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性杯戦争について

性杯戦争とは

性杯戦争シリーズのさすらいのヒモ、オリジナル設定です。聖杯と名付けられているが、聖杯ではないものが様々な世界へアクセスして美少女・美女を強制召喚し、さらにその美少女や美女と相性の良いサーヴァントをパートナーとして聖杯戦争を行う────はずでしたが、バグが発生してエラーが起こり、聖杯が性杯となったとい...

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 ここは現実ではない。

 天の川銀河太陽系惑星地球、その星に住まう知的生命体である人類の歴史でいうところの二十一世紀初頭の日本国首都東京を模して形作られた箱庭空間。

 ここは、そういう特殊な空間なのだ。

 ただ、その空間の中心には『聖杯』と称せられる万能の願望器が存在している。

 時間も次元も、常識も法則も異なる世界から、『聖杯』に選ばれた『マスター』が強制的に呼び出され、そのマスターたちは自分たちの『力』である『サーヴァント』を召喚する。

 7人のマスターと、7騎のサーヴァント。

 彼女たちをPC(プレイヤーキャラクター)とし、聖杯をGM(ゲームマスター)とするならば、この東京の街に溢れかえっているそれ以外の、まるで生きている命のように見える存在は、実際は命を持たずにそれぞれの世界に実在した人物たちの行動パターンをインプットされただけのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)だ。

 聖杯という名のGMは、この世界で唯一の命であるマスターに戦えと命じた。

 勝ち抜いた一人に奇跡を与えると、勝手に呼び出しておいて、勝手に決めてしまった。

 通常の聖杯戦争と異なり、脱落なんて許さないと。

 残酷に、冷酷に。

 戦え、戦え、と。

 聖杯は、戦いを命じたのだ。



 そのキッチン付きワンルームの学生用アパートの一室は、『西住しほ』にとって見慣れない間取りの部屋である。

 生まれたときから『西住流』の総本家である西住の家で生まれ育ったしほは、そのお膝元である黒森峰高校や系列大学で寮生活の経験こそあるものの、それでも特待生ということもあって特別な一人部屋を用意してもらっていた。

 そのため、このような一般的な学生が住むような部屋に足を踏み入れた経験というもの自体が少ないのである。


「そんな……みほ……」


 そのしほが今、部屋の主と思われる少女が眠っている布団の横で呆然とした顔で立つしかなかった。

 部屋の真ん中に置かれた布団の中で眠る少女の名は、『西住みほ』。

 他ならぬ、しほの愛娘である。

 寝顔でもはっきりと美少女だとわかるその可憐な顔立ちは、怜悧な美貌のしほとは少々異なった柔らかな印象を与えるものだった。


「なんで、こんなことに……」


 撃てば必中、守りは固く、進む姿は乱れ無し。

 鉄の掟、鋼の心。

 それが西住流。


 その心得を体現したことで『西住流そのもの』とさえ讃えられた、『戦車道・西住流家元』という立場に相応しい感情の揺れを感じさせない鉄の仮面も、今は維持できない。

 しかし、そんな呆然とした顔でもなお、しほは美しい。

 長い黒髪はくせ毛一つない面長の顔にかかっており、その中では少し細い目と高く伸びる鼻に赤い唇が奇跡的なバランスで配置されて美貌を形作っていた。

 『大和撫子』、『和風美人』と言った時に思い浮かぶ姿の一つだと言っても良いだろう。


 だが、それでいてその体つきは日本人離れした豊満さを持っている。

 二人の娘を産んだ経産婦の影響か、胸はその顔にも等しい大きさである。あまりにもはしたない、少女の道徳形成をお題目にしている戦車道の家元に相応しくないと普段は矯正下着で無理矢理に押し詰めているほどだ。

 その豊満さは胸だけではなくお尻もまた同様だ。楽々とした安産であったと、友人と呼ぶには少々因縁が強すぎる島田流家元に出産の経験をポロリと漏らした際に妬ましそうに見られた経験があるぐらいには、しほの骨盤は大きく広がっており、そこには引き締まりつつも柔らかな媚肉がたっぷりと搭載されている。

 それでいて、三十代の若さで家元に就任したしほは現役であることを求められるため、書類仕事の合間を縫っては肉体維持を欠かすことはない。そのくびれた腰は本当に二人の娘を産んで十数年が経った母なのかと疑いたくなるほどだ。

 西住流家元ということでメディア露出の多いしほは、そんなこともあって多くの男たちの欲望の視線にさらされているが、本人の性経験は夫である西住常夫ただ一人という、清いものである。


 そんな美しも気高い、『鉄の女』とさえ揶揄されるしほは、娘が眠る横でフラフラと身体をよろめかし、ついには力なく膝を床についてしまった。


「マスターは眠りにつきました。すぐに死んでしまうということもありません。

 ですが、このまま眠り続ければ儚くなってしまうでしょう」

「……っ!」


 そんなしほに対して、その背後から鈴の鳴るような声が響く。

 そこには、若い頃から大和撫子と名高かった美しさを誇り、今でもメディアで『美しすぎる家元』として取り上げられているしほに勝るとも劣らぬ美女が立っていた。

 しほと同じく真っ黒な黒髪には枝毛一つもなく、面長なスラリと伸びる顔立ちはしほと同系統の和風美人である。

 しかし、その胸と尻の豊満さと腰のくびれはしほ以上のエロティックな起伏を作っている。

 牛のような大きすぎる胸と尻に、アスリートという言葉で括るのもまた異なる戦士として鍛えられた腰回りの凹凸さが、男の欲望をそそりながらも怖れを抱かせる、神秘的な美しさを持っていた。

 どのような男でも思わずひれ伏して精を吐き出すことを懇願したく鳴るような、そんな『強く美しい女傑』といったものを形にしたような女であった。


「この世界に招かれたからには、貴方も聖杯から情報が与えられたでしょう」

「聖杯、戦争……それに、みほが巻き込まれていたというの?」

「そうです。そして、勝利するでもなく、また敗北することでもなく、戦いになることもなく、この街に蔓延する怪異にその心を漬け込まれて寝込んでしまった。

 それを聖杯は『もったいない』とでも思ったのでしょう。

 マスターである西住みほを排除するでもなく、『二人目のマスター』を呼び込んだ――――それが貴方、西住しほです。

 この私、『源頼光』のマスターとして、みほのために戦いなさい。他ならぬ西住みほの母として、この子を守り抜きなさい」


 源頼光。

 当然、しほも知っている。

 講談や演劇などもよく題目となるあの頼光四天王の頭目、平安時代に活躍した神秘殺しの源氏武者だ。

 それが女であるという驚きの事実を明かされたのだが、不思議としほはそれを呑み込むことが出来てしまう。

 名を騙っているとか、信じられないとか、そんな『面倒なこと』は考えなかった。

 恐らく、これもまた聖杯より無意識のうちに刷り込まれた『情報』の影響なのだろう。

 聖杯戦争を円滑に行うための、最低限の介入ということだ。


 しほは、言葉を続けていく頼光をじっと見つめる。

 マスターと呼んだ少女が覚める見込みもわからない眠りについてしまったというのに感情の一つも見せない姿は、まさしく人の上に立つ酷薄な女としての姿だ。

 だが、しほにはわかる。

 わかってしまう。

 この頼光もまた、冷徹な鉄面皮に隠しつつも強烈な激情を胸の中で燃やしてしまっていることが。

 同時に―――――新たなマスターとして呼び出された西住しほに嫌悪を持っていることを、歴史上の偉人と比べるのもおこがましいが、一種の同類であるしほは気づいてしまった。


「私は彼女を守ろうとした。

 武士として、英雄として、この儚い少女に悪意が向かないように、と。

 傷ついて良い理由など一切この少女が『再び』傷つけられることはあってはならない、と。

 戦場から遠ざけて、普通の生活を送らせて――――遠ざけることで守っているつもりになっていた」


 源頼光という英霊は多くの顔を持っている。

 それは二重人格だとか、その内側に別の霊を持っているだとか、そういった意味ではない。

 娘でありながら嫡男であることを求められ。

 女でありながら父であることを求められ。

 人の営みを焼き払う魔性を備えながら慈愛もまた持ち得ていた『優しき人』であるというのに『冷徹』であることを求められ。

 そんな、優しくも哀れな頼光がその全てに応えようとしたことで生まれた『仮面』の数のことだ。


 バーサーカークラスとして顕現した際には、その仮面の全てを放り捨てた、生前の頼光からすれば一種の狂気とさえ言える暴走を果たした『母』として『愛』を与えるありのままの『私人』としての頼光として現れるだろう。

 ランサークラスとして顕現した際には、京の都の治安を維持しようと悪徳が行われていないかと目を光らせて武士として罪を取り締まっていた、『秩序の守り手』としての頼光の顔が強調されてしまうだろう。

 では、ライダークラスではどんな顔が出るか。

 ライダークラスの頼光は、あらゆる意味で『武士の棟梁』としての一面が強調されてしまう。

 荒くれの一面を持つ武士集団を治めるリーダーとしての冷徹さを振るわんとする頼光は、ある意味ではバーサーカークラスの頼光の正反対の姿だ。

 すなわち、公人としての頼光は人としての暖かさを受け入れることは出来ない。

 苛烈であるがゆえに脆さを兼ね備えるライダーの頼光は、私人としてあり得たかも知れない幸福に耐えられないのだ。

 かつてどこかの世界で、『英霊剣豪』という名の悪鬼羅刹である『黒縄地獄』として召喚された際にライダークラスであったのは、公人としての頼光が最も剣鬼に近しいからだろう。

 母にもなれず父とも振る舞わず、ただ人と鬼を斬り捨てることに生涯を捧げる姿は化生とどんな違いがあろうか。

 丑御前という魔性とは全く別の、源頼光という魔性が存在するのならば、それは確かにライダークラスの頼光が最も近しいはずだ。

 その先天的な雷神としての魔性と後天的な剣鬼としての魔性、二つの魔性を力として振るうことの一切を辞さない頼光は、なるほど、危ういバランスが成り立っているからこそ魔性を求められるならば、ライダーのクラスで呼ばれるのだろう。


「その結末がこれです」


 吐き捨てるように、頼光は口にしていく。

 今、頼光の目の前には母から見捨てられた娘が眠り果ててしまい、嫌になるほどに母ではなく父として振る舞う女が居た。

 『同病相憐れむ』という同情と、それ以上の『同族嫌悪』が胸から湧き上がる。

 しほも頼光も、『素直になる』ということを許されない公人の立場としてを背負っている女なのだ。


 だが、しほと頼光は決定的な違いを持っている。

 それは、しほは確かに娘を愛して母として振る舞っていた時期があったということだ。

 それが、頼光は憎くて仕方ない。

 人に害する魑魅魍魎へと向ける使命感のような怒りから生まれる憎しみとは異なる、私情にまみれた醜い妬みによって汚された憎しみである。

 この女は子を孕み産んだのに、母として呼ばれたのに、娘を捨てた。

 健気なる少女を救うために必要であるとは言え、首を切り落とそうと疼く腕を抑えることに必死になってしまう。

 いや、バーサーカーとしての頼光ならば、本当に我慢が出来ずに斬り落としていたのかもしれない。


「マスターは眠りました、聖杯戦争による攻撃だと推測できます。体力的な衰弱による死亡の危険はもちろんのこと、最も危険性が高いのは魔力を吸いつくされての死亡です。無理矢理にでもマスターへと『魔力供給』をしなければいけないでしょう」


 この親から捨てられた哀れな少女のことを娘と呼びたかった。

 冷徹なる武士としての頼光はそこにストップをかけたが、狂気に身を落としたバーサーカーとしての頼光ならば嬉々としてみほを娘と呼んでいただろう。


「それの協力者までは見つけました。彼もまた、聖杯に呼ばれた存在。貴方のように、『最初に選ばれたマスター』とは異なる、『聖杯戦争を行うための協力者』としての存在です」


 頼光はその言葉とともに手を三度ほど叩くと、待機していたのだろう、ガチャリと薄いドアが開けられて一人の中年男性が入ってきた。


「どーも♪」


 醜い男だった。

 細い目、低い鼻、分厚い唇、脂肪で弛んだ首周りに脂の浮かんだ広い額と丸い頬だ。

 さらには、チリチリと焦げ付いたような強烈なくせっ毛なのだが頭頂部からは毛根が失われている禿頭をしていた。

 おおよそ美しさというものを捨て去っている、女性ならば生理的な嫌悪感を抱いて当然の醜男である。

 自分で呼び寄せたくせに、頼光の鉄面皮が一瞬だけ嫌悪感で崩れ去るほどの

 さらに、醜悪な顔をした男は体つきもまた醜悪であった。

 女性としては長身である168cmの身長を持つしほよりも低い背は、175センチの頼光と比べると頭一つ分は違うほどのチビで、それでいてそのお腹周りはしほと頼光の細すぎるウエストを合わせてもまた太い中年太りのビールっ腹をしたデブである。

 さらには手足が短ければ指も太くて短い、胴長寸胴の体型だった。 

 しほと頼光が美しすぎるが故に、その男の醜さが際立ってしまう。


「へえ、ここがみほちゃんの部屋か~、ぶひひ、現役JKのいい匂いと可愛い小物でいっぱいだなぁ♪」


 顔色を滅多に変えないしほは、嫌悪感を隠すことが出来なかった。

 みほは今、生死の危機にあるというのに緊張感がかけらもないこの男に怒りさえ湧いてくる。


「すぅ……はぁ……」


 それは頼光もまた同様なようで、指がわずかに震えている。

 首を切り落とそうとする本能を止めようと必死なのだろう。

 大きく深呼吸をして冷静さを維持しようとして、そのまま言葉を続けていく。


「彼は魔術師です。彼は、その、私たちと身体を交わらせることで、みほへ魔力と生気を送り込む……性魔術に長じた、優秀な魔術師なのです」

「なっ!? そ、それは、まさか……!?」


 しほは馬鹿ではない、むしろ、その聡明な頭脳を若い頃から称賛されてきたほどの才女だ。

 その言葉の意味を理解して顔を赤くし、そして、すぐに青ざめさせてしまう。

 それを見た中年の魔術師は、その醜い顔をさらに醜く歪ませていく。


「ぐひっ! そういうことですな、しほさんと頼光さんが儂とセックスをすることで、みほちゃんの命を維持するのです! それが儂の性魔術の本領、セックスを通じて人の命を活性化させるってわけだ! 若返り効果に運動能力増強、それどころか知能指数が上昇することだってある、最高のサポート魔術でありますな!」


 セックスに秀でた魔術を持つ男は、正確に言えば頼光が知る魔術とは別の世界の魔術である。

 聖杯が数多の世界に繋がった、それこそ奇跡のような代物である以上はそんな人物を呼び寄せる――あるいは、創り上げることも可能なのだ。

 そんな中年の魔術師は自分が圧倒的な優位にあるということを理解しているために、ニヤニヤとした醜い笑みを浮かべながら、布団の中でスースーと可愛らしい寝息を立てるみほにすらも良からぬ感情を抱いているようで、床に膝をついて、その分厚くて短い不器用そうな指を伸ばしていく。


「上手くいけば、精力が身体を回ってこの子の身体に回っている悪霊も出て行って―――」

「触れるな」

「ひぃ!?」

「貴方を殺さずに苦しめる方法など星の数ほどあるということが理解できていないようですね? 彼女の尊厳を貶めるのならば、それ相応の代償を支払う必要がありますよ?」

「それは私も同様です。みほに手を出そうと言うならば、あらゆる手段を持って貴方に苦しみを与える……いいですね?」


 だが、みほにその指が届くよりも早く、いつの間にか抜刀していた頼光の刀――――ライダーとしての宝具でもある『童子切安綱』が中年男のあるかも妖しい首の奥の喉元に突きつけられていた。

 その氷のような瞳には慈悲など欠片もなく、調子に乗っていた中年の魔術師の背中に冷たいものが走ってしまう。

 そこに、頼光と同じく『絶対零度』という視線をした美女のしほが虫けらを、いや、屠殺された食肉となってスーパーに並んでいる豚肉を見るようななんの感情もこもっていない視線を向けてくる。

 二人がどんな美女よりも美しいからこそ、その感情の乗らない瞳が恐ろしい。

 だが、それでも。


「……ぐふふっ♪」


 背筋こそ冷えたもののその男から溢れたものは、やはり醜悪な笑みであった。

 理由は簡単。

 自分のことを下衆だと見下している、いかにも実力も社会的地位も兼ね備えた『強い女』と言ったこの二人の美女を犯すことが出来るからだ。


 中年魔術師の性魔術でみほを延命させ、あわよくば覚醒に導く方法とは単純な方法である。

 男は精液を女体に注ぎ込むことで、莫大な魔力を生み出すことが出来る力を持つ。

 それは無から有を生み出す奇跡の御業のように、一見は思えるだろう。

 だが、彼の魔術の本質は『セックス』という縛りを設けることで、対象の魔力を著しく増幅させるというものなのである。

 

 今回の場合は、男も言ったようにみほへ直接精液を注ぎ込む睡眠姦が手っ取り早いが、みほを大事に思う二人の美女によってそれを却下されてしまった。

 そのため、二人の体を経由してみほへと魔力を注ぎ込むのである。


 サーヴァントである頼光の場合、元々みほと魔術的な繋がりが持っているため、本来みほから頼光へと流れていく魔力を、頼光からみほへと逆流させるようにするのだ。

 『身体を紡ぎ合う』という概念が根底にある『性魔術』のスペシャリストである中年魔術師だからこそ可能とする技であり、こうすることで頼光とセックスをしてみほへと魔力を注ぎ込もうという魂胆である。

 しほの場合は、また別の方法を用いる。

 血は水よりも濃いというが、肉親というのは魔術的には最重要視される要素だ。

 遺伝子的にも深い組み合わせがある二人を、『近似の存在』であると定めることで、一種の『置換魔術』の応用で肉親のしほへと注ぎ込んだ魔力をみほへと置き換えていくのである。


 こうすることで、常に失われていくみほへと魔力を回すことが出来るのだ。

 もちろん、一番良いのは眠っているみほを『睡眠姦』することで直接性を注ぎ込むことだが、みほを愛する二人の母がそんなことを許すわけがない。

 いや、それしか方法がなければ血涙を流しながらも受け入れただろうが、現実には代替方法が存在しているのだ。


「ぐふふ……では、よろしく頼みますよ。しほさんに、頼光さん♪」


 こうして、太鼓腹を許す醜悪な中年魔術師へと、『戦車道西住流家元・西住しほ』と『神秘殺し・源頼光』の二人の美女は身体を捧げることになったのである―――――。





 だが、しほの屈辱は。/だが、頼光の冷徹は。

 全て、滑稽なものであった。


 これは、聖杯戦争などではない。

 これは、性杯戦争。

 薄汚れて爛れた欲望が、男にとってだけ都合の良い欲望が、世界を歪めて作り上げたモノ。


 悲劇ではない。

 英雄譚ではない。

 喜劇ですらない。


 これは、単なるポルノショー。

 美しい女たちが、男たちの毒牙にかかるために集められただけの、どうしようもない醜悪なショーなのだ。


 西住しほと源頼光が、男の欲望によってその心すらも都合よく捻じ曲げられるまで。

 あと――――。


(続)

性杯戦争~ライダー陣営『マスター:西住しほ&ライダー:源頼光』~


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