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聖杯戦争とは https://rope-less.fanbox.cc/posts/3665482 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇  かこん、と。  切り取られて斜め上に刺すように設置されている竹が、流れ出てくる水の重みに耐えかねて頭を垂れて、下に置かれていた岩を叩く音が響いた。  『ししおどし』と呼ばれる日本古来より伝わる庭園施設の一つである。源流は音を出すことによって田畑を荒らしに来た野生動物たちを追い払う装置なのだが、いつからかその音が風流なものであると感じ取られ、こうして日本庭園の侘び寂びを彩る装飾の一つとなったものだ。  そんな立派な庭園が作られた懐石料理の高級店の一室で、二人の美女が向かい合っていた。  一人は輝かしい金髪を豊かにウェーブさせた、空のように透き通った碧眼の持ち主。母性すら感じるほどに穏やかな容貌ではあるが、その額にローマ数字で『1』を表わす『I』のタトゥーが刻まれた威容な美女であった。  その美女の名をセフィリア、セフィリア・アークスという。その異様なタトゥーが示す通り、常人では計り知れない能力と、深い闇を代行する人物である。 「マスターは所作が非常に美しいですね。私のような無骨者と比べてしまうと、どちらが日本人かわからないほどです」  そんなセフィリアと向かい合って食事を行っている、セフィリアに勝るとも劣らない美貌を持つ美女が口を開く。青銀色とでも呼ぶべき澄んだ髪を、その燃えるような赤い瞳と同色をした髪留めの紐で高い位置にまとめている。タレ目がちな大きな瞳が特徴的な美貌はいささか幼気な童顔で、美しいというよりも可愛らしいという印象を見るものに与えていた。  しかし、この美少女はその愛らしさとは裏腹に驚くべき武勇を誇る女武者なのだ。並の男の兵士ならばそれこそ千人が束になって襲いかかっても敵わない超人。英霊として人理に記録され、この聖杯戦争の参加資格を得てサーヴァントとして召喚されることも納得の猛将なのだ。  その名を、巴御前。平安末期の源平合戦にて名を残す日本史屈指の女武者である。 「ありがとうございます。ですが、アーチャーのような歴史に名を刻んだ高名な日本人に褒められると、なんだか照れてしまいますね」 「私など所詮は単なる猪武者に過ぎません。その点で言えば、マスターは貴人としての研ぎ澄まされた所作をされており、気品の違いというものを感じ入ってしまう次第です」  巴自身も決して現代でも無粋とされるようなだらしのない作法を行っていた訳ではないが、それどもどこか素朴な洗練されていない印象を与える動作ではあった。セフィリアの上品なものと比べると、いささか劣ると言ったところであろうか。  そのことを僻むこともなく、純粋に尊敬の眼差しを向ける巴。その視線がくすぐったいのか、セフィリアはくすりと微笑みを浮かべてその大人びた美貌に崩した。 「主従などと……私たちは同盟です。聖杯を手にしたい私と、その求めに応じて馳せ参じてくれた貴女は対等の関係です。貴女とともに聖杯を手に入れ、我らがクロノスが回収して未だに混迷を極めている世界を安定に導く。その目的に、貴女のような高潔な武者が力を貸してくれることは私にとっては望外の栄誉ですよ」  セフィリア・アークスはあくまで突然としてこの聖杯戦争に巻き込まれた。瞬きの隙にこの仮想現実とでも呼ぶべき空間に召喚され、聖杯戦争という奇跡を求める戦いを強制された。  忠誠を誓った組織、『クロノス』以外に命令を下されることはセフィリアにとっては思うところがあったが、それでも聖杯というあまりにも巨大な報酬はセフィリアの心をくすぐった。聖杯があれば、クロノスの支配は安定としたものあるだろう。それを手にすることは、クロノスの忠実な駒であるセフィリアにとっては何よりも優先すべきことのように考えられた。 「いいえ。私が求めるものは、最後まで主とともに戦い続けるという手慰みに過ぎません。貴女のような、世界の恒久的な平和という崇高な目的を抱いての参戦ではありません。  ……決して生前の選択を後悔をしたことなどありません。ありませんが、それでも武者としての私は義仲様と戦場を駆けたいという見苦しい欲望があったことは否定できません。このような浅ましい身を、マスターと対等などとは口が裂けても……」  一方で、巴御前はセフィリアの評価の言葉を苦しそうに顔を歪めたまま受け取ろうとしなかった。  主である木曽義仲と最後をともに出来ず、それでも木曽義仲の言葉を胸に抱いたまま人生を全うした。そのことに巴自身もなんの後悔もない、巴は愛する男の木曽義仲に仕えることが出来たのだから後悔などするわけがない。  だが、後悔とは全く別の部分で、血湧き肉躍る戦場を駆け抜けた武者としての自分が、それでも主君である木曽義仲と最後の瞬間を共にしたかったという欲望を抱いていたのだ。その欲望が形となり、巴は聖杯戦争を求めた。マスターに従者として召喚されて、そのマスターに忠誠を誓って戦場を走る武者としての自分の完遂を欲したのである。  すなわち、巴御前は聖杯を一切として求めていない。巴が求めていたものは聖杯ではなく、聖杯戦争。結果ではなく過程なのだ。本懐を遂げることの出来なかった騎士が求める欲望、それと同じものを巴御前という女武者は求めた。  そんな自分が、世界のためとまっすぐに口をするセフィリアと対等な関係であるとは、清廉な一面を持つ巴には受け止めることが出来なかったのだ。 「貴女がそう言うのならば、甘んじてその忠誠を受け止めましょう。未熟な身ではありますが、貴女の武勇に恥じない主であるように努めさせていただきます」  セフィリアは食後のお茶をゆっくりと喉に流しながら、改めて巴御前と主従の契約を結ぶ。魔術的な契約ではなく、言葉における契約だ。何の力も持たないその契約は、しかし、セフィリアや巴のような高潔な騎士と武者には大きな意味を持つのである。 「それでは……アーチャー。今回はこの『討伐令』に私たちは参加します」 「例の都心に現れたという異界の切除ですね」 「はい。監督役より発せられたこの討伐令、『異界ダンジョン』を踏破せよというものです。この異界ダンジョンとは、安定していないこの世界に生じた特異点のようなものとのことです。聖杯には大きく劣るもの、巨大な魔力リソースが暴走をして大惨事を引き起こす前に異界を踏破し、これを閉じる。その際に得た魔力リソースは討伐成功者の所持物となる上に、新たに令呪を一角を譲渡されるという報酬もあります。参加しないという手はありません」 「私にも異論はございません」  その契約を改めて結んだ後に、セフィリアはこれからの方針を巴と打ち合わせ始める。  セフィリアがまず取るべきとしたことは、監督役より発せられた『討伐令』への参加。この仮想空間に生じてしまった危険な異界を攻略し、その異界を閉じることで令呪を得ることが出来るのだ。他の聖杯戦争参加者と構えるよりも、まずはこの異界を攻略してアドバンテージを得るべきだと考えたのである。 「アーチャー。我が身に刻まれた令呪が新たに加えられるというメリットは大きく、また、この仮想現実と言えども東京を犯す異界を切除することは私の使命にも矛盾はしません」  世界を裏から支配する秘密結社、『クロノス』。時には暴虐とすら呼ばれるほどに強引な手で秩序を守ろうとする。そのことに対する反発を抱くものもいるだろうし、既得権益を守ろうとする保守派などには蛇蝎のごとく嫌われている。それでも、セフィリアは忠誠を誓う組織の先にあるものが世界平和であると信じている。 「今夜、発生したという異界へと向かいます。アーチャー。貴女のその武勇、私にも見せてもらいます」 「かしこまりました。この巴、旭将軍である義仲様とマスターであるセフィリア様の名を穢さない働きをお約束いたしましょう」  ■ 「ここが異界ですか……一見すると、単なる廃ビルのように見えますが」 「魔力が淀んでいます。空間が歪曲されておりますし……外から視覚で得られる情報と中に広がる空間は大きく異なっているでしょう。この『びるぢんぐ』は5階建てですが、恐らく内部の異界はその限りではありません。何層で出来ているかは、これまたやはり踏み入らねばわからないかと」 「まさしく異界ということですか」  その夜のこと。  セフィリアと巴は発生されたとされる異界ダンジョンの前に立っていた。  外見上はどこにでもあるような平凡な廃ビルでしかない。周囲も人通りが少なく、犠牲者が少ないという情報も確かのようだった。  周囲を確認、怪しげな気配もしないことから二人の美女はその『異界ダンジョン』へと脚を踏み入れた。 「っ! これは……!」  ボロボロの扉を開いてその内部へと足を踏み入れた瞬間、常に冷静なセフィリアが思わずと言った様子で戸惑いの声を漏らしてしまった。  ただの廃ビルだった、外からでも窓越しに寂れた様子が伺えていた。そのはずなのに、内部に足を踏み入れた瞬間にその顔を変えた。  異界ダンジョンは文字通り異界に存在するダンジョン、外からではどのような方法でも正しく観測することが出来ない。だから、セフィリアもさすがにこのような状況は予想だにしなかった。  壁も、床も、ぶにょぶにょとした嫌な感触のする謎めいた肉の材質になっていたのだ。  まるで、この異界ダンジョン自体が一つの生命の胎内であるかのようにすら思える生々しい感触。脈打つように鼓動すらしていた。さしものセフィリアでも、このような異常事態は初めてである。  一方で、現在よりも神秘がわずかとは言え残されていた時代に生きた巴は冷静であった。 「マスター、お気をつけください! 敵影確認! 数は十、魔力反応は強くありません!」 「小さな体躯に緑の肌におぞましく醜く歪んだ顔立ち……ゴブリン、小鬼とでも呼ぶべき怪物ですか」 「ギャッギャッギャッ!」  前方から、身長一メートルにも満たないような小さな二足歩行の生き物が現れる。  緑の肌とおぞましい容貌と牙を持った小鬼、ゴブリンである。その目には理性というものを一切感じさせない歪みがあり、その手に持った棍棒を乱暴に振り回していることからもその残虐性が一目見抜く事ができる。 「……ふぅ」  セフィリアは呼吸一つで動揺を沈め、腰に備えていた黒い刀身の剣を手に取る。  『クライスト』というセフィリアの愛剣である。  『伝説の鉱物』とも呼ばれる希少な『オリハルコン』で作られた世界でただ一本のセフィリアのためだけの剣であり、どのようなものでも切り裂くことが出来、どのようなものでも砕くことの出来ない宝剣。  そしてなによりも。 「……終わりです」 「ぎゃっ、ぎゃっ……ぎゃっ……?」  無音にして神速。  斬られたことにすら気づかないとは、まさにセフィリアの超越的な剣技のことを言う。事実として、この異界に使役されている魔物であるゴブリンたちはバタバタと頭部の存在しない胴体で走り回っている。  この驚異的なスピードの剣術から生じる負荷に耐えられるほどの剣はこのクライストのみなのだ。クライストにとって最上の使い手がセフィリアであるように、セフィリアにとってもクライストは全力で力を振るうことを許してくれる最上の武器なのだ。 「お見事でございます、マスター!」  一方で、巴の戦いは荒々しい豪快なものであった。  アーチャーのクラスに相応しく、和弓を手に取った巴は魔力て矢を生成して次々にゴブリンを撃ち抜いていく。その怪力だからこそ引くことの出来る剛弓から飛び出していく矢はゴブリンの体を貫くのではなく、砕くようにして蹂躙していく。まるで大砲にぶつかったかのようにゴブリンの胴はぐちゃぐちゃに破裂して、その手足と頭部が四散していく。 「この程度の雑魚が相手でしたら問題はありませんね」 「はい。どうやら下級の神秘が生じない、数だけが取り柄の小鬼。マスターの技量ならば敵ではありませんと考えます」 「ありがとうございます。あの巴御前にそう言われていると思うと、なんだかくすぐったいですね」  日本通であるセフィリアは巴御前の武勇をよく知っている。だからこそ、聖杯戦争の仕組みを知ってもなおあの英雄が自分の隣に立っているという事実を上手く飲み込めていなかった。  それにしても、頼りになる味方であることだけは確かだ。 「階段……奥へと進めるようですね」 「核とは一番奥にあるものです。このまま突き進んでいけば、必ずや目的地へとたどり着くでしょう」  小鬼を文字通り蹂躙していった二人は、やがて次の階層に繋がる『階段』を発見した。  新たな小鬼の気配はしない。恐らく、この第一階層にはなにもないのだろう。  セフィリアたちは顔を見合わせてゆっくりとその階段を登っていた。  ここがどのようなダンジョンかも知らずに、彼女たちは地獄に続く階段を登っていたのだ。  ■  これは、聖杯戦争などではない。  これは、性杯戦争。  薄汚れて爛れた欲望が、男にとってだけ都合の良い欲望が、世界を歪めて作り上げたモノ。  悲劇ではない。  英雄譚ではない。  喜劇ですらない。  これは、単なるポルノショー。  美しい女たちが、男たちの毒牙にかかるために集められただけの、どうしようもない醜悪なショーなのだ。  セフィリア・アークスと巴御前が、男の欲望によってその心すらも都合よく捻じ曲げられるまで。  あと、────。  ■ ☆エロトラップダンジョン第一階層☆     ☆エロステータス☆ 『セフィリア・アークス』  C(クリトリス)性感:15  B(バスト)性感:15  V(ヴァギナ)性感:20  A(アナル)性感:50  マゾ性感:LV2  精液中毒:LV0  性交経験:有  アナル拡張:済  アナル性交経験:有  出産経験:無  反発令呪:三角  屈服令呪:無 『巴御前』  C(クリトリス)性感:30  B(バスト)性感:15  V(ヴァギナ)性感:30  A(アナル)性感:25  マゾ性感:LV0  精液中毒:LV0  性交経験:有  アナル拡張:未  アナル性交経験:無  出産経験:有 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 次) https://www.fanbox.cc/@rope-less/posts/3825530

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