MGガール03「小6:発育」 (Pixiv Fanbox)
Content
「健ちゃん、遊ぼー」
「・・・うん」
玄関のドアを開けると、真理奈ちゃんが立っていた。
「どしたの」
「あ、いや・・・」
僕の声に覇気がないのか、真理奈ちゃんが心配そうに覗き込む。
「ううん、何でもないよ」
僕は特に、体調が悪い訳でも、気分が優れない訳でもなかった。
ただちょっと、“気圧された”だけ、だった。
「真理奈ちゃん。背、伸びた?」
「うん」
久し振りに間近で見る、真理奈ちゃん。
小学六年生になり、クラス分けで別クラスになったこともあって。
僕は僕でクラスの男子と、真理奈ちゃんは同じクラスの女子と。
それぞれの交友関係で遊ぶ機会が増えた。
それでも、真理奈ちゃんは偶に、こうやって遊びに来てくれるんだけど。
「この前の測定で、『155cm』になったよ♪」
右手でブイッ、と誇らしげに『Vサイン』。
「そう、なんだ」
僕の身長は、150cm。真理奈ちゃんの方が、5cmほど高い。
今の時代、小学生でもスマホで簡単に全国平均を調べることが出来る。
僕はキッカリ、男子の平均身長の値。
一方の真理奈ちゃんは、中学一年生の平均値ぐらい。
十代前半の頃は第二次性徴の兼ね合いもあって、やや女子の方が成長が早い。
小学校高学年ぐらいだと、女子の方が体格が良い、なんてのは良くある話。
少し、間が空いたせいもあったんだろうか。
真理奈ちゃんは、以前よりも“大きく”見えた。
「ちょっと、健ちゃん。何か、元気ない・・・よっ」
「え、ちょ・・・」
僕の部屋に入るなり、真理奈ちゃんに後ろから抱き付かれた。
「コチョコチョ」
「ちょ、やめ・・・」
擽(くすぐ)り攻撃。良くある、じゃれ合い。
「・・・っ!?」
今までにも、こうやって密着する事は無かった訳じゃない。
だけど、背中に当たる“膨らみ”は今まで味わった事がないような感覚だった。
「真理奈ちゃん、やめ・・・」
あれ? 何で。
「ちょ、真理・・・」
僕は、真理奈ちゃんの腕を振り解き、体勢を立て直そうと、した。
背中に抱き付く形になっている真理奈ちゃんに正対し、擽(くすぐ)り返す。
「ちょ、や、やめっ・・・」
しかし、僕は何故か、反撃が出来なかった。
背中に当たる感触に浸りたかった、訳ではない。そんな余裕は、無かった。
「コチョコチョー」
「何、で・・・」
僕は両手で、真理奈ちゃんの両腕を抑え、解こうとする。
しかし、真理奈ちゃんは“ビクともしない”のだ。
「あれー。健ちゃん、何で無抵抗なの。なら・・・」
「え、嘘。え・・・」
真理奈ちゃんは僕を、背後から羽交い締めにして。何と、持ち上げた。
「ちょ、え? は、放して」
ドタドタッ、と僕は浮かされたまま、自室まで強制連行。
「えーいっ」
「うぉあっ」
ドーンッと、僕は自分のベッドに放り投げられた。
「健ちゃん。ご飯、ちゃんと食べてるの」
「はぁ、はぁっ」
僕はやっと解放されたものの、肩で息をして直ぐに動けない。
一方の真理奈ちゃんは、ケロッとしている。
「た、食べてるよ」
そう、答えるのがやっとだった。
ウチの家庭に、育児放棄や児童虐待の事実は、全く無い。
僕の体重は特別、軽い訳ではない。ご飯も毎日、ちゃんと食べてる。
この前の測定結果で、41kg。小学六年生としては、これもまた平均値。
「真理奈ちゃん。体重、どのぐらいあるの?」
「・・・・・っ」
真理奈ちゃんは、ハッとした顔をした。
真理奈ちゃんはてっきり、僕の体重が軽いのだと思ったらしい。
聞かれて初めて、自分の体重を思い浮かべたんだろう。
「・・・・・60kg」
「・・・え?」
凄く小声だけど、真理奈ちゃんはちゃんと答えてくれた。
そして、僕はちゃんと聞こえた上で、疑問符が声で出てしまう。
小六 男子 女子 真理奈
身長 151cm 150cm 155cm
体重 41kg 42kg 60kg
纏めると、こんな感じなんだろうか。
男子と女子の数値は、あくまで平均値。
勿論、痩せてたり肥満だったり、個人差はある。
「・・・・・」
僕は改めて、真理奈ちゃんを見る。
セミロングの黒髪をポニーテールに纏め、Tシャツと短パン。
軽装だけど、凄く可愛らしい。小学六年生女子らしい、出で立ち。
「・・・・」
気になるポイント、と言えば。
僕の背中に押し付けられていた、胸の膨らみ。
短パンからモモッとハミ出る、ムチッとした太腿。
成長途上なのか腰の括れは小さいものの、均整の取れた身体付き。
少なくとも、女子の平均体重より20kg近く重いようには見えない。
「何か、視線が嫌らしい」
155cmという身長は、ほぼ成人女子の平均値と変わらない。
胸元や太腿のボリュームなんて、大人と大差ない。
「あ、ごめん・・・」
“見た目だけ”なら、ちょっと発育の良い小学生。
そんな真理奈ちゃん、なんだけど・・・。
「・・・・・」
僕は、そこはかとない、何かを感じていた。
これは、僕がまだ、小学生だから考えが及ばないのだろう、と思った。
しかし、そうではない事に、直ぐに気付くことになる。