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こんにちは、tmtです。

今回は「実験棟」のイラスト制作過程について記事にしてみました。


最初は制作開始までの間に何を考えていたのか、といった読み物感覚ですので

工程が見たい方は読み飛ばしていただいたほうがスムーズです。

0.インスピレーションまで

このイラストは前回のイラスト制作時にラフ構図だけ用意していました。

制作の資料集めをしている際に、例によってPinterestを眺めていて

なんとなくこんな感じのものを描きたいなーとふわふわ思い浮かんだので

形だけ用意しておいて後から見た時にやる気が持続するようであれば

最後まで描き切ろうと思った次第です。

そんな流れでお蔵入りになった絵の方が完成させた作品より多いですね。

当初用意していたラフがこちらです。

ベッドっていいな・・・という思い付きと、病室のようなシチュエーションであれば

小物などを色々おけて間を埋められるかなと考えていました。


今回制作にあたって使用した3Dデータは全て購入したアセットです。

同じアセットグループのものから並べていったので親和性は高かったのですが、

見返した時にモチーフのまとまりが良すぎて面白くないなと感じました。


それとあわせて、最近安定感のある表現ばかりしていて

挑戦が少ないと反省していたところだったので

思い切ってメイン以外の部分を全部変えることにします。

1.構図(3Dでのセットアップ)

ひとまず土台の部分は既にある3Dデータを使用しつつ、

背景にある小物類を一新することにします。


tmtは白と黒を基調にしたグレートーンの配色や絵の印象が好きで、

少ない色数ながらもモチーフや構図、キャラなどの何かしらの要素と合わせて

自分なりにカッコいいと思うまとまりを表現していきたいと考えていまして、

どうにも寒色を入れて無難に済ませてしまう癖があります。

まさに今回のラフもそうです・・・。


創作活動をしているとずっとついて回る問題だと思うのですが、

いつも何かの課題が残っていて、それも解決できるようになりたいし

それとは別に新しくやってみたいこともあるし・・・と

最初に完成形をイメージする時には悩むことが多いです。


そういうわけで今回は、寒色にまとめることを避けつつ

背景の小物類はもう少し面白さ(無難ではないというか、変な感じに)

を求めたいというのが目標になりました。

出来合いのものを並べていくだけだとやはり面白みがなくなるので、

今回はこのようなSF×工業的なオブジェクトを組み合わせつつ、

打ちっぱなしのコンクリートのような冷たい印象やシンプルさを思い描いて

背景を制作していきました。

ひとまず形は用意できたので、細かな印象は加筆して整えるとして、

構図をいくらか検討しつつレンダリングしてを繰り返していきます。

こんな感じになりました。

この時点で後ろの壁は手描きできれいなタイルに変える想定、

黒い部分には配線を描いたり、

右側の謎のオブジェは布で覆われているような印象にするつもりで

完成形をイメージしています。


元のラフでは寄りかかって寝ているような形にしていましたが、

いくつかアングルを検討しているうちに上記のようになりました。

途中経過を保存し忘れてしまいましたが、アングル毎に

キャラクターのポージングやおさまりを確認しつつ進めます。

2.背景

使用するソフトはPhotoshopです。

パーツを分けて出力しているのでまずは一番遠景にあたる壁から着手していきます。

オブジェクトからパースをとってタイルを作成していきます。

パースをとったら別レイヤーで等間隔に線を沢山引いて、

自由変形を使ってパースに沿わせて配置します。

形ができたら下のレイヤーに壁の質感を描いて、

タイルの格子にもクリッピングした状態で加筆して完了です。

次に中景・近景のオブジェクトを表示しながら加筆を行います。

ただディテールがある状態だと邪魔になるので、塗りつぶしてシルエット化し

加筆する領域をわかりやすくして必要な部分だけ配線を描きました。

そこからはこの調子に合わせて描くオブジェクトに加筆を行っていきます。

全体的なライティングとダークな印象にあわせて影をいれつつ

質感の補強と、仮置きしていただけの部分をタイルのように刷新していきます。

中景近景も同様に加筆・調整を行います。

壁の部分には最近はまっている油膜のような、酸化のような表現を入れました。

また、全体を眺めて画面左側の締まりが悪いように感じたので

赤いデザインラインを入れてバランスを取りました。

ベッドももっと冷たい印象にしたかったので、

全体が1つの形で削り出されたような形状に変更し

質感もスチールっぽくなるよう加筆しました。

3.キャラ

背景の加筆が全体的に完了したので、キャラクター作業にうつります。

ポージングは大体シルエットが決まっていたので、

ラフでディテールを検討していきます。

病院着のような、拘束着のような何かしらがはだけているイメージで・・・

かなりふんわりですがひとまず全体を作って、

背景との調和を見ながら詰めていくことにしました。

と思ったら点滴に手を入れるのを忘れていました。

その昔パックを描いた時に素材化しておいたので、

それを流用して馴染ませて手早く済ませます。


またキャラクターに戻って描き進めます。

普段は線画をとって色分けしながらパーツ毎に描いているのですが、

今回は何を思ったのかレイヤーを統合して厚塗りすることにしてしまいました。

完成イメージのテイストと塗り方がマッチしなかったので非常に後悔しました。

黒髪だと背景に馴染み過ぎる気がしました。

あと大人っぽさも強く感じてしまったので、

白髪にして浮かせつつ無垢な印象を強くします。

シワと格闘しつつなんとか描き進めました。

4.FIX

13

最後にエフェクトとロゴを入れ、細部を微調整して完成です。

エフェクトは軽めにシャープとノイズをかけるくらいに留めておきました。


総評として、

背景の構成要素はある程度面白くできた気がします。

直近ではアセット感が強く印象に残らない背景が多かったので、

背景のデザインを考えるいいきっかけになったのも良かったです。

個人的に左のアルミみたいな壁が気に入ったので、

次回はこの形状を擦って1枚作るかもしれません。


全体のカラーリングも良い感じにモノクロ感が出せたと思います。

強めのエフェクトや調整レイヤーで全体をまとめる癖がついてしまっていたので、

うまく手動でまとめきることができて安心です。

手になじむまでは時間がかかりそうですが、

当初の課題については満足のいく処理方法を得られたので

慣らしつつ現状の方向性でブラッシュアップしていきたいと思います。


今回もここまでご覧くださりありがとうございました。

そろそろハウツーのような記事も書きたいと思いつつも、

次回のイラスト案もあるのでどちらになるのかわかりません・・・。


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