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ある日、スマホに見慣れないアプリがインストールされていた。 (こんなアプリ入れたっけ?) 覚えがない。無色のアイコンに「設定」というアプリ名。聞いたこともない。調べても出てこない。 (こわっ……) ウイルスか何か? この間変な広告タップしちゃったっけ。アンインストールしようとしても、何故か削除できなかった。 (うわー、やっば) 誰かに相談しようか、と思ったその時チャイムが鳴った。休み時間が終わったのだ。直後の抜き打ちテストで頭をやられたあたしは、夜になるまでそのアプリのことをすっかり忘れてしまった。 家でベッドに寝転がりながら、アプリ情報を色々調べていると、ようやくそれらしい噂を一つだけ見つけることができた。「マジですごいアプリ出た」という一言だけだったけど。 (大丈夫ってこと?) あたしは試しに開いてみることにした。えい。 即座に、まるでゲームのような画面が表示された。女の子の3Dモデルが表示され、隣に名前や生年月日、職業、身長体重、その他いろいろと……って、ちょ!? (これあたしじゃん!) キャラクターの名前欄にあるのはあたしの名前。彫谷杏。そして、続けて表記されている全てのデータも、自分のものだった。生年月日も、身長体重も、全て今現在の自分の数値。この間測ったばかりだから覚えている。 (うっそ、えっ!? こわっ! こっわ!) よく見てみると、表示されている3Dモデルもあたしと瓜二つ。とてもリアルなグラフィックで、スマホが何の問題もなく動いているのが信じられないぐらい綺麗だった。実写と見紛う質で描かれた自分のモデルが静かに回転している。 そっと拡大してみると、顔の黒子まで再現されている。全身に鳥肌が立つ。やば。え、これマジで何? ストーカー……いや、え? ホラーだ。でも、不思議とあたしは奇妙な好奇心を抑えることができず、心臓をバクバクさせながら情報を眺めていった。職業高校生。あたり。性格……アバウト。うるせえ。一人称……あたし。 恐ろしいほどに符号。あたしは誰かに監視されてるんだろうか。いや、スマホの情報が表記されてるだけ? でも身長とか体重とかは……。 メニューがあることに気づくのに十数分かかった。それだけにこのアプリは恐怖の産物だった。 詳細設定……タップ。 モデルがぐぐぐいっとデカく表示され、思わずのけ反った。自分のリアルな顔が画面狭しと大きく表示されている。まるでゲームのキャラクリ画面のように、顔のあちこちを弄れるらしかった。 (何……? なんかあんの?) 試しに瞳の色を変えてみた。モデルに即反映される。睫毛。鼻筋。唇……。 (すっげー) 自分の顔をここまでリアルにクリエイトできる。いつの間にか熱中し、あたしは自分を盛ることに夢中になった。 (肌綺麗にすっだけで大分変わんじゃん) 人形みたいに綺麗になった肌。写真とった時とかこうしてる。黒子やブツブツも綺麗さっぱり消去できた。 (うし) 謎の達成感を覚えたあたしは、アプリの不気味さなんていつの間にか忘れてしまっていた。 このアプリが持つ真の恐ろしさを知ったのは、お風呂に入った時。 (マジ? ほんとにマジ? やば……) 急いでお風呂から上がり、再度アプリを開きスマホの画面をのぞき込む。そこにはまごうことなき、「今のあたしの顔」があった。さっきお風呂でみたのは幻覚じゃない。洗面所の鏡でも同じ。信じられないけど実際にそうなっているから信じるしかない。あたしの顔は、さっきアプリで改造したのと全く同じように変化していた。画像加工したみたいに綺麗な肌。顔の作りは以前よりも全体的に整い、美人になっている。しかも黒子やニキビが全て綺麗さっぱり、跡形もなく消失している。 ……ただ、おしむらくは首から下は普通なので、そこで肌に不自然な切れ目ができていること。日焼け跡か。 (まさか……) 全身の肌をきれいにしてみた。大きな黒子やムダ毛も除去。アプリで変更箇所を決定していく度に、現実のあたしの体も変化していく。まるで魔法のようだった。 (やばいじゃんこのアプリ。マジで半端ない) その夜、あたしは全身整形に明け暮れた。気がつけば朝。 (え、うっそやば) 慌ててベッドに飛び込んでも、眼が冴えて寝付けない。 (うわ最悪、徹夜とか……) いや。今のあたしなら全部誤魔化せる。徹夜明けの顔なんてみせなくていい。 あたしは布団の中で有頂天になった。神じゃんこのアプリ。なんであたしのスマホに入ったのかはわからないけど……ま、もらったモン勝ちじゃん? ただ、いきなり顔が変わると不味いかと思い、あたしは迷った挙句チキッた。「初期設定に戻す」をタップし、一晩かけた作業の集積を消してしまったのだ。 その日授業中に寝て弄られたのは言うまでもない。けど、あたしの頭はこのアプリのことで一杯だった。モデル以外の設定もたくさんあった。体重も変えられるんだろか。職業って欄もあったっけ。ひょっとしてひょっとして、そこも現実に反映されちゃう? アイドルとか、なれちゃう……? 輝かしい未来の妄想は広がる。 それからあたしはこの魔法のアプリにすっかりハマってしまった。手探りで色々とこなしながら、次第に仕様と使い方がわかってくるのはまるでゲーム攻略のようで、止め時がない。職業をアイドルにすれば、突然あたしにはマネージャーがいることになってて、あたしは芸能事務所に関係者として堂々と踏み入ることができた。そこで色んな人たちにサインをもらったり一緒に写真撮ってもらったりしてサイコーだった。誰もがあたしを「同じ事務所に所属しているアイドル」と認識していて、一切怪しまれることがない。もっとも、トレーニング大変だったからすぐやめちゃったけど。職業を高校生に戻せば、全ては夢だったかのように元通りになった。 怪しまれないように、ちょっとずつ整形していこっか、と思っていたけど、そんな心配は不要だった。アイドルの件を始め、色んな実験をした結果、このアプリによる設定変更は全部……うーん、なんていえばいいのかな。普通のこととして受け止められるんだよね。まるでずっと前からそうだったかのように。あたしが男になっていても、家族やクラスメイトたちはいつも通りに接してくる。名簿も男になってた。女に戻せばまた元通り。あたしが昨日男になっていたことを「変だ」って思う人がいないの。 つまり、このアプリによる変更は全部そのまま、自然に反映されるってこと。一日であたしが全身整形したところで、誰一人あたしが「変わった」とは思わない。安心安全な仕様だけど、綺麗になっても誰もそこに触れてくれないのは寂しかった。褒めてもらうには結局、自分で頑張らないといけない。 小さい頃のままごとセットを発掘して、自分を縮めて使ってみたり、逆に怪獣みたいに大きくなって町を上から眺めたり、毎日毎晩、あたしはこのアプリで暴れまわった。 そのおかげか、ある日新しい設定が解禁された。なんと、自由に文章で設定を付与できるようになったんだって。ヤバい。つまりどういうことかというと、あたしの「キャラクター設定」欄に「飛べる」と書けば、映画のヒーローみたいに飛べるし、「視力すごい」と書けば遠くまでクッキリ。まあ、自由欄は三つしかないから、あれもこれもってわけにはいかないけれど。 何でもできるし誰にでもなれる。あたしは神様だった。なんだってできちゃうんだ。だから小さなメッセージに気づくのが遅れちゃった。アプリの期限が迫っていたのだ。あと三日で使えなくなるっぽい。マジかー……。あたしの落胆はそうそう言葉や文章で表現できるもんじゃない。だって、その気になれば世界の王様とかだって多分なれたんだし。試してないけど。 でも、希望が一つ。変更点を確定したまま期限が過ぎると、そこは残してくれるらしい。そう書いてる。でも、アプリが使えなくなるってことはさ、そこの変更点はもう取り消せないってわけで……。 あたしは悩んだ。最後に何を変更したまま、本当の本当に確定させるのか。一旦初期設定に戻して、顔や肌だけ綺麗にしておいた。それもちょっと控えめに。二度と取り消せない、ってなるとチキっちゃう。なんにでもなれるのに、あたしは何にもなりたがれなかった。自分が自分じゃないまま元に戻れなくなるのが怖くて。あくまで「自分」の範疇で……。つまりまあ、メイクすればこれくらいいくし? みたいな範囲での整形と、ニキビ黒子潰しだけして、大胆な整形はできなかった。あたしがこれほど小心者だったとは自分でもビックリ。何でもオッケーって言われると、逆に二の足を踏んじゃうとこある。 でも、でもさあ、じゃあちょっと綺麗になっただけで終わるのかって話。どんな能力や設定も自分に付与できるのに? 魔法使いにもスーパーヒーローにもアイドルにだってなれる。こんなすごいチャンスをみすみす見逃していい? あとで後悔するんじゃないかな。やっぱもっと盛っときゃよかったー! って。 でも、取返しがつかなくなって後悔するのも怖い。どうすればいいだろう? 誰にも相談できないし、これは自分で決めるしかない。 悩んでいる間に、アプリ利用ができる最後の日がやってきた。なんかあっという間。あたしの結論は「取返しがつくように保険を打ちながらすごくする」だ。こすいとは思うけどまあ、これが安パイっしょ。 まず、基本的な設定は弄らない。自分が自分でなくなっちゃうし。だから三つの自由枠、そこに全てをぶち込む。まず一つ目は「若返れる」。鉄板っしょ。大人になってから「ああ、あのアプリが使えた時に手を打っとけばずっと綺麗なままでいられたのに」とかならないように。でも逆に「ずっと若いままじゃ困るな」ってなってもいいように。いつでも若返れる能力を自分に付与する。この先どう転んでもオーケー。 二つ目、「生き返れる」。不死だと後悔しそうだから、こういう書き方にする。突発的な事故にも対応できるはずだし、死にたくなれば死ぬ選択もできるように。 最後は「魔法が使える」よし。一度手に入れた全能の力はできれば手放したくない、ってのが嘘偽りからざる本音。これが代わりになるかはわからない。試してみると、物をちょっと浮かせたり水を出せたりした。でもアプリの期限延長とか、ぬいぐるみに自我を与えるとかはできない。ただ使えるってだけだと最大公約数的、あるいは最低保証的な感じになんのかな? でも文字数制限あるから、なんでもかんでもってわけにもいかなさそう。ちなみに「全知全能」は弾かれた。 まあ、あんまり強力な力を持っても事故が怖いかも。いいかな? これで。うーん……。 悩んでいる間に時は過ぎ、期限まであと一時間をきった。これで本当にいいんだろうか? 何度も頭の中をその一言がよぎり、あたしは落ち着かなかった。でも今更ヘンに変えても取返しつかなくなったらやだしなぁ……。 結局、あたしはあの三つを入力し、確定をタップした。これであたしは若返り、生き返り、あと申し訳程度? の魔法が使える美人ということになった。 あと五分。本当に? これでいい? 職業を世界の王様にするとか、自由欄に「大金持ち」って書いたりしなくていい? でもアンチエイジも復活も魔法もお金じゃ買えないし……あ~。今から再入力しておかしなとこで終わっても……う~。 極限まで引き伸ばされた五分が過ぎた。結局あたしは書き換える勇気がでず、全てが確定された。アプリはタップしても反応しない。どころか、魔法のようにスマホから消え去ってしまった。 「あ……」 やっちゃった。魔法の時間は終わった。これであたしはまた普通の高校生……でもないか。若返れるし、残機持ちだし、軽い魔法も使える。それで納得するかしない。もう決めちゃったんだから。でも後悔の波はすぐに押し寄せる。もっと欲張ってもよかったんじゃ? どんなものだって手に入れられたはずなのに。もっとすごいものを……。 いや、しょうがないよ。もう決めちゃったんだから。あたしはこの三つの力をひっそりと堪能しながら生きていくしかない。もう、アプリは去ってしまったんだから。あたしが後悔しようと満足しようと、もう自分の設定を変えることはできない。 最初は甚大な喪失感が埋まることなく続き、悩まされた。しかし、次第に元通りの日常が続いていく中で、ゆっくりとあたしの後悔は癒され、思い出すことも少なくなっていった。高校三年生になり受験勉強が本格化すると、いつまでも過ぎ去った鯛のことに構っていられない。「頭いい」でもよかったんじゃないか、とは時折ふっと思うけど。 自分が致命的なミスを侵していたことに気づくのは卒業の時だった。二次会でみんなと涙ながらのお別れを言い合う中、友達の一人が言った。 「彫谷さんも、また高三頑張ってね、私たちのこと忘れないでね」 「うん、頑張る~って、留年かい!」 最初は冗談だと思った。普通そうじゃん。でも、明らかにみんなの反応がおかしい。滑った感じの空気でもない。「何を言っているのかわからない」という感じ……。 違和感の芽は見る間に成長し、あたしは何かがおかしいことに気づかされた。何故だかみんな、あたしが来年度からも高校生を続ける、と思っているようだった。それも、真面目に。そういうネタとか弄りではなく、真剣に。 「え? いやいや、あたしも大学受かったじゃん?」 「うん、知ってる。よかったね~。私、彫谷さんがあそこ受かるとはおも」 「いやだから、あたし受かったから大学行くから」 「いや、彫谷さんは『高校生』でしょ?」 「? いや、さっき卒業したやんあたしら」 「うん、だから高校生でしょ? 彫谷さん」 「?」 途中から会話が成立しなくなり、あたしは怖くなってきた。まるで出来の悪いAIと会話してるみたい。 誰も「ネタでした~」と明かすことなく二次会は終わり、あたしは家に急いだ。次第に心臓が鼓動を強めていく。さっきのしょーもないやりとりには覚えがある。ありえない職業に変更した時のアレだ……! ずっと忘れていたあの魔法アプリ……! スマホには何もない。あのアプリはあの日以来、一度も姿を見せていない。 「ママ! あたし、来月から大学だよね?」 「何言ってんの、あんた『高校生』でしょ、いい加減しっかりして」 頭をぶん殴られたような衝撃。この一年、あたしの受験を熱心に応援してくれたあのママが。間違いない。あのアプリで何度か職業を変更して遊んだ。最終的に「高校生」に戻して確定した。まさか、でもまさかまさか……! (うそ? あたし、職業高校生で固定され……え? まさか、それ変えられないの!?) 嘘だ。そんなことはあるはずない。何かの冗談……みんなであたしをからかってるんだ。でなきゃ夢だ。 でもあたしはもう知ってる。わかってしまっている。何度もあのアプリで遊んだんだもの。周囲のこの反応はアプリでアイドル化した時の事務所のアレと同じ……! 鳥肌が立ちっぱなし、身も凍り付くような恐怖の二週間が過ぎ、あたしの新生活が……二回目の「高三」が始まった。あたしは大学に受かった。それは間違いない。卒業も……した。しかし、世界はあたしの大学進学を拒んだ。誰もそれをおかしいとも思わない。「留年かよ」とツッコんでくることもない。留年ではない二回目の高三が、ただ粛々と、当然のことのように始められた。二度と着ないはずだった制服に袖を通し、あたしは……後輩たちと同じクラスに登校した。 「おはよう彫谷さん! 今年から同じクラスだね!」 「う……うっす」 去年まであたしを先輩と呼んでいた子たちが、あたしに同い年かのように接してくる。そして、それを疑問に思う様子も見せない。誰も「先輩留年したんすか」と煽ってもくれない。同い年の友達が普通に進級した、そんなノリだ。 先生方も、何一つ特別な反応を示さない。また受験勉強の心構えを説いてくる。去年と同じように。 その日家に帰ってからあたしはみっともなく泣きわめいた。なんで、なんでどうして……。あんなに頑張って勉強して、大学受かったのに。ちゃんと卒業したのに。また高校三年生に逆戻りだなんて。酷い。酷すぎる……。 不登校という選択肢もあった。けど、次こそは卒業できるかも? という淡い期待……。これはアプリのバグだか誤作動だかで、次はちゃんとなる……と信じずにはいられない。だって、そうじゃなかったら……。多分そうじゃないけど……絶望じゃん。 二回目の大学受験も何とか成功させ、二度目の卒業。あたしは何度も先生方に確認した。あたしはちゃんと卒業できるんですよね? 留年じゃないですよね? と。留年なわけないだろ、笑って返す先生。でもあたしは知ってる。あなたが今、あたしがここにいることに疑問を持っていないことを。 結論から言うと、卒業はできた。でも、あたしは「職業:大学生」に自分を書き換えることができなかった。三度目の高三が幕を開ける。その日のことはよく覚えていない。「一年」だったはずの後輩たちと同じクラスになった日のことは。 地獄だった。本当の同級生たちが順調に人生を進めていく中、あたしはずっと高三で足踏み。卒業しても戻される。かといって不登校になれば親や学校が出張ってくる。受験勉強をしなくても。「自分の将来を考えろ」とかなんとか言いながら……。 これが高二か、高校全体のやり直しだったら、開き直って永遠に高校生を堪能してもよかったかもしれない。でも、高三だ。楽しい学校行事もなく、ひたすらに続く受験勉強。受かってもその大学に行くことはできないのに。そしてその間もあたしの体は、世間の西暦は、しっかりと歳を重ねていく。本当なら社会人になる歳なのに、あたしは高校の制服を着て、自分よりだいぶ年下の子たちと同じ教室に登校しなくてはならないのだ。 「若返り」を入れといてよかった。あたしは毎年、自分の歳をリセットした。それで何とか正気を保てる。でも世界は若返ってくれない。かつての後輩が教育実習に来たのを知った時、あたしは目の前が真っ暗になった。 「あれ? 彫谷さん! 久しぶり~。元気?」 「あ、う、うん……」 あたしより年下だったはずの彼女はずいぶんと垢抜け、大人っぽくなっている。それに比べてあたしは……いや、年をとろうと思えばとれる。でもでも、そしたらあたしは大人なのに制服着て高校通ってるおばさんに……なっちゃう。 頭の中が真っ白で、どんな会話をしたかは思い出せない。ただ、あたしが得られなくなった人生の成長を聞かされるたびに、気が狂いそうになったことだけを覚えている。いい歳して未だに高校生をやっている自分の惨めさ痛さをこれ以上なく思い知らされ、羞恥のあまり泣き叫びたくなったことも。 本当に、あたしは……一生このままなの? 「職業:高校生」を更新することは永遠にできないの? やがて同級生が教師としてこの学校に来て、あたしに受験勉強の心構えを説く……。そんな日が来てしまうんだろうか。い、嫌だ。そんなの、そんな……耐えられない。死ぬまで高校生なら、いずれは友達の子供が入学してきて、それで……あああああっ! なんで? どうしてあんなアプリ使っちゃったんだろう。やめときゃよかった。ていうか、こうなるなら注意書きぐらい書いといてよ。酷い、酷い酷い酷い。もっと違う能力を自分に設定しとけばよかった。何が……パッと思い浮かばないけどきっと何かもっとあったはずだよ。軽い見世物にしかならないしょぼい魔法じゃなくって。 永遠に続く無意味な受験勉強、やがてくる一周遅れ、いや世代遅れへの尋常ならざる恐怖と戦いながら、必死に己の正気を保とうと努力する日々が今日も幕を開ける。明日も、そのまた明日も、来年も、再来年も。永久に。

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Anonymous

久々にopqさんの今まであまり無かったタイプの作品が見られてとても良かったです。

opq

コメントありがとうございます。受け入れてもらえてよかったです。

Anonymous

永遠の命=永遠の苦しみ、このような物語はたくさんありますが、この物語は以前のものとは違った風格を持っています。永遠の青春もこのように苦しめることができます。本当に悲しいです。 本当に素晴らしい作品です。

Anonymous

今でも物語に浸っています。素晴らしい作品を作ってくれてありがとうございます。

opq

感想ありがとうございます。お褒めいただき光栄です。

Anonymous

このような設定変更みたいな小説は凄く好きです!しかも自分の思い通りに行かないみたいのがopqさんの小説らしくてツボにささります。

opq

コメントありがとうございます。気に入っていただけたようで嬉しいです。