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「おっ、もうこんな時間だったか……」


 骨太の太い腕にはめられた腕時計を見て、三年一組の担任である岩城弘之(いわきひろゆき)が呟いた。一か月後に迫った体育祭の準備で、放課後も居残りで作業を続けていたのだが、西日を避けるためにカーテンを閉めていたせいもあって時間の感覚がなくなってしまっていたらしい。窓の外を見るとすでに太陽は沈みかけており、野球部やサッカー部などの部活動も終わったらしく、生徒たちはグラウンドの整備をしている。岩城はその光景を見ながら少し考え込むような表情を見せた後、再び口を開いた。


「……よし! 今日はこの辺にしておこう」


 パンと手を叩いた彼のほうを見て、副担任の都築勝(つづきまさる)と、一組の委員長と副委員長である元野球部の矢島智久(やじまともひさ)と加藤実(かとうみのる)の二人が、了解とばかりに小さくうなずいた。


「じゃあ、みんな片づけて帰るぞ!」


 そう言って立ち上がった都築に続いて、他の三人もそれぞれ帰り支度を始めた。そして、机の上に置いてあった鞄を手にしたところで、突然蛍光灯が点滅したようにチカチカッと光った。


「ん?……何だ?」


 不審そうな声を上げた岩城をよそに、点滅の速度がどんどん速くなっていく。そして、その間隔は徐々に短くなり──、バツン!! という大きな音とともに真っ暗になった。


「うわっ!!」


「なんだよ、これ?!」


 智久と実が同時に悲鳴のような叫びを上げる中、都築は冷静に口を開いた。


「落ち着け! ただの停電だろう。とりあえずスマホの明かりで……」


 そこまで言葉にしたところで、体の芯が燃えるように熱くなって息苦しくなり、彼は思わず床の上に膝をついた。


(なんだこれは……? 体が焼けるように熱い……。それに意識まで遠くなって……、誰か助けてくれ……)


 そんなことを思いながら必死に目を開けようとする都築だったが、瞼が重くてどうしても開かない。他の三人も同じように倒れていく気配を感じたものの、どうすることもできなかった。やがて彼らの意識は完全に途絶えた。



***


『ピンポンパンポーン』


 普段校舎内では聞いたことのないような、間の抜けたチャイム音で四人は目を覚ました。いつの間にか、電灯が復旧したのか教室内は明るくなっており、先ほどまでのことは夢だったのかと思うほどだったが、まだ体に残る気怠さのせいで、そうではないことは明らかだった。とにかく体が重い──。

 そう感じた彼らは、他の三人を確認するべく周囲を見回した。



「「「「えっ???」」」」


 四人が同時に驚きの声を上げた。なぜなら、目の前に自分と瓜二つの姿をした人間がいたからだ。鏡に映った自分の姿かと一瞬思ったが、そうではないのはすぐに分かった。厳密にいえば、彼らの肉体は、目の前の相手と入れ替わってしまっていたのである。


「お前たち、矢島と加藤か……? で、そっちは都築君だな?」


 直感で、岩城はそう口にした。なんとなく、そう感じたからだ。戸惑い気味に尋ねる彼に対し、【岩城弘之】の姿をした男が応え、【都築勝】の姿をした男があとに続いた。


「はい、オレ矢島っす」


「オレ、加藤です!」


「岩城先生……。岩城先生でいいんですよね? あっ、私、都築です。これって、いったいどうなってるんでしょう?」


 【加藤実】の姿をした副担任の都築が、自分の顔や体をペタペタと触りながら、見た目が【矢島智久】の岩城に尋ねる。


「さあ、俺にもさっぱりわからんよ……」


 教師二人は、坊主頭の芋くさいニキビ面を突き合わせ、困惑の表情で顔を見合わせるしかなかった。真っ暗になっていたはずの外の風景は、再び夕焼けに染まっており、肉体が入れ替わっている以外は元の状態に戻ったかのようだった。とにかく、教室の外に出て、他の教師や生徒たちに状況を説明し、現状を把握せねばならない。そう考えた彼らは、教室を出ようと扉に手を掛けた、だが──。


「ふんっ!! んぬぬっ!! ……はあ、ダメだ。ビクともしない」


 都築が力を込めた声を出したものの、教室の扉は微動だにしなかった。


「こっちはどうだ……、んぐおぉぉ!! ふんっぬがぁぁ!!」


 今度は扉を引こうとしたあと、岩城が体当たりをしたものの、扉はビクともする気配がない。その後も、いくつかの試みはしてみた。椅子や机を、扉や窓に向かって思いきりぶつけてみたり、教室にある金具で扉をこじ開けようとしたりしたが、そのどれも徒労に終わった。傷が付かないどころか、一ミリも動くことがないのだ。


「いったい、どうなっているんだ……」


 途方に暮れたように岩城が呟く。すると、突如としてチョークが宙に浮くと動き出し、黒板に文字を記し始めた。


【この教室は、セックスをしないと出られない。それ以外に出る方法はない】


「は……?」


 全員が呆気に取られたように、黒板の文字を見つめている。


「セックスをしないと出られない?」


 都築が声に出して、その文字を読み上げた。理解が追い付かず、他の三人は彼の棒読みじみた言葉を聞いて、乾いた笑いを漏らしてしまった。


【この教室は、セックスをしないと出られない。それ以外に出る方法はない】


 チョークは何度もそう文字を綴った。都築も他の三人も、もう言葉が出なかった。ひとりでに宙に浮いたチョークが、黒板に文字を記していくという非現実的な光景を前にして、誰も何も言えないまま立ち尽くすしかなかったのである。


(こ、これって夢だよな……?)


(たぶん……)


(そうっすよね……)


 岩城、都築、実の三人はそれぞれそんなことを思い、頰をつねったり叩いたりしたが、痛みがあるだけで目が覚める気配はない。しばらくすると黒板に書き連ねられた文字がすべて消えていき、教室がシンと静寂に包まれた。あまりの異様な展開に思考が追い付かず茫然としていた彼らに、智久がぼそりと呟いた。


「外に出るなら、セックスするしかないんじゃ……?」


 三人が、いっせいに目を剥いて、彼に視線を集める。


「正気か、矢島っ?! お前、セックスって分かってんのか? 男と女がする、アレだぞ!! そんなの、無理に決まってるだろ、私たちは全員男なんだぞっ!!」


 智久の言葉に、都築がものすごい剣幕でまくし立てた。だが、智久は真剣な眼差しで言葉を続ける。


「いや、だってこのままじゃ出られないんでしょ? だったら……、するしかないじゃないっすか」


「そ、それは……」


 都築が言葉を詰まらせたそのとき、それまで黙っていた岩城が口を開いた。冷静な声を出そうとはしたものの、その実、彼も焦っているらしく額には汗が浮かんでいる。そんな彼が、智久に問いかけた。


「まあ、待て。矢島の言っていることもわかるが、少し落ち着いて考えてみようじゃないか」


「落ち着いている場合じゃないと思うっす。食べ物も飲み物もないんすよ? このままじゃオレたち、死んじゃいますよ」


「いや、でもなぁ……。これは、どう考えても異常事態だ。まず、現状を把握するためにも、落ち着いて考えることが大事だと思う。それに、外にいる他の先生たちが我々の状況に気づいて、助けに来てくれるかもしれん」


 自分で言っておきながら、なんとも中身のない言葉だと岩城は思った。それでも、この非常事態で慌ててはいけないことは確かだ。希望的観測かもしれないが、この教室外にいる教師たちが異常に気づいて、救いに来てくれる可能性もゼロとは言えない。


「確かにそうっすね……」


 厳つい顔の眉間にシワを寄せていた智久が、納得したように大きくうなずいた。目を瞑り、太い腕を組んで思案しているその仕草に、岩城の胸がトクンと高鳴った。強固かと思えた意見を、自分の一言で鞘に納めてくれたことがなんだか酷く好ましく思えて、岩城は思わず顔が緩みそうになる。


──嬉しい……、好きだっ!!


 元ラガーマンの逞しい身体、男臭い彫りの深い顔、真剣な眼差し、それらすべてが岩城の心を鷲掴みにし、先ほど高鳴った鼓動とは異なるドクンとした疼きをもたらした。愛おしさのあまり、頭が回らなくなってくる。今すぐ彼を押し倒して服を剥ぎ取り、自分の性器を挿入して本能のままに振りたくなる衝動に駆られたが、なんとか思い留まった。なにせ相手の身体は、ほんの少し前までの自分の肉体なのだから──。



「──岩城先生、聞いてます?」


 不意に名前を呼ばれ、岩城はハッと我に返った。目の前には、智久の姿だけではなく、実も不安そうな顔で立っている。都築も思案顔を解いて、不満げな表情に変わっていた。どうやら、これまでの自分では考えないような妄想を繰り広げているうちに、時間が経過してしまったらしい。


「……すまん、聞いていなかった」


 岩城が素直に謝罪すると、都築は小さくため息をついた。


「いえ、いいんです。私たちも、これからどうしたら良いものかと悩んでいましたから……。これ以上は対処法も見つかりませんし、今日のところは休みませんか? 期待は薄いですが、寝て起きれば元の姿に戻っているかもしれませんから」


 その提案に対して、他のメンバーもうなずいた。全員、疲れ切った顔をしている。


「そうだな、そうするか……。明日の朝になれば、何かが変わっているかもしれんしな」


 窓の外を見た岩城は、眉を顰めて呟いた。窓の外は、いまだ夕焼けに染まりつつある状態で、時計の針もあれから止まったままである。今が何時なのかも分からない。朝など本当に訪れるのだろうか? この教室で一番の年長者であるという理由で、どうにか理性を保っているものの、それも限界だった。


 他人と肉体が入れ替わるなどというとんでもない事態に遭遇したせいか、肉体の疲れよりもむしろ、精神的な疲労が凄まじい。先ほどの妄想もきっと、疲弊によるものだろう。


 もしかすると、この状況が一晩経てば元に戻る、という都合の良い展開になるかもしれない──。

 そんな淡い期待を胸に抱きながら、岩城たちは教室の床に横になった。




「……先生……、岩城先生ッ!!」


 不意に自分の名を呼ばれるのを耳にした岩城は、意識を取り戻した。教室の床は固く、眠りにくかったが、体育会畑で育ってきたこともあって、床に横になってもすぐに寝付くことができた。それにしても、まだ寝入ったばかりだったのか、身体が重く感じられる。


「都築君か……? どうしたんだ?」


 岩城は気だるげに身体を起こすと、欠伸を嚙み殺した。彼の名前を呼んだ声は、都築のモノだった。だが、ハタとして思い返した。彼を呼んだ声は都築のモノだったが、今の彼の肉体を操っているのは【加藤実】だ。虚ろな目で辺りを見回すと、【加藤実】の姿をした都築が、微かな寝息をスースーと立てているのが視界に入った。

 眠っている間に肉体が元に戻った可能性もあったが、彼の掌は豆だらけでいかにも元球児のモノのままである。それに頭部を撫で回しても、ザラリとした短い毛の感触が伝わってくる。どうやら、まだ元には戻っていないようだ。岩城は立ち上がると、教室の奥に目をやった。


 外は、相変わらず夕焼けに染まっている。眠るのにはわずらわしいために、カーテンを閉めているせいで、教室内は薄暗い。だが、奥のほうで何か大きな影が動いているのが、ぼんやりと見えた。


「……お前たち、眠らないで何をやっているんだ?」


 都築でないのであれば、残るのは生徒二人しかいない。声のするほうへ歩み寄ると、そこには【岩城弘之】と【都築勝】の姿をした二人がいた。岩城はその二人のほうに目をやり──。そして、息を呑んだ。彼らは半裸になり、性器を露出していたのだ。そして汗にまみれた全身を重ね合わせ、息を荒くしている。


「なっ、何をしているんだっ、お前たちっ?!」


 岩城は驚いて、後ずさりした。半裸になった二人が彼のほうを向く。二人の股間にあるモノが屹立しているのが目に入り、岩城の背筋にぞっとしたものが走った。自分そっくりの姿をした男と、副担任である都築の姿をした男が、顔を紅潮させ、チンポを擦り合わせながらイキリ勃てている。その異常な光景に、彼は身震いをせずにいられなかった。


「うるさかったか、矢島? すまなかったな」


 着衣を乱れさせ、肌を曝した【都築勝】が、ニヤニヤと笑いを浮かべて詫びた。


 それから彼──、【岩城弘之】も、軽い感じで言葉を続ける。


「いやなに、セックスをすればこの教室から出られるっていうんだ。なら、教師である俺たちが、生徒であるお前たちの前に試さなきゃならんだろ? なあ、都築君♥」


「ええ、岩城先生♥」


 【岩城弘之】の問いかけに、顔をうっとりとさせた【都築勝】が答えた。それに反応したように、二人の股間のモノがピクンと揺れ、彼らの顔に恍惚とした表情が浮かんだ。


 訳が分からない──。岩城が眠っていた間に、生徒たちの身にいったい何が起きたというのだろうか。


「お、お前たちっ、頭がおかしくなったのか? お前たちは、高校生だ! 二人とも、俺の生徒じゃないかっ!!」


 岩城は、声を張り上げて叫んだ。だが、【都築勝】はニヤニヤとした笑みを浮かべたまま、首を横に振った。


「今は私たちのほうが教師で、お前たちが生徒なんだ。私たち教師二人が、お前たちの手本になるようセックスをして、無事に外に出られることを証明してやるからな!」


「なっ……?!」


 岩城は絶句した。生徒たちだけではなく、自分の頭までおかしくなりそうだ。自分たちと入れ替わって、見た目は教師の姿になってはいるものの、中身は生徒のままなはずだというのに、肉体に見合った態度をとられてしまうと、一気に【岩城弘之】という存在が縁遠い存在のように感じられてしまう。


「分かってくれたか、矢島? じゃあ、俺はお前たちをこの部屋から出すために、都築君とヤるからな♥」


 チンポを剥き出しにした【岩城弘之】は、半裸の【都築】の首に腕を回し、唇をそっと重ねた。【都築】は、トロンとした目つきで彼のキスを受け止める。



「んっ、はぁ……っ、岩城センセ……♥」


 ちゅぱちゅぱと水音を立て、唾液を啜り合う教師二人の姿に、岩城は混乱した。こんな異常な光景が、現実であるはずがない──。彼が頭を抱えていると、いつの間にか隣に都築がやって来ていた。彼は膝立ちになり、目を離せないといった様子で、二人の行為を熱心に見つめている。その股間はすっかりと怒張し、ケツワレはテントを張り、先端は先走りで黒く滲んでいた。




「あのアイテム、本物だったみたいだな、実?」


「ああ、正直眉唾モノだったが信じて良かったな、智久」


 ゆっくりと上体を起こし、二人はニヤリと笑い合った。実が都築の姿で、智久が岩城の姿をした状態で、入れ替わることに成功したのだ。二人とも見た目は教師そのものであるが、中身はしっかりと【矢島智久】と【加藤実】としてのこれまでの記憶を持ち合わせている。入れ替わる前にたっぷりと運動をしていたせいで、二人の肉体へと入れ替わった岩城と都築は、ぐうぐうと鼾をかいて眠りこけていた。


 智久がこの時のために、鞄の中に隠していたアイテム。それは、同じ室内にいる人物と、思い通りに肉体を交換できるという代物だ。その他にも、決められた条件を満たさなければ、室内から出られなくするようにもできるオプション付きである。今回の場合、彼らがその条件に定めたのは、【セックスをしないと出られなくなる】というものであった。



「はぁ……♥ ムチムチした大人の身体、いい感じだな……」


「……お前、ちょっとおっさん臭くないか?」


 ニヤニヤしながら互いに向き合って座ると、二人は互いの股間に手を伸ばし、軽く揉みしだく。学生時代、ラグビー部員だった男と、レスリング部員だった男の肉体。二人が動くたびに、肌の表面からは汗の匂いがムンッと漂い、二人の情欲を誘う。

 【矢島智久】と【加藤実】は、幼少の頃からの親友で、ともに同性愛者だった。二人は互いにゲイであることを明かし合い、愛し合う仲になってはいたものの、実際には二人とも中年男性が好みの対象だった。そして彼らの理想的な相手だったのが、偶然にも岩城と都築の二人であった。



「あぁ……、金玉たまらねぇ……、むずむずする……」


「あっ、はぁ……っ、チンポ触られると、ケツが疼いちまうっ」


 互いの肉体を弄りながら、自然と二人は唇を重ねた。初めは軽いキスだったが、徐々に積極的になっていき、最終的に実は智久の──【岩城弘之】のモノをしゃぶり始めていた。ジュボジュボと音を立て、口淫しつつ舌を動かし奉仕をする。


「ああ゙っ、くぅっ! たまらんっ!!」


 智久は、実の頭部を掴み、喉の奥まで深く突き入れた。興奮しているのだろう、彼は鼻息を荒くして顔を紅潮させている。そんな姿に興奮した実は、吸引を強くしながら自分のイチモツも扱きあげ、絶頂へと上り詰めていった。そして、ついには二人の睾丸がせり上がり、竿の根元がキュンッと疼き出した。


「はぁ、あぁ……っ! イクぞ、都築君っ、イ゛クぅっ!!」


「い、岩城先生……。わ、私もですっ! もうイ゛グッッ!!」


 実が智久の肉棒から口を離して呻くと、二人は同時に白濁液を噴き上げた。玉袋はギュッと縮み上がり、亀頭が大きくプックリと膨れる。その先端からビュルビュルと噴き上がる精液は、互いの顔や身体へと飛び散っていく。二人は快感に身を震わせつつも、相手の出したものを顔で受け止めた。


「「あ……っ♥ あぁ……っ♥♥」」


 身体を激しく仰け反らせ、訪れる射精に酔いしれる。ドクンドクンと脈打つたびに、精巣に溜め込まれた子種が吐き出される快感に襲われる。射精するたびに、自分が自分ではない存在に生まれ変わっていくような感覚を覚える。


「はあぁ……♥」


「なんて……気持ちいいんだ……♥」


 二人は恍惚とした表情で、その快楽に浸っていた。実も智久も射精を終えて脱力するたびに、倦怠感に包まれつつも、心地の良い余韻を感じていた。そんな二人の眼下で、大量の白濁に塗れたペニスがそびえ、塩素の香りに似たイカ臭さを放っている。女性の膣に何度も出入りして、その奥にある卵子を受精させてきた、立派な大人のイチモツだ。淫水焼けし、ズル剥けとなった亀頭はテラテラと光り輝き、ピクピクと震えている。


「岩城先生。私のケツに先生のチンポ、入れてください──」



 実は床の上に仰向けになり、膝を立てた状態で脚を開き、尻を手で左右に引っ張って肛門を露出させた。骨太の指をグリグリと強引に尻の谷間に捻じ込み、その奥にある窄まりを左右に開くと、ピンク色の粘膜に囲まれた、淫靡な穴が顔を出した。


「ああ。任せとけ、都築君……」


 智久はゴクリと唾を飲み込むと、固く勃起したペニスの先端を、露になった肛門へと押し当てた。そしてグッと腰を押し進めると、実のムッチリと肉の詰まった尻の中に、その肉棒がズボズボと入っていく。


「あ……、あぁ……っ♥」


 智久の肉棒が腸内に入って来る感覚に、実はぶるっと身体を震わせた。亀頭の先端が前立腺をかすめた瞬間、その刺激にたまらず声を漏らしてしまう。智久はそんな実の反応を楽しむかのように、ゆっくりと腰を動かしていった。


「どうだ、都築君? 気持ちいいか?」


「あっ、あ゙ぁ……っ、は、はいぃっ♥」


 腰をくねらせて尻穴を締め付けつつ、実は素直に頷いた。腸壁を擦るカリ首がゴリゴリと前立腺を刺激し、そのたびに電流のような快感が走り抜ける。【この肉体】では初めての男とのセックス。三十年以上生きてきて、異性としか性行為を行ってこなかった身体が、同性の【モノ】を捻じ込まれて、自然と笑みが零れるほどに悦んでいる。


「んあぁっ♥ お゛ぅ……っ♥ あゔ、あぁ……ッ!」


 初めてのアナルセックスは快感で満ちていた。腸内を突き上げられるたび、喘ぎ声を漏らせずにはいられない。娘と息子、二人の子を持つ己のケツ穴が、徐々に雄のチンポによって、メリメリと音を立てて広がる感覚。自分の肉体が、同性の体育教師に組み伏せられていくという、倒錯した悦び。それらが入り混じった痺れるような快楽で、脳内が満たされ、気が狂ってしまいそうになる。


「あ゛っ♥ あ゛っ♥ 気持ち……、いぃですッ、岩城先生ッ!」


 筋肉質な太い股の間で、幹のような剛直が実のアナルに何度も抜き差しされている。パンパンと尻タブを打ち付けるような、激しいピストン運動だ。

 他人と肉体を交換したうえでのアナルセックスという、背徳的で倒錯的な快楽に、実の理性は瞬く間に蕩けていく。尻タブを打ち付けられるたびに、ケツの穴がキュンッ、キュンッと疼く。もっと激しく責めて欲しい──。そんな感情が、脳を支配していく。


「はっ! はぁっ! 都築君っ、君のその顔、その体、エロすぎだぞっ!!」


 実の痴態に興奮した智久は、さらに腰の動きを加速させていく。肉がぶつかり合う音とともに、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が室内に響き、結合部分の隙間からは腸液と我慢汁が混ざった粘液が溢れ出している。


「お゛っ♥ あ゛ぅッ、あ゛っ♥ いぃ! チンポッ、ケツの奥深くにゴリゴリ当たってるぅっ! 先生……、岩城先生ッ!!」


 あと数回、前立腺を擦り上げられれば絶頂へと昇り詰める──。そう確信した瞬間、智久は腰の動きを止めて、ズルリと肉棒をアナルから引き抜いてしまった。


(あぁ……っ! どうして……)


 唐突に快楽から切り離された実は、切なげな声を小さく漏らした。割れ目に押し当てられたままとなった智久の亀頭が、ピクピクと脈動しながら尻の穴を刺激する。その中から漏れ出た液体が、アナルと亀頭との間で糸を引いていた。


(岩城先生……、もっとぉ……)


 実が智久にそうねだろうとしたとき、教室の反対側から声が聞こえてきた。


「都築君か……? どうしたんだ?」




「分かってくれたか、矢島? じゃあ、俺はお前たちをこの部屋から出すために、都築君とヤるからな♥」


 他人に見られながらの性行為。それも、かつての自分たちの姿をした生徒──。そんな倒錯的な状況でのセックスに、智久と実の二人の興奮は高まり続けていた。

 奪った肉体を使い、奪ったチンポを勃たせ、奪った睾丸の中で生成された精子を、他人のケツの中に吐き出す。この【入れ替わり】の不思議な力によってもたらされたセックスは、これまでの人生では決して味わえることのなかった興奮と快感を与えてくれる。


 身体が燃えるように熱い──。二人は汗だくになりながら互いを貪り合い、目の前の教え子たちに見せつけるかのように、肉体を擦り付け合う。智久は実の豊満な胸を揉みしだいては、ツンと立ち上がった乳首を舌で舐め回した。


「あ゛っ♥ あぅ……、お゛ぅっ♥」


 二つの乳首からの刺激に、実は全身をビクリと跳ねさせる。


「はぅ、あ゛っ♥ あ゛ぁ……っ」


 実の口から漏れる声は、次第に獣じみたものへとなっていった。ケツの穴がじんじんと疼いてたまらない──。


「お゛ゔぅ……っ♥ もうダメッ! もうガマンできないですぅ、岩城先生ッ!! 先生の、お゛っ、チンポくださいっ!!」


 腸内を掻き毟りたいほどの焦れったさに耐えきれず、我慢の限界を迎えた実。彼は両手で自らの肉厚な土手を掴むと、左右に引っ張って剥き出しになったケツ穴に、【岩城弘之】の亀頭を挿入してくれるよう願った。


「あぁ、分かってるよ、都築君。今から君の可愛いケツマンコに、チンポをぶち込んでやるからな♥」


 智久はニヤリと笑うと、腰を突き出し一気に極限まで硬くなった肉棒を、目の前の男のアナルへと捻じ込んだ。ヌブブッという音とともに、肉壁を押し分けて竿が腸内に入ってくる感覚に実の口からくぐもった悲鳴が漏れ、全身をブルブルと震わせる。


「お゛っ♥ あ゛ぁ……っ♥」


 腸壁がミチミチと押し広げられていく感覚に、実の全身がビクビクと痙攣する。快楽に染まりきった脳内は、もはや何も考えられなくなっていた。ただただ絶頂へと昇り詰めたいという欲望だけが身体を支配している。そんな彼の腸内に亀頭を強引にねじ込むと、智久はぐりぐりと腰を動かし、腸内の襞をカリ首で引っ掻きながら自らも絶頂へと向かっていった。


「イクぞ、都築君っ!! しっかり種付けしてやるからなっ!!」


 智久はバリトンの野太い声で叫びながら、腰を激しく振り始めた。グチュグチュと水気を帯びた音。かつての自分たちの姿をした生徒たちの視線。そのすべてが興奮を高める材料になる。

 【岩城弘之】の睾丸ではドクドクと新鮮な精子が作られ、【都築勝】の肉体へと注ぎ込もうと尿道を駆け昇っていく。その感覚に身を委ねた実にも、絶頂の時は訪れた──。


「君のマンコは最高だッ!! 都築君……っ♥ イクぞぉおおおぉっ!!」


「お゛っ♥ あ゛ぁっ、私も! ああぁあッ♥♥ イクッ、イグぅううううぅううっ!!」


 ガタイの良い雄二人の咆哮じみた声とともに、大量の精液が飛散し、実の腸内を白く染め上げた。


「あ゛っ♥ あ゛ぁ……ッ! 熱ぃいッ♥♥♥」


 ケツの中で、ドクドクと脈打つ肉棒が精を吐き出すたびに、その熱さが体の芯に伝わってくる。絶頂に喘ぐ実の頭の中は、真っ白になってしまうほどの心地好い快楽に支配された。そしてそのたびに、この肉体の所有権が自分のものになったのだという確信が心を満たしていく。

 おそらくそれは、智久も同じなのだろう。彼もまた恍惚とした表情で、【都築勝】の腸内に己の子種を存分に注ぎ込み終えると、ニヤリと笑みを浮かべた。


「はぁ……、はぁ……っ♥」


 絶頂の余韻に浸りながら、智久がゆっくりと腰を引いていった。ヌポォという音とともに肉棒が引き抜かれると、ケツ穴からは濃い粘液が流れ出し、二人の固く締まった大腿を伝って床へと落ちていく。


「ふぅ……っ、最高だったぞ、都築君……♥」


 すっかり満足しきった顔でそう告げると、彼は立ち上がり、衣服に身を包み始めた。一方の実もまたその隣に立つと、シャツに袖を通し、ぐちょぐちょに濡れたチンポなどおかまいなしといった様子でケツワレを履き、ジャージに足を通していく。

 衣服を身に纏った二人。異変が起こる前と、まるで同じ格好だ。彼らが身なりを整えたのを合図に、これまでビクともしなかった教室の扉が、音を立てて開いた。


「よし、じゃあ二人で外に出るとするか……、都築君♥」


「そうですね、岩城先生♥ 矢島に加藤。お前たちも、早くセックスして出てこいよ。恋人同士なんだし、いつもやってることだから簡単だろ? なあ?」


「……ま、待て、矢島! 加藤ッ!!」


 教室の外へと足を踏み出す二人。その背中を追おうとしたが間に合わず、智久と実の目の前で扉は閉まってしまった。


「くっ、くそ……っ! 開かんっ!! あいつら、俺たちの身体でここから外に出て、何をするつもりなんだ……?」


 再び固く閉じた扉。【生徒の姿】で教室に取り残された教師二人は、怒りと同時に、焦りを覚えていた。自分たちの姿をした生徒たちが、自分たちの知らないところで何をしでかすか分からない──。岩城と都築は目を合わせると、互いの肉体へと視線を向けた。


「矢島……、加藤……。あいつらに好き勝手させるわけにはいかん。わかるよな都築君、俺たちも外に出よう。そのためには──」


 岩城の言葉に、都築もまた強く頷いた。そして互いの唇を重ね合わせるようにして、互いの舌を絡ませていく。


「「んっ♥ くちゅっ♥ ふぅ……っ♥」」


 これは教室から出るために、仕方なくやっていること──。


 そう自分に言い聞かせながら、互いの唾液を交換し合う。妻帯者になってからは、妻としか行為をしていない二人。これまでの人生でも、異性としか性行為を行ってこなかった二人にとって、同性との口づけは気味の悪いものになるはずだった。

 だが──。なぜかその嫌悪感が湧いてこない。それどころか、甘酸っぱい感覚が口腔内に広がるにつれて、股間のモノが力強く勃起していく。腸壁を熱い肉棒で擦り上げて欲しいと思わせるような、甘ったるい快感に包まれながら、二人は口づけを続けたままズボンと下着を脱ぎ放っていった。


「はぁ、都築君……っ♥」


 岩城の手が、都築の股の間に伸びていく。指が触れた瞬間ビクッと腰を跳ねさせつつも、彼はそれを拒みはしなかった。


「岩城センセ……、早くハメてくださいっ♥」


 【加藤実】のアナルがヒクヒクと蠢き、腸液を垂らしながら物欲しそうに口を開いている。それを目にした瞬間、岩城の心は【矢島智久】の肉体と同調したかのように、下半身から込み上げる激しい欲望に支配されてしまった。


「あぁ……っ、実っ! オレのチンポ、【いつもみたいに】ブチ込んでやるゾッ!!」


 【矢島智久】の猛り狂った肉棒が、音を立てて【加藤実】のアナルに突き立てられる。その瞬間、実の肉体が快楽に跳ねた。


「お゛っ♥ お゛ぉお……ッ!! あ゛ぅ……っ! イィッ、ケツマンコすげぇイイよっ、智久ァ♥♥」


 都築の口から【加藤実】の品のない嬌声が溢れ出る。ゾクゾクと背筋を駆け上がっていく快感に、彼は激しく全身を痙攣させた。


「あっ♥ あ゛ぁ……ッ! もっとぉ……っ♥」


 腸壁をゴリゴリと抉られる感覚に、彼のペニスがぶるんっと大きく揺れる。それはまるで別の生き物のように脈動し、透明な雫をトロトロと滴らせている。もはや、ほんの少し前まで自分たちが教師だったこと、かつての生徒たちの肉体でセックスをしていることなど、頭の中から消え去りつつある。今はただ、アナルで得られる快楽に酔いしれたい──。都築は腰を揺すりながら腸壁をうねらせ、それに応えるかのように、岩城も勢いよく腰を動かし始めた。


「お゛っ♥ あひっぃいッ♥ あぐぅううぅっ!激しぃいっ! 智久ッ! ケツマンコがぁ、ぶっ壊れちまぅよぉおおぉっ!」


 都築のアナルからは、グチュッグポッという淫らな音が鳴り響く。そのリズムに合わせるように、岩城も腰を振り続けた。


「んい゛ぃっ♥ お゛っ♥ あ゛っ♥ 精子出ちまうよぉ、実ぅううっ、イクぞぉおおぉおっ!!」


「あ゛っ♥ あ゛ぁ……っ! イッてくれ、智久ぁっ! オレも、ケツ穴掘られてイクぅううぅうっ♥♥」


 性欲旺盛な元野球部の硬くなった竿が、ひときわ大きく震えあがると、真っ白な精液が亀頭から勢いよく飛び出した。膨れ上がった肉棒はビクビクと痙攣を繰り返し、片や男の尻の穴に溢れ返らんばかりのザーメンを注ぎ込み、もう一方は床に溜まりを作るほど盛大に濃い子種を撒き散らし続けた。


「「はぁ……、はぁ……っ♥♥」」


 互いに射精を終え、二人はぐったりと床へと倒れ込んだ。都築はケツから溢れるザーメンの感覚にうっとりとした表情を浮かべ、岩城はピンク色の若いチンポから垂れる新鮮な精子の白さを眺めながら笑みを浮かべた。そして、条件を満たしたことで教室の扉が自動的に開かれた。


「ふぅ……、これで出られるな……【実】♥」


「おう、【智久】。なんで教室でセックスしてたのか分からねえけど、オレの家でもう一発ヤろうぜ。明日は休みだしな♥」


 己の欲望のままに盛り合った二人は学生服に身を包むと、揃って教室の外へと足を踏み出した。セックスをしたことで肉体に馴染んでしまった彼ら二人の心は、【矢島智久】と【加藤実】の意識で完全に上書きされてしまっていたのだった。



***


「フンッフンッ! どうだ矢島、加藤! 先生たちのチンポの味は?!」


 校庭ではいまだ生徒たちが部活動に勤しむ中、体育教官室では岩城と智久、都築と実が身体を重ね合っていた。


「あ゛っ♥ お゛ぁっ♥ 最高っす! 気持ちいいッ! 岩城先生のチンポ大好きぃいっ!」


「あ゛ぁっ、あぁ……ッ♥ 気持ちいいです、都築先生っ!!」


 床の上で四つん這いになった智久のアナルに、岩城は激しく剛直を打ち付け、ソファーの上では、実と都築が互いの肉棒をしゃぶり合っていた。


「ははっ、いいぞぉ! 二人ともっ、先生たちのチンポは美味いかぁ!?」


 体格に恵まれた男たち四人の汗と体液の匂いが、体育教官室中に充満している。


「あ゛っ♥ あ゛あぁああッ♥ 先生のザーメン……ケツマンコに中出しされてイクぅううううぅうううぅううっ♥♥」


 腸内に広がる熱に、智久は背筋を反らし絶叫する。岩城はほくそ笑むと、智久のアナルの奥の奥まで肉棒を捻じ込み、己の欲望を盛大にぶちまけた。


「あぁ……っ♥ 先生ぇ……っ♥」


 岩城に犯された智久は恍惚とした表情を浮かべながら、床にドクドクと己の精液を撒き散らす。実もまた都築と同時に射精を迎え、互いの口内に雄のエキスをたっぷりと含んだザーメンを注ぎ込んだ。


「気持ち良かったか、二人とも? それじゃあ、次は教室で他の先生や生徒たちも交えて、乱交パーティーと洒落込むとしようか。なあ、都築君?」


 かつての自身の精液を摂取して恍惚としている生徒二人を横目に、岩城と都築の体育教師二人は、再び他者との肉体交換を目論み、次の計画を練り始めた。


(了)



以下、差分イラストです













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Comments

黒竜Leo

悪巧み成功って感じ! 二人の先生の記憶が上書きされたのはたぶん装置の効果かな? 乱交パーティーになれそうな流れ、このまま違う人と何回入れ替えになったら矢島と加藤が自分をどんどんコピーして同じ人格のカップルが増やしていくでしょうね! 楽しそう!

ムチユキ

コメントありがとうございます! 都合の良いことは、たいていアイテムのせいです 😎👍