Home Artists Posts Import Register

Content

守は放課後、空き教室に呼び出されていた。


守がビクビクしながら空き教室を訪れると、

そこには香織の姿があった。


てっきり、いじめっ子の井浦・浦野たちに

呼び出されたのかと思っていたが、

待っていたのは香織だった。


香織の姿にほっとした守。

思わず笑みがこぼれるー


「ほっ…

 なんだ城咲さんか… 良かった~」


ーと。


放課後 ○○に来てほしい と書かれたメモが机に

入っていただけだったし、この空き教室は

いつも井浦たちにいじめられる場所でもある。


「ーーー高野君」

香織は笑みを浮かべて守の方を見る。


「今日は、私の彼氏、紹介しようと思って」


香織の言葉に、守は、少しドキッとする。

もちろん、自分なんかが彼氏になることが

できるはずがない。

香織はただ、守のことを憐れんで

助けてくれているだけ。


それ以上の、どんな関係でもない。


「彼氏…、

 あ、城咲さん 彼氏できたんだね」


少し寂しそうにする守。

分かってるー

香織が自分を助けてくれるのは

恋愛感情などではないことは。


それでもー

ちょっぴり寂しい、という感情を隠すことはできなかった。


「入ってきて~!」

香織が嬉しそうに呼ぶと、空き教室に浦野が入ってきた。


井浦と共に守をいじめていた浦野が入ってきたのだ


「へへへへ」

浦野がニヤニヤしながら香織の方に近づいていく。


「えっ…ど、どういうこと」

守がびくびくしながら聞く。

そういえば、今日は香織の様子が1日中おかしかった。

守に対して敵意を向けてきているような、

そんな、おかしな様子ー。


「どういうことって…

 見て分からないの?」


香織が心底馬鹿にしたような口調で言う


「え…その…」

それだけで守は委縮してしまう。


浦野もニヤニヤと笑っている


「高野君ってバカ?

 超ウケる!」


普段の香織が絶対言わないような言葉ー

敵意の込められた口調ー


守は、それだけで委縮してしまうー


「私ね、浦野君と付き合うことにしたの。

 だって、アンタなんかより、全然カッコいいじゃない?」


香織が言う。

いつもと口調が違うー

いつもの穏やかな喋り方ではなくー

香織の口調はきつい感じの、

敵意に満ちた口調だったー


浦野を見る香織の目は本気だ。

芝居などではないー


”浦野たちに脅されているの?”と

守は一瞬思ったー


けれど、香織の表情は本気ー

脅されている顔ではない。


「そうだぜ、高野。」

浦野がトドメを刺す様に言う。

香織の胸に手を触れると

香織が嬉しそうにほほ笑む。


「う、、嘘だ!

 城咲さんを脅したのか!?」

守は勇気を振り絞って叫ぶー


香織が急に浦野と付き合うはずなんてない。

だったら、脅しぐらいしか理由は

考えられない。


しかしー


「私が脅される~~?

 あっははは♡、違うわよ!」


そう言うと、香織は突然、浦野を押し倒した。


「自分の意思だってこと、

 今から高野君に見せてあげる」


そう言うと、香織は勢いよく、浦野にキスをした。

そして激しい動きで浦野を攻めてゆく。

恥ずかしがる様子もなく、性欲に飢えたメスのような

表情で、浦野を見つめる香織ー


「はぁ…♡ はぁ…♡ 

 わたし、浦野くんがだ~いすきなの」


「ちょ、、、ちょっと城咲さん!」


守は涙ぐんだ目で叫ぶー。

香織が、香織がどうしてこんなことー?


その様子を見て、香織は立ち上がって

守の方を見た。


「なぁにその顔…

 最高なんだけど」


香織が邪悪な笑みを浮かべて言う。

本当に楽しそうな香織ー

苦しむ守を見て、ゾクゾクしながら

心底喜んでいるー


「ね、、ねぇ…どうしちゃったの

 城咲さん!

 しっかりしてよ!」

守が半分、べそをかきながら言う。


「ウフフ…

 私は本気よ…


 アンタみたいなやつを

 いじめるのが大好きなの」


香織がゲラゲラと笑うー


中学生の頃、仲の良かった子が

 いじめの被害に遭って、不登校になっちゃったの


香織の言葉を思い出す。


あの時の城咲さんは本当に、

いじめを憎んでいた。


なのに、どうして…?


「…アンタみたいのを地獄に落とすのが楽しくて

 たまらないの」


クスクスと笑う香織。

香織は守の顔を覗き込んで言う。


「城咲さーーー」

守が口を開きかけたその時だった。


「うっ…あぁぁ…」

突然、香織がうめき声を上げ始めた。


「--!?」

守が驚く。


背後でニヤニヤしながらそれを見ていた浦野も

少し表情を変えるー。


「わ、、、私から出てって!!

 ……こんなこと・・・私にさせないで」

香織が苦しそうに頭を押さえながら呟くー

目がぐるぐると動いているー


とても、”ふつう”には見えないー


守は唖然とする。

城咲さんは一体どうしてしまったのかー

と、思いながら。


しかし、それは同じ教室にいる浦野とて同じことだった。


「お、おい!」

浦野が動揺して叫ぶ


「うっ・・・ウ・・・あぁぁあああああああ!!」

香織が絶叫すると、香織は発狂したかのように

頭を抱えながらその場に蹲るー


蹲ったあとも、苦しそうな声を上げながら

ぶるぶるぶるぶると震える香織。


「し、、城咲さん!」

たまらず、守が近付いて香織の身を案じる


浦野も心配そうに見ている。


・・・。


香織が、静まるー。

ゆっくりと起き上がる香織ー


「城咲さん!?」

びびりながら、守が言うと、

香織は突然狂ったように笑い出した。


「あ、あはははははははははは!」


笑い続ける香織ー


そんな香織を前に守と浦野は

唖然と立ち尽くしていた。


④に続く


・・・・・・・・・・・・


コメント


この作品は、私の初期の作品で、

今回はそれのリメイクなのですが、

今回の③のラストから、④の展開は

今の私が見ると「え?どうしてそうなっちゃうの…?」みたいな

感想を抱いてしまったりします…笑


※原作が短いので、話の長さがいつもの1話より

 短くなっています。

 そのため、こちらは100円プランでも読めるようにしてあります。


Files

Comments

No comments found for this post.