本日の変わり湯 効能『ド変態』『超敏感』 先輩ラガーマンの場合 (Pixiv Fanbox)
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過去に『極楽之湯』 という小説集に掲載していた作品のリメイクとなります。
全文章を見直してアップデートして、抜きどころ的なパートも少し盛っています。
作品集が現在の基準でアウトになって販売できなくなってしまったので、こういった形式でまたお店できるようにしたいなと考えております。
本日の変わり湯
「最近ハマってるものといやあ、風呂だな、風呂」
社会人ラグビーの練習の終わり際、汗だくの体を冷ましながら趣味の話などしていたところに爆弾発言が透過された。皆信じられない顔で、発言の主である筒賀の顔をマジマジと見つめた。一番の古株でありチームの大黒柱、豪快で豪傑、表立って否定できるものなどチームにはいない絶対的リーダーだが、その発言は信じがたいものだった。
洒落っ気のない坊主頭に、海苔でも貼り付けたような太い眉、まったく処理していない体毛が露出した手や足にまで生えている。誰よりも練習熱心で、だからこそ朝から晩まで汗臭い。先輩はそんな男だ。趣味が風呂など冗談にしか思えない。
何せ今まで練習終わりのシャワーでさえ面倒臭がっていた男だ。
人が気持よくシャワーを浴びている横から、ガニ股で豪快にペタンペタンと歩いて寄ってきては、冗談まがいのセクハラやプロレス技などかけて、一人で笑っているような男だ。
そりゃあ……わりと意外、ですねえ。
しばらくの沈黙の後、誰かが随分とオブラートに包んで相槌とも驚きともいえない返事をした。全員がそれに頷いた。
風呂が趣味というならば、このキッツい体臭はどこからくるのか。練習を終えた今ならばまだしも、今朝会った時から先輩はムンムンと汗と雄の臭いを漂わせていた。
それを嗅ぎながら、俺は一人で邪推していた。まさかついにホモに目覚めて、サウナに通っているんじゃないだろうか。そんな妄想じみた、願望混じりのものだ。
「どうだ、誰か一緒に行かねえか、回数券あんだよ」
またしても少しの沈黙。
俺はこれ幸いとばかりに、名乗りを上げた。
案内されたのは、最近オープンしたばかりの「極楽之湯」だとかいう大型スーパー銭湯だった。
随分と辺鄙な場所に建っている。そのわりに施設の質は随分と豪華で、食事、仮眠、催し物に、風呂上がりの酒にソフトクリームまでアリ、と……さながら小さなレジャーランドだ。
先輩は「極楽チケットなる」妙な名前の回数券を俺によこすと、さっさと中に入っていってしまった。まるで遊園地を前にした子供のように、軽い早足で更衣室に掛けていく。俺がついたころには、もうすっかり服を脱ぎ終えていた。
「へへ、どうだあでっけえだろ」
それはこの施設のことですか? それとも先輩のそのガタイのことですか。
そう尋ねると筒賀先輩は得意げに「どっちもに決まってるだろうが」と二の腕を見せつけてきた。こうして全裸で更衣室をぶらつく姿はこれまで何度も見てきたが、しかし何度見てもその逞しさには圧倒される。
四角い顎、厚い胸板、バッキバキに割れた腹筋、ぶっとい脚、そして立派に固くなった肉棒。
どれもが、まさに雄といったド迫力だ。
………?
「うっし、さっそく入るぞお」
そう言ってさっさと浴場に入ったいった先輩だったが、横を通り過ぎる時に、何か妙なものが見えた気がした。
目を疑った。
いや、正確には、自分の頭を疑った。
たしかに今、先輩の股間にぶら下がったイチモツが、一際大きく、ブランブランと上下に揺れていたように見えた。左右ではない。上下だ。
「おい、どうした、さっさと行くぞ」
振り返った先輩は、ギンギンのチンポを振りかざして威張り散らしていた。
間違いなかった。
あれは、バキバキに硬くなったチンポだ。亀頭が見えて、裏筋が見えて、血管が浮き出ている。
気のせいでもなければ、目の錯覚でもない。筒賀先輩は公共施設である風呂で、チンポをギンギンにして威張り散らしていた。
「なんだよ、何見てんだぁ?」
筒賀先輩は怪訝な顔で俺を見ていた。何を見ていた。そんなもの、そのバッキバキのデカマラに決まってるじゃないですが、どうしちゃったんですか。と、指摘できれば楽だったろうがさすがにそんなあけすけには言えなかった。だが目は口以上に雄弁に語っていたらしい。先輩はすぐに気が付き、ニたりと笑った。
「なんだ、コイツのことかァ」
先輩は男に勃起を見つめられて、嫌がるどころかむしろ誇らしげに足を開いた。
「デケえだろ。ヘヘ、ん、デケえか? こんなの見たことねえか」
何故勃起しているかの説明もなく、先輩はただひたすら自分の勃起を見せびらかしてきた。
指で弾いて竿がいかに立派に固くなっているかを強調してくる。堂に入った変態の露出狂のようだ。たしかに筋肉自慢が鬱陶しいくらいのラガーマンではあったが、こんな趣味はなかったはずだ。
「おい、どうした、デケえのか、でかくねえのか」
ただの自慢というだけではなく、これは俺への質問だったらしい。
先輩は俺もよく知る厳しい顔で、俺に詰め寄ってきた。
先輩の問いかけに対し、沈黙や無視は否定するより罪が重い。即刻プロレス技がとんでくる。俺は反射的に答えてしまった。
でかいっす。見事なデカマラ……っす。
そう答えるしかなかった。
「へへ、だろう。この風呂場ン中でも、こんだけのはなかなかお目にかからねぇぜ」
そりゃあいったいぜんたいどういう話ですか。
その質問をする前に、先輩は欲情への扉を開いた。
湯気がたっぷりと視界をおおうと、豪勢な内風呂が視界いっぱいに、そして……
「お、今日もいいねえ、ほぉ……アイツもなかなかデケえな、ま、俺ほどじゃあねえがな。あのおっちゃん今日も来てやがるのか、おうおう……相変わらず勃起しても皮かむりだなあ」
そこには、勃起した男たちが浴場中にあふれていた。
右も左も勃起した男だらけだ。こんなもの、発展場でも見たことがない。なにがおかしいって、それでいながら互いに物色している様子もなければ、絡み合っている姿も見当たらないことだ。一見すればただの大浴場。ただ、完全勃起しているという一点だけが違う。
「おいおい、なにちんたらしてんだ、お前もさっさとチンポコ勃起させろよな、ホレ」
いや、しかし。
躊躇っていると、先輩はあっという間に近寄ってきた。
「ったく、しゃあねえなあ」
既に半分勃起していたチンポを、先輩は躊躇いなくむんずと掴んだ。
「俺みたいに面倒見のいい先輩もって、幸せもんめ、んぉ……っ」
先輩は浴場のタイルに膝をつけると、そのゴリラみたいな顔を俺の股間に埋めてきた。
「おぉ……おめえも……なはなは……でへえ……なぁ」
ベロベロと舌でチンポを絡め取られると、俺の肉槍はあっというまに先輩の口の中でデカくなった。あの先輩が俺の前で跪いて尺をしているのだ。興奮しないでいられるわけがない。
おぉお……。
情けない喘ぎ声を一つ上げる間に、俺のチンポは先輩同様ガチガチに勃起した。
「おっし、へへ……、じゃあいくぞお」
先輩は俺のムスコの姿を見て満足気に笑うと、ささっと口元を拭った。そうして嫌悪感ひとつなく、誰よりもチンポを豪快にぶらぶら揺らして洗い場へと向かっていった。
「――最初は会社の奴に無料券貰ってなあ、まあ風呂なんてかったりいし、わざわざ外で入るようなもんでもねえって思ったんだが、なんでも回数券にはタダメシ、タダ酒までつくってんで、来てやったんだよ。そしたら、これがスゲー気持ちいいのな。で、今じゃすっかりハマっちまったってわけだぁ、あぁ~きもちいぜえ……♥」
そりゃそうだろう。気持ちいいだろう。
湯船に浸かりながら当たり前のように勃起チンポをなでくりまわしながら、先輩はそう語った。
「ンー、別に変なことなんかねえだろ。なんだ、おめえも、俺が風呂好きってツラじゃねえなんて言うんじゃねえだろうな」
先輩は己の変化や変態っぷりにまるで無自覚だ。むしろこちらがなにかズレた事を言っているような雰囲気だ。先輩はまたチンポをくりくりと撫でて気持ちよさそうに息を吐いた。
「俺もよぉ、ちょっとは変わったんだよ、風呂好きにな」
まるで更生したかのような口ぶりで、得意気に言った。
「ここの風呂は特にいいんだが、特に、あれ、ほらアレが最高だったんだよ」
先輩は湯船から上半身を乗り出して、遠くの方を顎で指した。そこには特別変わった浴槽が見えた。
とても濃い緑色の湯船が見えた。檜製の四角い浴槽に、たっぷり不透明な湯が張ってある。
そこからムンムンと臭いがした。この浴場全体に漂う臭いは、殆どがあの緑色の湯から出ているもののようだ。化学薬品とは違う臭いだが、何の臭いだかは分からない。芳しいわけでもないのに、妙に癖になる臭いだった。
上には本日の「変わり湯」と書いてあった。
「あれに入って、変わったんだよ」
それはつまり、言葉通りの意味なのだろうか。冗談のつもりはなさそうだ。
「臭えし色も妙だし、最初は嫌だったんだがな。なんか他の連中が入れ入れってうるせえもんでよ、入ってみたらびっくりだ、すっかり脳みそが変わっちまったんだよ。変わるってそっちかよ! ってな、ガハハ!」
先輩はさも笑い話のように、洒落にならない事をのたまった。
「あ? 別におっかねえことなんかねえぞ、基本冷めたら元通りになるからな、ちょっと一時間くらい別人みてえな気分になるだけだ。お手軽で楽しいぞー。これがもう楽しくって楽しくって、きれい好きになったってことだ」
ニョキッと生えたチンポから臭い汁をどくどく出しながら先輩は得意げだ。
「ええっと今日の変わり湯は~っと、お、効能……『ド変態』と『超敏感』だってよぉ。なんだなんだ、凄えいい組み合わせじゃねえか。お前運がいいなあ!」
まさか一緒に入れと言っているのだろうか。ド変態と超敏感、聞くだに嫌な予感がする。
「どれ、一緒に入るか?」
先輩の誘いを無下にするなどあってはならない。断る選択肢はない。だが、承諾するのは絶対に御免だった。
俺は一瞬で頭を働かせて、なんとかこの場を乗り切る言葉を吐き出した。
つまりこうだ。
先輩がゆっくり浸かってるトコ、ここからのほうが見れるんで先にどうぞ。
正直……失敗する可能性も高かった。しかし筒賀先輩の単純さは、こちらの想像通りに運んでくれた。
「んだよ、しょうがねえやつだ。じゃあそこからよ、じーっと目を凝らして見てやがれよぉ」
先輩はざぶりと透明な湯からでると、べたべたと大股で変わり湯に向かっていった。
確かに書いてある「ド変態」と「超敏感」の文字を確認して、自分から望んで足を浸けた。
「おぉお――――♥ おぉぉ、ほぉぉお♥♥」
「はひぃ、変わる、変わるぅ♥ 俺変わる、かわっちまうぅぅ♥」
「へひひいぃぃい、脳みそ風呂の湯色に変わるぅぅう♥♥ じゅくじゅく染み込んでくるぅう♥」
「チンポから、ケツアナから、かわってくぅかわってくぅぅ♥ かわっでぐぅぅううう♥♥」
「はぁぁ、はぁぁ……はひぃい、いぃぃぃきもちぃぃぃ、どうだあ、みろみろお、ド変態様のお通りだぜええぇぇ♥ はひ、歩くだけで、チンポ、た、たまんねぇえええ♥ えへへ♥」
変わり湯に浸かること数分。たったそれだけ入ってきた先輩は、まさに言葉通り『ド変態』となって戻ってきた。口からはみ出たベロから、ねっちょりとしたヨダレが垂れている。完全勃起したチンポは、まるで扱かれているみたいにビクンビクン上下に跳ねている。
「へひっ♥ はひっ♥ そこらの空気とセックスセックスゥ、風呂場の湯気とバッコンバッコォン、チンポコたまんね、あーたまんねぇええ♥♥」
『超敏感』になったチンポのせいで、まともに歩くこともできないらしい。先輩はヨチヨチ歩きで、まるで妙な踊りでもするかのように腰を振っては汁をあちこちに撒き散らしている。
「もー頭ン中スケベだけだぜ! もう俺はスケベ! スケベニンゲンでっす! スケベ大好き! チンポ大好き! 女もいいけど男でもオッケー! ガハハ!」
近くを通る人間なら、子供にも、老人にも、そして後輩にも勃起を突き出して先輩は笑っていた。
「むはっ、きもっぢぃいい……えへへ、やっぱ風呂はサイッコーだなあ、へへ、気分爽快ッっとぉぉお♥♥」
まったく風呂に無関係なところで喜びながら、先輩はすぐ側にまで寄ってきた。真っ赤な顔と真っ赤な亀頭から、似たような臭い男汁がだらだら垂れていた。
「なー俺の言ったとおりだろぉ、みろみろ、俺はどうだ、カンッペキにド変態だろォ、なっ♥ なっ♥」
俺も風呂からあがって浴場のど真ん中に歩くと、その歩いた風圧で先輩がまた喘いだ。
あまりの情けない姿に、いつもの畏怖や敬愛も吹っ飛んで、意地悪心がむくむくと湧き上がってくる。
先輩……ほんっとみごとな、ド変態っぷりっすね。
俺はつい、先輩に対して許されないようなぶっきらぼうな態度の声が出てしまった。しかし――
「お、ふぉぉお♥ そ、そうだぁ、俺は後輩の前で、ド変態晒す……ド変態チンポラガーマンだぜぇえ♥♥」
先輩はそんな俺を咎めるどころか、嬉しそうに笑って腰を突き上げた。なるほど、このド変態状態は、そう指摘されるだけでもう気持ちが良いらしい。
「なー、俺の言ったことが正しかったんだあ、ほれほれ、ごほーびよこせよー。触ってくれよぉお、ド変態チンポコ触られてえんだよお、男でもイイんだあ、いや男の手コキでイクのきもちいいんだよお♥」
一言もした覚えのない約束を振りかざして、先輩は俺に筋肉とチンポをこすり付けてきた。風呂の湯の中ですらない。どこからも視線が通るこの大浴場のど真ん中で、媚びるような声と態度だ。そこにかつての憧れた姿はなかった。適当に竿の根っこ掴んでやると、先輩は期待に目をニタニタとさせた。
このド変態。
勢いづけて、竿から亀頭まで磨いてやった。
「あひぃー、やべえー、俺やべえー♥ も、もももも、もっとゆっくり、あぁぁあ……そんなはやくされたら、俺イッちまうすぐイッちまうからぁぁあ♥ あぁひぃいい♥」
「はぁぁやべえぇ♥ 俺風呂場で後輩にチンポコシコシコされて、あへあへになっちまってるよぉー、ド変態すぎだろっ♥ ドッ変態ッ、俺ドッッ変態イィィイ♥♥」
超敏感でド変態なゴリラ先輩は、チンポを擦られている間中ずっとイソギンチャクのようにグネグネと蠢き続けていた。
その言葉通り、ちょっとゆっくり、それこそ撫でるように触ってやるとだんだんと『丁度いい具合』がわかってきた。はひはひと犬のように息を吐きながら、先輩は涙を流して喜んだ。
「はひぃ♥ はひぃ♥ すげ、すげえ♥ 後輩の手コキで、チンポビクンビクンなっちまうぅぅ♥ 後輩手コキに、もっとゆっくりしてくれなんて頼むなんてっ♥ あ、あ♥」
マジでいやらしいツラを晒しまくりながら、先輩のチンポは射精寸前の硬さと脈動を見せた。
「あっ出るっ♥ 出ちまう♥ 見てくれ、俺のド変態射精見ろ、見やがれ、見てくれ、見ろ、見ろっ♥ 変わっちまった先輩ラガーマンの雄射精みろぉぉ♥ みんなみろぉお♥ 俺今からぁああ後輩の手コキでイクぞぉぉお♥♥ おうぅうぅぅう♥ は、は、はひぃぃい♥♥♥」
筒賀先輩は周囲に知らしめるような大声を張り上げた。もっと注目されるのが変態だ。もっと嗤われるのが変態だ。そう信じ込んでいるみたいに、大きく声を張り上げた。
顔をゆでダコのように赤くして腰を振っている。もし普通の浴場でこんな男がいたら、すぐさま距離を取られ、警察のお世話になるに違いない。だが今、周りの浴場の客はチラチラと見てくれてはいるが、これくらいはいつものことのようでスルーしていた。
「あ、あっ、こんなに俺ェ、俺ドヘンタイなのにぃぃいぃい♥ マッチョなのによぉぉお♥ それでも相手されてねえなんてよぉぉ♥ それがまた……き、きもひぃじゃねえかぁああンンン♥♥♥」
筒賀先輩は結局それもまた気持ちよかったようで、満足した声をあげて射精した。雄汁はかなりの量で、俺の腕だけじゃなく極楽之湯の床タオルに散らばった。先輩はそれを見ながら、嬉しそうな喜悦を浮かべて俺の掌にチンポをこすり続けていた。
「へへ……♥ ようしかわいい後輩の為に、この俺がとっておきのスポットを教えてやるう、ついてこいぃぃ♥」
ひと通りド変態踊りに満足したのか、先輩は今さら先輩面して偉そうに腰に手を当て、ガニ股で射精しながらヒョコヒョコと歩き出した。
今まで特別目をかけてもらった覚えはないが、あの一回の手コキですっかり『かわいい後輩』に昇格というわけらしい。
「ここ、俺のお気に入り、ひひ♥」
案内されたのは、水流で筋肉をほぐす、いわゆるジェットバスだった。
……明らかに他で見たジェットバスとは、使用方法が違っている。というのも、浸かっている男たちはみんなとろけた顔で、本来凝りをほぐす腰や背中ではなく正面、それも股間部分を当てていたからだ。
「へへへ、俺、これ、大好きになっちまったんだよぉ♥」
先輩は遊園地に連れて来られたガキのようにはしゃいで、ジェットバスの一つに陣取った。
股を思いきり開き、滑り止めのバーを握り、いざ、と勢いをつけて腰を突き出した。
「うごごごおぉぉおお♥♥♥ おほぉぉおおほぉ~~~♥♥♥ コレコレコレェン♥♥♥ たっまんねェー、スッゲ、スッゲ、スッゲ気持ちいぃーうほぉおぉー♥♥♥♥♥♥♥」
ゴボゴボという激しい音をかき消すほどのだみ声で筒賀先輩が吠えた。
水流は股間に直撃。
今日一番の間抜けヅラだ。坊主頭のド変態マッチョは、大開脚をしたまま腰をガクガク痙攣させている。
「サイコーサイコーサイコッォー♥♥♥♥ チンポにクルクルゥ、すげえ来るゥ♥♥♥♥ あーこのじれったさがクセんなるぅうぅ、セックスでも手コキでもなくってよぉぉお♥♥ こ、この変態ズリがたまんねーーーんだよぉぉ♥♥♥♥」
ほんの少し飛び出したチンポの先から、びゅっびゅっと精液が飛び出すのが見えた。細い尿道から飛び出した雄汁は勢いのある水流になぶられて、ぐるぐる肉棒の周りで渦を巻いていた。そのうち一部がベタベタと先輩の体毛にひっついていた。
「サイッコーだよなあ、へへ、楽しんでるかぃい、ノってるかいぃ?」
先輩は隣の男の肩を馴れ馴れしく掴み、また気持ち良さ気に足を上げた。
「よっと、おぉっぉぉ……これもイィー、新感覚ゥ♥♥♥♥」
完全に浮遊した股間に、泡の濁流が襲いかかる。
勢いに圧されて腰がジェットバスから離れる。先輩は負けじと腰を突き出した。まるで水流相手にチンポでチャンバラ勝負だ。
勝っても負けても情けない。まさにド変態極まる格好だ。
「「あふぅうぅう……いいぃい、いぃぃー♥♥♥♥」」
先輩の喘ぎ声に、他のジェットバスから溢れた声が重なった。チンポにジェット水流に押し当てる「ド変態」達に占領されている。おそらく今日の変わり湯に浸かって、すっかり脳みそまるごとド変態になった男たちだ。
「おふぅうう、きもちよすぎぃぃい、これ味わったら、もー戻れねえよおぉおン♥♥♥♥」
子供もこさえていそうな坊主頭の親父が、まるで幼児のように足をバタバタさせてよがっている。センズリを覚えたてのガキでも、もうちょっとは慎ましいだろう。こんなもんでシコってきもちよくなるなんて、マジで男として終わっている。
「はひぃぃい♥ お、俺、俺おわってるうぅうう!? そんなぁぁぁあ、この俺がぁぁあこの筒賀様がぁぁああぁ♥♥♥♥♥♥♥」
そのことをつい口にしたら、先輩は今日いちばんの悲鳴を上げて大喜びした。
先輩だけじゃない、俺の声を聞いた十人が住人、全員が同じようなツラで、同じような事を叫んでビクビク射精していた。
全員見事に反応は一色、あの変わり湯の『色』に全員染まりきっているようだ。
「もう一発ゥ、もう一発イッてからぁ……♥♥♥♥ ンンンン、ああ、やっぱもう二発ゥ、いや三発まってくれぇ♥♥♥♥♥♥」
先輩はもう何発射精したかもわからないチンポを振りながら、いつまでもこのジェットバスの虜になっていた。
腰を振って水流のポイントを右に左にずらしたり、時々ポージングをして酔いしれたり、声をデカくして目立ってみたりと、自分の快感のポイントを弄くることに夢中になっていた。
「はぁぁあん♥♥♥♥ もう俺ここなしじゃ生きられねえぇえ♥♥♥ 風呂最高ぅ♥♥ 極楽ゥウ♥♥♥♥ あひぃぃいい♥♥♥♥♥♥♥♥」
「な、最高だったろ、風呂」
湯上がりの栄養ドリンクを飲み干しながら先輩は嬉しそうに言った。
風呂に入っている間中はずっと、チンポコがどうの、ボッキ止まらねえだのと言っていた姿がまるで嘘のようだ。
体中に染み込んだ変わり湯が洗い流されたのか、はたまた出しきったからなのか、それはもうスッキリさっぱり元の姿だ。
「ああやって自分じゃねえ姿になってストレスを発散するんだ、他にも色々な種類があってどれもいいぜえ、力が抜けてされるがままになっちまう脱力湯だろ? ケツが感じまくっちまうトロケツ湯。 雄好き湯のときなんかはみんなホモみたいになって絡みだしちまうから大変だぜ」
確かに態度は元の先輩のままだ。だが、元に戻るから大丈夫などという理由で変態行為に及ぶのは、との筒賀という男にはなかった思考に違いない。あの湯の快感は、そもそも先輩の思考や人格を根底から変えてしまっている。筒賀先輩自身はまったく気がついていないか、気にしていないようだが。
「またこようぜ。あ、会員登録してけよ。なんだよ、いいじゃねえか。……俺な、実はここの会員になってよお、お前が登録してくれたら、変わり湯のリクエストとかできるようになるんだよ、な、いいだろ」
先輩は図々しく肩を抱いてそう誘ってきた。風呂あがりだというのにイカ臭さい、すでに汗臭い、そしてなにより……あの臭いがした。
「大丈夫大丈夫、ちょっと気持ちよくなったら、すぐ元に戻るんだから、な」
ニヤニヤ笑いで、少し媚びるように先輩が俺を誘う。はだけた胸元からたくましい筋肉が押し付けられて、太い腕が俺をガッシリと離さない。
俺は……先輩の太ももに手を置いた。。
まあいいっすけど、俺……先輩みたいに変態にはなりたくなりんですけどねえ。
俺はボソリと、挑発するようにいった。
『もとにもどっている先輩』はその一言に怒鳴るでもなく、ゴクリと唾を飲み込んだ。チラと股間を見ると、……チンポが勃起しているのが見えた。
抱きついてきた先輩の首筋からは、確かにあの変わり湯独特の薬臭い臭いが漂っていた。
終