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 この世界、『イェルガルド』には人類にとって『三つの脅威』が存在していた。


 一つは北の荒野に存在する、瘴気にまみれた『魔界』で生息する『魔族』の軍団。

 人よりも優れた魔力を持ち、陽の光を妬む彼らと人類は常に抗争を繰り返し、ともに疲弊をし続けるというなんとも不毛な闘いを続けていた。

 一つは西の平原に存在する、人とケモノの特徴を融合させた『獣人』の国。

 人よりも優れた肉体を持ち、一部を除いて野蛮で残虐な性質の彼らの襲撃を常に跳ね除けつつも、それでも幾度となく家畜を奪われ、さらには女も攫われて繁殖奴隷にされるという暗い歴史を重ねていた。

 最後の一つは南の山脈と大森林に存在する、人知を超えた存在である『竜』の巣。

 誇り高くも傲慢な竜は人に何かをすることはないが、しかし、百年に一度ほどというペースで人の――いや、魔族や獣人の生存圏へと襲いかかり金銀財宝を奪っていくということで、『天災』であると、人はもちろんのこと、魔族や獣人たちからも畏れられていた。


 日々消耗していくだけの日々に、人類最大の大魔道士が一つの打開策を生み出した。

 『異世界召喚魔法』。

 現存する魔法体系の中の召喚術は、イェルガルドの有機物無機物を問わずに呼び出すものだとされており、その条件として召喚前から契約を結ぶことで距離を超えて呼び出すことが出来るというものである。

 だが、この異世界召喚魔法はすべての前提が違う。

 召喚前に契約を結ぶ必要もなく、そもそもイェルガルドに存在しないものを呼び出せる――召喚魔法というよりも『拉致魔法』とでも呼ぶべき、恐るべき魔法である。

 代償として国有数の魔術師部隊を数年規模で『魔力枯渇』状態にしてしまうというものがあるが、それでもこの閉塞した人類の未来を打開するために、勇者は召喚されたのだ。


 召喚された勇者は『ニホン』という国で暮らしていた平凡な一般人の青年であった。

 本来であれば、人類を救えるような力など持つはずもない、いうなれば『ハズレ』とでも呼ぶべき結果になるはずの少年である。

 しかし、これは予想だにしなかった事態だが、異世界を渡る上で法則が乱れて、勇者には『チート』と呼ばれる異能が芽生えていたのだ。

 並の獣人さえも凌駕する優れた身体能力、並の魔族では足元にも及ばない膨大な魔力量、そして、その人物しか使用できない『固有魔法』――――『聖剣』、それが勇者ヒカルのチートなのである。

 聖剣は光り輝く勇者の魔力が剣の形となり、いかなる防御をも切り裂く最強の剣だ。


 この聖剣を用いて勇者ヒカルは快進撃を成し遂げていく。

 北へと進軍を果たし、悪辣非道と思われていた魔族さえも虐げて支配することで、契約魔法を用いて自身の野望の意思なき尖兵にしていた『魔王』を打倒して心優しい魔族たちを解放した。

 西へと出向き、獣人族最強の戦士である『獣王』との一騎打ちにて首を刎ねることで『強者に従う』というルールを持つ獣人たちを人間の王国との不戦条約を結ぶ結果を導いた。

 さらにはヒカルを召喚した国の美姫とのラブロマンスは演劇のモチーフにもなるほどに、勇者は人々からの人気の強い、希望の象徴となった。

 そして、ついに人類の潜在的恐怖である『竜王』の討伐に向かったのである。



 大山脈の奥にある豪奢な屋敷。

 人の叡智では決してたどり着けない、緻密な計算と潤沢な資材を用いてのみ作れる、神々の館。

 その奥の奥、人を超えた種族である『竜人』の者であっても踏み入れることを許されない、竜王に呼び出されたものしか入ることが叶わない『謁見の間』にて、一人の童女が泰然自若といった様子で『椅子』に腰掛けていた。

 あらゆる技量と金銀財宝を用いて作られた『玉座』ではなく、新たにこしらえた『椅子』に座る童女は、ゆっくりと口を開いた。

 その童女の開いた口から可愛らしい八重歯が――――いや、刃のような『牙』が覗かれる。

 遠目からでは愛らしさを感じさせるそれは、しかし、近づけばその『歯』が伝説の鉱石である『オリハルコン』さえも噛み砕ける恐ろしき『牙』であることがわかるだろう。

 その牙のある小さな顔にある大きな瞳は、朝焼けのごとき紅い輝きを宿し、柔らかな風に揺れる広大な小麦畑のような生命力に溢れる光景を連想させるウェーブを描いている黄金の長髪。

 その黄金の豊かな長髪に、二本の『角』が生えている。

 大きな角だ。

 童女であることを差し引いても驚異的な小顔で、そんな小顔よりも角は長くそびえ立っている。

 その上で、太く、分厚い。

 ただ形が大きいと言うだけでなく、角の表面には幾何学的な模様が渦を巻くように生じており、自然に生じたものであるはずなのに、高名な芸術家が身命を賭して創り上げた芸術品のような、品のある美しさも持つ角でもあった。

 その角は、ふと視線を向けた瞬間に背筋が凍えて視線を思わず落としてしまうような、まるで、それ自体が凍てつくような波動を放っているのだ。

 ただの動物の特徴としての角ではない、不可思議な雰囲気を持っていることが否が応でも理解してしまう――――そんな、禍々しくもどこか聖なる気配を放つ、豪奢な角であった。


 そして、『椅子』に座った状態でもわかる低身長に似合わない爆乳バスト。

 そのバストの数字は『131センチ』の身長に対して、なんと2センチも大きな『133センチ』である。

 『身長よりも胸のサイズのほうが大きい』という、そんな規格外の爆乳おっぱいを持つのだ。

 その爆乳に垂れかかるように、首を覆うホルダーネックから伸びてぷらぷらと宙を揺れる、血よりもなお赤い、瞳と同色の真っ赤な二つの布が、まるで暖簾のように胸にしっとりと引っ付いて乳輪を隠し切っている。

 胸の谷間、下乳、横乳。

 乳首と乳輪以外の、ヘソを隠すほどの爆乳が丸出しとなっている卑猥な胸元を隠すそれは、言葉にするならば『乳暖簾』とでも言うべき衣装であった。


 そこにお腹を締め付けないようにと言わんばかりに爆乳の付け根から下を、『乳暖簾』と同色の赤いスカートドレスに身を包んでいる。

 だが、そのドレスは大きなスリットがつけており、脚どころか脇腹まで覗けてしまうかのような、童女らしくむっちりとした、それでいて童女が持つはずのない濃厚な色気を醸し出す脚がまろび出ていた。

 もはやそれはスカートとは呼べず、長い布を二本だけ前後に貼り付けていると呼んだ方がしっくりと来る、そんな童女が身につけるべきではない娼婦の、いや、痴女の衣装である。


 また、そのスリットの深いスカートから流れる足にはストッキングのようなものはなく、未踏の雪原よりも真っ白な純白の肌が見せびらかすように流れている。

 彼女の脚を彩るものは、やはり真っ赤なピンヒールだけだった。

 そのピンヒールも通常のものとは大きく異なり、その小さな身体には似つかわしくない、15センチはあるであろう高いヒールとなっていた。


 そして、その腰に本来ならば存在するはずの布切れは存在しない。

 この爆乳デカ尻のゴージャスな美貌を持つ童女は、ノーパン・ノーブラの露出過多な衣服を好んでいるようだった。


 そんな童女が、ゆくりと口を開いていく。


「遠き者も。

 近き者も」


 その声を認識しただけで、体の芯の芯から振るえるような歓喜が走った。

 ただその声を聞くだけで生きる活力を覚えるような、ただその声を聞くだけで世界が色褪せてしまうような、そんな、この世のものとは思えない美しい声である。


「妾を崇めよ。

 我が名を讃えよ。

 栄光に満ちた、並ぶものなき我が名を讃えよ。

 我が名は、『リュケ』」



 ――――その童女の名は『リュケ』。



「『竜王リュケ』である」



 かつて英雄王が築き上げた国に用いられていた古代帝国語で、『深き森の闇』を意味するその名は、人類史上で一度も開拓に成功をしたことがない、大森林と大山脈の主であるこの童女を語源に持つとされている。

 そう、爆乳を除けば小さな体躯にあどけない顔立ちの童女は、神話に語られる偉大なる『竜王』その人なのだ。

 幻想的でさえある、あどけない愛らしい美貌には似つかわしくない、どこか蠱惑的な笑みを浮かべながら、リュケはゆっくりと言葉を続けていく。

 その笑みを見ただけで、その高い声を聞いただけで、男たちは勃起するよりも速く射精をしてしまった。

 なんの刺激もない、ただ笑みと言葉だけで男を絶頂へと導き、どんな『熟女好き』であっても『ロリコン犯罪者』に変貌させてしまうような、本能さえもねじ伏せる美しさというものがあった。

 何故、誰もいない謁見の間でそのような暴力的な『ノータッチ搾精』が起こるというのか。

 それは、リュケが『災害』と、『現存する神』とまで呼ばれる要因――――『全人類を合わせてもなお足りない膨大な魔力』を用いることで『全世界』へと『生配信』を行っていたのである。


 竜王リュケは、身長の割には長い脚を組み直す。

 その際に前垂れ同然のスカートの奥に眠る、丸見えのはずの秘部を目にせんとして、多くの男が、いや、女でさえも目を凝らしたであろう。


「貴様らが不遜にも妾の下に差し向けた勇者じゃが……なんとも、情けない。一時の戦闘の快楽にて、我が悠久の無聊を慰める―――そんなことさえも出来ん、『弱き者』じゃったのぉ」

「んごぉぉぉぉっっ~~っ!」


 そんなリュケが腰掛けているものは、かつて人間の王国で異世界より召喚された『勇者』であった。

 勇者ヒカルは快活で爽やかな好青年であり、北にて魔族を率いて人類滅亡に乗り出した邪悪な魔王と、人のことを戦士と奴隷を産む『苗床』としか認識していない野蛮なを討伐まで果たした、本物の大英雄である。

 そんな勇者ヒカルは優れた力だけではなく人間性にも優れており、そのヒカルに惹かれ、魔王の右腕として支配されていた優秀な魔族の賢者と、野蛮という言葉を形にしたような蛮族の中にあっても気高い誇りを持っていた獣人族の猛将は、魔王と獣王を裏切って勇者の仲間となったほどである。

 そんな二人の仲間とともに、勇者は竜王退治へと向かったのだった。


「魔王と獣王を倒せたから今度は妾を――――などと考えたのか?

 愚か、愚か。

 あのような若造どもが、妾と『同等』であるなどと……本当に信じておったとはのぉ」


 その結果は、惨敗であった。

 竜王の館に来るまでの間、竜人たちを打ち砕いてきた獣人族の猛将、その強靭な体は、竜王リュケが指を鳴らすだけの無詠唱の『固有魔法』によって十六分割されてしまった。

 嵐を吹き飛ばすほどの爆撃魔法を操る魔族の賢者は、しかし、その自慢の爆撃魔法が一切通じずに呆気に取られたまま首を刎ねられた。

 勇者が持つ固有魔法が形となった『聖剣』は、竜王に切りかかった瞬間に触れることもなくポキリと折れてしまった。


「ふぐぅぅ、ぉぉぉっ、ぐぉぉぉっ!」

「ほれ。もっと鳴かんか、豚め。勇ましいのは最初だけだったの」


 そんな勇者は今、目玉をえぐられ四肢を切り取られ、四つん這いの姿勢を取ってキャロルの小さな体を支える『椅子豚』となっていた。

 言葉も忘れて苦悶の声を上げてあどけないがゴージャスな美少女を背に乗せているその無様な『負け犬姿』を、リュケの映像魔法によって、人間の暮らす生存圏に一つの抜けもなく『配信』されてしまっているのである。


 魔王を倒した勇者であっても、竜王には敵わない。

 獣王を討ち取った勇者であっても、竜王の玩具に過ぎない。

 その事実に人間の心はポキリと折れてしまっただろう。

 ただただ、自分たちの直ぐ側にいつでも自分たちを滅ぼすことが出来る生き物がいるのだという事実とともに生きなければいけないと、それでも奴らは自分たちに興味がないのだから安心だと情けない虚勢を張りながら生きていかなければいけないことが決定した瞬間、それが今日なのであった。


「しかし、お主らも面白いものを考えたの。理論上は存在するとされる、『夢光の世界』である異世界から人を呼び出すとは……クカカカ。妾ら竜人ではこの手の発想は中々出なくてな、この手のを見ると、いや、胸が高鳴るというものだ。どれ、『頭』を拝借して……!」


 いや、絶望はそこだけでは終わらない。


「ふぎゅぅっぅ!? ぎゅぅ、ぐぎぃ、んぎゅぅっぅぅ~~!?」


 リュケの、短いが細く伸びている子供特有の指が、『肘当て』としていた勇者の頭部へと沈み込んでいく。

 苦悶の声を上げていた椅子豚となっていた勇者は、それともまた異なる奇声をあげていった。

 奇しくも、それは雄に蹂躙されている牝が性交にてあげる喜悦の声と良く似ているではないか。

 肘から先を失った腕と膝から下を失った足の、『椅子豚』となっている身体がビクンビクンと痙攣させ、その指が動く度に痙攣の仕方が異なり、それでもリュケは探り探りといった様子で指を動かす。


「おっ、これじゃの。ふむふむ、術式はこう編まれていて……おおっ、そう来るか! 面白いのぉ、これは、これは……! 妾はもちろん、竜人の子らでも生まれん発想じゃの。やはり、人間は滅ばさずに活かしておくに限るわ♪」


 この物質的な考えではあり得ない現象もまた、魔法の一種である。

 特殊な方法で魔力を用いることで自身の指を霊的な物質へと変換させて、この世界においては霊的な情報が集まる部位とされている脳みそへと干渉することで情報を指から奪い取る――――言葉にするのは簡単だが、この世界においては竜王リュケにしか使うことの出来ない情報簒奪用の魔法だ。


 リュケは神話に語れる時代よりもはるか昔から生きてきた、敵対者の代名詞である『赤き竜』。

 古代帝国における建国神話では英雄王によって打倒され。

 獣人族の伝承では神狼と讃えられた戦士の戦いによって改心し。

 魔族の奉ずる邪神との戦いで創世紀において従属し。

 あらゆる方法であらゆる文化において屈服させられた竜が竜王リュケなのだ。


 ――――そして、『物語』の中でしか人々の下賤な支配欲を満たすことが出来なかった、絶対強者のことである。


 それが竜王。

 それが赤き竜。

 それが三つ首の光竜。

 幾度となく『想像の中』で首を絞められ。

 幾度となく想像の中』で背を踏まれ。

 幾度となく『想像の中』で角を折られた。


 そんな『文化としての歴史』は、『想像の中』でしか『それらを行うことが出来なかった』という、人類たちの『敗北の歴史』であることを示す、何よりの証明だった。


「此奴に妾のかわいい近衛が幾人も討ち取られてしまい、手駒が欲しかったところでの。しかし、妾でも相当魔力を食われてしまうではないか、これ。

 一晩だと百人が限度、と言ったところか……? 

いや、物体や人物ではなく、土地ごと呼び出したほうが早いか?

 『都市』とは言わずとも『村』を召喚すれば、人の召喚の五十回ほどの魔力で相当な数の人類と、別文明の物体も呼び出せるしの……!」


 勇者の魂に刻み込まれた術式から逆算して、リュケは一瞬で『異世界召喚魔法』を紐解いてしまう。

 しかも、人間の王国の魔術師が十数人かかりで魔力枯渇状態になるのも厭わずに行うその儀式魔法を、ただ一人で一晩に百度も行おうとしているのだ。


「とは言え、貴様ら人間の大魔道士に敬意を払い……最初の召喚は人間を一人だけにしておいてやろうかの。華々しい妾に相応しい、最強の戦士を呼ぶぞ♪ どのような豪傑よりも勇ましく、どのような美男よりも煌めく、妾の側近に相応しい竜人の勇者だ♪」


 人類の希望の証であった『異世界召喚魔法』が今、人類の天敵そのものである竜王に用いられようとしている。

 人類の希望の証によって、人類の新たな天敵となるであろう、『竜人の勇者』が召喚されようとしている。


 それはどれほどの絶望だろうか。

 目を閉じてみても、耳を塞いでみても、魂に刻み込まれるように送り込まれてくる竜王の『生配信』は送られてくる。

 人類の天敵が登場するまさに今この瞬間を、誰もが目に焼き付けることを強制させられてしまっているのだ。


「『天に星、地には火、人には祈り。流転する生命を土塊に捧げ。四方の壁は崩れ果て。虚ろの器は満ち満ちて。』――――」


 そうして、謳うように世界へ災害を呼ぶ呪言によって詠唱を連ねていく。

 言葉は世界を震わせて、その言葉は世界を書き換えてしまう。

 童女がごとき様相のリュケではあるが、どのような賢者であっても計り知ることのできない叡智を携えている。

 そのため、多くの魔法を言葉による世界の干渉を行わない、『無詠唱魔法』で使役することが出来る。

 そんなリュケであっても、この大魔法を使用するためには詠唱を必要とするのだ。

 この『異世界召喚魔法』を創り上げたものは天才である。

 天才であるからこそ、世界を滅ぼす一端となり得てしまうのだった。


「『顕現せよ、夢幻の住民よ』――――!」


 詠唱も終わりを迎え、その瞬間に激しい閃光が奔る。

 『リュケ様専用配信スタジオ』とでも言うべき謁見の間は真っ白な光に染め上げられ、その魔力光の中心に一つの生命の気配が誕生していく。

 いや、正確に言えば、謁見の間を白く染めた魔力光が集っていき、魔力光自体が一つの形になったのである。

 それは、勇者ヒカルが召喚された時と全く同じ現象であり、すなわち、異世界召喚魔法の成功を意味していた。

 竜人の勇者が、誕生したのである。


「さてさて、妾の勇者はいかような猛者かの。輝かん美貌と猛々しい肉体を持ち、聡明なる頭脳を感じ取れる所作をしているに決まっているがなぁ」


 そうして、魔力光が肉へと代わり、人を作っていく。

 一度、人の持つ全てを魔力光という情報へと変換させることで距離を無視して呼び出すというものは基本の召喚魔法と同じだが、異世界召喚魔法は、物質的な『肉』とは異なって神秘を宿している『魔力』の形に変えることで、肉の檻に囚われたままでは知覚することさえできない『世界の境界線』をすり抜けることを可能とさせたのだ。



「っ……なん、だぁ? ここは……?」



 そうして、呼び出された勇者には『境界線』を越えたことによる『異変』が生まれる。

 それが勇者ヒカルにとっての『超身体能力』と『魔力量』の基本セットと、固有魔法とも呼べる『聖剣』のチートなのだ。

 もちろん、この異世界召喚魔法には『使用に多大な魔力を必要とする』というデメリットも存在するが――そのデメリットさえも、この世界の知的生命全てをあわせた魔力量を上回るリュケにとってはデメリットらしいデメリットでもない。

 そんな竜王リュケが生み出そうとする『勇者軍団』の第一号は、筋骨隆々の長身の男であった。

 日に焼けた褐色肌に、短く刈られたツーブロックの金髪と、厳しく潜められた眉。

 ブリーチされた髪は痛みが目立ち、目尻のつり上がった神経質そうな目つきと合わせて、男の生まれの悪さを感じさせるが――勇ましさを感じさせる、男らしさの強い顔立ちの男だった。


「ふむ……」


 だが、リュケにとっては大いに不満が残る結果となった。


 確かに優れた体躯の持ち主だ。

 ――しかし、その体つきは勇者の仲間の一人である獣人族の猛将と比べれば劣ったものである。


 リュケには遠く及ばぬとは言え、異世界召喚魔法によって呼び出された勇者が持つ基本ステータスである高い魔力量も、なるほど見事なものだろう。

 ――しかし、その魔力量にしても勇者の仲間の一人である魔族の賢者と比べれば物足りぬ。


 顔立ちも野性味を感じさせるもので悪くない。こうして『椅子豚』としたヒカルのような、いかにも王子様然とした優男よりは好みだろう。

 ――しかし、別に顔を見て思わず乙女のように胸を高鳴らせてしまうほどの美貌ではない。


「うーむ、スタート召喚は失敗と言ったところかの……? いや、固有魔法があるのだったな? それ次第では使い物となるか……?」

「……なんだ、このメスガキは」


 その男は、首から下げた『KING』と描かれたアクセサリーのついた金色の分厚いネックレスと、黒いタンクトップをつけることで鍛えた身体を見せつける、服装から相手を威圧しようとしている男だった。

 事実、その威圧感を与えようという意思に相応しい強靭な肉体を持っている。


 とにかく、『太い』男だった。


 首も太ければタンクトップであるために丸見えになっている腕も太い。

 肩と胸板も太ければ、ギュッと絞られているはずのウエストすら太い。

 当然尻も脚も太く、ヴィンテージジーンズが悲鳴を上げるかのように張り詰められていた。

 恐らく、身体だけでなくその心さえも図太いのであろう。


 どのような困難も腕っぷし一つで乗り切ってきたことを、伝聞による情報ではなく視覚から察せられる情報でわからされてしまう。

 その腕一本で渡り歩いてきた一匹狼だからこその自負と猜疑心に満ちた表情が、リュケの傲慢な口ぶりを聞いて怒りに歪んでいく。


「無礼も一度は許そう。そこな下賤な男よ、妾に攻撃をしてみせよ。男子たるもの、自慢の一撃の一つや二つ持っているであろう? それがどれほどのものか、試してやろうと言っておるのだ」

「あぁ~……もう駄目だ。牝のくせに舐めやがって……って!

 テメエ! 牝の分際で、そのバカ尻をどこに乗せてんだ!」


 しかし、怒りの表情を浮かべていた男は、ようやくリュケが元・勇者のヒカルを四つん這いにさせて腰掛けていたことに気づき、さらにその怒りを強めていく。

 思いの外、見た目とは裏腹に正義感の強い男なのかもしれない。

 ガチャガチャと、首にかけたネックレスが音を立てながら、ゆっくりとリュケへと近づいていく。

 それに合わせて、リュケも笑みを浮かべて――いや、捕食者として牙を剥き出しにして『捕食姿勢』を取った表情で、新たに召喚された勇者へと近づいていった。


「牝が男を椅子にするなんざ許せるわけがねえ……! ぶち殺すぞ、クソガキが!」

「これでも妾は悠久の時を生きた竜王なのじゃが……はぁ。妾の高貴なる王気(オーラ)からそれを読み取れぬようでは、妾に相応しい勇士になるとはとても思えんのぉ」


 二人の距離が縮まる。

 並ぶことで、より体格差がはっきりとした。

 190センチを超えるであろう長身の勇者と、131センチしかないメスガキボディの竜王。

 見事な逆三角形の硬質的な肉体をナチュラルで作り出している男と、肩幅よりもお尻のほうが大きい正三角形ぷにぷにボディを生まれながらに持つ女。

 太い縄をさらに重ね合わせたしめ縄のような腕と樹齢数百年にもなるであろう大木のような脚を持つ豪傑と、触れるだけで折れてしまいそうな細すぎる手足をした美女。

 あまりにも対象的な二人だった。


「先に名前を聞いておこうかの、名をなんという?」

「……中井拓矢だよ。本当の名前じゃねえけどな」


 15センチという長すぎるピンヒールを履いたことでほどんど背伸び状態になっていても、リュケは、その頭部が拓矢の胸元にやっと届くほどの低身長である。

 そのモチモチでありながら弾力抜群のロケット爆乳も、拓矢の腰の前でたぷんたぷんと揺れた。

 それが男には――――『拓矢』には我慢できなかった。

 こんな白い肉だらけの、それこそ強さの象徴である赤い肉が身体のどこにも存在しないようなぷにぷにふわふわメスガキボディの女が、まるで絶対強者のような振る舞いをしているのだから、『力の信望者』である拓矢が許せるわけがないのだ。


「一発で死ぬなよ、たっぷり『わからせて』やるからな……!」


 ぐぐっと、右の手の指を握り込んで拳を作る。

 丸い拳だった。

 空手家が『巻藁』や『砂袋』を叩いて強い拳を作り上げる鍛錬を行うところを、拓哉の場合は巻藁や砂袋ではなく『人』を殴り続けたことで『拳ダコ』を作ったのだ。

 そのために、指の関節の一つ一つが肥大化し、膨れ上がるように『タコ』が発生し、拳自体が硬質化してしまっている。

 結果、指と指の間隔が狭くなっていまし、ぐっと握り拳を作った際に全体の凹凸が少なくなるため、その小節は『球形』に変わり果てるのだ。

 その握りしめた右拳を弓をひくように大きく振りかぶる。

 どれだけ振りかぶったかと言えば、ついには腰も大きく捻りだし、リュケから背中しか見えなくなるほどに振りかぶった。


「迫力はあるの~♪」


 避けない、一撃を受けてやろう。

 そんな自身の言葉を翻す様子もなく、今にも鼻歌を行いそうなほどの気軽さでリュケは構えていた。

 これにももちろん理由がある。


 リュケの固有魔法は『絶対領域』という、世界と世界を遮る『壁』を創り出す能力である。


 この見ることも感じ取ることも出来ない無色透明無味無臭なる壁は、あらゆる干渉を受け付けない。

 魔王に次ぐ魔法の腕前を持つ魔族の賢者の爆撃魔法の嵐であっても、勇者の『必殺必中』という力を持つ『聖剣』であっても、この壁を破壊することは出来なかった。

 しかも、これは猛毒の付着や真空化も跳ね除けるため、人の想定できる範囲の搦手の全ても無効化するのだ。


 また、この壁はリュケの指定した座標に出現させることが出来るため、防御不可能の『斬撃』にもなってしまうという特色もあった。

 獣人族の猛将の身体を十六分割してみせたのも、その体の場所にこの絶対領域の壁を発生させたことで肉と肉の繋がりを強制的に断ったためである。

 『竜』の力と『神』の智を持つリュケはその二つだけで最強の存在だと言うのに、この絶対領域を持つ限り、リュケが敗北することはない。


 言うなれば、『屏風の中の虎と、その屏風を所有する将軍』のようなものだ。

 どれほど虎が優れた能力を持っていても、屏風の中にいる限りは将軍を殺すことなど出来るわけがない。

 上位のテクスチャに存在するリュケを、下位のテクスチャにる存在が害することが出来ないなんて、それこそ子供でもわかる理屈だ。


 全力の一撃はその壁に阻まれ、威力が強いからこそ攻撃者自身へと跳ね返ってその体を破壊することとなる。

 自信満々に拳を振りかぶっている拓矢が、数秒後には破裂した拳を不思議そうに見つめ、遅れて痛みが走り泣き出す姿を想像し、リュケは邪悪な――しかし、どんな女よりも魅力的な笑みを浮かべるのだった。


 それは約束された未来だ。

 リュケがリュケである限り、どんな存在もリュケに干渉することは出来ない。

 古代の神々でも、英雄でも、魔獣でも、その攻撃はリュケに触れることさえ叶わなかった。


 ――――だから、そこから起こった出来事の全ては、リュケにとって初めての体験となったのである。



「しゃあっ!」



 『パリン』、と。

 リュケにだけ聞こえる音が響いた。


「へっ――――?」


 世界がスローモーションとなる。

 リュケの身体の数ミクロン前に発生した伸縮自在の壁が、割れた。

 一秒が無限にも等しく感じるほどに長く引き伸ばされて、リュケはそれを感じ取った。


 自身の腹部に衝撃が奔る。

 メリメリと柔らかなぷにぷに腹筋に拳がゆっくりと刺さっていく。


 その刺さっていく様を、リュケには見ることも出来ない。

 元々133センチの『ロリ爆乳』、いや、『ロリ超乳』を持っているリュケは、数億年単位で自身の足元を見た記憶がない。

 今腹部に突き刺さっている拳を、そんな爆乳が障害となって見ることが出来なかったのである。


 だからこそ逆に、その感覚を触覚で鋭敏に感じ取ってしまった。

 五感の一部が喪失した人物が、その喪失した感覚を補うために別の感覚が敏感になったという話に良く似ている。

 見えないからこそ、それをより強く感じ取ってしまうのだ。



「ふぎょ゛ぉ゛っ゛ぅっぉ゛っ゛ぅ゛っぎゅ゛ぴぃ゛っ゛っぃ゛っん゛ぎょぉ゛っぉ゛っ゛っぉ゛ぉ゛っ゛ぉ゛おぉ゛~゛~゛❤❤❤❤❤❤」



 リュケが感じ取った、一秒を無限に引き伸ばしたようなスローな世界も、すぐに終わる。

 腹に突き刺さった拳は、まるでその拳が背中から突き抜けてしまったような衝撃を与えて、リュケの小さすぎる身体を吹き飛ばしていく。

 低身長のロリボディにはあまりにも不釣り合いな、ノーブラ爆乳がぶるんぶるんと四方八方にちぎれんばかりに揺れながら、リュケの身体は後方10メートルも吹き飛んだ。

 椅子豚となっていた元・勇者ヒカルの身体を飛び越え、豪奢に備え付けられた背の高い玉座の背もたれがリュケの身体を受け止める。



「ほぎょっぉっっぅぴぃぃぃっっぃっっぃぃぃっっっぃっぃ~~❤❤❤❤」



 いや、正確に言えば、受け止めることは出来なかった。

 古今東西の金銀財宝によってデコレーションされた玉座の重さは、なんと約1トン。

 その玉座が大砲から放たれた砲弾のように飛んできたリュケの身体の衝撃で後ろへと倒れてしまったのである。

 パリンパリンと耳が痛くなるような音を立てながら、玉座に備え付けられていた金銀財宝が剥がれ落ちていく。

 まるで、竜王リュケという怪物が打ち立てた『栄光の輝き』が削ぎ落とされていくかのようだった。

 リュケはそんな倒れた玉座の直ぐ側で無様にひっくり返る。

 まるで赤子がおむつを変えてもらう時のように、あるいは幼児がでんぐり返しに失敗したかのように、背中を地面につけたまま腰を持ち上げて、膝を顔の横にぺたりとつけた『まんぐり返し』の姿勢で全身を痙攣させていた。

 しかも、それだけでは終わらない。



「ふぎぃ、ふぅぅ、おぉぉ、おぃぎぃぃぃぃっぃっぃいっ~~❤❤❤❤」



 ぷしゅっ! ぷしゅぷしゅっ! ぷしゃぁぁぁぁっ~~~~!



 爽快感からノーパン・ノーブラ派であったリュケのスカートがめくれ上がり、丸見えになった股間から体液が勢いよく吹き出してきたのだ。

 尿と、潮である。

 あまりの衝撃にリュケは失禁し、そして、その衝撃があまりにも『気持ちよかった』ために、性的快感から愛液を激しく吹き出してしまったのだ。

 惨めな姿だった。

 いや、惨めという言葉さえ正しくないであろう。

 このような状態を表す言葉を、人の想像力では想定など出来るわけがないのだから、人が作った単純な単語を当てはめることは不可能だ。


「ザッコ……なんだこいつ……? あり得ないデカ乳で、意味わかんねー角を生やしてても、所詮はチビ牝か? こんな角が生えてんだからやべえやつかとも思ったのによ……」


 そんなリュケへと余裕を持った足取りで近づいていき、拓矢はリュケの右角を左手で掴み、軽々と持ち上げてしまう。


「ふぎぃぃぃっっっぃ❤ しゃ、触るなぁぁ❤ 妾の誇り高き、王角をぉぉっぉっ❤ カバンの取っ手みたいにするにゃぁぁっ❤」


 リュケは身長こそ『131センチ』だが、その体重は『52キロ』である。

 普通の数値だけを並べれば単なるデブガキだろう。

 だが、拓矢のグーパンが叩き込まれた腹部は、本当に内臓が入っているのか妖しくなるような、それこそ肋骨が普通よりも何本か少ないのではないかと疑いたくなるほどに細い。

 それでいて、ガリガリとした気味の悪さなど一切存在しない、『腰だけを見れば』スリムな体格だ。

 その体重の正体――それは当然、あまりにも大きすぎる『爆乳』と『デカ尻』にたっぷりと蓄えられた白い肉が生み出した数値だ。


 筋肉よりも軽い脂肪でこれだけの重みなのだから、どれだけリュケの爆乳とデカ尻がつやぷにロリボディに規格外の量で搭載されているのかわかるだろう。

 そんな身体を片腕で簡単に持ち上げる力強さに、リュケは殴られてビリビリと痺れるお腹の奥、子宮がキュンキュンと疼きだしてしまう。


(あっ❤ やば、かっこいいっ❤ って、なにを考えてるのじゃ、妾はっ❤ こ、こんな筋肉だけの男、いくらでも見てきたのにっ❤ すっごいかっこいい❤ 太い首から続く機嫌悪そうな顔、イケメン過ぎるっ❤)


 本能が理性を上回っていた。

 痛覚を飛び越えて快感に変わってしまった下腹部から走る刺激はリュケの脳細胞を破壊して魂をケバケバしいショッキングピンクの色合いの花々が咲き乱れるお花畑の形に変えててしまう。

 片角を片手で持ち上げられて宙吊りにされ、ぶらぶらと短い脚を揺らしながら、その涙と鼻水とよだれがダラダラと流れている顔を、拓矢の顔の眼前まで持ってこさせられてしまう。

 それだけで、脳はバチバチと電流に灼かれ、左胸の心臓は爆乳を破らんばかりにドキドキと脈動し、殴られた下腹部はキュンキュンと子宮を高鳴らせていた。


 発情しているのだ。

 この雄の子種が欲しいと、脳が、胸が、子宮が、魂が。

 竜王リュケの中にある牝と呼べるもの全てが、中井拓哉という強い雄を求めているのだ。


「は、離しぇっ❤ 妾をぉ、誰と心得るぅっ❤ 古の覇者っ❤ 暁の明星っ❤ 恐怖という概念さえも泣き叫ぶ恐怖の大王っ❤ 偉大なる竜王リュケであるぞぉっ❤」

「意味わかんねーわ、お前の言ってること。牝でももっと賢く話せよ。なあ、おい?」


 だが、リュケは万や十万といった年齢の『小娘』ではない。

 神話よりもはるか昔から存在する、それこそ神々の時代の前、この世界創生の瞬間に存在していた古竜なのだ。

 その長い年月に相応しい、高い高いプライドを持っている。

 顔を真っ赤に染めて、爆乳を淫らにぶるぶると揺らして、腰をもじもじとうごめかし、股間から尿を洗い流すように愛液を生成して、今にも媚び媚びの言葉でオチンポおねだりをしたいほどに発情しきったガチ恋牝モードを晒していても、そのプライドが素直な言葉を口にさせてくれないのだ。


「あ、いや、これアレか。なんかすげー光が集まって、気づいたらわけわかんねえ場所にいるってことは……漫画の広告とかでよく見る異世界転生ってやつか?

 じゃあ、お前は恐怖の大魔王……なわけねえよな。こんなチビで爆乳でデカ尻のオナホ牝が、そんなすげえわけねえか」


 ちなみに異世界転生ではなく異世界転移であるが、アプリ広告などでしかその手のオタクカルチャーに触れていない拓矢にそんな違いがわかるわけもない。

 生まれた瞬間にコインロッカーに捨てられ、運良くヤクザに拾われて、成長してからはその育ての親という虐待者であるヤクザを素手で半殺しにして、中井拓哉という名前を手に入れたという悲惨な出生を持つ拓矢は、オタクカルチャーに限らずとにかく知識というものがない。

 だが、そんな『小学校未入学』な拓矢でも他の人間よりもよく知っているものもあった。


「んじゃ、犯すか」


 それは、女の扱い方である。


「…………………へ?」


 ぼろんっ、と。

 ヴィンテージジーンズとボクサーパンツの中から男根が飛び出ていく。

 それを見たリュケは、なんとも間抜けな言葉を漏らした。


「な、なななな、なぁぁっ❤❤❤❤」

(でっっっっっっっっっかぁぁぁっ❤❤❤❤)


 その男性器は、男性器と呼ぶにはあまりにも太く、分厚く、長く――――『魅力的』すぎた。

 男性器とは。

 太くあれば良いというわけではない。

 厚くあれば良いというわけではない。

 長くあれば良いというわけではない。

 少しでも崩れればその魅力が喪われてしまうような、それでいて、この男根ならば後数センチ大きくても、太くても、長くても、その魅力が損なわれることはないと思ってしまうような、そんな魅力を持っていた。

 ただそこに屹立するだけで牝の心を魅了してしまう魔性を備えたもの。



 ――――すなわち、『魔羅』であった。



「ノーパンなのは便利だな、偉いぞぉ」

「ふぎゅぅっ❤ あ、あたま、頭撫でるなっ❤ バカにするなっ❤ ふぅぅうっ❤ 手おっきっ❤ 握りつぶされそう❤ というかチンポ見えない❤ 爆乳が邪魔でかっこいいチンポ見えないっ❤ ひっこめ、引っ込めぇ❤ デカ乳引っ込めぇ❤」


 だが、角を握って拓矢が持ち上げたリュケの頭を余った片手で『ナデナデ❤』と、まるでペットの犬猫に対してやるような乱雑さで頭を撫でるために身体を動かすと、その魔羅も爆乳の影に隠れてしまう。

 自身の魔力の豊潤さの現れである、足元が見えなくなるほどの自身の爆乳――この世界において魔力量が多い女性ほど胸が大きくなる傾向がある――を、リュケは初めて恨んだ。

 頭をナデナデされることで自然とニヤニヤと頬を緩めながら、同時に見たいはずの魔羅チンポが爆乳に隠れてしまったことに本気で怒りを覚えて眉間にシワを寄せている。

 歓喜と憤怒が入り混じった、なんとも複雑な表情だった。

 そして、人生、いや、竜生初の腹パンですでにプライド以外は牝へと完全に堕ちているリュケは、強欲にも視覚以外で拓矢の魔羅チンポを感じ取ろうとしていくのである。


「すんすんっ❤ すんっ❤ すぅぅぅぅ~~❤ ふぅぅ、臭いだけで感じるチンポ❤ くっさいチンポ臭が爆乳の奥から伝わってくる❤」


 ぷしゃっ、ぷしゃぁぁぁ~~!


「うぉ、潮吹きアクメキメやがった! やっべえなこいつ……クスリやってんのか? チンポで発情するタイプのモンスターってわけだな……無様すぎんだろ、生態がさぁ……」


 鼻を大きく鳴らしてチンポの臭いを嗅いでは、ぴっちりと閉じられたお子様オマンコから脱水症状に陥るのではないかと思うほどに潮を吹いていく。

 30万はするヴィンテ ージジーンズが潮で濡れていくが、大して気にした素振りもない。


 拓矢は『暴力』と『セックス』で大量の資産を築き上げる、本物のヤクザだった。

 男には暴力を振るって支配し、女にはセックスで快感の地獄に落とし、そうして金を巻き上げる。

 自分に従属する男にはそれ相応のメリットを与えてやり、拓矢の力に惹かれた者は信頼できる部下としてかわいがってやっているが――女を徹底的に見下しているため、奴隷以外の身分を与えなかった。


 そう。

 拓矢の異能は『誇張』である。

 傲慢とも呼べるその自意識が形となったその異能の正体は、自身の持つ『腕力』と『魔羅』という二つの強みを拡大解釈して『絶対の存在』へと存在の力を強めていくものだった。

 この拳に穿けないものは無く、この魔羅に魅了されないものは居ない。

 故に、拓矢の拳はリュケの『固有魔法』を存在力で上回ることで法則を無視して打ち破り、拓矢の魔羅はもはや魅了の権能を宿してしまい、リュケの本能を引き出して『竜王』から『牝トカゲ』へと落としたのだ。

 そして、それはリュケだけ通じるものではない。

 ただでさえ女殺しであった魔羅チンポは全ての女性に――――そう、『この生配信を見ている』『全世界の女性』を魅了し、格の違いを見せて『全世界の男性』の心を折ったのだが、そこはまた後々のお話である。


「ふぉぉぉぉっぉ~~❤ たまらぬっ❤ たまらぬぅぅっっ❤ このチンポ欲しい❤ 早くほしいっ❤ くぅぅっ❤ ふ、不敬じゃが許すっ❤ 妾の高貴なる角を持っていることも❤ 妾を軽々と持ち上げたことも❤ 全部っ❤ そのデカチンポを挿入するのならば全部を許す❤ は、早く早くっ❤ 早く挿れて――――❤」

「おらっ、うっせえぞ! 挿れるかどうかは男のオレが決めるんだ! 牝がごちゃごちゃ言ってんじゃねえ! 自慢の拳で、今度こそ腹をぶち破ってやろうか! あぁん?!」


 ぐりぐり、と。

 硬く握りしめた丸い拳を、リュケの下腹部へと押し当てながら回転させる。

 しつこくなるが、その拳の動きをリュケは爆乳が邪魔で見ることが出来ない。

 それ故に、肉と皮越しに刺激を受けた子宮は、混乱している脳よりも先に判断を下す。

 このたくましい拳を持つ雄様の子を孕め、と。


「ふぎゅぅぅぅぅっぅぅっぅぅぅっぅ❤❤❤❤❤❤」


 ぷしゃっ! ぷしゅぷしゅっ! ぷしゅぁぁぁぁぁっ~~!


 ぴぃぃぃぃぃぃんっ、と。

 『気をつけ』の姿勢を取るように、リュケは指を真っ直ぐに伸ばしたまま手を太腿につけて、脚をまっすぐに伸ばすことで体で『Iの字』を作った状態で、ガチアクメをキメた。

 刺激は魔羅チンポの芳しい香りと、押し付けられた拳の二つだけ。

 それだけで、性的快感が限界まで達して本気アクメに達してしまったのである。

 さしもの女殺し、中井拓哉であってもこれほどの雑魚牝はお目にかかったことはなかった。


「縦筋入ったロリマンでも、こんぐらい濡れてりゃ問題ねえか……愛撫もせずに犯すのは、さすがに久々だぞ、おい」


 そんなリュケの無様な姿に拓矢は呆れた声を漏らしながら、それでも魔羅チンポはビキビキと硬く太く、高く勃起を強めていく。

 その筋骨隆々とした体を生まれながらの嗜虐心で満たしている拓矢は、言葉と裏腹に無様すぎるリュケを見るだけで性的快感を覚えるサディストであったのだ。


「おほっ❤ チンポ大きくなった❤ 見えないけどわかるっ❤ お腹の数ミリ先にあるオチンポの大きさ感じる❤ で、でっかぁ~……❤」

「キッショ、なんでわかんだよ」


 さらに、リュケは元々、足元が見えなくとも問題なく生活できていたのは視覚以外の嗅覚に聴覚、触覚、魔力察知能力が秀でている。

 それらを稼働させて、見ることの出来ない魔羅チンポを牝の本能で鋭敏に感じ取ったのだろう。

 ぶるぶるとデカ乳とデカ尻を暴れさせるように痙攣させて、魔羅を挿入されてもいないのにもう何度目かになるかもわからないアクメをキメるのだった。


(やっべえな、このメスガキ……エロすぎんだろっ! ホントはガキなんて守備範囲外なのに、そんなの全然関係ねえ! このデカ乳とデカ尻がなくてもこのクッソ生意気そうな顔だけでイケるのに、そこにオレ好みの爆乳がついてるなんてよ……!

 クソが、これが据え膳ってやつか!

 なら、決めるぜ! 行くるぜ! 日本人初の異世界セックスッ!)


 拓矢はそんなリュケの無様を見て嘲笑を浮かべながらも、自身の中のサディズムが刺激に刺激されたことで生まれる快感によって、魔羅チンポは暴発寸前となっている。

 自身のヘソをペチペチと叩くほどに屹立した魔羅チンポを我慢させ続けるのは、それはもはやセルフ・ネグレクトにも等しい。

 他人には厳しいものの自分には甘い拓矢が、そんな状態をいつまでもこらえ切れるわけがなかった。

 拓矢は下腹部に押し当てていた右拳を開いてリュケの頭部へと持っていき、余っていた左角を握りしめる。

 安定感のあるぶら下がり体勢になったまま、その角を握られたままぶらぶらと揺らされているリュケの体へと、拓矢はまるでマーキングをするよう勃起チンポをこすり付けていった。


「ぉぉぉ~~❤ き、鬼頭っ❤ 鬼頭がぁ、マンコの土手にグリグリ押し付けられ……んほぉっ❤ 自然に皮むけて剥き出しのクリトリスが擦れてイグッ❤ 自分の指のオナニー以外で初めてイグッ❤」

「ほぉ~れ、じっくり挿れてやるからたっぷり感じ取れよ?」


 まずはマンコの土手に鬼頭をスリスリと擦り付けると、発情をしてしまって皮が剥かれてあるクリトリスにも刺激されてアクメ、チョロすぎるドスケベボディである。


「ほひぃっっ❤ なっがいっ❤ マンコ越えてヘソ越えて胸まで届く❤ 妾のデカすぎる胸にぷにぷに鬼頭が触れてるぅぅっ❤ こ、これ挿れられたら子宮潰れる❤ 貫かれる❤ チンポに殺されちゃうぅっ❤」

「デカさがわかったか? これ挿れたらどうなるかわかるよな? 腹がぶち破れて死ぬだろうが……おいっ、お前もファンタジーなら死ぬんじゃねえぞ。腹が破れて血がドバドバは萎えるからよ、なんとかしとけ」


 次にそのチンポがズリズリぃ~っと上まで登っていき、根本がオマンコの入り口につくと自然とその先端はヘソも越えて爆乳の付け根までたどり着いてしまう。

 それは、普通ならば全てが入り切るわけがないことの証明であり、このままではチンポの中程までしか入らないだろう。

 しかし、拓矢はそれを許さない。

 拓矢の好きなセックスはチンポ全てを熱々のオマンコで包み込む、セックス後には必ずマンコがガバガバになってしまうようなハードセックスなのだ。

 ギロリと睨みつけて、この魔羅チンポをファンタジー特有の不可思議な力で全部マンコで飲み込めと脅しつけていくのである。

 それで十分だった。


「ふひぃぃぃぃっっぃ❤ か、変わるっ❤ マンコ変わるっ❤ このオチンポ専用に変わるゅぅっ❤」


 リュケの下腹部に、ショッキングピンクの卑猥な光が放たれていく。

 この世界の知性体の全ての魔力を合わせても上回るほどの魔力を使って、リュケが肉体改造魔法を使用したことの証明だった。

 硬く狭いが、柔らかく広がり、どれほどの突き込みでも充血はしても出血はしないし、肉が敗れることはなく、それでいて呪術的にもチンポに耐性一切なしの弱点マンコ。

 そんなオマンコに、一瞬で作り変えられてしまったのである。

 魔法のことなど欠片もわからない拓矢であるが、突如としてケバケバしい光を子宮から発光しだしたリュケを見ればなにかが起こったということはわかってしまう。


「本当便利なガキだなこいつ……じゃあ、焦らすのも可哀想だし……!」

「ほぉぉ、ぉぉぉぉ❤ おほぉぉっぉっ~~❤」


 竜王リュケが持つ『直感』、いわゆる『第六感』はもはや未来予知にも等しい精度と頻度だ。

 そのリュケの直感が、自身に訪れる未来を感じ取ったのである。


(あっ、終わった―――――❤)

「おらぁっ!」


 ずぶりゅっ! ずぶずぶぅ! むりゅ、むりゅりゅりゅぅぅぅ~~! ずるっ、ずりゅぅぅぅ~~!


「おっ――――――――❤」


 その瞬間に、リュケの時間が裏返った。

 数億年の時を生きたロリババア竜王の一生が、一瞬のうちに巻き戻るように再現されていく――『走馬灯』である。

 あくまで一説に過ぎないが、この走馬灯という現象は今起こっている死の危機を退ける術を自身の経験から検索しているというものがある。

 竜王としての人生において、リュケは敗北はもちろん『好勝負』という概念すら体験したことがなかった。

 人を食み、魔を踏みつけ、神を切り裂いた、楽しくも虚しい日々。

 様々な『玩具』が思い出さされる。

 人の英雄、魔の賢者、神々の王。

 そのどれもが愉快な玩具だったが、それもすぐに飽きた。

 なぜこうもつまらないのかと自問したことは数え切れないほどあることも、走馬灯の中で思い出す。


 だが、走馬灯でその日々を振り返ることで、その答えを知った。

 羨ましかったのだ。

 妬ましかったのだ。


 リュケは人を屠殺する時、その哀れな泣き顔を自分が浮かべることを想像した。

 リュケは魔を蹂躙する時、その惨めな懇願を自分が発することを夢想した。

 リュケは神を殲滅する時、リュケは消えゆく文明を自分の築き上げた城が崩れる瞬間に想いを馳せた。

 そうなりたいと願うことを他者へと行い、その他者を自分であるかのように無意識に思うことで興奮を覚えていたのである。

 この『イェルガルド』という世界は、竜王リュケというとんでもない『わがままマゾ』の自虐オナニーによって何度となく悲鳴に満たされていたのだ。


 先ほどの拓矢の攻撃が絶対防御を貫いた理由も、結局はリュケがマゾであったことで引き起こったことに端を発するのだ。

 もちろん、拳自体もチートそのものであったが、同時にわがままマゾであるリュケは潜在的な『マゾ嗅覚』にて無意識に拓矢自身が持つサディストとしての魅力を読み取ってしまった。

 そこで無意識マゾであったリュケの本能は『この雄様にわからされたいっ❤』と判断して、その絶対防御を『弱くして』しまったのである。

 拳による物理的攻撃と魅了による精神的攻撃、この二つによってリュケを拓矢は攻略していたのだ。


「お゛ほ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ゛っ゛ぉ゛ぉ゛っ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛~゛~゛~゛~゛❤❤❤❤」


 このイェルガルド一番のどうしようもないマゾでありながら、このイェルガルド一番の強者であったがために、行われることのなかった『わからせ』が、やっと訪れてくれた。

 弱者の性質に強者の力が宿った悲惨な女は今、最強の魔羅チンポ様に挿入されたことでアクメをキメていくのである。

 爆乳をぎゅぅぅぅぅっと胸板に押し付けながら全身を痙攣させ、このまま角を握った手を離されてもチンポで支えられることが確定した対面駅弁セックスにて、リュケは犯されていくのだ。


「おほぉおぉぉ❤ おぉ、ほぉぉおっぉぅ❤ しゅ、しゅごいっ❤ これが、これがセックス❤ ぜんぜん違う❤ オナニーと全然違う❤ すごい、すごいすごい❤ 凄すぎるぅぅぅっ❤」


 リュケが今味わっているものはただのアクメではない。

 脳細胞の一つ一つを丁寧に焼き殺していく屠殺アクメだ。

 さらに、脳細胞が破壊されていくように、オマンコもまたブチブチという、耳を覆いたくなるような媚肉と膣襞が裂けていく音が響いていくが、しかし、出血は行われていない。

 処女であるはずのオマンコを挿入したはずなのに、なぜ破瓜の血が流れ出ないのだろうか。


「あん? お前処女だな……? このキツキツのマンコならすぐわかるぞ! 血が出ねえってことは……お前、オナニーで勝手に膜を破ったな?」

「っっぅっっっっっっぅ~~❤❤❤❤」


 つまりは、そういうことである。

 リュケは根っからの敗北マゾであるために自分を打ち負かす男でなければ処女を捧げることなど出来ないと考え、それでいてどうしようもないドスケベマゾであるために性欲だけは持て余していた。

 そのため、ハードオナニーを続けている間にうっかりと処女膜を破ってしまったのだ。


「そ、そうだったら……どうなのじゃぁ❤ 処女膜も独占したいのかの❤ 随分と可愛いところが――――❤」

「ハハハ、いいぜ! そういう牝は嫌いじゃない! 処女かどうかなんて興味ねえしな! どうせ、この先はオレしか受け付けない専用マンコになるんだからな!」

「えっ❤ かっこいいっ❤ 女が生きてた前までの人生なんて興味ないの、かっこよすぎるっ❤ 自分の女が自分以外の男に惹かれるわけなんて自信、素敵過ぎるぅぅ❤」


 自分の強さに絶対の自信を持つ拓矢は相手が処女であるかどうかなど関係ない。

 どうせ自分の強さを知ってしまえば他の男に興味を抱けなくなることを経験で知っているのだから。

 そして、どうしようもない敗北マゾで屈服媚びマゾのリュケはそんな自信満々の拓矢に胸と子宮をキュンキュンと高鳴らせてしまう。

 つくづく、拓矢とリュケの相性がいい。

 運命の相手と言ってもいいかもしれない。


 いや、正確に言えば、リュケが勝手に性格の相性を良くしていると言うべきなのかもしれない。

 ここで拓矢が『なんでオレのために膜を残してねえんだ! ぶちころすぞ!』と怒りを示せば、都合のいい敗北マゾであるリュケは『出会う前の女でさえも自分のものであるとナチュラルに思ってるのかっこよすぎるぅっ❤』などと勝手に発情していたのだろうから。

 そんな都合のいい敗北マゾが、両手で角を持たれながら対面駅弁セックスを続けられれば、果たしてどうなるだろうか。


「おほぉっ❤ ほぉぉっ❤ す、すごぃぃっ❤ あっ❤ 駄目❤ もう駄目❤ 媚びないなんて無理っ❤ 無理無理❤ このオチンポ様を御主人様と呼べないなんて無理ぃぃぃっ❤」


 ――――当然、完堕ちである。


「ぶはは! チョロすぎんだろ! こっちはまだ射精もしてねえんだぞ! なんでチンポに堕ちてんだ、このエロガキがよ!」


 そのチョロすぎる即堕ちっぷりに、拓矢は大きな声で嘲笑を放っていく。

 しかし、ある意味でリュケはよく粘ったと言えるだろう。

 本来であれば、その肉体と本能がそうであったように、腹パン一発と角を掴んだ持ち上げだけで敗北マゾとして幸せアクメをキメ続けていたのだ。

 そこから握りこぶしを押し付ける子宮脅しアクメに、勃起チンポによるこすり付けアクメに、挿入によるお手軽チョロアクメを何度となく味わってきたのである。

 それでも、こうやって複数回のピストンをされるまで、表向きの態度は生意気なロリババアとして演じていたのだから、敗北マゾにしては長く耐えたほうと言えるだろう。

 だが、それも終わりだ。


「ぉぉぉぉっっ❤ しゅごいっ❤ しゅごぃぃいっっ❤ このオチンポ、しゅごすぎるぅぅっ❤ かて、かてにゃい❤ かてにゃいぃぃっ❤ こ、このオチンポ様に、勝とうとさえ思えにゃいのぉぉっ❤ 心が、身体がぁ❤ 牝に、奴隷になりたがっちゃってるぅぅっ❤」

「おらっ! 顔を隠すな! バカみてえなアヘ顔見たくておめえら牝を犯してんだぞこっちは!」


 リュケは自身の爆乳を拓矢のシックスパック腹筋に、自身の顔を拓矢の厚い胸板へとピッタリと押し付けながら、無様なアへ顔を隠すようにするが、それすらも凌辱者は許さない。

 朝焼けの明星にも例えられるリュケの美貌だが、それを涙と鼻水とよだれでドロドロにして頬を引きつらせるように崩している無様過ぎるアヘ顔を創る。

 そのアへ顔こそを見せつけろと言いながら、角を無理やり動かして俯かせていた顔を目が合うように動かした。

 ものすごい勢いで顎が跳ね上がり、首が折れるのではないかと心配になるほどの速さで隠していたアヘ顔が拓矢の眼前へと晒される。

 その瞬間だった。


 カリ、カリカリッ……!


「ひぎぃいっ❤」

「あん? マンコ締まったな……なんだこれ? 角がスイッチか?」

「おぎょ、ほぉぉおっ❤ ツ、角、爪で擦らないでぇ❤ それ、弱いっ❤ 角ガリガリされて、ひぎぃぃぃっ❤ かっこいい指でカリカリされるの気持ち良すぎるぅぅぅっ❤」


 乱暴に角を使って顔を上に向かせた際に、角を握りしめている手のうちで自由になる指を使って、リュケの立派な王角を『カリカリッ』とひっかいたのだ。

 すると、オマンコがきつく締まったのである。

 それはアクメによる痙攣で起こる締め付けだった。

 エルフなどの『長耳』の耳が性感帯であるように、『角持ち』にとっての角も同様に、永遠の伴侶にしか触れることを許さない敏感な器官なのである。

 このように角を強く引っ掻かれることで、マゾヒズムの強い角持ちはアクメに達してしまうのだ。


「ふ、ふふふ……はははっ!」


 そんな無様なアへ顔を見て、惨めなアクメ声を聞いて、拓矢は笑いが止まらなかった。

 ぷにぷにのオナホボディを押し付けられる胸板と腹筋から奔る感触だけでも射精をしてしまいそうなのに、今まで犯してきたオナホ女とは比べ物にもならないリュケの名器オマンコにチンポを突っ込んでいるのだから、頭がおかしくなりそうだ。

 それに加えて、この愛らしい媚びたセリフが耳と脳を刺激してくれるのだ。

 もう、我慢など出来るわけがなかった。


「ふぅぅうっ~~! 我慢できねえ……! あ~、くそっ! マジでムカつく……! こっからはもうガチで突き上げるからな……!」

「へっ……❤ い、今までのピストンでも、ま、まだ本気じゃなかったって……んほっ❤ か、かっこよすぎるっ❤ でも怖い❤ でも楽しみ❤ こ、これ、本当に死んじゃうぅぅ……❤」


 拓矢は、リュケの後頭部で腕を交差するように回していく。

 右手で右角を、左手で左角を。

 遠目から見れば、それは拓矢がリュケを強く抱きしめているようにも見えただろう。


「おらっ! オラオラっ! おらぁっ!」

「ひぎぃぃ、ぎいぃぃ、んぎぃぃぃ~~❤」


 ぴき、ぴきぴき、ぴきぃ……!


 腰の突き上げが速くなると同時に、拓矢の全身にも『リキ』が入る。

 歯を硬く食いしばり、角を握る握力も強まり、まるで鬼の顔のように背中の筋肉が盛り上がっていく。

 そうすることによって、なんとも嫌な音が響きだした。

 ずっと握りしめられていたリュケの右角に、罅が入ったのである。

 カリカリと引っ掻かれるだけでも強い刺激を起こるのに、罅が入るほどに衝撃を与えればどうなるのだろうか。

 その答えは、リュケが示していた。


「ふぎぃぃい、ふぅぅ、うぐぅうぅぅっぅ❤❤❤❤」


 びきびき、びきぃぃぃぃっぃっ!


 罅が割れ目となるに連れてリュケの高い鼻、その穴から血が流れ出す。

 限界を迎えようとしていた。

 リュケの自慢の自動回復魔法にしても、すでに快感で脳細胞のほとんどが破壊されるが瞬時に治されていくループに全てを割いているために、角を直すことも鼻の破裂した血管を直すことも出来ない。

 なによりも、壊されることをリュケ自身が望んでしまった。

 持たざるものである人間にはわからないだろうが、魔族や獣人族にも存在する『角持ち』にとって角とは自身の誇りに等しい。

 強く美しくあればあるほどに、それは角を持つ存在の力強さや高貴さを表すものだ。

 その角が、折れる。

 削られることもなく惨めにポキリと折れた、惨めな姿を晒してしまう。

 それは、それはなんて――――。



(――――なんて、幸せなんだろうか❤)



 もう、駄目だった。

 このセックスこそが、龍王リュケの終わり。

 このセックスこそが、角折オナホの始まり。

 その屈辱的なはずの未来が、どうしてこうも愛おしく思えてしまうのだろうか。

 そして、その未来がついに訪れるのだった。


「くぉおぉっ! 射精すぞぉ……! この小せえ子宮で、全部受け止めろぉっ!」

「んひいっぃぃぃっ❤ はいっ❤ はいぃぃっ❤ 射精、射精してください❤ 全部、全部受け止めます❤ 牝トカゲの子袋にぃ、支配者様のザーメンを注ぎ込んでくださいぃぃぃっ❤」

「くぉぉぉっ! ぉぉっ! 受け止めろ、ガキが!」


 どびゅるるるっ! びゅるるっ! どぶぴゅっ! びゅるるっ! どっぴゅるるるうぅぅぅっっ!!!


「ん゛ほ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ゛ぉ゛っ゛っ゛ぉ゛ぉ゛~゛~゛~゛~゛❤❤❤❤ イグッ❤ イグイグっ❤ 逝グッ❤ 逝ッグぅぅぅぅぅぅぅっ❤❤❤❤❤❤」


 ボキリ、と。

 拓矢が射精をした瞬間に力が最も入ったのだろう、ついにリュケの右角が折られてしまった。

 オリハルコンよりも固いはずの角がなぜ折られたのだろうか。

 いくらチートによって肉体能力が天井知らずに上昇する拓矢であっても、それでも簡単に折ることが出来るはずがないのに。

 答えは簡単だ。

 『リュケ自身が逞しい男性様に角を折ってほしくて肉体を無意識に改造した』ためである。

 そして、そのリュケの極まった敗北マゾ思想が引き起こす肉体の変化はそれだけに留まらない。


「お、おほぉ、ほぉぉぉ~~…………❤ 御主人様……妾の、御主人様ぁ……❤」


 ポロリ、と。

 八重歯のような牙が地面へと堕ちていく。

 当然だろう。

 こんな危ない牙が生えていたら、フェラチオ奉仕やキス奉仕でなにかあって御主人様に怪我をさせてしまっては生命でも贖えない重罪ではないか。

 そのため、『牙自身が白旗をあげて勝手に抜け落ちてしまった』のである。

 そして、失ったのは牙だけでなく角もだ。

 拓矢はポキリと折れた角を面倒くさそうに見つめながら、ぶつくさとつぶやきだす。


「チッ、折れちまった……生えたりすんのかな? まあいいや、どっちでも」

「おほぉ❤ 妾の角っ❤ 魔法具に使用すれば世界改変の秘宝も作れるであろう角がゴミみたいに捨ててる❤ かっこいい❤ 本気で妾のぷにぷにロリ爆乳ボディにしか興味がない❤ 男らしすぎるっ❤ おぉぉっ❤ その男らしさの象徴❤ 御主人様のオチンポが引き抜かれて、ふぎゅうっぅ❤ し、子宮が引きずり出されちゃうぅぅ❤」

「あっ、ちょっと待った」


 軽い調子でポイッと折れた角を投げ捨てて、片手でリュケの体を持ち上げて自身のチンポを引き抜こうとして、しかし、拓矢の動きがそこで途中で止まる。

 チンポの先っぽだけがオマンコに挿入された状態で拓矢はムズムズと体を動かして、どこか眉を不快げに潜めた末に――――。


「はへっ❤ へっ❤ オマンコあったかく、へっ❤ こ、これ、まさか……❤」

「ふひぃ~……」



 ――――放尿をしたのである。



(すごっ❤ すごすぎる❤ 妾、竜王なのに❤ この世界で一番強かったのに❤ これじゃ玩具どころか便所❤ 妾の処女喪失したばっかりのロリババアマンコ❤ 男性様の便所にされた❤ あぁぁっ❤ あぁぁ、もうっ❤)

「かっこよすぎるぅぅっっ……❤❤❤❤」


 がくり、と。

 オマンコに広がるおしっこの暖かさを感じながら、リュケは失神した。

 全身から力が抜けていったのを感じ取った拓矢が握りしめていた左角から手を離すと、無様に背後へと倒れ込んでいく。


「おっ、寝たか」


 おほおほと鳴きながら全身を痙攣させるリュケは偉大なる竜王の姿とは程遠い、カエルを連想させる姿勢で失神アクメをキメる変態女そのものであった。

 これが竜王リュケの終わりの日であり、オナホ女の新たな誕生の日の出来事なのだった―――――。












「…………ところでこいつ、名前なんて言うんだっけ?」

「ふぎゅぅぅぅっっぅぅぅっぅ~~~~❤❤❤❤」


 自分をここまで犯し尽くしたくせに名前も知らなかった男らしすぎる拓矢の振る舞いに、失神から瞬時に復活して、悦びアクメをキメてしまうリュケなのであった。





「勇者タクヤよ……感謝します。貴方の尽力によって、世界は救われました」

「獣人族の猛将と魔族の賢者は助かりませんでしたが、元・勇者ヒカルもなんとか一命を取り留めました。元・勇者ヒカルは我ら人間の王国の都合で働いていただいていましたが、つらい記憶を消去した上で元の世界に還す、『送還魔法』を発明することが出来たのも全て貴方様のおかげです」

「いや~……それほどでもないっすよ、女王様にお姫様! 人としてトーゼンのことをやっただけっすからね!」


 竜王リュケの居城には大きく劣るものの、それでも豪奢に飾り立てられた人間の王宮の奥にある応接室にて、新たに『勇者』となった拓矢はヘラヘラとした軽薄な笑みを浮かべながら、顔立ちの良く似た美女と美少女と話し合っていた。

 その美女は王国を治める女王であり、その美少女は女王と血の繋がった王女である。

 女王は王配であった男性を魔王との戦いで亡くなったために未亡人であり、王女は婚約者であった元・勇者ヒカルをメンタル面でのケアとして記憶を消去した上で元の世界に返したために、現在はフリーの立場となっていた。


 輝かんばかりの美貌と豊満な乳房を持った美人母娘は、本来、『謁見の間』にて一国の代表として公的に迎えるはずの拓矢を、私的な用件を話すために存在する『応接間』へと呼んでいる。

 この世界においても上座下座の概念はある中で、上座となるソファーに拓矢が品性を感じさせない大きく股を開いた状態で座り込んでいるが、下座に進んで座った女王様とお姫様はそれを咎めることはせず、むしろうっとりと瞳をハートマークに染め上げて拓矢を見つめていた。

 女性との交際経験のある人間ならば誰でもわかる、恋する女の瞳である。


「人類が産声を上げて、初の出来事です……竜の恐怖から逃れることができるというのは」

「貴方様はまさしく人類の英雄です。百年先の……いえ、千年先の未来にも、貴方様の名は栄光とともに語られるでしょう」

「そんな大したことしてないんですけどね~。まっ、さっさと契約書確認しましょうか。これが『作らせた』もんです。確認してください」


 拓矢は肩にかけていたカバンから、一枚の上等な紙を取り出した。

 これこそ拓矢が今回この王宮へと足を運んだ理由――――『人竜永世講和条約』である。

 種族と種族が結ぶ条約文を記したにしてはあまりにも短い文章だった。

 そんな契約書にまとめられたその条約の内容は、小学校に通っていないために知能の低い拓矢にもわかるよう乱暴にまとめるとこのようなものだ。


 一つ、竜王ならびにその配下の竜人と竜は人間の王国に全面降伏する。

 一つ、竜王ならびにその配下の竜人と竜が蓄えていた財宝は王国の国庫に献上する。

 一つ、これらは契約を交わした竜王、竜人、竜の血を引く新たな生命にも受け継ぐように契約魔法を世界に施す。


 つまりは、竜と名のつくものはこれより先、永遠に人間の『奴隷』――いや、『家畜』となるおぞましい契約である。

 不平等条約などというレベルではない、とんでもない契約だ。


「それではこちらが王国の玉璽となります。これを……んっ、ぎゅっ、と」


 その契約書の中にあるものへと女王は美しい文字で魔力を込めながら自身の名前を書いていき、また、王国の玉璽を使って魔力を込めながら印を押していく。

 玉璽と王族の魔力、これがあって初めて『国として同意した』という意味を持つ。

 これで竜の代表が同じようにサインをして『印』を押せば、この不平等条約、いや、家畜契約は結ばれることになる。


 これほどの強制力のある契約魔法は、『生半可な魔法使い』では条文を作ることさえ出来ない、それこそたちの悪いジョークグッズとしか思われないだろう。

 だが、この契約書が偽りのものだとは女王も王女もまるで考えない。

 それは、今この応接間には、拓矢と女王と王女の他に、その『生半可な魔術師』とは比べ物にならないほどの莫大な魔力と膨大な叡智を持つ存在が居た。


「おらっ、さっさと押せ! 女王様が待ってんだぞ!」

「ふぎゅぅぅっ❤ か、かしこまりましたぁっ❤」


 その規格外の存在こそが、半ばで折れてしまって見るも無惨になった王角に、さらに錐で『穴』を開けられ、そこに『紐』を通されて犬のリードのように引かれている――チンポに完堕ちした、竜王リュケであった。


「ったく、『ポチ』は使えねえな……あんまり偉い人を待たせんじゃねえ、ジョーシキだぞ」

「わんっ❤ 申し訳ございませんわんっ❤」


 いや、もはやその栄光に満ちた名前は捨てられた。

 今のリュケの名は、『ポチ』。

 一説によると、フランス語で小さいを表す『petit(プチ)』がなまってつけられたとされる、犬によく使われる名前に変わってしまったのである。

 それでも、ポチと呼ばれる度に元・竜王は嬉しそうに体を震わせて頬をほころばせるのだった。


「そ、それではぁ……❤ 妾自慢の、『角ハンコ』で永世条約を結ばさせていただきます❤」


 ポチというペットになってしまったリュケは、惨状と呼ぶに相応しい惨めな姿だ。

 『角持ち』にとってはプライドそのものである双角は、かつてこの世界で最も美しいものであったとは思えないほどに変化している。


 ポッキリと真ん中より少し根本よりに折られてしまった右角には穴を複数開けられてしまっていた。

 そこには散歩用のリードとして紐を通されてしまったり、もはやどの鉱山でも取れない幻の宝石をリュケ自身に加工させた『卑猥な形のアクセサリー』がつけられてカラカラと揺れたりと、威光を示す王角は無様なキーホルダーへと変わってしまったのである。


 もちろん、無事であったはずの左角もまた改造をされてしまっている。

 その鋭く尖っていた王角は、拓矢の手で自ずから『ヤスリがけ』されてしまって平面上に整えられており、そこにはさらに間抜けな形で『ポチ』と日本語で掘られていた。

 ちなみに、こちらの左角にも錐で穴が空いて、同じように卑猥な形のアクセサリーがぶらぶらとぶら下がっている始末である。


 さらにトドメと言わんばかりに、幻想的な幾何学模様が浮かんでいたはずのその角の表面には魔力で作られた『ハートマークのシール』と『♂が♀を貫いているシール』に『チンポのシール』をペタペタと貼られてしまっている。

 それらはど派手なショッキングピンクや目が痛くなるほどの青など、オシャレとは到底程遠い下品な色合いのシールである。


 徹底的な凌辱とは、肉体だけに留まらず精神においても犯される。

 それを象徴するかのような姿勢で、リュケは朱肉をベッタリと自身の左角――通称『角ハンコ』につけて、下等な存在と見下していた人間の王国の女王と王女に頭を下げるように契約書へと印を押すのだった。

 そんな無様過ぎる竜王の姿を見た女王と王女は、拓矢にタダ乗りしただけで自分たちがなにかをしたわけではないとはわかっていても、あの強大な存在である竜王を支配したという拭い難い征服欲に身を震わせ――――。


「あぅ……❤」

「はぁ……❤」


 ――――いや、震わせたりは、していなかった。


 むしろ、そんな死にたくなるような無様を嬉々として見せつけてくるリュケを羨ましそうに、妬むように見つめているではないか。

 そして、無礼だとはわかりつつもチラチラと筋骨隆々の拓矢の方へと視線を映していく。

 そこには気高く聡明なる女王の姿も、可憐で清楚なる王女の姿もない。

 発情した牝の姿であった。


「ふぅ、一仕事したぜ。これで肩の荷が降りたってやつだな。というわけで……!」

「きゃぁんっ❤ ふぎゅ、むぎゅぅぅぅ~~❤」

「へへっ! 一発抜いてスッキリさせてもらうぜ!」


 リードを強く引っ張り、その後首をぐぐっと掴んでリュケの小柄な体を軽々と持ち上げる。

 リュケのウエストよりも太い二の腕がムキムキと膨れ上がり、日焼けした黒い肌に雄々しい筋肉の線が走っていく。

 そうして器用に片手で自身のズボンを脱ぎ捨てて、ノーパンのリュケのオマンコへと容赦なく挿入したのだった。


「おぉぉぉっ❤ ほぉぉっ❤ んほぉぉぉぉ~~❤ お、おちんぽ様、きたぁぁぁぁぁっ❤」

「へへ、見られて悦んでんのか? いい感じに締まってくるじゃないか! 相変わらず、他のやつに見られるのが好きだな……おらっ! 謝れ! 最初の時は放送してるなんてこっちは知らなかったんだよ、クソガキが!」

「ふぎゅうっぅっぅぅ❤ ご、ごめんなしゃいっ❤ 御主人様すごすぎて、妾、わすれてました❤ 映像魔法で全世界に生中継してるところ、忘れてましたぁぁっ❤ 御主人様のかっこいいセックス姿を、勝手に無料配信して申し訳有りませんっ❤」


 実は最初のセックスは、リュケによる『映像魔法』が

 リュケを叩き伏せた剛腕と、リュケを屈服させた魔羅の姿を、この『イェルガルド』の全生命体が目撃してしまったということである。

 そして、目撃してしまった者がどうなったかと言うと。


「は、はうぅっ……❤ こ、これが勇者様の生セックス……❤ な、なんと雄々しいのでしょうか……❤ かっこいい……❤」

「す、すごい……❤ これが、本当のセックス……❤ も、もしも私も勇者様に襲われて、こんなことになったら……ごくりっ❤」


 こんな形である。

 いつもよりも露出の多いドレスを着ていた女王と王女は、全身を真っ赤にさせながらソファーの上でもじもじと腰をうごめかしている。

 叶うならば、今すぐ下品に大股を広げてその指をオマンコにくっつけてハードオナニーをしたいであろう。

 だが、同時にそれが出来ない。

 二人は『そんなブサイクな姿を見せて新しい勇者様に嫌われたらどうしよう~❤』なんて、なんともいじらしいことを考えているからだ。

 だが、それでも百戦錬磨の女王はさすがだった。

 チンポとオマンコの挿入されている結合部をじぃぃっと見ていた顔を上げて、意を決したようにセックス中の拓矢へと話しかける。


「あ、あのっ、勇者様❤ 本日の主たるお話であった条約締結が終わってのご慰労セックス中に申し訳ないのですが……❤ そ、そのっ❤ よろしければ、我が娘と婚約を結んではいただけないですか❤」

「は?」

「んなっ、なにをっ❤」


 それはなんと、自分の娘の売り込みであった。

 リュケほどではないが深く長い谷間を見せつけるように前かがみになりながら、自身よりも若々しい娘に手を向けて、『私の娘と結婚をしてください』とお願いをしだしたのである。

 拓矢は女王自身がセックスをねだると想っていたばっかりに予想外の出来事だったため、突然のことに間の抜けた言葉を放ってしまったが、これに激情を見せたのが他ならぬ角オナホであるリュケだ。


「にゃ、にゃにを言っておるぅぅっ❤ ご、御主人様は妾の支配者っ❤ この世で最も偉大なる存在❤ そ、それをたかだか下賤な人間の伴侶となるなど、許されるわけが、おほぉぉぉぉぉっ❤」

「お前はうっせえから喘いでろ。え~っと、それって王様になれるってこと?」


 そんな激高するリュケを、拓矢は激しく突き上げて強引に黙らす。

 セックスのことしか考えていなかった拓矢だが、その意味を知って自分なりに解釈をして尋ねる。

 これは少々正しくない。

 女王様の子供は王女ただ一人で、すなわちこの王女はいわゆる『王太子』の地位についている。

 だから、王女と結婚をするのならば拓矢はあくまで婿殿、つまり女王を支える『王配』となるのだから。

 だが、そんな常識を女王自身が否定をしていく。


「は、はいっ❤ まさしくその通りです❤ 亡き我が夫は別の家門から我が王朝に婿入りする『王配』という形でしたが、もちろん勇者様にそのような失礼な真似はできません❤ 私を女王としている現在の王朝を一度廃止し、新たに勇者様を祖とする王朝を築く❤ そして、そちらの王朝に我が娘が嫁ぐという形になります❤」

「へ~……でもさ、王女様はそれでいいの?」


 ニヤニヤとしたいやらしい笑みを浮かべながら、わざとらしく王女へと視線を向ける。

 自身のチートによって都合よく魔羅チンポに魅了された女がどんな答えを出すかを知りながら、それでもその言葉を引き出したいという、下劣な欲望から生まれる行動だった。


「も、もちろんですっ❤ 勇者様の伴侶となれるのなら、これに勝る喜びはありません❤ で、ですから……その……❤ わ、私にも、その竜王と同じように、お、オチンポ様を……❤」

「クク、ハハハッ!」


 チンポを突き上げながら、拓矢はお姫様を笑う。

 それがどういう意味か、わかっているのだろうか。

 幸せな両親の間で生まれて、厳しくもしっかりとした教育を受けていたお姫様が、自分のような下賤の男に頭を下げて『結婚してください❤』と乞うてくるのだ。

 笑いを止められるわけがないだろう。


「それさぁ……つまり、お姫様もこいつみたいな『オレのマーク』を刻んでもらうことになるぜ? だって、オレの女になるってことだもんな」

「ほぎぃぃぃっっ❤ おぉぉっ❤ オチンポすごぃいっっ❤ 気持ちいいでしゅぅぅっ❤」

「こいつみたいに、お腹にこれをさぁ……♪」


 ぺろり、と。

 拓矢はリュケの前垂れのごときスカートをめくり上げて、そのスラリとしたロリおヘソをお姫様へと見せつけていく。

 だが、そこには透き通るような美白肌を汚すように、一つの『焼印』が刻み込まれていた。

 拓矢の象徴でもある硬く握られた『拳』の形のマークが、まるで『この子宮はオレのものだ』と言わんばかりに下腹部に刻みつけられているのである。


「筆で描くとか魔力で済ますとか、そんなこと許さねえぜ? オレの女になるんなら、このメスガキに出来たことぐらいはやってもらわねえとな。お前もそう思うだろ、ポチ?」

「ひゃいぃぃぃっ❤ しょ、そのとおりですっ❤ きっちりと焼きごてで体に刻みつけて❤ その後に魔力でコーティングして、肉にも魂にも焼き付けなければいけません❤ 魔力として地面に帰って、別の生命の形になった後も❤ 御主人様のモノであると誓うためにも❤ 絶対に必要でしゅぅぅっ❤」

「は、はわわわ……❤」


 その焼きごてで刻みつけられた奴隷の証を見せられて、王女は顔を真っ赤に染めて、それでいて視線を外さずにうっとりと見つめる。

 かつて、元・勇者ヒカルと繰り広げていたラブロマンスでも見せなかった、発情しきった牝の顔であった。

 そんな王女の顔を見ながら、同時にマゾ特有の狂った自己顕示欲が満たされたリュケの締め付けの強くなったオマンコでチンポの心地よさは増していく。

 元々、あくまで女王と王女に『見せつけるためのセックス』に過ぎないのだ。

 それならば、射精を受けた姿を見せてやるためにも、わざわざ長々とセックスを楽しまずに射精をしてしまおうと、お尻に力を入れて、精を吐き出していく。


「くぅっ……! お前、これを見せつけると本当に嬉しそうに締め付けるな……! いいぜ、きちんと説明できたご褒美に……おらっ、受け取れ!」

「ふぎょぉぉっぉぉっっぉぉっぉっぉ❤❤❤❤」


 どびゅるるるっ! びゅるるっ! どぶぴゅっ! ぶびゅるるるるぅぅうっっ!


「おぉぉっっぉぉっっ❤ あちゅいっ❤ 焼けるっ❤ お腹が内側からも外側からも燃えるぅぅっっ❤ 火傷しちゃうぅぅぅっっぅ~~❤❤❤❤」

「あ、あれは……お腹が光って……❤」

「焼き印から淫らな光が……あぁ……❤」


 そして、精液を注ぎ込まれたリュケの下腹部から、やはりケバケバしい目を刺すようなショッキングピンクの魔力光が発せられる。

 焼きごてタトゥーは先程も言った通り、魔力でコーディングをされてしまっているのだ。

 その影響で、精液を受け取ることで拓矢の象徴である握り拳が卑猥な光を放ちだすのである。

 自分はこの拳を持つ御主人様の精液を受け止めるザーメン袋に過ぎないのだと、言葉ではなく体で示すための魔力淫紋なのだ。


「ふぎょ、ぉぉおっぉ、おぎょおぉっぉ……❤」

「まっ、オレの女になるっていうのはこんな女失格の牝になるってことだぜ? それでもいいのかい、お姫様よ」

「は、はいっ❤ もちろんです❤ どうか、私を勇者様の女……いえ、牝にしてくださいませっ❤」


 がばり、と勢いよく頭を下げる王女。

 普通の理性を持っていれば嫌悪さえ覚えたであろう無様なリュケの姿を見て、むしろマゾ開花してしまったこのお姫様はまるで憧れのアイドルを見る乙女のような目を向けていた。

 聡明なる王女は、その焼き印の意味を正しく理解している。

 じゅぅぅっ、と自身の皮膚と肉を焼く音の幻聴を耳にしながら、ぶるりと体を震わせてマゾアクメを決める始末だった。

 いや、そんな無様なマゾは王女一人ではない。

 人間の王国を治める、誇り高き女王もまた深く深く、王として下げるべきではないほどに頭を下げて懇願をしたのだ。


「さ、差し支えなければ、この年増女にも勇者様のお情けをいただけないでしょうか❤ 私も貴重な固有魔法を持っているため、ゆ、勇者様の血筋を残すに相応しいものだという自負がございます❤ まだ産める間に、どうぞご寵愛を、どうか、どうかぁ……❤」


 女王による恥知らずな屈服宣言。

 ただセックスをしただけで無血開城を成し遂げた拓矢は、ニヤリと笑みを深める。

 その愉快な気持ちが湧き上がり、それがチンポに伝わったのか。

 未だに結合されているオマンコからその怒張を感じ取ったリュケは、嬉しそうに言葉を放つ。


「おほぉぉっ❤ き、きしゃまらぁ❤ 妾の御主人様を、妾だけの御主人様に色目を使いおってぇぇ❤ じゃが許す❤ 仕方ないものなぁ❤ 御主人様のかっこよさを見たんじゃから、もう仕方ない❤ 女だったら仕方ない❤ どうせ御主人様のオチンポ様ひとりじゃ耐えられないから許す❤ おもちゃになった妾の配下の竜人と同じように、御主人様の栄光を飾り立てよぉっ❤ んほぉぉっっ❤」

「ハハハ! いいぜ、飼ってやるよ! ったく、ここの牝どもはどうしようもない変態だなぁ!」


 こうして、英雄である中井拓哉の異世界ドリームは続いていく。

 これは、『オナホランド』という卑猥な名前を持つ世界が、まだ『イェルガルド』であった頃の神話の話であった――――。



(終)

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