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 暦は九月。暑さも遠のくかと思われるなか、この夏は異例ずくめな猛暑だったこともあってか、未だに夏の気配は残りながらも、秋晴れと呼ぶに相応しい星空が頭上に広がっている。夜が更けているにもかかわらず、気温は二十五度を超えており、コンビニ前の木に群がったセミは、日中と勘違いしてミンミンと大合唱を奏でている。


「あ~、うっせえなあ……」


 コンビニの入り口の前で、ヤンキー座りをしてタバコを燻らせていた男が、独り言ちた。見た目は三十歳後半くらいだろうか。長身で筋肉質な体格をしており、アロハシャツから伸びた一升瓶のように太い腕には、血管が浮かび上がっている。坊主頭に無精髭、眉間に寄った深いシワ。その不機嫌そうに見える顔つきと、袖口からチラリと顔を覗かせるタトゥーが相まって、近寄り難い印象を与える男だ。


 彼──、阿久津新吾(あくつしんご)がここ、コンビニの前に居るのは、買い物が主な目的というわけではない。彼の住まいはすぐ近くのマンションなのだが、現在そこで共に暮らしている妻が妊娠中なのである。そのため、ニコチン中毒である彼は、時折散歩を口実に家から出掛けては、コンビニへ立ち寄って煙草を購入し、こうして外で喫煙しながら時間を潰すようにしているのだ。


(……つーかアイツらまだ帰ってきてねえのかよ……。こんな時間まで、いったいどこほっつき歩いてやがるんだ?)


 普段なら地元の友人たちが、すでに仕事を終えてこの場所でたむろし、お互いの家族の愚痴を肴にして飲んでいたりするのだが、今日は彼らの姿がない。


(……チッ)


 思わず舌打ちが出た。新吾も妻が嫌いだというわけではない。だが妊娠してからというものの、何かにつけて文句を言われるようになったことに、苛立っているところもあった。特に酒に関してはしつこく言われるようになり、飲み会の誘いは全て断るようにしている。

 だからコンビニの前での気のおけない仲間との、だべり合いながらのささやかな一杯が、彼にとって唯一の楽しみになっていた。それが今宵はなく、また一人でこの場に佇んでいるのが酷く退屈で、どこか虚しさを感じ始めていた。


(クソッタレが……。あの野郎ども、このまま来なかったらただじゃおかねぇぞ……!)


 内心でぼやきながら、一箱目最後の煙草を取り出した時だった。


 ふと顔を上げると、遠く離れた場所でこちらの方を向いた男が居るのに気が付いた。暗がりのため顔はよく見えないが、おそらく大学生くらいの若い男だ。その男が、自分の方へ向かって歩き出して来たため、何となくそちらを見遣ると、向こうもまた新吾を見ていたようで、視線が合う形となる。しかも目を逸らすことなく近づいてくるものだから、嫌でも意識してしまう。だが相手はなんとも人の良さそうな顔をしており、まるで知り合いであるかの如く馴れ馴れしく、「こんばんは」と声をかけてきた。


「お、おう。こんばんは……?」


 予想外の展開に面食らいつつも、知り合いの誰かだったかなと思い、つい挨拶を返してしまった新吾だったが、やはりまったく見覚えのない男だった。なんだか気味の悪い、その若者の相手をしてはいけないと彼は本能的に思い至って、目をそらして口を噤んだ。だが、若者はまるで観察するようにフラフラと彼の周りをうろつくばかりで、その場から離れようとしない。


「おい、いったいなんなんだテメェは……? 俺に何か文句でもあんのか?」


「いえ、むしろ文句の付けようがないくらいですよ」


「ハァ? そりゃどういう意味……」


 イライラとしてつい口を開いた新吾は、相手の発言の意図が掴めず首を傾げた。そんな彼の質問には答えず、若者──、月島礼次(つきしまれいじ)は人当たりの良さそうな顔を歪めて、ぼそりと呟いた。


「一時停止……」


 瞬間、周辺の全ての音が止んだ。あれほどけたたましく鳴いていたセミの声も、道路を走る車の音も、木々のざわめきさえも。

 一瞬にしてすべてが静寂に包まれた世界の中で、体を動かしているのは唯一、礼次だけだった。



「あなたの身体がエロ過ぎて、本当に文句の付け所がないって言ったんですよ」


 時間が止まった世界で、礼次は微動だにしない新吾の汗ばんだ頬を、愛おしそうに舐めた。


「それじゃあ、御開帳~」


 彼はどこからか取り出した断ち切りバサミで、新吾の身に着けた服とズボンをジョキジョキと切断すると、その下に履いていたパンツまでも切り裂いた。股間を守るのはすでに陰毛だけという状態になると、今度はその剛直を指先で弄ぶようになぞり、躊躇いもなく口に含んだ。口内の蕩けるような温かさと舌のザラついた感触の心地好さに、新吾の肉体は快感に襲われたのか、その巨体をぶるりと震わせた。


(ああ、やっぱり……!!なんて男臭くて美味いチンポなんだ……♥)


 蒸れた新吾の股間は、むせ返るような雄の匂いで覆われている。日々、肉体労働に明け暮れているせいもあるが、妻が妊娠してから射精の回数が減っているのもその一因だった。当の新吾は気付いてはいないが、オナニーの回数すら減ってしまった彼の玉袋の中は、常に大量の子種で溢れかえっており、性的な妄想を軽くした程度でも、下着の中が先走りで汚れるほどである。


 そんな哀れなチンポを夢中でしゃぶり続ける礼次に対し、新吾の表情はピクリとも動かない。それも当然のことである。時間が停止していて、彼の意識も止まっているのだから。ただ不思議なことにこの時間が停止した世界で、礼次の認めた肉体だけには感覚が宿っており、触れられると反応を示すのだ。それは新吾の身体も例外ではなかった。

 イチモツを口に含まれれば、もちろん彼の肉体は感じてしまうし、乳首に触れられるとツンと立ち上がって存在を主張してしまう。意識のないまま身震いをすると、彼の肌にはジワリと汗が浮き始めた。その様は、まさしく興奮状態といった様子で、新吾の身体は無意識のまま、ゆっくりと腰を前後に動かし始めていた。


 礼次はその様子を見遣ると満足気に笑い、いったん肉棒から口を離すと、自分のベルトに手を掛けた。カチャカチャと音をさせてベルトを外した彼は、すでにギンギンにそそり立った己の分身を引っ張り出すと、全裸の新吾の背後に回り、やにわにその大きな背中に抱きついた。汗をかいた肌は互いに吸い付くようで、たまらなく心地好い。


「あぁ……汗臭い♥ すごい男の匂い……♥ それにこの背中。筋肉ムキムキで広くて、まさに子持ちのパパの背中って感じだぁ♥♥」


 礼次は彼の熱を感じながら、勃起して先が濡れた自分のイチモツの先端を、新吾のアナルの周りに擦り付ける。片手ではむっちりと分厚い胸を揉みしだき、もう一方の手で新吾の硬く引き締まった太腿の内側を擦っていく。快感が全身を伝わっているのか、新吾の口からは甘い吐息が漏れ始め、顔は紅潮している。オナニーもろくにしていないので、相当溜まっているのだろう。彼の人並み以上に太い竿は、血管を浮き上がらせて怒張し、その先からは透明な液体がとろとろと溢れ出している。


 やがて、礼次は自らのペニスを新吾の大きな尻の谷間に挟むようにして押し付け、そのままゆっくりと前後に動きながら、同時に新吾の男根を握り締めてシコシコと扱き始めた。礼次の動きに合わせて彼の下半身も揺れ、それがまるで挿入しているかのように錯覚させる。

 新吾の方はというと、意識がないせいで快楽の逃がし場所がないのか、ビクビクと体を跳ねさせているが、その瞳に光が戻る気配はない。それでも彼の肉体は確実に反応を示しており、玉袋の中の子種は出口を求めてせり上がり始めていた。


 礼次はそれを見届けると亀頭部分を手で覆い、尿道口を親指の腹で刺激してやる。するとすぐに大量の白濁液が噴き出し、新吾の巨体が小刻みな痙攣とともに震えた。粘っこい精液が、ぼたぼたとコンクリートに零れ落ちる。


 しかし礼次はそのまま手を止めず、射精直後の敏感になった彼の亀頭を執拗に責め続けた。

 新吾の肉体が再び激しく悶え、全身から汗が噴出してくるが、礼次はお構いなしである。追い打ちをかけるように、彼の尻穴の中に指を突き入れていく。中をかき混ぜ解していくと、腸壁越しに伝わる新吾の心臓の鼓動を感じる。

 本来であれば、これまで排泄以外で使用したことのない肛門は、侵入を拒むはずである。だが、時の止まった世界で意識を遮断された肉体は、礼次に抗うことができず、従順になってしまう。新吾の硬く窄まっていた処女穴は、あっという間に三本の指を受け入れるようになり、それどころか自ら収縮するようにまでなっていった。


 その様子に礼次は指を引き抜くと、すぐさま自分のモノを一気に突き入れた。十分に柔らかくなっていたこともあって、彼の男根はどんどん奥へと進み、ついには根元まで飲み込まれてしまった。新吾の肉体はそれを受けて一瞬だけブルリと大きく震えたが、やはり表情には一切の反応も見せない。しかし内部は熱く脈打っているようで、彼の肉体が興奮しているのは明らかだった。礼次が腰を前後に動かすと、案の定肉体の方はしっかりと反応を示し、新吾の体内の肉壁は礼次のイチモツに絡みつくように締め付けてくる。


「あはぁ♥ 最高ですよ、お兄さん! さっきはあんなに僕のことを睨みつけていたのに、男のチンポをこんなに欲しがるなんて。なんていやらしいんだ!! あなたって人は!!」


 礼次はこぼれんばかりの笑みを浮かべると、よりいっそう激しく腰を振り始めた。新吾の身体は弄ばれるように前後に揺れるばかりで、されるがままになっている。ただ、礼次の言葉どおりその肉体は淫らに悦んでいるのか、イチモツからは再び透明な汁を垂らすようになっていた。

 それに気付くと、礼次はその太くなった竿を手で包み込み、上下に扱きながら自分の腰の動きとシンクロさせて刺激を与え続けてやる。新吾の肉棒の根元がドクンドクンと波打つ。また絶頂を迎えようとしているようだ。


「【出すのはもう少し我慢してくださいね】」


 礼次がぼそりと呟いて優しく撫でると、脈打っていた新吾のイチモツがビクリと大きく震え、凍ったように固まった。意識と同様、彼が射精できないようにイチモツの時間を止めたのだ。これで新吾の肉体は何度果てようとしても、礼次が許しを与えるまでは終わりのない快楽に襲われることになる。礼次はほくそ笑むと、ラストスパートをかけていく。

 やがてその勢いに耐え切れなくなったのか、新吾の身体が大きく跳ねたかと思うと、全身がガクンガクンと痙攣し始め、同時に尻の穴が今までで一番強く締め付けられた。


──どびゅっ! ビュクビュクッ、びゅるるるるーーッ!!!


 限界を迎えた礼次の剛直から熱い精液が大量に放たれ、新吾の中にドクドクと注ぎ込まれていく。彼は硬直した新吾の広い背中に身を預けて余韻を楽しんでいたが、しばらくすると満足したのか、ズルリと自身の竿を抜き取った。

 新吾の体内でも精子が続々と生産され続けているが、出口が通行止めのため、それを溜め込む精巣は一回り近く大きくなっている。それでも新吾自身は相変わらず無表情なままだった。


 だがそれに反し、肉体は絶頂寸前といった様子で、彼は顔を真っ赤にして全身に血管を浮かび上がらせ、中途半端に開いた口からは先ほどよりも激しい吐息が漏れている。

 股間では未だ勃起したままの雄茎がパンパンに膨らみ、今にも破裂してしまいそうだ。そんな光景を見て、礼次のイチモツは元気を取り戻し、再び新吾の肉体を貪りたいと暴れ始めた。


「お兄さん……もっと欲しいんですか? こんなヤクザみたいに厳つい顔と体してるのに、ケツマンコにチンポ入れられて喜ぶなんて、本当に変態な肉体ですね♥」


 礼次は白い歯をこぼすと、ザーメンを垂れ流しながらパクパクと動くアナルに、もう一度挿入してやった。今度は最初から激しく腰を動かし始める。結合部からはブチュブチュと卑猥な水音が響き渡り、新吾の巨体は小刻みに震えて反応を示している。


「あぁ♥ やっぱり良いですねぇ。この締まり具合と、僕のチンポを愛して離さないように吸い付いてくる感じ!最高ですよぉ!!」


 その言葉どおり、先ほどまで男のチンポの味など知らなかった新吾のアナルは、礼次の男根を完全に受け入れており、ピストンされる度に中へ引きずり込もうとしてくる。腸壁が肉竿を擦ってくる感触は極上で、それがよりいっそう礼次の興奮を高めていく。


「お兄さんのケツ穴、もうすっかり僕専用の雌マンコになりましたね。ほら、こんな風に!」


 そう言って一度引き抜くと、亀頭ギリギリまで腰を引き、そこから一気に奥へと突き入れる。同時に前立腺を強く刺激された新吾の身体は激しく反り返り、白目を剥いたままガクガクと肩を震わせる。礼次はその反応を楽しむように何度か繰り返した後、再び入り口付近まで引いてから同じように攻め立てる。


「お兄さんも気持ち良いんですよね!? チンポ、ビクビクさせて喜んでますもんね!! あ~、出るっ! 出ちゃいますよ!! 【僕の遺伝子、吸収してくださいね】」


──ぶびゅるるっ! どぴゅぅっ!! ビュービューーッ!!!


 大量の精液が、再び子持ち親父の直腸内に放たれる。それは一度目とは比にならないほどの量だった。新吾の体内に勢いよく注ぎ込まれたザーメンは、彼の腹の中を逆流し、全身に行き渡っていく。全身の筋肉を収縮させながら、新吾はまるで陸に打ち揚げられた魚のように跳ね上がった。


 竿の根元まで彼のアナルの中に挿入して子種を注ぎ込んだ礼次は、新吾と同じように身を震わせていたが、やがてその穴から萎えたイチモツをゆっくりと引き抜いた。

 驚いたことに、出てきた彼のペニスはあれほど射精したにもかかわらずザーメンでは汚れておらず、綺麗なものだった。そしてそれは、二度に渡って犯された新吾の菊門も同じであった。引き抜いた後も変わらず、雄のペニスを求めるように収縮はしてはいるが、精液は一滴も残っておらず、まるで何事もなかったかのように、アナルの周りは汚れていない。射精前に礼次が言ったように、中に出された精液をその体内に全て吸収したかのようだった。


「ふふ……ちゃんと飲んでくれたみたいですね♥ じゃあ次は、僕があなたの出したモノを飲む番です」


 そう言うなり礼次は新吾の背後から離れ、地面に這いつくばると、目の前で脈打っている大きなイチモツを両手で掴んだ。その凶暴な竿はすでに一度射精済みだが、まだまだ出し足りないといったふうに太く猛々しく屹立している。ただでさえ精力絶倫な彼の睾丸は、礼次によって前立腺を何度も激しく突かれたために、今にも破裂しそうなほどに張り詰めている。礼次はそれを優しく撫でると舌を伸ばし、イチモツの先端から垂れ流されていた先走りを味わうようにして舐め取った。イカ臭い粘液が舌に触れると同時に、その濃密な匂いが鼻腔を突き抜け、脳天にまで昇ってきそうになるのを感じる。しかし彼はそれに怯むことなく、むしろそれを求めて、躊躇なく匂いの元となる巨大な肉棒を口に含んでいった。カリ首や尿道口を丹念に掃除するようにして舌を這わせていくと、鈴口から先ほどよりもさらに濃厚な汁がトロトロと漏れ出して、礼次の喉奥へと流れ込んでいく。


「んくっ……美味しいぃ……。あはぁ、どんどん溢れてきますよぉ♥ もっとください、もっとお兄さんのDNAを……♥ 【もう、いつでも出して大丈夫ですよ】」


 彼はその味わいに酔い痴れながらも、手は休まずに奉仕を続けた。時折亀頭を甘噛みしたり、強く吸ったりと変化をつけながら。また、空いた手で竿を握って擦り上げたりと、緩急をつけて快楽を与え続ける。だがそれでもまだ物足りなかったのか、今度はそれを思い切り吸い上げ始めた。ジュルルという下品な音が辺りに響き渡るとともに、礼次の端正だった顔は歪み、だらしない表情へと変貌する。

 激しさはドンドンと増していき、ついには喉奥まで飲み込み、猛烈なピストンを繰り返す。その強烈な刺激に、新吾の身体はもはや耐えられなかった。礼次の言葉によって止まった時間から解放された新吾の肉棒は、次の瞬間、体外へと勢いよく精をぶち撒けた。


──びゅるびゅるびゅる!! どぶどぷぅ……!! ビュッビュルル、ビューーー!!!


「ンぶっ! んぼぉぉ! んぐ、ごきゅ……」


 ビクビクと痙攣する新吾のイチモツに、礼次の喉奥が蹂躙される。彼は洪水のごとく口内に放たれた特濃ザーメンを、喉を鳴らしながら、まるで極上の甘露でも飲むかのような調子で、すべて胃に収めてしまった。


「げぇっぷ……。これで条件は整いました。時間停止中に、二人の精液を互いに摂取し合う。今日からお兄さんの身体は僕のモノだ……」


 その言葉を合図に二人の全身が強い光で覆われ、礼次を覆っていた光は新吾の肉体へ、そして新吾を覆っていた光は礼次の元へと移動し、交換された光が互いの肉体を包み込んだ。やがてその光が消えた時、これまで動きを止められていた新吾が、ため息を吐いて肩を震わせた。どうやら意識を取り戻したらしい。代わりに、ただ一人動くことのできた礼次が、石のように固まってしまった。

 その姿を見た新吾は相好を崩すと、精液を垂れ流しながらヒクついている自身の太竿をうっとりと見つめた。


「ん゛ん~~♥ 乗っ取り完了っと♥ 既婚ノンケ親父のドスケベ黒チンポ、エロッ♥ 扱き甲斐がありそうじゃねぇか。たまんねぇぜ♥」



 新吾は舌なめずりをしながら、その巨大な男根を握り締めた。ただそれだけで、勃起した股間のモノはより硬さを増してしまう。


「んお゛っ♥ すげえ♥ 握っただけでビクビクしてるじゃねえか……♥ 俺に乗っ取られたのがよっぽど嬉しいみたいだな、この身体は?」


 現在、阿久津新吾の肉体を操作しているのは、月島礼次である。彼には時間を停止する以外に、もう一つ能力があった。それは任意の相手と肉体を入れ替えること。その条件は時間停止中に、交換したい相手と精液を互いに摂取し合うことである。そしてその条件は先ほど達成され、彼らの肉体は入れ替わってしまったのだった。


 月島礼次──、新たに阿久津新吾へと成り変わった男は、硬くなった己の肉棒を、地面に横たわったかつての自分の口に擦り付けた。竿からはすぐに大量の先走りが分泌されて、礼次の口周りはベトベトとした湿り気を帯びる。

 興奮するのも仕方がない。なにせ待望のガチムチ男の肉体を手に入れることができた上に、目の前には望まぬ肉体へと魂を閉じ込められてしまった哀れな男がいるのだから。


「悪いな兄ちゃん、おっと……もうテメエは月島だな。んおぉ゛ぉ!! 来た来たっ! 俺のじゃない記憶が……頭ン中に溢れてくる……。俺様の脳味噌が蕩けちまうぅぅっ♥♥」


 阿久津新吾の肉体を奪った彼の脳内に、新吾が経験してきた人生のすべての記憶が、せきを切ったように流れ込んでくる。これまで渡り歩いてきた男たちの記憶に、阿久津新吾の記憶が加わり、月島礼次の性格や癖や話し方に至るすべてが、阿久津新吾のモノで上書きされていく──。

 他人の記憶で脳内をぐちゃぐちゃにかき混ぜられる感覚は、肉体を犯されるときの快感に似ている。唇から涎を垂らしながら、その快楽の波に浸っていた彼は、余韻までたっぷりと堪能し終えると、厳つい顔を崩して笑みを漏らした。


「……へへ、これで阿久津新吾としての記憶ももうバッチリだぜ。今日はまだ、風呂に入ってなかったんだな。どうりでチンポが臭うわけだぜ。どうだ月島? その身体は今まで俺が使ってたせいで、相当の男好きになってるはずだ。さっきまで自分のモンだった雄臭ぇチンポも良い匂いに感じるだろ?」


 新吾は動きを止めたままで何の返答もしない礼次の口腔内に、いきり立った肉棒をゆっくりと挿入していく。喉の奥まで押し込んでも、当然、礼次の肉体は一切抵抗する様子を見せない。それどころか自ら迎え入れるように大きく喉を開くと、飲み込んだ肉棒を強く締め付ける。

 喉全体が陰茎を優しく包み込む、ねっとりとした粘膜の感覚が心地好い。新吾のアナルに挿入した時にも負けないかもしれない。そしてそのアナルが今は自分のモノになったのだと気付いて、彼は興奮してしまう。

 新吾はほくそ笑むと、そのまま激しく腰を動かし始めた。玉袋が顎にぶつかって音を鳴らす度に、柔らかな口内で亀頭を刺激され、彼は身を震わせる。


──ズポッ! ジュプッジュプッ! ヌチャア……!!


「んほぉぉ♥ 喉奥マンコ気持ち良いぃ!最高だぜ!!」


 新吾の口からは、自然と下品な声が漏れてしまう。彼は月島礼次の肉体だけでなく、これまでに数え切れないほど、他人と自分の肉体を入れ替えてきた。だがその度に、肉体に蓄積された快感に対する耐性は、リセットされてしまっていた。そのため今も新吾の肉体でイラマチオをする感覚は新鮮で、彼に圧倒的な高揚感を与えてくれる。

 おまけにさっきまで自身のモノだったチンポを、本人にしゃぶらせることで嗜虐心がこみ上げてきて仕方がない。新吾は乱暴に礼次の後頭部を掴むとさらに奥まで突き入れた。


「ふぅ……♥ やっぱこのチンポも身体も、サイコーだ♥ こんなドスケベボディの持ち主になれて良かったぜ♥ んお゛ぉ、イ゛きそっ♥♥」


 新吾はどっしりとした逞しい下半身をガクガクと震わせたが、空撃ちするだけで、肉棒の先から精液が放たれることはなかった。彼は、新しく己のモノになったチンポの時間を、再び止めていたのだ。


「出してえのに出ない感覚ってやつは気持ち悪いが、なかなか癖になるぜ♥ んぁあ、イっぎそうなのにぃ♥ はあっ、早く出してぇ♥」


 彼は何度も何度も礼次の口内に精液を放ったつもりで、腰を振り続ける。頭の中は興奮や快感や幸福感で溢れ返り、彼の鶏卵サイズの玉の中は続々と産み出される濃厚な子種で満たされていく。あまりにも多いその量の重みで、だらしなく垂れ下がる玉袋。それを見た新吾は、苦悶の表情を浮かべながらも口角を上げると、ようやく礼次の口から怒張した竿を引き抜いた。


「それじゃあそろそろ、ケツマンコの方でイかせてもらうとするか♥」


 わざわざ自身のイチモツの時間を停止させ、最大限まで射精感を高めていたのは、この時のためだった。肉体を入れ替えて最初の射精は、元の自分のアナルの中ですると、彼は毎回決めているのだ。

 新吾は膝立ちになっているかつての自分の両足を抱えると、M字開脚の姿勢を取らせ、ヒクついている尻穴を見つめた。雄のチンポを幾度も受け入れ、使い込まれて黒ずんだ穴。その縦に割れた肛門の周りを囲う襞は、肉厚でぷっくりと膨らんでいる。その淫靡な雄穴を目にして、彼は思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。


「使い込んだおかげで、極上のマンコに仕上がっちまってるな♥ さっきまで自分のケツの穴だったってのに、めちゃくちゃエロく感じるぜ♥」


 新吾は自らの指を口に含みたっぷりと唾液をつけると、まず一本だけ差し入れた。礼次の身体がビクンと跳ねる。しかし彼はそれを無視するかのように一気に根元まで押し込む。そしてゆっくり引き抜いてやると、腸壁は逃すまいとキュウゥッと指を締め付けてくる。新吾はその動きに合わせて何度も抜き挿しを繰り返していった。


 スムーズに出し入れができるようになると二本目を挿入する。同じようにして三本、四本と増やしていき、最終的には拳が入るほどまでに拡張してしまった。ズボズボと卑猥な音を出しながら前立腺を刺激してやると、礼次のチンポがブルンブルンと揺れ動き、先端から透明な我慢汁を撒き散らし始める。ガチムチ野郎が肉体を入れ替えられて、身体を好き放題に弄られる様は、いつ見ても興奮するし愉快なものだ、と新吾は思った。


「さてと……それじゃあ、いただくとするか♥」


 自分の勃起しきった肉棒の先端をあてがい、狙いを定める。新吾は、雄チンポを待ち望んでヒクヒクと痙攣する襞に亀頭を押し付けると、その中へゆっくりと自分のモノになったイチモツを埋め込んでいった。ヌプヌプという湿った音が聞こえ、カリ首が腸壁を掻き分け進んでいくのを感じる。彼にとって数え切れないほど行ってきた男とのセックス。だが【阿久津新吾】にとっては、男のケツ穴に己のイチモツを挿入するのは初めての出来事だ。女性とでさえアナルセックスの経験はなかったため、その筋肉で締め付けられる感覚に、全身の毛が逆立つような衝撃を受ける。同時に言いようのない快楽が押し寄せ、一瞬で射精してしまいそうなくらいの昂りを感じてしまう。


「うおおぉ♥ なんだこれ……♥♥ この身体でのケツマンセックス、最高すぎだろぉ♥♥」


 これまで数多くの人間の身体を使用してきたが、これほどの充足感を得たことがあっただろうか。

 新吾は声を震わせ、腰を打ち付けるようにして奥まで肉棒を突き刺すと、そのままピストンを開始した。【阿久津新吾の肉体】がこれまでに経験したことのない性的興奮が、彼を襲う。柔らかくもしっかりとした締まり、体温が伝わる温かい内腔、その穴の中は包み込まれるような安心感に満ちていた。


「あぁっ♥♥ はぁん♥ たまんねえぇぇえ♥ 気ィ抜いたらイっちまいそうだ♥」


 腰を振る度に彼の肥大した玉袋は揺れ、中に入っている濃厚な子種の大群が暴れまわっている。新吾はその重みを感じながら、ラストスパートをかけていく。礼次の尻穴からは激しい肉同士がぶつかり合う音と、粘り気のある腸液の音が漏れ出し、辺りに響き渡っている。彼はその勢いのままに、最大限にまで勃起した肉棒を最深部へと叩きつけた。


「出すぞぉっ♥ さっきまでテメエのモンだったザーメンだっ、受け取れぇッッ!!!!」


 襲い来る絶頂の波に身を委ね、新吾は大量の精液をかつての自分の体内へと発射した。玉からせり上がってきた熱い精子が、前立腺と精嚢で作られた分泌液と混ざり合い、射精管を激しく駆け上がってくる。ビクンビクンと震える陰茎の中を猛スピードで駆け抜けると、それは礼次の直腸内に容赦なく注がれていった。


 新吾は礼次の尻を抱え込むようにしながら体重をかけて押し込むと、最後の一滴まで絞り出した。あまりの量の多さに、収まりきらなかった白い粘液が、ぶぴゅっと下品な音を立てて噴出してくる。そうして床に飛び散ったゼリーのように濃厚なザーメンは、地面に大きな水溜りを作った。


「はあっ……♥ はあっ……♥」


 肩で息をしながら、満足気にため息を吐く新吾。だが彼はここで終わらない。通常なら賢者タイムに入るだろうが、それらを感じる自身の器官を停止させているため、一度果てても萎える様子はなく、彼のイチモツは硬くそそり立ったままである。


「まだまだこんなもんじゃないぜェ……!もっと気持ち良くさせてもらうからな♥」


 そう言って礼次の顔を乱暴に掴むと、彼の唇に吸い付いた。舌を差し込み、唾液を流し込む。互いの舌と唾液と粘膜を混ぜ合わせながら行うディープキス。恍惚として脳が蕩けそうになるほどの口付けを交わしながら、股間で雄々しくそびえたままの二本のデカマラを擦り合わせる。

 下半身はすでに汗と精液に塗れ、ヌルヌルになった二つのチンポは硬い筋肉の間に挟まれ、揉みくちゃになって絡まり続けている。膨張した竿がぶつかり合い、亀頭がぶつかる度に鈴口から溢れる先走り汁を絡め取り、淫猥な糸を引いている。

 新吾は大きな両の掌でその二つの肉棒を握り締めると、ぐちゅぐちゅと水音を立てながら兜合わせで扱き始めた。


「俺らの今のチンポと昔のチンポ、一緒に扱いてイッちまおうぜ♥ ほぉら♥ どうだぁ? 気持ち良いだろ、月島♥♥」


 新吾が両手を動かして刺激を与える度、二本の男根がビクビクと脈打ち、先端の穴がパクパクと開閉する。溢れ出る我慢汁によって泡立てられ、白く濁ったカウパー塗れの男の象徴は、非常に煽情的で淫靡である。

 意識のない礼次の顔も無表情ながら、新吾同様だらしなく弛緩しきっており、半開きとなった口からはヨダレが流れ出ている。そしてついに限界を迎えたのか、二人が身体を大きく仰け反らせたのと同時に、股間から白濁としたマグマが噴火の如く吹き上がった。

 勢いよく飛び出した二人の欲望の証は、互いの筋肉質な肉体に向かってビュウビュウと飛び散った。胸元から腹筋にかけて真っ白に二人の身体を染め上げ、コーティングしていく光景はあまりにも官能的であった。


「うおおぉっ♥ すげぇ量だぜ……♥」


 彼の言葉通り二人の精液量は凄まじく、足元には先ほどよりも大きな水溜りができている。新吾は自分の分厚い胸にぶち撒けられたザーメンを掬い取ると、射精後の余韻に浸りながら、それを自身の肉体に塗りたくっていった。乳首や腋などの敏感な部分を重点的に指先でなぞりながら、ヌルヌルとした生暖かい感触をしばらくの間楽しんだ彼は、満足したのか立ち上がり、時間が止まった時に新吾がしゃがんでいた位置へと戻った。


「それじゃあ、時間を戻すか……」


 その彼の呟きとともに、全身から噴き出した汗が汗腺を通って体内へと戻り、体に塗りたくられた精液や地面に落ちて広がった大量の精液が、ジュブブと音を立てて二人の肉棒の中へと飛び込み、精巣へと回帰していく。その快感は凄まじく、二人は身悶えしながら喘ぎ声を上げた。


 精液がすべて体内へと収まると、意識のないままの礼次は下着とズボンを履いて身なりを整え、時間が止まった時に立っていた場所へと戻って動きを止めてしまった。その光景を見ていた新吾のもとへ、切り裂いて辺りに散らばっていた衣服の残骸が集まり、全身に貼り付いていく。下着が、ズボンが、アロハシャツがパズルのピースを埋めたようにピッタリとくっつくと、まるで切り裂かれたのが嘘のことだったかのように元の状態へと戻った。


「これで、何もかも元通りだ。俺たちの体が入れ替わった以外はな……♥ んじゃ、一時停止解除っと!」


 世界の時間が動き出し、セミのけたたましい鳴き声が辺りに響き渡り始めた。コンビニの中からはBGMが聴こえてくる。そして新吾の目の前には、呆然と立ち尽くす礼次がいた。


「何だテメェ……? 俺に何か文句でもあんのか?」


 新吾は時間停止前に【彼】に言われた言葉を、一言一句そのまま返した。


「ハッ? えっ? なんで俺が……、あれ? 僕はいったい……」


 肉体が突然交換されたことで、まだ魂と肉体が上手く馴染んでおらず、違和感を覚えているのだろう。礼次は戸惑った様子で、自身の体と新吾の体を見回している。その慌てふためいた表情を見て、愉快そうに笑う新吾。


「へへ……どうしたんだ兄ちゃん、暑さで頭がまいっちまってんのか?」


 新吾は立ち上がると、礼次の肩に手を回して膨らんだ股間を、彼の尻に擦り付けた。


「なぁなぁ。俺のコレ、今お前のケツに当たってるの分かるかァ……♥ 実はさっきまで俺のチンポとお前のチンポで、兜合わせってヤツをしててよォ……♥ めちゃくちゃ気持ち良かったぜェ……なんてな♥♥」


 耳元で生温かい息遣いを感じながら囁かれるその言葉に、思わず顔を赤らめる礼次。当然、時間が止まっていた時の記憶は、彼には残っていない。しかし、下半身は覚えているのか正直に反応してしまい、新しく彼のモノになった股間のペニスがムクムクとズボンを押し上げる。


「なんだよ、このガチガチになってるのは♥ さっきからずっと俺のこと見てたのも、これが原因だったわけか。それならそうと早く言ってくれればよかったのになぁ。せっかくだし二人で一緒にスッキリしちまおうぜ♥♥」


 新吾は礼次の返事を待たずに、近くの公園のトイレへと連れ込むと、彼の体に密着するように抱きついた。


「へっへっへっ♥ ほれ、もっと擦り付けろよ♥ そしたらチンポ同士がくっついて気持ち良くなれるぞ♥♥」


 ズボン越しにペニスの先端を擦られ、礼次はピクリと身体を震わせた。そんな彼の反応を楽しむかのように、新吾は手慣れた動作でズボンを脱がしていく。あっという間に下着が降ろされ、礼次の剥き出しの肉棒が姿を現した。


「ハア……♥ もう我慢できねぇッ!!」


 新吾は躊躇することなく二つのイチモツを大きな掌で握り締めると、上下に激しく扱き始めた。その衝撃的な刺激に、礼次はたまらず喘ぎ声を上げる。


「んぐぅぅっ!? ちょ、ちょっと待って、そんないきなり……」


「いいから、黙ってチンポ勃起させとけッ♥ すぐ天国に連れて行ってやるからよォ!!」


 無骨な新吾の手が激しく上下する度に、礼次の口からは喘ぎ声が漏れ続ける。亀頭からは先走り汁が滲み出て、二人の肉棒を淫らに濡らしている。


「おほっ♥ 良い具合に濡れてきたじゃねーか!」


 上機嫌になった新吾は、空いた手を礼次の後ろに回し、肛門を刺激し始めた。指先で優しくなぞるような動きで愛撫を続けると、礼次はたまらないといった様子で体をくねらせる。


「うあぁ……♥ イ、イク……!」


「俺もだ……!! オラッ、一緒にイこうぜ……! ウオオォォ―――ッ!!!」


 徐々に昂っていく快楽に耐え切れず、二人は同時に果てた。大量の精液が二人の腹や胸、そして顔までも汚して白く染め上げていく。礼次は荒い呼吸を繰り返しながら、快感の余韻に浸っている。もはや抱いていた違和感は消え去り、脳味噌に宿っていたガチムチ野郎好きの性欲に支配された彼は、以前の自分の肉体に向かって尻を突き出していた。


「くく……、嫁さん孕ませた俺のザーメン、お前にもたっぷり種付けしてやるからな♥」


 肉体を奪い取った男は、目の前にあるかつての自分のアナルに、興奮で最大限にまで膨張したイチモツをゆっくりと挿入していく。


(ありがとよ、お兄さん。こんなマッチョボディくれた上に、ケツまで味わわせてくれて♥ この体、大切に使わせてもらうからな──)


(了)



以下、文字無しの差分イラストです






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