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「――――っ!」


 安心院なじみが死んだ。

 正真正銘の人外の死の報せは、本能的な感覚として全世界に散らばった”悪平等”たちに伝わり、その内側に各々の反応を零させる。


「…………そう、死んだのね、安心院さん」


 嘆く者がいて、笑う者がいて、野心を燃やす者がいた。

 そんな中でも安心院なじみにある種近い立ち位置にあった”悪平等”――――箱庭学園保健委員長の赤青黄は、納得と共にその事実を即座に受け入れた。


 そもそも”悪平等”は”異常”や”過負荷”とは異なり、悪平等であるという括りだけで仲間意識などがあるわけでもない。

 黒神めだかの後継者候補として送り込まれた五人組――――あれは確かに仲間意識の強い者たちではあったけれど、赤はあの内側には混ぜれないし混ざろうとも思わない。

 それに”悪平等”の内側でも剣呑な関係性の例はいくつもあって、それこそ殺人事件の加害者と被害者がどちらも”安心院なじみの端末”であることも珍しくない。


「……ま、随分と呆気ないものだとは思うけど」


 ともかく、赤青黄が安心院なじみの死に対して思うのはその程度の事だ。

 箱庭学園の保健委員長という立場上、確かに他の端末よりも安心院なじみ本人と接する機会は多かったが、関係性として友人だったわけでも心服していたわけでもない。


 だからこそ、赤青黄は嘆くでも喜ぶでもなく淡々と安心院なじみの死を受け入れた。

 そもそも”悪平等”のメインシステムである安心院なじみが死んだとて、端末である個々の”悪平等”に直接的な影響があるわけではない。


 与えられた持ち場は、箱庭学園の保健室。

 別にこの役目が嫌いなわけではないし、だからこそ赤は日常の出来事として淡々とした態度を崩さぬまま、薬品棚の整理へと戻ろうとした。


「――――げっげっげっげ、新しくはないが興味深いな」


「っ!?」


 だが薬品棚に延ばされた手は、背後から唐突に聞こえた声によって止められる。

 黒神めだかや人吉善吉ほどではないにしても、赤青黄とて箱庭学園でそれなりの立場を持つスキルホルダーであり実力者だ。

 保健室の扉は赤の横にある一つだけの筈で、窓を開けてもいない以上、赤に気付かれずにその背後に回ることなど不可能でしかない。


「壊れたモノを継ぎ接いで”治す”などと謳うその行為。

 まさに無聊を慰める最たる極致。やはり面妖であるな、安心院なじみ」


 弾かれたように振り向いた赤の目に映ったのは、”鬼人”あるいは”鬼神”と評する以外にないほどの、圧倒的な巨躯を有した”何か”の姿だった。

 保健室のベッドに腰かけているだけなのに、絡みつくような圧倒的な覇気を放っている鬼面の男――――その名前を”悪平等”は誰もが知っている。


「獅子目言彦…………!」


「ほう、儂の名を知っているのか、”端末”。

 安心院なじみの事であるから、自らの恥辱は共有せんと思っていたが」


 獅子目言彦――――安心院なじみの抱いた”完全な人間”という像のルーツ。

 完全無欠の人外であるはずの彼女が、悠久のような生の中で何度も何度も敗北し、終ぞ勝利することも出来なかった”かつての英雄”。


 とはいえ、そんなパーソナリティは現状に関係がない。

 箱庭学園の関係者ではなく、我が物顔で保健室に侵入してきた”不審人物”。そんな男を排除すべく、赤は右手に与えられたスキルを発露して巨躯の鬼人へ飛びかかる。


「”五本の病爪”――――!!」


「新し……くはないか。残念だ、残念だぞ”端末”。

 たかが”蚊”の真似事など、既に見飽きるほどに見て来たわ」


 だがそんな赤の吶喊を、言彦はまるで意にも介さずに受け止めてしまう。

 スキルの起点である長く伸びた爪には触れず、細く白い手首を隆々とした手で握って受け止め、容易く握りつぶせるそれを(言彦からすれば)繊細な力加減でその場に留める。


 だが言彦にとっては繊細な力加減は、肉体の強度自体は常人と大差ない赤にとっては、万力に拘束されているのとほとんど同じことだ。

 骨は折れずとも細腕は押すことも引くことも出来ず、赤青黄という悪平等は一合の交錯すら許されることなくその場に留められてしまう。


「っ、く……目的は何……!?」


 苦痛に表情を歪ませながら、赤は言彦へ問いかける。

 安心院なじみを端末に至るまで皆殺しにする。状況的に考えれば目的はそれだろうが、けれどそこに意味と呼べるものは一つも存在してはいない。


「げっげっげっげ、知れたこと。”新しい事”をしにきただけよ。

 安心院なじみは殺してしまったが、一つやり残したことを思い出してな」


 だが獅子目言彦の襲来には、彼の中にその理由があるらしかった。

 掴まれた右手首が痛み、大人びた美貌を歪めて人外じみた顔を睨みつけてもそこには何の意味もなく、ただ赤青黄は”英雄だったもの”の思惑に囚われてしまう。


 獅子目言彦のやり残し――――安心院なじみに関わるそれ。

 まるで理解の及ばないそれに赤の思考が囚われる中、自らを睨み上げてくる女のどことなく安心院なじみに似た顔立ちを見下ろして、獅子目言彦は残酷な含み笑いを響かせた。



「っ、ぎ――――うぁ、ぁぐ……っ!あ゛ッッ!!あぁあぁぁあぁっっ!!!」


 箱庭学園保健室への獅子目言彦の襲来から、およそ五分が経過した頃。

 そこには五分前とはまるで違う、”学園の保健室”で繰り広げられるにはあまりにも残酷で、そうであるが故にある意味で”ありがち”なインモラルが繰り広げられていた。


 保健室のベッドに腰かけたままの獅子目言彦と、その上に跨る赤青黄。

 赤のトレードマークでもある深紅のナース服は布切れと呼ぶにも不足なほどに破り裂かれて床に散らばり、彼女はスレンダーながらに均整の取れた裸身を晒されている。


 そして何より残酷なのは、大きく開かされた華奢な脚の中心だ。

 乙女らしい秘部には言彦の巨根が深々と埋まり、滲む破瓜の血と共に子宮口までを穿つペニスの軌跡がうっすらとだが腹部に浮いてしまっている。

 体位で言えば背面座位――――意図してなのかそうでないのか、保健室の唯一の扉が開けば即座に来客に全裸を晒してしまう体勢で、赤青黄は”英雄だったもの”に犯されていた。


「げっげっげっげ……やはり新しくはないが、悪くはない感覚だな」


「うぁ、ぁ、ぁぐ……っ!!堪忍、して…………っ!!

 いた、ぁ、ぁぐ、抜い、て……っ!!抜いてぇぇ…………!!」


 満足げに巨躯を揺さぶって言彦が嗤えば、それだけで凄まじい痛みに全身を蝕まれて、赤が弱々しく許しを乞いながら身を跳ねさせる。

 保健委員長としての冷然とした姿はその姿からは何一つとして感じられない。大人びたクールさを感じさせる美貌は苦痛と羞恥で真っ赤に染まり、食いしばっている筈の歯はガチガチと音を立てて震えてしまっていた。


「安心院なじみ――――あの人外の”端末”であるならば少しは新しいかと思ったが。

 とはいえ、変わらぬのも悪くはない。女の内側の熱と潤み、処女膣を割り開く爽快な感覚は、数千年を経ても抗えぬ本能の一つであるからなぁ」


 言いながら言彦がわずかに腰を跳ねさせると、それだけで赤の口からは「うぐ……っ!」と苦悶の声が漏れ、張り詰めるほどにぱっくりと開かれた膣口に更なる鮮血が染みだす。

 子宮口を深々と抉られる感覚。激痛と苦悶がない交ぜになった感覚の中で、赤の細い身体は必死に膣に押し込まれた肉槍を受け入れようと蠢動を繰り返してしまう。


 赤青黄の体つきは、そもそもがスレンダーで華奢なものだ。

 乳房こそ平均よりは大きめに膨らんでいるが、腰つきはくびれが非常に目立つほどに細く、長い脚も”脚線美”の言葉が誂えたように似合うほどに美しい。

 そしてそんな体躯で言彦の巨根を受け入れることなど出来るわけもなく、張り裂けそうなほどに押し広げられた膣はどれだけ潤もうとも苦痛を緩和するには至らなかった。


「は、ぁ゛……ッッ!!ぅ、うぁ、ぐ、くぅぅぅ……っ!!

 何が……っ!何が目的…………っ!?こんな、欲の解消の、つもり……!?」


「げっげっげっげ、早計だな”端末”よ。

 だが折角だ。すこし”新しい”趣向を加えさせてもらおうか」


 深々と膣奥までを抉られ――――破瓜の痛みを文字通り永遠に刻み込まれ、それでも呻く赤の言葉を、言彦は早計と切り捨てる。

 そしてそのまま言彦は、苦痛の中で力なく垂らされた赤の右腕を二本の指でつまむように持ち上げて、長く伸びた爪で自らの身体を引っ掻かせた。


「っ!?な、何を――――――」


 赤青黄が安心院なじみから与えられたスキル――――”五本の病爪”。

 病や傷を与え、あるいは治すスキル。箱庭学園の生徒から死人を出さないためにと与えられた、非常に強力なスキルこそが赤青黄の真骨頂だ。


 だがそのスキルを、言彦はあえて自らに受けた。

 赤青黄の望むままに病を与えるスキル。それは現状の言彦に対してであれば、それこそ不治の死病を与えるに何ら不足はない。


「――――げ、げげ、げげげげげげ……………っ!!」


 そして赤の予測通りの形で、”五本の病爪”は発露した。

 最も苦しく、最も辛い不治の死病。自らを女として辱め、極限の苦痛を与えてきた襲撃者に対して、赤青黄は無意識にそれを与えることができた。


 だが、そんな赤の予測に間違いがあったのだとすれば。

 “不治の死病”如きでは獅子目言彦を止めることはできず、それどころかそんな病が言彦にどんな特質を与えるのかに、気づくことができなかったという一点に他ならない。


「――っぁ、あ、ぇ、う、ぁ、えっ!?

 なん、ぁ、待っ――――やめ、ぁ、だめ、だめ、だめ、だめ゛……ッッ!!」


 張り詰めた膣奥で、言彦の巨根が急激に膨らんでいく感覚に、赤は凄まじい恐怖と共に濁った悲痛な声を小さく響かせるしかない。

 陰茎そのものが勃起するのではなく、そこに流れる血管の一本一本に限界近くまで血液が満ちて、結果的にペニスが硬く太く変化していく。


 生物は死に際に、子孫を残そうとして本能的に生殖能力が増大するものだ。

 だからこそ言彦は、自らがまだ”生物”の範疇であることを利用してわざと死病を受け、疑似的な臨死状態を作り出して自らの生殖能力を増大させたのである。


「げげ、げ、げっげっげっげっげ…………!

 成程、これは新しい感覚だ。死に瀕した身体の本能的反応。儂の身体に起こるか甚だ疑問ではあったが疑問が解けたわ。礼を言うぞ”端末”よ」


 太く、硬く、グロテスクなほどにそそり立ったペニスで赤の最奥を抉りながら、言彦は小刻みに肩をゆすって低く嗤う。

 そのわずかな動作が赤にどれほどの苦痛を与えるかを理解せぬまま、それは”新しい”感覚に浸り――――その感覚をさらに長引かせんと、赤の身体をゆっくりと持ち上げ始めた。


「は、ぅぁ、やめ――――っっ!!や、いやだ、いや゛ッッ!!

 や、や、やだ、やめてやめてやめてやめてやだやだやだやだやだいやぁあぁぁっ!!」


 細い腰を掴まれて、ゆっくりと持ち上げられていく。

 そそり立ったペニス――――張り詰めた亀頭、せり出したカリ首、茎部に浮いた青黒く隆起した血管が、柔らかな膣肉を逆撫でするように擦りつける。


 この場で行われているのは、愛ある睦み合いでもなければ強姦や陵辱ですらない。

 それこそオナホールを使って自慰でもするかのように、獅子目言彦は赤青黄という見目麗しい少女を用いて、”やり残し”を解消するためにその性欲をぶつけんとする。


「ぁ、あぁぁ、だめ、い、いや!堪忍して、堪忍して下さ――――っっ!!

 あぁあ、あぁぁぁ、だめ、だめ、だめだめだめだめだめやだやだやだやだっっ!!!」


 そして亀頭部だけが膣口に埋まった状態になるまで持ち上げられて、赤は必死に懇願を口走りながら逃れようと身を揺さぶる。

 切り揃えられた赤みがかった黒髪が揺れ、長く細い足が文字通りに空を掻くようにゆらゆらと蠢いたあげくに、引っかかっていたパンプスをどこかへと飛ばした。


「げっげっげっげ、心配するな、明日はどうやら晴天であるらしいぞ?

 この状況下で明日の天気の心配とは、なんともいじらしく新しいものだなぁ”端末”よ」


「ッあ゛!!何を、何を言っ――――ぐ、ぁあ゛ぁぁあぁぁっっ!!

 あ゛ぁっ!!あ゛ッッ!!あ゛ぁぁっっ、あ、うぅぅぁああぁ――――ッッ!!!!」


 点々と床を跳ねていったパンプスを眺めながら言彦はやはり嗤い、それからさも当然であるかのように持ち上げた赤の身体を勢いよく元の場所へと引き戻す。

 亀頭部だけが埋まっていた膣内に、再び無慈悲に押し込まれる大質量。何かが裂けるような激痛と共に赤の目の奥で火花が散り、悲痛な絶叫が響き渡る。


 ほんのわずかな時間であっても、苦痛から解放されていた膣奥。

 そこに再び深々と突き刺すような肉の楔が押し付けられ、赤の内側で子宮が押し上げられて、凄まじい圧迫感が細い身体から呼気を絞り出させる。


「ぁ、が、あ゛ぁぁ…………!!

 は、ぁぐ、ぅ゛…………ッ!!ぉぁ、ぁ、やぇ、てぇ…………っ!」


 細い身体をのけ反らせ、赤は息も絶え絶えに懇願する。

 涙と鼻水に美しい顔立ちを濡らし、歯の根も合わない口で必死に震える言葉を紡いで、それでも”英雄だったもの”にはその言葉は届いてすらいない。


「げっげっげっげ、安心院なじみではないが安心せよ。

 儂の”やり残し”に決着さえつけば、貴様には最初から用などないわ」


 獅子目言彦は”やり残し”の内容を語っていない。

 だから赤はこの場で行われる強姦がいつまで続くのかもわからぬまま、惨たらしい感覚に浸らされ続けるしかない。


 丸太のようにそそり立ったペニスによって膣奥をぐりぐりと幾度か拉がれてから、またゆっくりと腰を掴んで体を持ち上げられる。

 腰を使ってのピストンではなく、赤の身体を直接動かしての抽挿。その行いは完全に自慰そのもので、故にこそ赤は純潔だけでなく尊厳までもを犯され続ける。


「――~~――ッッ!!や、や、やぁ、だっ!!やめ――――っあ゛、がぁぁっっ!!

 うぁ、ぁ、あぁぁ、痛、痛い、痛い……っ!!助け、誰か……ッッ!!誰かぁ……!!」


 持ち上げては引き戻され、持ち上げては引き戻される。

 ピストン運動と呼べるような動作すらなく、腰かけたままの言彦の身体は微動だにすらせぬまま、ただ赤はそのスレンダーな美しい肢体を使われてしまっていた。


「うぁ、ぁ、や、ぁぐっっ!!うぁあっ!ぁ゛!ぁぐっ!!か、はぁ……ッッ!!

 やめ、や、やだ、やだ、やだやだやだやだもぉやだっ!!もぉやだぁあぁぁぁっっ――!!」


 悲痛な絶叫と懇願を、肉と肉がぶつかる音が強制的に圧し潰す。

 重力を帯びた杭打機のような衝撃に子宮口をひしゃげたままの子宮をより深くまで押し込まれるようにぐりぐりと押しひしがれる。

 そうしてそんな地獄の苦痛を味わわされてから、ゆっくりとゆっくりと体を持ち上げられて、感覚を失ってしまった膣肉を肉の凶器によってゆっくりと逆撫でされ磨り潰される。


 それは病などではない、もっと単純な苦痛であり地獄だった。

 内側からじわじわと蝕んでくる苦痛ではなく、直接的に身を引き裂くような苦痛は、赤の身体だけでなく心までもを徹底的に強姦しながら蝕んでいく。


「げげ、げっげっげっげっげっげ!

 新しい、新しいな!まさか処女の締まりがこうも持続するとは新しい!!」


 ろくな前戯もなく膣奥までを穿たれたのだから、締まりが緩まらないのは当然のことだ。

 壮絶な凌辱の中で、それでも赤の身体はようやく何とか潤みだした程度で、その程度の愛液の分泌では彼女の身体に叩きつけられる負担は何一つとして軽減されない。


 そしてそんな中で、言彦は”新しい”興奮をより深くより鮮烈に味わおうとする。

 持ち上げては振り下ろす動きを速め、言彦はただ自慰をするように赤青黄の肢体を使い潰して、彼女の尊厳の端に至るまでを陵辱しつくす。


「やめ、ぁ、だめ、やめ、ぁあぁっっ!!や、や、や、やだ、やだぁぁっっ!!

 だれ、か……っ!!も、たすけ、堪忍、堪忍してくださいっっ!!や、や、や、だめだめだめだめだめこれやだっっも、いやぁぁぁっっ……!!!!」


 華奢なほどに細い身体が持ち上げられては振り下ろすように引き戻され、その度に真っ白な肌に浮かんだ汗がふわりと散る。

 パチュン、グチュン、と響き水音と肉の音が混ざった奇妙な音。高校生の年齢ではそう触れることもないだろう生々しい音は、鮮烈すぎるほど鮮烈に赤の聴覚を犯す。


「げっげっげ、まだまだ目的には程遠い。もう少し耐えよ”端末”。

 “人外に儂の子種を孕ませればどうなるか”――――いずれ安心院なじみを負かしたときに試そうと思っていたが、殺してしまってはそもそも孕みようもない故な」


 そして赤の身体を上下に痛烈に揺さぶり続けながら、獅子目言彦は”やり残し”の内容を――――赤青黄を襲撃した理由を明らかにする。

 かつては”英雄”と呼ばれていたはずの男が吐くとは思えない外道の言葉。赤青黄という女の尊厳を最初からなきものとするような言葉が、暴力的な抽挿の感覚と共に響いてくる。


「ひぇ、ぁ、うそ、うそ、冗談、冗談でしょう!?

 やめ、や、や、やだ、や、抜いてっっ!!抜い――――っぁぐッッ!!か、はぁあっ!!」


 “子種を孕ませる”という言葉は嘘ではない。

 膣内を占めるペニスの蠢動だけでも、その事実はどうしようもなくわかってしまう。


 だがどれほど大人びた美貌と強力なスキルを有していたとしても、赤青黄は未だ18にも満たない少女に過ぎない。

 性に関する知識はあれども、それを経験してきたことはなく。そんな無垢で華奢な身体を使われて、あまつさえ『孕ませる』などと宣言されては、その心が恐怖に囚われてしまうのも無理からぬことではあった。


「や、や、や、やだ、おねが、お願いしますっっ!!

 堪忍、堪忍してっっ!!堪忍してくださいっっっ!!や、やだ、いややっっ!!ぁ、あぁぁ、だめ、だめ、だめだめだめだめやだやだやだおねがい誰か!だれかぁぁっっ!!」


 冷然とした常の表情は剥ぎ取られ、赤青黄は恐怖に絶叫する。

 膣奥をひしがれる痛み。膣壁を磨り潰される痛み。身を内側から引き裂かれるような苦痛が霞むほどに、その恐怖は甚大だった。


 必死に細い足を藻掻かせ、いやいやと首を振っては黒髪をなびかせる。

 生々しいほどの汗のにおいが保健室特有の消毒液の匂いをかき消していて、けれど残酷なことにその部屋を訪れる者は誰もいない。


「げっげっげ!そう喚かずともよいだろうに。

 心配せずとももうすぐに終わる。既に我が子種はすぐそこまでこみあげてきているとも」


 そしてそのまま残酷に、言彦は自慰のような抽挿を止めて、赤の最奥へと押し付けるように張り詰めた亀頭で子宮口を圧し拉いだ。

 壮絶な圧迫感に赤の細い身体がのけ反り、その口からは声にすらなれなかった呼気が搾り取るように零れ、目は潤んで白い肌が高熱に浮かされるように赤く染まる。


「い、いや……っ!!いや、だ……っ!やだ、やだ、やだぁぁ…………っ!!

 ぁ、ぁ、あぁぁだめっ……!だめ、だめ、だめだめだめやだやだやだ抜い――――っっ!!」


 そしてそんな状態でなお、赤は掠れ震える声音で抵抗を口にしてしまう。

 壊れ切って発狂することも出来ずに、赤青黄は”英雄だったもの”にその尊厳を辱められ――――そしてそのまま、最悪の穢れが彼女の最奥を押し上げた。


「っぎ――――ッッぁ、あ、ぁ、あぁぁ、いや、いや、いや゛ッッ!!!!

 ぁ、あぁぁだめ、止まっ――――!!!ぁ、あぁぁ、だめだめだめだめやだやだやだやだっっっ!!あぁぁあぁぁぁいやっっ!!いやぁああぁぁぁあぁぁっっ!!!!」


 太く硬く熱く滾ったペニスが、膣奥を叩くようにビクリと跳ねた。

 そして続けざまにその先端から放たれた、あまりにも濃くあまりにも熱い溶岩のような穢熱が、赤青黄と言う少女の内側を埋め尽くす。


 突き上げられて歪に形を変えられた子宮内へと直接精液が流し込まれ、当然のように収まりきらなくなったそれはぽっかりと開き切った膣口から零れ落ちる。

 言彦の”不可逆の破壊”によって、穿たれた膣も拉がれた子宮もその形は戻ることはない。赤はただ目を剥いて放心しながら、怪物のような量の射精を受け止める以外にない。


「ぁ…………!ぅ、うぁ、あぁぁうぅぅぅ…………!」


 放心しながら譫言のように呻き、力なくその身を痙攣させる赤。

 その最奥に滾々と、膣口からすでに精液を零れさせているにもかかわらず、言彦は湧きだす精液を最後の一滴に至るまで絞り尽くす。


 もはや赤青黄が獅子目言彦の子を孕む事は、確定的な事象でしかなかった。

 安心院なじみは人外であったが、その端末である赤青黄は人間だ。大量の精液に子宮どころか膣内までもを満たされては、彼女の宿す卵が逃れられる場所などどこにもない。


 射精をしながら、”英雄だったもの”は低く愉快そうに笑っていた。

 なんとなく抱いた疑問の答えを見つけるために――――射精を終えた言彦は、そのまま赤の身柄を抱えてどこかへと去り、こうして赤青黄は箱庭学園から姿を消した。


 後に、鰐塚処理や財部依真ら候補生の五人や啝ノ浦さなぎ、あるいは箱庭学園外ではあるが焼石櫛のような”安心院なじみの端末”であった者達が不可解な失踪を遂げ始める。

 だがそれは表沙汰になることはなく――――なったとしても解決することなど出来ず、ただただこの世の闇として忘れ去られていくだけだった。


≪了≫


お読みいただきありがとうございました!


次回は3月17日更新予定。

内容はまだ未定なので、随時ファンボのトップページなんかを確認いただけると嬉しいです!


それでは次回もよろしくお願い致します!

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