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「おい、また新人が来るらしいぜ」

「何だ、またかよ。今回は早いな」

ここは、とある地方都市『Mシティ』。


武器の所持が、法律で保障されている某大国。

各人の身の安全を鑑みた法律は、治安の悪化という結果を招いた。


治安の悪化は、凶悪犯罪の増加に繋がり。

中央政府は、大都市に集中して取り締まりを強化。


それは、大都市と地方都市で更なる格差を生むことになる。


大都市では、数えられる程度の死亡者で済むよう、厳しく取り締まり。

その一方で、大都市から離れた地方都市は、犯罪治外法権と化していた。


「今回は、どのぐらい保つよ?」

「おう、どうせなら賭けようぜ」

中年の警察官たちは、日常的に“賭け”を行っていた。


一般的なギャンブルも嗜むのだが、今回はそうではない。

赴任したての新人警官が、“何日、生きて居られるか”を賭けようと言うのだ。


「俺は、七日間に10ドル」

「じゃあ、俺はサマラに因んで十三日間に20ドルだ」

「呪いまでの日数って、七日じゃなかったっけか」

警官たちは、ケーブルテレビで観たホラー映画に準(なぞ)えた予想を立てたりしている。


「あのぉ」

受付用の窓口に、ぬぅっ・・・と“大きな影”が現れた。

しかし、警官たちは賭けに興じているのか、気付く気配が無い。


「あのぉ~っ」

「あぁんっ? 何だぁ、うるせぇな。今日は店じま・・・」

受付に近い座席の男が漸(ようや)く気付いたのか、顔を向ける。


「・・・いぃっ!?」

男は、余りにも“大きな”訪問者に度肝を抜かれる。


「お、お前、何モンだ」

「何者・・・って、失礼ですね。今日、来るって通達あった筈ですけど」

やや生意気とも取れる口調で、訪問者はそう伝えた。


「で、でけぇ・・・」

「お前さん、何フィートあるんだ」

比喩ではなく、天井に頭が付きそうなぐらいの長身。


「え、調書に書いてなかったですか?」

「まさか“この調書”、マジだったのかよ」

男たちは、改めて手元の『身体調書』を見遣った。


「身長9フィートに体重900ポンドなんて、誰が信じるかよ」

※以降、全てセンチ表記


「初めまして、『マーガレット・マイルス』です」

大きな胸元を揺らして、『マギー』は敬礼した。


「お、俺はアレックスだ」

スキンヘッドの筋肉男が、アレックス。


「こっちは、ブライアン。そっちは、クラークだ」

口髭のビール腹の男が、ブライアン。アフロヘアのノッポ男が、クラーク。


この悪徳警官三人組を、『ABCトリオ』と呼ぶ者も居る。


「てっきり、意趣返しで嘘を書きやがったのかと思いきや・・・」

本来であれば、身体調書にスリーサイズなど不要なのだが。

新人警官が女性だと知った、この三人の仕込みだったのだ。


「制服の仕立てに必要だと思ったので、ちゃんと書きましたよ」

マギーは、確かに男たちと同じ黒一色の制服を着用していた。


「・・・っ」

アレックスは改めて、マギーの全身を見る。

つい、生唾を飲み込んでしまう。


半袖シャツから伸びる、肉付きの良い二の腕。

トップバスト160cmの『Mカップ』爆乳。

そして、146cmという信じられないサイズの巨尻。


ボディバランスだけで言えば、『プレイメイト』でも充分に通用するレベル。


「緊急通報!」

その時、オペレータが緊急通報をキャッチしていた。


「ギャング同士の抗争が発生。銃撃があり、多数の死傷者が出ている模様」

「だと、さ」

オペレータの報告を受け、アレックスが両手を挙げて“やれやれ”のポーズ。


貴重な午後の駄弁りタイムを邪魔されたからか。

それとも、新人の赴任初日からいきなりの事件発生に対する不運さを嘆いて、か。


「この分だと、“賭け”は不成立か」

ブライアンが、未だに受付口に立つマギーを見て、そう言った。


「初日に賭けとくんだったか」

クラークも、それに同意するかのような発言。


「皆さん、何の話をしてます?」

「お前さんの新人研修の機会が来た、って話さ」


「おい、新人。とっとと装備を整えて、行くぞ」

「装備、ですか? 私は“これ”で、大丈夫です」

『ABCトリオ』は、改めてマギーの全身を見遣る。


セミロングの金髪に、ソバカスがやや残った可愛らしい顔立ち。

制服を着ていなければ、純朴な田舎娘で通るだろう。


しかし、身に纏っているのは、漆黒の警察官服。

ひとたび、通報で現着すれば、凶悪犯罪と相対しなければならない。


「“これ”でって、お前・・・」

「私、武器携帯は“許可されていない”ので」

『Mシティ』では、一般人ですら自己防衛の観点で武器携帯が合法。

にも関わらず、一般人を取り締まる側の警官が武器所持を不許可だというのだ。


「何だ、お前さん。何かヤラかして、警官に流れて来た口か?」

「悪いことは言わねぇ。見逃してやるから、銃なり警棒なり持って行きな」

『ABCトリオ』は何も、新人に死んで欲しい訳ではない。

賭けの件を抜きにしても、猛獣が蠢くサバンナに手ブラで向かわせるのは気が引けるのだ。


「いえ、お構いなく。大丈夫なので」

「・・・こういう時、先輩の言う事は聞いとくもんだがな」

ブライアンは折角の忠告を、と吐き捨てた。


「本人が良いって言うんなら、仕方ねぇ。行くぞ」

幾ら悪徳警官と言えど、緊急出動前にゴタゴタすべきではないという自覚はあった。


「お前さん、そういやパトカーに乗れるのか?」

その辺のチンピラよりは確実に体格の良い『ABCトリオ』が見上げる程の、巨女。

身体調書のスリーサイズ等々の真偽は兎も角として、身長だけは記載通りの275cm。


「車は乗れないので、移動は専ら“これ”です」

それは所謂、ハーレー系列と思われる大型バイクだった。


しかも、一般的な大型バイクより一回りも二回りも大きい。

タイヤなんて、大型重機のそれ。


「あ、『許可』は取ってあるので、お構いなく」

そう言って、マギーは世紀末を舞台にした警官映画に出て来そうなバイクに跨った。


「・・・まあ、良い。行くぞ」

『ABCトリオ』は黒塗りのパトカーに。マギーはバイクに乗り、現場に急行した。



「こりゃ、酷ぇ」

街の中心部から外れた、郊外にある倉庫街。

既に、何人かのギャング構成員と思われる男たちの身体が横たわっていた。


未だに、バンッバンッ!と銃撃戦の音も聞こえて来る。


「おい! 警察だ! 銃撃戦をやめろ」

「うるせぇっ! サツ如きが出しゃばるんじゃねぇっ」

障害物代わりに身を寄せたドラム缶に、チュインッと銃弾が跳弾した。


「くそっ、どうするよ」

「チンピラ同士の撃ち合いかと思いきや、“アイツ等の抗争”じゃねぇか」

『Mシティ』を根城にしているマフィアは大きく分けて、二勢力。

大陸系の『Sファミリー』と、地中海系の『Lファミリー』。


元々、『Mシティ』を縄張りとしていた古参の『Sファミリー』に対し。

地中海から流れて来た、新興勢力の『Lファミリー』。


警察側は、ベテランとはいえ悪徳警官三人プラス、新人警官一人。

対して、銃撃戦をしているのは総勢、十数人に及ぶと想定される。


「応援、呼ぶか」

「ああ、俺たちだけじゃ・・・」

クラークが無線を手を掛けた、その瞬間。


「私が行きますよ」

マギーが三人の後ろで立ち上がり、胸をドンッと張った。

『Mカップ』爆乳が、ぶるんっと揺れる。


「おい、新人! 立ち上がるなっ」

遮蔽板代わりのドラム缶は、だいたい高さが90cm程度。

男三人、必死に屈まないと身を隠せない。


「どのみち、“そんなの”じゃ私の身体は隠せないので」

確かに、その通りだった。


スッと立ったマギーは、片脚の長さだけでドラム缶より上回る。

つまりは、股下の高さがドラム缶より高いのだ。


「図体がデカいだけで、どうにかなるような相手じゃねぇぞ」

「ああ。恐らくアイツ等は、マフィアの構成員だ」

ギャングとマフィアという一般名詞に、明確な定義の差は無い、が。

『Mシティ』警察署には、一定の基準があった。


ギャングとは、若者が一定数集まって、徒党を組んだモノ。

マフィアは、組織化された武装犯罪集団。


「マフィア・・・ですか。それは、良かった♪」

「・・・え」

これまで、やや物言いが生意気とはいえ、真面目だったマギーが。

妖しい・・・いや、艶めかしい笑みを浮かべた。


「15分経って、状況が変わらなかったら応援を呼んで下さい」

「何を、言って・・・」

マギーはツカツカと・・・いや、巨体をズンズンッと揺らしながら、“現場”に躍り出た。


「あ、巻き込んだら嫌なので、絶対に出て来ないで下さいね」

「巻き込む・・・?」

その言いっぷりはまるで、自分一人で事態を収拾する、と言っているかのよう。


「“カラテ”とか、何かのマーシャルアーツでもやってんのか」

東洋の拳法家、もしくはそれに準ずる何かの達人・・・だったりするんだろうか。


「いや、調書にそんなこと、何処にも・・・」

現に、マギーが歩く後ろ姿から、達人特有の身のこなしのようなモノは感じない。


「はぁい♪」

マギーは、撃ち合うマフィア構成員と思われる片方の陣営に、無造作に声を掛けた。


「あの、馬鹿っ! 死ぬ気か!?」

手持ちの武器もなく、まして格闘技の技術がある訳でもない。

武装した犯罪者に対し、余りにも無手。策なし。


「あぁんっ!? 何だ、このアマァッ」

バンバンバンッと、呼吸するかのようにマフィアの男はマギー目掛けて銃弾を放った。


「ほれ、言わんこっちゃない・・・ん?」

「あん、あん、あん♪」

その大きな胴体に、数発の銃弾。


普通、そんなものを喰らえば痛がる余裕もなく、その場に崩れ落ちる。

銃で撃たれて痛がるのはむしろ、マフィア映画ならでは演出なのだ。


「あぁん。良い、シ・ゲ・キ♪」

「アイツ、もしかして善がってやがる・・・のか?」

マギーの反応は、ベッドで股を突いた女のそれ、だった。

少なくとも、身体に銃弾を喰らって起きる反応ではない。


「お礼、するわね」

「何だ、コイツ・・・うぉわっ!?」

マギーは、その大きな手を男の顔面に置くと、そのまま持ち上げた。


「は、放せっ」

男も決して小さくはないのだが、275cmのマギーに持ち上げられると、1m近く浮いてしまう。


「おい、何を遊んで・・・何だ、このデカ女!?」

マフィア同士の抗争で撃ち合いをしていたら、いきなり横に巨女が現れたのだ。

しかも、その巨女は仲間の男の頭を鷲掴みにして、片手で持ち上げている。


「“返す”ね」

「何を言っ・・・うぎゃあ!!」

それは、一瞬の出来事だった。

マギーは、右手一本で持った男をそのまま、近くに居た男の頭目掛けて振り下ろした。


ドグシャッ!!


男二人が、頭同士をぶつける形で、“ドッキング”。

そんな生易しい表現とは裏腹に、辺り一面に男二人分の血と肉が飛び散っていた。


「う、うわあぁぁぁっ!」

近くに居た他の男は、突然起こったスプラッタシーンにドガガガガッと半狂乱の銃撃。


「あん。あぁん、ああぁんっ♪」

しかし、嬌声を上げる女の身体からは、ビスッビスッビスッという乾いた音があるのみ、だった。


「アナタは、そう・・・ねぇ。“お尻”で良いかな」

「何をする、つも・・・りぃっ!?」

マギーはその場でジャンプすると、男の身体目掛けてお尻から飛び込んだ。


額面通りなら、体重409kgもの超高重量なマギーの身体。

小型の自動車ほどもあるマギーが、その身ごと人間一人に圧し掛かれば、どうなるか。


ドグチャッ!!と、男の身体は極限まで平べったく潰れ、地面に血の華を咲かせた。


「おい、あれ・・・」

「あ、ああ・・・」

「何、してんだ・・・?」

『ABCトリオ』は新人警官の・・・いや、マギーという巨女の一挙手一投足を見ていた。


マギーが“何かをする”度に、マフィア構成員の銃撃が減って行く。

正確には、マフィア構成員が一人、また一人と減って行っているのだ。


「・・・? はぁい、先輩たち。そこで、ちゃんと隠れてて下さいね」

マギーは『ABCトリオ』の視線に気付いたのか、大きな背中をクルッと翻した。


「「「・・・っ!!?」」」

その両腕には、銃を手に持ったままの男が“数人”、抱き抱(かか)えられていた。


「下手に出て来ちゃったりするとぉ・・・」

目視出来るだけで右腕に二人、左腕にも二人。

その四人に隠れて見え難いが、胸元に埋まる形でもう一人、居る。


メキ、メキッ。


少なくとも計五人の男を抱えながら、マギーは涼しい顔をしている。


パキッ、パキャッ。


「“こう”、なっちゃいますよ」

バキバキバキッ、バギャアッ!!


ベアハッグ・・・いや、グリズリーハッグ、とでも言おうか。

熊並みか、それ以上に大きな巨女に抱き締められた男たちは、全身から“音を奏で”。


断末魔の表情になりながら、二つ折りになった。


「何だぁ? もう、終わりか?」

古参の『Sファミリー』からの銃撃が止み。

それを勝利と勘違いしたのか、新参側の『Lファミリー』が出て来た。


「はぁい♪」

いつの間に移動したのか、マギーは既にもう一方の陣営の前に居た。


「っ!? 何だ、お前」

黒い警官服に身を包んだ金髪ソバカスの巨女が、いきなり目の前に現れたのだ。

しかも、その黒い制服には、付いたばかりと思われる大きな“染み”が、幾つも。


「私、“地元”で『Big.M』って呼ばれてたの」

「あぁ!? 何を言ってる。お前みたいなデカ女に用は無ぇ」

男は容赦なく、不用意に近付いたマギーに銃弾を放った。


「あんっ、痛ぁい」

至近距離で銃弾を喰らったにも関わらず、またしてもマギーは善がるのみだった。


「何だ、コイツ・・・」

男が放った銃弾は確かに、マギーの胴体に命中した。

現に、マギーの制服には幾つもの弾痕と思われる孔(あな)がある。


「身体が頑丈過ぎて、子供の頃からまともに痛みを感じたことが無くて」

「だったら、俺が味合わせてやるよっ」

男は、懐からナイフを取り出し、マギーの土手っ腹目掛けて突き刺した。


ガッ。


「・・・!? 何で、刺さらねぇ・・・」

男のナイフは、マギーのお腹の皮膚一枚を刺した程度で止まっていた。


「今の刺激、良い感じだったわ。もう、我慢出来なさそう・・・」

マギーは、お腹にナイフが刺さったままの状態で、身体に力を籠め始める。


ググ、グググ・・・


「な、何が起こって・・・」

男は最初、目の錯覚かと思った。

目の前の巨女が、その身体の輪郭が徐々に、大きくなって行くのだ。


ムク、ムクムク・・・


「んぅ、あ・・・」

マギーが嬌声を上げる度にモコ、モココッと身体が肥大化して行く。


「う、うっそ、だろ・・・」

「あ、あぁんっ」

モリ、モリリッ・・・ミシ、ミシミシッ。


嬌声の感覚が狭まるに連れて、マギーの制服も悲鳴を上げ始める。


「う、うわぁ・・・ああぁぁぁっんっっっ!!」

モゴモゴモゴッ、ビリッ・・・ビリリッ。


ピシュンッ、ピシュピシュンッ!


「うぎゃあっ」

ナイフを持っていた男は、もんどり打って倒れ込んだ。


「何だ、あれ・・・」

アレックスはドラム缶の物陰で、そう呟いていた。


超高身長で体格が良いとしても、ボディバランスで言えば200kg超が関の山。

身長275cmという数値は兎も角としても、体重409kgは何かの間違いだと思っていた。


「アイツは、ホウレン草か何かでも食ったのか・・・」

続いて、ブライアンが呟く。


如何な悪徳警官三人組でも、『質量保存の法則』ぐらいは知っている。

“身長が高いだけ”のプレイメイトなマギーが、自分たち三人より重い・・・筈が無い。


「ポパ・・・いや、超人ハルクか・・・」

クラークは、子供の頃に読んだコミックヒーローの名前を思い出した。


艶めかしかった項(うなじ)は、扇形に盛り上がる僧帽筋によって埋め尽くされ。

背中は超特大サイズのピザのように、広大な広背筋が広がり。


肩の三角筋はいつの間にか、バスケットボール程の大きさにまで膨れ上がり。


元々、太かったとはいえ女性らしい肉付きだった上腕は、二頭筋と三頭筋が共に肥大化。

二の腕の前後にバスケットボールが付いたかのようで、アレックスの胸板より分厚い。


その一つ一つがそれこそバスケットボールより大きなお尻、大殿筋がボンッと突き出し。

そこから伸びる太腿は、大理石の柱を連想される超極太の大腿四頭筋を備えていた。


「どう? パンプアップした私の身体は」

『モストマスキュラー』や、『ダブルバイセップス』。

いわゆる、ボディビルにおける筋肉を強調するポーズの数々。


マギーは、その大きな全身の筋肉を惜しげも無く晒け出している。

マギーが身に纏っていた制服はあちこちが吹き飛び、既にボロボロだった。


「・・・あら?」

マギーにナイフを突き立てていた男は、目の前で大の字になり事切れていた。

全身にはいつ喰らったのか、多数の銃弾の痕があった。


「う、っそだろ・・・」

近くに居た別の男は、その一部始終を見ていた。


マギーがこれまで喰らった銃弾は全て、その皮膚の下にある筋肉で止まり。

その身に詰め込まれていた筋肉が肥大化することで、発射されたのだ。


「おい、逃げるぞ」

「いや、しかし俺たち『Lファミリー』が舐められたままじゃ・・・うぎゃ」

その場に留まろうとした男は、その望み通り、マギーの大きな手で一掴みされ。

マフィアとしてのプライドに殉じる形で、その頭をグシャッと潰された。


「お前、やっぱり『ビッグマム』・・・」

「あら。それを知ってるってことは、やっぱり・・・」

旧知の仲、とまでは行かなくとも、二人は初対面では無いようだった。


「『Dシティ』にあった俺らの支部は、お前一人に・・・」

「何処かで見たと思ったら、幹部さんじゃない」


「お前みたいなイカれたデカ女、相手してたら幾ら命があっても・・・」

男は、知っていた。


マギーが何故、『M』と呼ばれているのか。


名前の、イニシャル。

全身を埋め尽くす筋肉の、マッスル。

痛みを求める被虐性の、マゾヒスト。


そして、その被虐性の裏返しとも言える嗜虐衝動としての、マーダー。


「俺らみたいなマフィアを『的』に掛けていると、いつか手痛い・・・」

「・・・痛み? むしろ、望む所よ♪」

両肩を掴まれ、宙空に浮かされ、男は身動きが取れなくなり。


「う、ぎ、い・・・ぃ・・・」

メキ、メキョッ・・・


メギメギメギ・・・グシャッ!


男は両肩を圧縮される形で、上半身を潰され死んだ。


「お前、“これ”はやり過ぎなんじゃ・・・」

死屍累々。人の形を留めていない躯も多い。


「え、何がですか?」

ビリビリに破けた制服の下、極太で特大の筋肉には赤い返り血が大量。


「私たちは、『マフィア同士の抗争を両者全滅にて事態収拾した』・・・ですよね?」

「あ、ああ・・・」

どう考えても、銃撃戦では出来ないような死体の山。

それを見て尚、ベテラン警官の『ABCトリオ』は、新人警官のマギーに従う他、無かったのだった。

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Comments

okita

更新お疲れ様です。 子供の頃から痛みを感じた事がないとの事で、警官になる以前もとても気になりますね。 大きな身体を使ってのヒップドロップ最高です。

デアカルテ

感想ありがとうございます。 裏設定はあるので、何処かで機会があれば書いてみたいと思っています。