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上記の作品と同じ世界でのお話になりますが、前作を読まずとも問題ないと思われます。アルトリア・ペンドラゴン[ランサー]とアルトリア・ペンドラゴン[ルーラー]は同一個体としての設定で、水着獅子王がデブパワーリフターのような体型の黒人のBBCに完堕ちして恋人のマスターを捨てて永遠の忠誠を誓っちゃうお話です。よろしくお願いします。


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「はぁ、はぁ……アルトリアっ! アルトリアぁっ!」

「………………はぁ」


 ヘコヘコ、ヘコヘコっ。


 『ノウム・カルデア』の中にある、人類最後のマスターである藤丸立香に与えられたマイ・ルーム。

 そのプライベート・ルームで、立香はあまりにも弱々しい腰振りで自身のひ弱な男性器を女性器へと必死にこすり付けていた。

 薄暗い部屋の中でタオルケットの中で体を重ねているために、立花の性行為の相手である女性の肉体はよく見ることは出来ない。だが、そんな状態でもなおその美しさに目眩を起こしてしまいそうなほどの美女であることはわかる。

 美女の名は、アルトリア・ペンドラゴン[ランサー]。

 今は枕元のベッドサイドライトの淡い光によって上手く見えないが、黄金よりも輝けるブロンドヘアーと宝石よりも眩しい碧眼をした美貌と、スラリと伸びた体にあとから付け足したような違和感さえ覚える肉感的な巨乳が特徴的な、絶世の美女が立香の今夜のパートナーであった。

 このランサーのアルトリアは立香が人類最後のマスターとして旅をする間にカルデアの初期から召喚に応じてくれた、まさしく立香の懐刀とも呼ぶべき存在である。

 立香自身も強い信頼を向けており、特異点で回収された多くの聖杯や叡智の種火などの魔力リソースを彼女につぎ込んでおり、全盛期の力をサーヴァントの身でも震えるほどに強化された、このカルデアにおける最強のサーヴァントだ。

 そして、アルトリア・ランサー自身も立香へと強い信頼と忠誠を抱いており、それはただの騎士としてではなく、一人の女として立香を愛し、その身を捧げて一つに繋がり合うことを厭わないほどの関係性である。


「はぁ、はぁ……! 気持ちいいよぉ、アルトリア……アルトリアのオマンコが吸い付いてきて、こ、腰が止まらない……!」

「………………ふぅ」


 そんな強い絆で結ばれている二人だが、しかし、アルトリアには立香へたった一つだけ不満があった。

 それは、夜の行為──セックスに関する不満である。

 なにももったいぶる必要もないが、単純に、立香とのセックスが気持ちよくないのだ。

 『セックスでは愛情こそが大事で、性的なテクニックや肉体的な相性など些細なものだ』なんて綺麗事すらも放り出したくなるほどに、立香は壊滅的にセックスの対象としては劣った雄である。

 まず、単純な男性器のスペックがどうしようもないほどに低い。

 長さと太さに関してだが、それこそアルトリアの美しい指の一つ、小指がその股間についているかのような貧弱さだ。

 アルトリアのオマンコに挿入されても、『え、入っているのですか?』と思わず聞き返してしまいそうになるほどの──と言うより、実際に初めての際に聞き返してしまったほどの雑魚雑魚チンポである。その時は立香が初めてのセックスだったこともあって、感動のあまりアルトリアの言葉を聞いていなかったため、粗チンのくせに事実を言われて傷つき空気が悪くなることもなかったのは幸いだったが。

 続いて、いわゆる匂いだ。これは、女としてというよりも人として悪臭が漂うような性器はゴメンだが、それでも全くの無臭というのも興が削がれてしまう。清潔感があるというよりも存在感がないと言った方がいいほどの、雄とは思えない無臭チンポだ。

 当然、皮を被っている子供チンポで、それでいて真性包茎というわけでもなくオマンコに挿入すればぺろりと皮が向けて敏感なチンポが露出される。そこで普段は隠れているからこそ敏感なチンポは為す術もなく絶頂に至ってしまう早漏チンポなのである。


「ど、どう? 気持ちいい? アルトリアも気持ちいいよね?」

「っ………………あ、あんっ。あんっ、あ~んっ。気持ちいい、ですよ。

 マスターのおっきいペニスで私の中が満たされて、とても幸福な気持ちになります」

「よ、良かったぁ……! うぅ……アルトリアの喘ぎ声、エッチだよぉ……も、もう、出ちゃう……!」

(喘ぎ声ではありませんが……終わるのならそれでいいでしょう)


 男性器のスペックが全てではないが、立香はアルトリアとセックスをするまで性行為の経験がない童貞であったために、当然、セックスのテクニックなどあるわけもない。

 おっぱいも遮二無二に揉むだけで気持ちよさよりも痛さを覚えるし、オマンコへの愛撫だってどこで覚えたのかただ指を早く動かすだけの粗雑な動き、挿入の腰付きに関しては……これはそもそもチンポが粗悪なのだから、テクニック以前の問題である。

 それでいて、『自分が気持ちいいのだから相手も気持ちいいに決まっている』と当たり前のように思い込んでおり、このようにアルトリアに自身とのセックスが気持ちいいのかと尋ねてくるのだ。セックスに対しては不満しか抱いていない相手とは言え、それでもアルトリアは立香を愛しているということは事実であるために、偽りの喘ぎ声を漏らすのである。さらに、マスターを傷つけてはいけないと気を使って小指ほどしかないペニスを『大きいですよ』という、少しでも男性器の平均というものを知っている他人が見れば腹を抱えて大笑してしまうような嘘までついている始末だ。

 もっとも、一番滑稽なのはその嘘にも気づかずに悦に浸っている藤丸立香の姿そのものなのだが。


「あっ、射精るっ! 射精るぅっ!」

「っ……!」


 ぴゅるっ、ぴゅるるっ、ぴゅぅぅ……


 腟内への射精をするのだが、それが子宮まで届くことはない。

 あまりにも勢いの弱いお漏らし射精であるし、そもそも立香のチンポではアルトリアのきつきつオマンコの奥まで掘り進めないために、どちらかというとオマンコの入り口にザーメンを塗っていると言った方が良いような、そんな情けない射精になるのだ。

 百年の恋も冷めるような雑魚射精だというのに、立香は気の抜けた顔をしながら射精の快感を味わっている。アルトリア自身は全く性欲を満たされなかったオナニー以下のセックスだというのに、まるで極楽にたどり着いたかのような立香の姿を見る度に、どうしようもないほどの怒りを覚えてしまうのだ。


(いけない……たかだかセックスの巧拙程度で愛するマスターに怒りを覚えるなど、騎士として許されることではありません。

 マスターはセックスこそどうしようもないほどの下手くそな、夜のパートナーとして見ると雄の中では最底辺であると言わざるを得ませんが、それを覆すほどの人間的な魅力を持っている男性なのですから。

 そうです、牝を一切気持ちよくせずに自分だけ気持ちよくなっている、マスターの射精後の顔も、よく見ると……よく見ると……よく見ても情けなくて気持ち悪い顔ですが、そ、それでもまたどこかに奇妙な愛らしさが……ない、ですが、愛する殿方であることに変わりはありません。

 こうやって、抱きしめて労ってあげて……)


 アルトリア・ランサーが抱く藤丸立香への愛情は大きなものである。何度も言うが、この雑魚すぎるセックスを見せられれば女は男を見限り、すぐに交際関係を打ち切られていただろう。それでも、ランサーが藤丸立香と何度も夜を重ねられているということは、逆説的に、彼女が立香へと向ける愛が非常に大きいことの証明なのだ。

 その大きな愛を示すように、アルトリアは大きく腕を広げて立香の頭を抱え込み、むぎゅぅ、と胸で抱きしめていく。


「むぎゅっ!?」

「マスター、とても素敵でしたよ。

 お疲れの身でしょうが……セックス、お疲れ様でした」


 ナデナデ、と。

 アルトリア・ランサーは藤丸立香を柔らかい胸で抱きとめながら、その頭を白く細い指で優しく撫でていく。ただ、それは愛しい恋人に向けるようなものではなく、どちらかと言えば愛する子へと向けるような母性に満ちたものだった。

 事実として、もはやこの夜の行為の前後では、アルトリアは立香を男として見ることが出来ないのだろう。それでも愛しているという事実は変えようがないため、アルトリアも気づかないうちに『愛する男』ではなく『愛しい子供』としての対応をしてしまっているのだ。


「は、はうぅぅ……」


 その対応をされた藤丸立香はといえば、無意識にでも男として見られていない屈辱を感じている様子はなかった。

 それどころか『カクカク、カクカクッ』と無様に腰を空中に向けて振りながら、アルトリアの淫靡な体に溺れている始末である。どこまでも沈んでしまいそうな柔らかなおっぱい、どんなアロマよりも体をリラックスさせてくれる体臭、それだけでも脳が溶けてしまいそうな刺激だというのに、アルトリアの優しく『よしよし』と撫でてくれる指は立香を強制的に幼児退行を起こしてしまうほどの快感だ。

 強烈な刺激による興奮で血圧が上昇し、治ったばかりの柔らかな鼻孔の中の傷が開いてしまい、ぼたぼたと鼻血を流してしまうほどである。


「ま、マスター!? 大丈夫ですか!?」

「だ、大丈、夫……おぉっ!」

「ひっ!?」


 胸に顔をうずめて鼻血をダラダラと流すなどというあまりにも情けない姿を見てすでにドン引きしているアルトリア。さらに、鼻血に合わせて藤丸立香の半勃起チンポから『ぴゅるっ』とお漏らし射精がこぼれだしていくのを見て、アルトリアは立香に対する愛情を『気持ち悪い』という不快感が上回ってしまい、思わず立香を突き飛ばしてしまった。

 立香は大きな多幸感からそんな動作にも気づけず、ベッドの下に転がり落ちていく。その顔は鼻の下を伸ばして白目を剥いたなんとも情けない顔であった。


「ざ、雑魚すぎます……」


 アルトリアの赤い唇が動いて、呆れたように立香を貶す言葉がこぼれ出してしまう。

 だが、こんな情けない姿を晒してしまうことにも理由があった。

 立香のような雑魚雄にとってアルトリアのエロすぎる体は、もはや毒なのである。


 アルトリアと立香のセックスが常に薄暗い部屋の中でタオルケットを被せた、つまり、お互いに顔しか見えないような体勢で行われるのが常だった。それは二人が『恥ずかしがり屋』だからなどという可愛らしい理由ではない。立香がアルトリアのエロすぎるデカ乳を見てしまえば、その刺激だけで射精をしてしまう雑魚雄だからだ。

 明るい場所ではセックスすることしか出来ない欠陥が存在するカップル──それがアルトリア・ペンドラゴンという極上の牝と、藤丸立香という雄として底辺の存在のセックスなのである。


「はぁ……仕方ない、今日も自分で処理をしますか……」


 当然、そんなセックスではアルトリアが抱いていた悶々とした性的な昂りは一切解消されるはずもない。そのため、こうやってアルトリアの体に興奮しすぎて、眠るなり失神するなりで意識を失った立香の横でオナニーをして、その昂りを自分で慰めるということがアルトリアの常だった。


「ぅっ……汚い、ですね」


 立香の精液は無色に等しい上にサラサラとした、もはや透明な小便と見分けがつかないものであるためにアルトリアの心の中に言いようのない嫌悪感が湧き上がってくる。その精液をベッド脇のティッシュで拭き取りながら、アルトリアは立香と多くの夜を重ねているというのに処女同然のきれいなオマンコに指を這わせながら、余った片手でその巨乳を揉みしだいて解消されることのない昂りを鎮めるのだった。




■ ■ ■ ■ ■




 そんな毎夜を過ごすアルトリア・ランサーであったが、彼女の本分はカルデアの使命を忠実に執行するサーヴァントとしての在り方だ。使命感の強いアルトリアはワーカー・ホリック(仕事中毒)の気もある。

 仕事を与えられなければダラダラと過ごすこともあるが、しかし、今のアルトリアは仕事が与えられなければ、マスターの相手をしなければいけない。それが穏やかなティー・タイムのようなゆったりとした交流ならば良いのだが、初めてセックスをしたその日から立香はアルトリアのことを常にチラチラと性的な視線を明け透けに向けるようになってしまっていた。

 これがセックスでアルトリアを満足させている立場ならば、アルトリアだってまんざらでもないのだが、この藤丸立香という雄は雄としての能力が劣った最底辺の男である。そんな風にエロい目で見てくるのならば自分を満足させろと苛立ってしまうため、今では普通の交流も重みに感じるようになっているほどだ。


「紫式部、それで依頼とはなんでしょうか?」

「アルトリア様……実は、新たな特異点が発見されまして……」

「っ! 特異点、ですか!」


 そんな心境の変化もあって今ではそう言った性的な行為から程遠い『仕事』の時間を無理矢理でも探すようになっているほどだった。現在だってその『仕事』を無理矢理に見つけようとして、カルデア内部の図書館で司書として勤めている紫式部がなにか思い悩んでいる様子だったために問いただしたのである。

 すると、紫式部は少し悩んだ様子を見せた後にこの場ではなく管制室で話があると口にした。人払いがされた管制室の中で、紫式部はアルトリアと向かい合い、その秘密を漏らしていく。


「ダ・ヴィンチ様にはお話をしているのですが、それは私がシミュレーターを利用している間に発見された特異点なのです。現在は前段階の調査も終了しておりますが、その結果から三日後には、ある条件を満たしているカルデアのサーヴァントが強制的なレイシフトが行われるということなのです」

「強制的なレイシフト!? それは……かなりの規模を持った特異点なのでは?」

「いいえ、規模としては微小特異点と言っても良い程度のものだそうです。人理への影響が極めて低い代わりに、発生した特異点を観測したモノへと非常に強力な力を持って特異点を取り込んでしまうものです。わ、私がそんなものを見つけてしまわなければ……そんなことにはならなかったのに」


 それは偶然のことである。

 紫式部が現代日本をモデルにした舞台でのシュミレーション戦闘を行っている際に、陰陽道の心得があるからこそ見つけてしまった異変であった。

 それをレオナルド・ダ・ヴィンチへと報告をして、カルデアは外側からその特異点の『性質』を調査を行っていく。すると、その特異点は人理を歪めて現在に至るまでの世界を燃やし尽くすような恐ろしいものではなく、そのまま放っておけば自然消滅してしまうような微小特異点であるが、一度観測されれば『ある特性』を持つサーヴァントを強制的に取り込んでしまうという恐ろしい特異点だと判明したのだ。

 一時的にでもカルデアのサーヴァントの権限が奪われることで、そのサーヴァントを取り込んで微小特異点がさらに巨大化してしまう可能性だってある。

 紫式部は、そんな特異点を発見しなければと自分を責めているようだった。


「その特性とはなんなのですか?」

「それは……詳しくは難解な条件が並ぶのですが、私たちカルデアのメンバーへ簡単に説明するのならば──『水着』の霊基を所有しているサーヴァントのほとんどとなるそうです」

「……なるほど、私や貴方のようなサーヴァントですか」


 水着霊基。

 それはカルデアが夏になれば必ず起こる奇妙な特異点にレイシフトした際に必ず存在する特殊なサーヴァントの状態である。

 文字通り水着を身にまとった英霊たちだが、これは単純に衣服を変えたというだけでなく霊基そのものを変換してランサーやキャスターと言った『クラス』すら変わるほどの大きな変化を齎すのだ。

 そして、アルトリア・ランサーも紫式部もその水着霊基を所有するサーヴァントの内の一騎である。


 アルトリア・ペンドラゴンが水着霊基を手に入れた事件は、その名も『水着剣豪七色勝負』。ラスベガスに発生した特異点で、水着に身を包んだ美しき女英霊たちがしのぎを削る、夏の暑さと戦士の熱さで燃え盛る豪華絢爛たる喧嘩祭り。カルデアにおいて、もはや『魔性』の季節とも呼べる夏に起こった、あまりにも奇天烈な馬鹿騒ぎである。


「はい、水着のサーヴァントは今となって大勢いますから、数にすれば膨大なサーヴァントの皆様がその特異点に召喚されることになります。それを放置するわけにも行きませんから、なんとか対処をしなければいけないのです。

 ああ……私のせいで、カルデアは窮地に陥ってしまいました。

 ダ・ヴィンチ様はまだ解決方法があるかもしれない、不確定な要素を伝えて動揺を誘うわけにもいかないから、と周知を行いませんでしたが……ああっ……」

「あまり自身を責めてはいけません。貴女が見つけずとも、このカルデアの職員の皆々は優秀なスタッフです。その職員の誰かが職務を忠実に果たした結果として、その特異点を発見して事件に巻き込まれることだって十分にあり得たでしょう」


 外見から判断できる情報だけならば、それこそ権力者を手玉に取った悪女、傾国の美女と呼ばれてもおかしくはない紫式部が、まるで童女のように泣き出してしまう。彼女は外見とは裏腹にとてもピュアな内面を持っており、それがまた庇護欲を掻き立てるのだ。

 王であり騎士であるアルトリア・ランサーにとってもそれは同様であり、一人の騎士としてこの美しい女性を救わなければ、という騎士道精神に満ち溢れた考えがふつふつと湧いてくる。


「紫式部、貴女に涙は似合いません。どうぞこちらをお使いください」

「あぁ……アルトリア様っ。あ、ありがとうございます……」


 所有していたハンカチーフで紫式部の涙を拭いながら、騎士に相応しい清らかな笑みを浮かべるアルトリア。まさしく理想の『白馬の王子様』がそのまま現れたようなアルトリアの姿を見た紫式部は、胸をキュンっと高鳴らせながら、涙を拭った後に差し出されたそのハンカチーフを受け取る。


「……紫式部。どうぞ、ご安心ください。このアルトリア・ペンドラゴン。騎士の端くれとして、貴女の憂いを晴らしてみせましょう」

「あ、アルトリア様……?」

「私がレイシフトをし、その特異点を調査します。可能ならば特異点の修正も行いますが、さすがに単騎では不可能でしょう。魔力の消費を抑えての状態のため現地調査だけになるでしょうが、それでも安全に、そして確実に特異点の修正を行えるような情報を持ち帰りましょう。自惚れのようで恥ずかしいですが、騎士王と謳われた我が身と世界に幻想を縫い付ける我が槍、『ロンゴミニアド』があればどのような危機であろうと抜け出せると自負していますからね」


 涙に濡れる貴婦人を前にして、騎士の鑑と讃えられるアーサー王が心を奮わせないわけがない。こうして、アルトリア・ペンドラゴンは紫式部のサポートの元、特異点へと単独でレイシフトを行った。

 その特異点─────【黒人崇拝海岸・由比ヶ浜】がどれほど恐ろしい場所かも知らずに。




      【黒く染められた特異点】

【アルトリア・ペンドラゴン[ランサー/ルーラー]の場合】

 『性槍に刺し穿たれた騎士王、黒き王冠の前に跪く』





「ここがその特異点、ですか……」

『はい。時代は2016年、場所は日本の由比ヶ浜。人理焼却の前の、日本でも有数の観光スポットです。

 敵性存在は感知されていますが、どうでしょうか?』

「そうですね、少なくとも周囲に禍々しい気配などはありません。観光に訪れたのであろう人々の喧騒がむしろ心地よい、人の営みというものを感じ取れるような場所です」

『聖杯のような巨大な魔力反応もありません、しかも、これは特異点というよりも特殊な結界に近い……恐らく、このビーチの周辺から外に出ることは出来ないでしょう。人々はそこに違和感や不満を覚えないように洗脳魔術のような方法で認知を操っていると思われます』

「……ならば、まずはどれだけの範囲が移動可能か、動いてみましょう」


 紫式部の力を借りて単騎でレイシフトを行ったアルトリアが訪れた地は日本は鎌倉の由比ヶ浜、時代は人類最後のマスターである藤丸立香がカルデアに訪れた直前となる2016年の夏である。

 そこには大勢の男女が楽しそうに海岸で遊んでおり、それを見たアルトリアは思わず表情が緩んでしまう。自身が治めたブリテンから遠く離れた遠い未来の地での出来事とは言え、無辜の民が明日の生活に悩むことなく暮らす姿はアルトリア・ペンドラゴンという王にとってはこれ以上ない悦びを覚える光景であるためだ。

 しかし、そんな思いを抱きながらも仕事を忘れることはない。

 鋭い視線のまま、兜を外した白銀の鎧姿で周囲への探索を行おうとする。


「しかし、暑いですね……日本の夏というのは、ここまで不快感が生じる気候なのですか? まるで蒸し風呂の中にいるような……多汗状態に陥って鎧の中のインナーがぐじょぐじょに濡れて、大変不快です」

『恐らく、これも特異点の影響かと思われます。水着霊基を持つサーヴァントを取り込んでしまうことから考えて、水着ではないサーヴァントにデバフ状態を与えるのかと。微小特異点である現在はただ『不快感を与える』という程度のデバフなのでしょうが』

「ならば、霊基を変えるとしましょうか。カルデアで動く間は、マスターの騎士としての一面が強いこの鎧姿を好んでいるのですが仕方ありません。水着に着替えます」


 紫式部はこの特異点は水着サーヴァント以外を排除する動きがあると想定し、実際に水着ではない霊基でアルトリアが訪れたために不快感を抱いたのだろうと結論付けた。

 その結論に納得をしたアルトリアは、すぐさまに霊基を変貌させる。

 水着サーヴァントの中には、『リリィ』や『オルタ』と言った別霊基として顕現したサーヴァントと、スカサハを代表とする現代の魔術師では足下にも及ばない神秘を秘めた術を扱うサーヴァントたちの手で霊基を改変して水着霊基を手に入れたサーヴァントに分けられる。

 最初のサーヴァントならば水着霊基で固定されてしまうが、アルトリアは後者である上にそもそもの霊基が強力であるために自らの意思で霊基を変更することが出来る。


『ああ……! やはりアルトリア様の水着はとても素敵ですね! 女性的なモデルなのに、どこか颯爽とした凛々しい騎士としての姿が溢れています!』


 アルトリアは高貴な印象を与える純白の水着を身にまとっていた。

 ハイレグカットの股間部分はその下にあるビキニパンツがあるとは言えなんとも扇情的で、さらに巨乳を包む胸元は谷間が大きくむき出しになり、その乳房の下にはレース状の透けた素材で造られているためにその小さなおヘソも除くことが出来る。

 ともすればポルノ女優にも見えてしまうような水着だが、首元まである布地と手に持った純白の傘と同じく日差しからアルトリアを守る鍔広帽によって上品な印象を与えるのだが不思議だ。


「ふふっ、ありがとうございます……うん、かなり楽になりましたね。それにこの水着ならば周囲にも怪しまれることもないでしょう」


 霊基を変換させたという言葉の通り、ただ衣装が変わったわけではない。

 アルトリア・ペンドラゴン[ランサー]の際のスキルや宝具も変化が起こり、今はその手に聖槍『ロンゴミニアド』を握ることは出来ない。だが、アルトリア・ペンドラゴン[ルーラー]となったことで彼女の権威の象徴であるブリテンの巨大広間が航行能力や砲撃能力を有した高機動艦となった『ブライト・エハングウェン』の実体化を可能と出来るのだ。


「では、調査に移ります。周囲の探索をお願いできますね?」

『はい。どうぞお気をつけください』


 ルーラーへと霊基を変貌させたアルトリアは、そうして、まずはビーチから少し離れた場所にあるホテルや雑貨屋などの観光地にお馴染みの路地へと向かう。現実はどうかは別として、どうやらこの特異点ではそう言った場所でもすでに水着に着替えてる観光客は多く存在するようで、水着姿のアルトリアが浮くことはなかった。

 とは言え、アルトリアほどの絶世の美女ならば視線を集めてしまうが、それは先程も言ったように『街中なのになんで水着なんだ?』という訝しげな視線ではなく、あくまで『うぉっ……えろすぎ……チンポ勃起する……っていうか射精するっ……!』というような情欲に満ちた視線である。

 自惚れではなく単なる事実として、自身の外見は最高の牝であるという自覚を持つアルトリアはそんな雑魚雄の視線を無視して周囲を探るように街を進んでいく。

 だが、怪しげなものを発見することは出来なかった。


「どうやら……んっ……おかしなところは見つかりませんでしたね」

『はい、魔力反応もありません。あの、アルトリア様、大丈夫ですか? なにか、観測できない変化がありましたか……?』

「い、いえ、なんでもありません!」


 その『なにもなかった』ということを紫式部へと連絡をするアルトリアの様子が少々おかしい。

 いつもは凛として、その巨乳を見せびらかすように堂々と胸を張って歩いているアルトリアが、どこか顔を赤らめながら背を少しとは言え曲げて歩いているのだ。

 当然、紫式部は小首を傾げながらアルトリアに異常があったのかと問いかけるが、アルトリアは顔を赤らめてその言葉をはねのける。


(……な、なんでしょう、か? これは……水着が、きつい……?)

「んぅ……つ、次はビーチへと向かおうと思います。海になにかの意味があるかもしれませんから」


 というのも、アルトリアは歩いているうちに胸とお尻の水着の締め付けがきつくなっているように思えたのだ。水着の中から飛び出そうとしているおっぱいは巨乳というよりも爆乳、歩くだけで揺れるデカ尻は水着が収めきれずにズリズリと上がっていってTバックのように形となって、ことあるごとにそれを直す必要があったほどである。

 そんな異常が起こっているのだが、誇り高い王であるアルトリアは、まさか『自分の体が爆乳デカ尻のエロエロボディになってしまった』なんて情けない報告ができるわけもなく、紫式部の言葉を誤魔化すことしか出来なかった。

 アルトリアは足早に、しかし、先程のような堂々とした態度ではなくデカくなりすぎた爆乳とデカ尻を隠すように手を当てながら、なんともみっともない様子でビーチへと向かっていく。


「うおぉ……上玉はっけーん♪」

「いや、あれはレベル高すぎだろ。俺たちじゃ無理だって」

(っ……先ほどとは比べ物にならないゲスな視線が……水着の股間部分を大して膨らませられない性機能の劣る男程度の視線は、非常に不快ですね……!)

「紫式部、どうですか? 周囲におかしな反応はありますか?」


 そして、人が多く存在するビーチに辿り着くと当たり前のように先程よりも多くの視線が注がれる。

 そんな視線を受けて舌打ちを一つ漏らしてしまう。

 若い日本人ということもあり、その情欲に満ちた姿にアルトリアは藤丸立香の夜の姿を思い出してしまったのだ。その嫌な気持ちを誤魔化すように、アルトリアは紫式部へと連絡を取る。


『わか────り──た。────を──くだ──い』

「紫式部? 聞こえますか? 紫式部! ……くっ、通信が!?」


 だが、その際におかしなことが起こった。

 アルトリアが砂浜に足を踏み入れると、先程までは快調に通信を行えていたはずの紫式部との連絡が取れなくなったのである。

 急いで砂浜から離れ再び通信を行うものの、変わらずに梨のつぶてだ。

 特異点が持つ特性、その影響なのだろう。


「……いえ、これも調査の成果の一つです。明らかにこのビーチにこそ秘密があると示しているではありませんか。マシュ・キリエライトに並ぶマスターの信頼の厚いサーヴァントとして、ここで慌てふためいては最強の水着剣豪、水着獅子王の名折れ。特異点にも意思のようなものがあるのならば、より巧妙にビーチの中の秘密を隠してしまうかもしれない。紫式部への連絡を取り直せるかどうかは後回しにし、調査を続行します」


 ここで引くわけにはいかない。

 どこか連絡が取れる場所を探すよりも、特異点自身が変貌してビーチに眠るであろう秘密を隠されてしまう前にその秘密のしっぽだけでも掴んでしまおうとアルトリアは考えたのだ。

 あるいは、特異点の影響がアルトリアにも及んでおり、『ビーチにとどまるべきだ』と考えるように強制された可能性もあるが、そこにアルトリアは気づかない。

 これもカルデアの、そして人類の、ひいては愛するマスターのためだと、今にも爆乳とデカ尻が零れ落ちそうな、ワンサイズ小さい水着をそのままに砂浜を歩いて行くのだった。


「……うわ、あれもう痴女だろ。陰毛も乳輪も見えちまってるじゃねえか」

「なんか歩く度にムチムチって音が聞こえてくる気がするぞ……」


 だが、アルトリアは気づいていないのだろうか。

 その爆乳とデカ尻が徐々にではあるがより豊満化していって水着を限界まで引っ張った結果、レースの部分が伸び切ってもはや何も存在しないように、その奥を丸見えにさせているのである。それはスッキリとしたおへそはもちろんのこと、爆乳を包むおっぱいの上乳部分も伸び切って乳輪を隠しきれずに意味をなさないレース生地によって周囲に見せつけていた。だが、一番ひどいのは何と言ってもその股間部分だろう。美しいブロンドの髪よりも色素の濃いメディアムブラウンの陰毛が丸見えになっているのだ。

 本来ならば、陰毛は水着霊基となった時点である程度の処理を施されるのだが、爆乳化やデカ尻と同じく特異点の影響で処理を怠ったような雑な状態になっているようである。


「……ふぅ。どうも、見つかりませんね」


 そんな卑猥すぎる体を周囲に見せつけるように、調査の名目でたっぷりと砂浜を歩いていたアルトリアだが、さすがに一時間近くも歩いてなにも成果がないと面倒が先立つ。

 この特異点の影響なのか、体の気だるさも気になる。

 情けないことではあるが、少し休憩をしようと周囲の様子をうかがう。


「サンラウジャーですか。どれを使っても良いようですし、こちらを利用させてもらいましょう」


 そこで、ぽつんと空いていたパラソルとサンラウジャーを見つける。どうやらこのビーチに備え付けられたもののようで、海水浴利用者ならば無条件で利用しても良いようだ。

 アルトリアは、ふぅ、と息を一つ吐いてそのサンラウジャーにその玉体を寝そべらせる。改めて横になることで、よりアルトリアの体がどれだけ凹凸に満ちたエロい体であることがよくわかった。


「くぅ、我慢できねえ!」

「あっ、おいっ! やべえって! あんな痴女にかかわる……くっそ、エロすぎる……ええい!」


 そんなポルノ女優を生で見た状態よりもよっぽどエロい姿のアルトリアを見て、どれほど格上の美女で相手にされないと分かっていても、もはや我慢をこらえきれなくなった二人組の日本人男性がアルトリアへと声をかける。


「ねえねえ、お姉さん? 一人ぃ? 俺らと一緒に遊ぼうよ! 一人じゃ寂しいでしょ、お菓子とかビールとか色々用意してるしさ、きっと楽しいぜ!」

「うぉぉ……谷間なっが……あっ、いや、すんません! どうっすか? できれば一緒に────」

「……申し訳ありませんが、今は離れていますが同行中の者がいるのです。彼女と合流する必要もありますし、別件で急ぎの用もありますのでお断りさせていただきますね」


 男が女に声をかけるとは、つまりは、ナンパだ。

 にこやかな顔つきの軽い態度と同じように脳みその詰まっていない軽い頭と思える茶髪の男が話しかけてくるが、その男は鼻を伸ばした間抜けな顔でアルトリアのエロすぎる体を見つめている。

 同行している一見すると常識的に思える黒髪の男も同様で、アルトリアのただでさえ長い谷間が爆乳によってより長くなったおっぱいを情けない発情顔で見つめていた。

 いくらナンパとは言えそんなあまりにも失礼な態度の二人に対して、騒がれるのを避けるためにも丁寧な対応でお断りをしようと心がける。どこか見下したような色が混じってしまうのは、実際に見下されるに相応しい下劣な態度をしているのだからご愛嬌だろう。


「ぅっ……こ、声までエロすぎる……ちらっと覗ける舌までエロいぞ……」

「っ!?」


 そんなアルトリアの鈴のなるような美しい声に、常識的に振る舞っていた片方の男が股間を抑えだす。

 勃起したのだ。

 だが、傍目からはわからないほどの小さな勃起である。

 この男が、常識人の振りをしているくせに性欲を隠しきれていない男が、癖っ毛のある黒髪をした童顔の────『藤丸立香』によく似た男が、自身の体で発情をしている。

 それが、夜の満たされない行為にも結び付けられ、一気に目の前の二人組の男性への嫌悪感が増していく。

 この特異点に入ってから覚える不快感にも結びついて、王であり騎士であるアルトリア・ルーラーらしからぬ、不機嫌が表情に現れた顔を男へと向けて、煩わしいナンパを跳ね除けようとした。


「貴方たち、あまり私に不躾な視線を向けるんじゃ────」


 その瞬間だった。


『Oh! やっと見つけマシタ! オ待たせしてしまいましタカ?』


 アルトリアでも二人組の日本人男性でも、もちろん通信先の紫式部でもない声が響く。

 気配一つ感じなかった声に驚いてアルトリアが振り向くと、そこには一人の黒人男性が立っていた。



「っ────♥♥♥」



 その黒人男性を見た瞬間に、思わずアルトリアの胸が高鳴ってしまう。

 ダボッとした大きなTシャツと黒の海パンというビーチに居てもおかしくはない姿。そのシャツの下のお腹にたっぷりとした贅肉を蓄えた、一見すると自堕落な肥満体質のおじさんと言った様子の黒人男性である。

 だが、その贅肉は男の一面に過ぎない。

 その半袖のシャツと真っ黒なブーメランパンツ型の海パンから伸びる腕と脚には贅肉が見受けられず、真っ黒な肌も相まって黒鉄を連想させる強固で野太いもので、彼の力強さを言葉にすることなく周囲に思い知らされていた。


『What? この男の人たちは……どなたデスカ?』

「え、あ、い、いや、お、俺は、別に……!」

「し、失礼しましたー!」


 筋肉とはわかりやすい強さである。

 硬く、大きく、膨張したその筋肉は本能的に恐怖を味わわせるのだ。

 それが大きければ大きいほど、成人男性であってもまた女子供のように震えて逃げるしか出来ない。

 その黒人男性だが雰囲気自体は穏やかなものの、顔立ちがそこまで整っているわけでもないためにアルトリアと関係があるとは普通ならば思わないだろう。だが、しかし。あの硬く大きな筋肉はその地味な顔立ちなど問題にしないほどの男性的な魅力を現していた。

 アルトリアの美貌と淫靡な肉体が女性的な魅力となっているように、男にとって力強さ、いや、原始的な暴力性とは、雄としての魅力に通じるのである。

 事実、アルトリアはその腕と脚で固まった筋肉を本能的に見惚れているし、男たちはその恐ろしいまでの力強さに雄としての格の差を感じて怯えたまま逃げていったのだから。


「あ、貴方は……?」

『失礼しまシタ。ミセスが困っているようでしたので……要らないお世話でしたかネ? あなたの恋人が助けに来る前に騎士の役目を奪ってしまい、悪いことをしてしまいましたカネ?』

「いえ、助かりました。断ろうとはしていたのですが、少し、しつこそうな気配がありましたし……それと、私は『ミセス』ではありませんよ」

『Oh! 貴方ほど素敵な女性ならPartnerがいるものダト……重ねて、失礼しまシタ』


 アルトリアは立ち去っていく二人を眺めながらにこやかに語りかけてくる黒人男性と会話を行う。

 流暢な日本語を語っているように見えるものの実際は片言のような少々癖のある日本語だが、これもまたアルトリアがサーヴァントであるため、翻訳機能のようなものが英霊召喚のシステムに付け加えられて片言の日本語も流暢な日本語と同じように聞き取れているのだ。

 『Mrs.』──つまりは既婚者としてアルトリアに声をかけるその黒人男性に対して、自身は誰かの妻ではないということを主張する。そこで黒人男性から見え透いたお世辞を口にされるが、しかし、どうも悪い気はしない。騎士として礼儀正しくはあるものの思慮の深いアルトリアにしては珍しいほどに無警戒な様子で、その黒人男性との会話が続いていく。


「『ミスター』ではあるので少々ややこしいですが……いえ、第二の生でありマスターの騎士でありパートナーであるのですから、その諸々は忘れましょう。ミスで構いませんよ。

 私の名はアルトリアと言います、あなたは?」

『Huh? ミスター……? よくわからないことを言っていましたが……まあ、いいでしょう! 僕の名は、『TROY』! 『トロイ』、デス!

 ナンパ、大変でしたネ。But,この辺りはそういう場所デス。確かにここはBest Place! でもが人気ないノ、それが原因! だから、ナンパ待ちの人しか女の人はここをあんまり使いまセン。ここに居たら、また同じように男の人が寄ってきますヨ! よろしければ、どうデスカ? 僕、とっても良いBeach Houseを知ってイマス。そこまで案内しまスヨ?』


 トロイと名乗った男は『ここはナンパが多い場所だ』と言いながら、まさにナンパそのものの言葉でアルトリアを別の場所へと誘ってくる。あまり上手な手口ではないが、しかし、トロイの人懐っこい笑顔があれば成功する可能性もあるだろう。

 だが、それはあくまでナンパ待ちの女が相手ならばの話だ。アルトリアはあくまで一時的な休憩としてこのサンラウジャーを利用していただけであり、さらにアルトリアの優れた観察眼でトロイは単なる一人の人間だと見抜いている。特異点解決のきっかけとなるような相手ならばいざ知らず、ただの人好きのするデブマッチョの黒人相手ならばアルトリアがついていく理由はない。


「なるほど、悪くない提案ですね。ここはゆっくり休めそうではありませんし、案内をお願いしてもいいですか?」


 だというのに、アルトリアはトロイの申し出を快く受け入れるのだった。普段のアルトリアならばあり得ない回答である。騎士であるという強い自負を抱いているように、藤丸立香の恋人であるという自覚も強い。そのアルトリアが明らかにナンパと思える口ぶりのトロイにはついていくことはあり得ないのだ。

 そんなことにアルトリア自身も気づいていないのかもしれない、よそ行きのにこやかな笑顔を浮かべながらトロイの横に、それこそ今にも肩が触れ合いそうな距離で並んで歩いて行くのである。それどころか、トロイがエスコートだと言ってその丸太のような太い腕を腰に回しても嫌がる様子を見せずに歩いていくのだ。

 顔の美醜だけならば、アルトリアの絶世の美貌とトロイの平凡な顔では釣り合わないが、何度も言うがトロイの脂肪を蓄えながらも硬く大きな筋肉を搭載しているたくましい体を美女を引き連れるに相応しいものである。つまり、傍目から見ればそれほどおかしな組み合わせではなく、場合によっては二人の姿はカップルのようにさえ思えるということだ。


(気の良い人物のようですが……なんでしょうか? 不思議な香りが……臭い、とは違いますね。癖のある匂いですが、不快感は覚えません。この方の香水かなにかでしょうか?)


 アルトリアはトロイから漂う匂いに『すんすんっ、すんすんっ』と高く伸びた鼻を鳴らして嗅いでしまう。そこから漂う匂いは雄が漂わせる汗臭い体臭によく似ているが、だが、決してアルトリアに不快な想いを抱かせないという点で大きく異なる匂いだった。

 それを香水かなにかだろうと判断したアルトリアは、トロイの横を歩いて行く。

 そして、そんな様子で並んで歩いて行く二人は一件のビーチ・ハウスにたどり着いた。そこは黒を基調とした落ち着いた雰囲気のあるセンスの良い建物であり、また、看板のようなものは出ていないため、いわゆる海の家のようななにかの店舗ではないということがわかる。


「お店ではないのですね」

『身内だけで使っている、Private houseネ。

 元はお店だったんデスガ、それを買い取って改装したものになります。でも、普通のお店に負けないぐらい内装には気を使っていますシ、お酒も用意していますからきっと楽しんでもらえるはずデース!』


 重々しさを感じる黒いビーチ・ハウスはどこか威圧的であり、他者を黒いスペードの中心にアルファベットの『Q』が白く染め抜かれているドア・プレートがつけられた扉を開き、アルトリアとトロイは中へと入っていく。

 落ち着いたテンポのクラブ・ミュージックが流れる室内には数人の黒人男性と、その黒人男性のパートナーと思われる白人女性や日本人女性などが備え付けのテーブルで談笑をしていた。バーカウンターも備えられているもののバーテンダーがいるというわけではなく、時折、黒人男性が席を立ってカウンター内へと入り込んでお酒を取っていく様子が見られる。

 黒人たちに連れられた女性たちは、アルトリアほどではないにしても、皆が美しく、そして、心から楽しそうに黒人と笑い合っていた。黒人男性は女の細い腰に手を回し、女たちは厚い胸板にその指を添えている。場合によっては、彼らに声をかけてなにかこのビーチに異変が起こっていないか確認するのも悪くない。 


『こちら、ご馳走しマス。お酒、大丈夫?』

「ええ、少々ならば問題はありません」

『なら、良かった。どうぞお座りくだサイ』


 アルトリアがビーチ・ハウスの仲を確認していると、トロイはバーに潜り込んで見るからに高級そうな装飾を施された酒瓶を手に取る。アルコールにも耐性があるアルトリアとしては断る理由もなく、カウンター・テーブルの椅子に座った。

 すると、特異点の影響でたっぷりと媚肉を蓄えたデカ尻に変わったお尻が椅子にむっちりと乗り、ただでさえ食い込んでいた水着のお尻の部分が食い込んで、もはやTバックから何も履いていない状態になっているではないか。アルトリアほどの美女がお尻を丸見えにしていれば、当然、視線が集まってしまう。アルトリアのような英雄ならば、男たちの不躾な視線などすぐに感づくものだが、おかしなことにアルトリアはそんな欲望に満ちた視線を問題にせずに酒を用意しているトロイを見つめているだけだった。


『それではお嬢様、ドーゾ』

「お嬢様と呼ばれるような歳ではありませんよ。

 では、いただきましょうか………………っ、これは! 驚きました……想像していたものよりも、ずっといいお酒ですね」


 外見年齢はともかく、史実に基づく実年齢を思えば『とうのたった女性』という表現が似合ってしまうアルトリアだが、それでもお嬢様と呼ばれれば悪い気はしない。スッキリとしたグラスに注がれた高級酒を口に含んでいくと、その味わいに思わず感嘆の声を漏らしてしまう。

 度数の高い、喉を焼くような強い酒ではあるがその熱い味わいだからこそ与えてくれる酩酊感がなんとも心地よい。鼻を抜けるような香りも好みであったし、無意識にアルトリアの頬が緩んでしまう。


『では、僕もいただかせてもらいマスネ。アルトリアさんのような美しい女性のお隣なら、美味しいお酒がもっと美味しくなりまスヨ』

「ええ、どうぞお飲み────なっ!?」


 目を軽く閉じて、その味と香りを楽しみながら酒を飲んでいたアルトリアだが、隣りに座ったトロイがその手に持ったグラスを見た瞬間に心地よい感覚が吹き飛ぶほどの驚きに襲われてしまった。


「せ、聖杯!?」


 トロイが使っているグラス、それは『聖杯』であった。

 生前から聖杯伝説にも縁の近いアルトリアだからこそ、その隠しきれない神秘を間違えることはない。現実の一部分をも書き換えてしまいそうな強烈な存在感を放つ黄金の杯、ほろ酔いではなく泥酔状態であっても見間違えるはずのないほどの神秘を放つアーティファクトだ。

 鍛えられているものの、魔力のような神秘自体を感じない、逞しいだけの一般人としか思えないトロイ。まさか、そのトロイがそもそもの特異点の原因に近しい存在だとは欠片も想定していなかったため、アルトリアはガタリと音を立てて、席を立ってしまう。

 勢いよく立ち上がったアルトリアに、トロイはもちろん他にもこのビーチ・ハウスを利用していた男女の視線が集まる。ハッと冷静さを取り戻したアルトリアは、水着をお尻の谷間が飲み込んで剥き出しになってしまっているお尻を椅子に座り直して、声を潜めながら改めてトロイへと話しかける。


「ト、トロイさん……あなた、このグラスをどこで手に入れたのですか?」

『Huh? ああ、これは近くで開かれたバザーで手に入れマシタ! 金色でちょっと派手かもしれませんが、でも、どこか神聖な雰囲気がありマス。ひと目で気に入ってこのBeach houseに持ち込んで、僕専用のグラスとして使っていマース!』


 よほどお気に入りなのだろう、トロイはニコニコと笑いながらその聖杯を撫でていく。アルトリアは特異点を早々に解消できる見通しがついたことに喜びながら、それでも慎重にその聖杯を譲ってもらうための交渉を始めることにした。

 お金は、残念ながらアルトリアの手元に十分なものはないものの、かつて『水着剣豪七色勝負』で最強のディーラーとして活躍したアルトリアならば、この由比ヶ浜のどこかにあるかもしれない裏カジノを探せば稼ぐことが出来る。なにより、騎士である以上は選ぶことはないだろうが、最悪の手段として暴力を持って聖杯をトロイから強奪することだって可能だ。

 なるべく穏便に済ませたいと思いながら、アルトリアはトロイへと語りかける。


「申し訳ありません、トロイさん。実はそのグラスは私のものなのです。いわゆる、盗品というものですね。それが流れに流れてフリーマーケットに行ってしまったようでして……その、どうか私にお返し、いえ、譲っていただけませんか?」

『Really? それなら返してあげたいとは思いますが……僕もこれを大変気に入っていますし、そもそもこれがアルトリアさんの所有物だという証拠もありまセーン。使用している際のPhotographなどはないんデスカ?』

「そ、それは……」


 もちろん、聖杯は別にアルトリアの所有物というわけでもないのだから、そんな写真のような証拠などあるわけがない。言葉に詰まったアルトリアを訝しげに見るトロイの目はどんどんと冷たくなっていくようにアルトリアには思え、焦りだけが募っていく。


『……ただ、アルトリアさんが僕のRequestに答えてくれるなら、このグラスを渡しても構いまセンヨ』

「本当ですか!?」


 だが、そんなアルトリアの焦りとは裏腹に、トロイは一つの提案をする。騎士らしくはないものの、最悪、腕尽くで奪うことも考えていたアルトリアとしては食いつくほかなかった。

 トロイの太い腕がゆったりとしたスピードで動く。その大きな黒い手がアルトリアの細く白い腕をつかみ、トロイの『股間』へとみちびいっていたのだ。


「なっ……!? なにをする、この不埒者め!」


 男性器を無理矢理に触れさせようとする、セクシャル・ハラスメントだ。今までは非常に紳士的だったトロイの突然のセクハラにアルトリアは顔を驚愕に染め、しかし、自身の手がトロイの股間に到着するよりも早く、トロイに掴まれていない逆の手を素早い動きで振り上げて、その真っ黒な頬へと目掛けて平手打ちを食らわそうとする。


『Non,Non! 落ち着いてください、アルトリアさん!』

「っ、は、速いっ────!?」


 だが、一般人と思っていたトロイの行動はアルトリアの想定よりも機敏なものだった。アルトリアが警告も含めて大きく振り上げた手を逆の手で掴み、そして、サーヴァントとしての筋力ランクCのアルトリア・ペンドラゴン[ルーラー]の力を使ってもピクリとも動かないほどの力で抑え込む。


「あ、貴方は一体……え、えぇっ!?」


 トロイが只者ではないと気づき、それを問いただそうとするアルトリアだが、その驚きのあまり、自身の片手がトロイの股間へと導かれていることを忘れてしまっていた。トロイは黒いブーメラン型の海水パンツ越しに、アルトリアに自身の男性器を『ナデナデ』と撫でさせる。あからさまなセクハラ。いや、それ以上の性的暴行と言える行為であった。

 だが、トロイのペニスを海パン越しに撫でさせられた当の本人であるアルトリアは、思わず言葉を失ってしまう。


(でっっっっっっっっかっ♥♥♥♥♥♥♥♥)


 トロイの股間にぶら下がったペニスがあまりにも大きすぎて、頭が真っ白になってしまったからだ。

 勃起はしていないはずだ。なのに、海パン越しに触っただけでもわかる硬さと太さと長さ。そのどれもがアルトリアの唯一知るペニスとは、藤丸立香の粗末で情けない雑魚ペニスとは格が違うと嫌でもわかってしまう。さらに、その大きさに牝としての本能が興奮し始め、思わずといった様子でアルトリアの指が動き、そのペニスを海パン越しに揉み始めてしまったのである。


『Oh……! アルトリアさん、僕のペニスに興味があるみたいです。ふふ、乗り気みたいで嬉しいですね♪』

「あっ、い、いや、これはっ……違っ……♥ あっ、は、離してくださいっ……♥」


 トロイがわざとらしい声を上げた瞬間にハッと顔を上げて、海パンから手を離そうとするがトロイの力強い握力はその逃避を許さない。トロイは腰をグイグイと前に動かすようにしてアルトリアの手に押し付けながら、きれいな耳へ唇を寄せて囁くように言葉を発していく。


『僕のPenisを『お掃除』して、10分以内に射精させることが出来れば、このグラスをお渡ししマス。ですが、もしも10分以内に射精できなければ……逆に、僕のお願いを聞いてもらいますネ。Are you OK?』

「お、お掃除……!? こ、このペニスに……初めて会ったばかりの男性と、そう言った行為を……!?」


 『ペニスを掃除する』という言葉の意味がわからないほど、アルトリアは性的な行為に無知というわけではない。この場合は『ペニスを手でシゴいたり、口でしゃぶったりをして気持ちよくする』行為の比喩だとは簡単にわかる。

 普通ならば受けるはずがない。アルトリア・ペンドラゴンは気高き騎士であり、ただ一人の男性を愛する淑女でもあるのだから。


「ごくりっ……♥」


 だが、今のアルトリアは普通の状況ではない。

 この特異点そのものがアルトリアも認識できないうちに影響を与えていること。

 目の前の黒人男性を魅力的に感じてしまっていること。

 そして、今の愛するパートナーである藤丸立香との夜の行為に大きな不満を抱いていること。

 この三つが作用したアルトリアは、普通では考えられない行動を取ってしまったのである。


「わ、わかり……ました……♥」

『Good! それなら早速、別室に向かいまショウ! さすがに、こんなに人がいるところで『お掃除』をさせるつもりはありませんからネ! さあ、こちらへ!』

「あっ、ひ、引っ張らないでください……♥」


 こくり、と頷いてしまったアルトリアに対して、トロイは弾けるような笑みを浮かべながらその手を引っ張ってビーチ・ハウスの二階に複数ある個室の中の一室へと彼女を引き連れていく。サーヴァントであり、騎士でもあるはずのアルトリアが振りほどけないほどの力強さだった。いや、正確に言えば力強いだけではなく、アルトリアに『この手を振りほどきたくない』と思わせる魅力を持つ行為である。

 熱病に浮かされたようにアルトリアは別室へと足を踏み入れてしまう。それがなにかの罠だと警戒する事もできないほどに、アルトリアの頭には靄がかかったように曖昧な状態だった。今、アルトリアが考えられることはただひとつ、あの海パン越しに触れた黒人男性のペニスがあまりにも大きかったということだけである。


『それでは、僕はここで座っていますネ。このデジタル時計のタイマー機能で10分を測るのデ、それでは早速──』

「待ちなさい、まだ貴方が服を脱いでいないでしょう。脱がす時間まで含んで時間稼ぎをするのは、騎士道に悖る卑怯な作戦ではありませんか?」


 二階の個室はどうやらベッドルームのようで、トロイが大きなベッドに腰掛けた後は枕元のデジタル時計を手に取った。その時計にはどうやらタイマー機能もあるようで、カチカチと操作して10分に数字を合わせていくが、アルトリアはそれに待ったをかける。トロイがまだペニスを晒していないからだ。

 アルトリアは、気づいていない。海パン越しに触れた曖昧なペニスの形から察せられる、雄として優れたBig Black Cockが現れることに胸を高鳴らせて、普段の彼女とは違って早口で喋り、時折その声が裏返ってしまっていることに。そして、それがどう見ても発情した牝が平静を取り繕っている姿にほかならないことに、アルトリアは気づいていないのだ。

 だが、外から見ればアルトリアの発情っぷりは一目瞭然で、トロイはニヤリと笑みを浮かべて鷹揚に傾くのだった。


『Oh! これは失礼しました、それでは……ふふ、脱がさせてもらいますネ』

「ええ、早く準、備、を────♥」


 ぼろんっ、と。


 勢いよく海パンを脱ぎ捨てたトロイの股間、そこにぶら下がっていたペニスが勢いよく揺れながら露出される。

 そのペニスから、アルトリアは視線を外すことができなかった。


(な、なんて、大きさ……♥ マスターの、二倍、三倍……いいえ、く、比べることも出来ないほどの、大きなペニスです……♥ そ、それに何よりも……に、匂いっ♥ なんですか、この匂いは♥ さっきから微妙に気になっていたあの匂いは、このペニスの匂いだったのですね♥ くぅぅっ、な、なんて雄臭♥ きれい好きで清潔なマスターでは絶対に出せない、雄の匂いがプンプンと漂ってきます♥ ふぅぅぅっ♥ ふぅぅぅっ♥ は、鼻が曲がりそうだっ♥ くぅ、なんだかお腹もキュンキュンとうねりだして、体調を悪くしてしまうほどの匂いだというのですか♥ こ、腰が引けて、なんとも情けない姿を晒してしまうぅ……♥)


 はぁぁぁ、はぁぁぁ、と。


 アルトリアは呼吸を乱しながら、トロイのペニスを穴が空くほどに見つめていた。アルトリアの握りこぶしもありそうな鬼頭の大きさに、まるで鉄杭のように硬く勃起した竿はどんな武器よりも威圧的なフォルムをしたペニスである。その長さはアルトリアの股間からヘソまでの長さを悠々と越える長さをしており、挿入されればオマンコと子宮が破壊されてしまうだろうと嫌でも連想させる巨大なペニスであった。その上、匂いもまた凄まじい。藤丸立香のペニスはほとんど無臭であるが、トロイのペニスはこれほど離れた距離にあっても鼻を捻じ曲げるようなすさまじい匂いが発している。それをアルトリアは悪臭と称したが、同時に牝の本能を刺激する力強い雄の匂いでもあった。

 アルトリアは顔を真っ赤に染めながら、ペンよりも重いものを持っていたことのない可憐な女の子のような腰の引けた体勢でトロイのペニスを見つめており、その熱い視線はトロイが苦笑交じりにアルトリアに声をかけるまで続いていたのである。


『Hey,アルトリアさん? そろそろ、勝負を始めまセンカ?』

「……はっ! し、失礼しました! それでは……と、隣に、座りますね♥ うっ、う、腕も太い……私のウエストぐらいあるのではないでしょうか……♥」

『Thanks! 僕、Trainingが趣味ネ。お酒やお肉も大好きだからお腹にはこんなに脂肪がついてるけど、でも、筋肉も同じぐらい隠れていますから褒められると本当に嬉しいです。アルトリアは、こういう体型は嫌いですカ? 由比ヶ浜に大勢いた、日本人のようなひょろっちい体が好みだったりシマス?』

「い、いえ……私としては、大柄な男性の方が好みですね。脂肪も、多すぎれば好ましくありませんがこれぐらいなばら包容力を感じて、むしろ好印象です……って、何を言わせるんですか! す、すぐに始めますよ!」

『ふふ、申し訳ありマセン。では……『START』です!』


 ベッドに腰掛けたトロイの隣に座り込むと、そのままペニスを責めなければいけないために肌が触れ合うほどの近さとなる。トロイはTシャツも脱ぎ捨てており、たぷんと脂肪の蓄えられたお腹と、ガチガチに固まった肩と腕が露出されることになった。その肩とアルトリアの肩が触れ合い、そこから感じる硬さにアルトリアはどうしようもないほどに『雄』を感じてしまう。その腕は太く、アルトリアのウエストほどあるのではという風に感じたのも不思議ではない逞しさだった。

 明らかに、トロイというデブパワーリフター体型の黒人男性に雄としての魅力を感じている反応である。それを自覚しているのかしていないのか、アルトリアは頭を振って邪念を追い払い、聖杯を手に入れるための勝負──そんな名目をした、トロイへの性的な奉仕を開始していく。


「ぅっ……♥ す、すごいっ♥ 手で軽く握っただけで、弾かれそうになるほどの硬さ♥ 私の指では到底回しきれないほどの太さ♥ こ、これが、黒人男性のペニス、なのですね……♥ ふぅぅ、ふぅぅぅっ……♥ そ、それでは……上下に動かして……♥ くぅぅっ♥ て、手を動かすだけで匂いがさらに強まっていく♥ さ、先走り汁、でしょうか……♥ これだけでもマスターの射精よりも匂いが強くて、粘り気もあって、色も濃い……い、いえ♥ なんでもありませんっ♥ 違います、恋人と比べてなどいません♥ 今すぐに忘れなさいっ♥」


 シコシコっ♥ シコシコっ♥ シコシコっ♥


『Huh……どうぞ、責め立ててくだサイ♪ 僕はこう見えても結構モテるので、こういう勝負には自信がありますヨ♪』

「た、確かに貴方のようにユーモアもあって逞しい体をしている男性は女性にモテるでしょうが……ナメないでください、もうこんなに先走り汁を出しているではありませんか。1分も経たずにこの調子ならば……くっ♥ ほ、包皮を剥けばさらにペニスの垢が飛び出て、匂いが強まる♥ も、もっとペニスは清潔に扱いなさい♥ 貴方ほどの男性ならば女性とそういう関係になることも多いのでしょうから、こんな垢だらけのペニスでは女性側が嫌がるではないですか♥」


 そうして始まったアルトリアとトロイの勝負だが、責める側であるアルトリアはその方法に手コキを選んだ。

 仮性包茎のトロイのペニスを手コキで包皮を剥いていくと、その下から大量のチンカスが出てくる。このチンカスがアルトリアの白魚のような美しい指を汚していき、さらには手コキの影響からかペニスの先から排泄され始めた先走りの汁もかかっていった。アルトリアの手はすぐにチンカスと先走り汁でコーディングをされていき、ペニスの匂いがすぐに移ってしまったのである。

 ニチャニチャと手にまとわりつく感覚は不快なはずだというのに、どうしてかアルトリアの胸は高鳴り続けていく。トロイの大きなペニスがビクビクと脈動する度に、その浮き出た血管で手コキが一旦止まってしまう度に、平坦で細い藤丸立香の貧弱なペニスを思い返して、トロイのペニスの素晴らしさを無意識のうちに本能へと刻まれてしまうのだ。


「くっ、な、何故……♥ こ、こんなに先走りのカウパー液を垂れ流しているのに、私の聖槍を握るための手をドロドロに濡らしてしまうほどなのに、射精同然の量がすでに分泌されているというのに、なんで射精をしないのですかっ♥ ま、マスターなら1分と持たないはずなのにぃ……♥」

『Master……先程から恋人のことを奇妙な呼び方をしていますね。そういう、上下関係をはっきりとさせるプレイなのでしょうか? でも、アルトリアのMaster、とっても情けないみたいね。あんまり男として強くないみたいデス』

「っ! 貴様、マスターへの侮辱は──ひっ♥ や、やめろっ♥ 私の手の上から自分の手を被せて、自分でシゴキだすな♥ こ、こんなに早くチンポを刺激させるんじゃありません♥」


 シコシコっ♥ シコシコっ♥ シコシコっ♥


『こんな手コキじゃ、僕、一時間経っても二時間経っても……ううん、一日経っても射精できませんカラネ。これぐらいしてくれたら、まあ、射精できるかなってぐらいです。でも我慢なら出来マス。もっと頑張らないと……負けてしまいますヨ?』

「くっ、くぅぅ……こ、こうなったら……ええい、覚悟決めろ、アルトリア!」


 先走り汁が出ているからすぐに射精するはずだというアルトリアの見込みはあまりにも甘い。ただ手コキをさせるだけで、その恋人よりも強い魅力を覚えさせてくる強い雄であるトロイにとって、アルトリアの藤丸立香という弱い雄しか知らない初心な牝の稚拙な手コキに耐えることなど容易いことであった。

 その証拠にトロイは余裕たっぷりにアルトリアの手を掴み、激しくペニスをシゴカせる。藤丸立香を相手にこんな激しい手コキをすればすぐに暴発してしまうこと間違いなしのスピードの手コキだった。それでもトロイにとっては大したことのない刺激のようで、射精するつもりならば射精できるが、我慢するつもりならいくらでも我慢できるほどの刺激である。

 このままでは負ける。

 それを感じ取ったアルトリアは、恥も外聞もないと覚悟を決めた。そして、トロイの股間へと目掛けその上半身を大きく倒していき、大きなペニスを前にして大きく口を開いて咥えこんでいった。


「はむっ♥ じゅるるっ♥ れろれろっ、ちゅぅぅぅ♥ ふぅ、ちゅぱっ♥ んちゅぅぅ、ちゅぅぅぅっ♥」

『おぉっ♪ ふぇ、フェラチオですカ♪ 確かに、これは……口の中がとても温かくて、アルトリアさんは小顔だから口内も狭くて、なかなかの気持ちよさデスネ♪』

「んじゅるるぅ♥ ちゅぅっっ♥ ちゅるるぅ♥ れろれろぉぉおぉ♥ あ、あと、5分……早く、イカさなくては♥ ちゅぅぅぅっ♥」


 手コキでは何時間あっても勝てないと判断したアルトリアが取った新たな戦法は、フェラチオである。驚異的な小顔のアルトリアが大きく口を開いて握り拳のような大きな鬼頭を咥えこんでいき、口内で舌を縦横無尽に動かせて刺激を与えていくのだ。

 これにはトロイも効果があったようで、気持ちよさそうに目を細めながら息を少々乱している。手応えありと、ちらりと視線をタイマーに目を移すと残り時間はもう半分ほどとなっていた。さらに舌を蠢かせていく。


「んちゅぅぅぅっ♥ れろっ♥ れろれろぉぉっ♥ はぁ、はぁぁぁ♥ くぅ、フェ、フェラチオだとチンカスが口の中に入って、どうしても少し飲み込んでしまう……♥ あ、頭がクラクラしてくるが、ここが堪えどころっ♥ じゅるるるぅぅっ♥ ちゅぅっ♥ ちゅっ♥ ちゅぱぁぁっ♥」


 それでも、このフェラチオ戦法はアルトリアにとってもメリットだけというわけではない。トロイの包皮の下と高いカリの溝に隠れていたチンカスと、未だに分泌され続ける先走り汁を直接舌で味わってしまうのだ。今にも気が遠くなりそうなほどの匂いの強烈さに、それでも自身を叱咤してフェラチオを続けていく。


『うぅ~ん……最初は良かったですガ、すぐに飽きちゃいましタネ。フェラチオをするなら、これぐらいしないといけませんヨ? ほらっ!』

「ふぇっ……? はぐぅっ♥ むぎゅぅ、もぎゅぅぅぅっ♥ んぐぅっ♥ ぉえっ♥ はぁ、ふぅっ、にゅぎゅぅうぅっっ♥♥♥♥」


 だが、そのアルトリアの決意も虚しいもので、トロイは次第にそのフェラチオに慣れつつあった。これもまた手コキと同じようにいくらでも耐えることができる、その自信があるトロイはアルトリアの美しい金髪を乱暴に掴むと、ぐいっと思い切り自分の股間に引き寄せるようにアルトリアの頭を押さえつけていく。

 当然アルトリアの口内にはトロイのペニスが入ったままなのだから、そのペニスは吐き出されることもなくアルトリアの口内の奥、つまり、喉にまで挿入されていく。


「ほぐぅぅぅっ♥ はぎゅ、ぐぐぅぅっ♥ んぎゅっ、おごぉっ♥ ふぅ、はぁぁっ♥」

『こんな感じですヨ、フェラチオをするというのは。アルトリアさんのはPenisの先っぽだけをチロチロと舐めるだけの児戯でス。あれで射精できるような男は、それこそ親指と小指で触れられただけでも射精するような雑魚ダケ。アルトリアさん、やっぱりろくな男性と出会わなかったんですネ』

「むぎゅぅぅっ♥ ふぎゅっ♥ おぎゅっ♥ んぐぐぅぅぅ、ごぉぉぉぉっ♥」


 トロイの言葉はあまりにも侮辱的な言葉であったが、アルトリアはその言葉に言い返すことが出来ない。言い返す余裕などない。喉を犯される苦しみに悶えることしか出来ないのだから当然だ。トロイはアルトリアの小さな顔をまるでオナホールのように乱暴に扱いながら、それでも余裕たっぷりにタイマーをのんびりと眺めている。残り2分まで来たところで、やっとトロイはアルトリアの美しいブロンドヘアーから手を離すのだった。


『これで覚えましたネ? それでは今度はアルトリアさんが自分で……おや?』

「はぁぁ……ふぎゅぅぅ……んぎゅぅぅ……♥」


 残り2分と、もう時間がない。急がなければ負けてしまうというのに、トロイによるイラマチオ責めから解放されたアルトリアはピクピクと体を痙攣させながら、虚空を見つめて手コキもフェラチオも行えなくなっていた。あまりにもイラマチオが強烈過ぎて、脳がバカになってしまっためである。


『Oh……まさか、ここまで雑魚な牝だったとはネ。こんないい顔と体をしているのに、もはや可哀想でさえありますネ。全く、どんなPartnerなのか……顔が見てみたいデスヨ』

「あっ……あぁっ♥ い、いけない……っ♥ だ、だめだっ、は、早く、早く射精させなければ、負けて────」


 PiPiPiPi♪ PiPiPiPi♪ PiPiPiPi♪ PiPiPiPi♪


「────あっ♥」

『Time is over.残念ですが、アルトリアさんの負けデース!』


 最後の2分、アルトリアは何も出来なかった。

 ただ、タイマーから鳴る音を聞きながら、自分の唾液と先走り汁でテカテカと光るトロイの巨大なペニスを見つめることしか出来ない。それに合わせてゴクリと喉が動き、口内に残されていたチンカスを嚥下してしまう。他人の垢など、普通ならば嘔吐してしまいそうなものなのに、どうしてだろうか。チンカスが喉を通るだけで、アルトリアは腰を震わせてしまうほどの快感を覚えてしまうのだった。


『それでは、アルトリアさん。僕のお願いを聞いてもらいます……と言いたいデスガ』

「なに、を……はぐぅぅっ♥」

『まずは、綺麗に一発抜かせてもらいマス! そう、頬をすぼめて、そのおきれいな顔を不細工な顔に変えてでもPenisに奉仕してくだサイ! それが牝の基本ですヨ!』


 再びトロイはアルトリアの頭を掴んで、無理矢理にフェラチオをさせる。

 その際にフェラチオ指導をすることを忘れず、そして、その指導に反感を抱く暇もなくアルトリアは牝の本能で無意識に従ってしまう。頬をすぼめてチンポに貼り付けて、まるで『ひょっとこ』のような無様な顔を作った。アルトリアほどの美女が見せるひょっとこフェラは視覚的な快感もトロイに与えてくれる。トロイには我慢する必要もなく、この10分間あまりにも牝として情けない奉仕を受けた鬱憤を晴らすような勢いで、アルトリアの口内で射精をするのだった。


『くぅぅ、射精シマス! 飲み込みなサイっ!』

「むぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅ♥♥♥♥♥♥♥」


 どびゅううぅぅぅぅぅぅっ! びゅるるるっ! びゅうぅぅっっ! びゅっ! どびゅどびゅうううぅぅっぅぅっ!


 ものすごい勢いの射精だった。アルトリアの喉を通り胃の中へと流れ込んでいくその精液は、あまりにも勢いが強いために鼻を通って逆流していく。アルトリアの高い鼻からザーメンが鼻水のように飛び出してしまうその姿は、どうしようもなく無様だった。

 トロイは腰をぷるぷると震えながら、一滴残らずアルトリアの口内へと射精をしていく。アルトリアはげっ歯類のように頬を大きく膨らませている姿は、アルトリアの元々の顔立ちが女神にも劣らないほどの美しさだからこそ、余計に滑稽な様子を与えてしまうものだ。


『呑み込むんデス、アルトリアさん』

「んっ……んぐぅ、んぅぅ……ごっくんっ♥ ごくっ、ごくぅぅっ……ぷはぁっ♥」


 頬を膨らませているザーメンなど吐き出してしまおうと思っていたアルトリアだったが、トロイからの指示に反射的に飲み込んでしまう。ごくっ、と喉を鳴らせばネバネバとしたザーメンが胃の中へと落ちていくのだが、あまりにも粘度が高いために、今でも喉に引っかかっているような強烈な匂いを発していた。今こうして履いている息にさえザーメンの強烈な匂いが漂っていたほどである。

 だが、それだけでは終わってくれなかった。


「はぁぁ……はぁ……んっ♥ んんぅっ♥ あっ、だ、だめ、それはだめっ……そんな、はしたないことは……んんぅっ♥ うぅっ♥ げぇぇぇぇ~~~っぷっ♥♥♥♥」


 ゲップを出してしまったのだ

 アルトリアのような品位ある美貌を持った女性が、ザーメン臭いゲップを出すなどあり得ないことだ。ただ、藤丸立香のような弱い雄ならば『引いてしまって』チンポを萎えさせるかもしれないが、トロイのような下品でありながらも強い雄にとっては、むしろ性欲を強めるほどにエロティックな光景である。トロイはニヤリとした下品な笑みを浮かべて、口に手を当てて羞恥に震えているアルトリアの体へと手を伸ばしていく。


「ひゃぅんっ♥ な、なにをっ♥」

『アルトリアさん、僕のお願い、聞いてもらいますヨ?』

「ぅっ……し、仕方ありません♥ 騎士に二言はなし……内容にもよりますが、尽力させていただきます♥ んぅっ♥ む、胸を揉むのは、やめなさい……♥」


 背中に手を回されたアルトリアは、トロイの大きな手でその爆乳を揉みしだかれながらも毅然とした態度を取ろうと努めていた。もっとも、毅然とした態度だと思っているのはアルトリアだけで、実際にアルトリアの様子を見ているトロイからすれば、もじもじと腰を震わせながら顔を真っ赤に染めて、呼吸はザーメン臭くなっているアルトリアはどう見ても雄に媚びる牝の姿である。

 そんな極上の牝を見下ろしながら、トロイはその低い声で囁いた。


『僕の牝になりナサイ─────Altria』

「っっぅっぅっっっっぅっ♥♥♥♥♥♥」


 ゾクゾク、と背中が震えるほどの快感がアルトリアに襲いかかった。それは、今までの藤丸立香との日々を全て合わせてもまだ足りないほどの強烈な快感である。そのペニスでトロイの力強さを見せつけられてからの所有物宣言は、アルトリアの中にある牝を呼び起こしてしまうには十分すぎるほどの効果を見せていたのだ。


『二日間で構いまセン、その間にアルトリアを僕だけの女にシマス』

「な、なにを、勝手なことを……」

『Shut up.』

「ぅぅっ♥」

『僕が決めたことデス。アルトリア、貴方は従っていればいい……わかりましたカ?』


 あまりにも自分勝手な発言に表向きの理性で反論しようとしても、トロイが短く『Shut up.(黙れ)』と口にすればルトリアは反論することが出来ない。そして、トロイがそのにこやかだった顔を無表情に変えてアルトリアを鋭く睨みつけてしまえば、もうアルトリアは駄目だ。抗えない。


「わ、わかり、ました……♥ ふ、二日間、だけですよ♥ 次は、負けることはありませんから……♥」


 アルトリアの心など無視している傍若無人な発言にも簡単に頷いてしまうほどに、アルトリアは牝に堕ちていたのである。救いがたいのは、その牝の気持ちを考えない乱暴な言葉にアルトリア自身がドキドキと胸を高鳴らせてしまっていることだ。アルトリアはそんな熱心な告白を受けた乙女のような様子で、ちらり、と背けていたトロイの方へと顔を向けると。


「むぐぅぅっ♥」


 トロイに、その唇を奪われてしまった。


「んぅっ♥ ぅぅぅ~~♥ んぅ……ちゅっ♥ れろぉ♥ チュぅ♥ じゅるっ、れろれろぉぉ~~♥」


 それも恋人である藤丸立香ともしたことのないような、激しいディープキスである。

 アルトリアとしては立香ともこのような情熱的なキスをしたいと願っていたのだが、とことん雑魚な雄である立香がアルトリアとディープキスなどしてしまったら、あまりの気持ちよさにヘコヘコと腰を振って射精をしながら意識を失ってしまうことが容易に想像できるためだ。


「はぁっ♥ ちゅぅぅっ♥ じゅるるっ♥ んちゅっ♥ ちゅっ♥ ちゅっ♥ ちゅぅぅ~~……ちゅぱぁっ♥ あ、貴方は……♥ わ、私は射精を受けたばかりだというのに、こ、こんなディープキスを……♥ 嫌ではないの、ですか……♥」

『まさか! 震えるアルトリアが可愛くてキスをしたいと思った、だからキスをシタ。とても単純なお話ですヨ。それとも……ちょっと汚れている貴方とキスなどしたくないという情けない男としか出会ったことがないのですカ? それは、とても可哀想デスネ』

「かわい……そう……? 私が……?」


 射精したばかりの唇だというのに、まだザーメンが残っていてトロイの陰毛が口元にも残っているというのに、トロイは躊躇いを見せずにアルトリアの唇を貪った。アルトリアの常識からすれば考えられないことだとトロイに尋ねれば、当たり前のようにアルトリアが可愛らしかったからだと答える。

 そして、自分のザーメンがついているだけでキスを躊躇うような男──藤丸立香としか女性として愛されたことがないアルトリアを可愛そうだと慰めた。その言葉に、呆然とした様子でトロイを見つめてしまう。


(……確かに、私がどんな状態だとしても唇を多少強引だが貪ったトロイはとても男らしかった。女を、自分のものだと認めた存在を引っ張ってくれるような、強烈な力強さを感じるほどに。それと比べるとマスターは──藤丸立香は、どうなのだろうか? 男として、本当に魅力的なのだろうか? いや、それどころか、そんな男が人間的にも優れていると本当に言えるのだろうか? 私は……いったい、藤丸立香のどこを愛おしく思っていたのだろうか? 彼、トロイの方がよほど────はっ!?)


 その思考はどんどんと加速していく。トロイと藤丸立香を並べてみると、トロイの良いところは浮かんでくるが藤丸立香には悪いところばかりが浮かんでしまう。次第にトロイのほうが素敵な男性なのでは、それどころかすでに好きになってしまっているのではと思考が飛びそうになったものの、なんとか正気に戻ることが出来た。

 アルトリアは毅然とした態度を取り、立ち上がってトロイをキリリと睨みつける。


「っ! や、やめなさい、私を惑わすことは! 貴方は私を二日間自由にしたいと願いました、それは聞き入れましょう。私が貴方を10分で射精させることが出来なかったのは事実なのですから。ですが、それだけの関係です! 私の心はマスター、藤丸立香のものです! それを忘れないのならば、私は貴方にこの体を許しましょう!」


 『ぶるんぶるん』と爆乳を激しく揺さぶり、『くねくね』と腰をくねらせて、『ふりふり』と尻を振りながらの力強い宣言だった。誰がどう見てもトロイに媚びているように媚肉の震わせているというのに、滑稽なことにアルトリアだけがその事実に気づいていないのだ。

 トロイはくつくつと喉を鳴らして笑い、鷹揚に頷いてみせる。こんな状態の牝を完全に堕落させることなど、百戦錬磨の性交経験を持つトロイにとっては容易いことだからだ。


『それでは、早速────Sexをしまショウ』

「っぅ♥ さ、先程射精したばかりなのにっ……なんで、そんなに大きくしているのですか♥」

『どうしまシタ? 僕のPenisはアルトリアのむちむちといやらしく揺れる体のせいですっかり臨戦態勢ですヨ。情けない男としかSexをしたことがないアルトリアにはわからないでしょうが、僕のような男はたった一度射精しただけではPenisは治まらないんデス……ほら』

「お、おっきい……さ、さっきよりも大きいのでは……♥ わ、私とセックスがしたいと、ただ勃起したペニスを見せつけるだけで嫌というほど知らしめてくるとは……♥ ああ、マスター、どうか私に力を……!」


 そんなアルトリアの決意を小馬鹿にするように、トロイはベッドの上であぐらをかいてアルトリアとのセックスを求める。その際に、射精したばかりだというのにすでに回復しているペニスを震わせる余裕を見せるほどだ。その余裕とペニスを前にしてアルトリアは心を挫けさせてしまいそうになるものの、それでも目をつぶって立香の姿を思い浮かべて自分の心を奮い立たせる。


「いざっ、挑まさせていただ、き、ます……♥」


 だが、目を再び開いたら映る勃起ペニスに、藤丸立香の頼りない姿は簡単にかき消えてしまう。代わりに、目をつぶっても浮かんできそうなほど網膜にペニスが焼き付いてしまった。心もトロイとのセックスの期待に震えてしまうし、その快感を強く求めてしまう。


『僕の膝に乗ってくだサイ。アルトリアのきれいな顔を見ながらセックスしたいので……『対面座位』の体位でSexをしますヨ♪』

「ぅぅ……くっ、許してください、マスター!」


 はぁはぁ、と息を荒くして飛び乗るようにトロイの膝に腰を重ねていくアルトリア。水着の部分をずらしてオマンコを露出すると、すでにそこからは大量の愛液が分泌していた。藤丸立香の拙い愛撫でも愛液を分泌してしまうほどに濡れやすい体質のアルトリアだが、それでもこれほどまでにオマンコを濡らしたことがないというような媚びたオマンコである。

 手コキ、フェラチオ、イラマチオ、口内射精、ディープキス……そのどれもが立香とのプレイとは比べ物にならないほどの快感を与えてくれた。セックスをしてしまえば、一体どれほどの快感を覚えるのだろうか。

 藤丸立香に心を捧げているなどと言いつつも、興奮で真っ赤に染まった肌と愛液を垂れ流しにしているオマンコを見れば一目瞭然なほどに、体の方はもうトロイの虜になっているのだ。アルトリアの股間から流れる愛液を、トロイは自身のペニスにヌルヌルと塗りつけながら、ついにオマンコへとチンポを狙いをつける。


『じゃあ、挿れるヨ……アルトリアっ!』

「ふぅぅぅっ、ふぅぅぅっ♥ うっぅっ♥ おっ、ぉぉおっっ♥ おほぉぉぉっぉっっっっ♥♥♥♥」


 ずぶぅぅっ! ずぶぅずぶぅ! ずぶぅぅぅぅ……ずぶっ、ずぶずぶっ、ずぅぶぅぅぅ……ずぅぅんっ!


「ん゛ほ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛♥♥ お゛ぉ゛ぉ゛っ゛っ゛♥♥お゛ぉ゛っ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛~゛~゛っ゛♥♥♥♥♥

 く゛、く゛る゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ゛♥ い、一発で、ひ、拡げられてしまったぁ♥ マスターのペニスでは触れられたこともない場所が、ト、トロイのペニスに拡げられていくっ♥ ほ、他のペニスが入ったらスカスカに感じるほど、私のオマンコが拡張されていくぅぅぅっ♥♥♥♥」

『くぅぅっ、な、なんだ、これは……!? キ、きつすぎル……! 処女でもあるまいし、なんなんだこのきつさは……! 生来の体質じゃないナ、これは……単純に、ほぐされていない未開発のプッシーだ!』


 挿入された瞬間に一番奥、子宮口に届いたトロイのペニスに、アルトリアは野生の獣が出すいななきのような野太い喘ぎ声を漏らしてしまう。それは気品ある美貌を持つアルトリアが出したとは思えない、なんとも下品な叫びだったが、それを恥じる余裕すら今のアルトリアにはなかった。藤丸立香のペニスの形を瞬時に忘れてしまうほどのBig Black Cockがオマンコを拡張していく。この状態で立香とセックスをすれば、立香はまさしく虚空に向かって腰を振っているようにアルトリアの膣壁と触れ合うことが出来ないほどの拡げられていたのだ。

 一方でトロイもまた驚いていた。アルトリアのオマンコがあまりにもきつすぎるためである。それは生まれつきオマンコが狭くなっているという感覚ではなく、とにかくオマンコの中の膣肉が非常に硬いことで生まれるきつさだったからだ。アルトリアの口ぶりから彼女の恋人は日本人で、日本人のペニスは貧弱だという知識はトロイにもある。だが、それでも信じられないほどに、アルトリアのオマンコはチンポで膣肉をほぐされるという経験が足りていないのだ。


「おぉおっっ♥ あ、あんまり揺らさないでっ♥ わ、私を物のようにぃ、下から突き上げないでっ♥ し、子宮口が♥ 子宮口が壊れるっ♥ ノックが激しすぎますっ♥ 壊れる、子宮の鍵を明け渡してしまうっ♥ あぁっ……つ、作り変えられるぅ……♥ 私の子宮口が、押されるだけでアクメをするスイッチに作り変えられてしまうっ♥ 私のオマンコが、今までのオマンコと全く違うものに変わってしまう♥ お、オマンコが掘り返されて、拡がっていくぅっ♥ マスターとのセックスを思い出せない、トロイ専用のオマンコに変わってしまう♥ と、止まってぇ♥ せめて、せめて入り口付近で小さく動かし、てぇぇぇっ♥♥♥♥♥」

『乱暴に行くヨ、アルトリア! このオマンコは一度壊さなきゃいけないっ! 君のオマンコはもっとQualityの高いオマンコだ! とにかくチンポに掘られて、拡張されなきゃお話にならナイ! ここで君は、本当のLost virginをするんダ!』


 対面座位で向かい合っているアルトリアとトロイは、まずトロイがアルトリアの細い腰をガッチリと掴んで強引に下から突き上げるような腰振りでセックスが進んでいった。鍛えられた太い腕によってアルトリアの体が持ち上げられ、勢いよく下に叩きつけられる。その勢いはトロイのカリ高チンポが膣肉に引っかかり、まるでオマンコの中の肉を外に掘り返されてしまいそうなほどの激しい勢いだった。

 戦闘で負うようなダメージとはまるで違う衝撃に、アルトリアは目を裏返さんばかりにぐるんぐるんと眼球を動かしてしまう。舌も宙空に向かって伸びて、まるで空気とディープキスをしているような動きをしていた。子宮口を叩かれる度にアクメをキメてしまっているのである。


「むりっ♥ もう、むりっ♥ このセックスに耐えられないっ♥ こ、こわいっ♥ 戦場でも覚えたことがない恐怖を感じますっ♥ ああ、トロイっ♥ トロイっ♥ わ、私はここに居ますよね♥ どこか飛んでいってしまいそうなんです♥ 気持ち良すぎて、死んでしまいそうなっ♥ そのまま魂が抜け出してしまいそうなほどに気持ちいいんです♥ トロイ、わたしを、私を感じさせ……むぐぅっ♥ ちゅぅぅっ♥」


 アルトリアは今自身がどうなっているのか、まるでわかっていなかった。『決して貴方には負けない』と威勢よく言い放った相手であるトロイに、甘えるように声をかけてしまうほどに、性的快感というものに翻弄されてしまっている。どんな男でも薙ぎ倒してきて、多くの騎士に仕えられた王であるアルトリア・ペンドラゴンが童女さながらにトロイに縋っているのだ。

 トロイはアルトリアの生い立ちなど知るわけがない。それでも、これまでのやり取りからアルトリアが非常に高貴で、今までの自分というものに自信を持っているということはわかった。そんな美女が自分に泣き縋っているのだから、男として興奮しないわけがない。再び、アルトリアの唇を奪う。


「んちゅぅぅっ♥ ちゅぅっ、ちゅっ♥ れろぉ、じゅるるるっ♥ ちゅぅぅっ♥ ちゅぱぁ……♥ あぁ、いる、ここにいる♥ ありがとう、トロイ♥ 貴方のキスのおかげで、私はまだ私の中にいるとわかりました……♥ んぐぅっ♥ あっ、あぁぁっ♥ 駄目ですっ、キスがなくなったら、またどこかに行ってしまいそうになってしまう♥ ぅぅっ♥ ちゅぅぅっ♥ ちゅっ♥ れろれろれろぉぉんっ♥」


 ディープキスをしているとトロイという存在をより強く感じられる。他者との繋がりをオマンコからの快感以外でも感じて、安らぎの覚えるディープキスによって自分はまだアルトリア・ペンドラゴンという肉体の中にいるのだと実感できた。それでも唇を離してしまうと、再びアルトリアは子宮口から突き上げられる衝撃で魂が抜けてしまいそうな錯覚に襲われる。そのため、今度はアルトリアからディープキスを行った。

 アルトリアほどの美女のそんな愛らしい姿を見て我慢できるような人間はこの世に居ない。それは性豪であるトロイであっても同様だった。

 腰をブルブルと震わせて、トロイはついにアルトリアのオマンコへと射精を行っていく。


『くっ、このオマンコ、ほぐれてきてわかったケド、なかなかの名器ですネ。このまま出しますよ、アルトリア!』

「んぐぅっ♥ きてっ、きてくださいっ♥ トロイが気持ちよくなった証をっ、私のオマンコへと解き放ってください♥ あっ、くるっ♥ 今までで一番強いアクメが、きますっ♥ 一緒に、一緒にイケるっ♥ トロイと一緒に絶頂、キメられるっ♥ イクっ♥ イクぅっ、イクっ♥ イグぅぅぅうっっぅっっっ♥♥♥♥」


 どびゅるるるぅうぅっっ! びゅるるっ! どびゅどびゅうぅぅぅっ! どびゅびゅうううぅぅっっ!


「ん゛ほ゛ぉ゛ぉ゛っ゛っ゛ぉ゛っ゛っ゛ぉ゛っ゛っ゛ぉ゛ぉ゛♥♥♥♥♥♥ き、きたっ♥ きたぁぁぁっ♥」


 トロイのザーメンがアルトリアのオマンコの中で射精される。金玉がグツグツとうねりを上げて、Big Black Cockはその威容に相応しい大量の精液を自身の遺伝子を残すためにアルトリアへと残そうと一匹でも多くの精子を植え付けようと蠢いているのだ。

 そんな征服せんと襲いかかる黒人遺伝子を受けて、アルトリアは、アルトリアの魂は、大きな変化が起こっていく。


(あ、ああ……マスター……マスター……♥)


 アルトリアの脳裏に過ったのは、今までのこと。

 愛していた藤丸立香との、穏やかな日々のこと。

 トロイとのセックスの間ではまるで思い出せなかった、あまりにも薄弱な記憶のこと。


 初めて結ばれようとした日のこと、立香はアルトリアの全裸を見ただけで射精をしてしまった。

 それが何日も続き、ついには裸が見えなければいけないのだ薄闇の中で肌を重ねることにしたものの、不意に見えたアルトリアの巨乳で挿入前に暴発してしまった。

 そこからタオルケット被せて万が一にも体が見えないようにセックスをしたが、今度はオマンコの入り口にチンポを擦り合わせただけで射精してしまう。

 なんとか挿入に成功したが、ものの数秒でオマンコの中で射精してしまった。アルトリアにとっての初めてのセックスであったが、血は流れなかった。処女膜に届かなったというわけではなく、アルトリアは激しい運動ですでに処女膜が破れていたためである。

 手コキも、フェラチオも、マスターを愛するために行ったことがあった。

 

 そんな懐かしき日々が走馬灯のようにアルトリアの脳内に流れ出し。




(すみませんっ、それ、全部もう忘れましたぁっ♥♥♥♥♥♥)




 ────すぐに、消え去っていった。




「濃厚な雄汁が、わ、私の子宮を染めていくっ♥ イグッ♥ イグイグっ♥ わ、私が内側から変わっていくっ♥ れ、霊基がっ♥ 霊基が改竄されていくっ、私の中の牝が私自身を改竄してしまっている♥ ぉぉっ♥ わかった、わかってしまったっ♥ 私が愛するべき人が、わかってしまったぁぁっ♥♥♥♥♥」


 代わりとして今まで藤丸立香との思い出があった場所に入り込んでくるものは、トロイへの強烈な愛情とトロイを崇拝する心だ。トロイのBig Black Cockとセックスしたことでアルトリアは今まで知らなかった女の幸せというものを理解してしまったのである。

 元々、アルトリア・ペンドラゴンは王として生きることを志したその瞬間から女であることを、いいや、人間であることを捨てた。そんなアルトリアがサーヴァントとして召喚されることで新しい生き方のチャンスを得て、藤丸立香との交流を経て女性としての生き方というものを取り戻したのである。そこまでは幸せなことだったが、残念ながら立香に出来たことは女性としての生き方を取り戻すだけで、女性としての幸福を与えることが出来なかった。

 女性との幸運とはなにか。

 すなわち、牝としての性的な快感である。

 優れた雄に支配される服従の悦びである。


『HA……HAHAHA! ど、どうしたんだい、アルトリア! 僕の女になるっていうのカイ!? 僕は君を二日間で落としてやろうと思っていたのに……たった一発のセックスで、元の男を捨てるのカイ?』

「はいっ♥ トロイ……トロイ様、私はもう貴方の虜になりました♥ こ、この強烈なセックスを覚えさせられたら♥ こんなにも優秀な雄の体を味わわせられたら♥ 牝の私が耐えられるわけありません♥ 雄としての格差を見せつけられても愛せるはずがありません♥ ああ、私は、私はぁ……♥ この黒くて大きいペニスに、心を奪われたのです♥ どうか、私を貴方の女として召し抱えてくださいませ♥」


 これはトロイとしても予想外の反応だった。

 堕とす自信はあったが、どのタイミングで堕ちるかまでは読めない。それでも二日間あれば大丈夫だろうと見込んでいたのに、まず手始めのジャブのようなセックスだと堕ちたのだから、さすがに笑いが止まらなかった。アルトリアの性根がとんでもない屈服快感を愛する変態マゾだという証明に他ならない。


「はぁ、あっ♥ あぁっ♥ かわ、るっ♥ 私の体に、貴方の証が……くぅ、ぅぅっ♥」

『What's!? なにか、光って……!?』


 アルトリアが自身の堕落を認識したその瞬間、下腹部が光り始める。トロイの膨大なザーメンを受けて少しだけぽっこりと膨らんだ、子宮の位置だ。そこが妖しく淫らなピンク色の光を放ち始め、その光がアルトリアの体に『痕』を残していく。


 それは、『淫紋』だ。


 『Q』の文字によく似た黒い文様が浮かび、ペニスを連想させる『スペード』がそのQを貫くような形で重なっていく。Qの位置からして、それは子宮を意味しているようで、ならば、そのスペードは膣道に挿入されたペニスを意味しているのだろう。つまり、牝である自分を象徴する子宮は、黒い剣、すなわち黒人のペニスに討ち取られたとアピールする敗北の象徴となる淫らな紋章なのだ。

 淫紋はそれだけではない、アルトリアが羽織っている上着の下、肩よりわずかに下がった上腕部分に真っ黒なタトゥーが彫られていたのである。『黒いスペード』の中心に『Q』の文字が白く染め抜かれて、そのスペードのクイーンを囲むように『BBC ONLY』、つまり『Big Black Cock(黒人の巨根)のみを受け付ける』という意思表示をしたタトゥーであった。そのタトゥーが両腕に彫られているではないか。


 さらに、そのデコルテを彩っていたネックレスも形を変える。

 金色に輝いていた十字架は光を放ちながらそのフォルムが変わっていき、真っ黒なペニスを模したアクセサリーになってしまったのだ。あまりにも卑猥なネックレス、それはアルトリアが『自分はこれぐらい立派なペニスを持つ黒人男性の女だ、身の程知らずのナンパなどするな』というアピールをするためのネックレスであった。


 それだけでは終わらない。

 白を基調とした金色の装飾を施されていた、特異点の影響でむちむちのセクシーボディに変わったアルトリアの体を包んでいた水着もまた、その色調が変化した。ただ、これは単純な変化である。白の水着から、真っ黒な水着に変わったのだ。

 この身は黒人男性様に染められたのだというアピールをするための衣装チェンジである。


 そんな風に、全身で黒人男性様の性的な奴隷となったことをアピールする姿へと変わったアルトリア。

 霊基再臨とよく似た、しかし、決定的に違う堕落の現象である。


 ────言うなれば『アルトリア・ペンドラゴン[BBC]』、BBC霊基のアルトリアである。


 アルトリアのことをサーヴァントではなく、あくまでエロすぎる美女だと認識しているトロイはこの怪現象に首をひねるしかなかった。


『むぅ~……? なんでいきなりタトゥーが浮かんで、ネックレスも形が変わって、水着の色も変わったのでしょうカ……? まあ、でもSexyだから構いまセン! 僕がアルトリアを支配しているようで、すっごく興奮しマース!』


 だが、彼はあまりにも楽天的な性格だった。

 いきなり浮かび上がった淫紋の形が実に自分好みのタトゥーだと無邪気に悦んでいるのである。

 女を自分色に染め上げることは雄の最大の歓び、それもアルトリアほどの美女ならばなおさらだ。

 その歓びの前では、このような怪現象は些細なことだと判断したのである。


「ああ……なんて、堂々とした態度でしょうか♥ やはり、私の目と体に狂いはないようですね……♥ トロイ、いいえ、『マイ・マスター』♥ 貴方こそが騎士としての、いえ、牝としての私が仕えるべき主君♥ この身は貴方が持つ、黒く巨大な宝剣を納める鞘なのだと、理解しました♥」


 すぅっと息を吸い、アルトリアはトロイへと宣言する。

 それは奇しくも、いや、意識をしてアルトリアはかつてと同じ言葉を述べるのだった。



 ────応えよう。私は貴方のサーヴァント、ランサー。最果ての槍を以て、貴方の力となるものです。



「改めて、応えましょう♥ 私は貴方のサーヴァント、この柔らかな媚肉を以て、貴方の性的玩弄物となる牝です♥」



 藤丸立香という哀れな少年は、自身も知らないところでたった一発のセックスで、自身と結ばれた恋人であり、自身に仕える騎士を失ったのであった。



■ ■ ■ ■ ■ ■



 トロイに従属の誓いを捧げたアルトリアはトロイのためだけに生きるようになった。そして、性欲旺盛な絶倫性豪のトロイは、アルトリアという絶世の美女を徹底的に貶めながら犯すことを望んでいる。

 そのため、トロイが自分に夢中にさせた女たちに着せた楽しませるためのコスチュームを、アルトリアは悦んで身に纏っていくのだ。


「ふふっ♥ どうですか、『マスター』♥ 貴方のコレクションの中のコスチュームを身にまとわせていただきました♥ 『カウ・ガール』……というのでしょう♥ 黒ビキニの上にジャケットだけを羽織って、下はデニム生地のホットパンツ♥ そこから生足をさらけ出して、ヒールの高いウエスタンブーツを履き、後はカウボーイハットを被って赤いスカーフを首に巻けば完成♥ 西部劇のスターであるカウボーイと似た意匠でありながらも、それを徹底的にエロティックに改変したドスケベ衣装です♥」

『It's great! 素晴らしいヨ、アルトリア! こんなにもペニスを挑発するスケベなカウガールは初めて見るぐらいダ! ビキニだからへそが丸見えで、君のキュートな淫紋がむき出しになっているのがグッドだネ。偉そうに銃を構えているけど、今すぐにでも襲われてペニスに負ける姿が簡単に想像できる、ポルノ女優しか着ないようなセックス専用の姿ダヨ!』

「お褒めの言葉ありがとうございます、マスター♥」


 今、アルトリアが纏っているのは『カウ・ガール』衣装である。

 星条旗柄のビキニの上からやはり青と赤を基調とした星条旗をイメージさせるジャケットを羽織り、そのデカ尻を包むデニム生地のホットパンツは今にも破けそうなほどに張り詰めていた。ウエスタンブーツはヒールが高くなっており、自然とつま先立ちになったアルトリアは歩くごとにその爆乳とデカ尻をたぷんたぷんと揺らして、トロイのペニスをイライラさせることを忘れていない。

 そんなひたすらに『エロい』としか言っていないトロイに対して、アルトリアは嬉しそうに微笑む。そして、ベッドに腰掛けていたトロイの足下にひざまずき、その星条旗ビキニを上にずらして爆乳を露出させた。


「よい、しょっ……♥」


 どたぷぅぅんっ♥


 卑猥な音が響き渡りそうなほど、アルトリアの爆乳が勢いよく暴れまわる。その爆乳を見たトロイはにやりと笑みを深めて、むき出しになったペニスをアルトリアへと突き出した。パイズリをしてペニスを興奮させろと無言のうちに催促しているのだ。


「ああ、やはりマスターのペニスは本当に素晴らしい……♥ では、失礼しますね……♥」


 アルトリアはそのまま『くぱぁっ』と爆乳を開いて、谷間の中にトロイのペニスを呑み込んでいく。

 藤丸立香のペニスなら爆乳に根本から先っぽまで完全に飲み込まれて、その暖かさと柔らかさの刺激で一瞬で射精をしてしまうだろうが、トロイのペニスは違う。

 チンポの先っぽがおっぱいの谷間の中から自然と覗いているし、むしろ、今でもなお勃起が続いており、完全な勃起をしていなかった。パイズリをされるように爆乳に包まれて、やっと『勃起してやってもいいかな』と感じて固くし始める、上位者のペニスなのである。


『う~ん、アルトリアのパイズリは絶品だネ。噂の、粗末なペニスを持ってる彼氏にはしてあげていたのカナ? そして、彼と比べた時、僕は合格カナ?』

「『マスター』、粗悪なペニスを持っている男ならば、私が生乳を見せただけで負け犬射精をしてしまいますんですよ♥ 私の『元・恋人』、『元・マスター』の藤丸立香がそんな雑魚雄でした♥ ですが、マスター・トロイ、貴方はむしろ、その勃起を強めて牝である私を脅して見せる、最強のペニスの持ち主です♥

 全く……♥ 私のような牝が合格などと偉そうなことが言えないほどの、素晴らしいペニスではないですか♥

 ええ、そう……格が違う、というのでしょうね♥ 藤丸立香とマスターの差は、チンポ一つ見ても明らかですよ♥ それに、どれだけ鍛えてもひょろひょろとしたままで、分厚い体をしたマスターとは大人と幼児ほどの差があります♥ 牝がどちらに媚びるかなど、考えるまでもありませんよ♥ 本能で理解できることでしょう♥」


 今のアルトリアは、恋人であった藤丸立香のことを蔑むことを躊躇いはしない。それは藤丸立香のことを嫌っているからというのとは、少し違う。もはやアルトリアにとって、トロイへ捧げる愛情と忠誠の念と比べれば、藤丸立香という存在など瑣末事にすぎないのだ。だから、トロイがその方が悦んでくれると判断すれば、アルトリアは簡単に立香のことを馬鹿にする。憎いからでも、滑稽だからでもない。トロイが悦んでくれるから、だ。


「はいっ♥ たっぷんっ、たっっぷぅん♥ どうでしょうか♥ パイズリというのは経験がなく……先程も言った通り、あの雑魚雄はおっぱいに触っただけで思わず射精をしてしまうような情けない雄でしたから♥ 恐らくこうなのだろうという動きをしていきますが、どうかマスター自ずからのご指導ご鞭撻をいただければ幸いです♥」

『Yes! 基本はそういう風におっぱいの中でペニスをマッサージするように動かす形で問題ないヨ。

 ただ、ちょっと遠慮がちだネ……もっと、ペニスを折るぐらいの勢いで動かしてくれたほうが気持ちいいカナ。今だとおっぱいに包まれている暖かさだけが心地良い程度だからネ』

「はい、こ、こう……でしょうか?」


 どたぷんっ、たぷんっ♥ にゅぷにゅぷぅぅぅ~~~~……どっぷんっ♥ ぱぷんっ、ぱぷんっ♥ にゅるにゅるぅぅぅぅ♥


 片乳でも相当の重さになるおっぱいなのだから、と、最初はおっかなびっくりといった様子だったアルトリアだが、次第にその動きは大胆になっていく。それこそトロイのペニスを根本からおっぱいの重さで折ってしまおうとしているのか思うほどの激しさだった。

 だが、そんな激しいパイズリでもトロイのペニスはビクリともしない。アルトリアがおっぱいで挟み込んで強引に左に傾けようと腕の力とおっぱいの重みで引っ張ってみても、むしろおっぱいのほうが潰れて奇妙な形に変わってしまうかのように動かない。樹齢数千年という大樹のような堂々とした姿だった。


「なんて、逞しい……♥ わ、私のおっぱいでは、牝の柔らかな体では絶対に敵わないとわからせてくれる雄々しいペニス♥ これこそが本当の男性の魅力だと、頭よりも先に体が理解してしまう♥ はぁ、はぁ♥ こ、これなら、どれだけ乱暴な動きもできる♥ 変な遠慮をせずに、マスターに気持ちよくなってもらえます♥ それっ♥ たっぷんっ♥ たっぷんっ♥ にゅるにゅるにゅる~~~……どたぷんっ、です♥」


 アルトリアはその爆乳を挟み込むように両手を端に揃えて、爆乳の中にあるトロイのペニスをすり潰す勢いで思い切り締め付ける。その強い締め付けのまま上下左右へ、時には円を描くような動きでおっぱいを動かしていく。

 これが藤丸立香の粗末なペニスならば、気持ちよさを飛び越えて激しい痛みを覚えていたであろう。その根本がぐにゃりと曲げて、情けない苦痛の叫びを上げていた可能性も高い。

 だが、アルトリアが奉仕している相手は藤丸立香ではなくトロイなのだ。これぐらいの激しさでなければ、むしろなんの性的な刺激にならない。

 『容赦をする必要がない』、『加減をしながら対応しなくてもいい』というのは、一種の快楽である。父親に甘える言葉が楽しいのは、全力で体当りしても問題ないという信頼があるからだ。アルトリアはこの爆乳を使ったパイズリ奉仕を楽しんでいた。


『ふぅ……とりあえず一発射精するヨ! そのおっぱいの中で受け止めるんだ、爆乳オマンコを妊娠させるぐらい射精するからネ!』


 初めてのパイズリ奉仕にしては非常にセンスを感じるパイズリだった。それに満足をしたトロイは、アルトリアに合格点を与え、そのまま射精をする。


「はい♥ 私の爆乳の中にザーメンを挿れて、何をしなくてもあの芳しい匂いを楽しめるように肌へすり込んでください♥」

『くっ、ぅうぅっ、おぉっ! で、射精るっ!』


 どびゅどびゅぅぅぅっ! びゅるるっ! びゅっ! びゅううぅぅぅぅっっ!


「んっ♥ んぅぅっっ♥ あ、溢れ、くっ♥ ふぅぅ、ぅうぅっ♥ 暴れて、おっぱいの中から出てしまいそうなっ、むぅ、おぉっ♥ ふぅぅ……♥ なんとか、抑えられました♥」


 爆乳の谷間の中で射精をしていくトロイのペニスは暴れ馬のように跳ね回っていたが、アルトリアは見事にその射精を爆乳の中に呑み込むことに成功した。そして、射精したばかりのペニスを爆乳の先端部分でぐっと押しつぶすように締め付けて、『ずるずるずるぅ~♥』と引き抜いていく。すると、射精したばかりのペニスがきれいになって外に出るのだ。ザーメンは心臓に近い爆乳の根本で受け止め、比較的きれいなおっぱいの先端部分でチンポを拭ったのである。


『Oh! 教えなくてもこんなことができるなんて……アルトリアは本当にセックスの才能がありますよ! さあ、次はセックスをしましょう。こんな素敵なカウガール姿のアルトリアを犯したいんです!』

「は、はいっ♥ どうぞ、私のオマンコ……たっぷりと黒人様のペニスで犯してください♥」

『それじゃあ鏡の前に、そう、膝を大きく開いて、中腰になって、腕を後頭部で組んで……Nice! とっても無様で、素敵ですよアルトリア♪』

 

 アルトリアのパイズリの技術に満足気に頷いたトロイはベッドから立ち上がり、アルトリアを鏡の前へと立たせる。騎士王と呼ばれるほどの英傑でありながらも、膝を床につけてペニスに奉仕する娼婦同然の女であったアルトリアはその言葉に機敏に反応して、トロイの言葉に従いながら鏡の前で大股で立ち、膝を外に向けたガニ股の形で腰を落としていく。そして、両手を後頭部で組むことで、『屈服のポーズ』が完成した。これは、脚を外に向けて腰を落とすことで俊敏な動きが封じられ、両手は後頭部で組むことで不意をつく攻撃をすることも出来なくなることで、自分は何もできませんと相手に伝えて屈服するためのポーズなのだ。

 さらに、後ろからトロイの手が伸びてきて、デニム生地のホットパンツが脱がされて、ホットパンツの下には星条旗ビキニが履かれているが、これもまたずらされてオマンコが露出される。こうして、ザーメンがついた爆乳とパイズリですでに濡れそぼっているオマンコが露出されたアルトリアの惨めな姿が、鏡に映されたのだった。


「あっ……あぁっ……♥」

『どうデスカ? アルトリア、僕の母国の国旗を纏いながらこんな惨めなポーズを取る気分は? ものすごく恥ずかしくて、ものすごく……興奮するだろう?』

「は、はいっ♥ こ、これぇ、凄く興奮しますねっ♥ わ、私の、ブリテンとは違う国を象徴する服を着せられて、おっぱいとオマンコを丸出しにして、後ろから別の国の男性に抱かれている……な、なんて屈辱的な、姿っ♥ お、王なんかじゃない♥ 騎士でもない♥ 降伏して生き延びようとしている、惨めな敗残兵……はぁぁ……はぁぁぁ……♥ こ、このまま、体を使って媚びて、なんとか生き延びようとしている女の姿ですよ、こんなもの……♥」


 鏡に映るアルトリアの姿は、屈辱の捕虜としての姿である。しかも、アルトリアはブリテンの王だというのに、いつか再臨して世界を救うとさえ伝説に伝わるアーサー王だというのに、異国であるアメリカの文化であるカウガール姿で、星条旗ビキニを纏っているのだ。

 途端に、アルトリアの中に残されてる冷静な部分が羞恥の感情を生み出していく。自身の今までを否定するような姿を、ただセックスのためだけに晒してしまうなど恥を知れと、他ならぬアルトリア自身がアルトリアを罵っているのだ。今のアルトリアに少しでも己を振り返る理性が残っていたら、あるいは『BBC霊基』から通常の『水着霊基』に戻って、トロイを張り倒して聖杯を確保しただろう。


「き、気持ち良すぎますぅぅっ♥ ものすごく恥ずかしくて、ものすごく屈辱ですが……マスターの玩具になれたのだと嫌でも思い知らされて、誇らしくさえあります♥ あぁっ、マスター♥ どうか、どうかこの体勢のまま犯してください♥ 異国の黒人ペニスで、私を叩きのめしてください♥」


 だが、そうはならない。

 この特異点の影響なのか。

 それともこの世界のアルトリア・ペンドラゴン[ランサー/ルーラー]はそういった本性を持った変態女なだけなのか。

 アルトリアは蕩けた顔で鏡越しに背後のトロイを見つめる。誰がどう見ても発情しきった卑しい変態女の顔だった。Big Black Cockにオマンコを支配されて、黒人男性を主と崇めて最低の性奴隷として振る舞う女は、誇り高き騎士王としての姿など捨て去ってしまったのだ。どれだけ侮辱されても、それを侮辱だと感じたまま悦びに変換してしまうアルトリアに、気高き騎士の理想など存在しない。

 アルトリアは、腰を前後にヘコヘコと振っていく。空気を相手にセックスをしているような惨めな『エア・セックス・ダンス』を披露しながら、その唇から赤い舌をちろちろと伸ばして主であるトロイを誘っているのだ。そのエア・セックスだけで、ぷしゃぁ、と勢いよく潮を吹くほどに発情しきった体はもう我慢ができなくなってしまっている。

 そんなアルトリアが、トロイはどうしようもなく愛おしかった。


『よし、アルトリア! たっぷりと犯してやるっ! 良いデスネ!』

「おっ♥ おぉぉっ♥ んほぉっ♥ おほぉぉっっぉぉっっっ♥ はい、挿入ってくるぅぅっ♥ ま、また、拡がるっ♥ マスター専用に拡がってたオマンコがきつく締め直されたけど、マスターのペニスの形にミチミチって拡がっていくぅぅ……♥」


 ずぶずぶぅぅ、ずぶっ、ずぶずぶ、ずぶぅぅ~~~、ずしんっ!


 ガニ股の姿勢のままアルトリアはトロイに挿入される。

 トロイはガッチリとしているが身長は180センチほどで、アルトリアはスラリとした171センチの体格である。そして、トロイはどちらかという胴長短足のデブマッチョだが、アルトリアは小顔の足長美人であるために、アルトリアとトロイの身長は10センチ近く違うのに腰の位置はほぼ同じという関係にあった。そこからさらにカウ・ガール衣装のためのヒールの高いウエスタンブーツによって腰の位置はアルトリアの方が高くなってしまっている。

 普通にやれば腰の位置がズレてしまうのだから、アルトリアが『屈服のポーズ』となってガニ股となることで腰の位置が二人が同じぐらいに戻り、そのまま立ちバックのセックスができるようになったのだ。


『ふぅぅ~♪ アルトリアのプッシーも良い感じにほぐれてきたねぇ。締め付けがキツいけど、膣肉は柔らかイ。僕好みの形を持っていたなんて、本当にアルトリアは僕の理想の女性ダネ♪』

「あ、ありがとうございます♥ 私が、マスターの理想だなんて……あまりにも恐れ多い言葉です♥ だけど、そう言ってもらえることが牝としての私が悦んでいるっ♥ マスターとの出会いが、う、運命、だなんて自惚れてしまいます♥ あっ、あぁぁっ♥ こ、腰が激しくっ♥ ひぅっ♥ ダメッ♥ こ、これ以上はアクメをキメまくってしまいますっ♥ こ、腰を動かして奉仕ができなく、ひぅぅぅっ♥」

『アルトリア、あんまり可愛いことを言わないでくれないカナ。そんなことを言われたら、ペニスのイライラが治まらないじゃないカ。でも……そうだね、僕とアルトリアの出会いは運命だヨ! 僕はアルトリアという最高のオナホールを手に入れて、アルトリアは元・マスターくんっていう偽物のMasterと分かれて本物のMasterの僕に出会えたんだからネ♪』


 卑猥なセックスを行うだけの変態女に堕ちたというのに『運命』だなんてロマンチックな言葉を使うアルトリアがトロイには可愛らしくて仕方なく、同時に嗜虐欲も掻き立てられる。この、トロイのペニスでハメられ堕ちる前までは気品に溢れた『かっこいい女』だったアルトリアが、最低最悪の女として振る舞う姿が見たいという歪んだ欲望が湧いてくるのだ。


「そ、その通りです♥ ええ、私は誓ったのです♥ 騎士としてではなく、牝として♥ 優れた人種である黒人男性、そのトロイ様にお仕えする、と♥ このオマンコを鞘に見立てて、巨大なブラック・ペニスを納めるペニス・ケースになる栄誉をいただく、と♥ それは永遠の誓いであり、過去のすべてを投げ捨てるに足る誓いですっ♥」

『そのためには元カレくんを捨てても良い、ってことだよネ?』

「はいっ♥ マスターにお仕えできるのならば、あのような男などもうどうでもいいです♥ だって、だって、だってっ♥ 貧弱だから♥ かっこわるいから♥ どうしようもなく劣等なんだから♥

 藤丸立香という雄は……♥ 今となっては雄としての魅力が皆目見当もつかない、最低の雑魚雄なんです♥ 男のくせに私と同じぐらいの身長しかないチビでっ♥ 鍛えても一向に膨らまない、マスターの半分にも満たないようなヒョロガリ体型♥ 体力だって一度射精をしたら寝落ちしてしまうような情けなさで、精液の量も質も、マスターのカウパー液にも劣る最低最悪の精液なんです♥

 過去に戻ることができたのならば、私は間違いなくあの男と結ばれたりなどしません♥ 私は後悔の多い人生を送ってきましたが……♥ その中でも間違いなく一番の後悔は、あの男、藤丸立香と恋人となったことです♥

 あぁっ♥ 思い出したら、またゾクゾクと悪寒に襲われてきましたぁ……♥ マスター、どうか、私にあの男のことを忘れさせてください♥ マスターの逞しいペニスで、私をアヘらせてあの男との忌まわしい記憶、をぉぉぉぉっっっぉっ♥♥♥♥♥」


 トロイの言葉にはしない望みを読み取ったアルトリアは、藤丸立香を貶しつくしていく。二度目になるが、別に、アルトリアはそこまで立香を嫌悪しているわけではない。雑魚雄だと思っていることは本当だし、二度とセックスをしたくないとも思っているが、それでも恨みを抱いているわけではなかった。だが、立香を必要以上に貶すことでトロイが喜ぶのなら、アルトリアはその最低の罵倒を躊躇したりはしない。

 アルトリアが選んだ元の恋人を貶して今の御主人様を持ち上げるその媚びた言葉は正解だったようで、トロイは興奮した様子でピストン運動を激しくしていく。今にも崩れ落ちてしまいそうなほどの快感を覚えながら、それでもアルトリアはガニ股の『屈服のポーズ』を維持したまま、オマンコを強く締め付けてトロイのペニスを気持ちよくすることを怠らない。


『くっ、たまらないナ♪ やっぱりアルトリアは僕の快感というものをよくわかっているヨ! まだ、一日も経っていないのに……本当に運命なのかもしれないナ♪ あのビーチが、僕に運命を連れてきてくれたってことカ……!

 うぅ、どんどんとやりたいことが浮かんでクル! このエロすぎる女を見せびらかすようにビーチを歩かせて、ナンパ男がすり寄ってきたことでとんでもないひどい対応をさせた後に僕に媚びさせタイ!

 くそっ、ミドルスクールに通う童貞みたいな考えが浮かんでクル……とんでもない魔性の女だヨ、アルトリアは! 我慢できない……射精するぞ!』

「おっ、ぉぉおっぉ♥ こ、これっ♥ これこれぇ♥ オマンコを壊してしまうような、激しいピストンっ♥ 私が知らなかった、トロイ様教えてくれたハードセックスっ♥ これがたまらないんです♥ イクっ♥ アクメスイッチになった子宮口を何度も押されて、数え切れないぐらいのアクメをキメてしまうぅぅっ♥」


 アルトリアが魔性の女だというのは事実だ。

 品のあるクールな美貌を持っているのにその体つきはとんでもなく下品なドスケベボディで、だけど、その鈴がなるような声を聞くだけで男たちは跪いてしまいそうな不思議なカリスマ性を持っている。そんな女が自分にだけ媚びているというのは、男としての見栄のようなものが満たされていくのを嫌でも感じてしまう。それは麻薬のような甘い快感で、立香を貶させて自身を持ち上げさせたように、他の男たちを見下させつつ黒人男性としての肉体的特徴を箇条なほどに持ち上げさせたいと思ってしまう。

 そして、それを可能となるほどにアルトリアは自分に服従してしまっている。

 明るく淫らな未来を幻視したトロイは、ついに精液を吐き出すのだった。


『うおぉっ! 射精る! 射精るぞ! 僕の子供を孕め、アルトリア! 日本人でも白人でもあり得ない真っ黒な子供を抱いて、フジマルとかいう男に見せつけるんだ!』

「は、はいぃっ♥ 孕みますっ♥ マスターの赤ちゃん、孕みますっ♥ 無、無理だけど、絶対に孕んでみせましょう♥ 奇跡を、起こしてみせます♥ サーヴァントの身でありながらマスターの赤ちゃん、絶対に孕むっ♥ 孕みたい、孕みたい、孕みたいっ♥ マスターが望んでるのならば、絶対に孕みたいっ♥ マスターが望んでいるのだから、藤丸立香に黒人赤ちゃんを見せつけて見せる♥ おっ♥ くるっ♥ アクメをキメまくって子宮を下ろしてぇ♥ 卵子もどんどん製造して、キメるっ♥ 射精と同時にキメるっ♥ 孕みやすくなるためにガチアクメ、キメますぅぅっ♥♥♥♥♥♥」


 びゅるるるっ! どびゅっ! どびゅびゅっ! どびゅうぅぅぅぅぅぅ! びゅるるるっ! びゅるびゅるびゅううぅぅぅうぅっぅうっぅ!


「おっ♥ おぉぉっ♥ お゛っ゛ほ゛ぉ゛ぉ゛っ゛ぉ゛っ゛ぉ゛っ゛っ゛ぉ゛っ゛ぉ゛ぉ゛♥♥♥♥

 ぐるっ♥ アクメ、ぐるっ♥ あぁっ♥ し、子宮もぐるぐる動いてるっ♥ よ、よくわからないけど、子宮がものすごく稼働してるっ♥ ま、マスターの黒人精子で孕むために、子宮が私でもよくわからない動きを必死にしてるぅぅっ♥ 孕んだ、孕んだっ♥ こ、これ絶対に孕みましたぁ♥ ブリテン子宮が黒人男性様の赤ちゃん様を孕みましたぁぁぁ♥」

『ふぅぅぅ……ぅぅっ、し、絞られル! は、孕めと言っただけでこんなに変わるなんて、本当に最高に可愛い女だナ、アルトリアは……♪』


 ちゅぷんっ、と。


 音にならない音が響いたような気がした。トロイが持ち込んだ黄金のグラス──この特異点を生み出した『聖杯』が光り、アルトリアの下腹部に刻まれた、スペードのクイーンとも子宮とチンポとも見れる、黒い淫紋もまた同調するように淡く光る。

 孕んだ。

 聖杯が、奇跡を起こした。

 受肉していないはずのサーヴァントが、黒人男性の子を孕んだのだ。


「あ、あへぇぇ……あへぇ……は、はらんだ……はらんだぁ……♥」

『ふぅ、アルトリアはアクメでぐってりしちゃってるしちょっと休憩しようカナ。ほら、アルトリアもベッドで休むんだヨ?』

「え、え、あぁぁ……♥ お、お姫様抱っこ……♥ ま、マスターの厚い胸板と太い腕が感じれて、し、幸せ……逞しくて、かっこよすぎてぇ……私みたいな女まで、お姫様になったように感じてしまうぅ……♥」


 トロイはアルトリアからペニスを引き抜き、アルトリアをお姫様抱っこの形で抱えるとベッドへと寝かせる。強烈なアクメの影響で全身の力が抜けているアルトリアは幸せそうににやけたまま、ゆっくりと呼吸を整えて体を休ませていく。

 無意識に下腹部に刻まれた淫紋を、その奥にある子宮を撫でていく。アルトリアは、自身が孕んでしまったことを牝の本能で感じ取ったのだ。もちろん、こんなにもすぐ受精するわけがないのだからまだ孕んでいないのだが、別の霊基では未来予知にも等しい直感スキルを持っているアルトリアが、一種の戦闘であるセックスの結果について強烈な予感を覚えていてもなんの不思議もないのである。


『あれ……? あのグラスがないナ』


 そんなアルトリアの姿を見届けたように、グラスの形をしていた聖杯は姿を消していた。

 トロイへのサポートが終わったからだ。


『一体、どこに……まあ、でもアルトリアが手に入ったので良いとしまショウ! あれのおかげで僕もアルトリアと出会えたから、きっとあれは幸運のグラスで、幸運を必要としている別の誰かのもとに行ったのでしょうネ!』


 いつの間にか、トロイの側から聖杯が消え失せていた。聖杯自身に意思があるように、その力を見せつけた聖杯はまた別の器を探しに行ったのだ。この聖杯が選ぶ器は、黒人男性であることと性欲が強いこと。聖杯の力が染み込んだトロイのもとにいるメリットはないと判断し、別の黒人へと向かって移動したのである。

 こうして、聖杯は自らの意思で黒人男性のもとを転々とし、サーヴァントすら堕落させる男性的な魅力を増強させていく。

 この特異点を黒く染めるために、意思があるかのように聖杯は暗躍するのだった。



■ ■ ■ ■ ■ ■



「……やはり。それでは、アルトリア様でも聖杯を見つけることは叶わなかったのですね」

『申し訳ありません、紫式部。結局、この三日間は手をこまねいているだけでした。どうか、この無様な騎士を笑ってください』

「はわわ! そ、そのように頭を下げないでくださいませ! アルトリア様は私に協力をしてくださっただけではありませんか! むしろ、私こそ結局なんのサポートも出来ない不始末……謝罪は私がアルトリア様にすべきことでございません」

『ふふ。やはり貴方は素敵なレディですね、紫式部』

「アルトリア。紫式部と協力して独断のレイシフトについては後で問い質すとして、結局、そちらの特異点の様子はどうだい?」


 紫式部はなんとかアルトリア・ペンドラゴンとの通信を回復させたものの、それはついに特異点に水着サーヴァントたちが取り込まれる数時間前のことだった。

 それも、ノウム・カルデアの経営顧問である少女の体をしたレオナルド・ダ・ヴィンチにバレてしまうおまけ付きである。ダ・ヴィンチはその愛らしい顔立ちのまま、アルトリアへと得意園の様子を問いただしていく。


「あと残り数時間で私や紫式部のような水着霊基を所有している女性サーヴァントはそちらに強制的に召喚されてしまうが、なんとか何人かその強制召喚に抗う方法を見つけたんだ。実際に現地を調査した君の意見が聴きたいんだ」

『私見に過ぎませんが、我々カルデアを破滅させるような『脅威』は存在しません。ぜひ、多くのサーヴァントでこちらに乗り込んでこの特異点を調べることを提案させてもらいます。それに、紫式部との通信が取れなくなった直後に、こちらの特異点で『協力者』を見つけまして……その方と協力することは、『我々』にとって大きな利益を生むと考えます。

 ただ、戦闘を必要とするエネミーは発生していませんので、『藤丸立香』のレイシフトは最後の最後で問題ないでしょうね。

 それに、私の個人的な考えですが、この特異点の生まれた理由というものにも見当が付きつつあります。』

「まあ! さすがはアルトリア様でございます! 聖杯こそ回収できずとも、随分と特異点の正体に近づいているのですね。それでは、一体どのような謎が……?」

『それは……シャーロック・ホームズではありませんが、まだ口にするには少々早いですね。紫式部、貴方がこちらに到着すれば大凡を説明できるのですが……』

「ふ~む……まあ、他ならぬ高潔なアーサー王である君が言うには問題ないのかな。よし、とりあえず私とマシュと頼光辺りは念のために待機して、他のメンバーには特異点の強制召喚に応えて現地に向かってもらおう。アルトリア、君はそのメンバーと合流してくれたまえ」


 アルトリアはもったいぶった言葉を口にするが、普段の振る舞いが良いのかその裏というものを勘ぐられるようなことはなかった。ダ・ヴィンチも、これがスカサハやメイヴ、伊吹童子のようなどこか油断ナラないサーヴァントの言葉ならば深く問いただしただろうが、アルトリアならば問題ないだろうと判断してすぐに次の準備へと向かうことにした。


『では、紫式部。貴方をお待ちしておりますので……由比ヶ浜に訪れれば、真っ黒な外見のビーチ・ハウスまで来てください。可能ならば、他の女性サーヴァントを多く揃えた上で……お願いしますね』

「かしこまりました、アルトリア様。それでは、通信を切らさせていただきます、私も準備に移りますので……どうぞ、ご武運を」


 そう言って紫式部は通信を切って立ち去っていく────はずだったのだが、どこか慌てん坊なところがある紫式部は完全に通信を切り忘れてしまった。『ああ、いけない!』と慌てて戻ってきた紫式部だが、そこで向こうからは認識できずにこちらから覗くことができる通信映像で、信じられない物を見てしまった。


「は、はわわ……!?」

『んぅっ♥ ちゅぅぅ……ちゅぱっ♥ はい、もうすぐ私の仲間がこのビーチに訪れます……♥ きっと、マスターやマスターのお仲間も気に入る、素敵な女性たちですよ♥ 特に、私がこのビーチに訪れる原因となった紫式部という女性は、内面も外見も非常に魅力的な女性です♥ マスターもお気に召されると思われます♥ ちゅぅぅ、れろぉぉぉっ♥ そう、ですね♥ 豪奢な髪飾りをつけた水着姿ですので、それを私のネックレスのように変わらせるのも、いいかもしれません♥』

「あ、アルトリア様……なにを……通信は、通じていなくて映像がこちらに流れてくるだけなのですね……」


 そこでは、アルトリアが見知らぬ黒人男性と熱烈なディープキスを行っていたのだ。思わず声を漏らして驚いてしまう紫式部だが、現在の通信状況はあくまでカルデアとの一方的な観測のため、アルトリアは紫式部に見られていることに気づいていないようである。


『あぁっ♥ もっと、もっとぉ♥ わ、私の仲間が来るまでまだまだ時間がありますからっ♥ どうかそのペニスで私を犯してくださいませぇ♥』

「か、肩に羽織っているアウターが落ちて……ああ、う、腕にタトゥーが……! 水着の色も変わっているのもおかしいと思いましたが、あ、あのタトゥーとネックレスは、いったい……? 『BBC』……ネックレスは、く、黒い、男根……? アルトリア様に、なにが……?」


 紫式部には何が起こっているのか、まるで理解できなかった。

 純白の水着が漆黒の水着に変わっていることもおかしいと最初は思ったものの、アルトリア・ペンドラゴンほどの英霊ならば水着の仕様を変えることなど容易いはずだし、アルトリアの気分で水着を変えたくなっただけなのだろうと簡単に流してしまったのである。

 だが、いくらなんでもこの映像はおかしい。藤丸立香とアルトリアが男女の関係であることはカルデアでは公然の秘密だ。そんなアルトリアが立香ではない男性とディープキスをした後にセックスをしようとしている。そう言えば、先程の通信でもアルトリアは立香のことを『マスター』ではなく『藤丸立香』と呼んでいなかっただろうか。

 なにかが起こっている。

 その予感を覚えた紫式部はすぐにダ・ヴィンチに報告をしようとした、その瞬間だった。


「なぁっ……な、なんて大きな魔羅なのでしょうか……♥」


 アルトリアとセックスするために海パンを脱いだ黒人男性の大きすぎるペニスを目撃してしまったのだ。妖艶ですらある整った美貌とは裏腹に、少女性とさえ呼べるほどに初心な反応を見せる紫式部ではあるものの、生前では歳が離れた男性との既婚歴がある未亡人である。性経験は多くはないが確かに存在するのだ。そんな紫式部でも、思わず息を呑むほどの見事なペニスがアルトリアに挿入されようとしていたのである。


「……ごくりっ」

『あぁっ♥ マスター♥ マスター、素敵です♥ このペニスに貫かれるたびに、私は生まれてきた意味というものを理解してしまいます♥ マスター、私の唯一の主っ♥ どうか、このアルトリアをペニスケースとして存分に楽しみくださいませぇ♥』

「はぁ、はぁはぁ……♥ はっ♥ い、いけません♥ こんな、プライベートを覗き見ては♥」


 アルトリアと黒人男性のセックスに目を奪われていた紫式部だが、ハッと思い直してすぐに通信映像を消す。記録されていたデータも『プライベートだから』と消すのも忘れない。そして、これをダ・ヴィンチに報告しようかと思ったが、やめた。


「……あ、アルトリア様は新しい恋に出会ったのかも知れません。それはマスターには残酷ですが、仕方のないことでしょう。ぷ、プライベートをわざわざダ・ヴィンチ様に説明する必要も……ありませんね♥」


 そう言い訳をするようにつぶやきながら、足早に自身の居住であるノウム・カルデアに備えられた図書館へと戻っていく。


「……び、『BBC』に『黒いペニス』……どういう、意味なのでしょうか……♥」


 そして、図書館の膨大な蔵書を検索してアルトリアの上腕に刻まれていた『BBC ONLY』というタトゥーの意味を探していく。調べなくともそれがどういう意味なのかうっすらと理解しつつ、それでもより深い理解をするために。

 アルトリアのように、あの特異点で素晴らしいなにかに出会えるかもしれないという予感を抱いて、紫式部は水着姿となりながら、『予習』をしていく。

 こうして、特異点は開かれた。

 黒く染められた特異点が、カルデアを侵食していく事件が発生したのである。


(終)


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