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「健ちゃん、久し振りぃ♪」

「いや、合格発表の時に会ったじゃん」

紅世宅訪問という意味では、確かに久し振りなんだけど。


僕と真理奈は受験勉強の甲斐もあって。

無事、志望校への合格を果たした。


といっても、偏差値的には中の中。

通学距離がちょっと遠くなっただけの、地元の公立高校なんだけど。


「・・・・・」

「ん。健ちゃん、どしたの?」

僕は、数ヶ月振りに見る“薄着の真理奈”を見て、足が止まる。


受験シーズンの冬を越えて、やっと訪れた春休み。

高校生活を控えつつも、まだまだ肌寒い時期。


「あ、いや・・・」

毎度のこと・・・とは思いたくないけど。

僕はつい、真理奈の身体に圧倒される。


ここ数ヶ月、真理奈の身体は何処か“モコモコ”していると思っていた。

ここ数年の、真理奈の“成長度合い”は勿論、わかってはいる。


だけど日々、身体が膨らんでいるかのような、そんな違和感。


ただ、冬場は脂肪が付き易い、っていうのを何処かで聞いたこともあって。

真理奈の筋肉量で脂肪が付くとそうなる、ぐらいに思っていた。


「真理奈、“ブラ”してる?」

真理奈の胸は相変わらず、少し前まで中学生だったとは思えないような。

そんな、少女らしからぬ大きさを誇っている。


「んーん、してない」

やっぱり。胸元の二つの“点”は、そういうことだ。


しかし、良いんだろうか・・・。


幾ら、気心の知れた幼馴染とはいえ。

僕たちは思春期真っ只中の男女、の筈なんだけど。


「なぁ、真理奈。大きくなった?」

「・・・・・。せ、背は伸びてないよっ」

真理奈は、不思議な言い回しをした。


「太っ・・・」

僕は“大きくなった”としか聞いてないのに、わざわざ“身長”で返すってことは・・・。


「太ってない! 幾ら健ちゃんでも、怒るよ」

「ご、ごめん・・・」

真理奈の迫力に、僕は平謝り。


「・・・あ、こっちこそごめん。折角、来て貰ったのに」

真理奈も言い過ぎたと思ったのか、シュンとしてしまう。


「“背は”、変わってないんだよね?」

僕は、真理奈の全身を見て、そう問い掛けた。


「うん、伸びてないよ」

だと、すれば。


ノーブラってことは、真理奈の上半身はTシャツ一枚。

それなのに、肩から腕、そして胸の大きさまで。明らかに一回りは大きい。


「胸は、『Gカップ』になったよ。凄いでしょ♪」

そう言って、真理奈は胸を張って胸元を誇示する。

砲丸かと見紛うような大きなおっぱいが、ブルンッと揺れた。


「じゃあ、トップは?」

「・・・・・115」

・・・え、トップバストが『115cm』!?

そう驚きの声を上げそうになるのを、何とか堪える。


「ブラは今、ちょうど合うのが無くて・・・」

アンダーバストが『90cm』の『Gカップ』なんて、まともなブラジャーが無いらしく。

『90cm』の胸板なんて、大人の男より逞しい。


「今着てるシャツは、前のまま?」

「うん、そう」

ってことは、『4XL』か。


「それ、腕・・・曲げられるの?」

「無理、かな・・・はは」

半年前の夏休み時点では、かなり余裕のあった『4XL』のTシャツ。

それが今や、あちこちがパツパツになっている。


「じゃあ、僕を呼んだのって・・・」

「うん、また測って欲しくて」

高校入学に差し当たり、制服購入の為に身体サイズを測ろうってことらしい。


仕立て屋さんとかで測って貰うのがもし、嫌なのだとすれば。

冷静に考えれば、真理奈のご両親に頼めば、事足りる。


そこで僕を指名するってことは、つまり。

真理奈も、筋肉的な意味でまた大きくなった自覚があるって訳で。


「・・・ふ、あ」

「あ、真理奈。それ・・・」

真理奈は前日に夜更かしでもしていたのか、欠伸が出そうになる。


「ふあぁぁ」

「・・・あ」

真理奈が“伸び”をしたことで、上半身に力が入り。


ビリッ、ビリビリッ!


「あ、あ~あ・・・」

両腕を曲げた瞬間、力瘤がモゴォッと盛り上がって袖を引き裂いた。


「・・・・・」

これから女子高生になろうかという弱冠、15歳の少女が。

たかが伸びをしただけで、Tシャツを破いてしまうという異常事態。


「腕、また太ったの・・・」

「あー、うん。そう、なのかな・・・」

さっき否定した“太った”という言葉を、真理奈自身が使ってしまう。

正確には“太った”のではなく、『太くなった』が正しい。


「じゃあ、測って」

僕が同意を躊躇ったのは、真理奈に気を遣ってのことだったんだけど。

真理奈はそれを、信じて貰えないと取ったのか。


「・・・ほら」

僕の目の前で、右腕を肩の高さで折り曲げつつ。


モリモリッ・・・


「・・・んぅっ」

力を籠める。


・・・モゴゴォッ!!

ビリッ、ビリリッ。


「・・・っ!?」

裂け目が入っていたTシャツの袖が、完全に弾け飛んでしまった。

そのぐらい大きな・・・いや、巨大な力瘤。


「もう、ガッチガチなの・・・」

そう言って、真理奈は空いた左手で右腕の力瘤をゴッ、ゴッと小突いた。

およそ、人体が発しているとは思えないような、硬い衝突音。


「・・・55cm」

「でしょ」

真理奈はいつの間にか、自分の力瘤の大きさを誇っていた。

ほれ見たことか、と言わんばかり。


力瘤囲が、55cm。


女子どころか、男子トップボディビルダー並の剛腕。

僕の太腿(48cm)を、とっくの昔に超えていた。


「私の身体・・・どう?」

真理奈は、僕に見せ付けるように様々なポーズを取る。


「・・・かな?」

両腕を前で組んでバレーボールのレシーブみたいにすると。


「・・・っ」

豊満な胸元がギュギュッと寄せられ、Tシャツの柄が谷間に吸い込まれて行く。


一方で、両腕を頭の後ろに回し、組んで見せると。


「・・・っ!」

真理奈としてはグラビアモデルを真似たポーズなんだろうけど。

肩や腕の筋肉が一層太くなり、Tシャツの裾の隙間からは腹筋がチラチラ。


「何だか、野性味が凄くなった・・・」

程良く脂肪が残りつつも、各部位がボディビルダー顔負けの大きさを誇り。

『55cm』の力瘤は僕の太腿(48cm)より大きく、『74cm』の太腿は僕の胴回り(68cm)より太い。


【真理奈】  [健太]

力瘤(55cm) > 太腿(48cm)

太腿(74cm) > 胴回り(68cm)


「えー、何それ」

真理奈は、僕の評価にブーッと膨れた。


「ああ、ごめん。こう言えば良いのか」

「何?」

Gカップ巨乳も込みの上半身の厚さにも関わらず、ウェストはキュッと縊れ。

しかし、無駄な脂肪が無く、お腹は綺麗な六分割の腹筋で割れていて。


恐らくは筋肉なんだろうけど、『105cm』というメートル超えのお尻は上半身に負けず劣らず大きくて。

ド迫力のボンッキュッボンッな、豊満さと筋肉が同居した超絶体型。


「前より、カッコ良くなった」

「ホントぉ? 健ちゃんがそう言ってくれるなら、まあいっか」

嬉しそうに笑う様は、思春期の女子そのもの。

首からの下の、中学生離れした肉体美とのギャップが凄い。


「身体におかしい所は、無いんだよね? 病気とか」

「うん、それは平気。なんだけど、体重が・・・」

僕としては、触れないつもりだった部分。


真理奈は意を決したのか、風呂場からデジタル式の体重計を持って来て。

僕の目の前で、それに乗った。

『151kg』

「・・・っ!?」

真理奈自身が健康である前提で見ても、異常としか思えない数値。


もうじき、女子高生になろうかという女の子の体重が、151kg!?

・・・いや、首から下の筋肉隆々な身体を見れば、おかしくはない・・・のか?



「だから、かな。自転車に乗れなくなったの」

「・・・へ、自転車?」

自転車って、あの自転車のことだろうか。


僕も真理奈も、お世辞にも運動神経が良いとは言えないけれども。

・・・今の真理奈が実際にどうか、は一先ず置いておいて。


自転車とか一輪車の乗り方って、確か。

如何に、幼少期に覚えるかってのが大事らしい。

要は、技術云々より、身体で慣れろってことで。


裏を返せば、一度でも乗れるようになった自転車は、ずっと乗れる。

少なくとも、歳を取ってお年寄りにでもならない限りは。


「どういうことなの?」

「下、一緒に来て」

僕は、真理奈に連れられるまま、団地一階の駐輪場に降りた。


春休みとはいえ、平日の昼日中なので、駐輪場は誰も居なかった。

ご時世的に、子供を外で遊ばせることを積極的にしなくなったせいもある。


「これ、乗ってみて」

「え、これって・・・」

どう見ても、買ったばかりの新車だった。


車種としては、お手頃価格のシティサイクル。通称、ママチャリ。

速度とか乗り心地よりも、運搬性と耐久性に重点を置いた庶民の足。


「前のは?」

「ボロくなって買い替えたの」

真理奈がそれまで乗っていたのは、少し前に“乗り潰した”らしい。


「僕が、乗って良いの?」

「うん。思い切り、壊しても良いぐらい乱暴に乗ってみて」

妙な注文をするなぁ、と思いつつも。

卸し立ての自転車に乗る機会は早々ないので、ここはお言葉に甘えて。


「うん、凄く乗り易いよ」

多少、キツめに扱ってもビクともしない。

初期不良とか、脆くなってそうな感じもなく。


「良い自転車、だと思うよ」

素直にそう思うんだけど、真理奈はこれのお披露目をしたかったんだろうか。


「・・・ほい」

「じゃあ・・・」

僕から自転車を受け取ると、真理奈はTシャツ短パンのラフな格好のまま跨り。


「見てて、ね」

浮いた方のペダルに右足を掛け、太腿に力を入れた。


バキャァッ!!


「・・・えぇっ!?」

ペダルが、ギアクランクごと地面に落ちた。

僕が目一杯踏んでも何も無かったペダルが、真理奈の一踏みで・・・。


「体重が掛かっちゃうと、ダメなのかな・・・」

実際、ママチャリの最大荷重は65kgぐらいらしい。

だからといって、それより重い人が乗って壊れた、なんて話は聞かないんだけど。


「でも、まだ片足付いてるよね」

「・・・うん」

そう。真理奈の左足は、地面に着地したまま。

身体も左側に傾いているので、体重は左脚に掛かっている。


「そんなに、思い切り踏ん張った?」

「ううん」

真理奈の太腿は、確かに太い。


自転車に跨ると、本当に競輪選手みたいに感じる。

しかし、競輪選手がペダルを踏み抜いて壊した、なんて逸話は聞いたことがなく。


「じゃあ、やっぱり・・・」

「・・・ん?」

真理奈は何か心当たりがあるのか、緩やかに湾曲しているハンドルを持ち・・・


「ちょっと触ると、“こう”なっちゃうの」

グニャリ、と“真っ直ぐにした”。


「っ!!?」

そしてまた、僕に見せたから戻すと言わんばかりに、元通りに“曲げた”。


自転車のフレームやハンドルを構成するのは勿論、鉄だ。

言ってみれば、それなりの太さを持つ鉄の棒を、曲げたり伸ばしたり。


「え、え。ちょっと、待って」

僕は慌てて、真理奈が握っているハンドルを掴み、力を入れてみる。


「ん、ぐぐ、ぐ・・・」

とてもじゃないけど、僕の力でどうにかなる気がしないぐらいには、頑丈。

曲げ易くなってるとか、脆くなってる感じも無く。


「・・・私、“力強い”のかな」

当然の帰結。


初心に帰る、というか。灯台下暗し、というか。

勿論、それは普通レベルの話ではなくて。尋常じゃないレベルでの、話。


競輪選手並みの太腿は、女子高生が持つには十二分に太いとはいえ。


例えばだけど、“競輪選手が全力疾走した”として。

果たして、“原付バイクに追い付く”事が可能なのか?


そして、男子ボディビルダーの世界チャンピオンが居たとして。

飴細工みたいに、“鉄のフレームを曲げたり伸ばしたり出来る”のか?


「“凄く”強い、と思う・・・」

僕は、そうとしか答えられなかった。


冷静に考えれば、やっぱりおかしい。


ボディビルダーとか、競輪選手とか。

一流アスリートと同じぐらいの体格なのは、一先ずは良いとして。


見た目の筋肉量に対して、体重が“重過ぎる”のだ。


スマホで、男子の世界チャンピオンクラスを検索。

トップビルダーで180cm135kg、なんてのが居た。


オフシーズンで脂肪が乗り捲ると、150kg超えることはあるらしいけど。

オンシーズンで脂肪がほぼ無くなると、140kg超える人は居ない。


因みに、競輪選手で一番大きい人だと、180cm100kg。

ネット検索で引っ掛かる写真を見ると、“これでも”大迫力の身体付き。


生活の全てを賭けて、身体を鍛え抜いた一流アスリートと。

殆ど運動経験の無い女子高生の身体付きが、同等か、それ以上。


筋肉量イコール、体積と考えて。

体積が同じぐらいなのに、重さが違うってことは・・・。


そして、その一流アスリート達が絶対に出来ないであろう、所業の数々。


握力計や石を、握り潰し。

鉄の棒や金属バットを、ひん曲げ。

原付バイクに、走って追い付く。


「もしかして、前の自転車は・・・」

「うん。だから、乗り“潰しちゃった”よ」

真理奈は、文字通り。

言葉通りの意味で、そう言っていたのだった。



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