禍淫の湿りは潔華を枯らす(桐藤ナギサ) (Pixiv Fanbox)
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『では、桐藤ナギサ。貴女に主の赦しがあらん事を』
トリニティ総合学園に存在する大聖堂。その地下に存在する一室。
窓もない石造りの小さな部屋に、旧いスピーカーからノイズ混じりに響いてきたどこか冷酷な調子の声によって、桐藤ナギサは全てを悟った。
トリニティ総合学園はもう、自分を完全に見限ったのだという事。
スピーカーから聞こえてくるのが歌住サクラコの真摯な声ではないという事実だけでも、聡明なナギサが残酷な現実を悟るには十分すぎる。
「…………はい、主の憐れみに感謝致します。
我が身が重ねし罪の穢れが、主の憐れみに清められん事を」
だがそれでも、桐藤ナギサは凛とした態度を崩さない。
ナギサの言葉を聞き届け、スピーカーが”ブツリ”と沈黙すると、地下室にはどこかかび臭い湿ったにおいと、ナギサの息遣いや衣擦れの僅かな音だけが残される。
石造りの小部屋の中にいるのはナギサ一人。室内に存在するのは沈黙した古いスピーカーと、木組みがむき出しになった粗末な丸椅子が一つだけだ。
唯一の出入り口である鉄製の扉は重く閉ざされ、ナギサの細腕ではどれだけ叩いても揺らがす事など出来はしないだろう。
“ティーパーティー”というトリニティ総合学園のトップらしい華やかさはどこにもなく、粗末な地下の小部屋に押し込められている状況。
だがそれでもナギサは、常通りの凛とした態度を崩すこともなく、ただただ自らの果たすべき責任—―――与えられる”受難”の時を平静なままで待ち続ける。
「………………これが、私がトリニティで最後に果たすべき責任でしょう」
百合園セイアの死と、それに伴う聖園ミカの収監。
トリニティ総合学園の長である者たちに相次いだ大事は、当然ながらただ一人残ったナギサにも”責任問題”として重く圧し掛かる事となった。
“補習授業部”の創設に伴い、結果的に善良な一般生徒に謂れのない濡れ衣を着せ、あくまで結果論としてではあるが退学にまで追いやってしまった事。
聖園ミカの幼馴染でありながら、彼女の変心に気づくことが出来なかった事。それだけでなくティーパーティーとしての権限の濫用や、正義実現委員会の私的利用の証拠。
それらは全て桐藤ナギサのティーパーティーとしての資質を問い直すには十分すぎて、そしてそうであるからこそ、彼女はシスターフッドからの喚問に頷いた。
ティーパーティーとして再び君臨するつもりはなく、むしろナギサはこの喚問を終え次第、トリニティ総合学園を去ろうと考えている。
そもそも各分派の長による三頭政治は既に見切りをつけるべき頃合ではあったし、新たな体勢が生まれるまでの繋ぎの期間も、蒼森ミネ、歌住サクラコ、剣先ツルギ辺りが在籍中の現状であれば任せるには問題ない筈だ。
「…………!」
と、そこで小部屋の内側に、うすぼんやりと甘い匂いが立ち込め始める。
粗末な椅子に座って祈るように両手を組むナギサ。拘束などはされておらずとも、抵抗をせずに受難を受け入れるその姿は、盟主としての気高さを感じさせるものだ。
だが、桐藤ナギサは知らなかった。
そもそもこの喚問自体が、シスターフッドという組織の総意ではない――――シスターフッド内の一部の過激派が、歌住サクラコに伝えずに起こした独断行動であるという事。
そしてそんな一部の過激派たちが、どのような思惑でナギサを喚問し大聖堂の地下室へ留置したのかという事。
そんな裏で蠢く悪意を知らず、桐藤ナギサは責任を果たすために祈り続ける。
その祈りの先に”救い”も”赦し”も存在していないことを知らぬまま、彼女はただひたすら真摯に祈りを捧げ続けるだけだった。
◆
密閉された小部屋に甘ったるい匂いが満ちてから、既に三十分ほど。
「………………っ…………!」
祈るように両手を組んだまま、それでもナギサは額から流れ落ちてくる汗の不快さに、美しい顔立ちを歪めて僅かに息遣いを上気させた。
長く美しい髪は浮かぶ汗によって額や頬に貼りつき、白く美しい肌は汗ばみながら紅潮し、眉間には僅かながらに皺が寄っている。
かっちりとした制服は汗を吸って肌に貼りつき、言いようもない不快をナギサに感じさせながら、じわじわと華奢な身体を受難に浸していく。
だが室内の気温そのものは、肌寒さを感じる程度のまま変わっていない。
だがそれでもナギサの身体は、冷房のない真夏の部屋に放置されたように汗ばみ、涼やかな美貌を熱気の不快に揺らがせるまでに至ってしまっていた。
「っ、く……………!ふ、ぅぅ…………っ!」
小部屋に満ちている甘い匂いの正体は、シスターフッドの中でも”汚れ仕事”を担う者が尋問や拷問に用いる媚薬ガスだ。
キヴォトスにおける生徒—―――”一般人”とは異なる彼女たちにすら効果を発揮する強い神秘に裏打ちされたそれは、じわじわとナギサの華奢な身体を内側から冒していく。
汗ばむ体に纏わりつく、汗を吸って重くなったブラウスやタイツの布地。
たまらない不快感に思考が茫洋と解けていき、祈るように組んだままの両手指がガクガクと震え、口から零れる息遣いが奇妙に艶めかしく聞こえ出す。
「っ……!は、ぁ、ぅ………っ!ふ、ぅぅ…………っ!」
頬を撫でる汗の雫は、細い顎の稜線を撫でて垂れ落ちてスカートの布地へ落ちていく。
そしてとうとう不快感に耐えかねて、ナギサは祈るように組んだ両手を解き、懐から取り出したハンカチで額の汗を拭った。
(これは…………想像以上に、厳しい受難、ですね…………!)
だがどれだけ拭っても、汗は間断なく零れるように湧き続ける。
そしてそうであれば、ナギサはカッチリとした印象の純白のブレザーコートと、細く華奢な脚を包む黒いタイツを脱いで、少しでも身を苛む熱感を緩和しようと試みるしかない。
「っ……!は、ぁ、暑い…………!」
ブレザーコートを脱ぎ、はしたないと思いながらも黒いタイツをゆっくりと脚から抜いて、ナギサは茫洋とした頭でとにかくそれらを畳んで小部屋の隅へ置いた。
纏っているのは汗ばんで透けた薄手のブラウスと、貞淑な印象を与えるすらりとした純白のスカート。常よりも幾分か軽装になったナギサではあったが、それでも身を襲う熱感はまるで緩和されない。
「ふ、ぅ……っ!ふー、ぁ、はぁ…………っ!は、ぁ、ぅ…………!」
ゆっくりと、じわじわと、媚薬が華奢な身体に染みていく。
思考がぼんやりと薄らぎ、正気が段々と揺らいでいく。当代のティーパーティーの中でも随一だった筈の聡明さが、ゆっくりと蕩かされていく。
粗末な椅子に座り直して祈りに戻ろうとしても、身体の奥底からこみ上げてくる奇妙な焦燥感と掻痒感が、一所に身をとどまらせることを許さない。
だからこそナギサは結果的に、どこか落ち着かないように小部屋の中をあてどもなく歩き回り、荒くなっていく呼吸をじわじわと早められていくしかなくなってしまっていた。
「はー、はー、はー……………っ、く、ふ、ぅぅぅ…………!
これ、暑、い…………っ!なん、で……?こんな、こんなに、暑く……………!?」
じっとりと汗ばんだ肌に、ブラウスの布地がへばりつく。
身体の奥底から湧いてくる熱と汗。既に下着はぐっしょりと濡れていて、ナギサはこの場で全てを脱ぎ捨ててしまいたいという、そんな衝動に段々と駆られだしてしまう。
「ふぁ、く、ぅぅぅ…………!!は、ぁ……っ!あ、つ、ぃぃ…………!」
石壁に手をついて、既に水分を搾り出せそうなほどになってしまったハンカチで必死に首元を拭いながら、ナギサは譫言のようにつぶやく。
思考が上手く回らず、靄がかったように理性の動きが食い止められ、代わりのように浅ましい本能が身の内で暴れ回っているのだけがはっきりと分かってしまう。
全てを脱ぎ捨てて裸になってしまいたいという、トリニティの盟主として思い浮かべる事すら憚られるような衝動。ナギサはまだその甘い衝動には抗えた。
だが一度そんな甘言めいた衝動を意識してしまえば、この状況でそれを思考から完璧に追い出すことなど意思ある生物には不可能だ。
(一つだけ………一つ、ボタンを、外すだけ…………!)
言い訳のように、甘言めいた言葉が思考を埋め尽くす。
もつれる指先で、ナギサは首元まで行儀よく留められたブラウスのボタンを外し、ひやりとした外気で汗ばんだ素肌を冷やそうとする――――冷やそうとしてしまう。
首元まで留められたボタンが一つ外されると、素肌に冷えた外気が染みる。
けれどボタンを外してから僅か数秒で、流れ込んでくる外気は身を蒸す熱感に取って代わられ、むしろより鮮明に現状の熱をナギサに意識させるだけになってしまった。
耐えられない、耐えられない――――一度半端に目的を果たしてしまったからこそ、引き戻された蒸される現状がナギサを苛んでいく。
そしてほんの一瞬であっても素肌に触れた冷えた外気の心地よさを知ってしまった時点で、ナギサに出来る事はもう言い訳をしながら堕ちていく事だけだった。
「ほんの、少しだけ…………!暑い、だけ……!それだけ、です…………っ、ぅぅ!」
一つ、また一つと、掠れた言い訳と共にブラウスのボタンが外されていく。
はだけられていく薄い布地。その下から覗く白い肌と、ペールピンクの上品なブラジャー。そうしてとうとう、はだけられたブラウスが意味を失って脱ぎ払われていく。
「はー、はー、は、ぁ、ふぅぅ…………!!
うぁ、ぁ、く、ぅぅぅ…………っ!!ふぅぅ、ふ、ぅ、くぅぅ…………!」
脱衣所でも自室でもない場所で、自ら素肌を晒してしまうという”はしたなさ”。
熱感に蕩かされてなお残る貞淑さは、ナギサに自らの行動の浅ましさを突き付け、彼女の精神をより一層惨い方向へ追い込んでしまう。
本能に従うとするならば、ナギサはもう身に布を纏っている事すら耐えられない。
汗ばんだ熱気を籠らせるスカートも、汗を吸って肌に貼りつくブラジャーとショーツも、全てを脱ぎ去って裸身になってしまいたいと、本能がそう叫んでいる。
「だめ、です……っ!そ、んなこと、していいわけ、ない…………ッ!」
だがそれでも、桐藤ナギサはトリニティの誇り高き盟主だった。
貞淑に、貞節に、誇り高き者が集う信仰者の学園。その盟主の一角を担った者としての矜持は、ナギサを陥落の寸前で留まらせる――――あるいは、留まらせてしまう。
「っ……ぁ、は、ぅ…………っ!!
ふ、ぅぅぅ、ん、くぅ……っ!!主よ……!主、よぉ…………っ!」
上擦る声、震える身体、焦燥と衝動に歪む表情。
現実から目を背けるように壁に向かって祈りを捧げても、身体の奥底からこみ上げてくる熱感はただただ残酷に激しさを増していくばかりだ。
祈りのために両手を組んでも、汗ばむ手のひらが熱を意識させてしまう。
目を閉じれば艶めかしく上擦った吐息の音が聞こえ、歩き回ればスカートの内側で滞留する熱気が意識され、じっとしていても滴る汗が意識されてしまう。
「は、ぁ……っ!ふ、ふぅぅ、ふ、ぅぅぅ…………!!」
哀れましく表情を歪め、桐藤ナギサは救いを求めて祈り続ける。
けれど祈りはどこまでも虚しく虚空に溶け、ナギサに与えられるのはどこまでも残酷な現実—―――満ち満ちた媚薬が華奢な身体に染み入ったことを示す”反応”だけだ。
「――――っ、ひぅ…………っ!!」
“何か”がナギサの身体をびくりと跳ねさせ、怯えるような声を漏らさせる。
これまで全身を苛んできた”熱”とはまた違う、身体の奥底から沸々と湧き出てくる感覚の正体を、聡明なナギサは知識としてすぐさま理解する事が出来てしまった。
「っ、ぁ、や、だめ、だめ、だめ…………っ!
だめです、それは…………っ!それ、だけは…………っぅうぅぅ……!」
ぎゅっと目を瞑り、意識的に強く両手を組んで祈りを捧げる。
一心不乱に祈りに没頭する――――そうする事で、現実となってしまったどうしようもない浅ましさから目を背けるように、ナギサは与えられる受難に悶え続ける。
汗を吸ってピッタリと肌に貼りついた上品な下着が、それこそ拘束具であるかのような煩わしさを感じさせて仕方がない。
熱気に蒸されたスカートの下で、ショーツが華奢なクレバスへと貼りつき、そうして貼りついた部分に汗ではない形でじわじわと染みが広がっていくのが分かってしまう。
「ぁ、あぁぁ、だめ……っ、だめです……!なんで…………っ!」
熱感を覆い潰すように広がっていく、少女にとってどこまでも残酷な性感は、もう意識の外に追い出すことなど不可能だった。
見てみぬふりをしたくても、そのまま”感覚”だけに恐怖を煽られる事が耐えられなくて、ナギサはとうとうスカートを脱ぎ払って華奢な下着姿を晒してしまう。
上下揃いのペールピンクの、上品にレースがあしらわれた下着。
少女らしい可憐さと大人びた美しさを両立させたそれらは、けれど浮かび上がる汗によってしっとりときめ細やかな肌に吸い付いてナギサの羞恥を煽ってしまう。
「は、ぁ、ぅぅぅ…………っ!!く、ぁ、や……っ!
だめ、これ以上は、これ以上はダメなの、にぃ…………っ!」
だが羞恥も屈辱も怯えも、媚薬の効能を食い止める障壁にはなり得ない。
じわじわと、じっとりと、染み出す汗が白肌を垂れていく感覚すらもが段々と鋭敏化し、ナギサの身体は浅ましい”女”として目覚めさせられていってしまう。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………っ!!
ぅぅううぅぅくぅぅぅ…………っ!や、や、や、や、ぁ、う、ぁあ……っ!」
息が荒くなり、身体が熱くなり、秘部がじわじわと潤んでいく。
どうしようもない衝動が高まって高まって、必死に祈りに逃げ込もうとしても、ノイズのように全身の疼きが意識させられて仕方がなくなってしまう。
そしてとうとう祈るために組み合わせた両手が解け、両手の指が堪えきれなくなったように、ゆっくりと秘部や胸先へ延ばされようとした。
ナギサの中に残った理性が、『それは許してはならない行為だ』と必死にそれらを食い止めるけれど、そうした理性の警鐘はいつまでも維持できるものではない。
「っぁ、や、だめ、だめです…………っ!!
ぁあ、あぁぁぁぁ、だめ、だめ、どう、してぇ…………っ!」
理性で必死に抗っても、既にナギサの身体はこみ上げる淫感に屈していた。
理性では抑えきれなくなった震える指がまずはブラジャーのフロントホックに延ばされ、支えを失った華奢な布地がはらりと儚くはだけられる。
年齢に比して――――それこそ幼馴染である聖園ミカと比べればサイズという観点で明らかに劣っている、膨らみの緩やかな乳房。
けれどそれはその分だけナギサの無垢さと貞淑さを強調し、中心部に屹立する小さな乳首の無垢な薄桃色も相まって、桐藤ナギサという少女の生真面目さを物語るようだ。
「ぁ…………っ!ふ、ぁ、くぅぅっ!!
ぁ、や、ひぅっ!だ、だめっ!ぁ、あぁぁ、だめ、だめ、なのにぃ……っぁ、ぅ!!」
だがそんな生真面目で貞淑な印象は、彼女自身の行動によって裏切られてしまう。
震える細く長い指が、緩やかな乳房の中心でそそり立つ小さな乳首を摘まんで扱き上げ、ナギサは痺れるような性感に抗おうとしながらも腰砕けになって地面に蹲ってしまった。
罪人に対しての拘束がなかった事――――それは断じて”慈悲”などではない。
媚薬で満たした部屋の中で、自ら信仰を穢す行為に耽らせる。悪辣ですらあるその意図にナギサはようやく気付いて、けれどこの状況にあってはもう全ては遅すぎた。
「っ、ぁ、ひっ――――く、ぅううぅうぅぅっ!!
んぁ、や、や、や、だめ……っ!やめなければ、やめ――っ、ふぁ、あぁんっ!」
叫ぶ理性はもう、僅かに残った正気を繋ぎ止めるか細い鋲にしかなっていなかった。
身体はもう本能に屈服していて、小さな乳首は蠢く指先によって嬲られるように刺激され、その度に蹲ったナギサの身体はビクビクと淫らに跳ねるだけになってしまっている。
知識としては知っていて、けれど実行に移したことはなかった”自慰”。
興味がなかったわけではないけれど、それでも”トリニティの盟主”として相応しくないと律してきたその行為を、本能に浸されたナギサの身体はいとも容易く行ってしまっていた。
「ぁ……っ!や、や、だめ、だめ、止まっ、て…………ッッ!!」
小さな乳首を細い指が摘まみ上げ、すりすりと撫で上げて快楽に浸していく。
敏感にそそり立った小さな薄桃色の肉蕾は、それこそ可憐であるが故に行為そのものの淫らさを際立たせ、これまで無垢であったが故の鋭敏さでナギサ自身を責め苛む。
土下座のようにかび臭い床に蹲り、ビクビクと身体を跳ねさせながら果てる。
ショーツには隠しようもない淫らな染みが広がり、クレバスの形がはっきりと浮かんでいて、見えずとも感じられるその事実が一層ナギサを追い詰めた。
だがどれだけ追い込まれても、もうナギサは自分の本能を止められない。
蹲った体勢のまま、腰を持ち上げてゆっくりと、桐藤ナギサは浅ましい売女か娼婦であるかのように、濡れそぼったショーツをとうとう脱ぎ捨ててしまう。
「っあ、や、や、だめ……っ!ぁあぁぁ、だめ、だ、だめ……っ!!
そんな、ぁ、私…………っっ!!く、ぅうぅ、ぁ、あ、や、だめ、だめなのにぃ……っ!」
クロッチと秘部の間に愛液が糸を引き、足首に濡れそぼった薄布が引っかかる。
薄暗い地下室にとうとう曝け出された全裸。凹凸にこそ富んではいないが、それでもその身体は”貧相”ではなく”スレンダー”と形容するに相応しい、美しくも官能的なものだ。
緩やかながらに形よく膨らんだ乳房。清流の静かな流れを彷彿とさせる流麗なボディライン。ほっそりとくびれた腰付き。すらりと伸びた長く細い脚。
絹のように艶やかな亜麻色の髪や、大人びた落ち着きを宿す整った顔立ちは、それこそ用い方によっては”男を狂わす魔性”となる事だって難しくはなかっただろう。
「ぁ、あぁぁ……!うそ、うそ、うそ、待って、違—―――ッッ!!
や、や、やだ、ぁ、だめ、だめ、だめなのに……っ、ふぁ、ぁ、や、ぁ、あぁんっ!」
だがナギサは、そんな美貌や肢体を徹底的に快楽に貶められてしまった。
身の内側からこみ上げてくる本能が暴れ回るまま、ナギサは右手指で華奢な乳首を爪弾き、左手指を既に濡れそぼったクレバスの内側にゆっくりと埋めていく。
「――――~~~~~~っっっぁあぁあ…………!!」
いままで何者にも触れられる事のなかった、クレバスの内側の柔らかな媚肉。
それをゆっくりとナギサ自身の指が割り開いていくと、ナギサの口からは怯えと恍惚と絶望が混ぜ合わされた、淫らに上擦った呻きが零れ落ちた。
それと同時にビクビクと跳ねる細い身体と、膣口から散っていく愛液の雫。
かび臭い床に押し付けられた表情は完全に蕩け切っていて、か細く流れ残った理性はもう、桐藤ナギサをいっそうの惨めさに包み込んでしまうだけだ。
「っぎ、はぅ……っ!は、ぁ、はぁぁ……っ!
ぅ、や、ぁう……っ!っ、ひ、や、だめ……っ!ぁ、あ、ぁ、あんっ、あぁぁっ!」
だがナギサの内側で目覚めさせられた”女”の本能は、あくまでも容赦なく少女の純真と盟主としての責任を押し流さんとしてしまう。
膣内に押し込まれた指。細く長いそれがナギサの意思とは無関係に蠢き出すと、”くちゅ”、”ぐちゅ”という粘つく水音と共に、ナギサの内側で性感が炸裂する。
「ふぁ、や、や、や、ぁ、く、ぅぅぅっっ!!
ぁ、や、やめ、ぁ、とめ、や、だめ、だめぇっっ!ぁ、あ、ぁ、あぁっ!んぁうぅぅっ!!」
くちゅ、こちゅ、ぐちゅ、くちゅちゅ、ちゅぷ、くち。
決して暴力的ではない、けれどそれ故に快楽だけを染み出させる”自慰”の性感は、この状況で初めて味わうにはあまりにも残酷すぎた。
柔らかく潤み蕩けた膣肉が、細く長い指で掻き分けられる感覚。
か細く流れ残った理性を置き去りにするそれに、ナギサはとうとうあられもない声を上げながら果てて、それでも蠢く指を止められない。
「っあ、や!や、ぁ、ぁうッッ!!は、ぁ、やめ――――っっ、ぁ、あぁぁっ!
なに、ぁ、これ……っ!だめ、だめ、です……っ!こんな、だめ、だめ、ダメ……ッ!」
沸々と込み上げてくる、淑女として受け入れてはならない感覚。
“女”として当然の感覚を、それでもナギサは受け入れる事が出来ず、汗にまみれてどこまでも堕ち果てた中で必死に抗おうとしてしまう。
「――~~~~ぅぅぅぅ……!!や、ぁ、や、や、や、や、や゛ッッ!!
ぁあぁ、ぁ、や、だめだめだめだめだめ……っっ!!ぁ、あぁぁ――~~――っっ……!!」
だがか細い理性でどれだけ抗おうと、それはもう蠢き続ける指すら止められない。
膣内で蠢く指を膣肉がきゅうきゅうと締め付け、細く華奢な身体全体が汗ばみながらビクビクと跳ねて――――そしてナギサの心臓が、ドクリと一度大きく跳ねる。
目の奥で散る火花。一瞬止まる呼吸。ふわりと浮かび上がるような感覚。
そしてそのまま、それこそ幼い頃に幼馴染と乗ったジェットコースターのように、ナギサのみの内で膨れ上がった”感覚”が、一挙に身の内で炸裂した。
「――――っっ!!ぅ、ぁ、や、やめ…………っっ!!!
ぁ、あぁあぁあぁいやっ、いや、です……っ!ぁ、あぁぁぁやだやだやだやだ……っっっっっぁあああぁあぁぁあぁぁああぁぁっっっ!!」
小部屋の内側を反響する、悲鳴のような絶叫。
それと同時に指を咥えこんだ膣口が大きく収縮し、ビクビクと打ち震えながら浅ましく愛液と潮の飛沫を噴出する。
荒くなる息と、それに伴ってより大量に吸入されてしまう媚薬。
果ててもなお収まらない性感は、滾々と小部屋の内側に流し込まれる媚毒によって支えられて、ナギサはただ息をするだけでその身を淫感に蝕まれる以外にない。
「んぁ、や、ぁ、ぅうぅぅぅ、どう、して…………っっ!!
ぁ、あぁぁ、も、いや、だめ、だめなのに……っ!こ、んな、事ぉ………っ!!」
あまりにも無慈悲に、桐藤ナギサは小部屋の内側で貶められていく。
“誇り高きトリニティの盟主”から、”浅ましく性感を貪る売女”へと。喚問という名の歪な拷問の内側で、生真面目で貞淑な少女はその全てを壊されていく。
潮を噴き、どうにもならない現実に怯え、嘆き、許しを乞うて。
それでも誰からも声を掛けられることなく、桐藤ナギサは湿った性感の内側で果て続け、その純真と貞淑と――――正気に至るまでの全てを徹底的に貶められた。
死した百合園セイア。収監された聖園ミカ。受難の末に発狂した桐藤ナギサ。
トリニティの盟主であったはずの三人の少女たちは、こうしてそれぞれに誇りと信念の全てを奪われ、光の当たる場所から姿を消した。
獄を脱した聖園ミカの手によって、トリニティ総合学園がキヴォトスからその名前を消失させられるに至る、およそ一ヵ月前に起こった悲劇だ。
聖園ミカが真っ先に狙ったのがトリニティ総合学園の大聖堂—―――即ちシスターフッドの本拠地であったというが、その理由を聖園ミカが語る事は終ぞなかったという。
≪了≫
お読みいただきありがとうございました!
次回は3月3日に投稿予定。
内容はまだ未定ですが、『原神』よりファルザン先輩ちゃんの陵辱ものを構想中。できればひな祭りのネタも含めたいですが、どうなるかはわかりません。
それでは次回も楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!