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「う~ん、変わってないなぁ…イってる感じはするけど」

 ビラティに戻るわけにはいかず、本当にアンダに向かっても何の意味も無いため、アルドリッジは狩猟小屋から南西に進み、ひとまずアニチャヤを目指してみることにした。


『はっ…う、ンひっ…まっまたっ…』

 中でパトリスがどれほどくすぐったさに身を捩っていても指はお構いなしに撫で続け、無理矢理慣らされたパトリスは鋭敏液で感度を上げられてしまっていることもあり、アルドリッジの単調な指の動きだけで何度もイかされるようになっていた。

 携帯食料を補給できないままビラティから逃げざるを得なかったアルドリッジは早々に狩猟小屋を後にし、既に2日経っている。

 ポケットにしまったクリトリスを撫でていても一向に指に成長の気配は感じられず、時折出して目で確認しても大きさは変わらない。しかし桃色だったクリトリスは摩擦と充血で赤く染まっている。

「…しかたない、別の方法にするか」

 アルドリッジ木陰に腰を下ろし、鞄の中から何かをくるんだ布を取り出した。

 1人旅中、食料と交換するのに使う装飾品類はゴミ置き場の鉄くずや道で拾った石などを元にその場で作っていたが、リンジーを拾い更にミルドレッドやヘザーを手に入れてからは、いつ力を使う必要に迫られるか分からないため、道中見つけためぼしい素材を物々交換用とは別に確保していた。

 アルドリッジはパトリスの土台を拡げ、内側の空間に駆動機構を組み込んでいく。クリトリスの根元から下は穴のように見えて穴ではないため、土台の内側は自由に使うことが出来る。

 更に蓋を分厚いガラスに変え、その頭頂に開けた穴と土台から生やした伸縮する柱とをイラストマ筒で繋ぐ。

 魔法や生物は扱えなくとも、無機物だけで事足りる制作ならアルドリッジには造作もなく、素材が揃ってさえいれば頭で思い描けるものなら作り出すことが出来る。

 分厚いガラスの蓋の内側には数日の努力の甲斐なく全く育っていないクリトリスが不安げに納まっている。透明なので中は見えるが蓋は閉まっているので外の音は聞こえない。

 アルドリッジはパトリスに何の説明もなく仕込んだ駆動系を作動させる。

 プシュッ、という空気音と共に本体後部から生えている柱が伸縮を始める。柱はイラストマ筒でガラス蓋の上部と繋がっているため、中のパトリスにも不安をかき立てる音が聞こえている。

『!?…こ、今度は何だ…?』

 柱は一定間隔で伸縮を繰り返し、縮む度にガラス蓋の中の空気を抜いていく。

『…なんだ?…何か…』

 パトリスは少しずつクリトリスに加わっていく力を感じはするが、指でも何らかの器具でもなく、何が違和感を与えているのか分からない。実際は加わっているのではなく大気圧が減っているのだが、まさかクリトリスの周囲の空気が抜かれているなどとは想像だにできない。

『なにをっ…してっ…うんっ?…なっ、ちょっ、いっ、痛いっ!何だっ!?』

 空気が抜かれるごとにパトリスのクリトリスは少しずつ膨張していった。開始からしばらくは違和感程度にしか感じなかったが、ある時点から膨張率がクリトリスの表面の収縮率を超え、急に痛みを感じ始めた。

 その辺りからパトリスもクリトリスが何かで吸われているのだと気づき始めた。

 気づいたところでどうにもならず、柱の収縮に合わせて更にクリトリスは膨らまされていく。


cp01

『いっ、痛いっ!!…どうやって…くぅぅっ、止めろぉっ!!』

 アルドリッジは初回に限り、どのくらい空気を抜けばいいのかが分からなかったため柱が往復する数を数えていた。

 目の前で漸く望んだとおりパトリスのクリトリスが肥大していき、満足できる大きさになると一旦駆動を止める。

 人体の構造の事は詳しく知らなくてもそのままにしておくのは良くないと感じ、しばらくするとガラスの中に空気が戻り、また一から吸引を繰り返すよう構造を手直しする。

『ほ・・・・・・はっ!?ま、またっ!?』

 痛みが消え安堵しかかったが、すぐにまたクリトリスが膨らんでいく間隔に襲われる。

『なっ、なんなんだこれぇぇっ!!痛いぃぃっやめろぉぉぉっ!!・・・はっ、破裂するぅぅぅっ!!』

 パトリスはクリトリスに何をされているか以前に何のためにこんな事をされているのか分からなかった。赤毛の少年がマジャリに対する怒りを自分にぶつけているのだとしても、純粋な痛みだけなら単純に爪でつねられた時の方が辛く、クリトリスを膨らまされている理由が分からない。

 屈辱感で言えば今回の方が遙かに大きい。

「最初からこうすれば良かったかな」

 アルドリッジはしばらく膨張と収縮を繰り返すクリトリスを眺め、出来に満足する。最大の状態では20年イかされ続けたヘザーのクリトリスに匹敵する大きさになるよう吸引の回数を調整している。 

 魔法薬のように即効性はないが、しばらく続けていれば望む大きさになるだろうと、アルドリッジはパトリスをポケット仕舞いアニチャヤに向けて歩き始めた。

 更に数日費やし、アルドリッジはアニチャヤに到着した。

 バーマに入ってから訪れた町の中では最も規模が大きく、だからこそアルドリッジにとっては特に用のある場所ではなが、アンダよりは国境に近い。

 アルドリッジはビラティで使うことがなかった宿賃をここで使い、1日だけ部屋を借りた。

 パトリスのクリトリスを取り出す。

 箱を真空式に変更してからアニチャヤまでおよそ6日、その間一度も休みを与えられず吸引を繰り返されたパトリスのクリトリスは十分に肥大し、ガラスの中に空気を戻しても殆ど縮まなくなっていた。

 アルドリッジはガラスの蓋を取り外す。やはりクリトリスは縮まない。

 しかし摘んでみると柔らかく、他のクリトリス達のように内側に芯を感じない。

「パトリス、流石に何日も続いたら見えなくても自分のクリトリスがどうなってるか分かる?」

『・・・このっ…なんて事を…してくれた』

 パトリスもまさかとは思っていたが、摘まれた瞬間に自分のクリトリスが大きくなってしまっていることを確信した。

「小さすぎて…他のと比べればだけど、とにかく小さいと壊れそうだったから大きくしてあげたよ。これで漸く色々聞きたいことが聞ける」

『・・・他?』

「ハイかイイエで答えられるように質問するから、ハイなら1回、イイエなら2回ピクピクって動かして、ここを」

『うっ!』

 アルドリッジは摘んだ指に少し力を入れる。

『こ、答えるわけがないだろう、そんな…』

 少年が尋問をしようとしていることが分かり、何を聞きたがっているのかも概ね察しが付いた。何を聞かれても答える気は無いが、それ以上にクリトリスを動かして返答をするなどと言う屈辱的な行為を聖女騎士がするわけにはいかない。

「父さんの墓の場所とかも聞きたいけど、二択じゃ答えられないしね。

 じゃあまず最初に、ビラティにいたもう1人、ギャエル以外に俺を探してる仲間はいる?」

 クリトリスは何の反応も示さない。正確には摘んだ時からぷるぷると震えてはいるが、解答とは見なさない。

「…たぶん答えないだろうなぁとは思ってたけどホントに答えないんだ。じゃあ答えなかったらどうするかやってみせるね」

 アルドリッジはパトリスのクリトリスに爪を立てつねりあげる。以前はクリトリス全体をつねる形になっていたが、今や表面の一部だけに爪を食い込ませ捻り上げられるほどに育っている。

『いぎぎぎぎぎっ!!はなっ、放せっっっ』

 しばらくつねった後指を放すと、その部分だけが細い三日月に挟まれるような形で内出血を起こしていた。薬でなく真空で膨らまされたパトリスのクリトリスは桃色のまま成長しており、痛々しい充血が目立つ。

『小さいクリトリスじゃ手加減無しでこんな事出来ないもんね、千切れそうで。…じゃあもう一回聞くよ?仲間は?』

 パトリスのクリトリスはさっきにもまして震えているが、やはり返答とは思えない。

「嘘でしょ?痛くなかった?じゃあもう一回つねるね」

『・・・うぐっ、いぎぃぃぃぃぃぃっ!!!ぐぅぅぅぅぅ~~~~~っっっ!!』

 パトリスは歯を食い縛ってクリトリスからの痛みに耐える。聖女騎士であるパトリスに取って仲間を売ることはそのまま聖女を裏切ることに繋がる。

 鋭敏液の効果はとっくに切れているとは言え、手加減なく最も敏感な女の芽をつねり上げられる痛みに耐えるには相当量の精神力を要する。

『いぐぐぐぐ・・・!?…くぅぅぅぅぅぅっ!!!』

 先ほどの時間を越えても指を放してもらえず、パトリスの眉間の皺が深くなる。

「…答える気になったかな?もし次も答えなかったら・・・今度はここをつねるよ?」

 アルドリッジは爪を食い込ませていた中央右辺りから、クリトリスの先端に指を移動させ、そこをとんとんと叩く。

『そっ、そこ…は…』

 痛みからは解放されたもののパトリスの背中に冷たいものが流れる。

「パトリス、仲間は?」

『くっ…』

 パトリスは葛藤した。先ほどまでのような力でクリトリスの先端をつねられるのは恐ろしいが、やはりどうしても聖女を裏切れない。

『・・・!?っっっいぎゃあぁぁぁぁぁ~~~~~っっっ!!!』

 声を掛けられることなく、返答を聞くために先端に置かれていた指でそのままつねり上げられる。

 先端の極狭い部分に食い込んだ爪でそのままクリトリスを引き上げる。

『いんぎぃぃぃぃっっ!!いっいぃぃだいぃぃぃぃぃ~~っ!!!止めてぇぇぇぇっ!!!』

 アルドリッジは更に力を込めて捻り上げ、とうとう大きめの土台が僅かに机から浮いた。

『きぃぃぃぃっ~~~っっ!!』

 整った顔がくしゃくしゃになるほど眉間に皺を寄せ口を左右に拡げながら歯を食い縛る。皺の一部と化したパトリスの目の端からぽろりと涙が零れ、真っ赤に染まった頬の上を流れていく。

『!?』

 パトリスはクリトリスの激痛に耐えながらも自分が涙を流していることに気づいた。

 マジャリの騎士の中では最高位とも言える聖女騎士の称号を授与された自分が、かなり年下の少年に無様にクリトリスを差し出し、苦痛により泣かされている。

 それに気づいた瞬間にパトリスの心はポキリと折れてしまった。

『もっ、もうやめでぇぇぇぇ~~~っ!!!いっ!いうからぁぁぁぁ~~~~~っ!!!』

 アルドリッジは先端に食い込んでいる爪に苦痛によるものとは違う蠢きを感じ、漸く指を放してやる。

「もしかして言う気になった?」

『ぴっ!ピクピクピクッ!』

「ハイは1回、イイエは2回」

 アルドリッジはきゅっとクリトリスと摘む。痛みは与えない。

『ピクッ!』

「そう、よかった。やっと素直に答えてくれる気になったんだね。じゃあさっきの質問の答えは?」

『ピクッ』

「うんうん、やっぱりいるよね。何人?人数分ピクピクさせて」

『…ピク』

「ん?分かったって事?それとも1人?」

『…ピクピク?』

 アルドリッジはリンジーがいればと思いながらも根気強く質問を続ける。

「じゃあもう1人がシャンニで待ち構えてるって事でいい?たぶんギャエルももう合流してるんだろうけど」

『ピク』

「やっかいだなぁ…ギャエルはもう俺の顔知ってるし…」

 アルドリッジは素直になったクリトリスをさすりながら思案する。必ずしもマジャリに入国するのにシャンニを通過する必要は無いが、これ以上の遠回りや山越えは避けたい。

 いい案が浮かばず、アルドリッジは爪を立てず指の腹でパトリスのクリトリスをきゅっと摘む。

『びくっ!?』

「全く、君たちが余計なことをしなけりゃとっくにマジャリに入ってたのに」

 アルドリッジは腹いせにあまり力を込めずにキュキュッとクリトリスの至る所をつねっていく。

 アルドリッジの労力に対するパトリスの苦痛には大きな差があり、気まぐれに指を弾いただけで無抵抗なクリトリスはギュッと縮まるような痛みを感じてしまう。

『んっ…こっ、んぃっ!こいつを…ぐっ…シャ…ンニにぃっ!つ…れて、んひっ!い…ければ…』

 痛みに怯えて正直に答えてしまったことを後悔しながら、パトリスは何とか赤毛の少年アレクシスをシャンニに誘導し、そこにいるはずのキトリーとギャエルに助け出して貰おうと考え始めた。

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