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第1話

第2話

【NTR】黒く染められた特異点~アルトリア・ペンドラゴン[ランサー/ルーラー]の場合~【BBC】

上記の作品と同じ世界でのお話になりますが、前作を読まずとも問題ないと思われます。アルトリア・ペンドラゴン[ランサー]とアルトリア・ペンドラゴン[ルーラー]は同一個体としての設定で、水着獅子王がデブパワーリフターのような体型の黒人のBBCに完堕ちして恋人のマスターを捨てて永遠の忠誠を誓っちゃうお話です。よ...

第3話

【NTR】黒く染められた特異点~虞美人の場合~【BBC】

前々回 前回  日本でも指折りの観光地として賑わう、2017年の由比ヶ浜を舞台にして発生した特異点。  その『黒人崇拝海岸・由比ヶ浜』は、ついにカルデアへ毒牙をかけんとしていた。  微小特異点ではあるために人理へと直ちに与える影響は大きくないものの、観測者であるカルデアに所属するサーヴァントを強制的に...

第4話

【NTR】黒く染められた特異点~カイニスとモードレッドの場合~【BBC】

第1話 第2話 第3話 ──────────────────────────────────────────────  『人理継続保証機関フィニス・カルデア』の新たなる拠点、『ノウム・カルデア』。  『人理焼却』という大災害から人理を救い、現在進行系で『人理漂白』という大侵略から人理を取り戻すために奔走している、人類最後のマスター・『藤丸立香』。彼...

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 『人理継続保証機関フィニス・カルデア』の新たなる拠点、『ノウム・カルデア』。

 『人理焼却』という大災害から人理を救い、現在進行系で『人理漂白』という大侵略から人理を取り戻すために奔走している彼こそが、人類最後のマスター・『藤丸立香』である。

 立香は日本人特有の細い骨格と比較しても華奢なところがある細身の体つきであり、『サーヴァント』という英雄豪傑揃いのカルデアにおいては、女性と見間違ってしまうほどだ。

 そんな頼りない細身の体格から想像できる通り少々気弱なところもある立香だが、その魂にこびりついている善性と油汚れよりもしつこい諦めの悪さが、歴史に名を残した女性たちの琴線に触れたのだろう。

 立香はこのカルデアでは『ハーレム』を作り上げていたのである。


『アルトリア・ペンドラゴン[ランサー]』

『虞美人』

『カイニス』

『モードレッド』


 パッと思いついた名前を挙げただけでも錚々たるメンバーだ。

 さらに、直接な性的関係はないが、『源頼光』などは立香が望めば体を預けるであろうという『準・ハーレムメンバー』なのである。

 そんな、ある意味では『男の頂点』に立っていると表現しても良い立香だが、そんな彼にも拭い難いほどの『弱点』というものが存在していた。


「マルタさんっ、マルタさん! ふぅ、はぁぁ……気持ちいい、気持ちいいよぉ……!」


 ぱちっ、ぱちっ、ぱちんっ。


 そんな弱々しい音とともに、立香は必死に自身の腰を一人の美女の腰へと打ち付けていた。

 場所はマイルームで、美女は『マルタ』。

 波紋一つない夜の湖面を思わせる艷やかな長髪と優しげな美貌を持つマルタだが、もちろん彼女もこのカルデアに存在する以上はただの美しいだけの女ではない。

 マルタもまた歴史に偉業とともにその名を刻んだ『英霊』の一人なのだ。

 『聖マルタ』――今から2000年近く前に誕生した、名高き救世主の使徒にして、荒ぶる竜を慈悲を持って鎮めた『水辺の聖女』である。

 そんな聖女であるマルタは今、その衣服を脱ぎ捨てた状態で立香のベッドに寝そべって彼と体を重ねていた。


「ええ、マスター。どうぞ、ゆっくりと動かしても良いんですよ」


 マルタは自身に向かって腰を振ってくる立香へと、慈愛に満ちた優しい表情でピストン運動を受け止めている。

 今のマルタの表情には『快感に悶える』といった、心地の良い苦しさを覚えている様子は一切存在しない。

 当然だ、立香とのセックスでその手の幸福を味わえることは出来ない。

 そう。

 名高き騎士王やその配下である叛逆の騎士と、楚漢戦争に名を残す美しき貴人に、ギリシャ神話に伝わる僭主を侍らしつつも、さらには聖女からすらも愛情を向けられている立香だが、その豪華過ぎるハーレムの王として立つには相応しくない、非常に『精力の弱い雑魚雄』だったのだ。


「ま、マルタさん……もう出る、出るよ……!」

「ええ、どうぞ。お好きに気持ちよくなってください」


 セックスをしている女性を相手に向けるべきではないだろうが、マルタは聖女らしい柔らかい表情で、自分の体にのしかかっている立香の背中に手を伸ばして抱きしめている。

 そこでマルタは腰をかすかに浮かせる、少々マルタの体に負担がかかる姿勢のまま立香の射精を受け入れる準備をしていくのだ。

 カイニスやモードレッドのように乱暴に犯されるわけでもなく、ただ自分が気持ちよくなるために動いてくれて、自身の自分勝手な射精を受け止めようとしてくれている。

 肉体的な快感はもちろんのこと、精神的な充足が与える快感に立香は堪えきれず射精をするのだった。


「うぅっ! 射精るっ! 射精るぅ!」


 どぴゅっ、ぴゅっ、ぴゅっ~……


 立香の肉棒が弱々しい脈動をしながら、マルタのきつすぎる膣穴へと射精をしていく。

 腰回りが引き締まったマルタのスタイルから分かる通り、彼女の膣穴の締まりは非常に良い。

 それこそ、勃起をしてもふにゃふにゃとなる立香の短小チンポではそのチンポを根本まで上手く挿入させることが出来ないのだ。

 立香の持つ精力の弱々しさでマルタのきつきつオマンコを突破できないという意味では、チンポだけでなく精液も同様で、子宮に届くこともなくチンポが挿入された膣口の端からポタポタと薄い精液が漏れ出してしまっているほどである。

 

「はぁ……はぁ……」

「ふふ、今日もたくさん出しましたね♪」


 自身の子宮にも届かずにオマンコから流れ落ちていく精液を感じ取りながら、射精の疲労によって肩で息をしながらマルタに体を預ける立香の背中を愛おしそうに撫でながら、マルタは優しげな声をかけていく。

 本来ならば性行為となると男女ともにある程度の疲労が生じるものなのだが、今のマルタにはそんな性行為の後だと到底思えないほどに余裕を持った態度で立香を労っていた。

 立香ほどにチンポも粗末なもので精液も薄い上に少ない、そんな精力的な雑魚雄が相手では肉体的な快感を覚えるわけがないし、サーヴァントは一般的な女性とは比べようもないほどに肉体的に優れているのだから、立香とのセックスでマルタが疲労しないことは当然と言えるだろう。


「うっ……ご、ごめん。もう、なんだか……眠くて……」

「ええ、マスター。ゆっくりと休んでちょうだい。今日も、お疲れ様でした……♪」


 そんなマルタだが、自分に甘える立香の態度に精神的な充足感を強く覚えていた。

 その充足感の正体はマルタ自身が『姉御肌』であることによる『相手にお世話をする欲求』とでも言うべき『奉仕欲求』を満たせるということもそうだが、マルタが『聖女らしくあろう』という責任感から生じるロールプレイを快感で剥がれることはないという安心感の二つから生じるものである。

 もしも、立香が性的な強者であってマルタが自身を保つ余裕を失うほどに強い快感を覚えてしまえば、聖女らしい柔らかい言葉遣いや穏やかな表情を維持することは出来ないだろう。

 その点、立香のような性的な弱者が相手ならば、そんな余裕を失うほどに快感を覚える心配がないために、安心して弱々しい弟分の恋人として立香を可愛がることが出来るのだ。


「すぅ……すぅ……」

「マスター、安心しなさい。貴方が人理を取り戻すためという使命を忘れず、貴方のままで居られる限りはわたしたちはずっと側で支え続けますからね……♪」


 愛情に満ちた視線を自身の胸で眠る立香へと向けたまま、マルタはゆっくりと囁いていく。

 カルデアに召喚されたサーヴァントの中では『最古参』と呼べるほどに、立香との旅を続けているマルタの愛情は間違いなく本物である。

 ただの人間だと言うのに人理を救うためにも必死に走り続けている彼に対して、マルタは恋人としても弟分としても強い想いを抱いているのだ。

 その想いが揺れることはないとマルタは強い確信をしていた。



 そう、あの特異点――――『黒人崇拝海岸・由比ヶ浜』に呑み込まれるまでは。







[SIDE:藤丸立香]


 新たに出現した特異点、『黒人崇拝海岸・由比ヶ浜』へと人類最後のマスターである藤丸立香がレイシフトしてから早くも半月が経とうとしていた。

 普段の立香と、彼と主従契約を結んだサーヴァント達ならばある程度の手がかりを掴んだり、手がかりとは言わずとも少なくとも特異点が引き起こしているその場特有の異変を嗅ぎつけているはずの時間をかけている。

 だが、この由比ヶ浜においては一向にその手がかりも異変も見えてくる気配すらなかった。

 ただ調査に進展がないということは、サーヴァントたちの中に平気な顔をして遊び呆けている人物たちが現れだすということも否定は出来ないことである。


「だからアンタたちもさっさと仕事をしなさいって言ってんのよ!

 ここはれっきとした特異点で、遊びの場じゃないのよ!」


 ここは由比ヶ浜にあるホテルのロビーの片隅、そこに三人の美女と華奢な日本人男性が向かい合っていた。

 向かい合っている三人の美女はマルタと、カイニスと、モードレッド。

 そして、マルタの隣に立ってカイニスとモードレッドへと困ったような頼りない視線を向ける華奢な青年は立香である。


「あーあー、うるせーうるせー。だから言っているだろ、オレたちも『チョーサ』してるってよ」

「色んな場所で聞き込みとかしてんだよ、わかるか? 仕事ぐらいするっつーの」


 目の前でマルタにお説教を受けているカイニスとモードレッドのカルデア不良コンビこそがその筆頭であった。

 カイニスは自身の首に巻いた黒いチョーカーについたアクセサリーを指先で弄り、モードレッドもまたその小さくも形の良い耳につけられた黒いピアスに触れながら、両者ともに面倒くさそうな表情を作ってマルタのお説教を聞き流している。

 午前中に由比ヶ浜を歩き回って調査をしていた立香とマルタの二人は、遅いお昼ごはんを食べようとホテルのレストランを利用していたところを、そんな二人とは対象的に楽しそうに遊び回っているカイニスとモードレッドを見つけて、真面目なマルタの怒りが爆発したのだ。


「じゃあなんの成果があったか、報告しなさいよ!」

「いやぁ、それが一向に聖杯の気配もしなけりゃ、妖しい部分ってのも見つからなくてよ。なぁ、モードレッド」

「何もわかんねえってことがわかったってところか? そうだろ、カイニス?」

「アンタたちねぇ!」


 姉御肌で風紀委員長気質のマルタは、調査を名目に遊び呆けているとしか思えないカイニスとモードレッドの不真面目な態度がよほど許せないようで、普段は演じている『聖女』らしい振る舞いが吹き飛んでしまっている。

 とは言え、立香もカイニスもモードレッドも、マルタのこのような村娘らしい蓮っ葉な一面があることを良く知っているために、それを突いてからかうようなことはしない。

 カイニスとモードレッドは、ニヤニヤとしたままその黒いアクセサリー――『真っ黒なスペードマークの中心をQの形に切り抜いた』形の、『QoSアクセサリー』を見せつけるように弄りながら、マルタへと声をかけていく。


「まあ、マルタもこの特異点を歩き回ってみろよ。へへへ、ここが嫌なことなんて何もない場所だって嫌でもわかるはずだぜ♪」

「そういうこと。むしろ――――ぷっ♪ カルデアなんかよりもよっぽど正しい場所だってわかるはずだぜ♪」


 カイニスとモードレッドは、お説教に熱が入ってヒートアップしているマルタに対してどう宥めたらいいかわからずにオドオドとした様子の立香をちらりと視線を向けて、一瞬だけだが嘲笑を浮かべる。

 その嘲笑を向けられた立香は、女性に馬鹿にされるということで性的な快感を覚えたのか、顔を真赤にした後に体を震わせてしまっていた。

 立香が行うカイニスやモードレッドとのセックスは、常に二人の勝ち気な美女がサディスティックな笑みを向けながら彼を責め立てる女性上位のSMプレイであるために、立香は二人に蔑まれるような扱いを受けることで反射的に気持ちよくなってしまうように調教されてしまっていたのである。


「言い返せもしねえのかよ、本当情けねえ……いや、なんでもねえよ。

 まあ、マルタもマスターと一緒に調査してみな、この特異点のことがわかるはずだぜ?」

「マジで『あの人』と同じ男と思えねえぜ……あん? 何も言ってねえよ。

 そんなことよりも、さっさと行ったらどうだ? マスターみたいなやつは、せめて自分の足であるき回って情報を集めねえとな」

「っ……アンタたち、この特異点を解決したら本当に覚えてなさいよ。行きましょうか、マスター」

「あっ、う、うん。わかったよ、マルタさん」


 相変わらずニヤニヤとした表情の不真面目なヤンキーコンビに背中を向けながら、マルタはホテルへと出て、実際にこの由比ヶ浜の様子を調査することに決めたようだ。

 そんな背後からはっきりと苛立ちを感じられる足取りのマルタの背中を、追いかけていく立香は前屈みになりながらひょこひょことした情けない動きで追っていく。


「マジでキモいな、あいつ。あんなのの雑魚チンポを使って性処理してイキってた過去を消し去りたいぐらいだぜ。まあ、マルタもあんな奴のお守りをやってること自体が不幸だって、海岸に出りゃ嫌でもわかっちまうだろ」

「御主人様とは比べ物にならねえよ……いや、貧弱な黄色い猿と偉大な黒人様を比べるのも失礼か。しっかし、マルタのやつはマジでいい女だな。ただでさえエロい体なのに、この特異点の影響でさらにエロくなってやがる。こりゃ、黒人様も放っておかないだろうな」


 遠のいていく立香とマルタを見送った二人は、立香の男としての魅力をとことん蔑む一方で、マルタの体つきへといやらしい視線を向けていく。

 カイニスとモードレッド自身がマルタに性欲を向けているのではない。

 人を貶めることを躊躇わない、むしろ、率先して女を堕落させて偽りの幸福を与えて自分たちの同類にしてあげようとする、歪みに歪んだ奴隷根性が産む、卑しい視線だ。



「あー、もう! イライラするわ! 本当に、あの二人はカルデアに戻ったらとことんお仕置きをしてやらなきゃ気が済まない!」

「あ、あはは……落ち着いてよ、マルタさん」



 そんな立香を蔑みつつもマルタの堕落を望んでいるカイニスとモードレッドの声は、幸か不幸か何も知らない雑魚雄と美女の二人組の耳には届かない。

 二人は夏服のまま動いており、マルタもまた普段の修道服とは違って、水着姿であった。


 普段の服装は、修道服というにはあまりにも肌の露出の多い胸元が大きく開いた上に生足が丸見えになっている前垂れとローブだけという服装なのだが、それでも清楚な白い髪飾りと水色の肩掛けで聖女らしい清楚さを保った服装である。

 一方でマルタはこの由比ヶ浜特異点では、『水着霊基を持つ女性サーヴァントしか踏み入ることしか出来ない』というルールに従って、いつかの夏にスカサハによる霊基改造を受けて手に入れた水着霊基でレイシフトを行っていた。

 通常霊基のマルタと水着霊基のマルタの最大の違いは、その戦い方である。

 通常霊基のマルタは、かつて救世主から賜った聖杖を手にとって戦う慈愛の聖女だ。

 しかし、水着霊基のマルタは『夏が持つ魔性の魅力』によって『理性がどこか浮かれ気分』になってしまっているために、その杖を置いて拳を中心に戦うファイタースタイルの戦士となっているのである。

 そう。

 本来ならば、『それだけ』の違いに過ぎなかった。


「……ごくっ」


 立香はマルタを宥めながらも、彼女の体つきを見て思わず生唾を呑んでしまう。

 この特異点の影響なのだろう。

 例を挙げるならば、本来は華奢な少女らしい体躯をしたモードレッドはこの特異点の影響で男好きのするデカ乳とデカ尻を携えたドスケベボディへと変わってしまった。

 カイニスや虞美人のように、本来ならば膨らむところは膨らみつつも基本的にはきゅっと引き締まった均整の取れたスタイル抜群の美女たちも同様に、アンバランスと言えるほどの爆乳とデカ尻へと豊満になってしまっている。

 頼光やアルトリアのように、元々が爆乳だった美女はその爆乳がさらに大きく豊乳化してしまい、ついにはその小さな頭部よりも大きく変わってしまっているほどだ。

 つまり、マルタもまたそのように爆乳化とデカ尻化してしまっていたのである。


「すごい……マ、マルタさんの体、エロすぎるよ……」

「? なにか言ったかしら……じゃなくて、こほん。なにか言いましたか、マスター?」

「い、いや! な、なんでもないよ!」


 立香の思わず漏れた言葉は、幸いにもマルタにもはっきりと聞こえなかったようだ。

 人類最後のマスターである立香のことをマルタは強く信頼しているようで、彼が不躾な視線を向けていたことには気づかなかったのだろう。

 そのことに立香は安堵しながらも、それでも懲りないのかチラチラとマルタのエロすぎる体つきへの視姦を辞めようとはしなかった。


「はぁ……はぁ……」


 ムクムクと、大したサイズでもないチンポが海パンの下で勃起していき、それを隠すように立香の姿勢はどんどんと前屈みになっていく。

 それほどに、今のマルタの体つきはエロいものだったのだ。


 元々のマルタは、水着霊基に『天性の肉体(海)』のスキルが現れるほどに完成された肉体美が所有している。

 スラリと伸びる長い美脚。

 キュッとくびれた細いウエスト。

 それでいて後から足したように手のひらから少し溢れるぐらいの大きさの、形の良い美乳。

 マルタが港を歩くだけで男たちは垂涎を垂らしてマルタを見つめ、男としての衝動を抑えきれずにズボンの下のチンポを反射的に勃起させてしまうほどの優れたスタイルをした美女、それがマルタであった。


 それが今のマルタは、本来ならば完成されて変わるはずのない天性の肉体が特異点の影響で大きく変化してしまっている。

 スラリと伸びる長い美脚には、長さはそのままだがムッチリとした媚肉がたっぷりとついてそこに顔を挟めばそのまま窒息死させられるほどにぶっとい太腿にエロく変わり果てていた。

 キュッとくびれた細いウエストには、余計とさえ思えるほどに柔らかな媚肉がたっぷりと乗って水着のビキニパンツの上にそのお肉が乗ってしまうほどの、肥満の二つ手前ぐらいとなる抱き心地の良さそうなスケベ過ぎる腰付になってしまっている。

 その手のひらから少し溢れるぐらいの大きさでしかなった形の良い美乳は、もはやマルタの小さな頭にも比類するほどになるほどに豊満な爆乳となっており、全体的に均整が取れていた美しいスタイルは台無しな、とにかく男の性欲を満たすために存在するポルノボディへと変化してしまっていた。


 それでいてそんな卑猥な体つきに変わったというのにその身を包む、ネイビーカラーの水着自体には大きな変化が起こっていなかった。

 ビキニブラからは今にもその爆乳はこぼれ落ちてしまいそうで、窮屈に押し込められた双乳は本来はロケット型の形を長方形に歪めてしまい、長すぎるほどに長い谷間を作ってしまっている。ブラの端からチラチラと見えるピンク色の肌は、ひょっとしなくてもマルタの乳輪であろう。油断すれば今にも乳首も除けてしまいそうなほどに、彼女のビキニブラはマイクロビキニへと変わってしまっていた。

 いや、 マルタの下半身をつけている、たっぷりのフリルがつけられているビキニパンツと比べればビキニブラはまだ良いほうだろう。デカ尻化したマルタの臀部をそのビキニパンツを満足に包み込むことが出来ず、背後から覗くともはや尻の割れ目が半分近く見えるほどのローライズとなっている。さらに、前面はもっと酷い。マルタの鼠径部は丸見えとなっており、それだけでなくついにはデルタゾーンからはモジャモジャとした陰毛がたっぷりとはみ出してしまっているのだから。

 一応は、通常の水着霊基のように肌の露出を減らすためか赤いアウターも羽織っているのだが、いつもと同じように前を開いていても、通常ならば胸の前を隠せていた。だが、豊満化した爆乳ではその根本で止まってしまうために、むしろ『アウターを羽織ってみても、チャックで前を閉めることも出来ない』ということを感じさせて、その爆乳を強調してしまっているのだ。


「ねえねえ、お姉さん! オレと一緒に遊ばない? お姉さん、ここらへんに来たばっかりでしょ? オレってばこのあたりに詳しいからさ、きっとお姉さんを満足させられるよ!」


 そんなマルタなのだから、調査のためにビーチを歩いていれば当然ナンパが行われてしまう。


「……アンタ、私に連れが居るのが見えないの?」

「ああ、弟の面倒とかを見てるの? 大丈夫、大丈夫! 彼ももういい年でしょ? 放っておいても勝手に楽しむって!」


 立香という青年とともに居ることなどお構いなしで、それどころか『こんな華奢なもやしがこんなドスケベな女の恋人なわけがないだろう』、『友人としてお近づきになれるとも思えない、恐らくは弟なのだろう』という雑な推理をしてナンパを仕掛けてくるのだ。

 マルタは立香の恋人の一人、つまりは立香のことを愛している女である。

 ただでさえ軽薄なナンパ野郎を蔑視しているマルタが、愛する男をそんな扱いにされたのだから怒りを覚えるわけがない。


「ざっけんじゃないわよ! あいにく、彼は私の連れ! 弟なんかじゃないの! ここまで言えばわかるでしょ? アンタみたいな軽薄な男になんか欠片も興味もなくて、彼と一緒にいる予定だからさっさと消えなさい!」

「ひえっ!? す、すみませんでした~!」


 サーヴァントとして単なる一般人に向けるべきではない殺気と敵意を向けてしまう。

 気の弱いものならばその場で失神してもおかしくないほどの、凄まじい迫力である。

 ナンパ男は先ほどの好色そうな軽薄な笑みを引きつらせながら、足をもつらせながら立ち去っていくのだった。


「全く……本当に、夏は嫌いな季節じゃないしこの水着の霊基も気に入ってるけど、同じぐらい面倒よね。あんなヤツがどんどんと湧いてくるんだから」

「そ、そうだね」


 ナンパ男に対するマルタの不満げな顔を見ながらも、立香は同時にとてつもない優越感を覚えていく。

 あんな風に男を跳ね除ける、『強い女』がマルタだ。

 男に媚びることもないマルタだが、その一方で自分に対しては女としての顔を存分に見せてくれる。

 そう、自分はマルタという最高の美女に選ばれた男なのだ。


(こ、こんなにエッチな体になったマルタさんと、セックスできるかも……)


 普段のスタイルの良いマルタももちろん好きなのだが、本当に下品なことを言ってしまえば、今の爆乳デカ尻のムチムチな体つきのほうが立香の好みである。

 虞美人やカイニス、モードレッドとはそんな空気に出来なかった。

 頼光とはまだ体を重ねる関係になれていなかったし、立香の一番の好みの美女であるアルトリアに関してはこの特異点に先行調査に訪れていると聞いたものの一向に連絡が取れていない。

 しかし、マルタとならばセックスが出来るはずだ。

 先ほどカイニスとモードレッドに真面目に調査をしろとマルタが怒っていたことも立香は忘れて、この調査をさっさと終わらせて夜にホテルの一室でセックスをすることを考え出してしまっている。

 そんな煩悩に満ちた思考れが、良くなかったのかも知れない。



『Oh! 見つけマシタ! Youたちが、カルデアのマスターとサーヴァント、デスネ!』



 ――――この特異点で藤丸立香が持つハーレムを奪い去ろうとする黒人の一人に、目をつけられてしまったのだ。



「っ……マルタさんっ」

「マスター、私の背後に回ってください」


 突如として声をかけてきた人物は、筋骨隆々とした鍛えられた肉体の黒人男性だった。

 アジア人と黒人で単純な比較はし辛いが、年齢のほどは立香より上ぐらい、成人を迎えたばかりと言ったところだろうか。しかし、ニコニコとする人好きのする笑みを浮かべているために少々年若く見えるために実際はもう少し年齢は上かもしれない。

 ただ、その黒人の最大の特徴としては、とにかく『大きい』ということである。


 膨張した僧帽筋は首と一体化する勢いで盛り上がっており、本来は急所の一つである首への攻撃を無効化するのではないかと感じてしまうほどだ。

 その上腕二頭筋はあまりにも巨大で、その腕の一本だけでマルタのムッチリとしたウエストよりも遥かに太いほどに膨れ上がっている。

 極め付きにはパンパンに張り詰められた胸筋とは対象的にそこから続く腹筋の回りには一切の無駄な贅肉が存在しないために見事な逆三角形を作り上げている。

 ピッチリとした黒の海水パンツの下に伸びている大腿筋もまた太い。ムチムチとした柔らかさを感じさせるマルタのエロくぶっとい太腿と違って筋肉だけで作られた太さだ。


『Huh? どうしたノ? Relux,Relux. ワタシ、怪しいモノじゃないヨ?』


 そんな風に、見るだけで『強い』と感じさせるほどに鍛えられた黒人男性は人好きのするにこやかな笑みを浮かべて立香とマルタに近づいていくるのだが、当然、見るからに『強い』とわかるだけに立香もマルタも大きな警戒心を抱いてしまう。

 サーヴァント特有の雰囲気は一切感じさせないが、サーヴァントでなくとも奇妙な力を持つ存在が居ることは長い旅の中で立香は経験として知っている。

 もちろん、そういう妖しい存在がサーヴァントであることのほうが多かったが、それでも『サーヴァントではない』というだけでは安心できるわけではないということもよくわかっているのだ。

 この特異点に現れた『異常』とは、目の前のいかにも強そうな黒人のことなのかもしれない。


「そこから近寄らないで。そっちの攻撃範囲に入っちゃうでしょう」


 拳を武器にする格闘家でもあるマルタにとって、その人物の身長や手足の長さから『間合い』というものを把握することができる。

 そんなマルタが、要警戒をしていた。

 魔力を感じられないために、あくまでその強さは人間としての常識の範疇かそれを少し越えた程度の強さだろうが、それでも油断はできない。

 そう、サーヴァントであるマルタを緊張させるぐらいには、目の前の黒人男性が蓄えている筋肉が放つ『強さ』のオーラは凄まじいものなのだ。

 少なくとも、こんな観光地に居るとは思えない程度には、異常な強さである。

 事実として、この黒人男性は由比ヶ浜に知らずのうちに流れ着いていた黒人グループの中でも常軌を逸した格闘能力を有していた。それこそこの特異点に来る前には拳銃を持っている複数人の強盗グループを一人で制圧してしまったほどの力である。

 もちろん、サーヴァントであるマルタに真正面から打ち勝つほどの強さではないが、神秘を所有しない現代人の中では地上最強と名乗っても否定できないほどの強さだ。

 そんな黒人を前にして、マルタが油断をするわけがないのである。


『落ち着イテ、私ハ貴方たちの味方デス! カルデア、このSingular Pointを解決する組織ネ? 私、アルトリアさんに頼まれテ来まシタ! 力になれマス!』

「アルトリアから?」

「……あの騎士王から? なにか証拠は?」

『こちらの王冠、預かってマス。どうぞ確認してくだサイ』


 だが、そんな黒人男性は手を上げて敵意がないこと、それどころかアルトリアを通じている協力者であるを主張しながら、同時に肩からたすき掛けにしていた黒いバッグの中から一つの王冠を取り出した。

 美しいきらめきを放つその王冠は、然るべき場所に売りに出せば人生を複数回は遊んで暮らせるほどの金を手に入れることが出来るであろう、歴史的な価値はもちろんのこと純粋な宝物としての価値もある、騎士王アルトリア・ペンドラゴンが所有する王冠である。


「ま、間違いないよ。これ、アルトリアが最終再臨でつけていた王冠だ」

「マスターが言うのならば間違いはないのでしょうね。あの騎士王が簡単にやられるとは思えませんし、さらにはその敗北が誰にも知られずにひっそりと戦闘で敗北することはもっとないでしょうし……」

「と、とりあえず信じてみようよ。アルトリアがこれを預けるぐらいだから、信用は出来ると思う。でも、その、アルトリア本人は?」

『アルトリアさんは敵を警戒させないタメにマスターと合流はしないと言ってイマシタ。だから、私を代役にたててくれたんデス』

「……一応、筋は通ってるのね」


 黒人男性の言葉に嘘はないように思えた。

 カルデアでもトップクラスの戦力を持つアルトリアが簡単に囚われるとは思えないし、なによりも目の前の黒人は迫力はあるが敵意のようなものを感じない。

 立香とマルタは向かい合って頷きあい、黒人男性のことをひとまずは信じることにした。


『Yes! 信じてもらえたみたいデスネ! 私、ドミニク言いマス! よろしくお願いしマース!』


 筋骨隆々の黒人男性――――ドミニクは、やはりにこやかな人好きのする笑みとともにマルタへと手を伸ばして握手を求めてきた。


「っ……よ、よろしくっ」

『リツカくんも、お願いシマスネ!』

「え、よ、よろしくお願いしますね」


 その大きな手を見つめたマルタは一瞬だけ動きが止まり、その後に大きく息を吸った後にその手を握り返す。

 その後に、ドミニクは立香へと向かってもその手を伸ばしてきた。

 ドミニクの黒い手は立香の弱々しい手とは違って、力強さを感じさせるお大きな手である。

 立香は思わず気圧されるように口ごもりながら、それでも礼儀として握手を返していく。


「痛っ」


 ドミニクの大きな手に握られて、思わず立香はそんな言葉を漏らしてしまう。

 情けなさに満ちた一言だった。

 もちろん、ドミニクは悪意を持って強く握手をしたわけではない。

 それはドミニクの戸惑ったような顔からも明らかだ。

 ただ、ドミニクが普通に握っただけの力で痛みを感じてしまうほど立香が情けないまでに貧弱なだけである。


『Oh,Sorry! 少し力が入ってしまいましたカ? 痛かっタ?』

「い、いや、大丈夫。ちょっとびっくりしただけだから」

「…………」

(……あれ?)


 ただ、少しだけおかしなことを感じてしまった。

 立香が握手の力強さで苦悶を表すほどに顔を歪めてしまったというのに、普段は姉御肌で彼に過保護なまでにかまってくるマルタが、そのやり取りに何も絡んでこなかったのである。

 どこか顔を赤らめながら、じぃっとドミニクの立派な肉体を見つめているのだ。

 『暑さでぼうっとしているのかな』と、立香はそんなことを考えながらもマルタの様子を少しだけ奇妙に思いつつ、彼はドミニクと協力関係を結ぶことに同意するのだった。

 そうして、ひとまずの同盟関係を結んだ立香とマルタとドミニクの三人はビーチを歩いていく。

 最初の立ち位置の関係で立香を先頭にしてその背後にドミニクのマルタがついていく姿勢になっていた。


『まずは、徒歩になりマスガ……このビーチの先のカフェでお話をしまショウ。そこで私も知っている敵のことについて説明シマスネ! ここから……見えますカネ? あの大きな看板のお店デス』

「え、ええ……って、きゃぁっ❤」

「あっ、マルタさん……!」


 その際にドミニクがマルタの肩を掴んで自分の胸板へと身体を寄せていく。

 思わずマルタの喉から女性らしい高い声が響いてしまい、ドミニクがマルタに害をなすか、あるいはマルタがプツンと来て殴りかかってしまわないか、心配になった立香が駆け寄るのだが、そこでマルタが手を伸ばしてストップを掛けた。


「こほんっ。いいですか、マスター。私がこの男を警戒しておきますので、マスターは先頭を。怪しい素振りを見せたら、私がすぐに成敗するわ」

「! う、うん。よろしくね、マルタさん」


 そんなところマルタに耳元で声をかけられる。

 どうやら、マルタもまたドミニクのことを完全に信頼していないようだった。

 そのマルタの警戒に気がつくと、先ほどドミニクを見つめていたのもこの黒人男性に怪しいところはないか、と静かに観察をしていたのだと納得できる。


 マルタが立てていた作戦は、カルデアの中心的存在である立香が背中を見せる形で隙を見せて、そこで怪しい動きを見せないか常に戦力であるマルタが隣で見張るという作戦だろう。

 立香を囮にするような作戦だが、このようなことは何度も行っているのだ。

 少々緊張をしながらも、自然な様子で立香はドミニクとマルタを背にしてビーチを歩いていく。

 まだドミニクのことを完全に信用しているわけでもないため、立香は背後の黒人男性から情報を引き出そうと声をかけていくのだった。


「それで、ドミニクさんはどこでアルトリアと出会ったんですか?」

『友人から紹介されマシタ。この世界を護るタメに力を貸してクレ、と』

「アルトリアがどれだけ情報を手に入れているのか、聞いてますか?」

『Yes. その事も含めて、カフェでご説明します』


 前後で並んでいるために顔をこそ合わせないものの、どんどんと会話を続けていく立香とドミニクだが、マルタは一向にその会話に入り込んでこない。

 恐らく情報収集は自分に任せているのだろう、と立香は考えてドミニクに対して何気ない会話から彼が何かを隠していないかということを探っていく。


「んっ……❤ やめ……さい……❤ そん……教……わけ……❤

 もうっ……❤ 測って……特異点……増え……❤

 触っ……なに考……わ、わか……いいわよ……❤」


 だから、自分の背後で何が行われているのか気づくことは出来なかったのだ。

 話している内容自体は上手く聞き取ることが出来ないが、立香には聞こえない程度の声でドミニクとマルタが何か会話をしていることはわかる。

 そんな中で立香が話しかければドミニクはちゃんと言葉を返してくるため、どうやら立香が気にするような内容の会話ではないようだ。

 不埒な会話ということはないだろう。

 例えば口説かれているというのならば、お淑やかな振りをしつつも内面は勝ち気なマルタが憤りを隠せるとは思えないためである。


(俺の質問攻めで、ドミニクさんは警戒してるかもな……信用する気がないのか、って。俺はちょっとだけ離れて、マルタさんにもドミニクさんがなにか隠していないか、色々と探ってもらおうかな。ちょうど、あそこでドリンクが買えるみたいだし……よし!)


 そんなことを考えた立香は、海岸から少し離れた道に設置されている自動販売機を発見した。

 そこで飲み物を購入するために自分だけが離れて、そこでなにかドミニクに変化が起きないかをマルタに確認してもらうという作戦である。


「マルタさん、俺、少し飲み物を買ってくるね。ドミニクさんは何が良い?」

『BEER! と、言いたいデスが……これから大事な話ですからやめておきマス。COFFEEをBLACKでよろしくお願いしマスね』

「わたしは、果汁の多いジュースならなんでも……んっ❤ ごめんなさい、ふぅ……❤ な、なんでも、いいわよ……❤」

「うん、わかったよ。ちょっと待っててね」


 二人の言葉に頷いた立香は、わざとゆっくりとした動作で自動販売機へと向かっていく。

 自分では引き出せなかった情報をマルタが引き出す可能性を期待しているためだ。


「ブラックコーヒーと果物のジュース、と……俺はお茶にしておこうかな」


 レイシフトの際に持ち込んでいた日本円を取り出して、ペットボトル飲料を三つ買っていく。

 ガタン、ゴトン、と音を立てて落ちてきたペットボトルを手に取り、その後に少しだけ大きく深呼吸を三回。あまり時間がかかりすぎても怪しまれる。

 正直な所、立香はまだ完全にはドミニクのことを信用していない。

 単純に裏切られた経験や腹に一物を抱えた人物との交流も多い立香から見ると、ドミニクは明らかに何かを隠しているのだ。

 それでも、アルトリアから預かったという王冠は間違いなく騎士王のものである。

 アルトリアを側で見続けていた立香が見間違うはずもない。

 

(そういう意味では信頼して良いはずなんだけど、でも、なんだか嘘をついてる気がするんだよな……)


 基本的には救いようがないほどに鈍感だというのに、妙なところで勘が働く立香はドミニクへの警戒を強めていく。

 アルトリアの王冠を持っている理由はアルトリアを撃退して奪い取ったという可能性だってある。

 立香は『常に最悪の事態を想定して動かなければいけない』と気を引き締めていくのだった。


「ふたりとも、お待たせ。これ、買ってきたよ」

「んぅぅっ❤ あ、ありがとう、マスター❤」

「えっ、あ、は、はい……マルタさん、これ……」

『Thank youデス! ありがたくいただきマス!』


 戻ってきた立香は、肌が真っ赤に染まりつつ呼吸も乱れた、どことなくセクシーな様子のマルタにドキマギとしてしまう。

 立香とのセックスの時でさえ中々見せないその姿は、恐らくこの由比ヶ浜の気温の高さの影響だろう。

 それと同時にマルタとドミニクの距離が少々ではなく近いことが気になったが、マルタがなにか怪しいところを探ってみた結果として近づいてしまったのだろうと結論づけることにした。


『さあ、急ぎマショウ!』


 そうして、立香を先頭にしたまま歩んでいく道のりが続いていき、目的地である海辺のカフェに到着したのだった。


「ここがドミニクさんの言ってたお店?」

『Yes! さあ、入ってくだサイ! ここ、僕の友人が経営しているお店なんデス!』


 由比ヶ浜のビーチをたっぷり十数分以上も歩いてたどり着いた店は、大きく『Queen of Spade』と書かれた看板が特徴的なカフェであった。

 シックな雰囲気でありつつも、観光客向けと思われる入りやすい明るさも存在するそのカフェへと、立香の背後からドミニクが進んでいき一番最初に入店していく。

 それにつられるように立香とマルタが続いていくのだが、少しマルタがドミニクについていこうと早足になったのか、立香を追い抜いて前へと出てしまった。


「……あれ? う、うわっ!? ま、マルタさん! お尻、お尻っ!」

「へっ……って、きゃぁっ❤ やめ、み、みないでっ❤」


 ドミニクに追いつこうとしているかのように駆け出したマルタが前に出てきたことで、立香は彼女のローライズになっているビキニパンツがお尻の谷間に食い込んでTバック状態になっていることに気づいてしまう。

 立香は顔を真っ赤にしながらも、特異点の影響で肥大化しているエロ肉が丸出しとなっているマルタのデカ尻から視線を外すことは出来ない。

 マルタも恥ずかしがってアウターの裾を伸ばしてそのデカ尻を隠そうとするが、あまりにもデカすぎるために当然隠すことも出来ないというのが現実である。

 しかも、その際に急に動き出したものだから体を揺らして爆乳がぶるんぶるんと揺れてエロチックな姿を晒してしまっているではないか。


「こ、こほんっ❤ ま、マスター、それでは行きましょうか……❤」


 結局、マルタはお尻の肉の谷間へと指をかけてピチピチのローライズビキニパンツを引っ張ることでもとに戻していき、先ほどまでの羞恥に満ちた姿などなかったかのように入店していくのだった。


「ま、マルタさんのお尻……すごい、大きかった……」


 自分のお尻を手で抑えるように隠しながら、それでいてお尻が大きすぎるので全く隠せていない状態で進んでいくマルタの背中を見つめる立香の脳裏には、特異点の影響で大きくなったマルタのデカ尻が焼き付いてしまっていた。

 元々、マルタは安産型のお尻とボリュームのある巨乳を持つ、セクシーな体型の美女である。

 そんな青年向け雑誌にグラビアが掲載されていてもおかしくない体つきを持ちながらも、普段のマルタにそういった卑猥な印象を抱きづらいのは、ひとえに彼女の体が引き締まったものだったからだ。

 安産型の大きなお尻は、大きくはあってもだらしなく垂れることもないハリのあるお尻である。。

 手のひらから零れそうなボリュームたっぷりの巨乳は、それでいて乳頭がツンと天を向くロケット型に形が整った美乳でもあったのだ。


「うぅ……! や、やっぱりこの特異点、女の人がエロすぎる……! ましてや、それがマルタさんなら……!」


 だが、この『黒人崇拝海岸・由比ヶ浜』の影響で、その奇跡とさえ表現できる完璧な美ボディが崩れ去っていた。

 ハリのあるお尻も弾力はそのままだが、卑猥な媚肉が蓄えられすぎてむっちりとした柔らかいお肉が僅かではあるがお尻と足の間に肉が余って足の付根の上に乗っかってしまうほどのエロいデカ尻へと変わっている。

 手のひらからこぼれ出そうなほどのロケット型の巨乳も、一回り、いや、二回りも三回りも大きくなった、マルタの小顔ほどの大きさの爆乳をさすがに支えきれず、普段は上から覗き込まないと見えない胸の谷間が向かい合っている相手に見えるほどの、重力に逆らえきれていない長乳になってしまっていたのだ。

 そのデカ尻と爆乳を改めて見せつけられた立香は、海パンの下で勃起してしまい、股間に小さなテントを立ててしまったほどである。


『あの奥の席に行コウ。あそこはパテーションがあるカラ、中からも外からも見えにくいノサ』

「あっ、は、はいっ!」


 勃起してしまって動きにくくなったのか。

 それとも、単純に特異点の影響でマルタの卑猥な姿に欲情をしてぼうっとしてしまったのか。

 お店の入り口の前で情けなくうつむきながらもじもじとしていた立香だったが、ドミニクの言葉にハッとしたように顔をあげて、駆け足で店内へと入っていく。

 からん、ころん、とドアベルの鳴る音が響きながら立香が入店していくと、その喫茶店内は非常にシックな作りになっていた。

 外が暑さたっぷりの『夏のビーチ』ということもあって、店内は空調が良く効いている。

 その気持ちよさに目を細めながらぼんやりと進んでいく。

 だから、先に奥の席で椅子に腰掛けていたマルタの前に出るというのに、間抜けにも股間の膨らみを直すことを忘れてしまっていた。


「って、ま、マスター?! その、ま、前が……!」

「えっ、あ、ご、ごめん! え、えっと、ちょっとトイレ行ってくる!」


 当然、その姿をマルタに指摘されてしまい、立香は慌てふためいてトイレへと向かっていく。

 トイレへと向かう間ずっと立香の脳裏にあるものは、お尻の谷間に水着が食い込んでそのデカ尻が丸見えになって、それを慌てて隠そうとして爆乳を揺らしているマルタのエロすぎる姿だけだ。

 一度思い浮かべてしまうと、その姿を消すことは難しい。

 そしてまた、立香はそのエロすぎる姿にムラムラが止まらずに、暴挙に出てしまった。


「い、一発抜いておこう……! 今のままじゃお漏らし射精しちゃうかもだし……」


 特異点の影響なのか、それとも、元々の立香が精力が弱いくせにスケベ小僧の性根があるのか。

 トイレの個室に入った立香は勢いよくズボンと下着を脱ぎ捨てて、便器にめがけて勢いよくシゴいていくのだ。


「ふぅぅぅ……! ふぅぅぅ……! マルタさん、マルタさん……!」


 マルタほどの美女とは似ても似つかない洋式便器と向き合いながら、先ほどのお尻が丸出しのTバックになったマルタの姿を思い浮かべるように目をつぶる。

 その光景だけでお漏らし射精をしてしまいそうなエロい身体のマルタを思い返しながら、その手のひらの中で消えてしまいそうなほどに細くて短いチンポを握りつぶすような激しいオナニーだった。

 これを続けてしまえば射精障害になってしまうのではと思ってしまうほどの激しさである。


「うぅっ! 射精る、ま、マルタさぁんっ!」


 ぴゅるっ! ぴゅるるるっ! ぴゅっ……!


「ふぅぅ……ふぅぅ……ああ、やっちゃった……自分のことながら、なんて情けない……」


 男だと言うのに甲高さのある情けない声でマルタの名前を呼びながら、便器の中へと射精をしていく。

 妄想の中ではマルタの美しい体に精液がかかっていくが、現実には綺麗ではあるが排泄物を受け止める無機物に過ぎないトイレだ。

 恋人であると同時に頼れる仲間でもあるマルタをオナニーのオカズにした、それもマイルームのようなプライベートな空間ではなく、初めて入ったカフェでオナニーをしてしまったという、強烈な罪悪感が襲いかかる。

 先ほどまでのマルタのスケベな姿を見て性欲だけに支配されていた頭から、一度射精をしてスッキリした頭に変わったことで、自分がなんとも情けなく、卑劣で、みっともない真似をしてしまったという事実を感じ取ってしまう。

 それでも短小包茎に早漏までおまけがついた、男として最底辺の粗チンをトイレットペーパーでフキフキと拭いていき、精液が浮かんでいる便器の中へとその紙をぽいっと投げ捨てて、下水へと流していく。


「ふぅ……!」


 一度大きく深呼吸をして心を落ち着ける。

 これで、特異点の影響でエロすぎる肉体になったマルタの前に出ても大丈夫だと安心して、立香は案内されていたテーブルへと戻っていくのだった。


「あれ? ドミニクさん、マルタさんは?」


 だが、テーブルへと戻るとそこにはドミニクが大きな体でソファーに腰掛けているものの、先ほどまでオナニーのオカズにしていたマルタの姿が消えていた。

 首をひねりながらそのテーブルへと腰掛けていく。

 そのテーブルには長いテーブルクロスがかけられており、その長さはと言うとあと1センチも長ければ床にクロスがベッタリとついてしまいそうなほどの長さである。

 向かい合うように備え付けられた二人がけのソファー、ちょうどドミニクの向かいになるように腰掛けて、自身の脚をテーブルの下に潜り込ませれば下半身がすっぽりと見えなくなってしまうほどの大きなテーブルクロスだった。


『マルタには少し出てもらいマシタ。少々、センシティブなお話にもなりマスノデ』

「マルタさんに?」

『Yes, こちらを見てくだサイ。Movieの音が漏れるのは良くナイので、これも使ってくだサイ』


 立香は自分の仲間であり恋人であるマルタをドミニクが勝手に遠ざけたことに少々不快感を覚えたが、当のドミニクはそんなことは関係ないと言わんばかりにスマートフォンとワイヤレスイヤホンを取り出した。


「これは?」

『この特異点の黒幕と思われるGroupデス。そのSex Partyの動画を取りましたノデ、それをリツカくんにも見てもらいたいンデス』

「Sex Party……セックスパーティー!?」


 セックスパーティー、つまりは乱交ということだろう。

 真っ昼間のおしゃれなカフェでいきなり出てきたその単語に思わず大きな声を出してしまうのだった。


『Be quiet. 声が大きいデス。これを見て欲シイ。彼らが好き勝手に動いているコト、よくわかるハズです』

「は、はい……」


 それをドミニクに諌められて、立香は言われるがままにワイヤレスイヤホンを耳につけてスマートフォンを見つめる。

 ドミニクは大きな手の太く長い指を器用に動かしていき、どこかのサイトに繋げると、無数にある動画の中から一つの動画を選んで再生していく。

 動画が再生されると同時に、大きな嬌声が立香の耳へと響いてきた。


【おぉっぉ~~っ❤ ほぉ、ぉぉ、んぉぉぉっ❤ こ、このペニス、凄いっ❤ 凄いですっ❤ 頭がおかしくなるぅぅっ❤】

【Yes! プッシーの締め付け、最高ダヨ! 気持ちいい牝牛ニハ、たっぷりとご褒美をあげないトネ!】

【ありがとう、ございますぅ❤ もっと、もっとこの牝牛を虐めてくださいっ❤ ぶひっ❤ ぶひぃっ❤ 牝牛は虐められるのがなによりのご褒美になるんです、ぶひぃぃ~❤】

「なっ……!?」


 驚愕の声をあげた立香が見るスマートフォンの画面には、長い黒髪のエロい体つきの女が黒人男性にドギースタイルで犯されている映像が流れていた。

 つややかな髪を振り回しながら、その胸にある爆乳をぶるんぶるんと揺らして、自身を人間ではなく『牝牛』だと蔑みながら、嬉しそうな声をあげている。

 それだけでも過激なポルノ映像なのだが、立香が驚いたのはそれがポルノ映像だったからというわけではない。


「頼光さん……!? いや、頼光さんだけじゃなくて……!」

【あぁっ❤ もっと、もっと犯してくださいませ❤ 金髪の白豚にその逞しいペニスで、誰が真の支配者なのかということを、低能なこの豚に教え込んでください❤ おぉっ❤ ほぉぉ❤ こ、黒人様のペニス、つ、強すぎる❤ どんな槍よりも女を深く穿つ黒人ペニスでオマンコと子宮を犯されて、おぉ❤ イグゥぅっっ❤】

【もっと、もっとぉ❤ 激しく犯してぇ❤ 硬いので、私のオマンコをかき回して❤ 昔の男のことなんてもう形も覚えてない、黒人様専用のオマンコをもっともっと開発してほしいんです❤ ふぅっ❤ うぅぅ~❤ 生意気オンナを従順な奴婢に調教して黒人様に、もっともっと犯されたいのぉ❤】

【おぉっ❤ 破れるっ❤ 腹が破れちまうぅっ❤ 排卵待機してる子宮のことなんか知ったこっちゃないってガンガン突いてくる黒人ペニスで、子宮がぶっ壊れちまうっ❤ くそ、かっこよすぎんだろっ❤ オンナなんてチンポを気持ちよくする穴だとしか思ってない、最強雄にしか出来ない乱暴なピストンっ❤ ぉおっっ❤ お、女だって思い知らされちまうぅっ❤】

【はぁぁぁっ❤ はぁぁぁぁっ❤ すげえ、すげえよ……❤ 黒人様、凄すぎるっ……❤ こんなに女をオナホ牝に堕として、それでいて気楽そうに酒のんで黒人様たちでダベってるとか……❤ オンナは頭がおかしくなったこと丸わかりのアへ顔さらしてイキまくってるのに、なんでこんな余裕なんだよ……❤ かっこよすぎんだろぉっ……❤】

「アルトリアに、虞美人先輩……!? それに、カイニスにモードレッド!?

 顔は映ってないけど、そんな、まさか……!?」


 映像の中では薄暗い照明で照らされていたホールのような場所で、その長い艷やかな黒髪をしたドスケベボディの女とは別に、他の女たちもまた別の黒人男性に犯されていた。

 さらに、壁際に並んだ状態で黒人男性に犯されている女たちを見ながらオナニーをしている別の女も多く居るような、そんな異様な空間である。

 どの女も、この特異点の影響で体つきが変化してしまったマルタに負けず劣らずのドスケベボディだ。

 だが、立香を驚かせたのはその犯されている女たちの姿に覚えがあったからである。


「そんな……こ、こんなことって……か、顔は、顔は見えないのかな……!」


 カメラワークの都合で顔が見ることが出来ないために、本当に彼女たちだと確信することができない。

 だが、それでも犯されている女たちの体つきは、この特異点に訪れたことで豊満化したカルデアの美女サーヴァントたちとそっくりなのだ。

 野太い喘ぎ声も立香自身には聞き覚えこそはないが、途中で聞こえる黒人を称えるような少しだけ落ち着きを取り戻している声は、少々甘い色が強いものの、カルデアで何度も聞いている彼女たちの声をそっくりである。

 その驚きの状況に思わず腰を浮かしてしまう。

 だが、次の瞬間にカメラが美女たちの顔を順々に映し出していった。


「早く顔、を……あれ?」

【ぁぁんっ❤ 気持ちいいっ❤ もっと、もっとぉ❤ 黒人ペニス様でこの奴隷を虐めてくださいませぇ❤】

「ぜ、全然……違う?」


 そこに映し出された顔は、『絶世の美女』という言葉がよく似合う美しいサーヴァントたちとは似ても似つかない、『ブサイク女』だったのである。

 細い目と潰れた鼻、太い唇に下膨れしている顔つき。

 体つきこそチンポを勃起させるには十分過ぎるドスケベなものだが、顔が見えた瞬間に思わずチンポが小さくなりそうなほどに、顔立ちが乱れた女たちだったのだ。


「え、えっと……」

『LadyたちをSex Slaveに貶める卑劣漢、それがこの世界の敵デス。彼女たちは黒人の奴隷になって、このようなダークウェブに撮影されたポルノムービーをアップロードされて、世界中にその痴態を晒してしまってイル……なんて可哀想なのデショウカ。同じ黒人男性として、彼らを許すことは出来マセン!』

「え、あ、そ、そうですね!」


 明らかにほっと胸をなでおろしている立香に対して、ドミニクは義憤を露わにしていた。

 そのことに負い目を感じてしまう。

 どこかでブサイク女とセックスをしている黒人たちに『趣味が悪いな』と思っただけで、チンポでものを考える思春期の立香は、少なくとも傷跡が残るような暴力的な行為には晒されていないブサイク女たちを思いやることが出来なかった。

 一方でドミニクはまさに紳士といった様子で怒りを覚えているではないか。


「……うん。ありがとう、ドミニクさん! これで特異点の黒幕か、あるいはその協力者が黒人のGroupだっていうこともわかったよ。そして、その人達が女の子を狙っているってことも。そこを踏まえて、また調査をしなくちゃ……! 場所もどこかのクラブみたいだし、他の皆にはそっちを調べてもらおうかな」

『Thank you, リツカくん! それでは、リツカくんはこの動画を改めて確認してくだサイ!

 アルトリアさんから、リツカくんは問題解決のエキスパートだと聞いていマス! 僕にはわからないことも、リツカくんなら気づくかもしれまセン!』

「わかった、それじゃ少し待っててくださいね。他の動画も見ますので」


 そう言いながら、立香はスマートフォンを操作して様々な動画を見ていく。

 その中には頼光にアルトリア、虞美人、カイニスとモードレッドと顔以外は良く似た、それでいて顔立ちは比べようもないほどに不細工な女たちの動画も多く存在する。

 思春期の自分勝手な男の子の本能が、不細工な女のセックスなど見たくはないと拒むが、それでもなんとかチェックしていく。

 もしも、自分たちの仲間がこのように黒人男性のセックス奴隷に堕ちたらどうするか。

 あの超人である気高い美女サーヴァントたちが、大柄な体躯をしているものの所詮はただの人間なのであろう黒人男性の奴隷になるなどあり得ないだろうが、それでもそんな事態は耐えられない。

 『一刻も早くこの特異点を解決して、自分たちの仲間とカルデアへ帰ろう』と、そんなことを考えている立香は、画面に集中しながらワイヤレスイヤホンをつけているために気づかなかった。


【ちゅぅぅ、れろぉぉっ❤ れろっ❤ じゅるるる、ちゅぱぁっ❤】

「んちゅぅ❤ じゅるる❤ ちゅぅぅ~~❤ れろれろぉぉ~❤」



 ――――画面の中の卑猥な音とそっくりな音が、画面の外でも鳴り響きだしているということに。



「っ……ふう。ここまでかな」

『Oh! 見終わりましたか、リツカくん?』

「はい、ドミニクさん。とりあえず、おかしなところはなかったと思います。ただ、間取りというか家具というか、そういうのは独特なので調査の役に立つと思います」

『Good! But, もう遅い時間です。宿はありマスカ?』

「あ~……そう言えば、今まで使ってたホテルは今日で終わりにしたんです。また別の場所を探すために、離れた場所にある別のホテルを拠点にしようと思って。でも、参ったな。そのことをすっかり忘れちゃってたよ」


 御前の調査が長引いたことと、ホテルのロビーでカイニスとモードレッドを見つけてマルタの説教に熱が入ってしまったことで、午後の調査を開始した時間は非常に遅かった。

 そんな事情もあり、時計を見るとすでに相当な時間が経っているではないか。

 ホテルを移す予定だった立香は少し困ったように指を顎に添えて考えると、そこにドミニクが助け舟を出していく。


『それならいいお宿がありマス! ついてきてください!』

「あれ、でもマルタさんは……?」

『ダイジョーブです! 彼女もそろそろ店の近くで合流できるはずですカラ! とりあえず、先にお店を出ておきマショウ!』


 こうして、立香はドミニクの指示に従って動画を見ていたカフェから出ていく。

 その際に自分も飲み物代を出すつもりだったのだが、ドミニクに押し切られて会計を全てドミニクのお金で済ませることになってしまった。

 何から何まで甘えてしまっていることに、少々の居心地の悪さを覚えている先にカフェの外に出ていた立香の背後から、『二人』の声がかけられる。


『オマタセシマシタ!』

「マスター、先に出てたのね。入れ違いだったのかしら」

「あ、ドミニクさんに、マルタさん。あれ、なんでマルタさんが中から……?」

「そ、それは……!」

『マルタ、実は中で入れ違いになったみたいデス。その、僕らが出る瞬間に入って、テーブルに来る前にお手洗いに行ってたらしいデスヨ。そうデスネ、マルタ?』

「そ、そうっ! ドミニクさんの言うとおりです。こんな間の悪さもあるのですね」


 どうやらマルタは一度カフェに入ったが、トイレに行っている間にどうやら入れ違いになってしまったようだ。

 それでも自分かマルタさんのどちらかが気づきそうなものだけどと思っている立香を尻目に、ドミニクはマルタの腰をグイと掴んで自分の方に引き寄せながら歩きだしていく。


「あぅっ……❤」

『さあ、行きまショウ! こっちになりマス!』

「マ、マルタさん……?」


 いかにもナンパなドミニクの行動に対してマルタは怒り狂うだろうと立香は予想したが、おかしなことにマルタは甘い吐息を漏らしてなすがままだった。

 まるでドミニクに行為を示しているようなその態度に、立香は先ほどの黒人と女たちの動画を思い出して思わず不安そうな声を漏らしてしまう。


(あっ、いや、服を握ってすごい我慢してる! お、怒ってるんだ……こわぁ……でも、ドミニクさんを蔑ろには出来ないから我慢してるってことか……良かった)


 だが、そんな不安な気持ちもマルタが右手で自身の左腕をギュッと、それこそ上着が大きな皺になるほど強く握りしめていることで霧散していった。

 ドミニクが持つ情報を重要視しているのか、そのナンパな態度に悪意自体がないこともあってマルタはその行動を我慢したのだろうと結論づけたのである。

 そんな風に変な鈍感さと思い込みを持つ立香は、一向に気づくことが出来ない。


「ふぅぅぅ……ふぅぅぅ……❤」


 マルタの顔が切なげに赤く染まっていることも、そのむっちりとした太腿がぷるぷると頼りなく揺れていることも、時折腰がビクンと痙攣していることも気づかない。

 そして、立香は何人もの女性とセックスをしているくせに一度も女性をアクメに導いたことがな雑魚雄であるために。



 ――――今のマルタの反応の多くが、女がアクメをキメている何よりの証であるということを、知らないのだ。



(怒ったマルタさん怖いからなぁ……顔なんか見られないよ……)


 『触らぬ神に祟りなし』という諺ではないが、立香がドミニクとにこやかに会話をしている間にもマルタは息を荒くするだけで何かを話そうとはしない。

 カルデアの二人でドミニクを挟みこむようにしてホテルへと向かっていく中で、立香は怒りを覚えているであろうマルタを見つめることが出来なかった。

 そんな緊迫感を覚えながら歩く立香は、やっとホテルに辿り着いた。


『ここデス! それでは先に失礼しますネ! オーナーが知人ですノデ、部屋は用意できるハズです!』

「マスター……ふぅぅ……ふぅぅ……❤ 少し、良いですか……❤」

「うん、どうしたの?」


 ホテルの前までつくとドミニクはマルタの身体から離れて先にロビーへと入っていくと、そこでマルタから声をかけられる。

 恐る恐ると振り返ると、そこには顔を真っ赤にして立香を睨みつけるように見つめているマルタの姿があった。

 『怒りに襲われて冷静で居られないんだ』と立香が判断してしまっても何もおかしくはないほどに、己の感情を抑えきれていない時のマルタの姿である。


「少々申し訳ないですが……わ、私は、少し、『マスターとは別の場所』で休ませてもらいます……❤ 身体が火照って、どうしようもないので……❤」

(うっ、お、怒ってるなぁ……)


 顔を真っ赤にしたマルタの言葉から、『体が火照る』という言葉を怒りに襲われていることを遠回しに伝えようとしているものだと判断した。


「わかった。でも、マルタさんも無茶をしないでちゃんと身体を休めてね」

「ありがとうございますっ❤ そ、それでは、マスターも良い夜を……❤」

「うん、俺も疲れたからすぐに休むことにするよ」


 そう言ってマルタが姿を消していくと、そんなマルタとは入れ替わりになる形でドミニクが訪れる。

 ドミニクが用意してくれた部屋のキーを受け取ると、その部屋へと入っていく。


「ふぅ……なんだか、今日は疲れたな」


 用意してもらった部屋はなんとも広い部屋だった。

 このホテル自体がそこそこ高級なのだろう、柔らかなベッドへと自身の身体を沈み込ませていきながら、ぼうっとした様子で天井を眺める。

 思い浮かぶ光景は、当然あの動画の内容だ。

 黒人たちに犯されていた女性たちは、自分の大切な女性たちに良く似ているものの、それでいてあの絶世の美女たちとは似ても似つかない不細工な顔立ちをしていたのである。


「もしもあれが頼光さんやアルトリアだったら……ごくっ」


 それでも、少しだけ似ているだけに余計そのような姿を妄想してしまう。

 妄想するたびに、ぐんぐんとチンポへと血が巡って行って

 スタイルの良い美女が多いカルデアの中でも有数の爆乳の持ち主の頼光や、清廉で気高い顔立ちをしながらもその体つきは男好きの凹凸の激しいドスケベボディのアルトリアに、風のように自由に生きながらも常に崖の上に咲く花のような不可侵の美しさを持っている虞美人。どんな鋭い刃よりも危険な、勝ち気で男勝りでありながらもどんな美女よりも美しいカイニスとモードレッドのヤンキーコンビ。

 彼女たちがあのブサイクな女たちのように黒人に犯されているとすれば、それは耐えられないほどの絶望である。

 だが、逆ならばどうだろうか。

 あの黒人のように立香が女を支配して、どんな男よりも立香のほうが素敵だと言わせるのだ。


「た、例えば……鈴鹿とか……?」


 脳裏に浮かんだ人物は、鈴鹿御前だ。

 鈴鹿はカルデアに何人か存在する、立香とは別の男性を愛しているために立香とは適切な関係を維持している美女である。

 坂上田村麻呂という鈴鹿にとって永遠の運命である相手が居る以上、鈴鹿が立香とそういう関係になることは絶対に有り得ない。

 立香が性欲に駆り立てられて鈴鹿御前を求めれば、鈴鹿は鬼女さながらの恐ろしい顔で契約者であるはずの立香の首を簡単に刎ね飛ばすであろう。



 ――――あぁっ❤ マスター最高❤ 昔の男よりも全然良いっ❤ 好きっ❤ マスター、大好きぃ❤



「はぁ……はぁ……! って、ダメダメ! 何考えてんだよ、俺!」


 そんな鈴鹿が立香を求めてくるという妄想が止まらないが、それは裏切りだ。

 自分のことを信頼してカルデアの一員として力を貸してくれている鈴鹿の大事なものを踏みにじるような妄想は許されることではない。

 それでも、あのセックスパーティーの映像とマルタのエロい身体によって性欲が昂ぶってしまっている。鈴鹿御前だけではなく、他にも魅力的だと思ってしまう女性たちの艶姿が浮かんできてしまうほどだ。


「シャワー浴びて冷静になろっと……」


 そんな頭を冷やすために汗をかいている身体にまとわりついている、ビーチでの観光用のおしゃれな夏服を脱いでいき、その浴室へと向かっていく。

 そして、その浴室へと足を踏み入れたまさにその瞬間であった。


『おほぉぉぉぉっ❤ おぉっ❤ ほぉぉっ❤ んひぃぃぃっ❤』

「うわっ、な、なんだ!?」


 天井から野太い喘ぎ声が響いてきたのである。

 それこそ、あの動画の中の女たちが漏らしていたオホ声に勝るとも劣らない無様な声だった。

 キョロキョロと周囲を見渡していくと、それが天井は天井でも一部から響いていることに気づく。

 換気口からだった。


「ここから……換気口から響いてる? 聞こえてるぐらいの距離なら、隣の部屋かな?」


 浴室と浴室の間が繋がっているため、そこから声が聞こえてきたのだろう。

 それも聞こえてくるぐらいのはずだから、恐らくかなり近い部屋だろうと当たりをつける。

 ひょっとすると、隣の部屋かもしれない。

 そんなことを考えている立香のことを尻目に、その喘いでいる野太い女の声はどんどんと過激にナッていく。


『んひぃっっ❤ お、おっきいぃ❤ ふぅう、はぁぁっ❤ こ、これ、すごいっ❤ 私のオマンコの形、変わるっ❤ 彼のチンポの形から、あんたのペニスの形に拡げられてるっ❤ ほぉ、ぉおぉっ❤ 気持ちいい❤ あの子とのセックスとは、全然違うっ❤ これが本当のセックスなんだって、分からされちゃう❤ ふぅぅ、ぅぅぅっ❤ おっ❤ おほぉぉっ❤ イクっ❤ まだあんたはイッてないのに、わたしだけ何回も何回もイカされちゃうのぉっ❤』

「なんかとんでもないこと言ってるな、この女の人。他に恋人が居るってことでしょ……?」


 ごくり、と喉を鳴らしてしまう。

 先ほどまで鈴鹿御前でしていた妄想とそっくりそのまま同じなのだから罪悪感のようなものを覚えてしまう。

 だが、動画や妄想とは違って今この瞬間にホテルのどこかで、推定では隣の部屋で行われているはずの『寝取りセックス』なのだから、性欲が一番強い時期である思春期の立香にはあまりにも刺激的すぎた。

 男の方は聞こえてこないのは、それだけこの女性が快感で我を忘れて大きな声を漏らしてしまっているのだろう。

 それだけ女性を気持ちよくさせているというシチュエーションもまた立香に興奮を促すのだった。


『おぉぉっ❤ あ、あんたのほうが良いに決まってるじゃないっ❤

 ふとくてなっがい、デカすぎのペニスっ❤ こんなのあの子の細く短い粗チンと比べられるわけないじゃないっ❤ あの子の粗チンじゃ一回もアクメなんかキメたことないのにぃ……あんたのペニスは、んぉぉっ❤ い、今、今みたいにぃ❤ チンポを引き抜いただけで、アクメをキメさせてくるのよっ❤

 こんなの、あの子を贔屓なんかしようがないぐらいにぃ❤ はっきりとした差があるじゃないのっ❤ くだらないことを聞いてないで、あたしのオマンコ、んひぃぃっ❤ こ、言葉遣いが悪いって、そんな❤ おほぉぉっ❤ わ、わかりましたっ❤ き、汚い言葉、直すっ❤ 直しますから❤ ちゃんと上品に振る舞うから、ペニスでオマンコをいじめるの、す、少しだけ弱くしてくださいっ❤ 気持ち良いが行き過ぎて死にそうになっちゃうからっ❤ あなたのペニスだと、わ、私、死んでしまいそうになるのぉっ❤』

「う、うぅ……す、すごすぎだよ……これ。も、もう我慢できないっ」


 恋人と思われる相手を貶めながら浮気相手であろう男のペニスを褒め称えていく。

 過激なポルノ作品そのもののシチュエーションに、立香は持て余していた性欲が暴走してしまった。

 カフェのトイレでひっそりとオナニーをしたように、チンポを強く握りしめて粗チンをシゴいていく。

 狙う先は浴室の排水溝である。


『んひぃぃっぃっ❤ おぉっ❤ ダメ、もうダメっ❤ 全部が壊れちゃうぅ❤ い、今までの私が全部なくるぐらいの気持ちよさに、耐えられないっ❤ あぁっ❤ ダメなのにぃ、こんなペニス一本で全部を捨て去るなんて許されないのにっ❤ 許せれないからこそ、気持ちいいのぉっ❤』

「くぅっ、射精るっ!」


 ぴゅるる、ぴゅるぅ……!


 本日二度目の射精はあまりにもイクのが早く、あまりにも射精の勢いが弱々しく、あまりにも精液の量が少ない、男として最底辺のものだった。

 換気口から響いてくる女の声から、男はまだ射精をせずに女の人のオマンコを楽しんでいることは明らかである。

 それなのに、立香は自身の手でシゴいて射精をしてしまい、その飛び出た精液は排水口へと飛び込んでいくという、男としての差がありすぎて惨めにも程があるのだ。


「ま、まだ……まだ、出来るはず……」


 換気口から聞こえてくる淫らな声を聞いて、チンポは萎びれつつも心のなかではまだまだ若い性欲が滾っている。

 痛みすら感じるほどに敏感になっているチンポを再び握りしめて、その野太いオホ声の主が何者であるかも知らずに、オナニーを再開していくのだった――――。



[Side:マルタ]


 青い海、白い砂浜、燦々とした太陽。

 空気は澄んでおり、流れる風は涼やかでなんとも心地よい。

 『水辺の聖女』の名を持つマルタにとって、この特異点のビーチは居心地のいい空間である。


「ねえねえ、お姉さん! オレと一緒に遊ばない? お姉さん、ここらへんに来たばっかりでしょ? オレってばこのあたりに詳しいからさ、きっとお姉さんを満足させられるよ!」

「……アンタ、私に連れが居るのが見えないの?」


 ただ、そこに集まる人々だけがマルタの癇に障るほどに不快なものだった。

 マルタはカルデアのマスターであり、何よりも自身の恋人でもある立香と歩いているというのに関わらず、このようにチャラチャラとした軟派な男たちが声をかけてくるのである。

 これに怒りを覚えないはずがない。

 それでも、聖女として、カルデアに所属するサーヴァントとして、なるべく穏やかな気持ちで、それでいて額に青筋をひくつかせるように浮かべながら、なんとかナンパ男たちを排除しようとして、隣の立香の手を握って見せる。

 だが、男たちにはそんなマルタの『慈悲』というものが伝わらなかった。


「ああ、弟の面倒とかを見てるの? 大丈夫、大丈夫! 彼ももういい年でしょ? 放っておいても勝手に楽しむって!」


 ぶちり、と。

 その言葉を聞いた瞬間に浮かんでいた青筋が切れる音がマルタの中で響いてしまった。


「ざっけんじゃないわよ! あいにく、彼は私の連れ! 弟なんかじゃないの! ここまで言えばわかるでしょ? アンタみたいな軽薄な男になんか欠片も興味もなくて、彼と一緒にいる予定だからさっさと消えなさい!」

「ひえっ!? す、すみませんでした~!」


 超人であるサーヴァントが単なる一般人に向けるべきではない、それこそ相手が失神してしまってもおかしくないほどの殺気と敵意をマルタは向けてしまう。

 普段は意識して『穏やかな聖女』であろうと務めているマルタだが、本来は勝ち気な女性である。

 その怒りを魔性めなら受け止めてしまったナンパ男は、ニヤニヤとした笑みを浮かべてマルタの体つきをねっとりと眺めていた様子からは想像できないほどに顔を引きつらせ、おまけに足をもつらせながら立ち去っていくのだった。


「全く……本当に、夏は嫌いな季節じゃないしこの水着の霊基も気に入ってるけど、同じぐらい面倒よね。あんなヤツがどんどんと湧いてくるんだから」

「そ、そうだね」

「カイニスとモードレッドもそうだし、本当にこの良い風景が台無しだわ」


 しかも、マルタを苛立たせる相手はあのようなナンパ男だけじゃない。

 本来ならば、マルタと立香の仲間としてこの『特異点』を解決するために尽力すべきカルデアのサーヴァントなのに、この観光地として様々な施設があって歓楽街としても楽しめるこの街を満喫しているものも居るのだ。

 『委員長気質』とでも言おうか、慈悲深い聖女であろうとせずともひどく真面目なマルタにとっては、その自由気ままでさえない、無責任な姿を許すことが出来ないのである。

 そんな苛立ちを覚えているマルタの前に、また一人、軽薄な笑みを浮かべた男が近づいてきた。



『Oh! 見つけマシタ! Youたちが、カルデアのマスターとサーヴァント、デスネ!』



 ただし、それは今までの軽薄さがそのまま姿に現れているような貧弱な男ではなかった。

 ナンパ男たちは水着姿で上半身を晒しているのに薄い胸板と細い腕に肋骨がうっすらと浮いたお腹をしており、マルタの感覚では男としての魅力を感じることが出来ないものである。

 もちろん、そういう華奢で頼りない体格という意味では立香も同じなのだが、そこは彼の誠実(だとマルタは思っている)態度に愛情を抱いているために問題にはならない。


「っ……マルタさんっ」

「マスター、私の背後に回ってください」


 だが、新たに声をかけてきた男は筋骨隆々の黒人男性だった。

 分厚い身体はそのままスルッと立香の細い体が入り込んでしまいそうな巨体は、それこそ並の人間などその腕っぷしの強さで簡単に倒せてしまいそうな、その大きな身体からは『強さ』というものが満ち溢れている。

 だが、それ自体は問題ではない。

 どれだけ強くとも結局は神秘からは程遠い在野の人間だ、暴れ狂う竜を鎮めたマルタの相手にはならないだろう。

 だが、この黒人男性は『カルデア』、『マスター』、『サーヴァント』という単語を使用した。

 普通の人間ならば知るはずもない言葉だというのに、なぜ知っているのだろうか。

 それだけで警戒をするには十分過ぎる理由である。



『Huh? どうしたノ? Relux,Relux. ワタシ、怪しいモノじゃないヨ?』


 おどけたように肩を上げて首をすくめるものの、そんな言葉だけで心配できるはずもない。

 気配からしてサーヴァントではないが、それは別に安心できる要素というわけでもないのだ。

 それこそ、サーヴァントでなくともこの特異点が出現した原因とは、この目の前のいかにも屈強そうな黒人男性なのかもしれない。


「そこから近寄らないで。そっちの攻撃範囲に入っちゃうでしょう」


 本来のマルタは格闘戦を得意とする根っからのファイターだ。

 その格闘戦における『肝』である距離の概念について、マルタは嫌というほどに熟知している。故に、大柄な体格のその黒人を見るだけで、その手足の長さから格闘戦になった時の危険範囲を素早く把握した後に、その攻撃範囲になるまで近づこうとしている黒人に釘を差したのだ。


『落ち着イテ、私ハ貴方たちの味方デス! カルデア、このSingular Pointを解決する組織ネ? 私、アルトリアさんに頼まれテ来まシタ! 力になれマス!』


 そんな警戒心をむき出しにした二人に対して、目の前の黒人は彼女たちの仲間を口にした。

 騎士王アルトリア・ペンドラゴン。

 カイニスやモードレッドのような、カルデアの問題児とはまさしく正反対の誠実な性格を持つ、マスターに自身の槍と忠誠を捧げた偉大なる騎士だ。

 マルタが無条件に信頼するメンバーの一人と言っても良い人物の名が飛び出してきたことに、ほんの僅かではあるが警戒が下がる。


「アルトリアから?」

「……あの騎士王から? なにか証拠は?」


 もちろん、完全に消えたわけではない。

 なんらかの方法でアルトリアの名とその信頼の強さを知り得た黒人が、マルタと立香に害をなすためにその名前を勝手に使っているだけかもしれないのだから。


『こちらの王冠、預かってマス。どうぞ確認してくだサイ』


 黒人男性もまたその疑問が出てくることを読んでいたのであろう、肩からかけていたバッグから、一つの王冠を取り出した。

 見覚えのある、美しく輝く金色の王冠は騎士王アルトリアにしか戴くことを許されない、ブリテンの王冠だとひと目でわかるものだった。

 これの偽物を作ろうとしても、その内側から発するような輝きまで作り出せることはない。


「ま、間違いないよ。これ、アルトリアが最終再臨でつけていた王冠だ」

「マスターが言うのならば間違いはないのでしょうね。あの騎士王が簡単にやられるとは思えませんし、さらにはその敗北が誰にも知られずにひっそりと戦闘で敗北することはもっとないでしょうし……」

 

 カルデアの最古参サーヴァントとして活躍していたアルトリアと立香の間にある絆は、マルタが女として思わず嫉妬しそうになるほどに強く結ばれている。

 そのマスターが間違いないというのだから、この黒人男性が取り出した王冠は正しくアルトリアのものなのだろう。


「と、とりあえず信じてみようよ。アルトリアがこれを預けるぐらいだから、信用は出来ると思う。でも、その、アルトリア本人は?」

『アルトリアさんは敵を警戒させないタメにマスターと合流はしないと言ってイマシタ。だから、私を代役にたててくれたんデス』

「……一応、筋は通ってるのね」


 その言葉に嘘はないと思えた。

 アルトリアが黒人に囚われて、無理矢理に王冠を奪われたという可能性もないというわけではないが、それでもマルタの直感がこの黒人男性は信じても良いと訴えかけてきている。

 立香とマルタは向かい合って頷きあい、黒人男性のことをひとまずは信じることにした。


『Yes! 信じてもらえたみたいデスネ! 私、ドミニク言いマス! よろしくお願いしマース!』


 そうして黒人男性――ドミニクが手を伸ばしてくる。

 握手を求めていることに気づき、その握手に応じようとその手を見た、まさしくその瞬間だった。


「っ……よ、よろしくっ❤」


 ドクリ、と胸が大きく弾んでしまった。

 それだけではない。

 腰には軽やかな痺れが走り、魔物を蹴り伏せるその脚がぷるぷると震えだす。

 自然と頬が紅潮してしまい、先ほどまではなんともなかったのに漏れる吐息には熱が籠もってしまう。

 この反応がなんであるか、マルタはわかってしまう。



(な、なんで私、握手しただけで興奮してるのよ……❤)



 興奮――いや、発情してしまっているのだ。

 目の前の『雄』という概念をそのまま形にしたような屈強な男性に、聖女と言えども『牝』であるマルタは本能で惹かれてしまったのである。

 それはマルタが男も女も越えた、心身ともに強靭な女傑であることが大きいだろう。

 本人はもっと聖女に相応しい態度であらねばと思いつつもそうでないことによって自身のメンタルが弱いと思っているだろうが、実際の彼女はどんな苦難にも膝を折らない頑健とした精神を持っている。

 まさしく『超人』の類であるマルタは、その強さを持つからこそ、より強い雄と睦み合って強い子を産もうとするケダモノとしての本能も強いのだ。

 その本能を立香は満たすことが出来なかったが、目の前のドミニクほどの男性ならば満たすことが出来ると、知性でも理性でもない場所でマルタは確信してしまったのである。


(っ……❤ お、大きい……って、なんでちょっと胸が高鳴ってんのよっ❤ 夏の暑さのせいかしら……❤)


 大きな黒い手だった。

 それこそ、握手マルタの繊細な白い手をそのまま呑み込んでしまいそうなほどの、力強さと男らしさに満ち溢れた手である。

 そんなドミニクの手を見つめてマルタは、自分の頭では理解が出来ない衝動に襲われて胸を高鳴らせてしまったのだ。

 マルタの中の牝の本能が、ドミニクという強靭な雄の魅力を無意識に感じ取って昂ぶってしまったなによりの証拠である。

 その昂りを無視するように大きく息を吸って、しかし、マルタは未練がましく手を握り続けていく。


『マスターくんも、お願いシマスネ!』

「え、よ、よろしくお願いしますね」


 だが、そんなふうに柔らかくもしっかりと握っていた手は、ドミニクによって簡単に振りほどかれてしまう。

 マルタはそれを名残惜しそうに、追うようにドミニクの手へと腕を伸ばしてしまった。

 そんな風に、ドミニクのことが恋しくてたまらないかのような反応を無意識にしてしまったことで、マルタは羞恥から顔をかぁっと赤らめる。


(私は何をしているの……❤ こ、こんな、恋人であるマスターの前で別の男に、なんてはしたないことを……❤ で、でも……凄い体、よねっ……❤)


 自分には立香というセックスがクソ雑魚すぎること以外は素晴らしい恋人が居るのに、まだ性格も良く知らない男性に惹かれてしまうなど、マルタの倫理観では決して許されないことであった。

 だが、そんなマルタが人生をかけて育んできた『正しい価値観』というものさえも、特異点の影響でむき出しになり、さらに指向性を決められてしまった『強い雄を求める』という『牝の本能』によって、マルタはドミニクの身体から目を離すことが出来ない。


(シャツに包まれてる分厚い胸板なんてすっごい硬そうで、私のぽにゅぽにゅのおっぱいやマスターの薄っぺらな胸板とは比べ物にならないぐらい逞しいわ❤ 腕だって私のウエストくらい太いじゃないっ❤ 首から肩にかけての筋肉の盛り上がりも凄いし、腹筋と背筋の引き締まり方からしても、かなりのハードパンチャーでしょ、こいつ……❤ 脚だって膝丈のズボンをパツンパツンに張り詰めさせられてるけど、本当にすっごい身体ね❤ やっば……ちょっと、いや、かなりかっこいいかも……❤)


 マルタはまるで視姦をするようにじっとりとドミニクの身体を観察していく。

 それはこのビーチでマルタに浴びせられて、マルタが不快でたまらないと嫌悪していた性欲丸出しのナンパ男たちが見せる視線と同じだった。

 そのことにマルタは気づかないまま、女の性欲に満ちた視線でドミニクの身体がいかに人間として優れているかを感じ取ってしまい、その強さに発情していくのである。

 それはカルデアでヘラクレスやフェルグスなどの屈強な英雄と出会った時にも覚えなかった感情であり、明らかにこの特異点がもたらしている『異常な効果』なのだが、マルタがそれに気づくことはなかった。


『まずは、徒歩になりマスガ……このビーチの先のカフェでお話をしまショウ。そこで私も知っている敵のことについて説明シマスネ! ここから……見えますカネ? あの大きな看板のお店デス』

「あ、え、ええ……って、きゃぁっ❤」


 ドミニクはその言葉と同時にマルタの肩を掴み、その柔らかな身体を逞しい胸板の中へと包み込むように抱き寄せていく。

 じぃっと見ていた負い目があるのか、それともやはり、牝の本能が逞しいドミニクに惹かれているからか、何故だかその腕を振りほどくことも身体を跳ね除けることも出来なかった。


「あっ、マルタさん……!」

「っ!」


 だが、無自覚にうっとりと目を細めていたマルタだったが、恋人であるマスターの声が聞こえた瞬間にハッと冷静になっていく。

 冷静になっていくのだが、同時に胸の奥と下腹部に宿った『熱さ』が消えたわけではない。


(は、離れなきゃ……で、でも、もっとこうしていたいとも思ってしまう❤ どうすれば、どうすればいいのかしら……❤ マスターを言い含めて、なんとかこの状況を維持できないかしら❤)


 マルタは恐らく自分では気づいていないのだろうが、明らかにドミニクに惹かれてしまっていた。

 今だって立香に言われて『離れなければいけない』と考えることは出来るものの、牝の本能に思考を染められているマルタはどうにかしてその『離れなければいけない』という当たり前の理屈を矛盾しない、別の理屈を考えだしていたのが何よりの証拠である。

 そして、マルタの本能は小賢しくもその『離れなければいけない』という当たり前の理屈を無視できる、矛盾しない回答というものを導き出した。


「こほんっ。いいですか、マスター。私がこの男を警戒しておきますので、マスターは先頭を。怪しい素振りを見せたら、私がすぐに成敗するわ」

「! う、うん。よろしくね、マルタさん」


 つまり、こうして近づいている理由はドミニクを警戒しているからというものだった。

 わずかに残った理性の部分では、まだドミニクのことを完全に信用しているわけではないのだから、完全な嘘というわけではない。

 ただ、理性を超えて本能がドミニクに惹かれているために、あの黒人男性の逞しい肉体に触れたいという欲望も満たせているというだけだ。


「それで、ドミニクさんはどこでアルトリアと出会ったんですか?」

『友人から紹介されマシタ。この世界を護るタメに力を貸してクレ、と』

「アルトリアがどれだけ情報を手に入れているのか、聞いてますか?」

『Yes. その事も含めて、カフェでご説明します』


 そんなマルタの欲望などまるで知らない立香は、真面目な口調でドミニクの内心を探るように問いかけていくのであったが、そんな風に会話をしつつも背後を振り返らない立香では気づかないことが、マルタとドミニクの間で繰り広げられていた。


「んぅっ❤ や、やめなさいっ❤ か、肩ならともかく、胸や腰をお尻を、スリスリって触って……ち、痴漢よこれっ❤」

『これ、僕の国のCommunicationデス。こうやってボディタッチをして親交を深めるノガTheoryですネ♪ それに、マルタさんも可愛い声を出して、気持ちよさそうじゃないデスか』

「ふきゅぅ❤ べ、別にかわいい声なん、てぇぇっ❤」

『マルタの身体、とっても柔らかいですネェ♪ とっても僕好みのエロい身体になっていマス♪』


 ドミニクはマルタの身体を淫靡に触れ回っていたのである。

 それに対して、マルタはその手を跳ね除けるようなことをしない。

 もじもじと腰をくねらせながら、ドミニクの大きな黒い手のされるがままとなることを甘んじていた。

 その自身の手を拒絶しないマルタの態度の『OK』というサインと受け取ったのか、最初は腰を抱きかかえていた手を蠢かしていくのである。


「ふぅぅ❤ んんうっ❤ はぁぁっ……❤ お、おっぱい、揉み揉みされるの、す、好きかもぉ❤ そ、そうね……❤ お尻も、んぅ❤ そうやって揉まれるのも……❤ 経験がない、わ❤ ふぅぅっ❤ おっきいお尻なのにあなたの手にかかればみっちり埋め尽くせるのね❤ ふふふ、な、なかなか、男らしくてかっこいいじゃない……❤」


 そのムチムチの腰回りをたっぷりと楽しんだ後に、その長い谷間を作っているおっぱいを水着越しに揉みしだいていき、さらに安産型のデカ尻も揉みしだかれていた。

 特にお尻は何度も執拗に揉みしだかれていたために、マルタも気づかないうちにビキニパンツがお尻の谷間に呑み込まれていって、大きくいやらしい尻肉が丸見えになってしまうほどである。

 そんなセクハラタッチを甘んじて受け入れているマルタに気を良くしたドミニクは、立香の問いかけに対してテキトーに答えながら、マルタの耳元で囁くようにセクハラ質問を行っていく。


『マルタさんのスリーサイズ、知りたいデス♪ おっぱいもお尻も大きくて、腰はムチムチで柔らかいノニ、お腹の中ニハ何も入ってないってぐらい細イ……これ、数字で聞くと僕、すごく興奮しそうデスヨ♪』

「んぅっ❤ や、やめなさいよ……❤ そんなの、普通は教えるわけないでしょ❤ もうっ……でも、アンタは協力してくれるんだから、教えてあげないとね……❤

 ただ、その……❤ この特異点に来て体つきが変わっちゃったから、数字も変わってると思うわ❤

 特に測ってもいないし……悪いけど、意地悪じゃなくて単純に教えることが出来ないのよ❤」

『Oh, それなら僕が触って調べマスヨ♪ いろんな人の身体を触ってきたから、そういうのわかるンデス!』

「触ってわかるわけないでしょっ❤ なに、考えてんのよ……❤ で、でも、まあ……わ、わかったわ❤ いいわよ……私の身体、触ってスリーサイズを調べればいいじゃない❤」


 そんなやり取りで、マルタはドミニクのセクハラのボディタッチを態度だけではなく自分の言葉で受け入れてしまうのだった。


『ん~、110-63-108ってところデスカネ。多少揺れはありソウですガ、かなりのSexy Bodyデス!』

「なっ、そ、そんなわけないでしょっ❤ わ、私の元のサイズ、88-58-85よ❤ そんなに増えてるわけ……増えてるわけ……増えて、そうね❤ くぅ、んぅっ❤ はぁ、ふぅぅ……❤ お、男って、本当におっぱい好きよね……❤」

『こんな魅力的なBustを嫌う男はいまセン! 一日中『もちもち』と、『たぷたぷ』と遊んでても飽きないドコロか、よりのめり込むこと間違いなしデス!』

「そ、そう、なのね……❤ 褒めてくれて、ありがと……❤」


 特異点の影響でドスケベボディ化しているマルタの身体を弄び続けているドミニクの指先は非常に巧みなもので、経験豊富なヤリチンの手付きと言い換えても良いほどだ。

 一方で、マルタの性経験は立香のみと言ってもいいほどの初心な身体である。

 そんなマルタではドミニクに抗えるはずもなく、抱き抱えられている身体をさらに自分の意志でドミニクの方へと傾けていく。

 その逞しい胸板と立派な腕に包み込まれることで、マルタは牝としての幸せを嫌というほどに味わっていた。


(ああ、なんだろう……❤ すごく、心と体が安心する……❤ この人のそばにいれば何も問題ないって、本気で思える❤ 恋人であるマスターはもちろん、尊敬する『あの人』との日々さえも霞むような幸せな気持ちね……❤ くぅ、ま、マスターがいるのに、なんでこんな気持ちにぃっ……❤)


 女としての幸福という点で見れば、聖女マルタの人生は不遇なものだったかも知れない。

 そして、そんな人生の第二レースと言わんばかりに召喚されたカルデアで心惹かれた相手が、人間性はともかくとして雄の性能力として見れば最底辺を這いつくばる雑魚雄の立香だったのだ。

 男への耐性をまともに持たない上に、黒人崇拝特異点の影響を受けているマルタが黒人の逞しい身体の誘惑に抗えるわけがない。

 好き勝手に自身の体を弄ばれながらも、それでいてその誘惑に勝てない。

 ドミニクの全身から漂ってくるフェロモンを至近距離で受け取ってしまって、マルタが作り上げてきていた『聖女マルタ』という仮面がものすごいスピードで剥がされていくのだ。


「マルタさん、俺、少し飲み物を買ってくるね。ドミニクさんは何が良い?」

「っ❤」


 そんな風にドミニクの体とフェロモンによって理性がトロトロに溶け切っていたマルタだったが、立香がそんな言葉とともに振り返ってくる気配がした瞬間、弾かれたようにドミニクの体から離れていく。

 必要以上に離れた距離になってしまったが、鈍感が服を着て歩いているような立香はそんなマルタの怪しい様子にまるで気づく様子もなかった。


『BEER! と、言いたいデスが……これから大事な話ですからやめておきマス。COFFEEをBLACKでよろしくお願いしマスね』

「わたしは、果汁の多いジュースならなんでも……んっ❤ ごめんなさい、ふぅ……❤ な、なんでも、いいわよ……❤」

「うん、わかったよ。ちょっと待っててね」


 そんなことを言いながら離れていく立香を見ながら、ドミニクは再びマルタの体を抱き寄せていく。

 もはや、マルタは抗うポーズすらしない。


『マルタにも、僕の国のCommunicationして欲しいデス。どこでも、僕の体の好きなところを触ってくだサイ』

「そ、それじゃ……❤」


 さらに、そんな言葉に従ってマルタもまたドミニクの体にペタペタと触れていく。

 厚い胸板。

 太い腕。

 硬い腹筋。

 引き締まったお尻。

 そのどれもが、触った指が火傷しそうなほどに熱くなるほどの魅力を放っていた。

 そして、そのコミュニケーションにルールがあるかのように、マルタの指の動きに合わせてドミニクも手を動かしていく。


「んぅ❤ ふぅ、はぁぁっ❤ ふきゅぅ❤ おぉ、ほぉぉ~~❤」


 マルタがドミニクの胸板を触れれば、彼は彼女の爆乳を揉みしだき。

 マルタがドミニクの腕を撫でれば、彼は彼女の二の腕をつまみながら震わせるように動かし。

 マルタがドミニクの腹筋へと指を這わせれば、彼は彼女の下腹部を優しく撫で回し。

 マルタがドミニクのお尻へと手を添えれば、彼は彼女のデカ尻を乱暴に揉みくちゃにしていく。


「ふぅぅぅぅっ❤ ふぅぅぅぅっ❤ じゃ、じゃあ、つ、次、はぁ……❤」


 そんなルールを把握したマルタは、ついにドミニクのズボン越しに股間へと手を伸ばしていった。

 明らかに膨らんでいる、立香とは比べ物にならない巨根ペニスが眠っているであろう股間だ。

 そして、そんなマルタの動きに合わせるようにドミニクもまたオマンコへと指を伸ばしていく。


「おぉぉ、おほぉぉっっ❤ ふわ、ふわぁぁぁっ❤」

(でっっっっっっっかい、ペニス❤❤❤❤ あっつぅぅぅっい、ペニスぅっ❤❤❤❤)


 触れた瞬間に自身の手が蒸発してしまったのではないかと錯覚してしまうほどの熱さをズボン越しに感じるマルタ。

 もちろん、実際にそんな熱を放っているわけではない。

 ただ、その大きさが、その熱さが、その脈動が、牝の本能に対して『特攻宝具』と言わんばかりの魅力を放っているのだ。

 その心を溶かすような熱は、実際の肉の熱ではなくフェロモンによって心へと感じさせる熱である。

 そんな熱に浮かされているマルタのオマンコからはドロドロの粘っこい愛液、本気汁が流れ落ちており、そこをさらにドミニクの太い指でぐちゅぐちゅとかき乱されていってしまう。


「おっ❤ おっ❤ おぉぉっ~~❤」


 清廉なマルタの喉から出たとは思えない、間の抜けたオホ声が漏れ出していく。

 手とオマンコで感じる巨大な快感は、立香との今までのセックスの全てをまとめてもまだ全然足りないほどの強烈なものだった。

 周囲のことなどまるでわからなくなるほどに、マルタはそのドミニクのペニスに心を囚われてしまう。


『Stop, ここまでデス』

「へっ……あぁっ❤」


 だが、そんな幸せなズボン越しのペニスタッチも長くは続かなかった。

 ドミニクがその太い腕に力を入れて、マルタの体を離していったのである。

 心地よすぎる快感とともにあるお互いの性器を『触りっこ』するプレイを強制的に中断されてしまったマルタは名残惜しそうに、どこか恨みがましい視線をドミニクへと向けていく。

 だが、ドミニクがそうした理由を察知した瞬間に、その卑しい気持ちは全く別の人間へと向けられることとなるのだった。


「ふたりとも、お待たせ。これ、買ってきたよ」


 そう、ジュースを買いに行くという『使いっぱしり』にされていた立香が戻ってきたのである。

 あくまで、立香にバレたくないという気持ちが残っているマルタはホッとしつつも、同時に言いようのない不快感が胸の奥から湧き上がってきてしまう。


(くぅぅっ……❤ マスターが戻ってこなければ、もっともっとペニスに触れてたのにっ❤ ドミニクにオマンコをいじってもらえてたのにっ❤)


 ビーチを十数分ほど並んで歩いただけの相手にすっかり心惹かれている異常に、マルタは気づくことは出来ず、本来ならば無二の恋人であるはずの立香に対して理不尽な怒りを覚えていた。

 これこそが『黒人崇拝海岸・由比ヶ浜』が持つ恐るべき洗脳能力である。

 女は黒人男性に対して強い恋慕や愛情、欲情を抱くようになり、同時に黒人以外の男性に対してどこか気持ちが醒めていってしまうという効果があるのだ。

 特異点の影響を受けて、見事に黒人最優先の気持ちを抱いてしまっているマルタは、顔を真っ赤に染めたまま少しだけ乱暴にその差し出されたジュースを受け取っていく。


「んぅぅっ❤ あ、ありがとう、マスター❤」

「えっ、あ、は、はい……マルタさん、これ……」

『Thank youデス! ありがたくいただきマス!』


 さすがの立香もマルタの様子がおかしいことに気づいているようだが、逆にドミニクのコミュニケーションという名のセクハラであるボディタッチによって体も頭も茹だってしまったように熱くなっているマルタはその彼の様子を一切顧みることはなかった。

 ただただ、またセクハラして欲しいと思っているだけである。


「あぅぅっ❤ あんっ❤ はぁ、ふぅぅっ❤ おほぉぉ~❤」


 そして、その幸せな時間はまた訪れる。

 立香が前を歩いてドミニクが横に並ぶことで、セクハラ散歩は再会されたのだ。

 マルタの心を蕩けさせつつ体を快感に染める動きの末に、ようやく目的地にたどり着いたのである。


「ここがドミニクさんの言ってたお店?」

『Yes! さあ、入ってくだサイ! ここ、僕の友人が経営しているお店なんデス!』


 由比ヶ浜のビーチをたっぷり十数分以上も歩いてたどり着いた店は、大きく『Queen of Spade』と書かれた看板が特徴的なカフェであった。

 シックな雰囲気でありつつも、観光客向けと思われる入りやすい明るさも存在するそのカフェへと、立香の背後からドミニクが進んでいき一番最初に入店していく。

 それに釣られるように、あるいはドミニクの逞しい体に魅了されるようにマルタもまた先に進んでいく。

 その結果、今まで立香には見られることがなかったマルタの背中が見えてしまった。

 つまり、さんざんドミニクに弄ばれて水着がお尻に食い込んでしまった姿が、だ。


「……あれ? う、うわっ!? ま、マルタさん! お尻、お尻っ!」

「へっ……って、きゃぁっ❤ やめ、み、みないでっ❤」


 ただでさえローライズ状態になっていたサイズの合っていないビキニパンツが、豊かなデカ尻の谷間に呑み込まれてしまっている。

 真っ白な形の良いデカ尻が丸出しになってしまっており、それを立香に見られたことでマルタは慌てふためいて、自分の両手をお尻に回して必死に見られないようにガードする。

 マルタの手ではそのデカ尻を隠せることなど到底出来ず、立香はそのお尻を雄の本能でじぃっと見つめているのだから、その間にマルタの胸の中に湧き上がった感情は――不快感であった。


(最悪っ! ドミニクならともかく、マスターにお尻を見られちゃうなんて! ああ、気持ち悪いっ! 見すぎでしょ、この子……最悪!)


 それでもなんとかその不快感を消す。

 牝の本能ではすっかり立香の雑魚雄っぷりに見切りをつけているのだが、マルタの理性の部分ではマスターは愛する恋人だという認識のままだ。


「こ、こほんっ❤ ま、マスター、それでは行きましょうか……❤」


 消えない不快感を抱いたまま、マルタはなんとか立香にひくついた笑みを向けながら声をかけたものの、そのままマスターの返事を待たずに逃げ込むように空調の効いた店内へと入っていく。


『あの奥の席に行コウ。あそこはパテーションがあるカラ、中からも外からも見えにくいノサ』

「あっ、は、はいっ!」


 マルタと立香へと声をかけるドミニクについていく二人だが、少し居心地が悪そうな立香とは対象的にマルタの中にはなんとも心地の良い感覚が胸に拡がっていった。

 丸出しのお尻を立香に見られた時に感じた不快感が吹き飛ぶような多幸感である。

 行儀が悪いとわかりながらも店内を駆け足で動いていきすぐさまにドミニクの後ろをついて目的のテーブルへと向かっていく。


「って、ま、マスター?! その、ま、前が……!」

「えっ、あ、ご、ごめん! え、えっと、ちょっとトイレ行ってくる!」


 だが、そんな幸福感もふと見たマスターの股間に吹き飛んで、また不快感が襲いかかってくる。

 マスターは明らかにマルタのお尻に発情して勃起をしてしまっていたのだ。

 そして、それをマルタに気づかれると逃げるようにトイレへと飛び込んでいくではないか。

 果たして何をするつもりなのかと、不快感と呆れがマルタの胸の中に広がっていく。

 もはや、この特移転にレイシフトするまでは天を貫く勢いで上昇していた立香への好感度も、今となっては地に落ちてしまっていた。


「もうっ、何考えてるのよ、本当に……!」

『マルタさん、こっちデスヨ!』

「あっ❤ ええ、わかったわ❤」


 明らかに怒りの滲んだ言葉を漏らしながらドミニクが先に腰掛けているテーブルまでたどり着くと、マルタは当たり前のようにドミニクの隣の席に座ったのである。

 まるで当然と言わんばかりに、向かい合う席ではなくパートナーのように隣の席に、である。これだけでマルタがすでにこの特異点の影響でドミニクに心を強く惹かれていることは明らかであった。


『リツカくんは、トイレに行ったみたいですネェ……ふふ、良いことを思いつきマシタ♪』

「あんっ❤ な、なによ、いきなりぃ……❤」


 入店してきた立香がトイレへと向かったことで、ドミニクはいやらしい笑みを浮かべてマルタの肩を掴んで自分に引き寄せ、その耳元に唇を寄せて低い声で囁き出す。

 先ほどまでの、一応は紳士的な振る舞いを装っていたドミニクから、その本性である下劣な雄としての一面が見えた瞬間だった。

 もしも、これが最初から現れていれば警戒心の強いマルタはドミニクにここまで心を許していなかっただろう。

 だが、ビーチを歩きながらのセクハラ愛撫ですっかり身も心も蕩けさせてしまい、ドミニクが持つ雄らしさというものに魅了されてしまっているマルタには、そのいやらしい笑みも『野性味があって素敵かも……❤』などという恋愛脳と呼ぶのも躊躇われるほどの感想を抱いてしまうのである。


『ここのクロス、とっても長いデスネ……? どうですか、この下に潜り込んで……僕のチンポ、しゃぶってくれまセンカ?』

「んなぁっ❤」


 そして、飛び出してきた欲求は信じられないものだった。

 この床につくまで長いテーブルクロスの下に隠れて、公衆の面前であるはずのカフェでフェラチオをしろという命令だ。

 パクパクと口を開閉させているマルタの反応は当然と言えるだろう。

 だが、この特異点に呼ばれた『選ばれし黒人男性』でもあるドミニクは、この世界が自分たち黒人に非常に都合のいい空間であることを本能で知ってしまっている。

 普通ならば断れるはずの提案も押し通せるカードをニヤニヤとした笑みのまま手札の中から切っていくのだ。


『マルタの体がとってもSexyで、僕のペニスが勃起しているんデス。僕の国のCommunication、ペニスをイライラさせた女は男性に奉仕するのが常識デス。一度、僕の国のCommunicationをしてくれたんデスカラ、最後までやってクダサイ』


 無茶苦茶な理論である。

 こんな理屈で『そうですか、わかりました。フェラチオをしてオチンポをスッキリさせてあげますね』と言う女は淫売以外の何者でもない。

 そして、マルタは売女ではなく聖女だ。

 さすがの黒人崇拝特異点と言えども、マルタの鉄拳が炸裂するだろうと思ったその瞬間だった。


『見てクダサイ、こんなに大きくなりマシタ』


 ぼろんっ。


「ぬぁっ❤ な、なななっ❤ おっきいぃぃ~~❤」


 ドミニクが器用にも座り込んだままズボンと下着を膝まで脱いで、その男根を露出したのである。

 その大きすぎるペニスを見た瞬間に、マルタは『堕ちて』しまった。

 わずかに残っていた聖女マルタはかき消え、特異点によって男に都合のいい淫売マルタが誕生したのである。

 ドキドキと胸を高鳴らせながら、ジュクジュクと股間から愛液を垂れ流してしまう。

 視線はペニスから離れずに、そのまま体が勝手に動き出す。


「はぁぁ……はぁぁ……❤ すん、すんすんっ❤ す、すっごい臭い……❤ 陰毛も、マスターとは比べ物にならないもじゃもじゃで、すごい、なんだかかっこいいじゃないの……❤」


 気づけば、マルタの体はテーブルの下に潜り込んでしまっていた。

 じぃっとペニスを見つめて、それにおっかなびっくりに顔を近づけながら鼻を鳴らしていく。

 漂う臭いは少々酸味さえあるきつい精臭である。

 水辺の聖女という肩書がよく似合う清楚なマルタとはとても似つかわしくないその悪臭も、マルタは激しく鼻を鳴らしながら心地よさそうに頬を染めて嗅いでいくのだった。

 これが聖女から淫売に堕ちるということだと言わんばかりの惨めな姿である。

 そして、そんなペニスのかっこいい見た目と芳しい臭いに発情しきったマルタがフェラチオを我慢できるはずもなく、大きく口を開けてそのまま飲み込もうとした、まさにその瞬間だった。


『Stop, まだしゃぶらないデ、じっくりと臭いを楽しんでくだサイ』

「んぅぅ、な、なんで……」

『喋ってもダメ、デス』

「ぅぅぅ~~っ❤ はぁ、はぁぁ……❤ すんっ❤ すんすんっ❤ すぅぅぅ~~、ふわぁぁ……❤」


 ドミニクからストップがかかったのである。

 それを無視してしゃぶることも出来たが、すでにドミニクという男に心惹かれているマルタは従順にその命令に従ってしまう。

 仕方なくその高く伸びた鼻筋をピタリとペニスにくっつけたまま、マルタはスンスンと鼻を鳴らして、その臭いを味わっていく。

 心地よい。

 どんなアロマも香水の臭いには敵わないだろうと思わず断言したくなるほどに、マルタの心を溶かしていく芳しい香りであった。

 また、その臭いにも違いというものがある。

 陰毛がもじゃもじゃと覆われている根本は汗の匂いと混じって酸っぱい臭いがしており、先端に行けば先走り汁が漏れているのか雄の臭いをより強く感じることが出来る。

 特に、その『先走り汁』はそれだけですでに雑魚雄の立香の『精液』を上回るほどの力強さを感じるほどの雄臭さだ。

 比較する形でどんどんとドミニクの愛情が強まっていき、同時に立香への恋慕が弱まっていく。

 まるでオマンコから流れて床に落ちていく愛液が、立香に抱いていた愛情が消えていく様子を示しているようだった。


『マルタには少し出てもらいマシタ。少々、センシティブなお話にもなりマスノデ』

「マルタさんに?」

『Yes, こちらを見てくだサイ。Movieの音が漏れるのは良くナイので、これも使ってくだサイ』

「っっっっ❤」


 そんな風に逞しい黒人ペニスを楽しみつつもお預けをくらって苦しそうに唸っていたマルタだが、随分と長いトイレから戻ってきた立香とドミニクの会話を聞いた瞬間に、愛おしい黒人男性様の意図を理解した。

 この男は、マルタが立香の恋人であることを知りながら、マルタにその恋人の前でフェラチオをさせようとしているのだ。

 そのため、スマホの中の動画とワイヤレスイヤホンで立香の意識を集中させて、テーブルの下でさせるフェラチオの際に生じる音や気配を誤魔化すつもりなのだろう。

 醜いとさえ言っていい、性欲と征服欲を同時に満たそうとする卑劣な考えである。


(嬉しいっ❤ 嬉しいっ❤ 嬉しいぃぃっ❤

 他の男と付き合ってるから諦めるようななよっちい雄なんかとは比べ物にならない、自分の欲しい物は自分の意志で掴み取るかっこいい雄様に求められるなんて……❤ そんなの、牝として嬉しすぎるに決まってるじゃないのっ❤)


 だが、その意図に気づいたマルタの頭によぎった考えは怒りや落胆などではなく、むしろその逆とも言える歓喜の感情だった。

 ドミニクほどの逞しい男に求められているということが、マルタは嬉しくてたまらなかった。

 オマンコからは勢いよく潮が吹き出し、すでに牝としての準備完了と言ったところだ。

 マルタは大きく口を開けて、ドミニクの『Go』サインが出た瞬間にフェラチオを行うつもり満々の準備完了の姿勢を取る。

 そして、そんなマルタが見えているかのように、限界まで口を開いたその瞬間にペニスが大きく前へと突き出された。

 それこそが、フェラチオへの『Go』サインに他ならない。


「んじゅるぅぅうっっ❤ ちゅぅぅっ❤ れろぉぉっ❤ じゅるるるっ❤ れろれろぉぉんっ❤ うんまっ❤ な、なにこれっ❤ なんでペニスが美味しいのよっ❤ じゅるるっ❤ ちゅぅぅ❤ れろぉぉぉんっ❤ はぁ、ふぅぅっ❤ も、もっと、ペニスをしゃぶらなきゃぁっ❤」


 マルタはものすごい勢いでフェラチオを始めていく。

 もちろん、これほどの激しいフェラチオなど立香にしたことがあるわけもない。

 こんな牝の本能丸出しのハードな舌技を披露してしまえば立香のような性的弱者は一瞬で射精してしまうことはもちろん、それどころかあまりにも激しすぎて何かしらの勃起障害や射精障害が植え付けられる可能性だってある。

 何よりも、清純な聖女であろうとしているマルタが、こんな娼婦でさえもしないような激しいフェラチオをするほどの、理性も吹き飛ばす『雄の魅力』を立香は持っていたのではないのだから当然だろう。


「ふぅぅっあ❤ ちゅっ❤ ちゅっ❤ ちゅぅぅ~~❤ た、たっぷりとキスマークつけさせてもらうわよっ❤ こんなエロいペニス、他の女に取られてたまるもんですかっ❤ この逞しいペニスはすでに予約済みだってっ❤ このかっこいいペニスのイライラを処理する牝はもういるって❤ 泥棒猫がペニスを見た瞬間にわかるぐらいに、たっぷりとキスマークをつけてやるわよ❤」


 聖女マルタのような楚々とした美女の姿などもはやどこにもない。

 レロレロとチンポを舐めしゃぶった後、マルタは唇を大きく突き出した無様なひょっとこ顔のまま何度もペニスへとキスをしていく。

 そもそも今日は特異点の調査ではあれども、マスターとのデートという一面もあったのだ。

 そのため、マルタはマスターを誘惑するためにもルージュを引いており、そんな唇でペニスへと強く吸い付くことで、真っ赤なキスマークがドミニクのペニスに刻み込まれていく。

 牝の本能から生まれる独占欲丸出しのみっともない行為である。


「んじゅるぅ❤ ちゅぅぅぅっ❤ 金玉も、大きすぎるでしょ❤ 一つでマスターの二つ分、いや、三つ分はあるじゃないの❤ こ、これからこいつの優秀な遺伝子が詰まってるのね❤ ふぅぅ、いいわ❤ たっぷりと口内で転がして、その精液をいっぱいいっっぱい作らせてやるんだから❤ は~~むっ❤ れろっ❤ れろれろぉっ❤ じゅるるっ❤」


 さらに、そのペニスの下にぶら下がっている大きな睾丸も口に含んで転がすように愛撫していく。

 フェラチオの経験など、立香にしたただ口の中に含んだ温めるだけのおこちゃまフェラしかないとは到底思えない激しいタマ舐めであった。


「え、えっと……」

『LadyたちをSex Slaveに貶める卑劣漢、それがこの世界の敵デス。彼女たちは黒人の奴隷になって、このようなダークウェブに撮影されたポルノムービーをアップロードされて、世界中にその痴態を晒してしまってイル……なんて可哀想なのデショウカ。同じ黒人男性として、彼らを許すことは出来マセン!』

「え、あ、そ、そうですね!」


 そんな情熱的なフェラチオを披露しているマルタの頭上、つまりテーブルの上ではマスターが、『コラージュ加工をされたフェイク動画』を見ている。

 耳元でドミニクに大きく声を上げられたことでその内容は聞き取れたようだが、防音性能もあるクロスの下に潜り込んでいるマルタのフェラチオの音は聞こえないようだ。

 あるいは、聞こえてもポルノ動画の中の音かと勘違いしたのだろう。

 そう。

 そのポルノ動画は、頼光やアルトリアと体型や髪型、声色こそ良く似ているものの顔立ちはまるで似ていないブサイク女が犯されているはずだが、これは特殊な映像加工をして創り上げたフェイク画像なのだ。

 立香は『ふぅ、俺の可愛すぎる女の子たちが犯されてなくてマジで良かった~♪ それにしても、こんな不細工な女とじゃいくら乱交でも気持ちよくないでしょ。俺は場合によってはこいつらの数百倍は可愛い女の子とハーレムエッチできるのに、本当、悪いことしてもこのレベルの女としかセックスできないとか哀れだわ~♪』などと、間抜け過ぎる感想を抱いているのだろう。

 だが、本当は立香の愛する頼光やアルトリア、虞美人にカイニスとモードレッドが犯されているのだ。

 さらに、現在進行系で自身の恋人の一人であるマルタはテーブルの下に潜り込んで黒人男性のペニスをハードなフェラチオでご奉仕しているのである。

 あまりにも惨めな雑魚雄であった。


「んじゅるぅ❤ おぉっ❤ 震えてるっ❤ オチンポが射精するのね❤ いいわ、射精しなさい❤ 全部、全部全部っ❤ 私が呑み込んで上げる❤ これからあんたの精液が受け止めるのはティッシュとかオナホとかじゃなくて、私の体なんだって刻み込むように、精液を呑み込んであげるんだからっ❤」


 びゅるるるっ! びゅるぅ! どびゅるるるるっ! どぶぴゅるるるうぅぅぅっっ!


「んぐうぅぅっ❤ くっさぁぁっ❤ じゅるる、くぅぅぅっ❤ ごくっ❤ ごくぅぅっ❤ じゅるる、ごくごくぅ❤ ふぅ、はぁ、んぐぅぅうっ❤ ごくぅぅ、じゅるるるるっ❤」


 そんなことをしているうちに、ドミニクは腰を震わせて濃厚な精液をマルタの口内へと射精していく。

 先ほど立香はマルタの尻肉を見て興奮してトイレに駆け込み、洋式便器の中へと精液を『捨てた』わけだが、ドミニクはマルタという最高級の美女の口内をまるで玩具のように扱って、はしたない牝へと精液を『恵んだ』のだ。

 この目を覆いたくなるほどの大きな違いこそが、立香とドミニクの男としての格の差と言えるだろう。

 マルタはあまりにも射精された精液が大量すぎて、鼻から逆流した精液が流れ出てしまっているが、それでもチューチューとペニスに吸い付きながら喉を必死に動かして、喉に張り付くような粘っこい精液を必死に嚥下していた。


「んちゅぅ、ちゅるる……❤ きれいに、きれいにしないと……❤ このかっこいいペニスが汚れてるなんて許されないからぁ……❤ れろれろぉぉ……❤」


 そして、綺麗にお掃除フェラまでする従順っぷりだ。

 その情熱的なフェラチオ奉仕を行うマルタはもはや、カルデアの頼れる聖女マルタではない。

 黒人崇拝特異点に染まった黒人の性奴隷のマルタだ。



 ――――その変貌を決定づけるように、夜がやってきた。



「はぁぁぁ……❤ はぁぁぁ……❤ ぅぅぅ、ぅぅぅ~~❤ も、もう、我慢っ❤ 我慢できないっ❤ お、オマンコ、犯してぇ❤ そのペニスで、私のオマンコを書き換えて❤ マスターの雑魚チンぐらいしか知らない処女同然のオマンコを、偉そうにしてるくせに小娘同然の女を、あんたの逞しいペニスでぇ、大人の女にしてほしいのよっ❤」


 ホテルの一室。

 立香は、マルタはまた別の場所で休息をしていると思っているが、真実はそうではない。


 ――――少々申し訳ないですが……わ、私は、少し、『マスターとは別の場所』で休ませてもらいます……❤ 身体が火照って、どうしようもないので……❤


 ――――わかった。でも、マルタさんも無茶をしないでちゃんと身体を休めてね。


 ――――ありがとうございますっ❤ そ、それでは、マスターも良い夜を……❤


 ――――うん、俺も疲れたからすぐに休むことにするよ」


 なんと滑稽な会話だろうか。

 マルタは恋人である立香を欺いて、逞しくてかっこいいイケメン黒人のドミニク様にセックスをしてもらうために、彼の部屋に招かれて水着をずらしてオマンコを見せつけて、そのデカ尻を『ふりふり❤』と淫靡に振りたくっているのである。


『良いんデスカ? そんなに発情してしょうがないナラ、恋人のリツカくんに抱いてもらったらいいんじゃないデスカ? リツカくんは、この隣の部屋で休んでいるんデスヨ?』 

「はぁぁっ!? あ、あんた、馬鹿にしないでよっ❤」


 しかも、ドミニクの征服欲というか寝取り欲求はかなりのもので、わざわざとドミニクの隣の部屋に立香が宿泊しているのだ。

 さらに、そこから挑発するようにかけられたその言葉に、マルタの頭は真っ白になる。

 『発情してどうしようもない体を持て余しているのならば、立香に抱いてもらえば良い』なんて、そんなこと、出来るわけがないのだ。


「ビーチでどれだけアンタの逞しいペニスを触らされて、カフェの中でどれだけアンタのかっこいいペニスを見せつけられてしゃぶったと思ってんのよっ❤ この特異点に来る前のかっこよすぎるアンタを知る前ならともかく、この特異点に来てからアンタって最高の雄を知った今ならマスターみたいな雑魚雄の、小さすぎる粗チンで満足できるわけ無いでしょっ❤」


 ふりふりっ❤ ふりふりっ❤


 壁に手をついてお尻を見せつけるような姿勢になったマルタはそのままお尻を淫らに振っていく。

 すでに愛液はダラダラと流れ落ちており、ホテルの絨毯がその愛液で濡れそぼっているほどにマルタは発情しきっていた。

 マンコはパクパクと激しく開閉しており、その広がりはもはや立香の最大勃起時の粗チンの太さよりも開いているのではないかと思うほどの発情っぷりである。


『H,Huhuhu……HAHAHA! 最高デスヨ、いや、最高ダヨ! マルタ、良いダロウ。「お前」を「俺」ノSex Slaveにしてヤルヨ!』


 そんなマルタの堕落した様子を見たドミニクは、もはや紳士の仮面を外していった。

 『僕』であった一人称を『俺』に、『君』や『あなた』だった二人称を『お前』に変えて、そのニヤついた笑みのままマルタへと近づいていく。

 これこそが、どんどんとカルデアの女性サーヴァントはもちろんのこと、この特異点に紛れ込んだ美女たちを犯して性奴隷に貶してきた黒人グループの幹部であるドミニクの本性であった。


『ふん、デッカイ尻だナ』

「ひゃうぅんんぅぅっ❤」


 パシィィィンっ、とドミニクは力強くマルタのデカ尻をスパンキングする。

 恋人である立香の手よりも大きな手で尻を叩かれて、特異点の影響で豊満になったデカ尻の媚肉がぶるるんといやらしく震えていく。

 それだけで雑魚雄の立香ならお漏らし射精をしてしまったのではないかと思うほどに、その肉の振動はエロい光景であった。

 そんな風に乱雑に扱われたというのに嬉しそうに頬を緩めながら腰をくねらせるマルタの姿を見て、ドミニクは自分が抱くに相応しい最高の美女であり、最低のビッチであることを確信する。


『ここで犯すワケじゃないゾ。シャワールームに来い』

「へっ……な、なんで……❤」


 そんな最高で最低の牝であるマルタを抱くにも相応しい場所というものもある。

 ドミニクが選んだその場所はホテルの部屋の中にあった贅沢なダブルベッドなどではなく、一人で使う分には問題ないものの、二人で使うには少々手狭なシャワールームであった。

 その意図をマルタは理解できずに首を傾げるものの、それでもセックスを『してもらえる』ということもあり、従順にその媚肉の詰まったドスケベボディを『ぶるんっ』、『むちむちっ』、『ぶるるんっ』と卑猥に動かしながらもシャワールームへと向かっていくのである。


『これがわかるカ? このホテルは当然防音対策もしているケレド……実は、わざとこの換気口を通って隣の部屋のシャワールームの声が聞こえるんダヨ♪』

「なっ……そ、それって……❤」

『Yes! 隣のリツカくんがシャワーを使ってタラ、聞こえちまうってコトサ♪』


 重ねてになるが、ドミニクの寝取り欲求は相当なものである。

 マルタへと対して『かつては愛の言葉を告げていた恋人にも聞こえるように、お前をアンアンと喘がせてやるよ』と宣言したようなものだ。

 ここでマルタには断るという選択肢もある。

 なにせ、マルタはサーヴァントなのだ。

 どれだけ鍛えていようとも、戦闘ということになればマルタのほうが勝率が高いだろう。

 撤退に徹するならば余計にその勝率は上がるはずだ。


「ふぅぅぅ……❤ ふぅぅぅ……いい、わよっ❤」


 だが、マルタはその戦うことを選ばなかった。

 発情しきった体を揺らしながら、先ほどと同じようにシャワールームの壁へと手をかける。

 そして、その長い脚とデカ尻を見せつけるようにして、やはり『ふりふりっ❤』といやらしく振っていくのだった。

 もはや、立香のことなど欠片もマルタの頭の中には残されていなかったのである。


「いいからっ❤ 何度も言うけど、さっさとチンポを挿れなさいよっ❤ もう我慢なんて出来ないってのっ❤ あの口の中を膨らましてペニスで、オマンコも拡げてもらいたくてしょうがないのよっ❤ ふぅぅっ❤ ふぅぅぅっ❤ ペニスっ❤ ペニス、ペニス、ペニスっ❤ ファックミー、プリーズ❤」

『Good!!!』


 ずぶずぶっ! ずぶりゅっ! にゅぷぅ! みちみちぃ! ずぶりゅぅぅ~~!


「おぉっ❤ おっ❤ んほぉぉっ❤ おっほぉぉぉぉっぉぉ~~~~❤」


 黒人の巨大なペニス、Big Black Cockがマルタのオマンコへと挿入されていく。

 いや、『挿入』というよりも『掘削』と言ったほうが正しいだろう。


「おごぉ、ほぉぉっ❤ ひ、拡が、るっ❤ オマンコが、こわれりゅぅぅ~~❤」


 立香の小さなチンポぐらいしか受け入れてこなかったマルタのオマンコが、ドミニクのペニスを簡単に受け入れられるはずがない。

 それこそマルタが普通の女性であったのならば、オマンコがズタズタに斬り裂かれてしまい、満足にセックスすることも出来なかったであろう。

 だが、マルタはただの人間ではなくサーヴァントという人知を超えた存在だ。

 みちみちと拡げられながらもオマンコの膣襞が痛むこともなく、むしろ柔らかく拡がっていってペニスをきゅうきゅうと締め付けていく。


「んひぃっっ❤ お、おっきいぃ❤ ふぅう、はぁぁっ❤ こ、これ、すごいっ❤ 私のオマンコの形、変わるっ❤ 彼のチンポの形から、あんたのペニスの形に拡げられてるっ❤ ほぉ、ぉおぉっ❤ 気持ちいい❤ あの子とのセックスとは、全然違うっ❤ これが本当のセックスなんだって、分からされちゃう❤ ふぅぅ、ぅぅぅっ❤ おっ❤ おほぉぉっ❤ イクっ❤ まだあんたはイッてないのに、わたしだけ何回も何回もイカされちゃうのぉっ❤」


 マルタの喉から快感に蕩けた甘い声と、ドミニクの男性としての素晴らしさを称える言葉が漏れ出していく。

 その大きな声は当然隣の部屋のシャワールームにも届いているのだが、そんな事知ったことではないとばかりにマルタの嬌声は続けていく。


『どうダイ、マルタ? 俺のペニスとあのガキのペニス、どっちが気持ちイイんダ?』


 ドミニクの逞しいペニスと立香の粗チンを比べてどちらが良いという問いかけも、ドミニクの征服欲の現れだろう。

 ここまで喘いでおいて『気持ちいいけどマスターのほうが良いかな❤』などということを抜かす頭のおかしい女が居るわけないのだから、気持ちいいのはドミニクに決まっている。

 それをわざわざマルタの口から言わせようというのだから、性格の悪さが伺えるというものだ。


「おぉぉっ❤ あ、あんたのほうが良いに決まってるじゃないっ❤

 ふとくてなっがい、デカすぎのペニスっ❤ こんなのあの子の細く短い粗チンと比べられるわけないじゃないっ❤ あの子の粗チンじゃ一回もアクメなんかキメたことないのにぃ……あんたのペニスは、んぉぉっ❤ い、今、今みたいにぃ❤ チンポを引き抜いただけで、アクメをキメさせてくるのよっ❤

 こんなの、あの子を贔屓なんかしようがないぐらいにぃ❤ はっきりとした差があるじゃないのっ❤ くだらないことを聞いてないで、あたしのオマンコ、んひぃぃっ❤」


 そこでマルタから改めて『ドミニクの方が素敵よ❤』と言わせたことで気を良くしたドミニクは、さらにマルタを自分好みの性奴隷へと貶めようとする。

 ドミニクはバックから犯しているため、丸見えになっているマルタのデカ尻へと向かって大きく平手打ちを振り下ろしたのだ。

 ぶるるんといやらしく震えるお尻にさらに自分の腰を打ち付けていき、マルタの生意気な『言葉遣い』を丁寧なものにするように求めるのである。


『セックスをしてやってるノニ、なんだその言葉ハ? お前はもう俺のSex Slaveなんダロウ? 奴隷なら御主人様を敬うものダロウが』

「こ、言葉遣いが悪いって、そんな❤ おほぉぉっ❤ わ、わかりましたっ❤ き、汚い言葉、直すっ❤ 直しますから❤ ちゃんと上品に振る舞うから、ペニスでオマンコをいじめるの、す、少しだけ弱くしてくださいっ❤ 気持ち良いが行き過ぎて死にそうになっちゃうからっ❤ あなたのペニスだと、わ、私、死んでしまいそうになるのぉっ❤」


 さすがにドミニクの偉そうな言葉に、本能に染められながらも聖女としての矜持が薄っすらとだけ残っていたマルタは一度は歯向かおうとしたものの、それでもペニスを強く突き挿れられれば抗うことが出来ない。

 爆乳おっぱいをぶるんぶるんと揺らし、汗と愛液で濡れた陰毛を震わせ、蕩けた瞳でぼうっと虚空を見つめながら、ドミニクの言葉を丁寧な口調で答えていくのだった。


「んひぃぃっぃっ❤ おぉっ❤ ダメ、もうダメっ❤ 全部が壊れちゃうぅ❤ い、今までの私が全部なくるぐらいの気持ちよさに、耐えられないっ❤ あぁっ❤ ダメなのにぃ、こんなペニス一本で全部を捨て去るなんて許されないのにっ❤ 許されないからこそ、気持ちいいのぉっ❤」

『壊レロっ、マルタ! 今までのお前ナンテ、もう要らないンダ! お前ハ俺のSex Slave! それでいいんダヨ!』


 壊れる。

 マルタは本気で自分が生まれ変わることを確信した。

 レイプと言えるほどに激しいセックスによって生まれる快感で、今までのマルタという存在が消え失せて、このペニスによってペニスにだけ都合のいい存在だと刷り込まれてしまう。

 どうあっても抗うことが出来ない快感にマルタが覚えたものは――――『法悦』であった。

 『エクスタシー』とも訳されるその喜びに、マルタは歓喜の涙を零していく。


「おぉぉっ❤ もっと、もっとぉ❤ 気持ちよくなりたいっ❤ 今味わっているアクメよりも大きなアクメ、私という存在さえなくなってしまうガチイキっ❤ それを感じながら、あなたの本当の奴隷になりたいのぉぉっ❤❤❤」

『くぅ……よしっ! 射精ルゾ! 全部受け止めロォっ!』


 びゅるるるっ! どびゅるるっ! ぶびゅぴゅぅぅぅっぅっ!


「お゛ほ゛ぉ゛っ゛ぉ゛っ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ゛っ゛ぉ゛っ゛っ゛ぉ゛っ゛~゛~゛~゛~゛❤❤❤❤」


 マルタの子宮へと向けて、その蜜壺から溢れかえらんばかりに精液が流し込まれていく。

 ぼこりと精液の多さでスラリとしたマルタの腹部が膨らんでしまいそうなほどの量であった。

 カフェでフェラチオをして味わった精液の量もたっぷりとしたものだと思っていたが、肉棒を蜜壺に突っ込んだことで生まれる快感による射精はその比ではない。


「おぉぉ……❤ しゅ、しゅごいぃ……❤ オマンコ気持ちよくて、ふひぃ、あ、頭がおかしくなるぅ……❤」


 射精が終わったというのに、目の前がバチバチと光るような衝撃に襲われている。

 ビクンビクンと全身を痙攣させているマルタは、ズルズルと壁をずり落ちていってシャワールームの床へとカエルのようにうつ伏せになって倒れ込んでしまった。

 デカすぎる爆乳が背中からでも見えるように広がっており、ガニ股に開いている股間からはドロドロと精液が流れている。

 そして何よりも、マルタの美しい顔が歪んでいた。

 大きな目は見開かれてぐるりと裏返って半分が白目になり、鼻は無様に大きく開いていき、口からは赤い舌が溢れだしていったのである。


『HA, HAHAHA! イイ、イイよ、マルタ!』

「んひぃぃぃっっ❤」


 デカ尻を思い切り踏みつけられたことで体を仰け反らすマルタを見て、ドミニクは嬉しそうに顔をほころばせた。あの美しいマルタがこんな無様を晒しているということが、ドミニクの嗜虐欲求を何よりも満たしてくれるのである。

 となれば、たった一度のセックスで終わるわけがない。

 今のマルタの運命の相手は、雑魚雄の立香ではなく優秀な黒人男性であるドミニクなのだから。


 意図してこのシャワールームで犯し続けた。

 備え付けられた監視カメラで録画されている立香が、どのタイミングでマルタの嬌声を聞きながらの出歯亀オナニーをやめるだろうかと考えつつ、ドミニクはこの黒人崇拝特異点に感謝するのであった。





【エピローグ】



 結局、立香はあの後もシャワールームから響いてくる嬌声に気を取られて満足に眠ることが出来なかった。

 オナニーをしすぎて血が出そうなほどに粗チンをシゴき続けてダウンしたものの、それでもシャワールームの換気口の先から聞こえるセックスは終わらなかったのである。

 そこで先にベッドに戻ればいいものの、性根がスケベな立香はオナニーをするわけでもなく、そのパートナーを蔑みながら浮気相手を御主人様と呼ぶ女性の声を聞き続けてしまったのだ。

 そのため、セックスの終わりに習ってベッドについた立香なのだが、当然のように寝坊をしてしまってすでに太陽は頭上に輝いてしまっている。

 『先にマルタさんが来ていたらどうしよう』と思いながら出たホテルのロビーで、立香は不思議な光景を見た。


「あれ、マルタさん? もう来てたんだ」

「マスター、『もう来てたんだ』じゃありません! もう日が昇って良い時間ですよ、お寝坊ですね!

 全く、少しはドミニクさんを見習ったらどうですか?」

『Good Morning! 良く眠れましタカ、リツカ?』


 そこではマルタとドミニクがコーヒーを片手ににこやかな表情で歓談をしていたのだ。

 先日の様子だけならばまだマルタに警戒心が強かったはずなのに、今は向かい合うのではなくソファーに並んで座っているその姿は、まるで恋人のようですらあった。


(まさかマルタさん、ドミニクさんのことが……? って、そんなわけないよね、マルタさんは俺の恋人なんだから。それに、マルタさんは出会って一日の人に体を許すようなビッチじゃないよ)


 昨日の淫らな喘ぎ声に釣られてマルタの不貞を一瞬だけ疑ってしまうものの、マルタはそんなはしたない女ではないことを思って苦笑を漏らしてしまう。

 そう思うと、少し下品だが言い訳も兼ねて昨日の淫らなうめき声の話をしようと立香は決めた。


「それがさ、その、なんだかシャワールームからひどいぐらい女の人の、その、セックスをしているとしか思えないうめき声が夜の間ずっと聞こえちゃって……ほら、セックスというと黒人グループが関係しているかもしれないでしょ? 男の人の声が聞こえなかったらなんとも言えないけど、それが気になって上手く眠れなかったんだ、ごめんね」


 それは何気ない話題を振っただけに過ぎなかった。

 ともすれば、マルタからははしたない話をするなと怒られるかもしれなかったが、情報共有という意味では大事だろう。


「そ、そう、ですか……いえ、そういうこともあるでしょう。ホテルは二人部屋もありますし、そこで男女の関係にある二人が体を重ねて、ヒートアップしてしまうことは不思議ではありません!」

『HAHAHA! そうそう、ここはカップル御用達でもあるカラネ。本当はマルタとリツカくんにも利用してもらうつもりだったんダケド、二人は事情があって別部屋だったミタイだしネ♪ それよりも、今日の話をしようじゃないカ』

(あれ、おかしいな?)


 マルタが顔を真っ赤にして慌てたように話題を切り捨てようとし、ドミニクもまた立香を馬鹿にするようにニヤニヤとした不快な表情を浮かべたまま、話題をあからまさに変えてくる。

 しかも、昨日はマルタのことを『マルタさん』と呼んでいたドミニクが呼び捨てにしているのだ。

 首をひねる立香を、やはりドミニクはニヤニヤと笑っている。

 ムッとして流石に不快だと伝えようとしていた立香に対して、背後から聞き知った声が聞こえてくるではないか。


「おう、マスターとマルタに……見ねえ顔だけど、へへ、ただもんじゃねえって雰囲気じゃねえか❤」

「なんだ、マルタも早速馴染んだってことか……いや、なんでもねえよ。こっちの黒人は誰なんだ、オレたちにも」


 カイニスとモードレッドである。

 相変わらずこの由比ヶ浜で大流行しているという『QoS』のピアスに加えて、首元にお揃いの黒いチョーカーをつけているではないか。

 意味こそわからないが、カイニスとモードレッドほどの美女が身につけるのだから、よほどバカバカしいアクセサリーでもない限りは、どんなアクセサリーでもお洒落なアクセサリーに見えてしまう。

 そこで、ようやく立香は、マルタも長い艷やかな髪に隠れたその小さな耳にピアスをつけていることに気づいた。


「あれ、そう言えばマルタさんもカイニスたちと同じアクセサリーをつけてるんだね」

「え……ああ、そうですね。ドミニクさんにお店を紹介してもらいまして、ふふふ、似合いますか❤」

「うん、とっても似合ってるよ!」


 実際にマルタの白い肌を際立たせるような黒いアクセサリーは良く似合っていた。

 マルタは嬉しそうに耳のピアスを揺らしていき、それこそ乙女のように微笑む。

 その姿を見ただけで、立香はドキリと胸を高鳴らせてしまう。


「ぷはっ……❤ 『良く似合ってる』だってよっ❤ 本当に馬鹿だよなこいつ……❤」

「言ってやんなよ、カイニス❤ それに、マルタに良く似合ってるのは本当だろうが❤ アンタもそう思うだろ、マルタの御主人様よぉ❤」

『Yes! マルタは僕のものだって見せびらかシテルのに、元・恋人くんから公認してモラエタみたいで、すごく嬉しいデス♪』


 そんな立香は気づかない。

 すでに黒人の性奴隷に堕ちているカイニスとモードレッドが明確な嘲笑を、ドミニクは徹底的に立香を見下した笑みを浮かべているということを。


「そういや聞いたか、マスター❤ ダ・ヴィンチが言うには、調査隊がまた追加されるみたいだぜ❤」

「代表的なのは、バーゲストに鈴鹿御前……だったかな❤ へへへ、アイツらもこの特異点に来るとなると、すげえ頼りになるよなぁ❤」


 その生贄がどんどんと投入されていっても、なお、立香は気づかない。

 彼は気づかないままにこの黒人崇拝特異点で『ピエロ』として嘲笑われながら踊ることを運命づけられているということを。

 この黒人崇拝海岸・由比ヶ浜は黒人様を気持ちよくするためだけに、人理を救わんとする少年を養分にして巨大化していくのであった。


(終)

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