報を必死に探る和樹。


だが、心霊現象のようなサイトや、

憑依モノの映画や小説

そういったものしか引っかからず、

結局、由香里の背後に見えるものが

何なのか、その答えを得ることはできなかったー。


・・・・・・・・・・・


「---……」

虚ろな目で、由香里が、口から

黒い人影のようなものを吐き出しているー


ぼーっと、よだれを垂らしながら

変な態勢で、自分の部屋に座り込んでいる由香里ー


”くくくく”

黒い人影が笑ったー


由香里はー

昨晩、自分の部屋で勉強している最中に

謎の黒い人影に”憑依”されてしまったー。


由香里は、乗っ取られてしまったのだー。


ランプの精霊のように、由香里の口から

飛び出している黒い人影は満足そうに

「いい身体を手に入れたぜ」と笑うー


由香里も、同じ言葉を口にするー。


”由香里を支配している”

そのことに満足した黒い人影は

再び由香里の中に戻っていき、

由香里の身体で身なりを整えるー


足を組んで太ももを触りながら、

由香里は静かにほほ笑んだー


「あいつ…

 ”俺”が見えてたみたいだな…?」

由香里はそう呟くと、不気味な笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・


翌日ー


和樹は不安を覚えながら

学校に登校するー。


すると、由香里が近づいてきたー


由香里の背後には、今日も

昨日と同じように、黒い人影のようなものが

見えているー


「--ねぇ…ちょっと話があるんだけど、

 今日の昼休み、時間あるかな?」

由香里が穏やかな口調で言う。


「え??あ??う、、うん…いいよ」

和樹はそう返事をしたー


”黒い人影のことかな?”とか

”昨日、尾行したことかな?”とか

マイナスなことばかりが浮かんでくるー


女子から昼休みに呼び出されて、

”告白されるのかな?”なんて思うほど、

和樹はめでたい人間ではないー



不安に思いながらも、時間は

あっという間に過ぎていきー、

和樹は由香里から呼び出された

空き教室にやってきていたー。


「桜井さん…話って?」

和樹が空き教室に入って来る。


大人しい和樹だが、由香里とは幼馴染ということもあり

そこそこ普通に話すことができるー。


「---ねぇ」

由香里が笑う。


由香里の背後には、相変わらず

”不気味な黒い影”が見えているー


「---……」

和樹は戸惑う。


由香里から空き教室に呼び出されたりだとか、

校舎裏に呼び出されたりしたことは今までにない。


小さいころは一緒に遊んだこともあったが

最近は、学校で、気を遣ってくれる程度で、

特にプライベートで遊んだりだとか

そういうことはなかったー


「---見えてるでしょ?」

由香里がニヤリと笑うー


今まで、由香里が見せたことのないような

”悪い笑み”だったー。


「え…??え???」

和樹は戸惑う。


”見えてる”とはー?


まさか、由香里の背後に憑いている黒い人影のことー?


「ーーー…な、、な、なんのこと?」

和樹が目を逸らしながら言うと、

由香里はほほ笑んだー


「--昨日から…見えてるでしょ?」

由香里が笑うー

由香里の背後の”黒い影”が笑うー


「---……みえ…みええ?」

声が裏返ってしまう和樹ー


ここで、”見えている”と言ったら

身の危険がーー


そんな気がした。


「--ーおかしいなぁ、

 他の人間には見えないはずなのに」


由香里に憑依している黒い人影=霊体は、

由香里の身体の中に基本、入り込んでいる。

そして、普通の人間には見えないはずなのだ。


それなのに、なぜー?


「な、、な、、なにもみえないよ!僕!

 な、、なんのことかなぁ~!」

和樹が恐怖を感じながら誤魔化すと、

由香里は「そっか」とにっこり笑ったー


「----ま、いいやー

 見えてないならー」

由香里はそう言うと、空き教室から出て行ったー


和樹は、恐怖から、

その場に座り込んで、

ただ、震えることしかできなかったー



②へ続く


・・・・・・・・・・・


コメント


”憑いているものが見えてしまったー”

そんな、憑依モノです~!


続きはまた後日に!

今日もありがとうございました~☆

Files

Comments

No comments found for this post.