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skebで書かせていただいた作品です。

FANBOXで先行公開し、およそ1週間後(2/25)に全体公開としてpixivに投稿します。


現在私のPixivリクエスト(https://www.pixiv.net/request/send?creatorUserId=2467259¤tPlanId=67530)、skeb (https://skeb.jp/@sazankahisashi)、FANBOXにて有償リクエストを募集しています。

1文字1円、5000文字から受付でき、依頼額+5000文字で執筆します。

またFANBOXにて1週間早く読むことができます!

素敵なエロネタがありましたら、僕に具現化させてください!

リクエストお待ちしています!

※僕の知らない作品の二次創作ですと支援者様のものでもお受けできない場合があります。


◆◆◆◆◆


 プリンス・オブ・ウェールズが行方不明になってもう1ヶ月が経過した。


 人類とセイレーンとの戦いの中で生まれた、国家を超えた軍事連合アズールレーン。

 KANSENであるウェールズはロイヤルから選ばれた代表メンバーの一人として、幼くも優秀な司令官の指揮下に加わった。

「おいで司令官。紅茶でも飲んで、今日の仕事に取り掛かろう」

 頼りなさげな少年司令官を補佐し、セイレーンとの戦いを切り抜ける日々。

「レディを輝かせるのが紳士の仕事。君は、私の美を扱いきれるかしら?」

 真っ赤な制服に身を包み、黄金色のショートヘアを揺らして語らうウェールズは、美女でありがなら正に王子様のような印象だった。

 白銀のサーベルを振り上げて、先頭でセイレーンたちと戦うその背中。

 強く、誇らしく、気高く。

 誰もがウェールズの有り様を目標に、指揮を高めるのだった。

「そばにいて、司令官。貴方を失う夢を見たの……辛くて、苦しくて。でも、絶望で声すら上がらない夢」

 しかし、少年と二人きりで執務室に残る夜。

 ウェールズは彼にだけ弱さを見せた。

 海の上で見せる強さとは、彼女が秘める恐れの裏返し。

 仲間を、愛する者たちを失うことを何より恐れるプリンス・オブ・ウェールズ。

 どこまでも真っ直ぐに敵を見つめる真紅の瞳は。

 凛々しく主砲を撃ち鳴らす彼女の姿は。

 己の弱さを振り払うためのものだった。

「大丈夫。君だけが私の弱さを知っていてくれればいい。あなたさえ、私の全てを受け入れてくれるのなら……私は何にだってなれる。どこまでだって進んでいける」

 いつしか、少年司令官とウェールズの指には同じ柄の指輪が嵌められた。

 しかしそんなことは些細な変化。

 硬く結ばれた少年とウェールズの絆の前に、儀礼的な指輪などただの確認事項に過ぎないのだから。


 人類でありながら、セイレーンに手を貸す組織があるとの情報が出回った。

 少年の元には早速、KANSENの一人を組織へ送り込み、潜入捜査をせよと命令が降りてきた。

 危険な任務だ。

 裏に何を隠しているのかも不明な組織だ。

 大本営としては気になるものの、リスクを踏みたくないといったところだろう。

 不幸にも、アズールレーンはそうした面倒ごとを押し付けるにはうってつけの軍だった。

「指揮官。私が行こう。大切なあの子たちを、こんなくだらない任務に充てる必要はない」

 誰を派遣しようかと唸る少年の側で、ウェールズは優しくそう言った。

 どれだけの危険があるのかもわからない任務に、一人だけKANSENを選んで向かわせる。

 優しすぎる少年に決断できないことはよくわかっていたから。

「安心してここで待っていなさい、私の愛する人」

 首を振る少年に優しくキスをして、ウェールズは頼もしい笑みを浮かべた。

「あなたが私を思っていてくれるなら、それだけで私は無敵になれる。あなたが私を思う力が、私をここに引き寄せるわ」

 それが、少年とウェールズが交わす最後の言葉だった。


 以前としてウェールズの居場所はわからない。

 潜入捜査した敵の居場所はもぬけのカラだった。

 ウェールズを飲み込んだまま、組織はどこかへ消えてしまった。

 あれから1ヶ月。

 片時も休まず捜索を続けているものの、依然としてウェールズの足取りは掴めない。

 あの、強く優しく、それでいて愛らしいレディは自分の妄想だったのかと、一人苦しむ夜が続いた。


カタン


 そんな、捜索を諦めきれない司令官の元に、「貴方の愛するウェールズより」と書かれた小包が届いた。

 宛先は書かれていない。

 誰が投函したのかもわからない。

 悪い予感が少年を包む。

 ぞわりと悪寒が背筋を走る。

 丁寧に梱包されたDVD-ROMを取り出して、悪寒がより一層強まった。

 DVD-ROMに巻かれていたのは青いリボン。

 ウェールズがいつも、髪を纏めるのに使っていたあのリボンだったのだ。



「う゛ふぅ゛……ッ❤︎ ふ゛❤︎ うぅう゛ぅう゛ッ❤︎ ンぅ゛ッ❤︎ ふッ❤︎ ふッ❤︎ ふッ❤︎ ふ……❤︎❤︎❤︎」

 2週間前の日付がメモされたDVD-ROM。

 そこに焼かれていたのは、窓ひとつない暗い部屋。

 画面の中央で、粗末なライトに照らし出された女性の背中が震えている。

 両手を縛られ、天井から吊られ、色のない床に両膝を付いた裸の女性。

 項垂れてはいるものの、小刻みに震える身体や、雑音に混じって聞こえてくる呼気音から、彼女がまだ生きていることがわかる。

 映像がゆっくりと、女性の背中に近付いた。

 そう、定点カメラではない。

 女性をあえて撮影している何者かが一緒にいるのだ。

ずちゃ……ずちゃッ、ずちゃッ、ずちゃッ

 水溜まりをサンダルで踏み締める、複数の足音。

 雨など降っているはずもない屋内の床は、スコールにでもあった直後のように水溜りがいくつもできていた。

 水溜りに浮かぶ島のように、床にはいくつもの「道具」が転がっている。

 「そういった」知識に薄い少年にも即時に理解できる。

 大人のオモチャ……淫具と呼ばれる品々だ。

 男性器を模したもの、ぶるぶると振動する類のもの、ヒトの誇りを辱めるもの。

 しかし少年の知識にあるソレとは何もかもが違う。

 形も、サイズも、表面に生え揃う凹凸の数も。

 本来ヒトを喜ばせるために使われるはずの淫具たち。

 床のグロテスクなソレらは、どう見たところで苦痛を伴う使用を連想させた。

 淫具たちはどれもこれも、ついさっきまで使っていたかのようにぬらぬらと濡れている。

 画面が揺れるたび、天井の光に照らされた淫具たちがいやらしい輝きを振りまいた。

 かちゃん、と誰かが何かを蹴り飛ばす。

 画面内に転がってきたのは、針も付いたままの注射器だ。

 中には半分ほど薬液が残っている。

 ソレを身体に入れるなど、想像すらしたくない毒々しいピンク色の液体だ。

「ふぅう゛ぅッ❤︎ う゛❤︎ う゛❤︎ ぅ゛……ッふ❤︎ ォ゛……ッ❤︎ ぉ゛ぉ……ッ❤︎」

 床に転がる道具の数々を蹴り飛ばし、映像は女性の背中に接近する。 

 汚れた金髪を首筋に貼り付けた女性の身体は、見るも無惨に荒れ果てていた。

 本来ならば、芸術品にも例えられるような、澱みのひとつもない白い美体だったことだろう。

 しかし、画面の中で震えるソレは、泥と汗と、ドロりとした汁で汚れ、見窄らしく彩られていた。

 背中には満遍なく、痛々しい鞭の痕が刻みつく。

 首筋にはまだ新しい注射痕が幾つも赤い斑点模様を作っている。

 何よりも、

「う゛ッ❤︎ ふぅ゛ッ❤︎ ンぅ゛……ぅッ❤︎ ふ❤︎ ふッ❤︎ ふゥ゛ッ❤︎ ウふッう゛……❤︎❤︎❤︎」

 床に散らばる淫具によって責め立てられたであろう、彼女の下半身。

 ドロドロと薄ピンクの液体が、震えるヒップから垂れていく。

 床に出来上がる巨大な水溜りへと、女性の身体から落ちていく。

 女性が震え、うめく度、股間から薬液混じりの汁が溢れ、水溜りを拡大する。

 この、大量の液溜まりの源泉は、淫具によって虐められた彼女なのだろう。

 だとしたら。

 どれだけの時間、どれだけの苦難を受けてきたのか。

 項垂れる女性が今も尚生きていられることにすら疑問を覚えてしまうほど。

 すらりと細く、真っ直ぐに伸びる女性の背中から、これまでの壮絶な体験が染みてくるようだった。

ずちゃっ、ずちゃっ、ずちゃ

 映像が女性の周りをぐるりと移動する。

 正面に回ると、鞭痕だらけの前面が画面を埋め尽くす。

 腹には深い殴打の痕。

 腕や首筋には背中から見えていたものより遥かに多い注射痕。

 これだけの陵辱、一晩二晩では済まされない。

 特に凄惨な彼女の体験を物語っているのが、ベルトのようなもので縛られた乳房だった。

 モデルのような小顔体型の女性には魅力的すぎる、豊満な乳房。

 本来ならば、豊かに左右へ弾んでいたはずのソレが、ベルトによって一つに束ねられている。

 柔らかな肉を苦しそうに歪ませて、束縛されている。

 ピンクに膨らむ乳首には、いくつもの注射痕が痛々しい星座のように並んでいる。

 太く硬く、勃起させた乳頭からは、ぽたぽたと白濁母乳が絶え間なく溢れ続けていた。

「おォい、いつまでくたばってンだよ豚ァッ!」

 画面外から、ガラの悪い怒号が響く。

 カメラが一瞬大きくブレて、

ばぢィッ!

「ぶォッ❤︎❤︎❤︎」

 女性の顔が、右に大きく吹き飛んだ。

 タトゥーがびっしりと刻まれた男の手。

 それが女性の頬を叩き、そのまま顎を掴んで顔を上げさせる。

「おはよーさんブールーズ『負け豚』ちゃん❤︎ ご主人様が来てやったんだ。ご挨拶もなしってのは寂しいぜ?」

「ぶ、ぐッふ❤︎ ふッ❤︎ う゛……? な、なン、だ……猿、が、吠えているだけ、か……ッ」

 ドロドロの汁に塗れた顔に、かつては美しかったであろう金髪がベッタリと張り付いている。

 虚な瞳に意識が宿り、真紅の輝きが画面を照らす。

「ふ……ふ、ッぅ❤︎ レディの扱い、が、なっていない野猿、供……ッ❤︎ さ、騒がしくて、寝てもいられない、な」

 血が滲んだ唇がゆっくりと動く。

 一言一言発するだけで、苦しそうに身体を震わせ、それでもニヤリと笑って見せる。

 プリンス・オブ・ウェールズだ。

 行方不明となっていた少年最愛の女性。

 生死すらも不明であった彼女が今、画面の向こうで笑っている。

「相変わらず減らず口が減らねェなぁ! KANSENってなァお偉いサンにおべっか並べてヘラヘラするのがお得意って聞いていたのによ」

「嫌味はもういいから、早く情報吐けってンだよこの豚ァ! いい加減にしねェとバラして出荷すンぞッらァ゛!」

「へへへッ! 注射だって特注の針を使わなきゃいけねェんだ。バラすとなりゃいくらかかるって話だよ……全く豚の価値もねェオナホ風情がなぁ?」

「大人しく俺らの側に付いてりゃよかったのになァ。余計な手間ばっかりかけさせやがって、デカいのは乳だけで十分なんだよなァ」

 ゲラゲラと下品に笑う野太い声たち。

 水溜りを踏み鳴らし、男たちがウェールズを取り囲む。

 誰も彼も、棍棒のように筋骨隆々の半裸体を曝け出し、夥しいタトゥーを誇らしげに見せつけている。

 タトゥーの数々の中に、一箇所だけ全員に共通する柄があった。

 少年の記憶にも新しい。

 あの、セイレーンと共謀する組織のエンブレム。

 ウェールズが今、どんな恐ろしい連中の手に落ちたのか。

 少年の全身が震え出す。

「は……言葉の、通じない、猿などに……ッ❤︎ 喋りかけるほど……私は、暇ではッ❤︎ ないッ!」

 だが。

 ウェールズは、ボロボロに拷問され続けたはずの女性は、少年がよく知るウェールズのままだった。

 気高く、強く、決して折れない。

 少年に誓った「必ず戻る」という言葉を、信じて疑わない強き女性だった。

 陵辱され、誇りを踏み躙られ、想像もできない体験を経て、こうして暗い部屋で屈辱的なスポットライトに照らされて。

 それでも、あの赤い制服を纏って立つウェールズが画面の中に輝いて見えた。

 彼女なら絶対に負けることはない。

 アズールレーンがウェールズを見つけ出すその日まで、必ずや拷問に耐え抜いてくれる。

 震える少年が己を奮い立たせるべく、「愚かにも」そう信じようとした時だ。

「縮こまって隅で震えているといいわ……無駄口を叩く暇があったら、裁判で刑を軽くする言い訳でもかンがえ゛う゛ぉお゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 真っ赤な炎が燃ゆる瞳がぐりゅん❤︎ と一気に反転する。

 眼球に引っ張られるように、ウェールズの頭が殴られたかのように反り返った。

「あー、もううるッせぇ豚だなぁ」

「家畜以下の癖に、声だけはでッけえのな」

ぎち……み゛ちちちちッ❤︎❤︎❤︎

 タトゥーだらけの男の腕が血管を浮かせ、ウェールズの乳房を引っ張っている。

 ベルトに縛られ、擦り合わせるような形で固定された左右の乳首を握り締め、力一杯に引き搾る。

「う゛❤︎❤︎❤︎ ぎッゅお゛ほぉお゛お゛お゛〜〜〜っ❤︎❤︎❤︎ う゛❤︎ はだぜッ❤︎❤︎❤︎ きだなッてでざわッう゛ぎぃい゛い゛い゛ぃい゛ぃい゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

ぶびゅるッ❤︎❤︎❤︎ びゅび❤︎ じゅぶびびッ❤︎❤︎❤︎

 慌てて顔を引き戻し、男を睨みつけるウェールズ。

 しかし男が乳首を捻れば、たちまち元の仰け反り姿勢に逆戻り。

 引っ張られた真っ赤な乳首から白濁母乳を噴射する。

 乳首にホースでも繋いでいるのかと思うような極太水流が床に噴きかかる。

 野猿と笑った男の指に乳首をひねられて、ウェールズは聞いたこともないようなはしたない絶叫を吠え上げる。

 苦痛に耐えかねた絶叫ではない。

 快楽。

 乳首を捻りきらんばかりに引っ張られる拷問に、母乳を噴射して「喜んでいる」。

 少年のウェールズが、悪鬼の拷問に快楽を叫んでいる。

「ィ゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎ ン゛ぐッおぉおぉお゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎ オ゛ッヒュ❤︎ う゛❤︎ こ❤︎ こりょッ❤︎ こりょッていろ゛❤︎ でッ❤︎❤︎❤︎ ンぎォ❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎❤︎❤︎ 

ほォオ゛ォオォオオ゛オ゛オ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 唇が割れるほど歯を突き立てて、ウェールズは声を押し込めた。

 ぶるぶると顔を真っ赤に染め上げて、快楽に負けまいと踏ん張って見せる。

 が、しかし5秒と持ちはしなかった。

どぢゅうぅぅぅぅッ❤︎❤︎❤︎

 ウェールズの乳房に注射器が突き立てられる。

 あの、美しいまでに毒々しいピンクの液体が、なんの躊躇もなくウェールズの乳房に注入されていく。

「情報吐けねぇならッ! 今日もドキドキお仕置きタイムだなァ?」

「『ご主人様に生意気イってごめんなさい』って鳴けたら許してやってもイイぜ?」

「ぎッ❤︎❤︎❤︎ うぎぃい゛い゛い゛❤︎❤︎❤︎ だ、だッ❤︎ だへッ❤︎❤︎❤︎ だへッがッ❤︎ しょッらぉ゛どッ❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎ おう゛ぐッ❤︎❤︎❤︎」

どちゅ❤︎

「ぎう゛ッ❤︎❤︎❤︎」

ぢゅぶぶ❤︎

「オ゛……ッ❤︎❤︎❤︎ オ゛ッ❤︎❤︎❤︎ ほォ゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛……〜〜〜〜〜〜ッオ゛❤︎❤︎❤︎ オ゛ォォォ゛ォ゛ォ゛ッ❤︎❤︎❤︎」

 今度は男たちがウェールズを笑う番だった。

 両乳房に何本も注射器を突き立てて、ピンクの汁を打ち込んでいく。

 ウェールズの眉根に深いシワが寄る。

 口を「お」の形に突っ張らせ、肺の空気を搾り出す。

びぐびぐびぐぐぐッ❤︎❤︎❤︎ びぎ……ど、ぶぢッ❤︎ びじゅッ❤︎❤︎❤︎ ぶじゅぶッ❤︎

 注射器が空になった分だけ反応するのは乳首だった。

 男の暴力的な愛撫にすら、濁流のような射乳を見せる敏感乳首。

 ピンクの薬液を乳房に打ち込まれるたび、乳首が真っ赤な果実のように怒張して、乳腺からミルクを漏らしながら肥大化する。

 注射器に入っているのは興奮剤のようなものだろう。

 だが、あんな量を、あんな濃度を、あんなにたくさん使っていいはずがない。

「ォ……ほォ゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛ッ❤︎ ふ❤︎ ふッ❤︎ ふッ❤︎ ふゥ゛ッ❤︎❤︎❤︎ ン゛、ふッ❤︎❤︎❤︎ ふッ❤︎❤︎❤︎ う゛ふゥ゛ッ❤︎❤︎❤︎」

 赤く燃えるウェールズの、獣さながらに荒々しい呼吸を見れば明らかだ。

 丈夫なKANSENすらも容易く乱す、劇薬なのだ。

「それじゃあお仕置きタイム開始ッ!」

「ふ……ふゥ゛ッ❤︎ ふ……ッッッ!?」

 男がチューブ付きのガラス器具を取り出した。

 ソレだけを見せられても、きっと名前すら出てこないだろう。

 けれど、ぶるぶる震えるウェールズの乳房を、ソーセージのように勃起した母乳濡れの乳首を見れば簡単だ。

 搾乳器。

 乳牛に取り付ける、アレだ。

「今日は……そうだなぁ……『乳豚がヒトの言葉を喋ってごめんなさいブヒィ❤︎ 今日から家畜語で喋りますモォ〜❤︎』って言ったら止めてやるよ」

 搾乳カップをウェールズの目の前で揺らし、男が笑う。

 ウェールズの赤い目は、透明なカップをじっと見ていた。

 少年ですら見たことのない、恐怖の感情がそこに浮かぶ。

 ウェールズは、知っている。

 このカップが彼女の身にどんな刺激をもたらすのか、経験として知っている。

 カップを見せつけられた途端、びくびくと痙攣を強める乳首がそう語っている。

 だが、

「冗談は、よせッ❤︎ 私は……私が信じた者にしか傅かないッ❤︎」

 赤い瞳は、カメラのレンズをしっかりと見据えていた。

 その奥にいるであろう愛する人を安心させるように。

「粗暴な野猿のオモチャ……必ずや耐えぬ゛ィ❤︎❤︎❤︎ お゛ぉお゛ッ❤︎❤︎❤︎」

「いちいち口上が長げェしうぜェ」

「俺らに媚びれないなら、せいぜいどばどば搾られてくれや」

 ぎゅ、っと。

 一対のカップが乳輪の上から乳首を覆う。

 強力な吸引で、あっという間にウェールズの乳首が引き伸ばされた。

「ま、へだい゛……わだ❤︎ ッしはぁあ゛ッ❤︎❤︎❤︎ ちがッ❤︎ だ、のだがら゛ぁッ❤︎❤︎❤︎ あ゛❤︎❤︎❤︎ お゛ぉお゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛❤︎❤︎❤︎ う゛ぎぃいぃい゛い゛い゛い゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる……ぶぶぶぶぶぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛❤︎❤︎❤︎

 躊躇なく、搾乳機は耳障りな振動音を鳴らし出す。

 しかしウェールズの嬌声に比べれば、そんなものないも同然だ。

どぶびゅる゛ッ❤︎❤︎❤︎ ぶびッ❤︎❤︎❤︎ じゅびびびびびびッ❤︎❤︎❤︎

 カップが震え、発情乳首から勢いよく母乳が搾り出されていく。

 カップの中からいくつものアームが伸びてきて、勃起乳首に振動刺激を押し付ける。

「ぐぉおおぉお゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ まッ❤︎ まッげだィい゛ッ❤︎❤︎❤︎ わだッしはッじれッがンのぉお゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛❤︎❤︎❤︎ ふぎッ❤︎❤︎❤︎ ンぎーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

「はいはい始まった始まった」

「いっつもいっつもしれーかんしれーかんッて……バカみてぇに同じことばっか」

 白目を向いて乳首絶頂するウェールズを撮影する男たち。

 音割れするまで吠えたてる彼女をゲラゲラと嘲笑する様は外道のそれに違いない。

「ほれブールーズちゃん! おっぱいと一緒に情報もびゅるびゅる出してくれよぉ」

ばびゅる゛ッ❤︎❤︎❤︎ ぼりゅンッ❤︎❤︎❤︎ びじゅじゅじゅじゅッ❤︎❤︎❤︎

「ぐぁ゛ほッ❤︎❤︎❤︎ ぎッお゛ぉお゛ッ❤︎❤︎❤︎ ふ、ふざッへぇえ゛え゛え゛え゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 男の一人が搾乳器のチューブを振り回す。

 ウェールズの乳房が跳ね上がり、ウェールズの悲鳴も飛び上がる。

「敗北宣言でもいいぜ? ブヒでもモォでも鳴いてくれりゃ、即刻外して休ませてやるよ」

ぢゅぅうぅぅぅッ❤︎❤︎❤︎

「ィぎ❤︎❤︎❤︎ う゛……お゛ッ❤︎ お゛ッ❤︎ お゛❤︎ う゛お゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎」

 首に注射器を突き立てながら、別の男が囁いた。

 ウェールズは血が吹き上がらんばかりに顔を沸かせ、ケダモノのように吠えたてる。

 誰が見ても過剰な拷問。

 快楽に心がへし折られるのも時間の問題だ。

 しかし、それでも、まだ。

「ッお゛❤︎ ッぉおぉお゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎ し、しれぇ゛ッ❤︎❤︎❤︎ まげだい゛ッ❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎ わだッじ❤︎ ま、げだいッ❤︎❤︎❤︎ い゛ぃい゛い゛い゛ォォォーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 ウェールズは愛する人のため、己を決して曲げることはない。

 意識があるとは思えないその乱れよう。

 理性が焼け尽くされているはずなのに、ウェールズの決意は変わらない。

「チッ、こうなったら同じことしか言わねえもんな」

「ガチ失神するまでほっとくぞ」

 男たちが呆れた声で画面の外へと消えていく。

 画面が揺れて、何かに固定するような音がイヤフォンを擦った。

「わ゛だッじはぁあ゛ッ❤︎❤︎❤︎ あ゛❤︎❤︎❤︎ あ゛ぃい゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎ お゛ッ❤︎ お゛ほっ❤︎ ぜったぃ゛ッ❤︎❤︎❤︎ まげッなぃい゛ッ❤︎❤︎❤︎ ンィい゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

ぼびゅるるるるるるるるッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎

 決意表明とともに噴射する母乳がカメラを濡らす。

 真っ赤な乳首から真っ白い母乳を噴き続けること数時間。

 プリンス・オブ・ウェールズは白目を向きながら「負けない」と叫び続けていた。


◆ ◆ ◆


 あの、衝撃の動画が届いてから1ヶ月。

 小包を届けた人物の捜索はまるで進展していなかった。

 リボンの切れ端一つでは、大した情報は得られない。

 沿岸にある工業地帯であろうことは、付着した成分から解析できる。

 しかしそんな場所はこの世界に何千と存在する。

 何も情報が出ていないも同然だった。


 司令官があのDVDを皆に見せていれば、もう少し進展はしていたかもしれない。

 あの、ウェールズが白目を向いて搾乳絶頂に咆哮している映像だ。

 背景の情報から、挟まる自然音から、場所特定の鍵が見つかったのかもしれない。

 しかし。

 少年にはできなかった。

 ウェールズを心配する皆のため、何より今もあの悪漢たちからの拷問に耐えているであろうウェールズの誇りを守るため。

 件のDVD-ROMは、執務室の金庫の奥に隠された。


カタン


 そうして日付が一周した頃。

 再びあの荷物が届いた。

 DVD-ROMを抱き抱えるようにして、ウェールズの白い手袋が添えられていた。



「どぉッせぇええええ゛え゛え゛いッ!」

ぼりゅぼりゅぼりゅぼりゅぼりゅッ❤︎❤︎❤︎

ぶびゅるじゅぶぼッッッばァッ❤︎❤︎❤︎

「ぶォオオォオオォオオォオオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 少年は咄嗟に、PCにイヤフォンを突き刺した。

 深夜の執務室内に、一瞬砲弾が降り注いだかのような爆音が響いたからだ。

 止まりかけた心臓を腕で叩き励ましながら、司令官は動画を再生する。

 そこには、真っ赤に腫れたヒップを突き出した姿勢で拘束された、ウェールズが映し出されていた。

「ッ〜〜〜〜〜〜ッお❤︎❤︎❤︎ ほォ゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛❤︎ ぐッッッふごォ゛ッ❤︎❤︎❤︎ ん゛ォ……ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

ばちゃッ❤︎ ばしゃッ❤︎ ぶしゃぁッ❤︎❤︎❤︎ じょばばばばばばッ❤︎❤︎❤︎

ぶぼりゅッ❤︎❤︎❤︎ びゅるるるるるる〜〜〜ッ❤︎❤︎❤︎

 手足を床の鎖に囚われた、家畜ポーズのウェールズが、潮吹き乳噴きを晒して叫んでいる。

 尻をアップに映し出す画角故、彼女の顔は映らない。

 しかし、

「お゛❤︎❤︎❤︎ い゛ぎッ❤︎❤︎❤︎ う゛❤︎ ぐほォオオォオオオッ❤︎❤︎❤︎ う゛ォォォォ〜〜〜っ❤︎❤︎❤︎」

 ビンと口元から突き出て見える舌の突っ張り具合を見て想像はできた。

 つま先立ちでガクガクと太ももを震わせる。

 垂れた乳房……先月より明らかに肥大化している……が、母乳を撒き散らしながら跳ね回る。

 伸びた黄金色の髪が、身体にベッタリと張り付いて這い回る。

 そして、

ぼびゅッ❤︎ びゅるるぶッ❤︎❤︎❤︎ どッびゅ❤︎ ぶびゅるるる゛ッ❤︎❤︎❤︎

「タイム出ましたッ! 記録……3秒75!」

「ッぐぁああ゛あ゛あ゛ッ畜生! あとコンマ3かァ〜〜〜ッ!」

「おいッ! このクソケツがよォ! 俺ン時はもっと踏ん張ってたろうがッ! 豚の癖にケツ筋サボんなやゴミぃ゛ッ!」

 周囲で騒ぎ立てる男たちがウェールズの尻を引っ叩く。

ばじゅッ❤︎ べッぢ❤︎ ばつッ❤︎❤︎❤︎ べすンッ❤︎❤︎❤︎

「う゛ォへッ❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎❤︎❤︎ ぎぅあ゛ッ❤︎❤︎❤︎ ぎッう゛ォ゛ーッ❤︎❤︎❤︎」

 乳房程ではないにても、遥かにむっちりと肥大化したヒップ。

 いくつもの真っ赤な手形をつけられながら、ウェールズは獣じみた咆哮をあげた。

 そして、「ぽっかり開いたアナル」から、ぼりゅぼりゅとピンク色のゼリーを垂れ流す。

 動画開始の直後、執務室のガラスを揺るがすようなウェールズの絶叫アクメ。

 その瞬間を少年の目は捉えていた。

 捉えてしまっていた。

「うぉッ! おい、ぼびゅった後は片しとけって言ってんだろッ! きったねえなクソがっ!」

 画面外で誰かが怒号を上げる。

 どちゃ、と何かを蹴り飛ばす音がして、ピンク色の管状物体が画面の下を転がった。

 全長2メートルはあるかというアナコンダのようなディルド。

 たった今、ウェールズのアナルから勢いよく引き摺り出された物体だ。

「そろそろガバケツ筋ぶッ壊れたか? そこらのメスなら一発で一生便秘の心配がいらなくなるアナル発狂ディルドなんだけどな」

 アナコンダディルドを片付けながら、男が笑う。

「はッ、KANSEN様がこンくらいでくたばるかよ……おらッ!」

 ドラムを叩くかのように、男の腕がまたウェールズの尻肉をうちのめす。

「おぎォ゛ッ❤︎❤︎❤︎」

ぶびゅるば❤︎❤︎❤︎

 ウェールズの身体がびくん! と跳ねた。

 太ももの筋肉が突っ張った。

 背筋が折れんばかりに仰け反った。

 乳房を振り乱し、ウェールズはアクメしながらぽっかり尻肉を窄ませる。

 腸内に残したピンクゼリーを噴出しながら、緩んだ穴をきゅむ❤︎ と締めた。

「ほれ大丈夫だろ? 俺たちおさるさんには、お豚サマの高貴な雑魚ケツを壊すことはできませんからね〜」

「ぅ゛……❤︎❤︎❤︎ うぅ゛ぉ゛❤︎❤︎❤︎ お゛ッ❤︎ くォ゛❤︎ ふごォ゛……ッ❤︎❤︎❤︎」

 かつて、ウェールズが男たちを嘲笑したように。

 男たちは自らを揶揄しながら尻を叩く。

 ウェールズは、何も言い返せない。

 絶頂に身体中を引き攣らせ、呼吸すらもままならない。

 ガチャガチャとがなりたてる手足の鎖の音だけが、虚しく暗い部屋に反響する。

「う〜ッし、今って最高記録何秒だっけ?」

「俺の3秒45。このクソアナルがもちっと締まってくれりゃ、このまま俺が優勝なんだけどなァ」

 画面の手前に男が立って、キラキラと輝く何かを摘み上げる。

 無骨な男にはあまりに小さい、宝石の嵌められたリング状の。

 少年は、思わず左手を持ち上げた。

 画面の中で男が摘むそのリングは……少年の薬指のソレと全く同じだ。

「それじゃッ! 俺様が華麗に最高記録をブチ抜きしてやりますかぁッ!」

 威勢よく叫んだ男は、指輪の先にピンクの何かを塗り付けた。

「おーいッ! ブールーズちゃんよ! もう分かってっけど……情報吐く? それともケツからゼリー吐く?」

 小さな指輪を振りながら、男はウェールズの尻を叩く。

「ぉ゛ッ❤︎❤︎❤︎ ほォ゛っ❤︎❤︎❤︎ う゛……ッお゛ぉ❤︎❤︎❤︎」

 ウェールズは何も答えない。

 尻に平手が降りるごと、全身を跳ね上げて悶えるだけだ。

「お前趣味悪りィな。3回目ン時から誰も聞いてねェよそれ」

「聞こえてねえし、答えねえだろ。豚に猿語は伝わんないんだもんな〜」

 恐らくもう、撮影が始まった時点でウェールズに意識など残っていない。

 当然だ。

 凶器同然のディルドを引き摺り出されて、それも力ずくで、何度も何度も繰り返されて。

 立って声を上げていられるだけで奇跡だ。

「へっへっへ……サービスだよサービス! 俺結構動画とか見るからさ。視聴者へのハイリョは欠かさねえのよな」

 「視聴者」と、男はチラリ、カメラを見た。

 少年と視線が交差して、ズキンと脳天に痛みが走る。

 男はピンクの物体が付いた指輪を摘んだまま、もう一方の手をウェールズの尻に添えた。

 そして

「ふん!」

ぬぶッ❤︎❤︎❤︎

「ぎぅッ❤︎❤︎❤︎」

 指輪の先を、ピンクの何かを、ウェールズのピンクアナルに突き込んだ。

 小さな指輪の先に乗る、ごくごく小さな粒一つ。

 しかしそれが、ただの粒な訳がない。

「いーち」

「にーい」

「さん!」

 男たちが順繰りに声を上げる。

ごぼ❤︎ ぐッむ……どぐっどぐっどぐむ゛む゛む゛❤︎❤︎❤︎

「ォ゛❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎ ぐォッ❤︎❤︎❤︎ う゛……う゛……うぅうぅうぅうう゛う゛う゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 ウェールズがこれまでとは異なる唸り声をあげ出した。

 見る間に全身に汗粒が浮かんでくる。

 カクカクと手足が震え、悲鳴の代わりとばかりに乳首から母乳が噴き出した。

 そして、ウェールズのスリムなお腹が、膨らみ出す。

「し、ご」

 まるで胎児の成長を早回しするが如く。

「ろーく、しーち」

 1秒ごとに腹が膨れる。

「はち……きゅう」

 一緒にアナルも広がっていく。

「うぉ゛❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎ ごッほ❤︎ ほ❤︎ ほぉお゛……お゛、あ゛、あ゛えッ!?」

 指輪に付いたピンクの何かが、ウェールズの腸内で急激に肥大化している。

 膨満感に呼吸が乱されてか、ここにきて初めてウェールズの声に意思が宿った。

 顔を上げ、状況が理解できない様子で周囲を眺める。

「10秒ッ! うし、お前ら見とけよ? マジブチかますから」

「ちゃんと見てっから、とにかく壊すなよ?」

「まだ「情報」引き出せてねェんだからな」

 仲間たちの声援? を受け、男が再びウェールズの尻に手を置いた。

「左手は添えるだけ……」

「ふーッ❤︎ ふーッ❤︎ ふ、う゛ぅうッ❤︎❤︎❤︎!? ひ……え?」

 鎖を鳴らしてウェールズは自分の尻を振り返る。

 困惑が浮かぶ赤い瞳が、尻に手をつく男を見た。

「や……やめ……」

 少年がこの日聞いた、最初で最後のウェールズの言葉だった。

「う゛ぅう゛ッる゛ぁああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!」

 男が指輪に力を込める。

 カメラが揺れるほどの野太い声で、アナルから指輪をひっぱり出した。

ごびゅる゛ぐぼッ❤︎❤︎❤︎ ずぼずぼずぼぼぼぼぼッ❤︎❤︎❤︎

ぶぼりゅぼりゅぼりゅぼりゅぼりゅーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎

「ぶぎィイィイイィイイイィオォオオォオオォオオォオ゛オ゛オ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

じゅぶばばばばばッ❤︎❤︎❤︎ ぶッし❤︎ じゅばッばばばばァッ❤︎❤︎❤︎

 びィん❤︎❤︎❤︎ と海老反りになって咆哮するウェールズ。

 つま先立ちで、潮吹き乳噴きアクメをかまし、アナルから腕より太いゼリーディルドを放出させる。

ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ……ぶッぼる゛ンッ❤︎❤︎❤︎

「ォォォオォオオオオ゛オ゛オ゛ーーーーーーオぎべァッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 極太ディルドがアナルから飛び出していく。

 目にも止まらぬ速さで駆け抜けていく。

 そり返りすぎたウェールズが、そのまま背骨をへし折らんと引き攣った。

 母乳が、潮が、放水車さながらに床に飛び散る。

 ぽかっとピンクのアナルが開き、中の肉壁が見えた瞬間。

「記録……2秒97っ!?」

「ッしヤァアアアアア゛ア゛ア゛ッ! 3秒切りキタァ゛ッ!」

「……は、ふッざけんなよこの豚ァ! ケツ筋緩めてンじゃねえぞクソが!」

「ーーーーーーォッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ ほォ゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ うぎッ❤︎❤︎❤︎ ぶひょォ゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛❤︎ ほォ゛ッ❤︎❤︎❤︎」

 二度、三度、とウェールズは腰を高く突き上げる。

 引き締められた尻肉の中央で、ぽっかり開いた無様なアナルが入り口を震わせた。

 腰の震えが次第に小さくなっていき、乳首と股間から溢れる汁の勢いが落ちる。

 そして一度、びくくくっ❤︎❤︎❤︎ と悪あがきの如く尻を震わせて、

「……ぶげッ❤︎❤︎❤︎」

 ウェールズは電池が切れた人形のように、その場にべちゃりと倒れ込む。

 ほかほかと湯気が立ち上るピンクゼリーディルドを誇らしげに抱えあげ、男はウェールズの周囲を駆け巡る。

 女性の腸を蹂躙していたゼリーディルドを振い、失神したウェールズの身体に叩きつけた。

 ウェールズは、うつ伏せに倒れたまま動かない。

 否、アクメ痙攣で全身ピクピク震えるものの、まともな生者としての挙動が見られない。

 大切な指輪を屈辱的な遊びに使われ、それに悔しがることすらもできなかった。

「うっし! 勝利者インタビューすっぞ! オラッ! テメェも映るんだよ豚ッ! ダンナサマに「ガンバリマシタ〜」ってご挨拶しろやッ!」

「ォ……❤︎ ぉ゛ぉおぉッ❤︎」

 今しがたゼリーディルドを引き抜いた男が、カメラの位置を移動させる。

 倒れたウェールズの正面に固定して、自らも画角に入り込んだ。

 肩にゼリーを抱え上げ、ウェールズの金髪を掴んで持ち上げる。

「……ッ❤︎ ……え゛ぅッ❤︎ ぉ❤︎ ぉッ❤︎ ぉ……❤︎」

「あーだめだこりゃ、しかったねェな……ダンナサマ〜猿語で許してな?」

 やはりというか、濡れ髪を頬に貼り付けたウェールズの顔は。

 思わず目を覆いたくなるような悲惨なアヘ顔だった。

 白目を向ききっていてあの美しい赤い瞳はほとんど見えなくなっている。

 あらゆる汁でぐちゃぐちゃに濡れた顔には、乱れた髪が好き放題にへばりつく。

 緩んだ口からはヒトのそれとは思えない、間抜けで無様な鳴き声だけが垂れ流されていた。

「えーっと、「し・れ・い・か・ん・さ・ま〜」」

 男がウェールズの頬を揉み、適当な言葉を並べ立てる。

「「だ・い・しゅ・きぃ〜」っと」

 そして、カメラにウェールズの顔を押し当てた。

「ほれ「ぶちゅ〜」!」

 ごつんと画面が天井を向き、男たちの破れるような爆笑だけが少年の鼓膜を震わせた。


◆ ◆ ◆


 今月もまた、DVD-ROMが届いた。

 毎月毎月、どこからともなく小包が送られる。

 ウェールズの持ち物を添えて投函される。

 あらゆる手を尽くして尚、男たちの行方は掴めない。

 当然、プリンス・オブ・ウェールズが少年の元に帰ってくることもない。

 届く動画は全て、ウェールズの豚じみた絶叫を伴う快楽拷問だ。

 時に壮絶に、時にねちねちと、ウェールズを辱め、責め立て、追い詰める。

 痛みではなく快楽で、誇り高きウェールズを侮辱し笑いものにする。

 少年は動画を見るしかない。

 見れば見るほど、心が死んでいく。

 夜目を閉じれば、愛するウェールズが知らない男に嬲られている情景が浮かんでくる。

 こうして休もうとしている間にも、ウェールズは悲痛な叫びを上げているのだと想像すると、嗚咽と吐き気が込み上げた。

 しかし、動画は止められない。

 これが唯一、彼女が生きている証拠だから。

 ウェールズが今日も生きているのだと、最後まで確認しておかなければ、眠れないのだから。

カタン

 今月も小包が届く。

 震える手で梱包を破くと、

カツーンッ

 袋の中から、何かの金属が床に落ちた。

 少年は、それを、拾い上げる。

 毎日眺め、涙を流して祈りを捧げたソレと同じ。

 しかし、ぱくっとアームの中程が割れている、小さな小さな、結婚指輪だ。



「じッ❤︎❤︎❤︎ じれ゛い゛ッ❤︎ じれい゛がんんんん゛ん゛ん゛ッ❤︎❤︎❤︎ あ゛い゛ッじでう゛ッ❤︎❤︎❤︎ わだい゛ッ❤︎❤︎❤︎ じれッかんのッごぉッ❤︎ あい゛しでッう゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

ごぼりょッ、ぐろ、ぼばッしゃ……だ、ぷッりゅぉんッ❤︎❤︎❤︎

 その日見た動画は、これまでの暗い拷問部屋ではなかった。

 眩しいほどに清潔な白い壁の部屋。

 中央には水族館でしか見たことのない、深さ2メートル程の巨大水槽が設置されている。

 満たされているのはもはや見慣れてしまったピンク色の液体。

 ウェールズを散々苦しめたピンクの媚薬。

 波打ちながら水槽の中をたゆたっている。

 動画を撮影しているカメラは、そんな水槽の上部にスポットを当てていた。

 主役はもちろん、ウェールズだ。

「ぃ゛おぉおぉお゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎ う゛ぉ゛❤︎❤︎❤︎ お゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎ しえ゛ぃッ❤︎❤︎❤︎ わだじッ❤︎ ぜッだイ゛っ❤︎ かえ゛ッる゛ぅう゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎ だ、だッ❤︎ たえぎッへ❤︎ かえ゛る゛ッ❤︎❤︎❤︎ が、らぁあ゛ッ❤︎❤︎❤︎」

 プリンス・オブ・ウェールズが叫んでいる。

 媚薬のプールから首と腕を突き出して、カメラに向かって叫んでいる。

 頭の上に持ち上げた両手で、天井から下がる小さな取っ掛かりにしがみついている。

 既に身体の9割以上が媚薬の中だ。

 滞留する液の流れに肌を撫でられるだけで、彼女の身体はビクビクと狂ったように痙攣した。

 もし、ウェールズが力尽き、取っ掛かりから落ちてしまったら。

 ねっとりと粘度の高い媚薬の沼は、二度とウェールズを離すことはないだろう。

「あ゛❤︎ あ゛ぁあ゛あ゛あ゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ こ、ごあ゛れ゛る゛ッ❤︎❤︎❤︎ ッう゛❤︎❤︎❤︎ ッう゛❤︎❤︎❤︎ ぐ……ふぅう゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ でぼッ❤︎ がま゛っ❤︎ ずる゛ッ❤︎❤︎❤︎ ごれッ❤︎ お゛あ゛ッ❤︎ だらッ❤︎❤︎❤︎ じきがん❤︎ しきがんにッ❤︎❤︎❤︎ あう゛ッ❤︎❤︎❤︎ あえ゛るッ❤︎❤︎❤︎」

 少年と二人で語り合ったあの優しい囁く声は。

 仲間と共に海に出撃した時の、指揮の高まる美しい声は。

 傷付いた仲間を背に立つ時の、敵を震わす戦士の声は。

 少年が知るウェールズの声は動画の中には残っていない。

 喉を枯らし、媚薬に沸騰する血液を押し留め、絶頂を際限なく連鎖させながら吐き出す、魂からの咆哮だ。

 ジタバタと両足を暴れさせ、じょぼぼと潮吹きで媚薬を薄めにかかる。

 彼女が暴れて生まれる波が、壁に当たって跳ね返り、限界発情状態の肌を撫でるのだ。

 永遠に続く絶頂の連鎖。

 しかし彼女は何かを求め、耐えている。


 ふと、画面外からあの男たちが現れた。

 ウェールズがもがく水槽に、下卑た笑顔で何かを貼り付ける。

『KANSEN耐久実験中』

『アラームが鳴ったら終了』

『情報吐かない役立たず』

『猿の言うことを聞かないゴミ豚オナホ』

『捕虜豚から拷問サンプルモルモットに降格オメデトウ!』

 そんな紙を貼り付けて、カメラに向かってピースと笑顔でポーズをとった。


 ウェールズは、最後まで誇り高い女性だった。

 直近の動画でも、男たちに蔑まれ笑われ、嬲られながら、決してアズールレーンの仲間を売ろうとはしなかった。

 故に、彼らは痺れを切らしたのだろう。

 いつまでも折れないウェールズを屈服させるため、チキンレースじみた賭けに出た。

「あ゛……う゛❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎❤︎❤︎ お゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ あう゛ッ❤︎❤︎❤︎ ぜッだいッ❤︎❤︎❤︎ しえい゛ッ❤︎ ごめんッ❤︎❤︎❤︎ よごれだッ❤︎ おんあ゛にッ❤︎ なッぢゃっでぇ゛ッ❤︎❤︎❤︎ もうッ❤︎ あうだけッ❤︎ 一目ッ❤︎ みる゛だけ……だがらッ❤︎❤︎❤︎ それ゛だえ゛ッ❤︎ で❤︎ いぃい゛ッがらあぁああああ゛あ゛あ゛ッ❤︎❤︎❤︎」

 ウェールズを「壊す」。

 無茶な勝負を持ちかけて、不可能な難題を前にしたウェールズを折ろうとしたのだ。

 それが、コレ。

「ふぎッ❤︎ ンぃ゛お゛お゛お゛お゛お゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ が、らだッ❤︎ ぢぎれる゛ッ❤︎❤︎❤︎ うぎ❤︎ ぐ❤︎ い゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎ でぼッ❤︎ が、ばン゛ッ❤︎❤︎❤︎ しれッ❤︎ しれいにあうッ❤︎❤︎❤︎ ぜッたいあうッ❤︎ あいだいッ❤︎❤︎❤︎ しれいッ❤︎ だいすきッ❤︎ だいずぃい゛い゛い゛ォ゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 悪趣味な彼らが思いつきそうなことだ。

 制限時間まで、ウェールズは媚薬に浸かりながら耐える。

 媚薬溜まりに落ちたら負け。

 耐久力の高いKANSENといえど、発狂は免れない。

 絶命したっておかしくはない。

 しかしそれでも我慢し続けたら、彼女を解放すると言ったのだろう。

 媚薬の恐ろしさをよく知るウェールズが、それで折れると思ったのだ。

 だが、

「う゛❤︎ う゛ぎぃ゛い゛い゛い゛しぬ゛ッ❤︎❤︎❤︎ い゛あ゛ッ❤︎ がらだッ❤︎ ふっどぉ゛じでしぬ゛ッ❤︎❤︎❤︎ ま、まだッ❤︎ しれッ❤︎ にあう゛までッ❤︎❤︎❤︎ あっでがらじぬ゛ッ❤︎❤︎❤︎ あ゛❤︎ あ゛ッ❤︎❤︎❤︎ あうばでッ❤︎ じなだぃッ❤︎❤︎❤︎ ぜだいッ❤︎ ぜだい゛ッイぎう゛うぅう゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 ウェールズは吠え続ける。

 そうでもしなければ正気を保てないのだろう。

 ガクガクヘコヘコと狂ったように暴れる下半身を見れば明らかだ。

 ドロドロとピンクの汁を白く濁らせる、肥大化した乳首からのミルク量を見れば明らかだ。

 言わば総集編。

 これまでの拷問で鋭敏化した女体を崩壊させる最後の快楽がこの沼だ。

 だが、耐えている。

 ウェールズは枯れた喉で少年への愛を叫び、正気を保ち、耐えていた。

「しれ゛イ゛ッ❤︎❤︎❤︎ しれッ❤︎ しれいッ❤︎ じえ゛いッ❤︎❤︎❤︎ しれぃッがンンンッ❤︎❤︎❤︎ すぎッ❤︎ あいッしでる゛ッ❤︎❤︎❤︎ あったらッ❤︎ 一回だけッ❤︎ 一回だけ好きっていわぜでッ❤︎❤︎❤︎ それで、もういい゛ッがらあッ❤︎❤︎❤︎ もう、きえる゛ッ❤︎ 一緒に゛ッ❤︎ イれッない゛がッらぁあ゛ッ❤︎❤︎❤︎」

 己が汚れた事実に絶望し。

 それでもなお、司令官に会うことだけを心の支えとし。

 己を鼓舞しながらイき狂う渦の中で戦っている。

 恋にも愛にも一直線。

 正々堂々を愛を口にし、積極的なスキンシップを好んだプリンス・オブ・ウェールズが。

 一回だけでいいと叫び立てる。

 自分自身がそれほどまでに、少年の側に立つ者に相応しくないモノへと変わり果てたことを理解している。

 この身はもはや、アズールレーンを、ロイヤルを、司令官を汚す汚物だとでも思っている。

 司令官に会う前の彼女なら、その絶望に支配されていたはずだ。

 あっさりと媚薬の沼に滑落し、男たちの爆笑に見守られながら絶頂に狂って壊れていたはずだ。

 だが、司令官と出会ったことで。

 指輪を預けあったことで。

 必ず戻ると誓ったことで。

「あい゛たいッ❤︎ おねがい……ッ❤︎ だぎしめ゛ざぜッでぇ゛ッ❤︎❤︎❤︎ こんなッ❤︎ 身体でごめんッで❤︎ いわぜでッ❤︎❤︎❤︎ それでいいッ❤︎ ふ❤︎ ふぅう゛ッ❤︎❤︎❤︎ それッ❤︎ 言わなきゃ……しねなぃい゛ッ❤︎❤︎❤︎ あなたとの約束ッ❤︎ やぶッぢゃう゛っ❤︎❤︎❤︎」

 ウェールズの心は湧き上がる活力に満ち満ちていた。

「ぎぅうぅうぅう゛う゛う゛ーーーーーーッ❤︎❤︎❤︎ お゛❤︎ おぉおぉおぉおおお゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ とげる゛ッ❤︎ どへる゛ぅう゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎ 乳首ッ❤︎ お、じり゛ィ゛ッ❤︎❤︎❤︎ ぐだげる゛❤︎ ぐ❤︎ ぎゅい゛ッ❤︎❤︎❤︎ しぬ゛❤︎ じぬッ❤︎❤︎❤︎ しんぞッ❤︎❤︎❤︎ ハジげ……ぅうぅううぅぅおぉおおぉお゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 ごぼりゅッ❤︎❤︎❤︎ ぼぎゅ❤︎ ぶ……じゅぶぶぶぶッ❤︎❤︎❤︎

 ガニ股になるまで両足が引き攣り、持ち上がる。

 股間部分の媚薬液がどろりとたわみ、潮吹きが可視化されて映り込む。

 胸の周へんはすっかりいちごミルク色に染まり、尚もびゅるびゅると白い濁りが広がっていく。

 歯をむき出しに、カチカチとぶつかり合う音まで聞こえてくるほどに痙攣させ、時折カメラを揺らす絶叫を上げる。

 常に身体のどこかがアクメしているのだろう。

 端正な美貌はアヘ崩れ、白目を向いて頭を左右に振り回す。

「う゛ぃぃいぃい゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ ぐ❤︎ ぐッ❤︎ ふぐ❤︎ う゛ッぐーーーッ❤︎❤︎❤︎ う゛ッぉ゛❤︎ ぐ、ひぎィ゛ッ❤︎❤︎❤︎ しれいがンッ❤︎❤︎❤︎ あいだイッ❤︎❤︎❤︎ さいごに゛ッ❤︎ おねがい゛……ッ❤︎ 許してッ❤︎❤︎❤︎ あなただけの゛……れ、ディッ❤︎ で、いだがッだッ❤︎❤︎❤︎ もう゛ッ❤︎ むり゛❤︎ だげどぉ゛ッ❤︎❤︎❤︎」

 少年への愛だけで心臓を動かし、突起にしがみつき、終わりを待つウェールズ。

「も゛ぉぢょッどッ❤︎ ら゛があ゛ッ❤︎❤︎❤︎ おでがッ❤︎ かだうでッ❤︎ だげ、あればいいッ❤︎❤︎❤︎ しれいッ❤︎ ぎゅって❤︎ ふぎ❤︎❤︎❤︎ い゛ォお゛……ッ❤︎❤︎❤︎ ぎゅぅ゛ッ❤︎ でずるッ❤︎❤︎❤︎ ごめん゛ッで❤︎ あいじでるッでいぅう゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 先に少年の心臓が止まってしまいそうな叫び声。

 少年はしかし、ふと、体温が下がるのを感じていた。


 ないのだ。


 ウェールズが勝つ印が、画面内のどこにも。

 『アラームが鳴ったら終了』と、男たちは張り紙を残した。

 だが、アラームとは、何だ?

 今回で言えば、制限時間が経ったらだろう。

 ではその制限時間は? 何分からスタートして、今何分経過して、そして、あと何分耐えれば終わりなのだ?

 ない。

 画面内のどこを見ても、タイマーらしきものは存在しない。

 単純に、画面の外で測っていると言うのなら、それはそれでいいだろう。

 けれど、

「う゛ぉおぉお゛お゛お゛ーーーぢくびッ❤︎❤︎❤︎ う゛ぃ゛ッ❤︎❤︎❤︎ こ、こォッ❤︎❤︎❤︎ こヒュえる゛ッ❤︎❤︎❤︎ 壁にぢくびッ❤︎❤︎❤︎ こしゅえぎゅう゛う゛う゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 悪寒が走る。

 ぶるぶると足が震え出す。

 初めから用意していなかったら?

 ウェールズを勝利させるつもりなど初めからなかったら?

 「無限分」という名の制限時間の中、力つきてウェールズが沼に落ちることで終了のアラームが鳴るのだとしたら?

「しれいぃいぃい゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎ だいッずぎぃい゛い゛い゛ッ❤︎ あいしでう゛ッ❤︎❤︎❤︎ もぉッ❤︎ あえなぐなッでもッ❤︎❤︎❤︎ ずっとずっどッ❤︎❤︎❤︎ ずきッ❤︎ あいじでう゛ッ❤︎ わすえ゛だぃッ❤︎❤︎❤︎ ずっとすぎッ❤︎ ずぎぃい゛い゛い゛ッ❤︎❤︎❤︎」

 肥大化した乳首が水槽壁にコスれ、新たな快楽に悶えるウェールズ。

 そんな彼女に向けて、ゆっくりとカメラがズームされていく。

 もがくウェールズの身体をのぼり、水面ギリギリで叫び続ける顔を通り、そして、


 真っ赤に充血した指が握る「結婚指輪」がキラりと光った。


 ずきんと、胸と手のひらが痛んだ。

 そこで、動画は終わっていた。

 停止した画面に映るのは、細い糸を通した結婚指輪と、それを力一杯に握りしめるウェールズの両手の映像だった。



 少年は気付けば立ち上がっていた。

 ずきんずきんと手のひらが痛む。

 砕けるほどに手を握り、握っていたもので手のひらを怪我したようだ。

 手を開けば、どろりと汗と血が混ざった汁が流れ出る。

 手のひらに痛々しく食い込んでいるそれは……ウェールズがはめていた結婚指輪。

 今日の荷物に入っていた、悪意に満ちた返却物。


 どくどくどく、と心音が高鳴っていく。

 赤く濡れたその指輪は、パックリとアームが裂けていた。

 内側から外側に向けて裂け目が広がっている。

 尖った裂け目に真っ赤な血が輝いている。

カタン

 執務室隣に設置されたポストへと、何かを入れる音がした。

カツン

 痛みと震えに手が滑り、結婚指輪が床に落ちた。

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