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「やばい……やばい、やばい……!」  向井拓海。  スリーサイズ95/60/87というドスケベすぎるグラドル体型と勝ち気な顔立ち、そして、どんなときも堂々と胸を張るいなせなかっこよさを併せ持った今をときめく大人気アイドルだ。  デビューシングルのパッケージで見せた、ニヤリと不敵に笑った拓海の姿は男であってもそのかっこよさにハートを貫かれ。  セカンドシングルのパッケージで見せた、顔を赤らめて無理矢理にアイドルらしい笑顔を作ろうとしている拓海の姿は女であってもその可愛らしさにハートを震わせた。  声量たっぷりのその歌いっぷりは、音感に優れているわけではないが人を引き付ける。  まさしく、彼女はシンガーではなくアイドルと呼ぶべき存在だった。 「こんなことってあるのかよ……!」  そんな拓海だが、今はジャージ姿でキョロキョロと周囲を見渡しながら、せわしなく髪の毛を整えたり、ジャージの襟を直したりと、いつもの颯爽とした姿からはかけ離れた挙動を取っていた。  なにかを待っているようである。  その時、拓海のスマホがバイブレーション機能で震えだす。 「っ! ……って、んだよ、Pかよ」  素早い動作でスマホを取り出して、目を輝かせながらその画面を覗く。  しかし、その内容が望んだものではないとわかるとすぐに不機嫌そうに眉をしかめてしまった。  内容は拓海をプロデュースしているプロデューサーであった。  実にやり手のプロデューサーであり、拓海の素質あってこそとはいえ、わずか一年で拓海がスターダムへと駆け上ることが出来たのは、間違いなくこのPの存在あってこそだ。  そんなPに対して拓海は深い信頼を抱いているし、今回だってオフの拓海に対して気を使うような内容のメールを送ってきただけだ。  いつもならば、「ったく、心配性だな」と照れくさそうに呟いて、しかし、頼れるパートナーへと憎まれ口を叩きながらメールのやり取りを楽しんでいただろう。  しかし、ある『待ち人』からの反応を望んでいる拓海にとっては、その紛らわしいタイミングのメールに対して殺意を抱くほどにPのことを『どうでもいいやつ』だと思ってしまっていた。 「っていうか、マジで信じらんねぇ……いや、待てよ……これ、ドッキリじゃ─────」 「おっ、たくみんじゃーん。マジで居たよ」 「っっっ!!!!」  次第に自分は騙されているんじゃないかと不安になってきていた、そんな時であった。  拓海の背後から、いかにもチャラチャラとだらしのなさそうな声をした、若い金髪の男が現れたのだ。  ぐるり、と拓海は勢いよく振り返り、そして、その人物が自分が待ち望んだ相手だとわかる。  すると、ぱぁ、と。  まさに花が咲くような笑顔を、自然と浮かべてしまうほどの喜びに襲われた。 「お、押忍! はじめましてっす!  あ、あたしは、横浜の狂鬼会で特攻隊長やらせてもらってた、向井拓海って言います! よ、夜露死苦!」 「うんうん。知ってる、知ってる。うわっ、マジ本物のたくみん、やっべぇ」  がばり、と。  拓海は両手を背中で組み、腰の角度が直角になるほどに頭を深く下げて、目の前の男に挨拶をする。  どんな相手にも喧嘩上等、気合では絶対に負けてやらないし、気持ちで風下になんて立ってやるかよという姿勢は芸能界でも貫いていた拓海が、その相手をはるか格上だと認めて最敬礼を行っているのだ。  それを見てチャラチャラとした金髪の男は嬉しそうに笑い、気楽にねと言いながら片手をあげる。  その金髪の男は、実に体格が良かった。  190センチに届くのではと思うほどの上背を持ちつつ、決して背が高いだけのひょうろくだまではなく、その身にまとったTシャツとジーンズはパツンパツンに張り詰めている。  首から下げた金色のネックレスはあまりにも下品だが、しかし、男のたくましい肉体には不思議なほどに似合っていた。 「えー、たくみん、オレのこと知ってる?  今回はコーハイに頼んであってもらったけどさぁ」 「も、もちろんっす! あたしらの年代でタクヤさんのこと知らないやつなんて居ないっすよ!」  その金髪の男はタクヤと言った。  日本中に知れ渡るほどのトップアイドルの一人となった拓海が、それこそアイドルに向けるような目をして話しかけるこのタクヤというチャラチャラとしつつもたくましい男は、一体何者だというのか。 「タクヤさんのサイキョー伝説! アレの記事を見てマンコ濡らしてオナニーしてました!  っていうかあたしの生理、タクヤさんが千葉を〆た時の記念にやったっていう爆走してる写真っす!  あれ見てメスに目覚めたっていうか……とにかくサイコーにかっこよくて、気づいたら血流しながらマンコいじってました!  狂鬼会で走ってたのもタクヤさんに憧れたからで、あわよくばお近づきになれてセフレにでもなれないかなって下心があって!  あっ! 地元のシズカさんからもらった生セックス動画、マジで家宝にしてますっ!  地元だとどんな男もボコっちまうシズカさんが、犬の鳴き真似しながらタクヤさんの脚ナメるぐらい奴隷セフレにしてるのマジでヤバくて……!  あそこだけループする動画を舎弟に作らせていまでも毎日オナってます!」 「ぷはっ! マジで、たくみん、オレのガチファンじゃ~ん!  そんなんならそっちから連絡してくれたらいいのにさぁ」 「い、いや、いやいや、いやいやいやいやっ!  そんなのマジで恐れ多いっすよ!  あ、あたしみたいな横浜でイキってただけのメスがタクヤさんに直で連絡するとか、不敬すぎてバチが当たりますから!」  なんと、この男、ただの暴走族である。  いや、もちろんただの暴走族ではない。  日本列島を横断して、その土地その土地のヤンキー、暴走族、ギャング……とにかく『悪い』若者と喧嘩をしてぶっ飛ばし続けて『全国制覇』を成し遂げた伝説的な暴走族なのだ。  だが、それだけだ。  金を持っているわけではない、拓海が活躍をしている芸能界ならばタクヤよりも金を持った男なんて掃いて捨てるほどいる。  顔立ちが整っているわけではない、拓海が共演をする芸能人ならばタクヤよりもイケメンな男なんてどこにでもいる。 「マジで感動っす! タクヤさんがあたしと会いたいなんて言ってくれるとか、最初は感動で眠れませんでしたし、ちょっとドッキリかなにかかと思ったぐらいで!」  しかし、拓海にとっては『それがどうした』というところである。  拓海にとってはこのレジェンド暴走族で今はただのパチプロに過ぎないタクヤこそが大スターなのだ。  紅白歌合戦で大トリをつとめるジジイなど足元にも及ばないほどの御方なのだと力説できるほど、拓海はタクヤのことを崇拝しているのである。  その様子を見て、タクヤは嬉しそうに笑う。 「んじゃ、いこっか」 「えっ……えっと、どこに?」  興奮で顔を上気させている拓海に対して、タクヤは背中を向けて歩き出す。  その鍛え上げられた広い背中と傷んだ金髪にキュンと胸を高鳴らせながら、拓海は早足になってついていく。  横に並んだ拓海を見てタクヤはニヤリと笑い、拓海の細い腰に腕を回して、ぐいっと拓海の柔らかな体を抱き寄せる。 「決まってんじゃん……ホテルだよっ」  タクヤの言葉に、拓海はキョトンと間の抜けた顔を見せる。  拓海らしくない表情、それこそ拓海の言葉を借りるならば『気合の入っていない顔』である。  だが、そんな顔が徐々に真っ赤に染まっていき、口を大きく開く。 「い、いいんっすか!?」  その口から飛び出してきた言葉は、出会って数分しか経っていないというのに性行為を求めてきた相手に対する反発や嫌悪の言葉ではない。  むしろ、その逆。  まさか自分みたいな女がタクヤさんのセフレになれるなんて、という悦びに満ちた声だった。 「もっちろん! たくみんのグラビアみてさぁ、小6以来のオナニーしちゃったからさ」  むぎゅぅ、と。  タクヤは拓海の爆乳を揉みしだく。  シャツの上からもにゅもにゅと、その柔らかさを味わうためだけの愛撫とも呼べない乳揉み。 「はぅんっ♥」  普通ならば痛みすら生じるその乳揉みに対して、拓海はまるで頭を撫でられた子犬のような可愛らしい声をあげる。  そして、その無礼な手をはねのけることもせず、むしろ頬を染めてその体をタクヤへと寄せていくほどであった。  その様子はどう見ても貞操観念の薄いカップルそのもので、強制という言葉とは程遠い合意の上の男女の姿という他がない。  タクヤはホテル街へと向かっていき、拓海はまるでステージに立った時のように目を輝かせてタクヤを見上げていた。  ■ 「うぉ~、色っぽいねぇ」 「へへ、ありがとうございますっ♥」  ホテルについた二人だが、タクヤは拓海という極上の女を前にしてもがっつくようなことはしなかった。  それは極上の女であればあるほどにしっかりと『磨かせた』ほうが美味しく味わえるという経験から生まれる余裕であり、同時にタクヤの女性経験の豊富さの現れだった。 「汗の匂いがする女を抱くのも楽しいけどさぁ、まあ基本はやっぱりシャワーで小綺麗になってからだよな。ほら、たくみんっ」 「あっ……♥」  タクヤはその、筋力トレーニングらしきものを行っていないというのに余分な脂肪が存在しない筋骨隆々とした肉体をむき出しにして拓海に迫る。  拓海は、それこそスーツに身を包んでいるひょろりとしたプロデューサーとは異なる『オスらしさ』が全開になっているその逞しい体にキュンキュンと胸と子宮を高鳴らせた。  そして、腕を強引に捕まれ、片腕を腰に回されて、ぐいと体を引き寄せられる。  その豊満な爆乳がタクヤの分厚い胸板に押し付けられ、拓海の整った顔とタクヤの軽薄な顔が近づいていく。  今ならば間に合う。  このまま、はねのけて逃げ出せば拓海の貞操は守られる。  だが、そんなことは置きない。 「んっ……ちゅぅ……♥ んんっ♥ んっ、あっ、ちゅぅ、れろぉぉ♥」 「んっ、ふぅ、ちゅっぅ……おおっ、やっべ、たくみんとキスしてるよ、俺!」  タクヤと拓海の唇と唇が重ね合い、その時の拓海の顔といったまさしく極楽に登ったかのような多幸感に満ち溢れていた。  つまり、これはそういうことなのだ。  この見るからに軽薄で、無責任で、社会性のないチャラチャラとした男に対して、拓海はガチ恋をしてしまっているのだ。  逃げる?  逃げるはずがない。 「はぁ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅぅぅぅ♥」 「うわ、キス顔めっちゃかわいいな……くそ、こいつ最高だろ……!」  なぜならば、これは拓海が小学校六年生の時に見た、見るからに頭の悪い不良少年たちの活動を綴っているガラの悪い雑誌で見た時に覚えた初恋が実った瞬間なのだから。  この『強くて』、『かっこよくて』、『やばい』人と恋人になりたいと願った、拓海少女のピュアな想いが数年越しに叶った瞬間なのだから。  逃げるはずがない、むしろ全力でそこへと飛び込んでいくほどだ。  そう、向井拓海はアイドル・向井拓海である前に少女・向井拓海なのだ。  同年代の少女たちがアイドルや俳優に恋するように、向井拓海は伝説的暴走族タクヤに恋をしたのだ。 「ちゅぅ、れろぉぉ……ちゅっ♥ はぁ……はぁ……♥」 「おつかれ、たくみん。めっちゃ可愛かったよ」 「あ、ありがとうございますっ……ファーストキスだったんで、その、うまくできなかったですけど……♥」 「マジで!? たくみん、キスしたことないの!?  えぇ、嘘でしょ、めっちゃキス気持ちよかったよ! てっきり手慣れてるもんだと思っちゃった!」 「そんなことないっすよ! あたし、タクヤさん一筋なんで!  ま、まあ、その……最近はさすがに現実見て諦めてましたけど……」  拓海のファーストキスを奪えたことを無邪気に喜ぶタクヤ。  その姿を見て、拓海の心まで嬉しくなってしまう。  そして、ファーストキスを取っておいてよかった心から安堵するのだ。  タクヤという高嶺の花に捧げることを夢見て男性と付き合うことなどなかったが、最近では頼れる相棒であるプロデューサーに心惹かれる瞬間があったことも事実であった。  ひょっとすると、この支えてくれる頼れる大人の男と自分は結ばれるかもしれない。  そう思ったこともあった。 (ああ、マジで幻覚だった……生タクヤさん見たら、あんな気持ち思い出すこともできねえ)  しかし、そんな思いも今は吹き飛んでいた。  タクヤと結ばれるという夢のような出来事を味わえた幸運に、プロデューサーへと向けていた異性としての思いなどもはや一欠片も残っていない。  もちろん、これはおかしな考えだ。  所詮は元暴走族で現パチプロな社会の底辺のタクヤと、今や芸能市場においてトップ需要であるアイドル業界でトップランカーである拓海。  どう考えても格上なのは拓海なのだが、しかし、当人である拓海にとってはタクヤのほうが格上なのだ。  それは狭いコミュニティに存在する独特の序列であった。 「えっ、じゃあたくみんって……処女?」 「う、うっす! 向井拓海、ガチのバージンっす!」  体育会系のような声で答えてしまう拓海。  ロマンのかけらもないと反省をしてしまうが、このような言葉遣いでもないとまともな会話もできないほどに緊張をしてしまっているのだ。  そして、タクヤはその拓海の受け答えに満足をするようにニヤリと笑った。 「うわっ♥」 「じゃあ、リードしてあげないとねぇ~」  陽気な声とともに拓海をベッドに押し倒し、その頬を撫でる。  改めて、タクヤは感じる。  最高の女だ、と。 「あっ……ちゅぅ……♥」  顔立ちは凛々しいきりりとした美人系。  鋭い瞳だ。  普段ならば男も女も、目上も目下も関係なく見据えて、絶対に負けないと気合たっぷりに挑みかかっているのだろう。  だが、今はそんな凛々しい瞳がとろりと溶け切ったこっちをうっとりと見つめてくる。  ぷっくらとした赤い唇は実に肉肉しい。  今まさに味わっているだけにわかる、拓海は非常に肉厚で柔らかな唇とその先にある長い舌を持っている。  これにフェラチオを教え込めば、それだけでマンションを買えるぐらいには稼ぐことが出来るほどの商売女まで上り詰めることが可能なほどの優れた口マンコになるだろう。  だが、向井拓海は顔だけの女じゃない。 「あっ、そんな、う、上も下も同時になんてぇ……♥」  まず、誰もが最初に目につくであろうこの爆乳だ。  たっぷりとした柔らかなおっぱいでありながらも、握り込めば強く押し返してくる張り。  柔らかさと張りは両立しづらいものだ。  巨乳女を見つけたと喜んでベッド・インしてみてもただの弛んだ脂肪の塊だった経験もあるし、逆に張りが強すぎてまるで筋肉のように揉みしだいて楽しむことができなかった経験もある。  その点で拓海の爆乳は理想そのものといえる張りと柔らかさを持っていた。  よくその爆乳を育てたな、と褒めるように可愛らしい乳首をコリコリと愛撫をしてやる。 「ひゃうぅんっ♥ た、タクヤさん、乳首は勘弁してくださいっ♥」  どうやら乳首が性感帯のようだ。  このままイジメ続けるのもいいが、あの美人な顔を眉を下げて懇願してくるかわいい顔へと変えてくるとなんでも言うことを聞いてあげたくなる。  タクヤは乳首への愛撫をやめ、そのピンクの乳輪をさわさわと擦る優しい愛撫へと切り替える。  そして、そのまま視線を落とす。  ああ、思えばこのくびれかもしれない。  向井拓海といえば極上の美人顔と爆乳が特徴だが、それを活かしているのはこのくびれだ。  得てして巨乳女というのは肥満体だ。  服を着ているときはうまく隠しているが、それを脱げばぶるんと乳ではなく三段腹が暴れだすということはよくあることだ。  だが、拓海は違う。  腹筋がついたそのくびれに一切の余分な肉は存在せず、ただオスに手触りを楽しませるための薄っすらとした脂肪が少しだけ存在する。  最高の体だ。 「ふぅ、あっ、そこ、いいっす……♥ 入り口でさわさわってしてくれる……好きっす……♥」  マンコは、まだわからない。  ある程度の愛撫で感覚はわかるが、それでもこればかりは挿入してみないとその名器の具合はわからないものだ。  だが、それは普通の女が相手の場合。  断言できる。  向井拓海は名器マンコの持ち主だ。  このくびれが存在する腹筋と、実際に入口付近を指先で弄ってみた感覚で予感させるのだ。  これはチンポを咥えれば咥えるほどに、そのマンコとしての格をあげてくる最高の名器マンコ。  このマンコを自分の形にピッタリとフィットするようにセックスを重ねれば、それは他の女なんてどうでも良くなるほどの快楽を味わえるはずだ。 「ここらへんかなぁ、たくみん?」 「あっ、そうっす……すっげえ、タクヤさん、マジ上手い……♥ オナニーと、全然違う……♥」 「クリちゃんはどうかなぁ~?」 「ひぎっ、ちょ、それ、やばぁっ♥」  タクヤは胸の愛撫を辞めて、その巨体を拓海の股間へと沈めて、両手でマンコを弄り始める。  片手でクリトリスを弄りながら、片手で処女膜の手前付近を弄り続ける。  本音を言えば、この強気な美少女をタクヤ自慢のガチ手マンで潮を吹かせるほどにアクメをキメさせたいという欲望はある。  この処女膜を破るのは自分だ、間違っても手マンで破るわけにはいかない。  だから、タクヤは逸る心を抑えて、それこそ数え切れないほどに奪った処女用の優しい愛撫に徹しているのだ。 「はっ、ふぅ、ひぃっんっ♥ た、タクヤさん、タクヤさぁんっ♥」 「んっ、これぐらいでいいかなぁ……まだ固いけど、たくみんは処女だもんねぇ」 「あっ……はぁ……そ、そうっす……処女、っす……♥  た、タクヤさんに奪って欲しかった……ガチアイドルのガチ処女っす……♥」 「……ひひっ!」  タクヤはガチ恋状態のアイドルの蕩け顔に不気味な笑みを漏らしてしまう。  アイドル。  さすがのタクヤでもそんな最上級の女を抱いたことはない。  所詮はタクヤは世間一般的にはただのイケメンなヤンキーだ。  本物の極上のメスを抱くためには、必要なスキルがいくらか足りない。  それは金だったり権力だったり、あるいは誠実さだったりする。  しかし、そんなスキルを必要としない、元ゾク上がりの美少女アイドルが現れたのだ。  笑わずにはいられない。 「じゃっ、たくみんの処女もらっちゃうね~」 「はい……って、あっ、か、カメラ……」  タクヤはいつもの癖でスマホを取り出して、そのカメラを拓海へと向ける。  その瞬間、拓海が一瞬だけ冷静な顔を見せた。  そこでタクヤもさすがにそれはまずいことに気づいた。 「あっ、ごめんごめん。いつもの癖でさぁ……やっぱりたくみんは写真とか動画まずいわな。  う~ん……残念だけど、仕方ないよなぁ」  ハメ撮りはタクヤの趣味だ。  どんな女が相手でも写真か動画を残し、それを女性も同意の上でばらまいたりもする。  貞操観念の低い相手しか寄ってこないタクヤは今までそれでなんの問題もなかったが、しかし、今回の相手は何を隠そう大人気アイドルの向井拓海だ。  タクヤは瞬時に諦める。  確かに拓海の艶姿を収めた写真や動画は惜しいが、ここで拓海がビビって逃げ出される方がよっぽど惜しい、悔やんでも悔やみきれない。 「い、いや、いいっすよ!」  しかし、事態は思いがけない方に転がり始めた。 「もちろん、その、シズカさんみたいに出回るのは勘弁っすけど……でも、タクヤさんが見るだけなら、全然オッケーっす!  むしろ、その、それでやっとタクヤさんの女になれた感じがあるっていうか、その、とにかくハメ撮り、余裕っていうか!  だ、だから、その、お願いしますっ! 処女、今日、奪ってくださいっ!」  焦ったのは、むしろ拓海だったのだ。  ここでハメ撮りに対してNGを出せば、タクヤが醒めてこのままセックスはなしになってしまうのではないかと考えてしまったのだ。  それに、実際に聞いたことがあった。  タクヤは気に入らない女は絶対に抱かず、ホテルインしても気に食わない言動をした瞬間に裸のまま部屋を追い出して別の女を呼び出すという話を。  そのため、拓海は拓海にとっての理想の処女喪失シチュエーションである今を失いたくないと、アイドルとして絶対NGであるハメ撮りにオーケーしたのである。 「……あ~、もう!」 「っ……!」  その姿に、タクヤは声を上げる。  怒らせたかと拓海は震えたが、それは逆だ。 「たくみん、可愛すぎだろマジで!」  タクヤは素早くパンツを脱ぎ捨てて、拓海を押し倒し、その両手首を抑えつける。  拓海はその力強さに胸が震え、視界に写ったタクヤのデカチンに胸を高鳴らせた。  そう、タクヤのチンポはデカかった。  ヤンキー少女たちの間で出回るタクヤとそのセフレたちのハメ撮り動画で見慣れていたはずなのに、ナマのタクヤチンポはあまりにもデカかった。 (で、で、でっか~~♥♥♥♥)  拓海は目をハートに染めてそのチンポを見つめる。  これが、自分の処女を奪うチンポだ。  その幸福に、優れたオスに選ばれた優越感に拓海は。 「あっ、あっ、ああっっ♥♥♥♥♥」  ────何もされていないのに、軽いアクメをキメてしまった。 「くっそ、この女……かわいすぎるっ!」  そんな拓海の惨めで愛らしい姿に、タクヤは我慢できずに、とろとろのマンコへとチンポを挿入する。 「ぎっ、くぅっ……ふぅ、ふぅ……んんっっ!!」  固い。  あれほどにほぐしたと思ったのに、拓海のマンコの中は固かった。  そして、それは拓海への負担が大きいことを意味する。  熟れれば別だろうが、今の拓海の処女マンコにはタクヤのデカチンは少しばかり荷が重かったのだ。  だが、そこは特攻隊長・向井拓海。  顔をしかめながらも、しかし、泣き叫ぶようなことはしない。  ぎゅぅっとシーツを握りしめながら、その痛みに耐える。 「あぁ、はぁ……あ、あたし、タクヤさんに、初めてを……♥」  それどころか、その痛みを上回るほどの快感を覚えていた。  それは性感による快感ではなく、憧れの大スターとセックスをできているという心理的な快感だ。  そして、その快感は盲信的な尊敬をも刺激していく。  痛みがあるというのに、拓海はたどたどしく腰を動かし始めたのだ。 「おぉっ!」  タクヤは感嘆の声をあげる。  気持ちよかったわけではない。  拓海は所詮はバージン、腰の動きも単調なもので快感につながるようなものではない。  それに処女マンコもまだ固く、タクヤの好みからは少し離れている。  絶好の名器となるには、まだ身体的な成長とと性経験が必要だ。  だが、それでもタクヤは今までのセックスの何倍も快感を覚えていた。 「こ、腰ふるぞぉ、たくみん!」  それはひとえに、向井拓海という最高の美少女が自分を気持ちよくしようと頑張っている姿に感動してしまったからだ。  これもやはり、性感による快感ではなく心理的な快感。  いみじくも、セックスにおいてよく述べられる『心が通じ合うための行為』を体現してしまっているのだ。 「はぁ、はぁ、タクヤさんっ、タクヤさんっ♥」 「やべえやべえ、絶対落とす……こいつ俺の女にする……!」  腰を一心不乱に振るタクヤを見上げながら、拓海は息を荒げる。 (すっごい……マジでイケメンすぎるっ♥)  拓海はその眼前のタクヤの顔をうっとりと見つめる。  何度目かになるが、タクヤよりイケメンなアイドルや俳優はいくらでもいる。  もちろん、タクヤは確かにイケメンだ。  それでもタクヤにうっとりとするようなチョロさなら、拓海はそれこそテレビ局を歩いているだけで乳首を勃起させてマンコから愛液をダラダラ垂れ流すような女になってしまう。  これは、思い込みだ。  初めて『かっこいい』と思った男が写真に映るタクヤだったから、拓海にとっての『かっこいい』はタクヤが基準になってしまったのだ。 「ふぅ、ひぃ、あぅ、はっ、な、なんか……きもち、いい……♥」 「おお、いくぞ、いくぞぉ!」  パンパン、パンパン。  パンパン、パンパン。  タクヤの腰の動きが早まる。  どうやら、射精が近づいているようだ。  射精。  タクヤが気持ちよくなった証。  自分がタクヤを気持ちよくできた証。  それが欲しくて、拓海は多くのファンへと捧げるその声を、今だけはタクヤへと向ける。 「ふぅ、はぁ、きて、きてください、タクヤさんっ!」 「おっ……!」  ぎゅぅ、と。  マンコが締め付けられた。  その刺激に耐え、ギロリ、と拓海を睨みつける。  別に憎いわけではない、苛立ったわけでもない、単なる反射だ。  だが、それを向けられた拓海にとってはそうではない。 「あっ、やばっ、か、かっこよすぎるぅ♥」  その目は、喧嘩無敗のタクヤが喧嘩相手に向ける闘争心に満ちた視線だった。  タクヤの逞しさを向けられて、拓海はぶるりと震えた。  イッたのだ。 「おっ、おぉっ……おらぁ!!!」  どびゅるるるるっ! びゅるるるるるるる!!!! びゅうぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!  拓海がイッた姿を見て、タクヤもまたイッた。  拓海は感じた。  性的な快感を、心理的な快感を、本能的な快感を。  本能的な快感。  すなわち、オスに敗北する快感だ。  メスである自分が先にイッて、それを見届けてからオスがイッた。  負けたのだ。  自分を負かすほどの相手に抱かれていたのだ。 「はぁ……はぁ……♥」  多幸感に溺れながら、それでもうっとりとタクヤを見つめる。  タクヤがチンポをマンコから引き抜く。  どろり、と。  精液と愛液と────血が混じったカクテルがマンコからこぼれ出る。  ああ、自分は処女をこの人に捧げられたのだ。  拓海は、ぽろりと歓喜の涙を流した。 「……あ、あっ! す、すんません、掃除します!」  しかし、その後に快感に浸っている暇はないと気づく。  痛む腰を動かして、四つん這いになってタクヤのチンポにしゃぶりつく。  ファーストフェラである。  勝手は一切わからず、ただ、そのチンポにこびりついた体液をしゃぶりとっていく。  タクヤも予想通りの口内の気持ちよさを味わいながらも、その舌技はまだまだ仕込み甲斐あると思うだけだ。  そして、そこでふと思った。 「んんっ、ちゅぅぅ、れろぉ……♥」 「ほら、たくみんたくみん」  スマホを構える。  内側のカメラで、チンポをしゃぶる拓海の姿が鮮明に映っていた。  そして、タクヤは拓海へとある声をかける。 「ほら、たくみんスマ~イル!」 「ちゅぅ、へ、へへっ、た、たくみんスマイル~♥」  かちゃり、と。  普段の勝ち気な顔でも、クールな顔でも、照れた顔でもなく。  心の底からオスに媚びた顔で笑うメスが一匹、写真に映されたのだった。

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