<皮>その身体 いいなぁ…②~恐怖~ (Pixiv Fanbox)
Content
綾音は震えていたー
さっきの光景ー
薫が、もう一人の女から出てきた謎の影に、
まるで”着られた”かのように見えた
不気味な光景ー
「--どうしたの?」
薫がクスリと笑う。
「ど、、どうも、、しないよ…だいじょうぶ」
綾音は無理して笑みを浮かべる。
「も~!綾音ってば、都市伝説みたいな話を
信じすぎ~!
幽霊なんているわけないでしょ~!」
恵美が綾音をポンポンと叩きながら言う。
「--ふふふ…」
薫がニヤニヤと笑みを浮かべるー
”いつもの薫とは違うー”
綾音はなんとなくそう思ったー。
しかし、薫がおかしな行動を取るわけでもなく、
そのまま時間は過ぎていきー
仲良し3人組の旅行の初日は終わった。
「ねぇ、綾音、ほんとに大丈夫?
なんだかずっと顔色悪いケド…?」
恵美の言葉に、綾音は「う、、うん…」とだけ答える。
とにかく、”恵美にだけ”なんとか
伝えなくてはいけないー。
綾音はそう思いながらも、薫が一緒にいる以上、
自分が見たものについて、伝えることができないまま
布団の中に入ったー
・・・・・・・
深夜ー
薫は、真っ暗な部屋で立っていたー
「--んふふ…♡」
自分の胸を触る薫。
「--…いい身体…」
薫がニヤァ…と笑みを浮かべるー
穏やかなお姉さん気質の薫が絶対に
浮かべないような、悪い笑みー。
「----はぁ…♡ はぁ…♡」
薫が、ズボンを脱ぎ捨てると、
露わになった太ももをニヤニヤしながら触るー。
「はぁぁぁ…♡♡♡」
なぞるようにして、味わうようにしてー
ズボンを脱ぎ捨ててパンツ姿の薫が
クスクスと低い声で笑うー
「……でも、”この女”よりーーー」
薫が飢えた表情で、寝ている恵美の方を見るー
「いいなぁ…」
薫が涎をじゅるりと垂らすー。
「--------」
ぶるぶるぶるぶるぶる…
綾音は”起きていた”
寝たふりをして、薫の様子を密かに
確かめていたー
震えが止まらないー
夜中に胸を触ったり、ズボンを脱いで
太ももを触ってるなんて、普通じゃないー
薫は、そんなことするコじゃないー。
「---…」
綾音はがくがくと震えるー
布団にもぐりながらわずかな
隙間から薫の方を見るー
”この女って…なに?”
綾音は震えるー
見た目は薫なのに、
薫じゃないー?
自分のことを他人のように言うなんて…
「----ふひっ」
笑みを浮かべた薫の頭がパックリと割れるー
中からーーーー
黒い人影のようなものが出てくるー
「ふひひひ…ひひひひひ…
おぉぉぉぉ…ついつい感情が高ぶりすぎたかぁ~」
薫と、黒い影が同じ言葉を発するー
真っ二つに頭の部分が割れた薫が、
再びー
まるで、服を着るかのように、と🄱閉じていくー。
そして、薫に戻ったー
綾音は、そんな恐ろしい光景を見て
ショックで気を失ってしまったー。
悲鳴を上げる前に気を失ったのは
幸いだったかもしれないー
・・・・・・・・・・・・
翌朝
「おはよ~!」
恵美が笑いながら綾音を起こす。
「--お、、おはよ…」
綾音は冷や汗をかいていた。
「--あ…あれ」
綾音が部屋を見渡す。
薫の姿はない。
「--薫は?」
綾音が言うと、
恵美は「あ~、薫は、なんか散歩してくるって言って
さっき部屋から出て行ったよ~!」
笑う恵美。
「--め、、恵美…あ、、あのね」
綾音が慌てて言うー
昨日の夜ー
薫の様子がおかしかった。
しかもー
薫の頭がぱっくりと割れて
中から何かが出てきたようにも見えた。
あれは、夢だったのだろうか。
それともー。
でも、いずれにしても
ホテルの外の浜辺で
”何か”が薫に入っていくのは間違いなく見た。
早く、恵美にそれを伝えないとー
綾音は、必死に昨日の出来事を伝えたー。
すると、恵美は大笑いしたー
「--も~~~!なによそれ~!
薫、さっきも普通だったよ~~!!
も~~おっかしいなぁ~」
恵美はゲラゲラと面白そうに笑っているー
「---ち、違うよ!作り話じゃないし
見間違えじゃないんだってば!」
綾音が必死に叫ぶ。
「--も~わかったわかった~!
薫の中に誰かいるのかもね~!
あはは!」
恵美は真面目に受け取っていない。
元からこういう性格だから、
分かってもらうのは、さらに難しいー
ガチャー
「-!」
綾音がビクッとして振り返る。
薫が部屋に戻ってきたー。
今日も落ち着いた服装の薫。
「あら、綾音おはよ~!」
ほんわかとした雰囲気で笑う。
確かに、おかしなところはないように見えるー
でもー
「--あ、ねぇねぇ薫ってば聞いてよ~!」
恵美が、綾音に言われたことをー
言ってしまったー
「え!ちょっと!恵美!」
綾音が慌てて止めようとするー
しかし、恵美は全部伝えてしまった。
”綾音が昨晩、見た”という話をー
「--そんなことあるあけないじゃない~!」
薫がニコニコしながら言う。
「安心して~!わたしはわたしよ!」
薫はそう言うと、綾音の方を見て
にっこりとほほ笑んだ。
「ほら~!心配性な綾音~!」
恵美も笑っているー
違うー
絶対ー
絶対何かあったのにー
”♪~~”
朝食を知らせるアナウンスー。
朝食は1階の食堂で提供されるー。
「あ、朝ごはんできたって~!
どんなご飯かな~!」
恵美が嬉しそうに部屋から出ていく。
「---」
綾音もそのあとについていく。
「---おい」
「--!!」
綾音が立ち止る。
部屋の中にいた薫から
呼び止められたのだ。
「-----見たんだ?」
薫が睨むようにして言う。
「--ひ…っ…」
綾音はぶるぶると震えながら
薫の方を見るー
「--ふ~ん…
そっか~…
じゃあ仕方ないね」
薫はそう言うと、
自分の頬をべたべた触りながら笑った。
「この女は、”皮”になったの…
くひひひ…
元々は女子高生の弥津子って子に
憑依してたんだけど”飽きた”から
”乗り換え”ちゃった!
くへへへへへ…」
薫が笑いながら指をペロリと舐める。
「お友達、いい身体だねぇ~」
薫がクスクスと笑うー
「--……か、、、か、、薫…じゃないの…?」
綾音が震えながら言う。
「--薫~?
ふふん。身体は薫だよ~~!!
ひひひひひひ」
薫はそう言うと、
綾音の背後の壁をドンと叩いて、
その綺麗な顔で綾音を睨んだー。
「--俺はさぁ、
小さいころから、ひっでぇ顔でさ、
顔でいじめを受けたんだ。
わかるか?
だから、かわいいやつとか、
かっこいいやつを見るとむかつくんだ。
そんな奴らをまるで服のように皮にして
着てやってー
その人生と姿を奪う。
ゾクゾクすんだろぉ?」
薫が、穏やかな声色で、乱暴な言葉を吐く。
「か、、薫…目を覚まして…!」
綾音が泣きそうになりながら言う。
だがー
薫は笑う。
「無駄だ。この女は全部俺のものだ」
薫はそう言うと、
「でもー」と呟いた。
「すぐに返してやるよ。
お前の友達の恵美ちゃん…だったっけ?
あいつの方が俺好みだからなぁ…
ひひひ…ひひひひひひひひひひ!」
薫が下品な笑いを浮かべながら
そのまま立ち去って行くー。
綾音はしばらく震えが止まらなかったー
食堂に向かうと、
恵美が、何やら、旅館の外の方を見つめていたー。
「どうしたの~?」
薫がニコニコしながら言うと、
恵美が「なんかあったみたい」と呟く。
浜辺に人が集まっているー
旅館の浜辺にはーー
行方不明になっていた女子高生の弥津子がー
まるで”脱ぎ捨てられた着ぐるみ”のような状態となって、
倒れていたー
完全に、死んでいるように…
いいや、人間ですらない状態になってしまっている。
旅館の女将・純恋が、
倒れている弥津子の姿を見つめているー。
「警察に通報して」
スタッフに指示をすると、スタッフが頭を下げた。
「あ、、あの…何かあったんですか?」
恵美が尋ねると、
女将・純恋が変死体が見つかったことを告げたー
「----き、、、昨日…その子から
出てきた黒い人影が薫の中に入って行ったんだよ…!」
綾音がすかさず言う。
恵美に信じてもらうチャンス、
そう思いながら。
しかしー
恵美は笑うだけだった。
「あははは!たまたまでしょ。
この子は可哀そうだけど、
行方不明になってたってことは
事件か事故か、自殺か…
どれかだよね」
恵美はそこまで言うと、
「オバケなんていないからだいじょーぶ!」と
可愛らしく腕を振ったー。
・・・・・・・・・・・・・・
2日目も、海で遊ぶ三人ー
しかし、綾音は気が気ではなかった。
「ちょっと一旦旅館に戻ってるね」
そう告げると、綾音は旅館に戻り、
スマホをいじり始めたー
”身体を求めて徘徊する女幽霊”の噂ー。
薫を皮にして乗っ取った”黒い影”が、
その女幽霊なのではないかー、と
綾音は考えていたー
そしてーーー
その幽霊の正体を突き止めることができればー
ただーーー
「--俺はさぁ、
小さいころから、ひっでぇ顔でさ、
顔でいじめを受けたんだ。
わかるか?
だから、かわいいやつとか、
かっこいいやつを見るとむかつくんだ。
そんな奴らをまるで服のように皮にして
着てやってー
その人生と姿を奪う。
ゾクゾクすんだろぉ?」
薫はそう言っていたー
薫を皮にした謎の黒い影は
”男ー?”
都市伝説になっているのは
”身体を求めて徘徊する女幽霊”だー。
綾音は不安そうに過去の事件の記事を調べ続けるー。
確かにー
昨晩、花火を持った女の中にいた、あの黒い人影が
薫を皮にして、薫の中に入ったー
女の人ばかりを乗っ取っているのかもしれないー
行方不明の女子高生・弥津子も、あの黒い人影に
皮にされて着こまれていたに違いないー
”身体を求める女幽霊”とは、
そういうことかもしれないー
乗っ取られた女の人が、次の女の人の身体を奪うー。
だからー
”身体を求める女幽霊”という都市伝説が
出来たのだとー。
「----!!」
綾音は表情を歪めたー
3年前の事件ー
ひとりの男子大学生が”自殺”したという事件の記事ー。
遺書には
”次はイケメンか、かわいい子に生まれたい”と
書かれていたのだと、その事件の記事に書かれているー
「この人だ…」
綾音は思うー
この人の亡霊が、薫を乗っ取っているー
だったら、早く説得してー
どうにかしないとー。
”石峯 陣伍(いしみね じんご)”
3年前に自殺した大学生ー。
綾音は決意する。
恵美は、信じてくれそうにないから、
恵美が何かをされる前に、
薫を乗っ取った陣伍を説得するのが早いだろうー、と。
”生前は花火が好きで、
花火職人の父の影響を受けて、
花火職人になりたいと夢を語っていたというー”
ニュース記事にはそう書かれていたー
「---」
昨夜、薫を乗っ取る前に、乗っ取られた弥津子が
花火を持っていたことを思い出すー
やっぱり、薫を乗っ取ったのは、この人だーーー!
とー
やがて、日が暮れ始めて
恵美と薫が戻ってくるー
綾音は、薫を呼び出すと、
薫は、「いいわよ」と笑みを浮かべたー
旅館のラウンジにやってきた綾音と薫。
恵美は”え~?二人で内緒話~?”などと
不貞腐れていたが、なんとか落ち着かせたー。
「---お願いします。薫を返してください」
綾音が震えながら言う。
「--……」
薫は足を組みながら、見下すように綾音の方を見ているー
いつもの薫とは別人のような雰囲気ー
「--石嶺 陣伍さん」
綾音が、イチかバチかでその名を口にするー
3年前に自殺した大学生の石嶺が
薫を皮にして乗っ取ったのではないかとー。
そう思いながらー
「---…ふふふ…
よくわかったな」
薫がうすら笑みを浮かべながら、旅館の自販機で買った
煙草を取り出してそれを吸い始めるー。
薫は煙草を吸わないー
そんな薫の煙草を吸う姿は、不気味に妖艶だったー。
「---か、、薫を…!薫を返してください!」
綾音が言うと、
薫はほほ笑んだ。
「-ーーーくくく、この女は、俺が皮にしてやった時点で、
橋口 薫 としての人生を終えたんだよ。」
ニヤニヤしながら言う薫。
「--今のこの女はもう、石嶺 薫だ。 ぐへへへへへ」
薫を乗っ取った男が、自分の苗字を薫に無理やり
くっつけて、そう宣言したー
”返す気がない”
薫を乗っ取った石嶺の言葉にー
綾音は、そう感じて、絶望するのだったー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・
コメント
まだまだ恐ろしい展開が待ってますよ~☆
続きは、また週末ぐらいに~☆!