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「お父しゃーん!がんばってー!」


 声がする。

 まだまだ幼い声を出しているのはおれの息子だ。どんな状況だって間違えるはずが無い。小学校に入る前だっただろうか。今よりも舌ったらずだけど精いっぱい声を出しておれを応援してくれている。

 おれと同じ龍人だが、鱗は柔らかく龍種特有のたてがみもまだ生えていない。その薄緑色の鱗は宝石のように輝いている。


 

「おう!見てろよハルー!父ちゃん絶対勝つからなー!」

「ぜったいだぞー!いけいけお父さーん!」


 声がする。

 映像の中で筋肉を見せびらかしているのはおれ。息子と違って腋も胸も体毛がもさもさで、そいつに脂肪と筋肉が付きまくったごつい身体を合わせているもんだから見ているだけで雄臭さが漂ってくる。少しがさついた鱗といい、太鼓腹といい、息子と比べるとバケモノみてえだなと我ながらうんざりしてしまう。

 

 そんな雄臭い野郎が声を張り上げているのは市営の体育館だ。

 これは確か、おれが柔道の大会に出場していた時の記憶だ。あの頃はまだ仕事が忙しく無かったし『アイツ』に出会ってもいなかった。趣味として柔道を続けるぐらいの余裕があったんだ。

 

「さあ、行くぞぉ!ハルの父ちゃんが一番強ぇんだってところを見せてやるぜ!」


 ああ、馬鹿な男だ。こんなの小さな大会で、優勝したって大した自慢にならないのに。ハルが見てくれているってだけであんなにも喜んでいる。あんなにも輝いている。着ているのはぼろっちい柔道着で、全身汗まみれで、なのに今のおれにはどうしようもなく羨ましくなる。

 映像の中のおれは、すべて持っている。薄暗く汗臭い部屋で這いつくばるおれとは違う。

 ハルを心から愛して、男としての自信にあふれていて、今のおれとは――

 

「――今の方が、ずっとかっこいいよ」


 おれの思考を中断する言葉。

 ハルと同じくらい幼い声のくせに、聴いただけで背筋に悪寒が走るようなおぞましさが秘められている。

 

「頑張って良いお父さんをしてるけどさ、あんなの偽物だよね。今のキミの方が本物なんだよ、ねぇ?」


 囁きかけるはふわふわな毛並みをした狐の子。指を沈ませれば陶酔とした声を漏らしてしまいそうな毛皮に可愛らしい顔立ち。子どもの魅力をふんだんに詰めた見てくれをしているくせに、その口から出るものは醜悪極まりない。

 耳の穴から入り込んで脳みそを舐め回す、そんな声だ。聞いていると吐きそうになる、不愉快な声。

 

「……はい。おれを本当のおれにしてくださってありがとうございます、ボス」


 だがおれは神の声を聞いた信徒のような喜びを表現する。ちゃんと笑顔をできているだろうか、機嫌を損なわない声を出せているだろうか。自分の息子と変わらない歳のガキに向かって、おれは媚びへつらった笑顔を向ける。

 

「うん。キミが正気に戻ってくれて嬉しいよ」

 

 幸い、狐の子はおれの態度がお気に召したようだ。満足げに尻尾を揺らし、おれの身体を撫でまわす。太鼓原を何度も揉んで、筋肉の溝に指先を滑り込ませる。子どもとは思えない淫猥な手つきで。

 

「あっ❤んああぁ❤❤ボ、ボスぅ❤」


 そして、身体を撫でまわされているおれから出るのは雄とは思えない下品な喘ぎ声だ。ちんぽやケツのような性感帯を触れられているわけじゃない。服の上から身体をなぞられているだけなのに、腰がもじもじと動いてしまう。

 みっともないと分かっているのに、身体が言う事を聞いてくれない。こんな、雌みたいな声なんて恥ずかしくて出したくないのに、乳首を抓まれるとおれの喉から雌の咆哮がほとばしる。デカい乳首を指の間に挟まれて、こりこりと転がされるともう駄目だ。

 

「キミも素直になったよね。前は声を出してくれなかったのに、今は乳首をくりくりーってしてあげると、ほら」

「ふひいいぃぃ❤❤あっ❤乳首❤❤おりぇのデカちくびぃ❤」

「もうビンビンになってるね。ヒーロースーツが破けちゃうよ、これじゃ」

「あひゃああああぁぁ❤❤❤」


 ああ、違う。

 おれは既にみっともない姿に成り下がっているじゃないか。映像の中にいる、男らしいおれなんていない。いるのは乳首をいじられてはしたない声を出す変態。開発されてデカくなった乳首が丸分かりの恰好をしている変態。良い歳の中年親父なのに、ヒーロースーツのコスプレをしている変態だ。

 

「このスーツはキミの為に特注したんだからさぁ。ヒーローでしょ?物は大事にしようね?」

「は、はいいいぃ❤申し訳ありませんボスっ❤❤❤おれはヒーローなのにぃ❤デカ乳首すぐビン勃ちしぢまうんでずぅ❤❤」


 おれが着ているのは赤銅色の鱗よりも鮮やかな真紅のヒーロースーツだった。光沢のある滑らかなタイツはおれの雄臭い面を反射して映し出し、白で良くわからないシンボルが刻まれている。古臭い映画の中で顔の整った男が着れば格好良い男が着れば光り輝く正義の使者にでも見えるのだろう。

 

 だが、おれは脂の乗った中年親父でしかない。映画のヒーローってヤツはそれこそ彫刻のような肉体をしているのに、おれは脂肪を多分に含んだガチムチ体型に龍族らしいデカい腹が付属している。両脚だって太すぎるし、上半身は空気で膨らませたみてえに逞しい。やたらと逞しい中年親父でしかない。そんなおれが、こんなヒーロースーツなんかを身に着けている。

 

「あっ、お尻が震えてるね。ヒーローはこれくらいで負けちゃダメだよ?頑張って」

「はひぃ❤もうじわげありまぜん❤❤ヒ、ヒーローはエロオッパイぐにぃってされたぐらいで、負けまぜん❤」

「そうそう。ヒーローは大事な人を守る為ならどんな事でも我慢できるんだから」


 加えて、今のおれは下品ながに股で筋肉を見せつけていた。両脚肩幅よりも大きく開き、両腕は折り曲げられて山のような力こぶを作っている。なんて下品なポージングだろう。筋肉をアピールするというよりも、自分の愚かさと無様さをこれでもかと主張している。

 

 けつを包んでいるスーツは光を照らしてそのでかさを強調する。けつたぶが作り出した谷間にぴっちりと食い込んだヒーロースーツは、肥えすぎた筋肉も盛り上がったスリットの形状も下半身のいやらしい箇所を余すところなく浮かび上がらせていた。

 

「うん、偉いね。カッコイイヒーローにはボスからご褒美を上げるよ。嬉しいよね?」


 ご褒美という言葉におれの尻尾が小さくのたうった。喜びではなく、恐怖に。目の前のガキが言うご褒美がどれだけおぞましい物であるか、おれは自分の身体で良く知っている。

 しかし嫌悪や恐怖の感情を顔に出さずに、おれは情けなく媚びた畜生の顔で『ありがとうございます』なんて感謝を表す。おれの本心を知られれば待っているのはご褒美ではなくお仕置きだ。おれの人間性を凌辱し、尊厳を冒涜するような。だから、おれが随喜の顔を浮かべるのはただの演技なんだ。

 

 ――――ボスはなんて優しいのだろう。おれをこんなにも幸せなのに、もっとご褒美をくれるなんて。

 

 頭の中で鳴り響く声はおれの本心じゃない。おれを歪める化物の声だ、聞くな、無視しろ。

 やかましい声を無視しながら、おれは地べたに這いつくばる。長いマズルを地面に密着させて、逆にデカケツは高々と掲げる。雌が雄へと服従を示す屈辱的な体位。まともな男ならばこんなポーズを取る事に屈辱を覚えるだろうし、おれだってそうだ。だが、おれにはプライドなんかよりも大事な物がある。

 

「ボ、ボスぅ❤ごほうび❤❤はやくごほうびくだしゃいいぃ❤ヒーローマンコがうずうずで、もう我慢できませぇん❤❤❤」


 こうして売春婦みてぇな台詞を吐くのだって平気だ。このガキを喜ばせていれば、おれの大事な物は守れるんだから。

 狐の子はくすくす笑いながらけつの方へ回り込むと、薄っぺらい生地で包まれたぶ厚いけつに手をかける。指先が触れると喉ぼとけが上下し、スリットがじわりと粘液で湿った。でも、これは仕方ねぇんだ。このガキにおれが、おかしくされ――

 

「わぁ。今日もすっごい臭いんだね。キミのお尻っていつも汗でじっとりだ」

「んほおおぉ❤❤❤あ゛~~っ❤ボ、ボスぅ❤❤ケツッ❤おれのデカケツがボスにかがれちまってるぅ❤❤」


 ヒーロースーツは全身くまなく覆っているくせに、デカケツの深奥、通常は見えないはずのけつの谷間の深い部分には切れ込みが走っていた。ちょうど、おれのケツ穴と肛門周りにもっさりと生えたケツ毛だけを露わにしてしまっていやがるんだ。でかいケツ肉に蒸されて、屈辱で茹って汗まみれのおれのケツ穴が、丸見えで。

 

「んー。すっごくしょっぱいしお尻の毛もベトベト。キミって汗っかきだねぇ。僕と同じだ」

「ん゛ぅう゛お゛おぉ❤ケツッケツがああぁぁ❤❤ボスうぅうぅ❤おれのケツマンコに鼻息あたるうぅうぅ❤❤べろべろしゃれでるうぅ❤はひいいぃぃ❤❤❤」


 そのケツが、こんな小さなガキに嬲られている。鼻息が肛門を撫でると肛門がヒクついて、中の赤黒い肉をチラチラ覗かせちまう。じっとりと湿り気を帯びていく肛門が汗以外の匂いを放ち始める。

 そして、狐の子はさも美味そうに濡れた肛門を舐めるんだ。でかいけつを無理やりに割り開き、谷間に顔を突っ込んで。犬が餌皿に顔を突っ込むが如き浅ましさだが、真に浅ましく愚かなのはおれの方だ。ケツにジュルジュルといやらしい音を立てられて女とセックスしている時のようなスケベ顔になってるじゃねえか。

 

 恥ずかしいのに、たまらない。喉の奥に酸っぱいわだかまりが溜まり、そいつが脳を酔わせる。目頭までこみ上げてきておれを狂わせる。脳みそに熱い油を垂らされているみてえだ。

 

 羞恥心。快楽と混ざったそいつは猛毒だ。おれをあっという間に壊してしまう。

 

「はあぁ❤舐め、りゃれてるうぅ❤❤❤おれのけつが女みてえな音立ててるぅ❤クンニされちゃってるううぅーーー❤❤」


 上体がエビみてえに反り返り、太く立派な尻尾も宙を舞った。それでもケツだけは動かさないのは狐の子に掴まれているから。おれのケツはこの子の所有物だから。おれがしていいのは雷みてえな鳴き声を轟かせる事だ。

 狭い部屋の中でおれの声はやかましく反響するが、ケツを舐られる音の方が鮮明に聞こえやがる。陰湿な音が耳の中から入り込んで脳みそをかき回す。

 

「ん、ふぅ。ちゃんと濡れたかな。じゃあご褒美を始めるよ」

「あ……❤あはああぁ❤❤」


 そうだ。まだご褒美は始まってもいない。

 おれはケツ穴舐められてスリットオマンコをグチュグチュにしているが、こいつはただの下準備。本当のご褒美が来てしまう。おれをこんな変態親父に貶めた、あの忌まわしいモノがおれを犯すんだ。

 

「あ゛はぁ❤ごほうびぃ❤❤ぼすぅ❤今日もおれにヒーローパワーを注入してください❤」


 ご褒美を迎え入れる為の準備をしないといけない。

 でかいけつたぶを掴んで、ボスが見やすいようにしないといけない。汗ばんだ谷間を引き伸ばして、ケツ穴の皺を歪ませて、オマンコ肉を見えやすいようにしないといけない。

 それが、ヒーローとしてあるべき姿だから。そう命じられているから。

 

「うん、じゃあ今日はいつもより育ってる子を入れてあげるけど。壊れちゃ駄目だよ?ヒーローなんだからね」


 ああぁ、おれのケツ穴にアイツが触れてる。

 ちんぽなんかよりずっと太くて、柔らかくて、冷たいくせに生物の熱もあって。肛門をズルズル入ってケツマンコを貪ってああ、マンコの奥、奥に来る。あいつが、ああ、あああ、ああああぁぁぁぁ。

 

 ***

 

「お父さん、大丈夫?」


 そこにいたのはハルの、おれの息子の顔だった。

 映像の中じゃない。本物。夢の中で見たよりも少しだけ成長して、心配そうな顔でおれを見てくれている。

 それが現実なのだと確かめたくて、顔をぐにぐにと撫でまわしてやった。お父さんの手のひらはガサガサだからやめて!って嫌がられるスキンシップ。でもハルの顔を好きにいじくるのが楽しすぎてやめられない。

 

「やめろーばかばか!すっごいうーうー言ってたから心配したのに!」

「うーうー……そんなに変な声出してたのか、父さん」

「僕、隣の部屋でテレビ見てたけど聞こえたもん。怪獣の声みたいだった」


 怪獣の声というのがハルらしいな、と思いながら起きると背中が汗でじっとりと濡れていた。正確には背中だけじゃなく全身が、汗以外の物でも。ケツの谷間とスリットのあたりが特に酷く、ハルがこの液体の匂いに気付かないか心配になるほどだった。

 

 バレないように慎重に寝間着を脱ぎ捨てると、タオルで性器の周りも拭き取った。どうせこの後はもっと酷く汚される事になるのは分かっているが、ハルの前では綺麗な父親でいたかった。

 

「寝坊してゴメンな、ハル。すぐに朝食用意してやるからな」

「だいじょぶだよー。ヒーロータイム見たいから早起きしちゃっただけだし。ご飯はパン食べちゃった」

「そ、そうか。今日は日曜だからテレビあるんだったな」

「うん。だからお父さんは寝てていいよ。僕はまだテレビ見てるから」


 手早く告げるとハルはテレビの前に戻って行った。

 全く、できた息子だ。少し前までは一人で寝るのも嫌がっていたのに。日曜日のアニメや特撮に夢中なところはまだまだ子どもだなと思っていたのに。

 あんな夢を見てケツ穴を濡らしているおれなんかよりもずっと立派だ。朝食も用意してやれないなんて、自分が恥ずかしい。死んだ女房にはハルを立派に育てると誓ったはずなのに。

 

「ねえお父さん。来月にライダーの映画が来るんだって。連れてって!」


 テレビ画面では子どもに人気のヒーローが新しいコスチュームを着て戦っている。おれがガキの頃のヒーローと比べると色合いが派手な気もするが、洗練されたデザインと子どもが好きそうなギミックを付けてキックやパンチをするヒーローは格好良かった。

 

「ん……そうだな。来週は休みが取れるだろうから、一緒に行くか」


 画面の中のヒーローは輝いていて、見つめるハルの瞳もキラキラしていた。

 おれとは違う、本物のヒーローだ。テレビの中にいるかどうかなんて関係なく、子どもたちが憧れている。ハルを幸せにしてくれている。悪い悪役を倒すたびにハルの尻尾が嬉しそうにぱたぱた揺れている。おれみたいな、何もできないクズ親父なんかとは違う正真正銘のヒーロー。


「その代わり、ごめんな。昨日も言ったけど今日は仕事だから父さんは出かけなきゃいけないんだ」

「いいよ。僕はテレビ終わったら友達とゲームで遊ぶ約束してるから。いってらっしゃい!」


 ハルはこう言ってくれているが、おれが一緒にいてやれないと告げた時はいつもほんの少しだけ悲しそうな顔を見せるのだ。まだまだ子どもで、母親まで亡くしている。おれがいつもそばにいてやらないといけないのに。

 

「ごめんな、昼食は冷蔵庫のカレーを温めて食べるんだぞ」

「いいよ、お父さんがいっつも忙しいの知ってるもん」


 今日も仕事だなんて嘘を吐いて家を出る。

 本当は仕事なんかじゃない。ハルと同じくらいのガキに媚びへつらい、女房を裏切るも同然の最低な行為をしに行くんだ。今日だけじゃなくこれまでずっと。これからもずっと。ハルを騙して、おれは下品で醜悪な変態親父になる。

 

「じゃあ、出かけてくる。外には勝手に出るなよ。最近物騒だからな」

「分かってるよー。お父さんも、お仕事気をつけて!」

「ありがとな。お土産にケーキでも買ってきてやるからな!」


 そして、ハルと笑いあいながら家を出る。

 ハルは何も疑っていない。おれが仕事に行くと信じてる。平日も遅くなるのは仕事だと信じてる。今手に持っているバッグも、仕事の道具が入っていると信じている。中身が何なのかを知ればハルはどう思うのだろうか。笑うのか、それとも格好良いと無邪気に笑ってくれるのか。

 

 益体も無い事を考えながらおれは近所の公園に向かって歩き出す。仕事場で無いどころかロクな設備の無い、ボロっちい公園だ。幼児の安全性うんぬんが騒がれたせいで遊具もほとんど無い。あるのはカビの生えたような公衆便所だけで、ほとんど人が寄り付かない。

 

 今のおれには実にありがたい場所だ。これから行う事は、ハルはもちろん近所の連中にも見られるわけにはいかないから。

 

「誰にも見られなかったよな……」


 数年は清掃されてねえんじゃねえかってぐらい汚い便所に入ると、誰もいないのを確認して個室の鍵をかけた。トイレでオナニーする変態みてえな怪しさだが、まだソッチのがマシかもしれねえ。今からおれは言い逃れのできない変態な姿を人に晒さなきゃいけねえんだから。

 

 おれがバッグから取り出したのはヒーロースーツだった。夢の中で身に着けていたのとまったく同じデザインの、おれを最低最悪なヒーロー親父に変えてしまうスーツ。

 

「クソ、畜生。こんなモン……!」


 悪態を吐きながらもおれの手は準備を進めていた。ここでもたついていたら後悔が待っていると分かっているからだ。シャツとジーンズ、そしておれの下半身を隠してくれていた防波堤のようなビキニパンツを脱ぎ捨てて、代わりにヒロイックな全身タイツで全身を包む。

 

「んっ❤あぁ❤❤クソッ❤こんな、変態スーツなんてぇ❤」

 

 おれの罵倒には甘さが混ざり始めていた。このスーツはツルツルの薄い生地な上に身体に張り付くという最悪なデザインだが、その着心地は最高という他なかった。

 腕をスーツに通すだけでも湿った吐息が漏れて、太い両脚にスーツが張り付けば腰が勝手に左右に踊る。でかいけつとスーツ生地が触れ合う感触に肛門がひくつく。ぷっくり膨れた乳首がスーツで圧迫されちまえばもう罵倒か矯正か分からない声が溢れ出していた。

 

 いかに良質な着心地のスーツだからってこんなに感じるはずがない。スリットが潤み始めるなんておかしい。これも全てあのガキのせいなんだ。おれは乳首を弄られただけでもよだれを垂らし、スーツを着る事が悦びであると感じるように変えられてしまった。

 

「ふうゥーーッ❤❤こ、こんなスーツなんかにおれは負けねえぞ❤ん゛うぅ❤❤」


 スーツを着終えたおれは気合を入れるように仁王立ちになると、筋肉に気合を入れる。自分を発奮させる為にやったはずだが、傍から見ればコスプレスーツ姿を誇らしげに見せびらかす変態親父だろう。

 

 改めて自分の姿を確認すると、おぞましさで吐き気をもよおした。

 いかつく威圧的な顔の下を覆っているツルテカのスーツよりも似合わない衣服がこの世にあるだろうか。従弟の結婚式で礼服を着た時もこんな気持ちにはならなかった。

 なんせ、おれの身体は仕事と趣味の柔道で鍛えたせいでどこもかしこも太すぎるんだ。筋肉が凸凹付いた腕は鉄骨でも入ってんのかってぐらいに力強く、胸は筋肉と脂肪がたっぷりついて風俗の姉ちゃんのオッパイよりでかい。ついさっきテレビで見たスリムなヒーローとは何もかもが違う。

 更に酷いのは下半身で、ドラム缶みてえにぶっとい太ももにスーツが隙間なく吸い付いてしまっている。そのせいで太ももに浮き出た血管の形まで分かっちまいそうだ。股間にもフィットしているせいでスリットの形までもくっきり。デカいケツに張り付くスーツは夢と同じように股間部分に切れ込みが入ってしまっている。がに股になればけつたぶからケツ毛がはみ出ちまいそうだ。言い逃れのできない変態っぷり。通報されたっておかしくねえ。こんなの、おかしい。

 

――――おかしくない。お前はヒーローなんだから。


 クソ、うるせえ。おれは頭を振って鬱陶しい声を追い払う。

 おれの常識と理性はこの変態スーツを拒んでいるが、内から湧き上がる声がこれこそが自然なのだと訴えてくる。おれではない、異物が発する声。ソイツは狂った言葉を常におれへと囁きかけるでなく、身体を全身モロ感へと改造してしまった。全てはあのガキに会ってしまってから。

 

――――ボスに出会って、お前はヒーローになれたんだ。


 駄目だ。こうして考え込んでいても頭の声がやかましくなるだけ。時間を無駄にするだけだ。行かなくてはならない、あのガキの所に。

 おれは最後にもう一度自分のみっともない身体を見下ろすと、周囲に人がいないか注意を払いながらトイレを後にする。いつもの事だが切れ目が入っているケツの部分に寒気が走って仕方なかった。

 

***


「見て見てぇ、あれが噂のヒーロー親父!本当にヒーローのコスプレしてるぅ」

「マジでいるんだなあんな痛いオッサン。恥ずかしくねえのかな?」

「本人はヒーローのつもりだからさァ、恥ずかしいなんて思わないんでしょ。うわーみっともない腹してるぅ」


 こうしてヒーロースーツを着こんでいる時、特に辛いのがこの時間だ。

 あのガキに身体を玩具にされるのはもちろん地獄のような苦しみだが、大事な物を守らなけれならない使命感、そしてクソガキへの怒りがおれを支えてくれている。

 

「でもさー、アレ見てよ。バッグで身体隠してんじゃん。本人も恥ずかしいと思ってんじゃない?」

「だったらやめりゃいいのにな。頭イカれてんのかね、あのオッサン」


 だが、こうして街中で衆目に晒されるこの時間は誰にも怒りを向けられない。周囲の連中はおれを嘲笑い、スマホを向けてくるヤツまでいる。ネットの一部では『各地に出没する変態ヒーロー集団』とかで騒ぎになっているらしい。

 あいつらの反応も当然だ。こんな良いトシをした親父が、全身ピチピチのスーツを着て街中を歩いているんだ。それも、毎週のように。最初はおれのガタイを恐れてか遠くから見つめるだけだったが、おれが嘲笑われても反撃しないと分かってからはより直接的にコケにしてくるようになった。

 

「おーいオッサン!ヒーローゴッコなんかしてていのかよ!家族が泣いてんぞぉ!」


 おれの部下ぐらいの若造に馬鹿にされても、おれは何も言い返せない。

 全て事実だからだ。おれはどうしようもない変態で、死んだ女房にもハルにも顔向けできない行為をしている。あのガキにやらされているかどうかなんて関係ない。

 だから、おれは黙ったまま股間にバッグを押し付ける。ぷっくりと盛りマンのように浮き出たスリットを見られないようにするのが精いっぱい。風呂場でちんぽを隠してるみたいでみっともねえが、少しでもこの身体を隠したかった。

 

――――何をしている。ヒーローなのだから堂々と身体を見せつけろ。


 そうしないと、中から聞こえる声に従ってしまいそうだったから。声に従って堂々とヒーロースーツに包まれた身体を見せつければ、間違いなく気持ち良くなれるのだという確信があった。

 侮蔑と嘲笑の視線がおれに突き刺さり、ヒーロースーツの下の身体に針が刺されたような快楽が走るんだ。

 

(止めろ。おれの身体をこれ以上見ないでくれ)


 願ったところで届くわけもなく。くすくすと笑う声がおれの耳をくすぐる。スマホがカシャカシャと鳴っておれの姿をメモリに納めている。視線は形を持っているかのようにおれを貫き、悶えさせる。

 おれはこんなにも羞恥に塗れているくせに、デカケツは恥ずかしげもなく飛び出しておれが歩くたびにユサユサ揺れやがる。けつが踊るとケツ穴やケツ毛がうっかり見えてしまいそうで更に羞恥心を加速させる。ヒーロースーツの下はとっくの昔に汗まみれになっていた。

 

 羞恥心という毒はあっという間に全身に回っておれを狂わせる。抑えないといけないのに。あのガキのところまではまだ1時間以上ある。昂ってしまったら、おれの中にいる『アレ』が暴れてしまう。

 

「はあ゛あぁ❤は、はやく❤❤行かねえと❤あのガキのところに❤❤」


 おれは股間を、そして腹を抑えながら駅の構内へと足を進めた。どうか、スリットからはみ出始めているちんぽが気付かれませんようにと願いながら。

 

***


 電車に暖房が入っていなかったのが唯一の幸いと言えるだろう。通勤ラッシュとは無縁の休日なのに、電車の中は呼吸がロクにできないようなすし詰め状態になっていた。その理由は近場で行われるスポーツ系イベントのせいらしいが、そんな事今のおれには重要じゃなかった。

 四方八方をやたらと逞しい男どもに囲まれて、電車が揺れるたびに敏感な身体と擦れあっちまう。コンドーム並みに薄いヒーロースーツはおれの身体を守る役目をちっとも果たしてくれないどころか、全身から湧いた汗を余計にぬるつかせておれを不快にさせる。

 

(見られてる……何で、今日に限ってこんなに人が多いんだ)


 加えて纏わりつくような視線もおれをもどかしくさせた。遠巻きに罵声と視線を投げかけられていた時とは違って、男が密集したこの空間ではすぐそばから視線が投げかけられる。それも、侮蔑だけではない絡みついて来るような感情を乗せて。

 

(やめろ、見ないでくれ)


 願ったところでおれはどうしても視線を集めてしまう。そこらの男より縦にも横にもデカい大男が、ピチピチのヒーロースーツを装備している。この異常な光景に惹きつけられない方が無理ってもんだ。

 すぐそばでおれの身体を眺められるせいで、よく鍛えた筋肉の盛り上がりもはっきりと見られてしまう。駅に入る前は嫌悪感丸出しの目で見られていたが、この電車の連中は好奇心と、そしていやらしさを混ぜた目つきでおれを舐め回すように見てきやがる。

 

「すげぇ身体。このオッサンもイベント出るのかな」

「こんなエロい親父出るんだったらイベントで告知あるだろ。ケツやべぇデカさだぞ」

 

 若い男二人がおれを見ている。

 それはおれに聞かせるつもりのない囁きで、電車の走る音に紛れて消えてしまうそうな小ささだ。でもおれにはどうしたって分かってしまうんだ。

 視線がおれの身体を這いまわる感覚。無視しようとすればするほどに身体は興奮しちまう。スーツを豪快に引き延ばす筋肉が撫でまわされているような感じがし、蒸れていたスーツの下が更に熱を持ち始める。胸の奥、筋肉、そしてスリットからはみ出ていたちんぽまでも。

 

(ああぁ……❤ちんぽデカくなっちまう❤❤電車の中で❤ピチピチスーツにちんぽの形クッキリさせちまってるぅ❤や、やばいぃ❤❤)


 一度膨張を始めたちんぽはあっという間におれの制御を離れてしまう。早くなった鼓動と一緒に血流が早まり、熱い血流がちんぽへと流れ込む。太くて硬いおれの自慢のちんぽが槍のようにガチガチになり、ちんぽに張り付くヒーロースーツが竿を擦る快感が伝わる。

 

 薄いくせに頑丈なスーツは破れないでいてくれたが、その代償としてちんぽの形を卑猥に浮き上がらせていた。腹筋を打ち据えるような力強さで勃起しているちんぽは、おれの太鼓腹とヒーロースーツに圧迫されて少しみじろぎするだけでもたまらなく気持ち良い。汗でぬるついた腹に加えてちんぽから噴き出す我慢汁のせいでスーツの中は油を流したみてえにヌルヌルだ。その中でちんぽが擦られるとすぐに射精しちまいそうだ。こんなところで興奮したら、あいつが暴れ出してしまうのに。

 

(ぎもぢいぃ❤❤ちんぽこすれるうぅ❤お、おれぇ❤こんなところで❤❤変態スーツでオナっちまっでるよおおぉ❤❤❤)


 股間をバッグで隠しているので勃起ちんぽは見えない。そのせいでおれは自分を抑える事なくちんぽをいきり勃たせ、カバンめがけてめりこまんばかりに押し付けていた。これ以上の快楽を求めれば、おれの中に住むアイツが目覚めると分かっていても止まらない。

 

 ちんぽは脈動を感じとれるほどに血流を激しくし、もっともっとと快感をねだるように熱く震え続けている。股間周りに粘つく淫乱ローションとスーツのきつい締め付け、そして何よりも電車の中でちんぽを硬くしている羞恥心。おれのちんぽは萎えるどころかますます硬くなり、ちんぽ汁でスーツにシミを作り出す。

 

(ああっ❤くっせぇ❤❤❤おれのちんぽ汁の臭いで鼻曲がっちまう❤こ、こんなドスケベな臭いしてたらおれがちんぽ勃たせてるってばれちまうぅ❤❤)


 車内にガタイの良い野郎が多いのに加え、おれがきつい汗の臭いを放っているせいですぐさまちんぽ汁の臭いがばれる事は無かった。

 だがおれの嗅覚はくっせぇちんぽ臭を鋭敏に感じ取りでかい鼻の穴をひくつかせてしまう。自分の臭いだというのに吸い込んでいるとやみつきになりそうだ。嗅覚から脳みそまでじぃんと痺れて、ただでさえ良くない頭がどんどんバカになる。ちんぽだけじゃなく、ケツや乳首までも疼き出す。

 

「ん……なあ、変な臭いしねえ?」

「そりゃこんだけ混んでたらな。ガタイの良いやつばっかだし、臭うだろ」

「なんかさっきまでと違うような……気のせいか?」


 周囲にはおれの臭いに勘づいてるヤツもいて、それが興奮に拍車をかける。みっともなく開いた口から喘ぎ声が漏れ出している。呼吸の間隔が短くなって、全身から噴き出す汗が増していく。カバンにへこへこと腰を押し付けるのを止められない。

 ちんぽが勃起すればするほどにスーツが引っ張られて、おれの身体に食い込むんだ。ケツをぎゅうぎゅうと締め付け、会陰部を圧迫する。もしケツの谷間に切れ目が無ければ肛門にも食い込んでくれたのに。そう思うとケツ穴がひくついておねだりをし始める。

 

(オマンコうずくぅ❤❤おちんぽきもぢいいけどマンコも乳首もいじられでえええ❤❤❤ここでおねだりしたら姦しでぐれねえかなあぁ❤)


 グチョグチョになったスーツが吸い付いた状態でちんぽを擦るのは手でしごくのよりもはるかに気持ち良かった。淫乱汁をオイルにしてちんぽの摩擦は潤滑になり、腰を振り立てる速度も増す。おれがスーツオナニーをするのに合わせて下品な水音が漏れていたが、腰は止められない。それどころかもっと聞かせてやりたいとさえ思っていた。でかいケツを振ると後ろの乗客にも当たってしまうが、だからどうした?おれのケツに欲情してちんぽぶちこんでくれよ。

 

(バレちまうっ❤いいぞいいぞぉおぉ❤❤電車でオナニーしてる変態ヒーローがここにいるんだぜぇ❤お前らのちんぽで成敗してみせろ❤❤はやくはやくはやくううぅ❤)


 狂っているとしか言いようが無い。今のおれには忌避感も理性も消え失せていて、自分をヒーローだとのたまう事にも躊躇いが無かった。おれはただのヒーロースーツのコスプレをしているだけの中年親父で、ハルって大事な家族がいる父親なのに。こんな変態行為をして、犯されたいと望むなんて完全にイカれている。

 でもおれに自分を抑える余裕は無い。羞恥心で焼かれ続けた自意識は歯止めを失っていた。ちんぽに負けず劣らず勃起した乳首をスーツに浮きだたせ、ケツマンコからも汁を垂らし始めている。

 

「はーっ❤はあぁぁ❤❤」


 火照って陶酔とした間抜け面のまま、腰を振り続けるおれに周囲の連中も怪しみ始めているようだった。しかしおれはオナニーを止める事はない。おれをいぶかしむ視線すら快楽の手助けをして、でかいけつが悦びに打ち震えているんだ。止められるわけがない。

 

 おれはこんな変態じゃない。ハルの為に良い親父であろうと頑張って来たんだ。それを全部、あのガキが。おれの中にいるアイツがブチ壊してしまった。

 駄目だ、もう止まらない。これだけ身体が発情したらアイツが暴れ出すだろう。そうなったらおれはただの雌豚になる。自分でケツを割り開いてオマンコしてくれってねだっちまう。その先に待っているのは破滅だけだ。おれだけじゃなく、ハルの人生をメチャクチャにしちまう。止めないといけないのに。

 

(いぎだいいぃ❤❤❤もうげんかいぃ❤おちんぽイクッ❤❤電車の中で雄臭ザーメンどぴゅどぴゅうぅうぅ❤❤❤)


 おれの意思を無視してデカマラをバッグへと擦りつけ続ける。ちんぽだけではなくスーツと触れあう全身から快楽が湧き上がり絶頂へと加速する。ちんぽがググッと限界まで持ち上がると同時に肛門がきつく収斂した。絶頂の合図。体内の精巣がザーメンをぶっ放す準備に入っていた。

 止まらない。おれの人生をぶち壊すザーメンが、あと少しちんぽを刺激するだけで撃ちだされようとしていた。

 

『――本車両は、トラブルにより当駅にてしばらくの間停車いたします。お客様には大変ご迷惑を――』

(――――ッ!)


 おれを止めてくれたのはトラブルを告げるアナウンスだった。

 脳みそまで煮立ってしまったおれとは対照的に、冷静で無機質な声は射精寸前だったおれの身体へやけに深く染み渡り、現実へと引き戻してくれた。

 そうだ。おれは何をやっているんだと理性がゆっくりと戻って来る。こんなところで射精なんてしていいはずがない。

 

「す、すいません。降ります。ここで降りるんで通してくれ!」


 射精への欲求は沈静化したが勃起ちんぽはすぐには戻らない。いったん降りてトイレかどこかで収まるのを待つしかない。そう考えたおれは電車から降りようと人混みをかきわける。

 バッグで股間を隠しながら進むので前かがみの情けない姿で歩くヒーロー親父という醜態を晒してしまうが、構っていられない。早くここから離れないと、アイツが暴れてしまう。

 

「オイ、押すんじゃねえよ変態オヤジ!気色悪い格好しやがって!」

「す、すまん。でも急いでるんだ。頼む、早く、早くしないと――――」


 スーツ姿の中年に押しのけられて不愉快そうな声が上がるが、おれは躊躇していられない。射精寸前まで発情してしまっている身体は、いつアイツにメチャクチャにされるか分からなかったから。どうか、もう少しだけ待ってくれ。トイレに駆け込むまでの間だけ、こんなところでおれを壊すのだけはやめてくれと必死に願った。

 

 おれの願いなんて、アイツが聞き入れてくれるわけがないのに。

 

「――お゛ほぉ❤」


 おれの筋肉がバネのように跳ねあがると、いかつい顔が天を仰いだ。今の今まで皺を作っていた顔が、だらしなく眉毛を八の字にしていた。

 

「お゛おおおぉおぉ❤❤❤んぅう゛おぉぉぉ❤❤」

「うわっ!なんだコイツ!」

「急に震え出しやがった。イカれてんのか?」


 周囲の男どもは突然喘ぎ声を漏らし始めたおれを恐怖の目で見つめていた。ヒーロースーツを着ている痛々しい親父だと思っていたら、一人で勝手に痙攣しだしたのだ。もはや嫌悪や奇異よりも恐怖が勝る。あいつらにはおれが一人でイキ顔になったように見えるだろうから。

 

 だが、おれはイったんじゃない。イかされたんだ。おれの中のアイツ、今も、ケツ穴の中をずりずりと蠢いているバケモノに。

 

「だ、だべえぇ❤❤動く、な゛あぁ❤いまやばい゛っ❤❤やべでえ゛ええぇ❤❤❤けつこずれるぅう゛うぅぅ❤❤」

――ヒーローは、いつでも快楽を優先しなくてはいけない。


 懇願は無意味であると知りながらもおれは止めてくれと叫んでいた。

 おれがケツをきゅっとすぼめて快楽に耐えようとするが、そんな物無駄だとばかりにアイツはケツの中を進む。

 

 太い胴体が腹の中ではいずり、節足がマンコ襞を撫でている。無機物では不可能な生物の蠢きをマンコで感じ取ってしまう。

 

「下がってぐるぅ❤❤ぎちまうっ❤やめでぐでええぇぇ❤❤❤降りで、ぐるな゛ああぁ❤」

 

 いや、進むという表現は正しく無い。アイツはケツから入り込んでくるのではなく、逆に奥から肛門に向かって降りてきてるんだ。おれの肛門を奥から犯している。

 並みのちんぽよりもぶっとくて、柔らかいくせに弾力のある肉体がケツ穴の中をいっぱいにしていた。快楽に反応してケツを締め付けると弾性によって逆に押し広げられる。おれのケツ穴にみっちりと埋まったまま、感じる箇所を全て押しつぶしている。

 

 肛門から結腸まで届くバカでかいバイブを突っ込まれて、回転を付けて動かされているような感覚。しかも、おれのマンコは指を突っ込まれただけでイケるモロ感だ。視線を受けただけで感じる身体以上の淫乱マンコ。

 

「お゛あ゛おおぉ❤❤やばい゛いぃ❤にげ、にげないど、おおぉ❤❤❤」


 おれは天を仰ぎ見たままよたよたと歩き始めた。幸いな事にイキ顔のヒーロー野郎からは誰も近づいてこず、トイレまで最短ルートを行く事ができる。これならば、ザーメンをぶちまける前にトイレに駆け込む事ができるかもしれない。

 

 もっとも、背筋を仰け反らせてイっているおれでは間に合うかどうか怪しいが。今のおれの姿は酷いもんだ。マンコが気持ち良すぎるせいで閉じられなくなった脚は肩幅以上のがに股で、四股でも踏むのかってぐらい開いてやがる。あんまりケツを拡げすぎるとケツの穴が見えちまうかもしれないんだが、普通に立つのも困難なぐらいに足腰が震えちまっていた。バッグでちんぽを隠しているのが奇跡的な下品さだ。

 

「おほおおおぉ❤❤❤お゛おおぉ❤んほお゛おおぉーーっ❤❤❤❤」


 下半身も酷いが首から上も言い逃れのできない変態のそれと化していた。すぼめた口からは凄まじい勢いで呼気を噴き上げていた。天へ向かって吹かれる吐息は蒸気のように熱く荒々しい。茹ったイキ顔でヒュウヒュウと音を鳴らす自分は煙突孔になったような気分だった。

 

「ひゅおお゛おおおおおおぉ❤❤❤お゛ほおぉぉ❤❤やめ゛ぇ❤ほお゛お゛ぉ❤❤もお゛おおぉぉ❤❤❤」

――ヒーローは興奮したら何処であろうとオナニーをしなければらない。

――ヒーローはちんぽが欲しくなったらケツを振ってねだらなければならない。

――ヒーローはガチガチちんぽを見せつけて変態だとアピールしなければならない。


 狂いそうだった。

 マンコの中で快楽がのたうっている上に、理性を保とうとするおれの中でアイツが囁き続けるんだ。マンコが気持ちいいならちんぽを求めればいい。何も我慢しないで、セックスでもオナニーでもすればいい。それがヒーローのあるべき姿だと。

 おれはヒーローでもなんでもないただの父親だ。ちんぽを欲しがるなんて狂ってる。頭ではそう分かっていても負けちまいそうだ。

 

「ふひい゛いいぃ❤❤どけ、どいてくでぇ❤❤❤」


 ガニ股で屈伸運動をしながら、おれはなめくじが進むような速度でトイレへと向かった。首筋に危険な痙攣が走り、長い舌が突き出されていた。泡が混じったよだれを呼吸と一緒に吐き出して、顔をどろどろに汚していた。

 

――ヒーローは我慢なんてしてはいけない。気持ち良くなりたいなら、好きに身体をいじらなけれならない。

 

 歪む。精神が歪み、ケツマンコの形状が歪めらている。

 ケツマンコの中で花が咲こうとしていように直腸が押し広げられていた。柔らかい肉質でマンコを擦られて、這いまわられる。ちんぽを出し入れされるんじゃ味わえない快楽がケツ穴の中で蠢いている。肛門からじゃなく、結腸から快楽が湧き上がってくるのは脳みそを溶かされるような気持ちよさだった。

 

「ん゛おおおぉぉ❤❤❤ケツがごりっでぇ❤ぶっどぐでごりごりじでるのがオマンコで暴れでるううぅうぅ❤❤へお゛おおぉぉ~~~❤❤❤」


 声を抑えるどころかマンコをどんな風に犯されているかをわめいてしまう。おれのケツに潜り込んでいるアイツは数珠繋ぎのように段々の形をしていて、ケツマンコで飲み込むのがやっとの胴体とくびれた箇所が交互に連なっている。

 

 そんな物が結腸から降りてくるんだ。

 ごりごりと結腸のすぼまりを押し広げられたかと思うと、すぐさま支えを外されたかのように収縮する。ケツマンコが拡張と収斂の連続性で嬲られる。きゅぅと締まった結腸口は、休みなく次の胴体に押し入られ、掻き分けられる。

 

「おがしゃれでるうぅ❤おでのマンコ奥がらおがざれでるのお゛おぉぉ❤❤❤たずけ、たすげでえぇ❤❤」


 それはまるで亀頭がいくつも付いたちんぽで犯されているようで。メリメリと拡げられてはまた締まり、拡げられ、締まる。

 歯が不規則に噛みあわされていた。仰け反っていた背筋が悲鳴を上げてヘシ折れそうだ。もう、おれには何も見えていなかった。白目を向いて絶頂しているおれには快楽と蔑む声だけが感じ取れる。

 

「やだ、何アレ。頭おかしいんじゃないの」

「誰か駅員呼んで来いよ。マトモじゃねえだろあのオッサン」

「あのヒーロー親父なんか汁垂らしてるぜ。うへぇ、マジモンの変態じゃん」


 嫌悪感に塗れた言葉が与えるのは苦痛ではなく安心だ。そうだ、今のおれは普通ではないのだと、屈してはいけないのだと教えてくれる。声にすがりながらおれは必死に足を進めた。どれだけ無様であろうと、自分を失ってはいけないんだ。

 オマンコが気持ちよくっても、直腸をミチミチに埋められても、そのまま回転されても、柔らかい内側をグチャグチャに掻き混ぜられてオマンコとろけそうになっても。

 

「も、もう少しい゛いぃ❤❤ふおお゛おおぉ❤お゛ほおおぉ❤❤❤」


 がに股のまま無様に脚を動かして、おれはようやくトイレへと辿り着いた。

 けつから太ももにかけてのスーツ内部は粘液でぬるついて、おそらくおれの通った後はなめくじが通った後のようにケツマンコ汁が垂れ落ちているのだろう。ヒーローどころか性犯罪者として通報されてもおかしくない姿。

 

 だが、それでもおれはトイレへと辿り着いた。ここならばオナニーに溺れたって問題ない。ケツマンコの中で暴れている奴はおれの性欲が満足するまで収まらない。だから、仕方ないから乳首もちんぽもケツマンコもいっぱいいじらないと。スーツの中にザーメンいっぱい出さないと。仕方ねえよな、ふへ。

 

「はやぐ❤はやくおちんぽシコシコッ❤❤❤しな゛いどお゛ぉ❤」


 そしておれはトイレの中へと崩れ落ちるように入った。

 ドアを閉められた事、そして鍵をかけられたのはおれの理性が微かにでも仕事をしたからだろうか。

 

「これで❤はああ゛あぅ❤❤❤もう――――あ゛ッ❤」


 しかしそいつが間違いだったのかもしれない。快楽から屈しないように締め付けられていたケツ筋が安心と同時に緩んでしまった。肛門ギリギリにまで詰まっていた虫が、解放されちまったんだ。

 来る。出てくる。溢れてきちまう。おれの肛門をめくり上げて、アイツが出て来てしまう。中を蹂躙していたバケモノがおれの肛門をものすごい速さで擦り、抜け出て行く。おれはついに立っていることすらできなくなり、便器に手をついたままけつを掲げちまった。まるで、ちんぽを希うかのように。

 

「あ゛お゛ォお゛おぉッ❤❤オ゛ぉ❤ごわれるう゛ぅう゛うううぅぅぅうゥぅううぅ❤❤❤❤めぐれぢまうぅ❤❤ずっげスッゲえ゛え゛えぇぇ❤❤❤」


 長い。こんな長くて太いモノがおれのマンコを埋め尽くしていたんだと思い知らされる。団子状の連なりは粘液とおれの愛液をまとわりつかせながらマンコから排出されてゆく。排泄をする時の解放感を何億倍にも増幅した快楽。

 

 おれのでかいけつは電流でも流されたみてえに痙攣し、めくれたケツ穴はずろずろと下品な鳴き声を発していた。その代償におれの口はまともな声を発する事が不可能になり、舌をぴんと伸ばしたまま無様なイキ声を垂れ流していた。

 

「んぐぅう゛あ゛あぉお゛おぉ❤❤❤いぐう゛うぅ❤ん゛あ゛ぁ❤❤❤がア゛あ❤❤お゛あ゛ォ❤❤❤ぐるぐるぐるっ❤ヒーローまんこあくめぎぢまう゛うぅ❤❤」


 永遠に続くかと思われた排泄感は、ブパァと卑猥な水音を立てて終わった。それはおれのマンコに溜まっていた淫液がまとめて噴き上がった音で、ケツマンコを大量の液体でめくられるのは爆発的な快楽を発生させ、おれを絶頂のピークへと叩きつけた。

 

「んぅう゛ぅう゛ぉお゛お゛お゛ぉおおぉぉぉぉおぉ❤❤❤❤❤いぐいぐいぐぞぉお゛ぉおおおぉぉぉ❤❤❤❤」


 そして、ちんぽからも粘液が噴き上げられた。ヒーロースーツを貫きそうなほどに勃起したちんぽから白濁が爆発した。薄っぺらいが頑丈なスーツはザーメンを漏らさずに、亀頭に吸い付いた部分だけがコンドームのように膨れ上がってザーメンを受け止めた。

 

 止まらなかった。息を吹きながら股間にザーメンのシミを作っていく。ケツをぶりぶり振りながらちんぽ汁をぶちまけ続ける。


「ほひょぉお゛ほぉおぉぉ❤❤❤ほっほおぉぉお❤❤いぐぅ❤❤❤ザーメンいぐいぐケツマンいぎじでるうぅぅぅん❤❤❤❤」


 ザーメンはスーツへに跳ね返り、一滴残らずおれの身体に垂れ落ちる。熱くどろどろの液体が鱗を流れ落ちるのはたまらなく心地が良くて、それがおれの精液なのに悦びを覚えてしまうんだ。

 汗でぬるぬるの身体にザーメンが加わって、ヒーロースーツの内部が雄臭く粘りつく感覚のが嬉しくて仕方ない。

 

「ほひい゛ぃいいいぃぃ❤❤❤お゛おぉ❤ザーメン❤❤おで、ザーメンくせええぇ❤あ゛あ゛あぁーーッ❤❤へぉお゛あ゛ああああぁあぁぁ~~~……❤❤❤」


 脳をかき混ぜる絶頂の後、おれを襲ったのは解放感だけではなく絶望だった。おれの精神がもっと弱ければ、心を支えてくれる存在がいなければ今の快楽でぶっ壊れる事ができたんだろう。

 しかしおれはまだ理性が残っていた。快楽に幸福を覚えるよりも、屈してしまった自分の屈辱がおれを満たす。

 

「いぐぅうぅ❤う゛ぅう゛ああぁあぁぁ❤❤❤マンコいぐのどまんない゛ぃいぃいぃ❤❤」


 悔しいと思っていてもイキ続けていて。肛門を痙攣させたまま絶頂から降りられずにおれはマンコから愛液を、瞳から涙をこぼれさせていた。

 止まらない。自分が惨めで死にたいと思っていてもおれの性器は淫液を止めてくれない。肛門から、スリットから、そしてちんぽから。けつを高々と掲げたまま、おれは泣きながらイキ顔を晒す変態ドラゴンとなっていた。

 

「ふひい゛いぃ❤❤ぐ、ぐそおぉ❤ううぅああぁ❤」


 やがて絶頂の波が小さくなり、弱々しく震えるだけになって、おれは自分のけつから生えたアイツを睨みつける。

 下品なヒーロースーツの赤とは対照的に純白で、粘液に塗れたその体色は美しささえ感じられる。

 

 しかしその身体はおぞましかった。おれの結腸を追い詰めた数珠繋ぎの胴体がそれぞれ微妙にくねり、無数の節足が不規則に動いている。

 

「むし、ケラがあ゛あぁ❤ちくしょう、ちくしょうぅぅ❤❤❤」


 虫ケラと罵ったが、その虫ケラに凌辱されて人前でイキ狂わされたおれは虫ケラ以下ではないのか。

 おれの中に住まうモノ。おれの中で囁き続けるバケモノ。おれが快楽に昂るとケツマンコを凌辱しさらに狂わせる淫らなるモノ。

 

 力を込めたら潰れそうな柔弱な肌。おれの腹の中を満たしても余るほどに長い身体。そいつは、蚕と呼ばれる虫の幼い姿に似ていた。ただし食らうのは桑の葉じゃなくおれの理性やプライドだ。

 

「お前の、せいで……❤❤❤」


 快楽で震えながら睨みつけた先。

 おれのけつ穴から生えていたそれは、淫虫。おれの身体に巣食い、変態ヒーロー野郎に貶めた寄生虫だった。

 

***


「遅かったな、ヒーロー・アイアンウィル。もうメンバーは任務を開始しているぞ」

「ぐひ、ぐひひっ❤」


 遅れる事数十分。

 電車からしばらく歩いて廃ビルの前まで行くと、ヒーロースーツ姿の親父二人がおれを出迎えた。片方は竜で、もう片方はでっぷり太った狐の親父。

 狐の方は明らかに正気を失っていて、だらだらとよだれを垂らしながら射精していた。このあたりはロクに人が来ないからいいものの、見つかれば間違いなく露出狂として捕まっちまうだろう。

 

「へ、ほおぉぉおぉ❤ちんぽ❤❤ひひひひぃ❤」

「遅刻はいかんなぁ❤お前もコイツのように壊されるのは嫌だろぉ❤❤淫虫にオマンコをいーっぱい犯されてぇ、脳みそが壊されたいのか❤ん❤」

「……うるせえな」


 淫虫。

 おれの身体に寄生させられたコイツの目的はシンプルだ。生物ならば種の保存や自己の生存を目的とするのだろうが、コイツはそんな事はしない。卵を産む事はできるようだが、子が孵るのかどうかすら分からない。虫どもはすべて、あのガキは作り出しているものだ。

 

 そのせいか、虫どもはあのガキの意思を強く反映している。すなわち、おれをヒーロー姿の色狂いへと貶める為に身体と精神を壊すのだ。もともとおれはちんぽ以外で感じる事なんて無かった。乳首をいじる発想すらなかったし、風俗で前立腺マッサージとやらをされてる友人もついてけねえと呆れていたもんだ。

 しかし今のおれは撫でられるだけで鼻にかかった声を漏らす淫乱だ。今もスーツの下を汗とザーメンがヌルヌルにするだけでも感じちまってる。一歩歩くとケツが大きく弾んで崩れ落ちそうになる。

 

「ふーーっ❤❤んくぅ❤」

「おほぉ❤乳首がビンビンではないか❤❤我慢はいかんぞ❤ヒーローたるものいつでもどこでも乳首をぐりぐりしてザーメンを出さなくてはな❤」

「グッ❤黙ってろ、変態野郎……!」


 スーツを貫かんばかりの勃起乳首は乳輪も馬鹿でかく、乳頭ごとつまんでやると汚い声を漏らしてイっちまう。大胸筋に二本のちんぽが生えちまってるみたいだ。もう、オナニーする時は乳首も一緒にしごいてやらねえと満足できねえ。ケツマンコも指で掻きまわしながら、ハルの寝ている隙に毎晩ザーメンをぶっ放している。それが今のおれだ。

 

 快楽に負けまいとした事もある。昂った身体に屈しまいと歯を食いしばって堪えようとした。だが、おれの身体が欲望を抑えていると淫虫が暴れ回るんだ。生殖器と化した結腸をわが物顔で舐り、太い胴体で直腸マンコをごりごり抉るんだ。それでもおれが我慢していると肛門を擦りながら飛び出してくる。そうしておれの結腸から肛門まで、マンコ全てを凌辱するんだ。おれがアナル狂いになって金玉を空っぽにするまでずっと。

 おれが耐えようが耐えまいがケツマンコでイキまくる雌野郎に堕とされる。肉体をあのガキ好みに改悪されるんだ。でも、本当に怖いのは肉体を変えられる事じゃねえ。

 

「お前も早く私のように立派なヒーローになれ❤せっかくボスの寵愛を受けているのにぃ❤❤それでは新人に負けてしまうぞ❤」


 本当に恐ろしいのは、この竜人のように人格の根底からゆがめられてしまう事だ。年恰好もガタイが良い所もおれに似ている。違うのは太鼓腹じゃなく腰が絞られている事と、顔面がでへでへとだらしなく崩れている事だろう。

 

「んっふぅ❤もちろん私も任務を頑張ってるんだぞおぉ❤❤❤ほーら❤オマンコザーメンでいっぱいぃ❤❤オマンコヒーロー・グリーンブラッドはザーメンタンク耐久任務に励んでおりますぅ❤❤❤」


 竜はバスケットボール並みのけつたぶを鷲掴みにすると、肉厚なけつを割って中心の淫乱マンコを見せつけてきた。既に何回も中出しをされているのか真っ赤に腫れあがったマンコに、ブピブピと汚い音を鳴らしながら吐き出される精液。目を背けたくなる光景だ。

 もっとも、竜の野郎は実に嬉しそうだ。尻尾をぶんぶんのたうたせ、でかけつもちんぽをねだるように振っている。マンコからは鼻が曲がりそうな性臭が漂っていた。

 

「ほおぉおぉ❤オマンコもっどされだいいぃ❤❤アイアンウィル❤お前も私の任務に協力してくれよ❤❤❤貴重なヒーローザーメンを保護するのが私の役目だからな❤ほら❤ほら❤ぶっとい雄マラをハメハメしでええぇ❤❤❤」


 ザーメンタンクというくせにけつを振る度にザーメンが飛び散ってしまっている。全身スーツに包まれている中肛門だけをいやらしく覗かせて、種付けザーメンをお漏らしする竜はとても幸せそうだった。おれにちんぽをねだっているのかけつを振る行為が気持ち良いのか、とろとろになった顔でつばを垂らしていやがる。

 こいつも元はこんなんじゃなかった。どこかの会社のお偉いさんで、若いころはラグビーでも活躍してたんだと話してくれた。虫に負けちまう前は一緒に自由になろうとおれを励ましてくれた、立派な野郎だった。


「オマンコッ❤オマンコッ❤オマンコオオォォ❤❤❤ほっほおぉぉ❤ケツ振りダンズぎんもぢいぃのほおぉぉ❤❤グリーンブラッドのヒーローザーメン発射いだじますうぅぅ❤❤❤」


 おれの目の前にいるのはケツ振り射精をしながらわめいている変態だ。射精の反動でケツからもザーメンをひり出して、ちんぽから噴き出すザーメンは全てヒーロースーツの内部にぶちまけられている。おれの身体と同じく汗とザーメンで雄臭く塗装されていく。

 もうこの竜は戻れないのだろう。竜にとって自分はヒーローで、ヒーローとは快楽を求めるのを躊躇わない色狂いであるからだ。こうしてケツをゆさゆさ振るのはヒーローにとって誇るべき事なんだ。その正体が、虫に狂わされたただの雄臭親父であっても。

 

「おおほお゛おおおぉぉ❤❤❤ヒーローッ❤ありがとうございまずうぅ❤❤わだじはヒーローでずうっぅ❤ヒーローでずがらいつでもオマンコぎもぢよぐなりまずうぅぅぅ❤❤」


 竜がわめいている相手はおれではなく寄生している淫虫だ。虫は身体を改悪するだけではなくおれたちに囁き続けて精神も狂わせる。毒のように心を溶かし、常識というものを捻じ曲げてしまう。竜も快楽には耐えたのに、四六時中囁かれる虫の言葉に耐えられずにヒーロー親父になってしまった。声と快楽を受け入れないと、竜を構成するすべてが耐え切れず崩壊してしまうから。この、狐のように。

 

「ぐほおぉ❤❤ちんぽ❤❤❤へへへへへ❤」


 この狐はまともな言葉も発せない。虚ろな顔つきで時々ザーメンをぶちまけるだけの肉人形だ。あの狐の子もこいつにだけは関わらないで、こうして入り口に放置している。肉バイブ兼オナホとして使用するには都合が良いのでヒーロー親父どもに跨られたりはしているみたいだが。

 

 淫虫に寄生された奴の末路はこの二人のどちらかだ。ちんぽ大好きヒーロー獣人になり下がるか、壊れた人形になるか。おれも今はこうして耐えられているが、いつ限界が来るか分からないんだ。ハルがいなければおれはとっくに淫虫に負けている。

 

「……またな。おれは行く」

「んぅぉお゛おおぉぉぉ❤❤待っでぇ❤❤❤オマンコじでえぇえぇ❤も、もうこんなにトロトロなんだよお゛おぉぉ❤❤おちんぽほしいいぃぃぃぃ❤❤❤」


 話しかけたって返って来るのは嬌声だけ。

 いつまでもこいつらと話しているわけにもいかない。おれだっていつこうなるか分からないんだ。今はあのガキの気まぐれで無事でいられるに過ぎない。

 未練を振り切るように頭を何度か振ると、ビルの中へと足を踏み入れる。背後からは狐と竜の無様な声が響いていた。

 

***


 ビルの中は狂気と背徳が満ちた場所だった。

 外見はボロっちい廃ビルなのに、内部は清潔に整備されている。内装を端的に言い表すならヒーローの秘密基地。全面が真っ白なタイルでおおわれて所々にガラス製のドアやパーテーションがある。内部を闊歩するカラフルなヒーロースーツの男どもも合わせれば、見てくれだけは子どもが好むようなヒーロー基地に思える。そう、見てくれだけなら。

 

「う゛おおぉぉおぉっ❤❤❤イチ❤ニ❤イーチ❤ニッ❤❤ま、負けんぞぉ❤ヒーローは負けなんだあ゛ああぁ❤❤❤」

「おれだっでぇ❤ヒーローはこのていどでくっしない゛いぃい❤❤❤フンッ❤ふほぉ❤❤おっほおおぉ❤❤❤」


 ガラスの向こう側に見えるのはスーツ姿でスクワットをする鮫とシャチ野郎だ。両者とも真っ青なスーツを肌に張り付けてスクワット勝負をしている。ただし、二匹の顔はよだれや鼻水を垂れ流しの酷いもので、膝を屈伸させるたびに舌をぴんと伸ばしてわめいていた。

 おそらくは身体の感度が上がり過ぎて身体を動かすだけでも絶頂するようになったんだろう。スクワットに合わせて汗と、そしてザーメンが噴き上がっている。部屋の中には二匹以外にも大勢のヒーロー野郎がいて、でれでれに笑いながらちんぽを扱いていた。

 あれもヒーローとしての大事な活動らしい。淫乱なほどにヒーローとしてはランクが高く、どいつもこいつも雄の臭いをきつくしながら身体をくねらせている。

 

「入ってぎでえ゛ええぇぇ❤❤❤おでのオマンコにぎでぐだざいいぃ❤淫乱ヒーローオマンコをおがじでくだしゃいいぃ❤❤❤」

「わたしを選んでくだざいっ❤❤軟弱マンコなんがよりもわだじのキツキツおまんこをぉおおぉ❤❤❤ふうぅぅ❤どけえぇ❤❤私が虫様に選んでもらうんだああぁ❤❤❤」

「ほごおおぉおぉ❤❤そうはいぐかあぁ❤お前ごそ消えやがれえ゛ええぇ❤❤❤へお゛っ❤お゛ほおぉぉおぉ❤❤❤」


 反対側の部屋にいるのはデカケツを向かい合わせでくっつけあっている虎と獅子だ。例にもれず肛門部分に切れ目が入ったヒーロースーツを装備したままケツをぱちゅぱちゅとぶつけあっている。

 奴らが醜い声を出して奪い合っているのは二匹の肛門に入ったままの淫虫だ。二匹はディルドを使ってのセックスのように淫虫がはまったケツを前後させ、少しでも自分の奥に入ってくるように、相手のケツに虫を差し込んでイキ殺してやろうと無様にケツを動かしてやがる。

 

「お゛ホッ❤❤❤オマンコがりがりしゃれでるううぅぅん❤❤めぐれるめぐれるうぅ❤❤❤オマンコもどらなぐなっぢまうよおぉぉ❤❤」

「いっでるずっどいっでるうぅ❤❤止まんない゛いいぃ❤❤❤オマンコ連結交尾ぎぼぢよずぎでわだしのケツが止まんないの゛ほおおおぉぉ❤❤❤❤」


 ケツを離すと肛門がひょっとこのように虫に吸い付き、逆に叩きつける時は虫をズルズル飲み込んでパァンとケツ同士を打ち鳴らす。二匹とも顔を上げる事すらできなくなってケツだけを前後させていた。

 あいつらはケツ交尾で耐えられた方に虫をやるとでも言われたんだろう。淫虫のもたらす快楽は麻薬のようでもっと深く溺れる事を望むようになる。一匹でこれだけ気持ちいいのだから二匹も入れればもっと気持ちいいに違いないと信じ込んで、やつらはケツをはずかしげもなく連結させているんだ。

 

「ん゛うぉおおぉ❤❤どぴゅどぴゅぅぅ❤ドスケベポージングでヒーローエナジーびゅるっでしでるううぅぅ❤❤❤」


 通路ではポージング姿の野郎どもが鼻の下を伸ばして射精している。

 

「ぎひいいぃぃ❤❤乳首ちぎれぢまううぅぅ❤❤❤さっさど、ギブアップじやがれぇ❤」

「負けてたまるがぁ❤先輩ヒーローに勝てるど思うんじゃねえぞおぉ❤❤❤お゛ひょおおぉ❤❤乳首いぐいぐううぅぅぅ❤」


 あちらの部屋ではピアスを通した乳首を引っ張り合っている。乳首が千切れそうなぐらい伸びているくせにザーメンでスーツを膨らませていた。

 

「また、増えてやがる」


 最初はおれを含めて数人しかいなかったこのビルだが来るたびにヒーロー親父が増えていた。決まって筋肉が脂肪で身体をムチムチにした中年野郎で、例外なくスーツを着せられてヒーローゴッコのメンバーになっている。

 どいつも元々は職場や家庭があったはずなんだ。しかし快楽漬けになってしまうと毎日このビルで変態行為にいそしみ、あのガキの命令が無ければ一歩も外に出なくなってしまう。あのガキは自分が決めた時以外は好きに暮らして良いと言っているのに。

 もうあいつらにとっては快楽だけが全てなんだ。ヒーローになりきってちんぽマンコと叫んで虫の言いなりになる事が幸せ。

 

「おせえぞアイアンウィル❤❤今日はお前とトレーニングしようと思ったのにぃ❤オマンコうずうずで他の奴としちまったぞ❤❤❤」


 このデブワニもそれは同じ。レイジングアクスとか名付けられたこのワニは実力とヒーローとしての勤勉さからこのヒーロー集団のサブリーダーを任せられている。

 つまりは、ヒーロー親父の中でも特にマンコがモロ感で淫乱な野郎だ。訓練と称してはおれをレイプして、おれがイキ狂っても解放せずに丸一日ザーメンを搾り取ってきやがる。あのガキの2番目に苦手な男だ。おれと同じく淫虫に狂わされたのだと分かっても嫌悪してしまう。

 

「ケツ振り射精トレーニング、お前にも見せてやりたかったぞ❤❤❤スリット突き出して、なァ❤❤ホレ、こうだ❤ひょほっ❤❤おほぉ❤ほーれ❤❤ケツデカ親父のケツ振り踊りいぃ❤ケツを揺らせばザーメンタンクの鳴る音がするううぅーーってなぁ❤❤❤」


 腰に手を添えてがに股になるとデカケツを前後左右に振り回し始めた。つま先立ちで全体重を支えながら、前に向かって腰をへこへこ。右に左にけつを弾ませて。それだけでも感じているのかスリットのあたりにじんわりとシミが拡がっている。

 おれがそれに気づいて顔をしかめるとワニの顔にも悦びが拡がった。このワニは見られる事に快楽を覚えるタチなのか、セックスやオナニーだけじゃなく露出行為をおれに見せつけてきやがる。

 

「な❤❤お前もこれからケツ振り射精しようぜぇ❤二人でやったらボスに褒められるぞおぉ❤❤おっ❤ほひっ❤❤」

「お断りだ。テメエ一人でやって――あ゛ひっ❤」

「センパイの言う事は聞けよなぁ❤❤❤アイアンウィルだって好きだろ❤この前もおれと一緒にマンキニ踊りでイキまくったじゃねえか❤」

「やめろ❤この野郎っ❤❤ひぃん❤やめ、やめてえええぇ❤❤❤」


 ワニの横を通り抜けようとしたおれのけつがぐにぐにと揉みしだかれる。指を沈み込ませ手形を残すように強く掴まれて、おれの喉から情けない喘ぎ声が漏れてしまう。


「ほれほれ❤❤おれとオマンコ踊りしようぜ❤❤❤お前さんもどうせトロマンになってんだろ❤けつたぶ開いてマンコ見せつけてやんの、気持ちいいぞおぉ❤❤ふひ❤」

「オイおれは急ぐん゛っ❤んうううぅ❤❤❤やめろ❤頼むから待ってくれぇ❤❤あっ、ケ、ケツぅ❤」

「やっぱヒクヒクしてんじゃねえか❤❤な❤新入りのヒーロー捕まえてオマンコで鍛えてやろうぜ❤❤❤二人でイキ顔見ながらよォ❤いいだろ❤❤」


 振り払おうとしてもケツ穴をなぞられると膝が笑ってしまう。男を軽々と投げ飛ばせる両腕もワニ野郎の腕に添えられるだけになっている。

 やべえ。このままじゃワニの言いなりにされちまう。あのガキの相手をするだけでも死にそうになるぐらいイかされるのに、こいつに捕まってしまったら。

 どうにかしてこいつから逃れないと。そう考えて口を開こうとした、その時だった。

 

「――やめろ!離せ!離してくれぇ!」


 奥から若い男の声が響いた。

 女子供が聞けば身を竦ませてしまいそうな罵声はだが、ワニも含めてビルにいるヒーロー野郎は大した反応を示さない。ある者は『ああ、またか』なんて顔で変態行為を再開し、またある者は口角を吊り上げてニタニタと笑いだす。まるで祭りか何かの合図を聞いたかのように。

 

 そして、おれは歯を強く噛み締めた。

 悔しさとそして怒りによって。あの声は何度も聞かされた。ヒーローどもにとっては新たな仲間が生まれる合図で、おれにとっては新たな犠牲者が生まれてしまう絶望の知らせだ。

 

「んへぇ❤そういや今日は新人が入ったんだなぁ❤❤そうだ❤アイアンウィルも見に行こうぜ❤❤その後いっぱいトレーニングしような❤❤❤」


 忌々しい声だが、今だけはありがたかった。ワニにとってはこれから行われるイベントが楽しみで仕方が無いようで、スーツをちんぽで膨らませながら奥へと歩いて行った。

 おれはこの先で起こる光景を見たくはなかった。自分の無力さ、どうにもならない絶望を思い知らされるから。でも、おれはあのガキにならなきゃいけない。基地に来たらヒーローとしての活動報告をして、ガキを喜ばせる。それがヒーローとしての責務だと、決められているから。

 

 おれとワニが進んだ先にあるのは教室ほどの大きさの部屋。その中はヒーローが射精ににふけっていた道中よりも不気味だった。壁に描かれているのはテレビで人気のヒーローたちの絵――そして、スーツを着た狐のガキの絵。それだけでも奇妙な印象を覚えるが、ガキが好きそうなけばけばしいカラフルな内装と、中央に置かれた重厚なデスクのアンバランスさがおれを不安にさせる。

 

「くそっ、またヒーロースーツの男か……!きみたち、お願いだから僕を助けてくれ!この子の様子がおかしいんだ!」

 

 そして、中央にいるのはヒーロースーツの親父どもと抑えつけられた狼の男だ。コイツはヒーロースーツではなくまともな服を纏い、周囲の連中を毅然と睨みつけている。

 異様な光景だ。ヒーローどもがちんぽをいきり勃たせるこれまでの道よりも歪だった。


「遅かったね、アイアンウィル。これから新しいヒーローを増やしてあげるところだよ」


 そんな空間の中でおれが一番恐れているのがこのガキだ。狼の胸の上に跨っておれに微笑んでいる。このガキに睨みつけられると心臓が怯えたように鼓動を早くする。逃げださなければと本能が反応している。

 おれだって本当は逃げ出したい。この狂った日常を忘れたい。だが、おれはここで戦わなければならないんだ。本物の、ヒーローとして。

 

「申し訳ありませんボス、その……来る途中に、は、発情をして遅れました」

「ああ、そうだったの。じゃあ仕方ないよね。ヒーローはいつだってエッチな事をするのが仕事だもん。で、どんな風に発情したの?ちゃんと報告してね」

「は、はい。電車で、ちんぽを。満員電車の中でちんぽを勃たせてしまったので、鞄に押し付けてオナニーをしておりました」


 おれが電車の中でオナニーをし、その後も淫虫によがらされた事も全て報告する。できるだけ具体的に、どんな風に気持ち良かったかも詳細に話すのが報告のコツだ。こいつが満足しなければ言葉ではなく身体で悦ばせなきゃいけねえ。

 

「うんうん、それで、一般市民の前でいっぱい気持ち良くなったんだね。どんな具合に気持ち良くなったの?」

「お、おれのケツマンコをボスの虫でゴリゴリされて。舌を伸ばして、アクメを。声が抑えられなくなるぐらいオマンコでアクメを、しました」


 自分の痴態を話していると顔が紅潮するのを感じる。どれだけ愚かであったか思い返しハルと同じくらいの子どもに報告するのは死んでしまいたくなるような屈辱だ。

 このガキはおれの様子も楽しんでいるのか、おれが声を詰まらせるたびに上機嫌に尻尾を揺らしていた。大勢の野郎を変態ヒーロー男に堕としているが、こいつは性欲を満たすためというよりも辱めて苦しめるのを楽しんでいるフシがある。年を食った男への粘ついた執着だ。

 

「きみ、お願いだからお兄さんを離してくれ。こんな悪い事をしたらいけないんだ」


 だからこの狼のように若い男が狙われるのは珍しい。

 こんな若そうな奴が狙われる理由は二つ。このクソガキの気に食わない事をしたか、気に入るような事をしたかのどちらかだ。

 狼の態度からして後者だろう。クソガキは平日だろうと学校にもいかず好きに過ごしている。何かあったのかと心配をした男が不幸にも毒牙にかかる――これまで何度もあった事だ。

 

「今日はこのお兄ちゃんをヒーローにするよ!僕にすっごく意地悪をしたから、ヒーローにして心を綺麗にしてあげるんだぁ」


 酷い事をされた、とほざくがこのガキは優しく接されても癇癪を起して人を壊してしまうんだ。この青年が『意地悪』をしたかどうか怪しい所だ。

 

「このお兄ちゃんは僕にお父さんやお母さんはどうしたの?って聞いたんだよ。ね、ね、アイアンウィルも酷いと思うでしょ?僕がヒーローにしてあげないとダメだよね?」


 予想通りロクでもない理由でこの青年は餌食にされてしまったようだ。子どもらしく理不尽な怒り。制御できない感情は少しでも自分の意に沿わないものは全て悪意に捉えてしまう。

 こんな時、父親ならば叱ってやるべきなんだろう。でもおれにはそんな力は無いんだ。このガキにおれができるのは機嫌を損なわないようにヒーローごっこを続ける事だけなんだ。

 

「……その通りです。ボスに意地悪をする男はヒーローにして更生させてやるべきでしょう。ボス、酷い言葉をかけられて傷ついたでしょう。可哀そうに」

「えへへ、そうでしょ!悲しくなっちゃったからさ、このお兄ちゃんをヒーローにしたらみんなで遊んであげるからね」


 だからおれは青年を見捨てるしかない。これから何が起こるかおれは良く知っているのに。幼い子どもを放っておけない優しい青年はこれからヒーロースーツを着た淫乱になる。


「な、何をする気なんだ?ヒーローってどういう事なんだ?僕はそんなおかしなスーツなんて着ないぞ!」


 すぐにこのスーツがおかしいとも思えなくなる。

 もしも精神が強靭ならば虫に寄生されてもしばらくは耐えられるだろう。おれと同じように大事な誰かの為に自分を保てるかもしれない。すぐに負けて快楽と幸福に浸るのと、どちらが正しいかは分からないが。

 

「まあまあ、落ち着けよ新人❤こんな立派なちんぽしてんだからよぉ❤❤コイツでおれたちと一緒に遊ぼうなぁ❤」

「ひっ!な、何をする!離せ変態め!やめろ、脱がすなぁ!」


 いつの間にか狼の下半身に顔を寄せていたワニは、あっという間に衣服と下着、靴下までも脱がせてしまう。狼も手足をばたつかせて抵抗するが相手が屈強なヒーロー男たちでは勝ち目が無い。涙目になって、強姦されるのかと怯えているのだろうか。

 残念だが、これから行われるのはそんな生易しいものじゃない。

 

「良い子だから大人しくしてようね。きみに合った子を作ってあげるから」


 狐の子は無邪気に笑う。あくまで純粋に、友達に一緒に遊ぼうと微笑みかける時のように。

 清らかささえ感じさせる顔で行うのはおぞましい所業。小さな手の周りが一瞬だけ歪んだかと思うと、真っ暗な靄に包まれる。映画で見る魔法か何かのように現れた闇は見ていると嫌悪感を湧き上がらせる。対してワニや他のヒーロー野郎どもはうっとりと陶酔した視線を注いでいる。奴らからすればあの闇は神が行う奇跡の御業だ。

 

 そして手のひらを包んでいた闇が消え失せると代わりにアイツが現れる。おれたちをヒーロー野郎たらしめるあの虫が。

 

「――さあ、この子がきみをヒーローにしてくれるよ。大事なきみの相棒だ」

「ひ、いっ。な、何。なんなんだよ、それ」


 ガキの手のひらでのたうつのは粘液を纏った純白の身体。ヒトの腸をいっぱいにしてしまいそうな胴体に無数の節足が生えているのはなんともおぞましい。通常、芋虫の類は手のひらよりも大きくなるような事はない。だがあの虫はヘビ以上の胴回りと体長を兼ね備えている。胸部や腹部に付いた気門の収縮すら容易に確かめられる。

 

 現実にはありえない奇怪な虫を見て、狼は怯えた表情で見つめている。ヒーロースーツの変態どもと巨大な淫虫。悪夢のような光景に声が震えていた。

 

「大丈夫だよ。すっごく気持ちいいみたいだからさ、怖がらなくていいんだ」


 狐の子は安心させるように狼の顔を撫でると、胸の上からケツ穴の正面へと移動する。当然、虫を握りしめたまま。

 狼は不幸にもこの段階で何をされるのか察してしまったようだ。柔らかい口調を崩して『やめろ』とか『ふざけるな』とかわめき散らしている。

 おれもそうだった。狼の心境が手に取るように分かるし、これからアイツに襲い掛かるものも良く分かる。

 

「やめろ、やめて……」

「きみの名前は何にしようかなー。黒い毛皮だからー。ブラックファングにしようか」

「お願いだから、頼む。僕には恋人がいるんだ。来月には結婚しようって、だからぁ!」

「ちょっと太いかもだけど、大丈夫だよ。痛みは無いからね。じゃあ入れるねー」

「やめろッお゛お゛ォ――お゛おおぉぉおおぉぉおぉおおぉ!」


 力を込めればたやすく潰れてしまいそうな身体が、肛門の中へと滑り込んだ。慣らされていない肛門であると淫虫はお構いなしで、ビクビクと胴体をのたうたせながら直腸の中に進んでゆく。

 虫の身体を覆っている粘液はローションであり肉体を淫らに仕立てる毒だ。きつい肛門を弛緩させて痛みを全て快楽へと変えてしまう。

 

「あ゛っ!はいっで、ぐるっ!こんな、虫が、なかに゛いいィィ!」


 おそらくは一度も使われていないであろう肛門へとイチジクのような感触の肉塊が侵入している。鍛えられているけつたぶを虫の足が荒々しく抑えつけ、団子状になった身体が内部を蹂躙する。ジュルジュルと鳴らされる拗音は醜悪な淫虫を喜んで舐めまわしているようにも聞こえてしまう。

 太く逞しい腿から締まった足首にかけて熱っぽい痙攣が繰り返されて、狼の表情は何かに耐えるように歪む。もう自分の身体に起こった異変を感じ始めているのだろう。だが、本当の地獄はこれからだ。直腸の最奥にまで居座った虫が、始めてしまう。狼の意識を狂わせる囁き。ヒーロー男へと改悪する洗脳が。

 

「ふ、ぎいぃぃ。あ、なんだこれ。声がああぁ、あぁぁぁ………」


 自分の精神に起こっている変化を受け入れられない声。男の中に入った虫が最初に行うのは精神の書き換えだ。最初に自分がヒーローであると刷り込んで、狐のガキに逆らってはいけないと刻み込んで、ソイツの根底をぐちゃぐちゃに掻き混ぜて歪めてしまう。

 狼は内側から聞こえてくる囁きを拒否するように頭を振り回し、鼻をひくひくと膨らませる。鋭い牙の生えた口が開かれたまま、よだれが垂れ流されていた。

 

「ちが、うううぅ……おれはこんなガキなんて知らない。おれには、もっと大事な人が。そうだ、ボスに従わなければならない。おれは、ヒーロー。ボスを守――いやだ、ちがうちがううぅ!」


 幾度となく見て来た光景だ。自分の中の価値観を上書きされて、ちんぽが大好きなヒーロースーツであるのが自分の使命なのだと洗脳される。記憶も知識も失われてはいないのに、これまでの狼ではなくなってしまう。

 虫を飲み込んだ肛門からは既に大量の愛液が湧き出して、簡単に絶頂する淫乱マンコへと変わっていた。もうヒーロー男であるという刷り込みは終わったので、洗脳を受け入れやすくするための土台作りへと移行したんだろう。

 

 おれが淫虫を埋め込まれた時を思い出す。

 変態ヒーロー野郎どもに拉致されたと思ったこのビルにいて、狼と同じように虫を寄生させられた。

 自分をヒーロー男だと思い込まされる洗脳には耐えられたが、淫乱な身体と心に変えられるのは耐えられなかった。クソガキに反抗しようとしたら虫にモロ感のケツマンコを凌辱されてよがり狂った。おれが土下座をしてあのガキに忠誠を誓うまで、スリットとちんぽとケツマンコから体液を垂れ流しまくって、ケダモノみてえに喘がされ続けたんだ。

 

 その後はワニを始めとしたヒーロー野郎と乱交させられた。淫虫に洗脳された連中は精力も無尽蔵で、おれがイってもあいつらは平気でおれを犯し続けた。終わった後はあのガキへの見世物として、ヒーロースーツを着たまま様々なショーをした。ケツをはしたなく振り回したり、ワニ野郎とちんぽを擦りあわせながら踊ったり。淫虫にマンコを抉られながらずっとポージングをさせられた事もあった。

 そうしておれの気力と反抗心を削ってから、あのガキが直接おれを嬲り物にした。指と舌だけでおれをイカせまくって、何回もおれの中にザーメンをぶちまけて。父親としてのプライドをめちゃくちゃにされた。その間も淫虫はおれの中で囁き続け、こうして変態ヒーローになるのが正しいのだと脳に刻み込んできた。

 常識と理性を保ったまま尊厳を踏みにじられるのは耐えがたい地獄だった。そして解放されてからもおれは屈辱に苦しんでいる。もしも狼が洗脳に屈しなければおれと同じ苦しみが待っている。

 

「やだッ!ちんぽなんがあ゛ァあ゛ああぁぁ!ちんぽ好ぎい゛いぃ!ケツマンコうずぐうぅ!欲しいっ!ヒーローマンコにちんぽ!ちがう゛っ!もうゆるじでえ゛ええぇ!」


 おれにはこいつを助けられない。

 助かってくれ、耐えてくれと願う事すら正しいのかどうかも分からない。狼の精神は既にちんぽ狂いへと改造されつつある。

 眼球が裏返り、首は頸動脈が千切れるんじゃないかと思うほどに反り返っている。抵抗しようとはしているが、精神と身体が追い付いていない。ガチガチになったちんぽは腹筋に何度もぶちあたって、ヒーロー野郎どもの嗅覚を刺激していた。

 

「んっはああぁ❤もー我慢できねぇ❤❤❤ボスぅ❤新人を可愛がっていいですかぁ❤❤コイツのちんぽ美味そうでオマンコ我慢できねえっすよぉ❤❤」

「うん、いいよ。ヒーローになるお手伝いをしてあげてね」

「うぎいいぃっ!や、やべろお゛おおぉ!ぢんぼおがじぐなるううぅぅぅ!」


 そして我慢できなくなったワニ野郎が狼ちんぽを舐め始めると、周囲のヒーロー野郎の手も身体をまさぐり出す。男どもがさついた無骨な手が毛皮に沈み込む。若々しい雄の筋肉を撫でて、くすぐり、揉み込む。筋肉で膨らんだ大胸筋を手のひらで歪められると狼は洗脳に抗う声に甘さを混ぜる。

 暴れ回るちんぽを包み込むのはワニの舌。毎日ちんぽをしゃぶってフェラ技を磨いているワニはイカせるのも寸止めするのも自由時代で、下品な音を鳴らしながらちんぽを舐る。竿に舌を巻き付かされると狼野郎の顔がだらしなく崩れる。快楽に従えと虫が囁く。理性がゆっくりと蕩け始める。

 

「ぎもぢいいぃぃ❤❤ケツぅ❤んはあぁ❤ちんぽ❤ちんぽ❤ちんぽもっと吸ってぇ❤❤乳首つねってぇ❤❤い、いやだぁ❤ホモじゃないのにぃ❤❤僕は、僕は――――」


 ――お前はヒーローだ。

 そう、狼は声を聞いているに違いない。ヒーローなんだからケツマンコが感じるのは当たり前で、ちんぽをしゃぶられてよがるのが当たり前で、乳首をつねってでへでへ笑うのが当たり前。

 下まぶたを痙攣させる狼を完全に隷属させようと、虫が理性を食い荒らしている。

 

「ちんぽしゅごいぃいぃい❤❤❤とろけるうぅ❤ぜんぶぅ❤❤ぜんぶ良すぎて脳みそとろけちゃううぅぅ❤❤ヒ、ヒーローにされるうぅ❤おちんぽ大好きヒーロー❤嫌なのに❤へへへへへぇ❤❤❤」


 狼の表情は感情が掻き混ぜられて、歪んでいた。口角はニタニタと吊り上がって喜びを表そうとしているのに、瞳からは涙が溢れ続けている。舌がちろちろと踊っているのは快楽をねだるサイン。膨張した筋肉がビクビクと震えているのは明確な拒絶反応。拒絶しようとしてる。迎合しようとしている。毒のように自己を犯す洗脳に抵抗している。

 もう見ていたくなかった。コイツがどれだけ頑張っても苦しみが続くだけなんだ。どうせこのガキには勝てないんだよ。クソガキがその気になれば虫を操って更なる快楽を与えられる。そうしないのは雄が無意味な抵抗をして苦しみ様を楽しんでいるから。

 

「ぎい゛いぃいぃ❤❤ケツマンコしゅごっ❤❤❤ぎぼぢいいぃ❤いやだやだやだやだあぁ僕はヒーローナンカジャナィ僕を壊さな゛いでえ゛ええぇ❤❤❤」


 胸がふいごのように膨張と収縮を繰り返し、喉からは意味を成さない文字列が垂れ流されていた。虫がマンコを抉り取るたびに瞳がグルンとひっくり返る。何回も絶頂しているんだろう。ワニの口の隙間からは白濁が流れ出している。

 狼はよく耐えている。通常、虫を埋め込まれた男は一分も経たずにヒーロー男へと堕ちるが、狼は尻尾を振り回して悦びながらも自我を流されまいと塞き止めている。

 

 しかし、狼の努力を嘲笑うようにワニが動いた。虫のせいで拡がってしまったマンコを指でグチュグチュと掻き混ぜ始めたのだ。

 

「ブラックファングは素直じゃねえなァ❤❤先輩がお手伝いしてやるよ❤ほれほれェ❤」

「お゛ッおおおおおおぉぉ❤❤やべ、でえぇ❤❤❤オマンコごりごりじないでえぇぇ❤❤」


 虫に開発されたマンコをいじられるのは脳みそを焼き焦がすような快楽で、狼はつま先まで硬直させたまま咆哮する。虫はマンコ全てを圧迫して蹂躙するが、ワニの指は器用にも狼マンコの弱い部分だけを刺激する。ぷっくり膨れた前立腺を押し込んで、がりがりと引っかいて。あの指でマンコを弄られるとたやすく絶頂してしまうとおれは自分の身体で知っている。

 

「ん゛ひいいぃいいぃ❤❤❤やばいやばい゛いぃ❤❤おねが、どめでえぇ❤❤❤おがじぐなる❤マンコおがじぐなうるぅう❤❤」

「おかしくなっていいんだぞ❤お前もヒーローになっちまおうぜ❤❤おれのマンコで毎日可愛がってやるぞォ❤ふひ❤ココ弱いんだろぉ❤イけよ❤こりこりーってなァ❤❤」

「ほぉお゛お゛お゛おおぉぉ~~~~❤❤❤❤」


 ワニが口を離すと同時に、前立腺を搾られてちんぽから白濁が打ち上がる。狼の真っ黒な毛皮にザーメンがぶちまけられるだけじゃなく、狐の子や周囲のヒーロー親父にも降りかかる。

 それでもヒーローどもは嬉しそうにザーメンを顔に塗りつけてクソガキは残酷に頬を歪めながら白い汚物を口に運ぶ。


「やだあ゛ああぁ❤❤❤負けだぐない゛いぃ❤❤ぼくは帰るんだあ゛ああぁ❤❤❤まげないいぃ❤ごんな、虫なんがにい゛ィ❤❤」


 口角の端には涎が泡となって纏わりついて、マンコは泡立った愛液でどろどろになって。見るに堪えない無様な姿。でも、狼はまだ負けていない。

 その姿は希望のように思えた。あの狼に待ち受けているのが地獄だとしても、救いなんて無いのだとしても。抗って、戦い続ける事ができるんだと。おれもハルの為に立ち続けていられるんじゃないかと。

 

 ――そんな希望を打ち砕いてしまうのが、狐のガキだ。

 単に飽きたのか、それとも狼の痴態が見たくなったのかは分からないが、狼にとどめを刺そうと悪意を剥き出しにした。

 

「ん、ブラックファングのおっぱい美味しそうだなぁ。舐めさせてよ」


 柔らかい牙の生えた口はぱくりと乳首を咥えた。子どもがミルクを欲しがって吸い付くようにジュルジュルと音を立てながら乳首を吸い上げる。

 クソガキの愛撫なんてワニに比べれば下手くそだ。テクニックも何もなく乳首を噛んで、舌を絡ませるだけ。

 しかし、その他愛もないはずの愛撫が莫大な快楽を生む。撫でられただけで感じる身体は、クソガキに触れられると快楽を何倍にも増幅する。乳首を軽く抓まれただけでもイっちまうし、吐息を耳にかけられれば立っていられなくなり服従の姿勢のまま射精する。

 

「う゛ぅお゛❤オ゛ッ❤❤お、おおおぉ――――」


 だから、狼はもうおしまいなんだ。ぎりぎりの所で踏みとどまっていた理性は快楽の奔流によって洗い流される。

 狼の筋肉が硬直し、瞳が完全にまぶたへと隠れた。あれだけ抵抗した身体が静止するのは、狼という個が死に絶えてしまったように見えた。

 

「お゛ご”お”お”お”おおおおおぉおぉおぉ❤❤❤❤❤」


 でも、硬直はほんの一瞬。絶叫と一緒にちんぽから一直線の白濁が噴出された。今までとは比較にならない濃厚のザーメンはとどまる事を知らず、真っ黒な毛皮を白に汚染する。

 その絶頂は狼から思考能力も人格すら消し飛ばし、代わりに虫の洗脳が侵入する。大事な存在を上書きして幸福の条件を捻じ曲げる。もう、何を拒んでいたのかすら分からなくなる。

 

「お゛おおおぉおーーーっ❤❤ちんぽ❤ちんぽおおぉぉ❤❤❤い゛ひいぃぃぃ❤❤やっべぇ❤❤❤ちんぽ壊れる❤おちんぽよずぎでのうみそごわれるうぅぅ❤あ゛はああっぁ❤❤❤❤」


 止まらない。ザーメンが。金玉の栓がぶっ壊れたみたいにザーメンが飛び散ってあたりをきつい雄の臭いが支配する。

 噴火口から流れる溶岩のようなザーメンが流れるほどに狼の顔面は緩んでいく。抵抗の為に歪んでいた顔はだらしなく、締まりの無い顔に変わって幸福に染まっていく。

 

「ううぅああぁぁ❤❤❤はいっでぐるぅ❤ぼく、ヒーローになっでるぅ❤❤だべなのにぃ❤はへへへぇ❤❤❤ヒーローおおぉ❤❤ちんぽちんぽ❤ちんぽ大好きヒーローになるのおぉ❤❤❤」


 快楽を我慢してはならない。ヒーローを拒んではならない。ボスに従わなければならない。快楽を。忠誠を。隷属を。ヒーローこそが幸福なのだ。

 狼の脳みそは虫の声が反響しているのだろう。途方もない快楽でひび割れた心に浸透する囁きは狼を終わらせる知らせ。

 

「あはあぁああぁ❤❤❤ちんぽしゅごいちんぽしゅごいまんこしゅまんこきもぢいぃぃい❤❤❤❤ぼ、僕ずっといぐの止まらないのほおおぉぉおぉ❤❤はじめでぇ❤こんなの゛❤❤いぐっ❤いぎまぐっでるうぅ❤❤❤」

「凄いでしょ。これがヒーローの力なんだよ」

「ヒ、ヒーロー❤❤❤こりぇがひーろー❤すっげぇ❤❤ヒーローちんぽもヒーローマンコもしゃいこうううぅぅ~~~❤❤❤ヒーローザーメンどぴゅどぴゅじあわぜええぇ❤❤」


 もう抑えつける必要は無いと判断したクソガキとヒーロー男どもが狼から離れると、狼はすぐに腰をへこへこ上下させて腰振りオナニーを開始した。

 けつを床にくっつけた状態から一気にブリッジのように腰を持ち上げるとちんぽからザーメンが打ち上がる。それを何度も繰り返すのだ。元の理性的だった面影は氷菓子のように溶けて、甘ったるく惨めな馬鹿面でイキ狂っていた。

 

「ほっ❤ほっ❤腰振り射精しゅごおおおぉぉ❤❤❤❤とまんないっ❤❤のうみしょ馬鹿になっぢゃううぅぅ❤❤❤」

「おう、ちゃーんとヒーローになれたみてえだな❤これからはヒーローブラックファングとして頑張れよ❤❤おれがオマンコもちんぽも鍛えてやるからな❤」

「おねがいしますうぅうぅ❤❤❤不肖・ヒーローブラックファングのよわよわ童貞ちんぽと処女マンコをっ❤変態ヒーローに相応しく躾けてくだしゃいいぃ❤❤」


 見ていられなかった。

 もう何度も見て来た姿だ。何度もヒーロー姿に堕とされる男を見捨てて来た。おれには大事なヤツがいるからなんて言い訳をして、止めようともしなかった。今だってヒーローに躾けられている狼に何もできない。

 力も無い。勇気も無い。ハルが憧れているヒーローとは違う、卑怯者だ。ヒーロースーツを着ているだけの変態。狐のガキと大差のないクズ親父だ。

 

「ねぇボスぅ❤おれがコイツを躾けていいっすよね❤❤❤こんな若いちんぽ久しぶりでオマンコ疼くんすよぉ❤」

「うーん……ブラックファングの教育は任せてもいいよ。でも、さ。今は躾し直さないといけないヒーローが他にいるんだよね」


 だから、これは罰なんだろう。

 クソガキの瞳が愉悦に歪んでおれを見つめた時、おれは自分の運命を悟った。今日もおれは汚される。雄として生まれなければ良かったと後悔させられるんだ。

 

「アイアンウィル、きみが真面目なヒーローになれるように僕がトレーニングしてあげる」

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