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 ヘザーを封印した際は成功と同時に喜びが込み上げてきたが、ミルドレッドが相手の場合そうはいかなかった。

 詠唱が終わりミルドレッドが箱の中に吸い込まれたのを見届けると、セドリックはそれを放り出して屋敷から逃げ出し、物陰に身を潜めた。

 そこで頭を整理する。

 素早く除臭液を用意し腕を洗ったセドリックは地下に下り、宝物庫から適当な大きさの箱を見つけ出す。中には大きな宝石があしらわれたイヤリングが入ったままだったが、命が掛かっているセドリックにとってはゴミでしかなく、保存液をぶちまけた床に投げ捨てす。

 袖の中から握りつぶして仕舞ったノートを取り出して拡げ、それを読みながら急いで箱に術を施す。

 これに時間が掛かるため、どうしてもミルドレッドから猶予を引き出す必要があった。また、長い術式をセドリックが暗記できるはずもなく、投げつけて返して貰わなければ計画は最初の段階で頓挫していた。

 20分掛けて小箱に術を施す。ヘザーの時はしっかり時間を掛け何度も間違いがないか確認をしたが、今回そんな暇はない。

 台所に戻り除臭液に浸して置いた腕を取り出し、急いでミルドレッドの元に戻り、献上する。

 除臭を命じられて1時間近く掛かっていたが咎められることなく上機嫌でミルドレッドが腕を付け直し始めた時点で、セドリックは何とかなると希望を持ち始めた。

 そして腕が戻った瞬間に意を決し、封印の呪文を唱えた。

 ミルドレッドは期待通り箱の中に吸い込まれてくれた。

 老魔術師と違い、セドリックが封印術を使う際は器だけでなく対象にも術を施した何かを身につけさせておかなければならない。

 元々身の周りの世話をさせられていたヘザーの時は容易く下着に術を施すことが出来た。

 ミルドレットから逃れたい一心の際も何とか封印出来ればと言う考えは真っ先に浮かんだが、箱を用意して術を施すまでなら何とかなっても、ミルドレッドの方に術を施した何かを持たせるのが不可能だったため、諦めかけた。

 しかし、腕があった。

 セドリックは除臭液に浸ける前の臭気を発する腕に、小箱と対になる封印術を20分掛けて施して置いた。

 生物に施した術が効果を発揮する保証はなかったが、腕が繋がるまではただの物体であるはずだと言い聞かせた。

 セドリックの希望的観測通り術は効果を発揮し、ミルドレッドは箱の中に封印された。 

 辺りが白み始めた。

 数時間近くで息を潜めていたが、屋敷は静まりかえったまま。

 セドリックは意を決して腰を上げ、屋敷に戻った。

 2階に上がり、さっきまで死の恐怖に直面していた部屋の前で立ち止まる。

 入り口から恐る恐る顔を覗かせると、床の上に転がっている箱が見えた。放り投げた時に蓋が閉まっている。

 ヘザーは戦士だったがミルドレッドは魔法使い、それも超一流の魔法使いであるため、封印されても自身の力で中から出てきて待ち構えているのではとセドリックが警戒するのも無理はなかった。

 きょろきょろと室内を見回しながら箱に近づき、拾い上げる。

 そしてゆっくりと蓋を開ける。

 そこにはしっかりとクリトリスのみが顔を覗かせていた。

 セドリックは肺の空気を全て絞り出すかのような大きな安堵のため息をつき、その場にへたり込んだ。

 間違いなく封印出来ていることを確かめるため、二つの大きな珊瑚を知っている今となっては小さく感じるその芽をツンとつついてみる。

 触れた瞬間にクリトリスはぴくんと反応し、指先から逃げるように反り返った。

 二度三度、それを追うようにつつく。

 数時間前まで自分の命を脅かしていた相手のクリトリスが、その脅威が信じられないほど頼りなさげに目の前でフルフルと震えている。

 本来ならすぐさま、ヘザー以上の責めを与えたいところだが、緊張の糸が切れたセドリックにその気力はなく、フラフラとソファに突っ伏し、目を瞑るとそのまま眠りに落ちた。

 ミルドレッドには封印されて仕舞った理由が全く分からなかった。

 元々封印術の知識もあり、ミルドレッドの場合敵対者を始末してしまうので使う機会が殆ど無いが、自身で使えもする。

 一般化された魔法でなく個人が作成した魔法であっても、今回はその作成ノートを読んでおり、何をどうすれば術が発動するのか既に理解している。

 そのためセドリックが隙を突いて詠唱を始めた時も、怒りこそすれ慌てはしなかった。

 にも関わらず何故か封印されている。

 封印されてからかなりの時間が経った後、唯一外に出ているクリトリスをつつかれた。

 自身以外にそこを触れられるのはかなり久しぶりで、ミルドレッドは身をよじって逃げようとした。

 しかし無駄だと言うことも分かっている。

 セドリックは魔法使いであるミルドレッドなら脱出できてしまうのではと警戒していたが、魔法使いであるミルドレッドの方こそ戦士のヘザーより術体系に造詣が深い分脱出がほぼ不可能であることを理解していた。

 何をされるのかと身を強ばらせたが、ちょんちょんと数回撫でられただけで、クリトリスにはまた何の音沙汰もなくなった。

『どういうことだ…?私には対象認識術は当たってないはずなのに。あの芋虫は詠唱しただけで何も放出してない…なんで封印されてる???』

 通常なら腕が完全に癒着し、機能が戻った瞬間に術が施されていることに気づいたかも知れない。

 しかし思いも掛けず腕が戻った喜びに浮かれていたミルドレッドはそれに気づかず、封印され身体表面の感覚が無くなった今では最早気づく術はない。

『まずいぞ…まずいまずい…』

 ヘザーの様にむやみに暴れて脱出を試みたりはしないが、論理的に僅かでも脱出する方法があるか考えてみる。

『完全に封印されていたらお手上げだった…。でも幸か不幸か1点は外に出てる。そこを道筋に・・・はっ!?』 

 しばらく放置されていたクリトリスがまた不意に撫でられる。

『うっ…うっ…』

 自身の芯を充血させようとする指の動きにミルドレッドは呻く。ここ数年は自ら慰めることしかしておらず、他人から与えられる刺激に慣れていない。自慰に使用するのは捕らえた敵対者の苦痛だったが。

 指は膨らんできたクリトリスをつまみ、引く。更にもう一方の指が根元の包皮をずらしてめくり、観察されている感覚が伝わってくる。

 鋭敏薬で育てられたクリトリスはある程度の大きさになると自分自身で包皮を圧迫し箱側に押し込むため殆ど分からなくなるが、封印された直後のクリトリスは包皮の部分まで外に出ている。

 指は包皮とクリトリスの間に爪を差し入れ、カリカリと小さい動きを繰り返し始める。

「…ミルドレッド様、ここあんまり洗ってないですね。汚れが溜まってますよ?」

「…なっ!?」

 封印されてから始めてはっきり聞く音に我に返った直後、その内容を理解して心臓がどくんと脈打つ。

「くんくん…うわぁ…腕に付いたジンスの臭いであんなに怒ってたのに、ご自身でもこんな臭いさせちゃってるんですね、くんくん…」

『うわぁぁぁっ!!やめろぉぉぉぉぉっ!!』

 ミルドレッドは顔を真っ赤にしながら暴れ回る。結局、脱出の難易度を理解していようがいまいが関係なく逃れたい場合は暴れてしまう。

『ミルドレッド様お綺麗なのに…美人でもちゃんと洗わないとこんな臭いさせちゃうんですね。ヘザー様も最初そうだったなぁ…。あ、でも、ミルドレッド様の方が臭いですね、くんくん…』

『ふざけるなぁぁぁぁっ!!!』

 セドリックはミルドレットに聞こえるようにわざと大きく鼻を鳴らしている。

 目を覚ましたセドリックは自分が今朝ミルドレッドの蓋を閉めていないどころか、床に置きっぱなしだったことに気づき、拾い上げそのまま机の前の椅子に腰を下ろした。

 昨夜ミルドレッドを封印し、様子を見、眠った時間を合わせると半日以上経過しているので、ある程度安心していた。

「それにしても昨夜はホントに怖かったですよ。死ぬかとおも…違うな、何もしなかったらホントにぼく死んでたんですよね?ミルドレッド様に殺されて』

 包皮と陰核の隙間に溜まった老廃物を爪で掻き出しながら喋りかける。なじってはいるが嫌いな臭いではないので、つい嗅いでしまう。

「仕返ししていいですか?めちゃくちゃ怖かったですから。ここ…掃除した後いじめますよ?」

 脱出の可能性について考えつつも、ミルドレットはそのことも心配していた。

 無抵抗な相手の心臓まで後数㎝と言うところまで剣を突き立てておきながら、一瞬で突き立てられる側に回り、抵抗も出来ない。

 セドリックは一旦指を離し、そこを嗅ぎながら立ち上がる。何か食べたいし湯も浴びたい。手も洗いたい。

 引いた椅子の脚に何かが当たり、目をやったセドリックは思わず息をのんだ。

「ひっ!」

 すっかり忘れていたが、本体から切り離され机の上に落ちた代替腕が、いつの間にか床まで転げ落ちている。

「あ、そ、そうか…これを片付けないと…あ…倉庫の床も・・・ぎゃぁぁぁぁっ!!」

 腕を掴んだ瞬間、その腕に握り替えされたセドリックは悲鳴を上げながらひっくり返った。蓋が開いたままのミルドレッドにもその悲鳴は聞こえている。

 セドリックは掴まれていない側の腕も合わせて、だだをこねる子供のようにでたらめに振り回す。

 腕の力は弱く、そこまでせずとも簡単にふりほどけた。

「はぁ、はぁ、はぁ…な、なんで?」

 セドリックは腕から距離を置き用心深く観察する。ミルドレッドに付いていた時は半透明だった腕が、今や完全に透明度を失い白くなっている。

 立ち上がったセドリックは椅子の背もたれを掴み、その脚で腕を突いてみる。

 指が微かに動き、やはりまだ生きていることが分かる。

 セドリックには知る由もないが、原核魔法生物を改造して作成された代替腕は腕の形こそしているがあくまで一個の生物で、神経に微電流を流して動かす代わりに魔力を流して動かす。その際、その魔力を駆動力だけでなく自身の生命維持にも流用する。

 魔力が断たれればいずれ死ぬが、生命力が残っている内は腕としてではなく一生物として活動を続けられる。

 それも後数時間が限度だが。

 ミルドレッドをなじりながら硬くなっていたペニスもすっかり萎んでしまい、セドリックは改めて二の腕側を掴んで拾い上げる。そもそも腕の形だからといって握手の形で腕を拾い上げたセドリックが間違っている。

 害はなさそうなので落ち着きを取り戻し、拾い上げた腕を机の上に置く。

「ミルドレッド様、腕がまだ動いてますよ。これ、何で出来てるんですか?」

 これでミルドレッドは悲鳴の原因が理解出来た。しかし残念ながら代替腕が脱出の役に立つことはない。

 セドリックは数分前にしようと思っていたことを全て忘れ、返事の出来ないミルドレッドのクリトリスに喋りかける。

「一瞬驚きましたけど、何か思いつきそうなんですよ、これ見てると。何でしょう、何だと思います?

 ボクは回復魔法しか使えないので詳しくないですけど、魔法分子…分子魔法生き物学でしったけ?それで作って済んですよねたぶん。流石ミルドレッド様ですね、こんなの作れちゃうんですから」

 独り言を言いながら、その独り言でセドリックはあることを思いつき、試してみた。

 ほぼ死にかけていた腕が、回復魔法をかけられると指を動かす力を取り戻し、ギュッと握り拳を作った。

「・・・そうか、魔力で動くんですね。そうですよね、ミルドレッド様ならいくらでも魔力使い放題ですもんね。ボクなら腕がなくなって同じものが作れても動かせないですね。魔力少ないから…。もっと小さいのなら…」

 またもセドリックは自身の独り言からヒントを得た。

 突然独り言が止まり、ミルドレッドは不安を募らせる。何かを思いついたような気配があったが、ろくな頃であるはずがない。

 何の脈略もなく、いきなりクリトリスに何かが塗られた。

『はっ!?…いや、こっ…あれかぁぁぁ!?』

 ミルドレッドの予想通り、老魔法士のノートに記されていた鋭敏薬をクリトリスに塗られている。

 お互いに知る術はないが、ヘザーの箱の蓋も開けられ、交互に薬を塗られている。

「ちょっと…しばらく留守にしますから、薬だけ塗っておきますね。特にミルドレッド様、1回イかせてあげます」

 ミルドレッドに拷問されて以降情報が途絶えていたヘザーにしてみれば、この時始めてミルドレッドも自分と同じように封印されてしまっていることを知った。

 薬を塗るための刷毛の動きに変化はないのだが、徐々にクリトリスが感じるくすぐったさが増していく。

『あぁぁ~~~やめぇぇぇっ!!』

 鋭敏薬を塗り続ける事でクリトリスが肥大していくのは副作用であり、本来の効果は血流を良くし、神経の伝達を円滑にすることによって刺激の感知力と情報量を増やす。

 一度塗られただけではほぼ変わらないがそのうちクリトリスは自身に刺激を与えている物体を”刷毛”ではなく”無数の毛”と認識できるほど感覚を増していく。

 セドリックはヘザーを放置し、ミルドレッドのクリトリスだけを責め始める。

 まだ小さいので円形の墓の中にクリトリスは全て収まってしまい、その状態で左右にくるくると捻りながら刺激する。

『あっ!あっあっあっ!ん~~~っ♫』

 ミルドレッドにとって悔しいのは、薬を使われ始めた直後の責めは、純粋な快楽でしかない点だった。

 ヘザーの様に3ヶ月毎日薬を塗られ更に執拗にイかされ続けると快楽自体が苦痛になってくるが、初回は単に敏感になったクリトリスへの愛撫に等しく、屈辱や怒りはさておき、刺激に関しては快感しか感じない。

『はぁぁぁ~っ!いっイクぅぅぅぅ!!』

 小さな、先輩二つと比較して小さなクリトリスがかろうじて分かる程度にぴくんと跳ねる。

「今イキましたね?ミルドレッド様。…ホントは塗り続けないと駄目なんですけど、急用なんで。

 あ、ヘザー様は我慢して下さい。帰ったらまたずっとイかせ続けてあげますから。

 それじゃちょっと、ホントに急ぐんで、行って来ますね」 

 セドリックは懐かしい場所で足を止めた。

 ミルドレッドに殺されそうになったのは2度だが、考えてみるとより命が切迫していたのは1度目だった。脅しだけでなく、実際に攻撃を受けていたのだから。

 ここがその場所だった。既に木々の向こうにミルドレッドの屋敷も見えている。

 ヘザーの屋敷から馬車の使用も含め5日かかる距離。

 4年前と同じ轍を踏まないように、ここに来るまでの間に首都に立ち寄り購入した罠探知機を使い慎重に屋敷に向かう。ありがたいことにヘザーが貯め込んでいた宝物のおかげで今の所資金に困ることは一切無い。

 罠を仕掛けた本人は現在ヘザーの屋敷の地下の宝物庫、そこにある大きな金庫の中に他の二つと一緒に厳重に保管されている。

 しかし本人が封印されても罠が解除されるとは限らない。

 探知機が反応する度に進行方向を変え、ジグザグに進みながらセドリックは屋敷の玄関にたどり着いた。

 違法性で考えればミルドレッドの方が遙かに高く、それに比例して屋敷もヘザー宅の数倍はあった。

 色々あって少し成長したセドリックは屋敷の中に入っても気を抜くことなく探知機を手放さない。

 かなりの広さのため探索には時間が掛かるが、安心してお目当ての物を探すためにまずは安全を確かめていく。

 セドリックはミルドレッドの研究成果を求めていた。

 特に分子魔法生物学の成果を。

 分子魔法生物学に限らず、今や法律で研究が禁じられている魔法以外は全て一般化されており、知識だけなら流通されている書物で得ることが出来る。。

 セドリックは知識だけでなくその設備そのものも手に入れたかった。

 移動で5日消費してしまってはいるが、現時点でミルドレッドが失踪していることを知っているのは世界でセドリックのみ。

 これが1ヶ月、半年、1年と経てば失踪が周知の事実になり、間違いなくミルドレッドの屋敷は荒らされてしまう。

 そうなる前に急いで希代の魔法使いが数十年間掛けて積み重ねて来た研究の成果を手に入れておきたかった。

屋敷の安全を確保した後、セドリックはミルドレッドの研究部屋を見つけた。

 室内は広かったが意外なほど整理され、書物や器具が多いことに違いはないが、セドリックの予想よりはずいぶんと少なかった。天才ミルドレッドは一度習得した技術の書物を見返すことがなく、用が済めば処分するため物が溜まっていくことがあまりなかった。

 セドリックは数日前までミルドレッドが座っていた椅子に腰を下ろす。

 机の上に残されている書物の表題をざっと眺めただけでも、読める文字と読めない文字が混ざっている。

「はぁ・・・やっぱ運ぶしかないよなぁ…」

 セドリックはミルドレッドの屋敷が有る山の麓に荷台を用意していた。

 ヘザー邸からミルドレッド邸に最も近い町まで馬車で3日、無理もないがそこからはどの御者もミルドレッド邸の方角に向かうことを拒むため、セドリックは荷車だけを借り、自力で2日かけて麓まで運んできた。

 大昔、まだ魔王や勇者がいた時代とは違い、今では封印術の用途の大半は運搬だった。大量の荷物や重量のある物を封印し、運搬の負担を大幅に減らす。

 封印術の難易度自体は昔から変わっていないため、今使用できる物は術者としてではなく運搬業者として成功している。

 一級の女戦士ヘザー、一級の女魔法士ミルドレットの2名を封印しているセドリックは、実際何一つ封印術を扱えていなかった。

 全て老魔法士のノートに書いてあるとおりに事を進めただけで、何一つ理解していない。

 長い研究期間で行っていたことは術の解析ではなく、老魔法士が使っている言語の翻訳だった。

 そのためセドリックは屋敷と麓を何往復もし、手作業で荷物を運ぶしかなかった。 

 ミルドレッドの屋敷に泊まりながらセドリックは少しずつ、重要と思われる物から荷物を運び出していった。

 特に他でも入手可能な書物よりも、何に使うのかは分からないがミルドレッドが作成したと思しき装置や器具類を優先した。

 地下にはヘザー宅以上に宝物が蓄えられていたが、多少後ろ髪は引かれるものの荷物が増えるため見なかったことにした。いずれ野盗や浮浪者に根こそぎ持ち去られることになるはず。

 セドリックはミルドレッドが代替腕に使用していた技術で、自分の指の代わりにクリトリスをこねくり回し続ける何かを作成したかった。

 それが出来れば使いすぎで痛むようになった指を休ませつつ、その間もクリトリスには休みを与えなくて済む。 

 ヘザーもミルドレッドもかなり長い間何事もなく放置されていた。

 特に封印直後から放置されているミルドレッドと違い、3ヶ月休み無く責められるづけていたヘザーにとっては休息も出来るが、同時に不安もよぎる。

 毎日イかされていた時には思いも寄らなかったが、このままセドリックが事故か何かで二度と戻って来なかった場合、自分はどうなるのだろうかと。

 まだ脱出は諦めていないものの、出来ることと言えば暴れられているのかどうかも分からない状態で暴れ続ける事くらいだった。

 ミルドレッドの方も脱出を諦めてはいないが、こちらはむやみに暴れたりせず、放置期間を利用してひたすら方法を考えていた。

 脱出方法はともかく、既に自身が置かれている封印空間についてはおおよその推論を立てていた。

 封印された初日に一度クリトリスを弄られて以降、少なくとも14日以上は経っており、その間飲まず食わずだが身体に何の変化もない。

 その他身体の外側の感覚が無いことなどを合わせ、ミルドレッドはこの封印が未知の領域に対象者を封じているのではなく、固有の、外の世界で元々ミルドレッドやヘザーという容量が占有していた空間を切り離し、その空間を容器の中に閉じ込めていると結論づけていた。

 未知の空間に封印されていた場合、ミルドレッドとヘザーが同じ封印空間内の何処かにいる可能性もあるが、後者の場合は完全に独立している。

 またその場合、皮膚表面がそのまま空間の最大値となり、触感が働く余地がなくなる。ミルドレッドが手で腿を触っても皮膚と皮膚ではなく、身体の動きに合わせて歪んだ領域の境界と境界が接触しているだけなので、皮膚として接触を感知する機能は働かない。或いは単に封印された時点の体勢のまま動くことが出来ないだけかも知れないが、ミルドレッドの推論ならばどちらであっても成立する。

 また同様に飲まず食わずでいられる理由も説明が付く。

 食事も水分も最終的には熱エネルギーとして消費される。それはあらゆる物が同じだった。

 時間の経過と共に屋敷内のエネルギーは大気中に、大気中のエネルギーは恒星系へ、恒星系のエネルギーは銀河、銀河から暗黒空間へと繋がり、循環する。しかし、最終的に空間自体が膨張することはあっても、エネルギーが空間外へ流出することはない。

 封印されたミルドレッドやヘザーも同じだった。

 特にヘザーなどは毎日毎日強制的にクリトリスを責められイかされる度に相応のエネルギーを消費している。

 しかしそのエネルギーは霧散せず、独立したヘザーという固有空間内で循環し、再利用される。

 食事だけでなく呼吸においても、封印された瞬間に肺にあった空気が延々と使用できる。実際ミルドレッドの推論が正しければ身体の周囲に空気が入り込む余地はない。

 イかされ続け大量に分泌させる汗や膣液も同様に循環しヘザーのエネルギーとして戻ってくる。

 ミルドレッドは自説の正しさを確信していたが、同時にそれが恐ろしい副次的効果をもたらすことにも思い至っており、やはりなんとが脱出しなければと頭を悩ませていた。

「いや~すいません、長いことお待たせしてしまって。今戻りました」

 ヘザーもミルドレッドも同時に驚く。

 箱に封印されると蓋が閉じている間何の音も聞こえないが、同様に振動なども感じなかった。逆さにされても振り回されても蓋が閉じていると気づかない。

「予定よりずいぶん掛かってしまって…退屈だったでしょ?その分しっかり弄ってあげますから」

 並んだ二つのクリトリスが同時にぴくりと反応する。名も無きクリトリスは金庫にしまわれたままだ。

「これから荷物を運び入れなきゃいけないんですけど大変ですよ、結局馬車2台借りることになりました。

 あ、ミルドレッド様。ミルドレッド様の屋敷から荷物運んできました」

 セドリックはミルドレッドのクリトリスを撫でながら言う。

「折角有名な…悪名ですけど…天才魔法使い様に色々聞ける機会なんで、色々教えて下さい。

 会話できないから無理だって思いました?大丈夫です、たぶん何とかなります。

 でも申し訳ないですけど、長く待たせたついでに後2,3日待ってて下さい。疲れてるし、荷物運びもあるんで…」

 セドリックは二つの箱の蓋を開け、椅子に腰掛けた。

 荷物はまだ室内に移しただけで並べてはいないが、少なくとも借りた荷馬車は返却することが出来た。

「それじゃミルドレッド様、色々教えて貰いたいんで答えて下さいね。」

 セドリックはミルドレッドのクリトリスに指を置いて喋りかける。本当に教えて貰いたいことが多々あるので、気が散らないように鋭敏薬は塗らない。

 この先しばらく用があるのはミルドレッドだけだが、会話を聞かせるためにヘザーの蓋も開けておく。

「とりあえずですね、まずは生き物魔法分子学を教わって、ミルドレッド様が使ってた偽の腕みたいな物を作れるようになりたいんです。いいですか?

 ・・・・・あ、そうそう、その前にですね、はいの時は1回ぴくってクリトリスを動かして下さい。いいえの時はそのままでいいです。出来るだけ二択で答えられるように質問しますから。いいですか?」

『・・・』

 セドリックは思い切り指でミルドレッドのクリトリスを跳ね上げる。

「本当に教わりたいんで意地悪しないで下さいよミルドレッド様。教えてくれないといじめますよ?こんな風に」

 セドリックはもう一度同じようにクリトリスを打つ。小刻みに震えるクリトリスに指を乗せ、改めて聞く。

「分かってくれました?」

『…ピクッ』

 セドリックは指に感じた可愛らしい返事に思わず笑みを浮かべる。無意識にクリトリスを撫でてやる。

「ありがとう御座います。それじゃ・・・山ほど有るんでどんどん除外していきましょう。

 ボクが生き物学を学ぶためにはまず何か読んだ方がいいですか?それともいきなり実験した方がいいですか?」

『………ピク?』

「あ、すいません。選択肢が複数ある時は聞いた順番と同じだけぴくぴくして下さい。

 今のはミルドレッド様のミスじゃないですけど、ちゃんとボクに伝えられなかったんで一応お仕置きしますね?」

 セドリックは指でクリトリスを打つ。

「ちゃんとボクが理解出来ればいじめませんから、しっかり教えて下さい。いいですね?」

『ピクッ!』

 気の長い作業だった。

「・・・それじゃ表題を読んでいくんで、正解の時にピクッてしてください」

『ピク』

 まず何かを読むよう指示されたため、本なのかノートなのかを尋ねる。

 次にそれが分厚いか薄いかを尋ねる。

 更にその表題が現代語か古代語かを尋ねた後、色で分類し、漸く十数冊の中から一冊を選ぶ段階まで漕ぎ着けた。

 一冊一冊表題を読み上げハイかイイエかを問うよりは早いが、それでもかなり時間がかかる。

 しかしセドリックはクリトリスと会話すること自体が楽しくなり、この作業を苦に感じなかった。

「じゃあ次は…魔法生物の分類?」

『ピクッ!』

「あ、これですか?魔法生物の分類?」

『ピクッ!ピクッ!』

「返事は1回でいいです」

 クリトリスを打つ。

「分類…ボクは作りたいんですけど…う~ん」

 セドリックの左手の何れかの指はミルドレッドの反応を確認するため常にクリトリスに触れている。

 右手だけを使い漸くたどり着いた薄く、現代語の表題の、青い本をめくり目を通す。

「これ・・・要は字が多めの図鑑じゃないですか?これであの腕みたいなの作れます?・・・もしかして基礎からやれってことですか?」

『…ピク』

「一週間くらいで作れるようになりたいんですけど、基礎からやって間に合います?」

『…』

「何とかならないですか?…あの封印術のノートみたいに、書かれたとおりやれば出来るみたいな本かノートないですか?』

『…ピク?』

「え?どっちです?」

 クリトリスを打つ。

『ぴ、ピク!』

「あるんですね?なんだぁ、じゃあ最初っからそれを教えてくれればいいのに。ちょっとお仕置きします」

 セドリックは3度、リズム良くクリトリスを指で打つ。

 ミルドレッドのクリトリスがあると伝えているのは自身の代替腕を作る際に走り書きしたノートで、まだ処分していないはずなのでめぼしい荷物の全て運んできたのなら何処かにあるのは間違いない。

 確かに書いてあるとおり作れば出来上がるが、それはミルドレッドの代替腕だ。

 セドリックが作りたがっている物でないのは分かっているが、ないと言えば何をされるか分からないのでやむなく教えた。

 セドリックは一から魔法生物の分類にたどり着いたのと同じ手順を踏み、ミルドレッドの走り書きが記されたノートにたどり着いた。

「…ふむふむ…ってこれミルドレッド様の手の作り方じゃないですか!」

 クリトリスを打つ。

「…でもまぁ…本読むより1回作った方が理解しやすいかな?そう思いません?」

『ピク』

「…あそうだ!こうしましょう!ボクが作りたい物を教えます。それでまずこのノートの通りに準備して作り始めます。

 今どうなってるか逐一伝えますから、そのまま進むとボクが望む物じゃなくなるって段階になったらクリトリスピクピクさせて教えてください。いいですか?」

『ピクッ』

 セドリックは自分が原核魔法生物の改造で作りたい物の詳細をミルドレッドに伝える。

 まず蓋の中に収まり且つクリトリスを包み込むことが出来る大きさ。そしてミルドレッドの指かそれ以上に精密な動きが出来ること。更に少ない魔力でも休まず動き続けられる構造。

 それを聞いただけで何に使われるかが明白で、ミルドレッドの震えがセドリックの指に伝わってくる。

「あ、大丈夫ですよ。ちゃんと完成してもミルドレッド様には使いませんから。ヘザー様に使います」

 全て会話は聞こえていたが、突然名前を出されミルドレッドの倍以上の大きさに成長したヘザーのクリトリスがビクンと跳ねる。

「だからミルドレッド様は安心して作り方教えてください。ミルドレッド様だってヘザー様を一秒も休む暇を与えずにイかせ続けるの楽しそうって思いません?」

『…ぴ、ピク』

「ですよね?じゃあしっかり教えてください」

 セドリックとミルドレッドが話し合っていると思しき物が完成した暁には、一秒も休むことなくイかされ続けることになるという未来を先に知らされてしまったヘザーのクリトリスはビクンビクンと激しく跳ね回る。

 そこから数日、十数日とセドリックとミルドレッドのやり取りが続いた。

 まずは最も重要で最も基礎的な設計から始める。

 新しい、自分用の魔法を作る際は一つの効果を得る一つの設計だけで済むが、魔法生物改造には効果と形状、2種類の設計が必要になる。

 セドリックは先に形状の設計から進める。

 ミルドレッドは腕を作成するために原核細胞を利用したので、形状の設計に関しては左腕を反転させ覚えさせるだけで済んだ。しかしセドリックが作り出したい形状はこの世に存在しないため、いくつかの要素を組み合わせるほかない。

 自分自身をしっかりと箱に固定する根か吸盤のような足。

 クリトリスをすっぽりと覆い尽くせる袋か筒状の身体。

 その中に生える繊毛や触手。

 そして今後設計する効果で指示する動きを全てこなすことが出来る強靱で精密な駆動系。

 最後にそれら全てを備え、蓋を閉めた際にきちんと中に収まる大きさ。

 ミルドレッドが自由な状態でもかなり難しい注文を、クリトリスのみで答えていかなければならない。

 ともかくそれらを実現するには使えそうな生物を集め、使えそうな構造だけを抜き取らなければならない。

 蓋を開けられたままのヘザーはそのやり取りを聞いているだけでいずれ自分のクリトリスに取り付けられてしまう奇妙な魔法生物が想像できてしまい戦々恐々とクリトリスを震わす。

 中では叫びながら暴れ、そんな物を作るなと懇願しているが、外に聞こえることはない。

「・・・あ~やっと分かりました。つまり足りない物を買って来いってことですね?」

『ぴ、ピクーっ!』

 セドリックは書物や器具の他に薬品系もあらかた持ちだしており、その中に保存液に浸けられた何体かの稀少生物も混ざっていた。要望の内いくつかはそれらでまかなえるが、足りない物を買うなり捕まえるなりしてくるようにと伝えられる間に、ミルドレッドのクリトリスは何度となくお仕置きされた。

「じゃあちょっと…市場にでも行って来ますか」

 この時点でまだセドリックには箱を持ち歩くという考えはなかった。落としてしまったり忘れてきてしまうと取り返しが付かない。

 ポケットにでもミルドレッドのクリトリスを忍ばせ、逐一これでいいかを確認しながらの方が確実性が高いが、1人で市場へ向かう。

『ピク』

「はいはい、これの吸盤部分ですよね。でもそんなに強そうじゃないなぁ…激しく動いたら剥がれそう」

『…』

「ん?土台に使うんじゃないんですか?」

『ピク』

「土台じゃないなら・・・もしかしてクリトリスの方を吸うために使う・・・?」

『ピク!』

「でも大きさ…ああ!この吸盤自体を縦に引き延ばすように改造するんですね?」

『ピク-!』

 慣れてくるとクリトリスとのやり取りは意外なほど順調に進んだ。

 セドリックは発想が貧困で応用が利かないため、ミルドレッドがクリトリスを通して考えを伝えてやる。

 稀少生物と市場で購入した生鮮食材とで少なくとも形状だけは整いそうだった。

 しかしそれが実際に動いて望む通りの効果を発揮するにはもっと詰める必要がある。

 当初は一週間ほどで作り終えたがったセドリックも、この作業が楽しくなり、制作日数が伸びても気にならなかった。

「それと、思いついたんですけどあの鋭敏薬、あれと同じ効能の体液をこいつ自身が作り出せるような機能って、今から付け加えられません?…いや違うな、あれ以上にクリトリスが敏感になっちゃう効果の体液の方がいいかな」

『・・・・・ピク』

 ミルドレッドはかなり返答に迷った。まるっきりセドリックの言を信用しているわけではなく、完成した物が自身に使用される可能性もある。

 ただしこの点に関してはミルドレッドは抜け道を考えていた。

 魔法設計の知識などまるでないセドリックはミルドレッドに指示されるがまま作業を進めるしかないため、もし騙されて自身に使用されることになった場合は、クリトリスから魔力を送り機能を停止させる安全弁を効果設計の段階で組み込ませるつもりだった。

 ミルドレッドに限らずいずれの魔法士も魔力の放出は9割手、その他あっても足からで、クリトリスからの放出など試したこともないが、やって出来なくはないと考えていた。

 ミルドレッドは勿論今もセドリックを殺したいが、同様にヘザーへの復讐心も残っている。

 現在作成中の生物によりいっそうヘザーを悶えさせるための機能が追加されるならと考え、付け加え方を教えることにした。

 それに形状の設計が終了した後に改めてごねられても面倒な事になる。効果の設計に火を噴く命令を加えても、本体に火を噴く機能を付けていなければ発動させようがない。

「あ~なるほど、ボクが持ち出した薬瓶のどれかに、既にあの鋭敏薬より強い効果の薬が紛れてるんですね?」

『ピク』

「で、それを作る為に使用した生き物が3種類保存液で保存されてると」

『ピク!』

「だからその3匹から分泌腺の構造を抜き出して、今作ってる方にそれを混ぜ合わせて鋭敏液を分泌する器官として組み込むと?」

『ピクーっ!』

 悲しいことにミルドレッドはセドリックが正解に到達すると多少嬉しさを感じるようになってしまっていた。伝達ミスでクリトリスを打たれる回数もどんどん減ってきている。

 鋭敏薬自体はそれほど珍しくも作成が難しくもなく、ミルドレッドも狙ってきた冒険者の内、男女関係なくしばらく遊べそうな相手を捕らえて拘束し、何度となく使用して来た。

 難しい点と言えば強い効果を求めれば求めるほどその素材の入手が困難になることだが、今回は既にそろっている。

 セドリックは既に定型化されつつある手法で3体の稀少生物を選び出し、遺伝子から必要な分泌腺の攻勢情報を抜き取る。

 本来ならその作業がかなり困難なのだが、ミルドレッド邸から持ち出した装置によって容易に済む。

 それを組み込むのも同じ理由で容易だった。

 開始から11日掛けて、本体部分が完成した。試しにセドリックが魔力を送り込むと、命令を組み込んでいないため単なる反応ではあるが、しっかりと動いた。

「う~ん、これ・・・なんか名前を付けないといけないですよね?」

『ぴ、ピク?』

「あれとかこいつとかだとちょっと…辞書も確か持ち出してたな、えっと…」

 結局ミルドレッドに質問し、回答に従うばかりで使うことなく持ち込んだ時のまま積まれている書物の中から、辞書を抜き取る。

「う~ん・・・・・・ん、これにしよう。ビラチーナ。ぴったりだと思いません?」

『…ピク』

 意味が分かるミルドレッドは確かにぴったりだと思う。ビラチーナ、古い言葉で”休み無く”。

「・・・それで、ミルドレッド様の鋭敏薬はどのくらい続くんです?ふむふむ、じゃあ一日一回で十分ですね。でも一応2回にしときましょうか。後クリトリスの吸引は…もっと大きく育てたいんで強めで。

 それから吸引したまま扱く動きも欲しいですね。それと繊毛でくすぐらせて…ヘザー様はここが弱いんですよ」

 セドリックは命令の設計に取りかかっていた。

 ヘザーの弱点を伝えるためにクリトリスを摘んで反らし、根元のくぼみを指で擦るとミルドレッドもビクビクと蠢く。

「あれ?ミルドレッド様も同じトコが弱いんですか?もうちょっと我慢しててくださいね。これが…ビラチーナが完成したらちゃんとミルドレッドの様の弱いところを見つけてあげますから」

『…』

 クリトリスを弾く。

「返事がないですよ?」

『ぴ、ピク』

「そうそう、嬉しいですよね?

 …で、やっぱりずっとイかせたいんでこの根元を触手部分でぐりぐりと…」

 全てのやり取りが聞こえているヘザーは封印されて以来、最も全力を出して脱出しようと暴れていた。

 しかしミルドレッドの推論が正しければそれらの行動に何の意味も無い。暴れることで消費したエネルギーは循環し、再び暴れる為に使用される。

 言わば疲れるために疲れている。

 しかし、もしヘザーがミルドレッドの推論を知っていても同じように暴れるしかなかった。聞こえて来た、自分をイかせ続けるために作られている魔法生物を取り付けられてしまった後を想像すると、じっとしてはいられない。

「後は…何もないかな?ボク最初に言ってたこと全部書き出してました?」

『ピク』

「ホントですか?もし後で思い出したらきつめのお仕置きしますよ?」

『ぴ・・・ピク』

「じゃあ大丈夫そうですね。…次はこれを術式に書き起こすんですよね…」

 恐らくここが全体を通しセドリックにとって最も難しい部分となる。ビラチーナへの命令を言語から魔法言語へと変換する必要があるが、クリトリスのみのミルドレッドに手伝う余地はなく、セドリックが1人で行うしかない。

 ミルドレッドに出来ることと言えば、全て変換し終わった後文節ずつ読み上げてもらい、間違いがないかをクリトリスの震えで伝えるぐらいしかない。

 セドリックが使用できるいくつかの回復魔法も自ら作成した物ではなく、一般化されている物を暗記しているだけで、魔力を扱う才能さえあれば誰でも使うことが出来る。

 それでも暗記しているのは魔法言語なので、全くなじみがないわけではない。

 辞書を引きながらだが、一語ずつ変換していく。命令経路はミルドレッドの確認済みなので、変換間違えさえなければ正常に働くはず。

 セドリックは回復魔法を学んだ時以上の集中を見せ、左手はミルドレッドのクリトリスから離れ、ぼそぼそ聞こえ続けていた声もヘザーに届かなくなった。

「・・・‡©&†♩〽◉␣?」

『ピク!』

「ふぅぅぅぅぅぅ~~~・・・・。確認終わりです。ホントに全部間違いなかったですね?」

『ピク!』

 ノート一冊を丸丸使い切ってしまうほどの変換作業をセドリックは五日で終えた。ミルドレッドは比較対象にならないが、並の魔法士と比べれば早い方と言える。

 間違いがないことを確認して貰ったため、後は魔法言語に変換した命令を詠唱しビラチーナ本体に組み込めば完成する。

 これは老魔法士のノートを読みながら手頃な箱に封印術を定着させる作業と同じなので、セドリックでも問題無くこなせる。

 ただし詠唱するだけとは言えノート一冊分を一言一句間違えずに読む必要がある。

 詠唱が終わった瞬間にビラチーナはその表面に魔法言語に変換された命令を浮かび上がらせながら蠢動を始めた。


cs01

 魔法言語自体に魔力が含まれているため、それを利用して蠢きながら本体に多数組み込まれた各種用途の器官に詠唱で与えられた命令を伝えている。

「おぉぉっ、ちゃんと動いてますよミルドレッド様」

 片手をビラチーナに向け、片手にノートを持ちながら詠唱をしていたセドリックは改めてミルドレッドのクリトリスの上に指を置く。

「これで終わり…完成ですよね?」

『ピク!』

「後は魔力を与えて…あ、でもその前にちょっと試してみましょうか」

 ミルドレッドのクリトリスが思わず震える。セドリックとの取り決めではハイの意味になってしまう。

「ふふふ、分かってますよ。約束通りミルドレッド様には使いませんよ。自分で試してみます」

 セドリックは培養皿の上からビラチーナをつまみ上げる。蓋の内側に収まるように作られているため小さいが、多くの機能を備えさせられているため見た目以上に重量がある。まだ魔力を与えていないため、自らの重さを支えられず足や触手をだらしなく垂らしている。

 鋭敏薬は自分のペニスで試したセドリックだったが、クリトリス用に作られているビラチーナは亀頭にははまらず、仮にはまったとしても怖くて試せない。

 なので人差し指にはめてみる。

 ぐちゅり、と中は湿っていて柔らかい。しかし滑らかではなく、人体の中でも特に感覚の鋭い指先の触覚は内側にびっしりと生えている繊毛の存在をしっかりと感じ取る。

「あれ、これ…思ったより凄いかも、指入れただけでムズムズくすぐったいですよ。動かして大丈夫かな…」

 実際は動かした時の心配などしておらず、逆に楽しみが増えただけだが、クリトリスで聞き耳を立てているヘザーに聞かせるためにあえて声に出してつぶやく。

 胴体の下部には繊毛よりも長く太い触手が指を包み込んでいる袋状の入り口の周囲に円を描くように8本生えている。

 セドリックはそのまま、ビラチーナに包まれている指先から魔力を送ってやる。

 直後、指先がギュッと締め付けられ吸い上げられる。

 本来箱に張り付くはずの触手と同じ8本の足が行き場を探して暴れ始める。

「ぎゃぁぁぁぁぁっああっはははははははぁぁぁぁぁっ!!」

 足が暴れ始めてから三秒も持たず、セドリックは腕を振り回してビラチーナを振り払った。

 完成したばかりのビラチーナはびちゃりと床の上に落ちる。

「あああああああっ」

 すぐに自分がしでかして仕舞ったことに気づき、慌てて拾い上げる。

 幸いビラチーナは無傷だった。激しい運動に長期間変えられるよう強靱に作られているため、床に落ちたぐらいは何でもない。

「危ない危ない…でもこんなの5秒も着けてられないですよ」

 2秒さばを読みながらビラチーナに付いた埃を払ってやる。

「さてと…」

 視線を感じられるはずはないのだが、ヘザーのクリトリスがビクリと震える。

「お待たせしました、ヘザー様」

 かなりの期間蓋を開いたまま机の端に追いやられていたヘザーの箱を引き寄せ、椅子に腰を下ろす。

「本当にお待たせしましたよね?いつ以来・・・!!そうですよ!ミルドレッド様が襲いに来た夜以来じゃないですか?もう1ヶ月経ってますね」

 ほぼセドリックの記憶通り、ヘザーはミルドレッドを封印した翌日、セドリックがミルドレッドの屋敷に向かう前に鋭敏薬を塗られて以降、一度も薬を塗られたりイかされたりしていない。薬の効き目もとっくに切れている。

「じゃあ、出来立てですけど早速これ使っちゃいましょうね」

 ヘザーのクリトリスは前後左右に暴れ回り始める。この1ヶ月散々ミルドレッドとのやり取りを聞かされ続け、どのような形状でどのような機能が備わっているのかわかりきっている凶悪な改造生物をクリトリスに取り付けられようとしながら、じっとしていられるはずもない。

「そんなに嫌がらないでくださいよ。気持ちいいですから…良すぎるかも知れませんけど」

 中のヘザーはやめてと叫び続けている。

 びくっっっ!?

 反り返ったクリトリスの先端に何かが触れる。形状を想像できているヘザーはそれが胴体の下部に生えている触手だと分かる。いつの間にか直前までビラチーナが迫ってきている。後はクリトリスの長さ分セドリックが手を下ろすだけで全て終わってしまう。


cs02

『いやだぁぁっぁぁあぁぁぁぁ~~~~っ!!かぶせるのやめてぇぇぇぇ~~~っ!!!』

 ヘザーは叫び、クリトリスはビラチーナの胴体に包まれながらもビクビクと暴れ続けている。

 セドリックの指ですら感じられた繊毛の存在は当然クリトリスでも感じられ、包まれていくそばからくすぐったさが根元に向かって広がっていくが、それを気にしている余裕はヘザーにはなかった。

 そしてとうとう、箱に吸い付くための8本の足がクリトリスが生えているのと同じ表面に広がり、ヘザーのクリトリスは全てビラチーナの中に収まった。

 広がった足はまだ魔力を与えられていないため固定されておらず、ビラチーナはまだ暴れ続けているヘザーのクリトリスの力でユラユラと入れている。

「どうですかヘザー様?ビラチーナの中は。柔らかくて気持ち良くないですか?細かいのがたくさん生えてるとは思いますけど」

 後は魔力を与えてやるだけだが、一旦ビラチーナが動き出すと最早ヘザーの耳に自分の声は聞こえないだろうと考え、セドリックは言いたいことを先に行っておく。

「蓋を開けっ放しにしてたんでヘザー様も知ってるとは思いますけど、これからビラチーナに魔力を送ってヘザー様をずっとイかせたままにします。魔力はボクのじゃなくてミルドレッド様の所から持って来た凝縮魔力を使いますから、1回補給すれば10日は保つと思いますよ。勿論切れそうになったら交換しますし。

 それから鋭敏液ですけど、お爺さんのノートから作った物の3倍は敏感になれるらしいです。根元を触手で弄られながら敏感になった表面全体は繊毛でもぞもぞもぞもぞされ続けることになりますね♫

 後はご自身で体感してみてください。これでボクも指を休ませられます。とは言ってもミルドレッド様の方も気持ち良くしてあげなきゃいけないんですけどね。…それじょそろ…あ、そうそう、分かってるとは思いますけど昼も夜もなく動き続けますからね。ボクが寝てる間もイキ続けてください♫

 それじゃ、魔力送りますね」

『やめてぇぇぇぇつ!!!嫌だぁぁぁぁ~~~っ!!』

 セドリックは凝縮魔力が込められた小さな粒をビラチーナの先端に埋め込んだ。

 その瞬間揺れていた胴が止まり、目に見えて8本の足に力が込められ、箱の表面に張り付いた。

『!?』

 柔らかかった内壁がギュッと締まったかと思うと、ヘザーのクリトリスは一気に先端方向に引き延ばされた。

 ビラチーナには足と繋がり先端まで続く不透明な部分と、それ以外の透明部分がある。

 組み込んだ全ての機能は不透明な部分に収められており、透明な部分がなければもっと単純で薄い形状にすることが出来たが、イかされ続けている最中のクリトリスをどうしても見たいというセドリックの要望で透明不透明が混ざる歪な形状となった。

 ビラチーナは更にクリトリスを吸い上げる。クリトリスを大きく成長させる目的もあるが、一番の理由は内壁とクリトリス表面を密着させ、繊毛の動きから逃げる余地を一切なくす為だ。

 ビラチーナが吸引を終えると、ヘザーのクリトリスは完全に内壁に押さえ込まれ、震えることすら許されなくなった。

 封印されて以降、たとえ拒絶や怒りの意思表示だったとしても唯一自分の意志で動かす事が出来ていたクリトリスの自由すら、ついに奪われてしまった。今後クリトリスが動くのは、全てビラチーナの動きに連動してのみとなる。

 クリトリスが押さえつけられると、今度は根元の触手が動き始める。

 セドリックがこだわった反り返ったクリトリスの根元、その窪みを探し始める。

 その場所は2本の触手によってあっけなく発見され、先端が窪みの中に入ろうとする。

 それだけではない。触手は足と同じ8本あり、両側の4本も左右の根元を這うように、反対側の2本は僅かに外に出ている包皮とクリトリスの間に先端を滑り込ませる。

 ぐるりと一周、ヘザーのクリトリスの付け根は触手に占領された。

 まず最初に、その触手が動き始めた。

 吸引とは逆に、まだ何かを探しているのかと思うようなゆるゆるとした速度で動き始め、徐々におのおのの触手がここと決めた部分を刮ぐように刺激し始める。

『う…く…あっ…くっ…あっあっ…あぁぁぁぁぁ~~~っ!!!』

 1度刺激すべき場所を見定めた8本の触手は、もう迷いを見せず一気に速度を上げていく。触手に比べれば遙かに太いセドリックの指でも十分に強い快感を与えられていた。指や刷毛の次がピンポイントで弱点を狙ってくる8本の触手では与えられる刺激の量が違いすぎ、これから何日、何十日とイキ続けることになるにもかかわらず、ヘザーは開始1分も経たずにあっけなく最初の絶頂に達した。

 密着していた内壁はギュッと締まったクリトリスの反応を見逃さなかった。

 最初の絶頂を待っていたかのように、胴体も動き始める。

 吸引は内部上辺、クリトリスの先端部分に位置する大きな吸盤が行い、外見の変化はない。

 今度は胴体自体がクリトリスを吸引したまま収縮を始める。

 同時に無数の繊毛も役目を果たすべく目を覚ます。

『ぃひゃっ!?ひぃぃぃぃぃぃぁぁぁぁ~~~っ!!!』

 胴体は上下に収縮する間に前後左右、更に捻りも加えながらクリトリスを扱いていく。

 内側の繊毛の動きはそれにつられてているわけではなく独立しており、繊毛に比べれば大きな胴体が上下に一往復する間に、縦横無尽に全方向からイったばかりのクリトリスの表面をくすぐり続ける。

『いひっいひっいぃいぃぃいっひひぃぃぃぃ!』

 墓のヘザーは身をよじって足の付け根から登ってくるもぞもぞぞわぞわとした感覚から逃れようとする。

『いいいいいいぃぃぃっいくぅぅぅぅぅ!!!』

 二度目ではなく既に何度となく絶頂を与えられている。1度動き出したビラチーナは一度も止まってはいないが、絶頂を与えるのは主に触手、そしてイった直後により辛い快感を与える役目を胴体が担っていた。

 実際一定の速さで動いているのではなく、絶頂を感知した直後が最も激しく動いている。

 これもセドリックが設計した命令だった。

『いうぅぅぅ~っ…あぁぁ~っ!!!くあぁぁぁぁぁっ!!』

『ぎっあっかっ…くぅぅぅぅぅっ!!!』

『ひぁぁぁぁぁぁっ!!もっ…やめでぇぇぇぇ~~~っっ!!』

 わずか30分でヘザーはセドリックの指による連続絶頂記録を超えた。

 15分ほどで20回を越えた当たりから回数に意味は無くなり、どれが絶頂なのか本人にも分からなくなる。完全に把握しているのはビラチーナのみだ。

 しかしまだそのビラチーナは全ての機能を出し切っていない。

『んんんっ…んっ、んんっ!?…はっ!?こっ…やぁぁぁぁぁぁ~~~っ』

 30分を越えた当たりから、漸く鋭敏液が分泌され始めた。ビラチーナが出し惜しんでいたのではなく、内部での合成に時間が掛かっただけだった。

 鋭敏液は内壁の、触手以外の部分全体から滲み出てくる。特にそこまで厳密に設計したわけではないが、結果的にシュルシュルとクリトリス表面をなで続けている繊毛がそれを塗り込む形になる。

 効果はすぐに現れ、感度を増していくヘザーのクリトリスは新たな段階の絶頂を与えられることになる。

 老魔法士考案の鋭敏薬の3倍の効果を発揮するミルドレッドの鋭敏液は与えられる全ての刺激を認識出来るようにしてしまう。

 耳が余計な騒音を無意識に除外しているように、下着と性器が擦れるような知覚する必要のない刺激を除外している機能が働くなり、繊毛や触手、そして胴体の動きによって与えられる刺激の全てが快感としてクリトリスに流れ込んでくる。

『くぃぃぃぃぃ~~~っっっ!!イクイクイクうぅぅぅぅぅぅっ!!!』

 どんどん鋭敏液が浸透してくる。こうなってくるとほぼ一定間隔で絶頂に達するようになる。

 絶頂し、直後を責められ、それによってまた達し、また責められるという繰り返しが続き、間がなくなる。

 しかしビラチーナはまだ余地を残していた。

 ビラチーナあくまで生き物なので、自身の体液で内部が潤っていたが、それにたいした潤滑性はない。

 その役目は鋭敏液が担う。

 鋭敏液が分泌され始めて漸く、完全に命令通りの動きをすることが出来る。

 クリトリスの絶頂を感じ取るのと同じように、ビラチーナは自身の動きが滑らかになってきたことを感じ、最後の仕上げに入った。

 まず単純に収縮運動、根元をこそぐ触手、表面を這う繊毛の動きを早める。特に繊毛は元々吸引に因ってクリトリスに密着していたため、触手のように先端でくすぐるような動きではなく、細く短い全身をぴったりと貼り付ける形で蠢いていたが、潤滑性を与えられたことに因ってぬるぬると滑るクリトリスの表面を糸くずのように小さな虫が無数に這い回るかのような感触に変わっていた。

『にひぃぃぃぃぃ~~~っ!!あひゃぁぁぁぁぁ~~~っ』

 最早中のアネットは逃げるために暴れる力を絶頂に因って奪われ、ビクンビクンと激しく腰を波打たせることしか出来なくなっていた。

 頭を振り回しながら、その頭を両手で抱えているつもりだが、その感覚は無い。

 アネットが感じられるのは感覚を高められたクリトリスに与えられる数種類の凶悪な刺激のみだった。

 ビラチーナは最後の動きを胴体に加える。

 伸縮に因るしごき、捻りに加え、自身を細かく振動させ始めた。

『こはっ!?こぁぁぁぁぁあああ~~~っいっ!イぐぅぅぅぅぅぅぅ~~~っ!!!』

 振動を加えられブルブルと震え始めたクリトリスはとうとう絶頂と非絶頂の境界を見失い、セドリックの望み通りイキ続ける珊瑚となった。

 2時間足らずの間、セドリックは机に上半身を預け、一切飽きることなく目の前でイキ狂うクリトリスを眺めていた。

「う~ん、凄いですね。頭で思い浮かべてるのと実際に動いてるのとじゃ全然違いますね。

 ちょっとこれは…激しすぎるんでヘザー様大丈夫ですかね?壊れるというか…辛い思いはして欲しいんですけど壊れて欲しくはないんですよね」

 指を乗せられていないためミルドレッドには答えようがない。

 しかし解答はあった。

 自身の封印空間に対する推論が正しければ、まず第一に封印中は老化することがなくなるはずだった。生命活動は維持されているため汗や尿、膣液など体内からの分泌液は一旦排出された後循環するが、代謝がなくなるため垢などの老廃物はそもそも生成すらされないと考えていた。

 そこから論を進めると、仮に封印時に身体の何処かに病や怪我を抱えていても、封印中は治ることはないが進行もしない。脳も同じで、封印された時点で有している知識と自我で思考は出来ても内部の神経構造が新しい経路を獲得することがないため、どんな快感や苦痛を与えられても封印させた瞬間の構造のままそれらの刺激を処理することになるはずだった。

 そのためクリトリスを責めるためだけに生み出されたビラチーナに封印前に経験したことのない未知の刺激を与えられ続けても、常に新鮮な状態でそれらを受け止めざるを得ない。

 セドリックがヘザーの精神を心配し出す以前からこのことに気づいていたミルドレッドは、二つのことを懸念していた。

 一つは封印が、1ヶ月2ヶ月、せめて数年で終わるなら精神が破たんしないことはありがたいが、それ以上、2年、3年、もしくは10数年続くことになった場合、破たんしないと言うこと自体が一つの拷問となる。

 もう一つはヘザーよりも遙かに多くの知識を持っていたため現状に対する様々な考えをめぐらすことが出来るが、自身の推論が正しく、封印されて以降脳が新たな思考経路を獲得できないとすれば、”脱出方法”という封印された時点で知識にない新たな要素にたどり着くとこが出来るのだろうかという心配だった。

 今の所問題無く思考できており、脳が新たなことを生み出していないという自覚がないため何とも言えなかったが、かといって自身の推論が間違っているとも思えなかった。

 セドリックは机の上を片付け始めた。

 そして筆記具などを入れている引き出し付きの小さな木箱の上にヘザーを乗せた。

 ビラチーナの振動は内壁だけで起こっており、伸縮、捻り運動も自身の調整機能で揺れを押さえている。それがなければ激しい動きで箱自体も常にカタカタと動き続ける事になってしまう。

 蓋はビラチーナが被さっていても問題無く閉まるが、今後は持ち運ぶ時以外常に開いたままにし、常にイキ続けている様を愛でられる鑑賞物として、そこに飾られる。

 いつやめて貰えるかはセドリックだけが決められるが、セドリック自身もいつまでイかせ続けるか決めてはいなかった。

『あくぁぁぁぁぁぁ~~~っっっとってぇぇぇぇえぇぇ~~~~~いぐぅぅぅぅぅっ!!!』


cs03

 数日掛けてミルドレッド邸から運んできた荷物の片付けが終わった。

 戻ってすぐにビラチーナの作成を始めたため、使用していない書物や器具、薬品物品などは全て搬入した時のまま、使用した物はミルドレッドのクリトリスに尋ねながら捜索するという手法のせいで1ヶ月以上散らかったままになっていた。

 片づいた机の上でイキ続けている本来の持ち主がいなくなって以来、セドリックは二階の広間を自分の物として占有しており、片付けが終わるとそこがちょっとしたミルドレッドの研究室のように変わっていた。

 今回たまたま天才魔法使いのミルドレッドを封印出来、且つその技術で自分の指の代わりになる道具を造り出せると思い至ったため取り憑かれたように集中することが出来たが、元々セドリックは学ぶことが好きではなく、部屋を研究室のように片付けても、即そこでなにをかするわけではなく、大抵ミルドレッドのクリトリスを捏ねながらビラチーナの透明壁越しに苦悶し続けるヘザーのクリトリスを眺めていた。

 その状態で催してくると、自ら慰めることもある。

 ある意味室内には年上の美しい2人の女性が裸でいることになるが、ペニスを収める場所はどこにもなく、ペニスの先端の様な赤い肉の芽が二つあるのみだった。

 ミルドレッドの襲撃により一旦忘れていたが、1ヶ月以上経過し漸く落ち着きを取り戻したことで、セドリックは今後どうするかと言う問題を思い出した。

 ヘザーを封印し、脱出される心配がなくなった頃から考えてはいたが、元々セドリックは回復魔法士として出稼ぎのために田舎から出ていていた。

 それがヘザーに拾われたことによって4年ほど無給従者として働かされていたが、ご主人様が一転して玩具になったため、改めて職を探すかどうかということを考えていた。

「何かないですかねぇ?結局まだ冒険者組合に行ったこともないんですよ。向かう途中でミルドレッド様の敷地に迷い込んでヘザー様に拾われたんで。

 今からでも行った方がいいですよねぇ。故郷にも何の連絡もしてないですし…」

 半月ほどミルドレッドのクリトリスに指を置いたままやり取りしていたため、作成が終わってもその習慣が続いている。

「でも冒険者ってがらじゃないんですよねぇ。賞金首を捕まえるなんてできっこないないんですから。

 …出来ることと言ったらこんなことくらいですし…」

 鋭敏薬も潤滑剤も使われず、無意識に同じ所を指で擦り続けられていると、乾いているクリトリスの表面は赤くなり痛みを感じるようになってくる。

 そこに擦っている指先から回復魔法を掛けられ、思わずミルドレッドは弱い痛みが引いていくことに心地よさを感じてしまう。

「でもこのくらいじゃぁ…。ヘザー様が給金さえ支払ってくれればヘザー様に仕えたままでも良かったんですけど。後もうちょっと優しく」

 ちらりと卓上箪笥の上に目をやる。

「そうしたらこんな目に遭わなくて済んだんですけどね、ヘザー様」

 ミルドレッドはそれが自分にも当てはまることに戦々恐々とする。セドリックに恨まれる度合いは期間で言えばヘザーだが、内容で言えば殺そうとした自分の方が大きい。

 ミルドレッドの心配をよそに、ほぼ独り言とはいえ喋る相手がいなくなってしまうため、セドリックは今の所ミルドレッドをヘザーと同じ目に遭わせようとは考えていなかった。それに天と地ほどの差はあれ、同じ魔法使いなので今後また何かを教わる機会もあるかも知れない。

 結局考えるばかりで行動には移さず、そのまま同じような日々を繰り返した。

 愛でつつ、弄り、催すと慰める。

「ヘザー様、どうですか?聞こえてはいますよね?いっぱいイってますか?まだまだ続けますからね。

 あ、全然関係ないですし、気にしてくれなくていいですけど、ボクは4年間こき使われてたんですよねぇ。別にだからといって何かの目安にするつもりはないですけど、ふふ」

『ビクビクびくーーーっ!!!』

 ミルドレッドの予想通り、絶頂開始から丸一月、その間一秒も休むことなく刺激されイキ続けていたヘザーだったが、放心してしまうことなくはっきり意識を保ちセドリックの言葉も聞き取れてしまっていた。

 クリトリス自体も麻痺することなく、与えられる刺激の全てを受け止め続けている。

 何の気なしにヘザーのクリトリスに語りかけていたセドリックはふと暦に目をやり、既にビラチーナを使い始めてから1ヶ月経っていることに漸く思い至った。開始した日にだけ印を付けている。

 そこで始めて何かおかしいことに気付き、ミルドレッドのクリトリスに指を乗せる。

「あのーミルドレッド様。もう1ヶ月過ぎてるんですよ、ヘザー様をイかせ始めてから。

 でも、最初に凝縮魔法粒を与えてから1回も補給してないですよ?確か一粒で保って十日くらいでしたよね?どういうことでしょう?」

 ミルドレッドには分からなかった。

 粒の大きさに因って継続時間は変わるため一概には1ヶ月保たないとは言い切れないが、制作中のやり取り通りセドリックがハータの実ほどの魔法粒を使用したとしたら、予定の3倍以上効果が続いているのは確かにおかしかった。

『…』

「…あれ?ミルドレッド様でも分からないですか?」

『ぴ、ピク』

「別に長く保ってくれる方がありがたいんでいいんですけど…動きが鈍るまでは追加しない方がいいですよね」

『…ピク』

 ミルドレッド自身は代替腕を始め改造魔法生物を使用する際凝縮魔法など使う必要がなく、自身の魔力を与えてやれば済んでいたため凝縮魔力と改造生物の相性に関する知識も経験もなかった。

 そのため新たな推論が浮かんでこない。

 浮かんでこないこと自体は理解出来、ミルドレッドはそのことに愕然としていた。

 ミルドレッドの推論には小さな見落としがあったが、その小さな点が予定より長くビラチーナが動き続けている原因だった。

 単純故に見落としていたが、エネルギー循環の影響を受けているのは封印されている身体だけでなく、クリトリスもだった。

 そうでなければ仮に何十年と経った時、身体は若いままにも関わらずクリトリスだけは年を取り、やがて朽ちてします。

 封印内部のように皮膚表面が空間の境界とはなっていないため触覚も働き、擦られれば赤くもなり、薬の副作用で大きく育ちもするが、内部では細胞維持の為のエネルギーや魔法力は常に循環している。

 ビラチーナが予定期間以上に動き続けているのは、ヘザー自身が遺伝的特質によって常時発揮している対魔力相殺用魔力を使用している為だった。

 対魔力用魔力も魔力には変わりなく、そして生物としての駆動に魔力を使用しているビラチーナは相殺されることなくその魔力も使用することが出来た。

 ただしそのままでは相殺魔力は循環せずにされ続けてしまう。

 仮にミルドレッドがクリトリスから炎を出す方法を編み出し、脱出するためにそれを使用し続けた場合、消費した魔力は大気中に消えてしまい循環することはない。そのため何もしなければ衰えないはずの封印中の肉体が次第に衰弱していってしまう。

 その点に関してはミルドレッドも気づいているため、外に出ているクリトリスから無闇に魔力を放出し脱出を試みる方法は避けている。

 ヘザー本人もセドリックも気づいていなかったが、封印されてから3ヶ月間、自分の意志とは関係なくクリトリスからも常時放出されている相殺魔力によってヘザーは少しずつエネルギーを失っていた。

 全くの偶然だが、ビラチーナを被せられることによって始めて、ヘザーのエネルギーは完全に自身の領域で完結し、循環するようになった。

 ビラチーナは自身の駆動に使用したヘザーの魔力を、またヘザーの中に戻していた。これも意図した機能ではなく”より少ない魔力で長期間”というセドリックの要望の副産物だった。

 自身を駆け巡った魔力を外へ逃がせばそれっきりだが、内に逃がせば何故かまた使用出来ることに気づいたビラチーナは起動後早い段階から使用した相殺魔力をヘザー自身に戻していた。

 ヘザーは無責任なセドリックに変わり、ビラチーナによって無意識の魔力流出から守られていた。

 その対価として容赦なくイかされ続けてはいるが。

 同時にそれはセドリックが外してくれない限り、ビラチーナが生物としての寿命を迎えるまで延々責めが続くと言うことだった。

 複数の生物の要素を混ぜ合わせて作られているのビラチーナの寿命は誰にも分からないが、鋭敏液を合成するために分泌腺の情報を使われた3種の稀少生物は、どれも数百年の寿命がある。

 コンコン。

 1階から聞こえて来たノッカーの音に驚いたセドリックは、捏ねて遊んでいたミルドレッドのクリトリスに爪を立ててしまう。

『びっ!?びくくぅ!』

「あ、すいません。でもちょっと誰か来たみたいなんで…」

 コンコン。

 ヘザーを封印してから半年。襲ってきたミルドレッドを除き屋敷を訪れる物は皆無だった。

 セドリックは箱に蓋をしないまま2階の部屋を出、玄関に向かった。

 コンコン。

 念のため扉を開く前に声を掛ける。

「どちら様ですか?」

「あ!いらっしゃいましたか?あのーこちらにミルドレッド様はいらっしゃらないでしょうか?」

「・・・!?・・・え?ミルドレッドさ…ミルドレッドって言うとあの悪名高い?」

「そうです、魔法使いのミルドレッド様です。ここにいらっしゃる気がするんですけど…」

 セドリックは混乱し、足が震え始めた。ヘザーの屋敷にヘザーでなくミルドレッドを尋ねてくる理由が分からない。

 ヘザー失踪から6ヶ月、ミルドレッド失踪から3ヶ月経過し、町では両者に関する噂が立ち始めていたのは知っていたが、それがここに繋がるとは思えない。

「あの、いないというか、いるわけないと思うんですけど。なんでここにミルドレッドがいると思ったんです?」

「ああ、占ってみたんですよ。先にミルドレッド様のお屋敷の方に伺ったんですけど、すっかり荒らされてましたので、そこから辿ったらここに着いたんです。・・・あのぉ、すいませんが開けては頂けないですか?そと雨なもので…」

 絶対に開けたくはなかったが、追い返してよそでヘザー宅にミルドレッドがいるかもしれないなどと言う話を吹聴されると、殆どが無視しても1人は信じるかも知れない。セドリックは余計な問題を抱えたくなく、しばらく逡巡した結果、占いとやがら間違いであると説得するためやむなく扉を開けた。

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