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 何が間違えていたのかと考えた時、その原因は明白だった。

 戦禍の中で兄を喪い、復讐のために剣を捨てて槍を――――兄の遺骸が握ったままだったレギンレイヴを手にして戦いに臨んだこと。

 “兄の命を奪った魔王への復讐”を大義として、自分自身の信念や誇りを捨てた事こそが、どうしようもない程に致命的な間違いだったと、エイリークはすぐさま悟る。


「ハハ、ハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハ!!

 無様だなぁエイリーク!臣下も、仲間も護れず、今まさに朽ちようとする王女!」


 けれど、エイリークはこの状況に至るまでその事実に気づけなかった。

 間違いなどないと自分自身を納得させ、生来の優しさや慈悲深さを捨てて敵を切り捨ててきたエイリークは、事ここに至るまでそんな明白な間違いを自覚していなかった。


 そして現状、そんな間違いを突き付けるように、魔王フォデスは哄笑を響かせながら眼下に留め置かれたエイリークを嘲る。

 召喚したビグルにエイリークの華奢な身体を縛めさせ、自らの面前に虜囚の辱めを晒すことを強要するそれは、まさに”悪鬼”と呼ぶに相応しい。


「……殺して、やる……!兄上を、リオンを……!皆を返して!!」


 だがそれでも気丈な態度を崩さずに、ギシギシと触手の拘束を軋ませながらエイリークは魔王の巨躯を精一杯に睨む。

 龍どころか魔物と呼ぶにも禍々しい姿のそれは、邪悪な顔を喜色に歪めながらエイリークの怒りを受け止め、無力な少女の有様を視線だけで嘲罵していく。


 そしてエイリークがどれだけ睨んだところで、ビグルの触手はエイリークの身体にきつく巻き付いたまま緩むことすらない。

 巨大な眼球に触手をはやした不気味な魔物は、それこそ恭しく生贄を捧げるように、エイリークの身体を魔王に向かって差し出していた。


 エフラムの鎧を打ち直して作った甲冑はひび割れてボロボロになり、機動性を重視した短いスカートは完全に捲れ上がって内側の白布を曝け出す。

 両腕は頭の後ろに一纏めにされ、両脚も”M字”を描くように左右に大きく割り開かれて、その体勢だけでもエイリークの羞恥と屈辱を煽る。


 エフラムの命を奪い、リオンの身と心を弄び、仲間たちの悉くを蹂躙した最悪の存在に、女としての自分自身をさらけ出さねばならない屈辱。

 それを殊更に嘲るような哄笑を響かせながら、魔王はエイリークの前に”幻影”を生じさせ、彼女の精神を弄ぶように嬲っていく。


「ハハハハ!死骸でよければ返してやるとも。

 それともリオンめが望んだのと同じように、形骸だけでも蘇らせてやろうか?」


 エイリークの視界に生じたエフラムとリオン――――最愛の兄と幼馴染の幻影。

 もう二度と会えない筈の姿がエイリークの面前に立ち尽くし、茫洋と身体を揺らしつつ、何かを言いたげに乾ききった唇を戦慄かせる。


「エイリーク」

「エイリーク」


「あ、に、うえ…………リオン…………!」


 言いたいことはたくさんあった。

 守れなくてごめんなさい。気付いてあげられなくてごめんなさい。弱くてごめんなさいと、謝りたいことはたくさんあった。


 それが幻影だという事は、エイリークにも分かっている。

 だがそれでも、その幻影はエイリークの心を捉え、その内側から本心を溢れさせようとして――――


「エイリーク」

「エイリーク」


「エイリークエイリ」

「リ―クエイリーーークエイリイク」


「エイリークエイリークエイリークエイリークエイリークエイリーク」

「イリークエイリクエイリークイリークエイリククエイリークエエエイイイリク」


「エイリークエイリークエ「イリーク」エイリー「ク」エイリ「ークエイリー「クエイリ」ー」クエイ「リー」クエイリー「クエイリークエイリーク」「エイリークエイ」リークエイリーク「エイリークエイリークエイリークエイ「リークエイリークエ」イリークエイリーク」


 虚ろな声音が、呪詛のようにエイリークの鼓膜を揺さぶった。

 会話が成り立つ余地もなく、表情に生気が宿る事もなく。ただただ虚しく空気を揺さぶるだけの音韻が、繰り返し繰り返し響かされ続ける。


 オルソンが執心していた妻の亡骸と同じ、遺骸を弄ぶ外法の魔術。

 壊れたように同じ言葉だけを繰り返す兄と幼馴染の姿は、エイリークの心に絶望を刻み込み、戦慄く唇から「あ」「あ」と絶望の滲む呻きを零させた。


「――――ハハ、ハハハハ、ハハハハハハハ!!

 愉快!実に愉快だなぁ、王女エイリーク!その顔だ!その絶望の顔が見たかった」


 見開かれた目に浮かんでいく涙と、それでも睨もうとする愚かな気丈さ。

 それを心底から愉快そうに嘲笑いつつ、魔王はビグルにエイリークの身柄をより強く縛めさせながら、邪悪な目にゆっくりと魔力を込める。


「――――っっ!」


 何も成せずに死ぬのだと、エイリークはそう直感して強く目を瞑る。

 兄の仇も討てず、幼馴染の仇も取れず、臣下や仲間たちの無念を晴らすことも出来ずに死ぬのだと、彼女は失意と絶望の中で理解する。

 響く生気のない兄と幼馴染の声。自らの名すらも絶望の道具にされるのだと、エイリークは悔恨と苦悶に表情を歪ませる。


 だがそれでも、そこには僅かな安堵があってしまった。

 兄の下に、幼馴染の下に、父の、臣下の、仲間の、友の下に逝けるのだと。そんな諦観が故の安堵が、ほんの僅かながらにエイリークの表情に滲んでしまう。


「…………え……!?」


 そんな失意と絶望――――何より僅かな安堵は、より残酷な形で裏切られてしまった。

 魔王の邪眼に込められた”石化”の魔力。それはエイリークの纏う甲冑や衣服のみを一瞬で風化させ、塵になるまで崩してしまう。


 ボロボロになった甲冑。その下に纏っていた薄手のブラウス。短いスカート。上下揃いの純白の下着までもが、一瞬で風化して粉々に崩れ落ちる。

 それどころか決意の証としてポニーテールに纏めていた若草色の髪が、ヘアゴムまでもが風化したことではらりと解けて、彼女の印象をいっそう少女然と彩った。


「ぇ、や、な、何をっ!?こんな――――こ、殺せばよいでしょう!?」


 大股開きの状態で、文字通りの一瞬で晒されてしまった全裸。

 大きくはないが形の良い胸や、スカートの裾から覗いていた白い美脚が邪な意図を孕んだ目の下に晒され、エイリークの身じろぎが更に激しさを増す。


 復讐に駆られようとも、エイリークが少女である事には変わりがない。

 他人の前に裸を晒す――――それも復讐の相手の面前に裸身を晒す屈辱と羞恥は、土に汚れてなお可憐な顔立ちを染め上げる。


「確かにその通りだが、功を為した臣には褒美を取らせねばならんだろう。

 我が復活のためにその身を捧げた功臣――――リオンめの望みを叶えてやるには、貴様をここで殺すわけにはいかぬのだ」


 そして何より、リオンの望み――――彼を乗っ取った魔王が語っていた、あの優しい幼馴染が秘め続けていた情念が、この場においてはどのような意味を持つのか。

 それが理解できないほどエイリークは愚かではなく、そして愚かであったとしても、眼前の光景は明らかに全てを物語っていた。


「ひ……っ!い、嫌っ!

 ぁ、あぁぁ、やめ、放してっ!放してぇっ!!」


 明らかな人外である魔王の巨躯が、ゆっくりとエイリークに近づいていく。

 そしてその股間部にメキメキと音を立てながら形成されていく、天を衝くようにそそり立った、それこそ石柱と見紛うような禍々しい男性器。

 エイリークは顔を青ざめさせながら必死に身を捩り、だがどれだけ身を捩ってもビグルの触手による拘束はあまりに強固のままで解ける事はない。


 ギシギシと触手が軋み、けれどそれは無意味な抵抗を喧伝するばかり。

 そしてそのまま、魔王の巨躯がエイリークへと圧し掛かり、強制的に少女の身じろぎを重圧と膂力だけで封じ込めてしまう。


「ハハハハ!佳いぞ!嘆け、喚け、泣き叫べ!

 嗚呼リオン、愚かな王子よ。お前が求めた女を、お前の血肉で味わってやろう!」


 押し潰すように体重を掛けられ、エイリークを拘束していたビグルたちが押し潰される。

 “ブぢ”とでも形容すべき奇怪な音と共にエイリークの背中が魔物の体液で汚され、けれどエイリークはそんな不快感を思考の端に上らせることも出来ない。


 ピッタリと閉じられた無毛の秘部に、グロテスクな男性器が押し付けられる感覚。

 エイリークの華奢な身体――――ともすればそれと寸分違わぬほどの太さを帯びたそれは、エイリークの膣になど絶対に収まるわけがないと本能で分かってしまう。


「や、や、や、だめっ!だめ、やめてっっ!!

 や、ぁ、あぁぁぁだめ、だめ、だめ――――――――っっ、ぁ、あ゛ッッ!!」


 だが”絶対に収まるわけがない”というのは、あくまでも人間の常識としての話だ。

 そもそもが魔王という不条理は、エイリークの身体を慮る事もないままに、太すぎる程に太い質量を狭い膣穴へと力任せに捻じ込んでいく。


「い゛……ッッ!!ぁ、ぁぐ、ぅうぅぅ……っっ!!

 ぁ、あぁぁ、や、やめ――――っ、ぎ、ぁがッッッあ゛ぁああぁああぁぁぁ!!!」


 ピッタリと閉じられた濡れてもいない膣穴が裂ける寸前まで圧し拡げられ、膣肉が蠢くことすら許されぬまま、愛液を滲ませながら蹂躙されていく。

 激痛と圧迫感に苛まれ、多少の愛液の分泌などまるで意味すら成し得ないまま、エイリークは肉欲すら理解しない”魔”によってその身を奥底から絡めとられてしまう。


「佳い悲鳴だ。なんとも心地よく我が耳を浸らせる。

 だがその程度では足りん。ヒトの肉欲は全身で味わってこそなのだろう?」


 そしてそのまま、いっそこれ見よがしな程に魔王は一度腰の動きを止めた。

 深々と文字通りに”突き刺さった”ペニス。膣の半ばほどまで埋まったそれの先端には、エイリークという少女の清廉を示す何よりの証が据えられている。


 “膜”とも例えられるその一点は、女にとって大きな意味を持つものだ。

 誰もが愛する人に捧げるのを夢見て、奪われる痛みは間違いなくあって、それでも多くは幸せな思い出として刻まれるだろう純潔の喪失。

 だがエイリークに与えられるそれは、あまりに残酷な悪意に満ちていた。


「い、いやっっ!!ぁ、あぁぁやめ――――っ!!!

 っあ゛ッッ!!ぎ、ぃ、ぁが、あ゛…………ッッやぇ、ぐ、ぁがッッ!!」


 無慈悲に、ただただ残酷な圧力がエイリークの純潔を引き裂く。

 あえて一度動きを止められたことで鮮明に感じられてしまう激痛。”ブヂブヂ”と頭の中で音が響いているようで、現実と錯覚の区別がまるでつかない。


「うぁ…………ッッ!!ぅ、んぐ、ぃ、ぁ、あ、ぁ、あぅ、う、ぐぅぅうぅぅ……っ!!」


 わかるのは”痛い”という事だけ。”辛い”という事だけ。

 原始的な感覚意外に何一つとして理解が及ばぬまま、エイリークの身体は残酷にして無慈悲な”魔”の肉槍に貫かれ、その最奥までを徹底的に暴き立てられてしまう。


「フハハハ、ハハハ!!感じているかリオン!

 お前の愛した女の身体だ!お前の愛した女の純潔だ!!ハハハハハハハハハ!!!」


 そしてそんなエイリークを膂力と悪意によって組み敷きながら、魔王は人外そのものの口を不気味なほどに吊り上げて哄笑を響かせる。

 既にどこにも存在しなくなった”リオン”という少年。その名をエイリークを弄ぶためだけに利用しながら、魔王はエイリークの処女膣の感覚をまずはじっくりと味わっていく。


「ん、ぅあ゛……っ!やめ、て、抜いて、抜きなさ――――っっ!!

 ぅ、ぐぅぅぅ……っぁ、あ、痛、い……っ!この、この、外道…………っ!」


 弱々しい抵抗の呻きは魔王の由縁—―――無尽蔵の悪意を煽り立て、だからこそエイリークを襲う惨苦は留まるところを知らない。

 魔王のペニスは見目通りの石柱のような硬さを帯びていて、それによって力任せに圧し拡げられたクレバスは、裂けていないのが不自然なほどに鮮血を滲ませている。


 ピッタリと閉ざされていたはずの膣肉は、割り開かれた衝撃に屈服してしまったように必死に愛液を分泌し、媚びへつらうように魔王のペニスに縋りつく。

 だが快楽に慣れていない少女の身体がどれだけ愛液を分泌したところで苦痛を和らげるには足りず、エイリークは心身を両面から苦痛と恥辱に押し潰されてしまっていた。


「っぐ、くぁ、抜け、抜い、てと、言って…………っ!!

 こ、んな、事をしても……っ!私は、私は、絶対に…………っ!」


「何を言うかと思えば――――ヒトの交尾はこれで終わるわけでは無かろう?

 安心せよ、リオンめの身体を取り込んだおかげで、我もヒトの交尾に関する知識は得ている。こうも愉しませてくれた褒美に我の胤を飽くまでくれてやるとも!」


 だが当然、苦痛と恥辱程度で終わる程、魔王の悪意は生易しくはない。

 最奥までこじ開けた膣肉を、今度は引き裂くように魔王は一度腰を大きく引き、そしてまた狙いを定めるように一瞬動きを止めて、最奥まで勢い良くペニスを抉り込んだ。


「――――――――ッッ!!!!ぅ、ぁ、あ゛ぁあああぁぁっっ!!!」


「ハハハハハハ!!もっとだ!もっと悲鳴を響かせよ!

 魔王の再誕を示す喇叭の代わりとして!その美しい声音で万感の恐怖を示せ!!」


 そしてそのまま、何度も、何度も。

 何度も何度も何度も何度も、太く硬く長く重い残酷な肉槍が、エイリークの膣奥の最も弱い場所を突き穿って叩き伏せていく。


 ビグルの体液が散らばった地面に、巨体と膂力によって華奢な身体を押さえつけ、何度も何度も腰を振るって少女の身体を貪る魔王。

 いっそ滑稽ですらあるその光景は、けれどその毒牙に辱しめられるエイリークにとっては、この世の地獄と呼ぶに相応しい苦しみでしかない。


「あ゛ッッ!!ぐ、ぅえっ!ぁ、はぐ、がッッ、あ゛ぁあっっ!!

 やぇ、ぁ、ぁに、うえ゛ッッ!!たすけ、てぇっ!あ゛ッッ!ああぁぁあっっ!!」


 一突きごとに膣奥が大きく突き上げられ、子宮が直接殴られたように形を変える。

 一引きごとに膣肉が削り取られるように震わせられ、大きく圧し拡げられてしまった膣口がビクビクと打ち震えながら、激痛と共に鮮血を滲ませる。


 あまりに残酷な苦しみの中で、復讐の念など保てるはずもなかった。

 エイリークはもう戦意どころか気丈さを保つことも出来ず、さりとて藻掻くことも出来ぬまま、誰よりも慕う兄へと助けを求めて泣き叫ぶ。


「そんなにも”兄”が慕わしいか?

 ハハハハ、ならばこのような趣向はどうだ?」


 そしてそんなエイリークに、魔王は更なる残酷を強いる。

 乱れた髪の毛を掴んで自分と目を合わさせ、幻惑の魔道で認識を狂わせてやる――――フォデスの見た目がエフラムに見えるように、残酷に認知を狂わせる。


 悪辣な人外の姿を、慕わしく愛しい”兄”の姿に見せかける。

 更にそれだけでは飽き足らず、魔王はエイリークの認知上でのみエフラムの姿を模ったまま、残酷に腰を振り続けてしまう。


「うぁ、あ、やめ!ぁ、ぁぐっ!ふ、ぅぁあぁっ!!ちが、ぁ、ちがうっ!

 兄上じゃない、兄上なんかじゃ、ないのにぃっ!ぁ、あ、ぁ、あぁあぁぁっ!」


 残酷なピストンの早さも、過大すぎるペニスのサイズも、何一つ変わっていない。

 なのに認知を狂わせてエフラムの姿を誤認させてやるだけで、エイリークの反応は明らかに変化し、悲鳴のような声にどこか甘い響きが混ざり出す。


「ああ、そうだ。お前の慕う”兄上”はもう死んだ!

 だというのにお前はどうだ?兄の形骸を纏っただけの我に犯され、だというのに随分と表情を恍惚とさせていくではないか!」


「ちが、ぁ、ちがう、ちがい、ますっっ!やめ――――ッッ!!

 ぁ、あ、んぁっ!く、ぅぅぅぁあぁっ!やめ、痛い、痛いですっっ!!やぁ、だっ!」


 エイリークの目に映る”エフラム”は、ただ形だけを模した偽物だ。

 声も、態度も、残酷さも、酷薄さも、冷酷さも。何もかもがエフラムとは似つかないのに、エイリークの身体は”兄の見目”というだけで反応を示してしまう。


「ハハハハ!欺瞞、欺瞞だな王女エイリーク!

 リオン、見ているか?感じているか?貴様が手に入れ違った女は、実兄と交わう幻影を見せただけでこうも乱れ狂う売女であったぞ?」


 潤みを増していく膣。高く響き出す喘ぎ声。

 全身を襲う苦痛が和らぎ、じわじわと快楽が染み出してきて、エイリークはもう残酷な痛罵に言い返すことすら出来ない。


 膣奥を殴るように穿たれ、膣肉を削るようにピストンを繰り返される。

 エイリークの女としての尊厳をすべて台無しにするような残酷な行為に、けれど彼女は目の前に映る光景によって淫らな悦を受け取ってしまう。


「ちが、ぁ、ちがう、ちがうっっ!!

 あ、あにうえの、顔で、そんな事……っ!言わないでぇっっ!」


 兄妹という関係性の中で、押し殺すしかなかった感情。

 それを真正面から刺激される中で、エイリークは段々と理性と本能の狭間で徹底的に嬲り尽くされて、屈服と共に魔淵へと堕ちていく。


「ふぁ、ぁ、ぁう……っ!ぁ、あぁぁ、や、や、だめ、だめ、です……っ!

 兄上、あにうえ、じゃないのにっ……!!ぁ、あ、ぁぐ、ぅぅぅ、なんで、どぉ、して……ッ!?や、ぁ、だめ、だめ、だめ、だめぇ……っ!!」


 膣奥を突かれるたびに、段々と甘い痺れがエイリークを犯していく。

 乱暴なピストンも過大すぎるペニスも、響く嘲笑の声も何一つとして変わっていない筈なのに、エイリークはもう狂った認知を半ば受け入れるように喘ぎ果てる以外にない。


「うぁ、あ、やぅ……っ!は、ぁ、あぁっ!

 ぁ、あ、ぁ、んぐ――――っっ、ふ、ぁあぁ、やめ…………ッッ!!」


 そしてそんなエイリークに、とうとう”最悪”の――――あるいは”待ち望んだ”時が訪れる。

 灼けた杭のように熱く滾ったペニスが深々と膣奥を抉り、そしてそこでビクビクと内側から何かを吐き出さんと蠢動する。


 そもそもが”魔”である魔王フォデスには、生殖行為という概念がない。

 けれどリオンに乗り移っていた魔王は、その中でリオンがエイリークの名を呼びながら行っていた自慰を知っていて、だからこそ”その意味”も理解してしまっている。


「さあ――――喜悦に震えるがいい。

 魔王たる我の胤をくれてやる。ヒト風情の胎に宿った魔胤がどう芽吹くものか、精々無聊の慰みとして鑑賞させてもらおうではないか」


 じわじわと硬さを増していくペニス。こみ上げてくる奇妙な感覚。

 リオンの身体を通じてではなく、自らの身体で直接味わうその感覚に、魔王は醜悪な顔を恍惚と歪め、より強く亀頭を膣奥に密着させる。


「ひぎ……っ!ぁ、あぁぁやめ、だめ、だめ、ですっっ!!

 あ、あに、うえぇっ!ぁ、あ、だめ、だめ、や、やだっ!やめ、て……!」


 力ない抵抗の声は、もう完全に淫蕩に染まり果てていた。

 認知上の兄に犯され、現実を理解しながらも歪んだ幻影を否定しきれずに、優しさを捨てた王女はこの上なく無様に散っていく。


「――――さぁ、受け取るが良い!

 これこそが魔王の胤!お前を魔淵へ堕とす邪なる奔流だ!!」


「あ、あぁぁやめ、や、だめっ!だめぇぇっっ!!

 あ、兄上、兄上、だめ、だめですっ!や、や、や、だめ――――っっっぁあああぁあぁ嫌っっ!いやぁああぁぁああああぁぁぁああぁぁっっっ!!!!」


 膣奥に放たれていく、悪意に満ちた穢熱の奔流。

 それはエイリークの子宮を瞬く間に埋め尽くし、”魔”そのものの悪意でもってその最奥に存在する卵を絡め取り、瞬く間にそれを作り替えてしまう。


「あ、ぁあぁ、ぁ、あ、あ………………!!」


 本来ならば存在しない筈の、”孕んだという自覚”がエイリークを絶望させる。

 自分を犯しているのは魔王—―――エイリークにとって大事なものをすべて蹂躙した悪鬼である筈なのに、目の前に映るのは誰よりも大事だった兄の姿でしかない。


 胎底へ注ぎ込まれる熱が止まぬ中で、エイリークという少女は壊れていく。

 現実と幻影の区別。正気と狂気の区別。ヒトと魔の区別。ありとあらゆる整合性を奪われて、エイリークはただただ残酷な悪夢の中で甚振られ続ける。


「うぁ、あ、ぁあぁ、あに、うえ、あにうえ、あにうえ、あにうえぇ……っ!!

 わた、わたし、なんでっ!?ぁ、やぅ、ぇ、ぁはっ!ぁ、あ、ぁ、あぁんっ!あぁあぁ!」


 壊れ果て、崩れ果て、正気も狂気も失ったままで。

 エイリークという少女は魔王の胤を溢れるほど注がれ続け――――やがて、マギ・ヴァル大陸を覆う魔の母胎として、その身と尊厳を散らす末路を辿る以外になかった。


≪了≫



お読みいただきありがとうございました!


次回は2月17日に投稿予定。

内容は『FGO』より、「生前if。ニトクリスが復讐に失敗して神官たちに輪姦される話」を構想しています。


次回も楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!

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