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 亜種特異点新宿の中心に存在するバレルタワー。

 その中間層に存在する薄暗い研究室の内側で、一組の男女が向かい合っていた。


「よぉ、呼延灼—―――いや、ここは精神衛生的に"エンプーサ殿"と呼ばせてもらおうかな」


「どちらでも構いません、浪子燕青。何用ですか。

 "アサシン"の座を奪われた者への嘲笑のつもりなら、今すぐにでもぶち殺して差し上げますが」


 燕青の飄々とした声音に、呼延灼は怒りと苛立ちを込めた言葉で返す。

 屈辱と怒りが綺麗に混ぜ込まれたその声は、けれど燕青からすれば"呼延灼"の声音ではなく、淫魔として語られるエンプーサのものとしか思えないほどに可憐な響きだった。


 とはいえ、現状の呼延灼に"ぶち殺す"などという狼藉が働けるわけもない。

 両足の腱と魔術回路は魔術鋼の刃によって断ち切られ、両手は頭上で一纏めに吊られた状態で床に割座させられていては、如何な武人であれ抵抗など不可能である。


「いやいや、嘲笑うつもりはない。そもそも"アサシン"の座への固執もないしなァ。

 ……とはいえ、俺も一応はサーヴァントでねぇ。教授からの命令—―不要な失敗作となったアンタを始末しろとのお達しだ」


 硬質な床を踏み鳴らし、燕青は肩を竦めつつ呼延灼へと近づいた。

 かつての同輩と同じ真名を名乗る女――――それを見下ろす燕青の瞳は、その内側に混ぜ込まれた不定形の怪異の存在を示すように、どこか濁って不安定に揺らめいている。


「……だったら早々に済ませなさい。貴方なら簡単な事でしょう。

 縛められた女一人を縊り殺す――――梁山泊の好漢が聞いて呆れる外道働きではありますが」


「アンタを女として見るか見ないかは正直疑問だがねぇ。

 まぁでも、”エンプーサ殿”が人格的には主軸らしいから、言ってることは正しいか」


 不安定に狂気を感じさせる瞳の揺らぎと、親しみやすさすら感じさせる態度。

 相反する筈の二つを両立させながら、燕青は呼延灼の顎に手をやって自身と向き合わせ、そのまま勢いよく屈みこみつつ、彼女の唇を貪るように自身の唇を押し付けた。


「ん……っ!んぅっ!?ふ、んぅぅっ!ん、ぅぅっ!!」


 唐突過ぎるその行動に、呼延灼は目を剥いてくぐもった呻き声を発する。

 割り開かれた唇と、その内側に滑り込んでくる舌。粘り気を帯びた唾液が口内でぐちゃぐちゃに掻き混ぜられ、歯列や舌までもが絡めとられて蹂躙されていく。


 口端から垂れ落ちていく唾液と、息が吸えなくてビクビクと震えだす身体。

 けれどそんな蹂躙の中で呼延灼が意識を失うよりも早く、燕青はするりと呼延灼の口内から舌を抜き、手の甲で自身の口端を汚す、どちらのものかわからない唾液を拭った。


「は、はぁ……っ!ぅ、けほっっ!!

 な、何を、しているの……!殺すのならば殺しなさい!これではまるで――――」


 これではまるで、四奸六賊に捕らわれた娘たちのようではないか。

 呼延灼としてではなくエンプーサとしての恥じらいに呼延灼は顔を紅潮させるが、燕青はあくまでも整った顔をどことなく狂気が滲む形で歪め「ははは」と空虚に笑うだけだ。


「いやいや、これは実際アンタに対する温情だぜ?

 呼延灼の旦那ならいざ知らず、"不用品の失敗作"って事を突き付けられながら殺されるなんざ、アンタには耐えがたい事なんじゃないのかねぇ、エンプーサ殿?」


「それ、は…………っ!!だ、だからって……!やめ、やめろ!!浪子!!」


 燕青は言いながら鞭のような上段蹴りで鎖を破壊し、呼延灼の身体を床に押し倒して組み敷く。

 勇猛果敢な硬鞭将軍ではなく、その記憶と戦闘経験を有する淫魔—―――男の欲を刺激する肢体を眼下に組み敷き、燕青は整った顔立ちを獰猛に歪めた。


「やめねぇよ。梁山泊で轡を並べた好漢としての温情だ。

 アンタを殺すのは決定事項だが、精々何もわからないくらいに蕩かしてから殺してやるさ」


 どこか不安定な調子の言葉と共に、まずは胸が強く掴まれる。

 起伏に富んだ肢体を強調する薄手の布地を燕青は掴み、それ越しに乳房の感覚をまずは幾度か掌で感じ取ってから、何の躊躇いもなく薄手の布地を掴んでビリビリと力任せに引き千切った。


「いい胸だ。柔らかくてハリもあり、色味も透き通ってる。

 そりゃ男を誘う魔性だから当たり前かもだが、男の理想を体現したような身体だ」


「んぅ……っ!やめ、ろ……!言うな、言うなぁ……っ!!」


 黒を基調とした装束の下から、零れ落ちるように現れた真っ白な胸。

 補色関係によって一層引き立てられる白い双丘は、頂点に存在する桃色の突起も相まって、燕青の内側の獣としての本能を痛烈に刺激し、そこにゆっくりと唇を近づけさせた。


「は、ぁ……っ!!んぅ、ぁ、やめ――――!!

 ひぁ、ぁ、ぁうっ!舐め……っ!ぁ、ぁ、うぁっ!あぁんっ!」


 左胸の頂点を舌先が絡めとり、ぬるりとした唾液がその感覚を鋭敏に変えていく。

 元より感度の高い身体。そしてそれだけではなく、燕青から告げられた"いい胸"という賛辞めかした嘲りの言葉が、どうしようもなく呼延灼の性質を搔き乱してしまう。


(違う、違う、違う……!そんなの褒められても嬉しくない!

 私は、私は"呼延灼"として――――"アサシン"のサーヴァントとして…………っ!)


 これ見よがしに音を立てられて左胸の先を吸われ、同時に右胸の先を指先で爪弾かれる。

 ビクビクと跳ねてしまう身体は、しかし完全に組み敷かれた状態では何の抵抗も示せずに、こみ上げてくる性感を受け入れる事しかできなくなってしまっている。


 エンプーサという幻霊の最大の弱点である、メンタル面の異常な打たれ弱さ。

 呼延灼という豪傑と組み合わせてもなお解決できなかったその弱点は、称賛に対する欲求と執着という形でも発露していて、だからこそ今の彼女は嘲りと理解してなお歓喜の念を捨てきれない。


「いい感度だ。ちょっと弄っただけなのに、ここまで乳首をおっ勃てるとは。

 こりゃ思ったよりも早く済ませられそうだ。従順で大変ありがたいよ、エンプーサ殿」


 舌先と乳首の先に糸を引かせながら、燕青が形ばかりの賛辞を述べる。

 明らかな皮肉であると理解できるのに、それでも体が歓喜して疼いてしまうという事実。”褒めてほしい”とあれ程までに願っていた筈なのに、それが恐ろしくて仕方がない。


「やめろ……っ!ぁ、ぅ、ふぐ……っ!!は、ぁ、あぁぁやめ――――っ、ひぃッ!?」


 そしてもう一度、今度は右胸の先が舌と唇によってじんわりと弄ばれていく。

 唾液に塗れて外気に晒された左乳首はひやりとした冷感で一層そそり立ち、そして右乳首を舌で嬲りながら、燕青は呼延灼の"女としての象徴"へと、その狂気と温情を両立しながら手を伸ばした。


「や、や、いやだっ!!さわ、るなっ!触らないで!!

 は、ぁぅ……っ!!く、んんぅっ、ぁ、ぁ、ぁ、あぁぁ、ひぃ…………ッ!!」


 レオタード状の装束の隙間から侵入した燕青の指が、秘裂をじっとりと撫でまわす。

 淫魔として男を誘うための肉穴は、その入り口を貞淑に閉ざしていて、それが内側からジワリと潤んでいく様は燕青の嗜虐欲をこれ以上ない程にまで煽り立てていってしまう。


 閉じたクレバスを柔く撫で、少しずつ少しずつ潤んでいくそれを堪能する。

 聞こえてくる可憐な喘ぎと、舌先で感じられる乳首の屹立。ほんの少し音を立てて右乳首を吸ってやれば、それだけで呼延灼はビクリと腰を持ち上げて、しなやかな肢体を淫らに汗ばませてしまっていた。


「おいおい、本当に敏感すぎるんじゃない?

 男としちゃ嬉しい限りだけどさァ、もう少し耐えなきゃマズいんじゃないの?」


「ふぁ、ぁ、黙、れ……っ!!ぁ、ぁうっ!あぁんっ!」


 ぷっくりとそそり立った乳首から口を放し、燕青はあえて賛辞めかした言葉で呼延灼を嬲る。

 見え透いた弱点を突くのはあらゆる勝負の常道だ。罵倒に弱いのと同じだけ賛辞にも弱いという呼延灼の弱点は、彼女の霊基に根を張る性質として呼延灼を追い詰めていく。


「随分と濡れてるぜ?淫魔としては確かに上々の性質だが。

 ほら、もう指先が入っちまう。アンタの身体、随分と悦んでるようじゃないか」


「ちが、ぁ、違う……っ!悦んで、なんかっ!ぁ、あぅっ!はぁあぁっっ!!

 や、や、やめ、やめろっ!!ぁあぁだめだめだめだめ指……っ!指、動かさないでぇ!!」


 嬉しくなどない。喜んでなどいない。

 与えられる言葉は皮肉を込めた罵倒でしかない事は、呼延灼には理解できている。


 だが理解できていたとしても、霊基に刻まれた本能にはどうしようもなく抗えない。

 いっそ"エンプーサ"だけであれば、言葉に込められた皮肉を理解せずに破滅まで進むことが出来ていたかもしれないが、彼女に仕込まれた"呼延灼"の因子が、そんな単純な理解を許さない。


 くちゅくちゅくちゅくちゅ、と淫ら極まる水音が響く。

 股布部分を摘まんでずらされたレオタード状の装束。その隙間から飛び散る愛液の雫は、エンプーサとしての彼女が持つ肉感的な太ももへと散って、目を引く白肌を一層淫らに彩っていく。


「胸だけじゃなくてコッチの感度も随分とイイようだ。

 聞こえてんだろ?さっきからくちゅくちゅくちゅくちゅ、完全に俺の指を受け入れてる音がしてる」


 あえて言葉にされる自らの状態は、自覚される惨状をさらに鮮明にしてしまう。

 嫌悪しかない筈の陵辱の中で、それでも言葉の端々にこれ見よがしに付け加えられる賛辞めいた嘲りは、エンプーサの性質と相まってどうしようもなく呼延灼の身体を悦ばせてしまっていた。


「ちゃんと指を咥えこめて偉いじゃねぇの」

「声も随分可愛らしいのが出るもんだ。こっちも犯したくて仕方なくなるよ」

「膣内の濡れ具合もいい感じだ。協力的で従順なのはありがたい話だねぇ」


「は、ぁ……っ!やめ、黙れ……っ、黙ってぇ…………っ!

 っう!ふ、ぅぅぅっ!んぁっ!ぁ、あ、ぁ、や……っ!ぁうっ!は、あぁぁぅうぅっ!!」


 与えられる言葉の全てが嘲りなのは分かっている――――分かっているのに本能が悦を覚えてしまう。

 呪いのような"罵倒"への忌避感と、それに付随する"賛辞"への希求感。耳を塞ぐこともできず、身体がじっくりと内側から解きほぐされ、嫌なのに全身が淫らな熱で支配されていく。


 腹の底から疼きが全身に広がり、ビクビクと身体が跳ね始める。

 絶頂が近い――――膣の浅い場所で蠢く指を感じながら、呼延灼はせめて無様な声は堪えようと、強く下唇を噛んで眉間に皺をよせ、襲い来る大波のような性感に抗おうと試みるしかない。


「――――いやぁ、わかりやすくて何よりだ」


 だが、そんな抵抗はどこまでも容易く受け流されてしまう。

 ひくひくと蠢いて武骨な指を締め付ける膣から、燕青は何の惜しさも感じさせない動きで指を引き抜き、糸を引くほどの愛液に濡れた指を呼延灼の装束で拭う。


「ふぁっ、ぁ、え……?なん、なん、で…………っ!?」


「いやいや、そもそもアンタを気持ちよくするためにこんな事してるんじゃないんだ。

 あんだけ分かりやすく膣内ヒクヒクさせてたらさ、そりゃあ俺だって次の段階に進もうとするだろ?」


 どこか狂気じみた表情で笑いながら、燕青は自身の怒張を晒した。

 "ドッペルゲンガー"という不定形の怪異と融合したことで、"女を嬲るために最も適切なペニス"として形を変えたそれは、余りに凶悪な肉の凶器となって呼延灼の秘部へと押し付けられる。


「や……っ!い、いやだ……!やめろ、やめて…………!い、いや……っ!!」


 腱を切られた脚には力が入らず、鎖で縛められた腕は振り乱すこともできない。

 どうしようもない程に詰んでいる状況。濡れそぼった割れ目に凶悪な肉の楔が押し当てられて、呼延灼は女としての恐怖にか細く哀れましい悲鳴を零す。


「聡明なアンタならわかると思うが、受け入れちまった方が身のためだぜ?」


 濁った眼で呼延灼を見下ろしながら、燕青はゆっくりと腰を突き出していく。

 ずらされた股布。そこから晒されたクレバスを大質量が割り開き、ゆっくりと濡れそぼった膣内が熱を帯びた肉の塊によって埋められていってしまう。

 膣口を亀頭が通り過ぎ、濡れそぼった膣肉が太く滾った陰茎を締め付け、浮かび上がった太い血管の蛇行すら感じ取れるほどに膣壁が肉楔に纏わりついた。


「ひ、ぃ、ぎ…………っ!!」


 そもそもが"エンプーサ"という男を誘惑する怪異である以上、そこに破瓜の痛みはない。

 けれど破瓜の痛みが存在しないからこそ、女を嬲るために最も適切なペニスによる蹂躙は、呼延灼の内側から女以前の雌の本能を引きずり出し、耐えがたい熱で彼女の全身を満たしてしまった。


「はーっ、はーっ、は…………っ!ぅ、んぐ……っ!ぁ、かは……っ!!」


「随分と締めつけてくるが、やっぱり従順で結構なこった……!

 これならさっさと、楽に済ませられそうで、ありがたいよ……っと!!」


 ズブリと突き刺すように、凶悪なペニスが膣奥を押し拉ぐ。

 女の身体の最も敏感な場所を、熱を帯びた凶悪な質量に嬲られて、呼延灼のしなやかな身体はビクリと腰を持ち上げて突き出すような体勢で数度跳ねてしまう。


 あまりの恥辱。あまりの屈辱。怒りと殺意で思考が煮えて然るべき感覚がある。

 けれどそれ以上に、自分の身体が形ばかりの賛辞によって悦んでしまっている事が分かってしまい、その事実こそがあまりに惨たらしく呼延灼の心身を辱しめた。


「やめ、なさい……っ!浪子、燕青…………っ!!

 こんな、こんな事……っ!こんな振る舞い、あの六賊どもと同じ――――ふぁっ゛、が、ぁぐぅっ!!」


 せめてもの理性で悦に浸ろうとする体を抑え込み、呼延灼は燕青の誇りに訴えかける。

 けれどこの悪性魔都は、文字通りに悪性ある者のみを呼び寄せる背徳の地だ。何より"ドッペルゲンガー"という不安定な怪異をインストールされてしまった燕青は、"誇り"など失わされているに等しい。


「はは、こんな混ざりものだらけにされても"誇り"を保っているたァ見事だよ」


 苛立ちを賛辞で包んだ嘲りに変えて、燕青は腰を引いてから強く打ち付ける。

 呼延灼の細い腰を両手で固定するようにつかみ、引いては打ち、引いては打ちを繰り返すピストン運動。膣奥を抉る衝撃の反復に、呼延灼はのけ反るような体勢で脳天までを突き抜ける性感に喘ぐ。


「ぅぁっ!は、あぁぁっ!ぅぐっ!!ぉ゛っ!

 は、ぁう…………っ!ぁ、ぁがっ!ぁ゛はッ!!ふ、んぅぎぃぃっ!!」


 肉と肉がぶつかり合う音と共に、頂点をそそり立たせた乳房が揺れ動く。

 膣奥が拉がれるたびに、その更に奥に存在する子宮までもがぐにゃりと形を変え、ジワリと滲んでくる愛液がピストンの度に膣口から散っていく。


 濁った悲鳴は無様に歪んでいて、呼延灼は自分の身体が陥落したことを理解するしかない。

 侠客としてもサーヴァントとしても、およそ褒められるべき美点を潰された姿――――そんな状態で嘲りまじりに"女としての身体"を賛美されれば、彼女の本能はその言葉に一も二もなく縋りついてしまう。


「いい身体だよ、エンプーサ殿。抱き心地がいい。

 声も、身体も、反応も。全部極上の身体をしてる。殺すのが惜しくなるくらいだ」


「ぁ、あ、ぁ、あぁぁやめ――――褒める、な!!褒めるなぁ……っ!」


 褒められたい、認められたい、必要とされたい。

 そう思い続けてきたはずなのに、最早"褒められること"それ自体が怖くて仕方がない。


 膣奥を何度も突かれ、けれどそれは貪るような責めにはならない。

 燕青が快楽を貪るための強姦ではなく、呼延灼を篭絡して陥落させるための陵辱は、彼女の内側の本能を痛烈に震わせて、心と体を著しく乖離させる。


「なんでだ?アンタにとって一番幸せなのは"褒められること"だろう?

 それともアレか?罵倒されて無様に死んでいくか?俺としちゃそっちの方がやりやすいが」


 狂気を孕んだ目と言葉。怯え顔を見下ろしながら燕青は腰を振り続ける。

 パン、パン、パン、と一定のリズムでのピストン。膣奥までを決まった強さで叩くそれは、呼延灼の女としての身体を確実にこじ開けつつ、じわじわと無様な死に近づけていく。


「は、ぁうっ!んぁ、は、ぁあんっ!!

 やぇ、ぁ、かはっ!やめ、やめ、ろぉ……っ!も、いや、いやだ、いやだぁ……っ!」


 罵られ、謗られ、貶められることは嫌だ。

 けれど、外形だけの褒め言葉を浴びせられ続けるのも耐えられない。


 ”薄弱な精神の怪異”であると同時に、"硬鞭を振るう勇壮な侠客"でもある。

 そもそもが矛盾してしまっている彼女らしい自縄自縛と二律背反は、悪意とも善意とも取れる"新宿のアサシン"の振る舞いによって、間違いなく呼延灼というサーヴァントを壊していってしまっていた。


「ははっ、何度も言うけど、受け入れた方が楽だと思うぜ?

 どのみち殺すんだ。少しでも幸せな気持ちで逝った方がいいに決まってる」


 うすら寒い狂気を声音に潜ませて、燕青はピストンを速めていく。

 慣れているからこそ思考は鮮明だが、燕青とて男である以上、快楽の臨界は訪れる。

 硬く張り詰めた太いペニスで何度も何度も膣奥を突いていくと、段々と肉楔の内側に粘つく熱が充填されて、身体がそれを吐き出そうと熱を持っていくのがわかった。


「うぁっ!ぁうっ!は、ぁあぁ、や、や、や、いやだっ!!やめ、やめなさいっ!!

 燕青……っ!!やめて、やめてぇっっ!!!ぁ、ぁぐっ!は、ぅぁっ!あ、あぁぁっっ!!」


 膣内を埋め、膣奥を叩く、熱に滾り狂った凶悪な肉の凶器。

 必死になってそれを否もうとしても、腰を掴まれたうえで脚も手も動かせなければ抵抗は不可能だ。


 燕青の表情が段々と歪み、美丈夫の顔立ちが欲によって醜悪に染まる。

 ゾッとするほどの猟奇的な表情に、呼延灼の表情が恐怖に染まり、同時に燕青はピストンを止めて、背を僅かに逸らしながら滾り狂ったペニスの先端を膣奥へと突き立てた。


「ぅぁ、あ、やめ――――――」


 そして、僅かな抵抗の言葉が言い切られるよりも早く。

 精液に似せられた濃密な魔力――――絡みつくような熱と穢れの奔流が、呼延灼を真名とする歪な女の内側に向けて、勢いよく流し込まれていった。


「うぁ…………っは、ぁ、あぁぁああぁっっっ!!!

 や、や、やだっ!ぁ、出て、出てる……っ!!いやだ、やだ、ぁ、えんせい、ぬけ、ぬいてっっ!!ぁ、あぁぁいやっっ!!いやぁあああぁぁああぁぁぁっっっ!!!!」


 サーヴァントである以上、その胎に望まぬ命が宿ることはない。

 けれど"矜持"や"信念"といったたぐいのものが踏み躙られていく感覚は、恐怖よりも濃いやるせなさや絶望感となって呼延灼の心身を包み込んだ。


「ぁ、う、うぁ、あぁぁ…………!」


 子宮内に蠢く魔力の熱を感じながら、呼延灼は絶え絶えに呻く。

 燕青はそんな彼女の――――同輩の名を騙る"エンプーサ"の鳴き濡れた頬を優しく撫でて、狂気にも映るにこやかな笑顔で、彼女に向けてこう告げた。


「――――イイ身体だったぜ、エンプーサ殿」


 嘲りの意の賛辞を受けて、それでも呼延灼の身体はビクリと悦楽に跳ねた。

 身の内の淫熱が高まり、肉茎を締め付ける膣壁が一層媚びるように蠢き、恐怖と絶望に支配される心とは裏腹に、身体がそれ以上の賛辞を求めて蠢いていく。


 研究室の中で絡み合う男と女――――男の賛辞と女の悲痛な呻き声。

 慈悲とも陵辱ともつかぬ行為は、実に数時間にもわたって続き、その記憶はドッペルゲンガーの記憶の混濁によって、いずれ男の記憶からも失われていくだけだった。


≪了≫



お読みいただきありがとうございました!


次回は11月11日に更新予定。

内容は『FE蒼炎』より「イズカに捕らえられたジルが、醜い肉塊のようななりそこないに犯される話」です。

以前に投稿した『ヒトとて所詮はケダモノの亜種(イズカ、なりそこない×ワユ(陵辱))』と若干繋がりがあるので、よろしければそっちもお読みいただけると。


それでは、次回も楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!

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