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 雄袋島(おぶくろじま)。

 それは人口1000人にも満たない程度の小さな島であり、主に漁業と観光が収入源である。名産品はイカの塩辛にヨモギの団子。そして「あるふぁ」と「おめが」と呼ばれる人種である。

 

 外見的特徴は通常の獣人種の雄と変わりが無いが、彼ら「あるふぁ」と「おめが」は雄同士でも子を成せるように進化している。正確に言えば「おめが」は雄ではなく子を孕むためだけの生物である。あくまで、身体的特徴が雄に似ているというだけだ。

 

 「あるふぁ」は性器が巨大である事を除けば多様な体格の者がいるが「おめが」は例外なく巨漢であり、体格では「あるふぁ」を圧倒している。これは子を多く孕むために頑丈な肉体を必要としたからだと推測されている。

 なによりも特徴的なのは直腸から分岐した先にある子宮である。彼ら「おめが」が持つ子宮は通常の雌の性器よりも強靭で子を成す能力が高い。直腸から分岐した雄膣は射精をさせるための構造に特化しており、子宮は妊娠確率が非常に高く射精をされれば高確率で着床する。加えて妊娠と出産までのサイクルが非常に短く1年に10回以上の出産を行う「おめが」も珍しくはない。この雄袋島は国の人口増加に大きく貢献しているのである。

 

 「おめが」は通常の雌を妊娠させることもできるし、「あるふぁ」以外の交尾でも着床するが、やはり「あるふぁ」との交尾がもっとも着床確率が高く、本能的に「あるふぁ」の子を孕むことを望むためこの島で一生を過ごして「あるふぁ」の子を孕む肉袋となるのが当然である。衣食住は確保され、「あるふぁ」に毎日交尾をされる。これ以上の幸福は無い。

 「おめが」の人権を論じる愚か者もいるが、彼ら「おめが」は雄膣による交尾で至上の快楽を得る上に、相手が「あるふぁ」であれば一度交尾を行えばそれを自分のツガイとして認識し、どんな激しい交尾を行われても快感と認識するように脳ホルモンが分泌される。つまりは「あるふぁ」の子を成すための孕み袋となることが「おめが」の幸福なのである。

 

 だが、その幸福を理解せずに島外へ出ようとする「おめが」が近年は増えている。今回お見せするのは「おめが」としての役割を理解しない若者に幸福と義務を理解させる島の伝統行事である。

 それは『隧道送り』と呼ばれる祭りであり、この島の一大行事でもある。この祭りのために島外からくる者も多く、この日だけは島民たちは全ての仕事が雑事を忘れて祝い、騒ぐ。

 

 この祭りを知ることで、どうか「あるふぁ」と「おめが」の権利と義務について理解を深めて欲しい。

 

 ***

 

 そこは神を奉じるための場所であった。信仰によって人々の心を律し、清浄な空気が身体を清めてくれるための神社。

 かつては大漁を祈願するために人々は捧げものを行ってきたが、今この島の者たちが願うものはもっと別の願望。観光資源と国からの補助金により島民たちは週の大半を働かずに過ごしている。

 

 かつては神社にできた大舞台では巫女たちが舞い、鮮魚や野菜を中央の御柱へと捧げたものだ。懐かしい、だがひもじく苦しかった時代だと老人たちは語る。

 今、神社には清らか空気も救われたいと願う貧者たちもいない。息を吸うだけで甘ったるく澱んだ欲望が流れ込んでくる。夏の熱気だけではないねばついた温度が肌を撫でまわす。

 人々は下卑た欲望のはけ口を求め、今宵の犠牲者は誰になるかと鼻息を荒くする。

 

 ひしめき合うのは祭り装束に身を包んだ男たち。鮮やかな法被と褌の男たちはすべて股間を膨らませていた。

 彼らが見つめるのは大舞台。昔は神を奉じる儀式を行う神聖な場所だったが、今はむくつけき雄が数人、筋肉の鎧を汗で滴らせて踊っている。身に着けているのはほとんど紐のような下着と太ももと二の腕まで覆うハイソックスと手袋だけ。

 

 衣装と呼ぶには猥褻すぎる布切れを身に着けて、かつては巫女が舞っていた舞台で尻を振っていた。

 しめ縄を付けられた御柱に抱き着き、背中をもたれさせ、尻を擦り付け、淫らに踊る。筋肉による凹凸が激しく、薄っすらと乗った脂肪や体幹の逞しさから見てくれだけの肉体ではないと伝えている。

 

 満月。

 祭りに相応しい雲一つ無い夜空では月灯りが降り注いでいた。汗は宝石のように月光を反射して煌いていた。屈強な雄の身体を自然によって作られたアクセサリで彩り踊るはこの島に生まれてしまった哀れな肉袋。

 

 彼らは雄々しく隆々とした肉体をしているが、例外が一つ。

 腹筋が並んでいるはずの腹は満月のように円を描いていた。

 雄でありながら子を宿し、彼らは舞い踊っていた。

 

 御柱に背中を預け腰をへこへこと振っている熊の男は、高校生の頃は柔道の有力な選手だった。

 御柱に手を突き、観客に向かって尻を突き出して揺すっているシャチは、水球の選手になろうと本土の大学へ進学を目指していた。

 御柱に舌を這わせて抱き着いている虎は、将来は教師になろうと運動も勉学も励む若者だった。

 

 その全てが、腹を臨月の妊婦のように膨らませ、清らかな神社の舞台を穢していた。

 

「ほっ❤ほっ❤肉を揺らしてボテ腹ダンスうぅ❤❤❤んぅうぅ❤オマンコぐちょぐちょぉ❤❤」

「見て見でえぇぇ❤❤❤でっけぇケツだろぉ❤たくさん、ガキ産んだんだぞぉおぉ❤❤❤もっと産みてえぇ❤」

「おちんぽちょうらいいぃいぃ❤❤❤あっあっ❤ガキ孕んでるのにぃ❤❤種付けされたぐっておがじくなるうぅぅ❤❤」


 妊娠間近の腹を揺らして、娼婦のように雄どもが躍る。

 何もかもが狂った光景に観客たちは褌に包まれたちんぽを硬くして、踊り子たちは穴という穴から汁を垂れ流す。

 涙と鼻水と唾液で顔を彩って。紐パンを貼り付けた亀頭からはお漏らしのように我慢汁が噴きこぼれている。

 何よりもおぞましいのは、乳首と肛門から垂れ流される汁だ。雄のものとは思えない肥大化した乳首からはドロリとした白い汁がこぼれて甘い香りをくゆらしている。それは雌が子どもを育むためのミルクに相違無いもの。彼らは雄でありながら雌牛のごとくミルクを垂れ流す身体になっていた。

 

 そして、紐パンの食い込む肛門は雌の性器のよう変質していた。

 踊り子たちの肛門には紐パンがちぎれる寸前まで食い込んでおり、でかい尻の谷間を広げると赤黒い肛門のほとんどが見えてしまう。

 肛門からは透明な粘液が太ももを伝い落ちて床に溜まる。尻を振るだけで快感を生じているのか、肛門はぐぱぐぱと開閉しては勢い良く汁を飛ばして最前線の観客を濡らす。

 

 彼らはみな、この島の地域妊夫と呼ばれるものたちだ。

 「おめが」は特定の「あるふぁ」のツガイとなって一生を褥の中で過ごすことが普通だが、ツガイとして選ばれなかった、または一度は選ばれても「あるふぁ」に捨てられた「おめが」はこの島の「あるふぁ」全ての子を孕み、性欲を処理するための共用孕み袋となるのである。年に10回以上の出産をこなすことができる「おめが」を活用したシステムと言えるだろう。

 

「おほぉおぉ❤❤お、おりぇはガキの頃は柔道頑張っでまじだあぁ❤❤❤ガキ何匹でも産めまずうぅ❤ん゛おっ❤❤どうがおでを孕み袋に選んでくらしゃいぃいぃ❤」


 自分の体格の良さをアピールするように熊はボテ腹のままがに股になった。

 地域妊夫は不自由なくちんぽを貰い、食事の世話までされる最高の身分だがツガイとなる「あるふぁ」を求めるのは「おめが」の本能なのだろう。

 彼らが躍るのは祭りを盛り上げるためだけではない。自分を飼って、子宮を精液漬けにしてくれるツガイを見つけるためでもあるのだ。

 

「熊オマンコはぁ❤ん゛っ❤❤ガキたくさん産んでもきつきつマンコだからぁ~~❤❤❤いっぱいおちんぽからザー汁ごくごくじまずうぅ❤❤媚び媚びマンコのごじゅじん様になってええぇぇ❤❤❤」


 かつてはこの島を出るために柔道に励んでいた男だ。

 柔道選手としての価値を認めて貰えばきっとこの島の外の人たちが。まともな人たちが自分を助けてくれるはずだと。

 

 しかし、あらゆる努力は孕み袋としての価値を上げるだけだった。「あるふぁ」たちには頑丈な身体とでかい尻を気に入られツガイに選ばれたこともあった。ここ数年で100人以上の子を出産したベテランの経産婦である。島外から来た観光客にも貸し出され、島の収入源にもなっている。


「お゛っぅうぅ❤❤❤子宮口におちんぽキッスしてくれるデカちんぽがほじいぃいぃ❤❤ツガイにしてぇ❤あるふぁ様のせんよー孕み袋になってずっとハメハメされねえど、ドスケベマンコが我慢できないのおおおおぉぉん❤❤❤」


 熊がうたえば他の二匹もそれに続く。孕み腹を揺らし、でかい尻を振り立てて自分が子を孕む袋として優秀なのだと舞を見せつける。かつては夢のために鍛えた身体は媚びるためににしか使われない。

 雄と雌の混ざった香りは神社を満たしていき、彼らを更に昂らせる。観客である「あるふぁ」たちのちんぽからは「おめが」を狂わせるフェロモンが匂いたち子宮を疼かせる。

 

 やがて、観客のうち一人が小銭を舞台へと投げすてた。

 子どもの駄賃以下のそれは「おめが」を身請けする代金であり、哀れな肉袋は顔面を喜悦で崩れさせて尻を振る。

 極太の太ももに愛液を伝わらせて駆け寄るのはちんぽを硬くしたツガイ。選ばれた幸福で脳みそが飛んでしまいそうだった。

 

「よしよし、腹のガキを産んだらすぐにおれの子を仕込んでやるからな。死ぬまで子宮を休ませねえから覚悟しとけ」

「ひゃ、ひゃいぃいぃ❤❤❤旦那様❤ア、アクメ死ぬまで孕ませ交尾してくだしゃいぃ❤❤」


 腹を撫でられながら囁かれればもう臨月の子を仕込んでいる子宮が歓喜で熱を持ってしまう。この理想の雄の子を死ぬまで孕ませてもらえるなんてこんなに幸せいいのだろうかと涙まで溢れてくる。

 褌に包まれたバキバキちんぽを撫でまわし、ツガイから捨てられまいと熊は全身全霊で媚びを売り出す。

 

 シャチも虎も同じく新たなツガイに身体を擦り付けてちんぽをねだるのに忙しかった。寛容な主人はすぐに許可を出して、ちんぽへと跨らせる。

 周囲を雄どもに囲まれながらちんぽを咥えこんだ肉袋たちは、舞に続いて嬌声という歌を響かせる。

 

 艶やかな歌に応えるかのように、舞台に新たな舞手が現れる。

 その姿はさきほどの妊夫どもと変わらないはしたないもの。違うのは紐パンの他に手足を包むタイツを付けていることぐらいだ。二の腕と太ももまでを覆うタイツは露出を減らしているはずなのにかえって下品さを引き立てる。

 

 舞手は二匹の狼だった。

 圧倒的な巨躯に筋肉の凸凹が激しい黒と白の狼は、生物といよりも芸術品じみた男性的な美しさがあった。

 頭の幅よりも太く見えるほど発達した首は、山脈のように盛り上がった肩の筋肉に抱き止められている。タイツで包まれた腕は、さきほどの熊やシャチが物足りなく見える太さだ。大胸筋の逞しさたるや、胸板という言葉では薄く感じられる勢いだ。今にも破裂せんばかりに皮膚を突っ張らせており、呼吸をするだけでも重たげに揺れ動く。その下には岩塊群のように腹筋が並んでいた。

 下半身の迫力は上半身に劣らない。いやらしくくびれた腰からは特大の大殿筋が何の遠慮もなく飛び出しており、乳肉に合わせてユサユサと誘うように揺れる。タイツが食い込んでいる太ももは力強いラインを描いており、巨木のような重量感がある。

 鍛え抜かれた肉体の迫力もさることながら、紐パンの下品さも強烈だった。尻の谷間に布地が完全に食い込んでいるせいで、丸々とした尻が丸出しだった。前面も面積が足りな過ぎているのだが、布地は破けることなくちんぽへと貼り付いて、くっきりとその形を浮きだたせている。人並はずれた巨根が、金玉と一緒にボルンと揺れる姿は卑猥で滑稽だった。

 

 白と黒の狼たちは自分たちがどれだけ淫らな姿をしているか自覚しているのか、身体を寄せ合って衆目の視線から身を守ろうとしていた。

 彼らはこの祭りの主役。島から出る権利を賭けてその身体で勝負を挑む愚かで哀れな「おめが」の二匹。

 

 黒と白。毛皮以外は瓜二つの二人はこの島の「おめが」として生まれた若者であり、外の世界を夢みて子どもの頃から身体を鍛え上げてきた。外の世界にさえ出れば「おめが」として子を孕む役目から逃れ、周囲の男どもから大人になれば孕ませてやると粘ついた言葉を囁かれることもない。まともな雄として生きることができるのだ。

 この島の「おめが」ならばみな抱いてしまう夢。叶わぬ夢を見て、屈服し辱められる運命にある二人を観客たちは煽り立てる。

 

「に、兄ちゃん……」

「大丈夫だ。儀式にさえ乗り越えれば……あいつらも手を出せない」


 不安げに身体を寄せる白を支えるように黒の腕が腰へ回される。痴態を求める屑どもを憎々し気に睨みつけて牙を剥き出しにすると、美丈夫と言える顔が怒りで歪む。

 狼たちは今日成人になる身であり、明日からは「おめが」としてちんぽの奴隷とならなければならない。

 

 絶望的な運命に逆らうには、今宵の儀式を乗り越えなければならない。数百年の間いかなる「おめが」も乗り越えられなかった儀式だが、自分たちは一人ではない。

 二人ならばきっとこの運命に打ち勝てる。そう信じあって二人は硬く手を繋ぐ。

 

「おや、今日の相手は二人かい。これは楽しめそうだね」

 

 しかし。そんな祈りをせせら笑うかのように舞台に新たな舞手が上がる。

 二匹と踊る役目を担うのはたるんだ腹と脂だけを詰めた醜い身体をした犬人だった。背丈は狼たちの頭ほどまでしかなく、横幅は勝っているといえども筋肉を隆々と実らせた二人の彫刻のような身体と比べると美しさに雲泥の差があった。唯一狼たちよりも優れているのはちんぽと金玉の大きさぐらい。

 男として圧倒的に劣った中年の男は、しかし二人を獲物か玩具としか見ていぬような歪んだ視線を向ける。

 

「一応、儀式について説明しようか。きみたちが雄として優れていると――要するに、きみたちの精子が空になる前に私の精子を空にすれば勝ち。実に簡単だろう?」


 犬は実に他愛無いことのように儀式の内容を語った。

 どれだけおぞましく、醜悪なことを強いているのかと黒は牙の隙間から唸り声を漏らす。

 これこそが雄袋島で連綿と受け継がれた儀式。島の「おめが」たちは成人前に儀式へと挑み、子を孕む肉袋としての役目から逃れようとする。その儀式が衆目の前で交尾をし、厭わしき「あるふぁ」の子種を搾り取る為に身体を捧げるものだとしても。

 

「さて、どちらから相手をしてくれるのかね?二人がかりでも構わないよ。きみたちの人生がかかっているんだ。好きなだけ悩みなさい」

「悩む必要などない。おれ一人で儀式は終わらせる」


 犬男の言葉に、黒は迷うことなく足を進めて舞台の中央へと立つ。白が今にも泣き出しそうな顔で見つめるが、安心しろとでも言うように微笑みを返す。

 黒は、初めから自分一人でこの儀式を突破するつもりだった。二人がかりで「あるふぁ」の精液を空にすればいいが、下種な男たちに見られるなか交尾をさせられるなどという辱めを愛しい弟にさせる気は無かった。

 大丈夫。自分ならばきっと耐えられる。そのために鍛錬を重ね身体と心を鍛え上げてきた。オナニーだってしたこともある。「おめが」の雄膣を弄ったことはないが、ちんぽを弄るより気持ちいいことはあるまい。

 

 ちんぽを扱いて相手をイかせ続ければいいだけだ。その程度ならば自分でもきるし、だらしない身体の中年男に負けるはずもない。

 

「ふむ、きみから相手をしてくれるのかい?じっくりと楽しもうじゃないか」

「さっさと終わらせる。お前らのようなクズどもと話しているだけでも胸糞が悪くなるからな」


 舞台の中央で互いに向かい合い、鼻先と胸板をくっつけあうと黒の顔が不快感に歪んだ。

 間近で感じる「あるふぁ」の体臭は濃厚で、神社全体に満ちる汗の匂いを上書きするほどだ。何時風呂に入ったのかと問いかけたくなる、獣のような体臭だった。

 

「こうしていても儀式は終わらないよ?まずはきみから私を攻めてみてはどうかな?」

「黙れ。貴様に言われずともやってやる」

「やる気なのは良いことだ。観客たちもやる気の無い儀式を見せられても退屈だろうからね」


 ぎり、と歯ぎしりをしながらも黒の不快感は増していく。同時に下腹部は疼き、熱を持って行く。その熱は尋常なものではなく、下腹部の中で火の玉が渦を巻いているようだった。

 

(……身体がおかしい。こいつの匂いのせいか?はやく終わらせなければ)


 これが「あるふぁ」のフェロモンなのか。自分の異変を自覚しつつも舞台から降りる選択肢は存在しない。

 顔に、首筋に、乳に、尻に。全身に雄たちの視線がねっとりと絡みついてくるのを感じながら犬男の股間へと手を伸ばす。

 狼たちと違って衣服の一切を纏っていないせいで、ちんぽは堂々と股間へそそり勃っている。血管が蔦のように絡みつき、グロテスクな赤黒い身体をしたちんぽは黒のちんぽをゆうに超えるサイズで、黒の奉仕を待っていた。

 

「うっ、くぅ……」

「おや、そんなに感動してどうしたね。他人のちんぽを触ったのは初めてかい?」

「くっ、感動などしていない!ただ……その、熱くて、驚いただけ、だ」


 肉球で触れた肉棒はタイツごしでも恐ろしく熱く、手指の筋肉は反射的に竦んだ。自分のちんぽとはまるで違い火傷しそうな熱量を持っていた。表皮の感触も、指先でなぞる血管の量も太さもまるで違う。自分のちんぽは立派とだと思っていたがこのおぞましいちんぽと比べると子どものそれに思えた。


「撫でるだけでは射精できないね。もう少し丁寧にやってくれるかな?」


 初めて触れる大人の雄のちんぽにうっとりとして撫でまわしていたが、犬男の言葉にはハッと我に帰る。

 男の性器を夢中になって撫でまわすなんて――どうかしているとしか思えない行為に牙を噛みしめつつも、指で作った輪に竿を通してもう片方の手で金玉を持ち上げる。

 

 そのままゆっくりと金玉を揉みながら、輪っかでちんぽを扱き上げる。その竿の太さと長大さを指の輪で扱くことで猶更に意識するハメになり、黒は下腹部をずきりとさせながら必死に手を動かした。

 

「おお、なかなか雄が悦ぶ手つきを心得ているね。誰かで練習したのかい?」

「黙っていろ!そんな真似をするわけがないだろう……!」

「ならば生まれつき手コキの仕方を心得ているというわけだ。さすがは『おめが』。天性の情夫だね」

「口を開くな……!いいから、射精しろ。こんな、臭いちんぽなんかを。ぐぅ……!」


 黒の言葉は雄々しくもどこか熱っぽい。ちんぽを撫でまわしていると体温が高まった気がした。

 身体の芯が火照っていた。おかしい。今、ちんぽを扱いているのは「あるふぁ」。自分たち「おめが」を孕ませる道具扱いして、幼い自分たちを下卑た目で見ていた連中だ。子を孕ませられない代わりにと尻を揉まれたことも数えきれないほどある。

 嫌悪の対象でしかない輩だ。しかし疼きは下腹部から腰まで広がり、毛皮の下の顔は赤らみ、拒絶の言葉に乗る息は熱い。

 

(しっかりしろ!こいつを射精させればおれたちは自由になれるんだ。アイツを絶対に守らなければいけないのに、ああ、匂いが……)


 黒は、犬男からだ漂うきつい体臭を拒めなくなりつつあることに気づいた。悪臭と認識できてはいるのだが、一方で肉体が強く惹かれているような感覚があるのだ。雄乳の中の深い場所で、恥骨の裏側で、熱い何かが脈動し始めている。そんな気がした。

 

「どうしたんだね?手コキが遅くなっているようだが」

「う、うるさいっ!やめろ、その匂いは、ああっ」


 犬男のフェロモンが強く感じるようになるにつれ、手コキをする指先が震える。心臓が激しく高鳴り、分厚い尻肉の奥に隠れた肛門がざわざわと疼く。

 明らかに発情していた。理性と感情では目の前の雄が嫌悪の対象であるのに、肉体が醜悪な「あるふぁ」に対して恋慕している。

 

 こんな間近で「あるふぁ」のフェロモンを感じたことの無かった身体は屈辱的にも欲情してしまっている。道徳心も、情愛も、尊敬すべき点も何もないようなたるんだ脂の塊を恋人のように認識してしまうなどこの飢えない恥辱だった。にも関わらず、乳首が硬く立ち上がり毛皮からはみ出して、ちんぽは紐パンの中でサイズを増している。でかすぎる尻の谷間で、尻穴が熱く潤んで、じりじりと蠢き始める。

 

「ふむ?やる気が無いのならば私が攻めるが良いかね?やる気の無いセックスを見せられても観客も退屈だろう」


 欲望と憤りに苛まれている黒の身体へと「あるふぁ」の指先が触れる。

 毛皮をまさぐり、腕に、首に、胸に、背中に豚のようなぶくぶく肥え太った指が当たる。フェロモンのせいなのだろう、指が腰を撫でまわすとぞくぞくするような快美感が広がる。

 

「くっ……!さ、触るな――あ゛んっ❤❤」


 唸り声と怒りのこもる声をだけを吐いていた口から、今日初めて甘い声が漏れた。犬男の両手が腰から滑り落ち、大殿筋を鷲掴みにしたのだ。

 筋肉の詰まったでかい尻に指を食い込ませ、グニグニと揉みしだく。豪勢に突き出した尻は優美な円形を描いていたが、卑猥な手つきで指先が踊ると醜く変形する。

 

「あ゛ぅ❤やめっ❤❤揉む、なあぁ❤んうぅ❤」

「きみの尻は良い形をしているね。これならば子どもをどれだけ産ませても壊れることはなさそうだ」


 抵抗の言葉を吐いてはいるが身体は尻肉を左右に振り立てるだけであり、指先を振り払うどころかもっと揉んで欲しいとねだっているとしか見えない痴態だ。

 勇ましく雄ぶっていた黒狼が初めて見せる媚びた腰つきに観客の興奮は上がり、ステージに向かってはやし立てるような言葉が飛ぶ。また、黒が身体を捧げて守ろうとしていた白狼はな信じられないものを見たように目を見開いて黒の尻肉を凝視していた。

 

「見るな、ああぁ❤❤くうぅ❤尻、尻がっ❤気持ち悪いぃ❤❤」


 などとのたまっていても尻肉をゆっさゆっさと踊らせて、ちんぽを犬男へと押し付けていては説得力ゼロだ。黒からすれば快楽から逃れるための行動なのだが、傍からみれば発情期の犬が交尾をねだっているとしか思えなかった。

 尻肉を持ち上げるように掴まれたり、ソフトタッチで這いまわられるとぞわぞわとたまらない愉悦が尻肉へしみ込んでくるようだった。

 

「やる気が出てきたのかね?ならばさっさとちんぽをブチこんであげてもいいが、どうするかね?」

「ぐううぅ……❤」


 ふざけるな、と跳ねのけたかったが代わりに黒の手は犬男のちんぽをいやらしく撫でまわしてしまう。ちんぽ、と囁かれると三角の耳が嬉しげに揺れて尻尾も尻に合わせて振り乱された。ずきずきと体内を跳ねまわる疼きが、ちんぽをぶちこまれた時の快楽を保障していた。

 まだ雄膣に触れられてすらいないのに身体は火照り、愛液によって尻の谷間がぬるついている。フェロモンによって火照った身体にちんぽを挿れられたらと想像しただけで震えが走る。

 

「我慢をすればきみの身体に良くないよ?きみのオマンコはちんぽをハメられてくて泣いているじゃないか」

「おおあああっ❤❤ひ、広げるなあぁぁ❤❤❤」


 そうは言うものの黒はもはや積極的な抵抗はできなかった。生来の雌犬の本能が、強い欲情で肉体の力を削いでいるのだ。

 

「ほら、きみの弟くんにもしっかり見て貰いなさい。尻を揉まれただけでこれとは、孕み袋の才能があるよ


 紐パンの布地を尻たぶへとずらされ、谷間を割り拡げられる。そうして開示された雌器官に、観客と白から興奮した声が上がった。

 

「に、兄ちゃん。それ……」

「み、見るなぁ❤やめろ、こんなモノを見ないでぐれっ❤❤」


 愛する弟に恥部を曝け出され、黒の身体が恥辱に震えた。

 弄ったことなどないはずの肛門は、土手肉のように入口の肉を盛り上げている。呼吸するように収縮する口は充血してぽってりと膨れ、絶え間なく粘液を流している。

 

 黒自身には肛門の熟れ具合が見えなかったが、恥さらしなアナルとなっていることは疼きと火照りから理解できてしまう。

 今すぐに不快な男の手を振り払いたいのに、頭の中がくらくらとする。性器を晒されたことで交尾のスイッチが入ってしまったのか、急激に体温が上がり身体に力が入らない。

 

(駄目だ……これがフェロモンなのか?絶対に、ケツを犯されたらいけない。おかしくなる。狂ってしまう……!)


 牙を噛みしめて理性を取り戻そうとするが、尻肉をタプタプと揺すられていると情欲によって微かな理性を蒸発してしまう。筋肉の塊であるはずの尻はすっかり腑抜けており、雄の愛撫によって柔らかさを披露している。

 何よりも恐ろしいのは物足りなさを感じていることだ。尻の愛撫に腰が砕けそうな快感を得ている一方、肛門も愛して欲しいと疼いている。もう少しだけ指を伸ばして、アナルをかき回して欲しいと雌犬の本能が望んでいる。理性は早く逃れなければと叫んでいるのに、だ。

 

 愚かな「あるふぁ」が無意味な抵抗をしていることすらも興奮材料としているのか、犬男は口角を持ち上げて両手を滑らせた。


「まだちんぽが欲しくならないのかい。我慢できなくなったらいつでも言っていいからね」

「が、我慢など……❤はやく、手を離せ、あおおっ❤❤んぅ❤やめろ、胸は❤う゛ぉ❤」

「尻は嫌。乳も嫌とは我がままだね。こんなでかい乳首をしているくせに」

「あ゛あっお゛ぉ~~~~❤❤❤」


 指先が捏ねたのは疼いた肛門ではなく、毛皮からはみ出した乳首だった。

 不意打ちのような快感が乳首に走った瞬間、マズルがガクンと持ち上がり意識が切断される。

 何が起こったのか理解できなかった。目の前の男は乳首を軽くつねっただけだ。なんてことのない刺激のはずで、そもそも乳首なんて自分に付いていることを忘れるようなどうでもいいもののはずだった。それが、乳首に軽い刺激を受けただけで一瞬意識が飛んだのだ。

 

「あ゛あっ❤おぉ❤❤な、なにがぁ❤おっぉおおぉ❤❤」

「乳首もマンコも弄ったことがないとは楽しませてくれるね。やはりきみのような思いあがった雄の方が嬲っていて面白い」


 この島の「おめが」はちんぽを使ったまともな雄のようなオナニーを主に行う。というのも、幼少の頃から「おめが」として孕むことへの嫌悪感を植え付けられた「あるふぁ」たちは雌へと堕落するような行為を忌避するからだ。中には好奇心に負けてアナルや乳首を弄ることに中毒した「おめが」もいるが、そのような者はツガイとして選ばれることが少なく、共用の孕み袋となることが多い。

 ツガイとするならば初々しく、自分を雄だと思いあがった「おめが」が良いというのが「あるふぁ」たちの嗜好だからだ。自分の手で歪め、染め上げて雌へと堕落させることが交尾を燃え上がらせると「あるふぁ」たちは理解している。ゆえに「おめが」達に外の世界への好奇心を与え孕むことを嫌悪させる境域を施しているのだ。

 

「ちくびいぃいぃ❤❤乳首引っ張るな゛ああぁぁ❤❤❤おーほおぉおぉ❤❤それやばいのぉおぉ❤」


 そんな企みなど黒には関係無かった。乳首に喘ぐ姿を衆目に、弟に晒されていることに心が沸き上がっていた。精悍な顔を乳首快楽で間抜けに歪め、黒狼は踊る。

 加速する興奮の中、犬男は両手で乳首を捏ね上げる。雄にしては大きすぎる乳首をつまんでねじったり、ふっくらした乳輪ごと引っ張り上げる。快感が胸板を貫いてほとばしり、脳みそを直撃する。

 

「乳首、つまむ゛なあぁ❤❤いぎぃ❤乳首だめにな゛るうぅ❤❤❤」

「乳もでかいね。これはミルクもたっぷり搾れそうだ」


 更につかみきれない大胸筋を鷲掴みにされて、乳首を肉球で擦り付けるようにしで揉みしだかれた。円を描いて乳首を潰しながら揉まれたかと思うと、乳肉全体を伸ばすように揉みほぐされたりもした。尻肉を揉まれるのに劣らない快感にデカケツが繰り返し揺れる。黒の間抜け面からはよだれまでも垂れ流されていた。

 

 弄ったことのはずのない乳首は指先で刷り潰されるだけで膝が笑い出す快楽を生み出していた。胸から二本のちんぽが生えて、それを扱きあげられているような激悦を受けて、歯を食いしばることもできず口が呆けたように開く。

 

「手が止まっているよ。私を射精させないでいいのかい?」

「お゛おおぉおぉううぅ❤❤お゛ーーっ❤きもち、きもちいぃいぃいぃ❤❤❤乳首すごいぃいぃ❤❤」


 脳の芯が痺れているところに囁かれれば、訳も分からぬまま手を動かしてしまう。威圧的に反り返ったちんぽを必死に扱いて、乳首の快感に返礼する。気持ち良すぎる乳首に正常な思考ができず、先端を強くつねられると身体をくねらせて雌になるしかない。

 

「あ゛っはあぁあぁああぁ❤❤❤乳首、つねられるのすんごおぉおぉいいぃ❤❤んあああぁぁん❤❤」

「これではきみのほうが先に射精しそうだねぇ。ちんぽがゴリゴリ腹に当たっているよ」


 犬男の腹肉に巨根を押し付けながら黒は喘ぎ狂った。

 荒々しく乳首をいじられて紐パンの布越しに白く濁った先走りが湧き上がり、ケツ穴からはそれ以上の愛液が溢れ出す。

 爪で乳首を挟まれ、刻むようにすばやく指を動かされる。爪の先が食い込む鋭い痛みと、指先で潰される鈍い痛みが混ざり合った、未経験の快感が理性の壁を削ぎ落す。充血した乳首があらゆる刺激を快感に変換していた。先走りの量は増し、ぐしょぬれの紐パンをシースルーの布きれへと変えていた。

 

「弟くんのために頑張らなくていいのかい?このままでは乳首だけイき狂いそうだが」

「お゛ごおおぉおぉおぉ❤❤❤乳首潰れるぅう゛う゛ううぅうぅ❤❤」


 万力のような力で乳首を潰した後は、乳輪だけを爪の先や指の腹でなぞりまわす。脳が揺れるような激しい快感ではなく、たまらなくもどかしい快感が広がり、もじもじと揺れる尻から糸を引いて愛液が流れ落ちた。

 

「乳首ぃいいぃ❤❤おぅううぅ❤こんなっ❤❤こんなの、おおぉ❤むりぃいぃ❤いく❤もういくぅうぅ❤❤」


 儀式の目的も。何故この醜い男のちんぽを擦っているかも忘れて身体を渦巻く熱に思考を支配されていた。

 引き攣りそうなほど突っ張った巨根が、小刻みに震えて我慢汁の噴水を湧き上がらせている。雌の絶頂を察知した「あるふぁ」はいっそうの激しさで再び乳首を捏ね潰す。

 人差し指と親指をすり合わせ、乳頭から乳輪をオナニーのように摩擦する。太い乳頭がへし折れてしまいそうなぐらい強く捏ねまわすと黒の背筋が大きく反りかえった。指の間に乳首を引っかけ、素早く手を上下すると跳ねまわる乳首と一緒にマズルが上下した。さらに、ちぎれかねないほど乳首を引き伸ばし、その上でひねったり抓み上げると胸の中からミルクが噴き上がる錯覚を覚えた。


「ぢぐびやべえ゛ええぇぇ❤❤❤お゛ぉおおぉ❤❤もっどもっどぉおおおぉ❤❤❤」


 ついに快楽をねだる雄たけびをあげる。弟や観客たちに雌の快楽に屈したと知らしめることになるのだが、そんなことを気にする余裕は無かった。乳首をしごき続けられると、鼻水と涎を垂れ流して喘ぐ以外の何もできなかった。

 

「おやおや、イきたいのかい?では、最初の射精をするといい」

 

 乳首に屈服した褒美とでも言うように犬男は乳首を根本から思い切り引き伸ばす。その瞬間――

 

「ほら、イきなさい」

「ッ~~~~~~❤❤❤」


 黒は醜態を晒しながら、乳首だけでザーメンを噴き上げた。

 絶対に射精するまいと心に誓っていたはずなのに、そんな約束など忘れたように紐パンをつきぬけて特濃のザーメンがしぶきを散らして叩き出されてくる。

 腰がヘコヘコ前後して、ちんぽがひとりでに何度も跳ね上がる。乳首で射精しているような快感に襲われながら、鈴口から雄のミルクを漏らし続ける。

 

「あ゛あーーーっ❤❤あーーーーっ❤❤❤乳首いくいくうぅううぅ❤❤」


 紐パンを突き抜けた精液は粘っこい音が聞こえそうな勢いで犬男の腹にぶつかって、あっという間に黄色がかった雄汁で腹を塗りたくる。暴れまわるちんぽは床や太ももにも降りかかって、それらを白く染め上げた。

 

「元気がいいね。ほら、もっとイきなさい」

「おおぉおおぉおぉ~~~❤❤ちんぽっ❤い゛まイってるがらあぁぁ❤❤❤」


 射精の余韻ひ浸る暇は与えられなかった。射精中だというのに乳首を捻り上げられて、蛇口が壊れたようにザー汁が溢れ出る。

 これまでの人生で経験したことが無い勢いでの射精は、このまま金玉が空にされてしまいそうな恐怖があった。

 

「あ゛あああぁあぁん❤❤ちんぽ、止まんないぃいいぃ❤いぐっ❤❤いきまくるうぅぅ❤❤❤」


 射精を止めたいのに乳首を引き伸ばされる快感が優先される。乳首を弄られる感謝を表すように目の前の「おめが」の巨根を扱いてしまう。鼻水や涎をまき散らす黒の顔はトロトロに蕩けており知性の欠片もない。

 このまま乳首だけで敗北し、肉袋としての運命が決定されるのだ。そう諦めかけていた。

 

「おっと、このままでは乳首だけで精液が空になってしまうね。やりすぎたよ」

「っお゛おぉおぉう❤❤おっ❤おぉほぉおぉ~~~❤❤」


 突然乳首が指先から解放された。

 快楽を注ぎ込まれ続けた乳首は指が離れてもしつこく乳首イキを残響させて、ザーメンをだらしなく漏らさせ続ける。

 それでも、快楽地獄から抜け出すことができた身体は徐々に落ち着きを取り戻す。肩で荒く息を吐き、呼吸を整えているとやがて射精は治まっていく。


「ほっ❤❤ほほぉ❤はあぁぁ……❤」


 ちんぽを握り締めたまま、犬男の肩に寄りかかった雌丸出しの体勢で黒は身体の熱を必死に鎮めようとする。

 汗で毛並みを台無しにした背中へと丸い手が伸びて、慈しむように撫で上げる。不快なはずの行為だが、黒は安心を覚えて犬男の首筋への鼻先を埋める。悪臭と認識していたはずの体臭を好ましく思っていることにすら、フェロモンに侵された頭は気づかない。

 

「さて、私を射精させないといけないのにきみだけ精液をぶちまけてしまったね。このままでは儀式が失敗してしまうねぇ?弟くんも肉袋だ」

「――っ!あ、あぅ。そうだ、おれはっ」


 茹っていた頭だが、愛する弟のことを口にされて欠片ほどの理性が戻った。

 この「あるふぁ」を射精させなければいけない。射精の余韻に溺れている場合じゃない。

 こうして快感に負けてしまったのもフェロモンのせいだ。このままでは一回も射精させないまま儀式に失敗してしまう。なんとしても、儀式を成功させないと弟が。

 

「うんうん、弟くんを守らないといけないね。そのために私を射精させないといけないのだが……協力してあげようか?」

「きょ、協力?」

「ああ。私はアナルと金玉をしゃぶられるのが好きでねぇ。きみに舐め回されたらすぐに射精してしまうかもしれない。どうだね、やってみないかい?」

 

 馬鹿げた提案だ。こんなもの、自分を罠にはめて嘲笑うための嘘に決まっている。信用するに値しない。

 まともな脳みそをしていればそう判断できるのだろう。悲しいかな、フェロモンによって脳みそを狂わされた間抜けな狼はその程度のこと判断もできない。罠であると理解しているのだが、脳の生殖をつかさどる部分が「あるふぁ」の言葉に従うべきだと訴えている。

 

(アナルと金玉なんて、そんな臭そうな場所を舐めるなんて。できる、わけが……❤)


 この暑さだ。汗と体温で蒸しあがった尻の谷間や股間はどれだけ匂うのだろうか。加えて「あるふぁ」にはフェロモンがある。体臭に含まれるフェロモンを吸っただけでもおかしくなっているのに、臭線の近い場所に鼻先を突っ込み、舐め回したりすれば――どれだけ自分は狂ってしまうのだろう。

 

 恐怖は疑問に。

 疑問は期待に。

 期待は興奮に。

 

「嫌ならば私が舐めてあげてもいいがね。乳首の次はクンニをされてザーメンを垂れ流すきみも面白そうだ」

「……っ❤❤」


 太い首筋が唾を嚥下するさまを狡猾な「あるふぁ」は見逃さなかった。彼が囁くのは飴と鞭ならぬ飴と飴であり、アナルと金玉に奉仕すればこれ以上の射精を免れることができるぞ――と餌をぶら下げてやっているのだ。フェロモンに屈した雌犬が、くだらぬ意地を投げ捨てられるように。

 

「し、仕方ない……な❤お前を、射精させないと弟を守れないからぁ❤❤」

「分かっているとも。弟のために仕方なく私のアナルを舐めるんだろう?まともな頭をしていたら中年の雄のアナルなんて舐めたがるわけがないからね」


 囁かれる言葉一つ一つが黒のプライドを逆撫でした。自分がこれから行うことになる下劣な行為に胸が高鳴り、下腹部がズキズキとする。期待と興奮で火照る自分が恥ずかしくてたまらない。

 しかし、生殖本能に命じられれば身体は逆らえずに舞台の上で寝そべることになる。木製の床は汗や精液でぬめり不快だが、逃れることもできずビロードのような毛皮を粘っこい液体で汚す。

 

 男前な顔を跨ぐように立つと、犬の醜悪な下半身が良く見える。

 脂でたるんだ醜くでかい尻の谷間では、やたらと濃く長い尻の毛がはみ出している。

 股間で揺れるのは暴力的な肉の槍であり、マンコ肉を抉りかきむしるための血管瘤が帯びたたしく絡まったちんぽはおぞましい怪物のように歪なシルエットをしていた。規格外なちんぽと一緒に揺れる金玉もまた規格外。黒の金玉が可愛らしく見える大ぶりな肉球は野球ボールほどのサイズがあるだろう。雌を己のモノにするための「あるふぁ」の性器を視認して、黒にどうしようもなく抗えない衝動が湧き上がる。この雄の物になりたい、と。

 

「は、はあっ、うぅ」

「息を荒くしてどうしたのかね?まさか興奮しているのではないだろうね。こんな場所を舐めさせられて、ねえ?」

「ぶむ゛っ❤❤んぶぅ~~~❤」


 醜い脂肪の塊が精悍で整った顔面を押し潰した。

 ケツ毛の生えた谷間で鼻先を挟み込んで、狼として生まれつき鋭敏な嗅覚を悪臭のこもった尻で蹂躙する。

 腰を傍若無人に回して、汗の匂いが溜まっているだけでなく、中年としての加齢臭や生殖のためのフェロモンまでも混ざり、染みついた肉をクッションでも使うように擦り付ける。マズルが肥えた尻肉に嵌るまで押し付けて、肛門に鼻先を突っ込ませる。

 

「ん゛う゛う゛ぅうぅうぅ~~~~❤❤❤」

「ほらほら、舌が止まっているよ?それではとても射精なんてできないねえ」


 凝縮された悪臭を鼻孔から叩きつけられて、黒は白目をむいて卒倒しかける。脳みそが麻痺し、ちんぽからはどぷどぷと精子混じりの我慢汁が漏れた。当然、舌を使う余裕など無い。

 犬男はそれも織り込み済みのように腰を動かしては、肛門の次は蟻の門渡りで鼻先を圧殺する。汗臭さが薄い代わりに鼻先が麻痺するような強烈な刺激臭が黒の脳を犯す。

 悪臭どころか命の危険を覚えるような匂いを吸い込んで、黒は逃げずに呼吸を荒くする。自分を壊す危険なフェロモンを取り込んで、おのずと鼻先を押し付けて鼻息をデカ尻へと吹きかける。

 

「困ったねえ。舐める気が無いならこれで終わりにしようか?弟くんの方が上手く舐めてくれそうだ」

「ん゛う゛ぅうぅ❤ぶっふふぅうぅ❤❤」

「嫌ならしっかり舌を使いなさい。手も遊ばせてないで竿を扱くんだよ。さぼったらきみで遊んであげるのは終わりだ」

「んじゅっ❤❤ヂュルルッ❤」


 舌を積極的に使い、肛門を舐め回したのは弟に手を出させぬ為か。それとも、天上に導いてくれる雄の香りを逃さないためか。

 フェロモンの密集地帯であるケツ毛の茂みに鼻先を埋め、しみ込んでくるような臭気に犯されながら舌を翻す。

 不衛生な肛門に舌の腹を滑らせて、唾液まみれにして汗を舐め取った後は舌先でクリクリとほじくって媚びる。アナルを責め立てるのではなく奉仕するための動きで尻を唾液まみれにし、肛門の皺一本一本を丁寧になぞる。無論、両手では逞しいちんぽを一心不乱に扱いていた。

 

「肛門ばかり舐めてはいけないよ。金玉も丁寧にしゃぶりなさい」

「んあぁあ❤はむ゛ぅ❤❤ぢゅちゅっ❤ぢゅぅうぅ❤❤」

「人に言われてからするようでは駄目だからね。雄が悦ぶことを第一に考えて舌を使うんだ、いいね?」

「ふぁ、ふぁい❤」


 舌の腹に金玉を乗っけて転がす黒の顔は酷いものだった。端正だった顔立ちが知性を無くした間抜け面になっており、汗で蒸れた尻に押し潰されたせいで毛並みもぐしゃぐしゃだ。

 鼻先で尻をまさぐりつつ、金玉を含んでジュボジュボとしゃぶる姿は最底辺の娼婦でもしないような醜態であり、観客たちから嘲笑が上がる。

 ケツ毛を口に含み、肛門にキスをして吸い付く黒狼は嘲笑をどこか遠くからのものに感じていた。雄臭で脳までやられて、自分がどこにいるかもはっきりとせず、ただ恍惚とした表情で顔面を圧し潰される。

 

「では私はオマンコをいただこうかな。具合を確かめておかないとね」


 肛門をしゃぶらせながら手を伸ばすのはバッサバッサと尻尾を振り立てる尻だ。筋肉により張り出して均整の取れた尻からは愛液を滝のように垂らし、犬男には負けども立派な逸物からは射精しているような濃い我慢汁を噴き上げ続けていた。

 発達した筋肉により隆起した太ももを抱いて、開かせる。そのまま尻を持ち上げるように黒の身体を折り曲げればちょうど愛液まみれのデカケツが胸元に――舐め回し、しゃぶるのにちょうどいい場所にやってくる。

 脂肪によって垂れておらず、筋肉よってムチムチした弾力と見栄えを兼ね備えた男らしい大殿筋。谷間を割り開いてみるとそこにあるのは雄らしささんて欠片もない雌の性器。

 

「良い具合に熟れているね。これで処女なのは誇っていいよ」

「ん゛うぅうぅ❤❤んっぶぅうぅ❤❤❤」


 事実、黒の性器が処だなんて誰も信じられない。真っ赤に熟れた肛門は愛液をとどめなく流し、きつい淫臭を振りまいている。肛門周りの肉は火山口の形に盛り上がって、指でつまむのもたやすい。内部は常に蠢き続け、断続的に愛液を勢いよく飛ばす。匂いを嗅ぐだけでメスイキを繰り返しているのだと犬男にはすぐに判断できた。唯一処女らしさを残しているのはアナルの色であり、変色して黒ずむことはなく初々しいピンク色をしていた。

 

 じゅる、と音を立てて唾液を啜る。捕食者たる「おめが」は獲物をいよいよ貪り喰らおうと唾液を垂らすと、太長い舌を伸ばす。すぐに舌先をねじ込むような無粋な真似はせず、観客を楽しませるべく尻穴の縁を舐め回し、ちゅ、と肛門を軽く咥えて吸い上げる。黒の拙い尻穴の奉仕とは雲泥の差である口技を以て、狼マンコを嬲り始める。

 

「む゛ぅうおおぉ❤❤ん゛ーーっ❤ぢゅぅ❤❤ふ、ふごおぉおぉ❤❤」


 雄フェロモンでハイになっていた頭だが、マンコを舐られれば自分の状態を理解する。突然走るマンコへの蕩けるような刺激にうめき声を上げるのだが、興奮を煽るための音楽にしかなっていない。

 もっと歌え、と尻穴を鼻先に擦り付けつつ犬男は愛液を啜り上げる。舌先で肛門を粘着質にほじくった後、舌腹をゆっくりと挿入する。

 圧し潰している雌犬が呻き声をあげたが、それを無視して舌肉はねじ込まれ粘膜を這いまわりながら奥へ向かう。

 腸壁が舌へと絡みついてくるが、侵入を阻害することはない。奥へ奥へ誘うような腸の動き。マンコとディープキスを堪能しながら舌がたどり着くのは腸の行き止まり。通常の雄よりもずっと浅い位置にあるそこでは、二つの入口がひくついていた。

 

「おっと、ここがきみの分岐路のようだね。どちらをほじってあげようか。ん?」

「む゛ぉおおお゛おおおぉ❤❤❤」


 二つの穴を一舐めされただけで黒は目を血走らせて叫んだ。尻穴の奥で快感が爆発し、ぶしゅっと粘度の高い先走りが犬男の腹を汚した。

 舌先でくすぐっているのは「おめが」にのみある性器の分かれ目であり、二つの穴は結腸と雄膣へと分岐している。

 知識でこそ理解しているが、自分で弄ったことなどない突き当りを生暖かい舌肉で舐め回されて黒はつま先をもじもじと躍らせた。

 どちらの穴もひくひくと動いて、もっと強い刺激を心待ちにしていた。腸液と愛液の混合物が舌肉に絡まって、口を動かすとぐちゅぐちゅと卑猥な音が鳴る。

 

「う゛っお゛ぉおっ❤❤ぉお゛~~~~っ❤❤❤」


 二つの入口を舐めながら愛液を啜っていると、すぐに黒は絶頂に達した。足をピンと伸ばして、長い両脚を痙攣させる。ザーメンを太鼓腹へとぶちまけるが、犬男は寛容にもそれを許し代わりにデカケツをぐりぐり押し付ける。絶頂で息が詰まるところにさらに肉との密着度を上げられ黒は窒息寸前まで追い込まれる。

 

「やはり、最初は子宮口からだね。ボルチオから開発していこうか」

「ほお゛ぉおおぉっ❤❤おっほおぉおぉ❤む゛ぅううぅ❤❤」


 ボルチオなどという卑猥な単語、黒が知るよしも無かったがすぐに雄膣で思い知らされる。直腸をれろれろと舐めしゃぶり、蜜を啜りつつ目指すは子に繋がる穴。それを舌先で突きまわすとせがむように穴が柔らかくなり、すぐに舌先を飲み込んでしまう。そのまま分厚い舌が、子宮を目指して中へと入っていく。

 舌肉が1ミリ進むたびに狼ちんぽからは射精のような我慢汁が漏れ出ていく。射精を堪えなければ、なんて考える余裕はフェロモンに凌辱された頭では思い浮かばない。もっとも、膣口をほじられる快楽の前では堪えようとしても無意味だが。

 

「んほぉおぉ~~~~❤❤ほっお゛ぉ❤おっんんぅうぅうぅ❤❤❤」

「ん?マンコ穴の方が好みなのかい?アナルが締まって舌が食いちぎられそうだよ」


 黒のアナルは舌を愛おしい恋人のように抱きしめて、吸い付いていた。膣口をほじっていると歓喜にうねるくせに、抜こうとすれば奥へ引き込むように締め付けを強くする。

 分岐路から先の雄膣すら犯していないのに屈服しかけている黒のアナルに、舌先はご褒美をやろうと膣口を等間隔に突き始める。雌の穴を優しく叩かれ、ほじくりまわされて黒はつま先をよじらせる。確かな快楽に腰が勝手に動き出す。

 

「む゛ほぉおぉ❤❤❤ん゛むぅ❤むぉお❤❤んぶううぅうぅ❤❤❤」

「これはすぐにイキそうだねぇ。射精と一緒に潮吹きも経験してみようか」

「むぅう゛お゛っ❤❤んぶっ❤む゛ぅう゛う゛ぅうぅ❤❤❤」


 狼ちんぽは膣口を抜き差しされるたびに精液をビュッビュッと噴き上がっており、完全に雌の悦びを開花させていた。

 そして、何十回目かに舌肉が膣口の中へと捩じりこまれた時、雌犬はニーソの中でつま先を硬直させて絶頂した。

 舌を引っこ抜きそうな吸引を無視して口を離すと、すぐさまぽっかり開いたアナルから透明な液体が噴き上がる。潮吹きが始まったのだ。

 

「……ッ❤❤っ❤ん゛~~~~~っ❤❤❤❤」


 舌先まで痺れ声も出せない強烈な絶頂。ちんぽからも滝のような量のザーメンが漏れ出ているが、そんなものどうてもよくなるような快楽の洪水がマンコで生まれている。

 ぶしゅぶしゅと噴き出る塩辛い液体を逃すまいと、犬男はマンコへとむしゃぶりついて啜る。初めての潮吹きの最中にマンコを吸い上げられて、黒は絶頂に絶頂を重ねるループへと陥ってしまう。

 

「ぅぅう゛ぅお゛っ❤❤あっあ゛っ❤❤❤おぉおほお゛~~っ❤❤やめ゛っ❤お゛お゛ぉおぉおぉっ❤❤❤」


 膣を舐め回され、潮を啜られる黒狼は尻の下でこの上なく幸せそうな表情をしていた。腹の奥底に溜まっていた疼きがアナルから噴き上がり、吸引されていると脳みそまでも吸われている心地になる。

 乳首で射精した時はまだ理性の欠片が残っていたが、尻布団にされて脳みそを体臭漬けにされた挙句の雄膣攻めは快楽の度合いがまるで違った。自分を形成していたものが潮やザーメンと一緒に垂れ流されていく。膣口をほじられるたびに自分が終わっていく。

 

「ふむ、私の腹が精液塗れになってしまったよ。きみ、そろそろ金玉が空になりそうだねぇ?」

「あ゛ひっ❤❤あっ❤おおぅううぅ❤❤❤」


 潮が出なくなってもマンコを舐め回されていた黒だったが、ようやく下半身を解放されると力なく床へと倒れた。

 尻肉からも解放されたが、勇ましく「あるふぁ」を睨みつけていた顔面は汗や自身の体液でべとべとになっており、鼻の穴も広がりきって見るに耐えない無様な表情になっていた。

 だらり、と舌を垂らして黒はそれでも幸福そうであり、太ももをもじもじと擦り合わせてはメスイキの余韻に浸っていた。

 

「兄ちゃん、こんなのって……」


 愛する弟もまた、股間を抑えた内股になって兄の醜態を凝視しているのだが、そんなことはどうでも良かった。人生初の潮吹きをしてから膣口の疼きが強くなり、尻尾の付け根が切なくてたまらない。

 また、舌肉を。いや舌よりももっと太くて長くて硬いもので、膣口のずっと奥をかき回されたい。それがなんなのか、黒はもう理解してしまっていた。

 

「立って、尻を向けなさい」


 ただ、命令されるだけで逆らえなくなる理由も。

 ごみを見るような目で見下されて尻尾がうねってしまう理由も。

 自分たちが何故孕む為だけの肉袋として扱われているのかも。

 

 この儀式を乗り越えた「おめが」がいない理由も、黒は理解していた。

 さきほどまで子を宿した「おめが」たちがすがりついて踊っていた柱に手を突いて、愛液で濡れた尻を差し出した。軽蔑していた舞手たちと同じ姿になって。

 

「尻を振ってみなさい。雌としてのマナーだから、今後は忘れないように」

「く、うぅ❤❤」


 これ以上の醜態を晒せと命令されても、手足は勝手に動く。

 谷間からマンコ肉を覗かせながら振り立てると雄の匂いが濃くなった気がした。鼻腔を支配者のフェロモンが焼く。あれだけ絶頂させられた後だというのに、ちんぽは紐パンを突き破らんばかりに硬く、マンコは充血している。手足のニーソの中で汗がぬるついて、脳内でピンク色の衝動が渦巻いた。

 

「よし、良い子だ。では処女マンコを頂戴するとしよう」


 犬男はすぐにちんぽをねじ込みはせず、先走りの滴る先端を尻肉に押し付け、なすりつける。その感触だけで黒の脳内に潮吹きの快感、脂ぎった尻の感触、匂いがフラッシュバックした。子宮が、肛門がひくひくと蠢き、喉がごくりと鳴る。

 必死に渦巻く衝動を抑えようとしたところで、アナルの疼きは止まらない。甘いような酸っぱいような、フェロモンが弱っていた理性を消し飛ばす。肛門に亀頭を添えられても、逃げることはできずちんぽから期待の先走りを噴いた。

 

「しっかり子宮口を開いておきなさい」


 尻肉を掴まれて、固定される。視界にあるのは御柱だけであり、聞こえるのはやかましい心音と「あるふぁ」の命令だけだった。観客の嘲笑や罵声も耳には入らない。

 

「あ、あぁ❤あっ❤❤あ゛っ❤あぁあぁああぁ~~~~❤❤❤❤」


 肛門と鈴口がキスをしたのを自覚してからは一瞬だった。

 プラムのような亀頭を肛門はあっけなく飲み込んで、直腸の中を亀頭と竿が占拠する。

 

「あ゛あっ❤え゛ひぃ❤❤おぅ❤ううぉ❤❤」

「まだ膣にも届いていないのだが、大丈夫かね?ほら、膣でしっかりちんぽを感じなさい」

「ぅう゛ぉお゛ぉおおぉおぉ❤❤❤」


 直腸はちんぽへと強く吸着し、大殿筋全てを使って締め付けてくる。それはちんぽに絡みつくというよりも、無意味な抵抗をしているような反応だった。

 黒の茹った脳みそは最後の理性を振り絞り、ちんぽが最奥へと届くのを食い止めようとすのに、守ろうとしている子宮がちんぽをねだって膣口から愛液を噴きこぼす。


「あ゛っ❤ふと、ふとぃいぃ❤❤❤これ、抜いてぇえぇ❤❤」


 弱々しい声で、黒はちんぽを抜いてくれと懇願する。ちんぽによって押し広げられた肛門からはねとねとした愛液が溢れ出て、尻の谷間やちんぽに蜘蛛糸のような粘糸を絡ませてている。

 尻肉に力をこめても腸壁はちんぽで押し広げられていき、黒は目を見開いて鼻にかかるような声をあげてしまう。ちんぽに内部を埋められると心までも満たされて。胎内を目指して進む肉の熱が愛おしくて尻尾がゆらゆらと揺れる。


「抜いてくれと言われてもね。ケツマンコがちんぽにしゃぶりついてこれでは抜けないねえ?」

「そんな゛、ああっ❤❤ほおっ❤お゛っ❤❤やめ、おぐにいれないでえぇ❤❤」

 

 ちんぽが1ミリ奥に進むだけで伸ばした舌先から唾液がとろとろ垂れる。腸壁はちんぽの血管瘤すら鮮明に感じ取り、ちんぽにフィットしたマンコ肉がそのサイズや形を脳に伝達する。

 自分のケツ穴はこのちんぽを迎え入れるために存在する。そんな錯覚すら生まれるほど腸壁はちんぽに密着しており、わずかに擦れただけでまたちんぽから無駄精液が漏れ出る。

 犬男の手はえくぼを描く尻肉を揉みほぐし、逃げられぬようにしながらゆっくりと最奥を目指していく。やがてちんぽがたどり着くのは舌先で虐められた子宮への分岐点。

 

「ほら、分かるかね?きみの膣口にちんぽがキスしているんだ。あと少し進めば、ふふ。膣に入ってしまうねぇ」

「ひぃん❤やだ、いやだああぁ❤❤そごぉ❤うぅうおぉ❤❤だべっ❤入れ、入れないでえぇ❤❤お゛ッ❤おぉほおォおおぉおぉ~~~~~~っ❤❤」


 鼻の下を伸ばした間抜けな喘ぎ声が漏れたのは、最奥まで差し込まれていたちんぽが抜けでていったからだ。最奥までたどり着いた時の緩やかな速度とは真反対。カリ首で腸壁を引っ掻きながら乱暴に後退するちんぽに黒は陶酔とした吐息を漏らす。

 

「おぉおほおぉおぉ❤❤❤お゛ぅうぅ❤ゆる、ゆるじてぇ❤❤おぐ、だけはぁ❤怖いぃ❤おがじくなる❤❤そこおがざれだら、おれぇ❤」


 傘だけを残して抜け出ていったちんぽに抱くのは安堵ではなく恐怖だ。

 これから「おめが」のちんぽによってもたらされる未来を想起して、大殿筋がぶるりと戦慄いた。それが恐怖だけではなく期待も混じっていることが何よりも恐ろしい。

 

「きみたちには処女膜も無いからね。安心して、子宮を開いておきなさい」


 粘っこい声で雄犬は囁いた。

 愛液で結合部を粘つかせる雌犬は、全身の毛を逆立たせて歓喜する。

 

「あ゛あっ❤ああぁ❤やだ❤❤やめてやめでやめでもう許しで……っ❤」


 尻肉をぐりぐり擦り付けながらの懇願に、犬男は笑顔で答えた。鷲掴みにした尻肉に勢いよく腰が打ち付けられる。

 

 亀頭まで引き抜かれていたちんぽが、直腸を突き抜け最奥の分岐路を越えて膣道を擦りながら駆け上がってくる。ずっと望んでいた、けれど知らなかった快感がマンコをごりごり抉る衝撃。

 

 そして、子宮と亀頭がぶつかりこちゅりと音を立てた瞬間黒の中で何かが終わった。

 

「お゛ほっお゛っおぉおおぉおぉおぉぉぉおおぉぉぉぉ❤❤❤❤ちんぽちんぽぎだああぁあああぁぁ❤❤❤❤❤」


 子宮の入口に鈴口がめりこむ勢いでちんぽを叩き込まれ、黒は唾液を吐きながら口を開いた。快感により全身が痙攣し、呼吸もままならなくなった身体が反射的に起こした行動だ。

 

 しかし交尾は始まってしまった。一突きだけで許されるはずもなく、太い腰が連続で丸々とした尻肉にぶつけられる。処女を喪失したばかりの雄膣は愛液でとろとろになっており、直腸よりも具合の良い膣壁がちんぽを上手に扱き立てていく。

 

「やはり処女マンコが一番だね。しっかり私のちんぽの形を覚えておきなさい」

「へお゛ぉおお゛おっ❤❤ぐぉおお゛お゛おっ❤❤❤いぎっ❤おぅ❤ごりごりぃいぃ❤❤ちんぽごりごりぎでるうぅうぅ❤❤❤」


 舌でかき回された時よりも下品な音が結合部から鳴り響き、ちんぽにすがりつき引き伸ばされる肛門は排泄器官としての顔を放棄し雌の器官としての本性を露わにする。

 膣道が亀頭によって何度も抉られ、そのたびにマンコから脳天まで快楽が走り抜ける。思考力は蒸発し、ただケダモノのように喘ぐしかできなくなっていた。

 

「へお゛お゛ぉおおっ❤❤❤おっほォお゛ぉおぉ❤❤マンコすげえ゛ええぇ❤❤❤ちんぽでっ❤マンコごわざれるぅうぅぅ❤❤」


 雄膣は何度も痙攣し、雌イキの証拠をちんぽへと知らしめていた。ぐちゃぐちゃにされるほどに気持ちが良くなる雑魚マンコはちんぽに完全に屈服しており、雄を悦ばせるテクニックなんて何もない。それでもちんぽは満足げに子宮を小突いて快楽という褒美をくれてやる。


「きみたちのマンコは締め付けも蕩け具合も最高だね。雄のケツ穴や女性器ではもう満足できない。子種を搾り取る為だけの穴というやつだね」


 雄膣全体がちんぽをホールドし、全体がうねうねと蠕動し何もしなくてもちんぽを悦ばせる、さらには上下左右びっちりと肉の粒が生えてちんぽを擦り上げる。数の子天井、なんて言葉では陳腐に思えてしまう。最奥にある子宮はちゅうちゅうと亀頭へと吸い付き、子種が欲しいとせっついてくる。極上のマンコ肉を¥に加え、雄でしか持ちえない発達した大殿筋を使って締め付けてくる。まさに「おめが」でしか味わえない最高の肉オナホだった。

 

「ぅう゛ぅお゛ぉおおぉおぉ❤❤❤まだイグぅう゛ぅううぅぅ❤❤❤❤」


 ピストン運動に合わせて揺れるちんぽからは休みなく精液が噴き上がり、御柱へと雌の精液をぶちまけていた。既に何度射精したか分からないが、いまだに精液の量は衰えずに子宮を突き上げる勢いが激しいほどに盛大に役立たずのザーメンを漏らす。

 

 微かに残った理性は危険だと伝えている。精液を吐き出すほどに自分の中に残っていた雄が消えていくようで、このままでは金玉が空になり儀式に失敗してしまう。自分も弟も孕み袋となり「あるふぁ」の玩具にされてしまう。

 

「いぎ、いぎたぐないのにいぐうぅうぅぅう❤❤❤❤す、すまん゛っ❤❤兄ちゃんのぢんぽがぁあぁ❤いぐのとまらないのほぉおおぉぉ❤❤❤」


 しかし、微かな意志は雄膣のぞりぞりした天井を擦られると霧散する。稲妻のような快楽が下品な喘ぎ声となってほとばしる。子宮と亀頭でディープキスをしていると自分を犯す中年男への愛おしさが跳ね上がる。尻肉が波打つほどの力で叩きつけられると尻から愛液が飛び、淫音が舞台に響く。打擲音が耳から脳を狂わせる。

 弟がどんな顔をしているのかと視線を向ける余裕すならく、柱に抱き着いたまま精液をまた吐き出す。

 

 それを手のひらで受け止めると、犬男は興味深げに指で引き伸ばした。

 

「これはだいぶ精液が薄まっているね。あと何発で種切れになるかな」

「お゛ッ❤❤ほ゛お゛おぉ❤❤ふんごぉお゛ぉおおぉぉ❤❤❤」

「聞いていないようだね」


 子宮を連続してノックされて黒の瞳が完全に瞼の裏へと隠れ、鼻の穴から鼻水がドロリと垂れる。穴あという穴から体液を漏らして雄として、人として終わりへ向かっているが「おめが」である犬男にとっては都合が良かった。

 孕み袋へと黒を落すために削岩機のようにマンコを掘り続け、子宮口までちんぽで犯す。突き入れる時はマンコ肉全体でしがみつき、引き抜こうとすると未練がましくすがりつくマンコ肉はは、ちんぽを悦ばせるために最適化されていき、何回目か分からない打擲音が尻から鳴ると黒から聞くに堪えない咆哮を上げた。


「ほっ❤❤ひゅぉお゛ッ❤❤❤ごぉおお゛ぉおぉおぉ❤❤❤❤」


 意識を残して解剖されているような狂おしさに責められる。自分の肛門から逃げ場の無い激情が噴き上がってくる。いっそのこと意識を失って、敗北したかった。

 その一方で微かに残って人としての残滓は弟の顔を思い浮かばせる。愛する弟はどんな絶望的な顔をしているのだろう。子宮までちんぽを充満されたまま、心をばらばらにされていく。雄膣を鋭くえぐられて火花が視界で弾ける。

 

「ぉお゛ぅ❤❤ほっ❤ほっ❤ほっ❤おほおぉおぉ❤❤ち、ちんぽもう止め゛へぇえぇ❤❤❤」


 子宮を素早く叩かれて泣きわめく姿を冷然と睥睨し、犬男がちんぽを一気に引き抜いた。容赦の無い掻き出しはカリ首によって膣襞を捲りかえし、ゴリゴリと抉られた膣を自分のモノに塗り替える。小便を漏らしたような愛液と精液が性器からくみ出され、黒の中で醸造されていたらしい性の匂いが溢れ出す。

 

「~~~~~~っ❤❤❤❤」


 言葉にならない獣鳴がほとばしり、背骨が折れる寸前まで背筋がそりかえった。

 

「おおぉおぉ❤❤ケツがあぁぁ❤ぐっへえぇえ❤❤ごわれる❤ケツ穴戻らなぐなるう゛ぅううぅぅん❤❤❤」


 暴れまわろうとする尻肉を抑え「おめが」は緩慢に腰を前後させる。熱せられた鉄の棒のように熱いちんぽは、岩盤を掘り進むドリルじみた趣でアナルを拡げ、子宮を突き上げては肉襞を削ぎ落していく。黒はもう恥も外聞もなかった。ただ、助かりたくてこの快感を続けて欲しくて。わけがわからなくって泣き叫んだ。

 

「狂う゛ぅうぅうぅ❤❤❤お゛ーぅ❤おがじぐなるうぅ❤❤おで、おでのぉお❤ケツぅうぅ❤❤ケツがマンコにされちまうよぉおぉ❤❤❤」

「いいのかね?きみは愛する弟とこの島から出たかったはずだろう?」


 快楽の狂気に囚われかけたところを再び「おめが」の問いが引き戻す。潤みきった目の前に突きつけて、自分がどれだけ堕ちているかを計らせる。

 

「だっでぇ❤だめ゛なのにぃぃ❤❤でも、お゛ぉおぉ❤」

「男のケツ穴と金玉を舐めながら射精して、ケツ穴を犯されてイって。きみはそれでいいのかい?

「だけど、お゛ぉおおうぅぅ❤❤こんな゛っ❤ほお゛おぉ❤❤あ゛っひぃいぃいぃ❤❤❤」

「言い訳ばかりだねぇ」


 カリ首で襞を掻きむしられると理性が音を立てて削げ落ちる。一枚一枚、タマネギの皮じみたもろさだった。身体を鍛え、筋肉の鎧で覆い、守ってきたものが剥きだされる恐怖と裏腹に、重荷を降ろしているような安堵感も覚えてしまう。

 こつん、こつんと。子宮を揺さぶられると脳が揺れる。子宮口が開いて、中まで貫いて。亀頭で赤ん坊を作る部屋を埋め尽くしてと欲している。

 

「た、助げえぇ❤❤ん゛っほぉ❤❤❤あ゛っ❤あおぉおぉぉ❤❤」

「助けて?憎い雄にマンコをほじられて許しを乞うなんてプライドが無いようだね」


 熟しきった子宮が、小突き上げと揺さぶりに耐えられず、ボトリと落ちる。尻肉をのたうたせているところを再び突き上げられ、サンドバッグの惨めさを子宮で味あわされる。

 ちんぽで責められ言葉でなじられ、身も心も追い詰められて、黒は肛門からグボォと下品な音を鳴らす。

 

「おお、見るに堪えないアナルだね。これでも自分が雄だと言い張る気かい?」

「あ゛あぁーーっ❤❤❤だっで、だっでええぇ❤すご、すごすぎるがらあぁ❤❤」

「凄いとは、私のちんぽかね。随分と気に入ってくれたようだ」

「ん゛ぉお゛っ❤❤ち、ちがあ゛ああぁッ❤❤❤あ゛ぉおぉおぉ❤」


 最後まで言葉をつむげなかった。心を見透かしたタイミングですかさず数の子天井を擦られる。子宮口のすぐそば。もっとも狂わせられるタイミングで急所を狙い撃ちにされる。

 泣きわめく自分を否定したい。ちんぽなんてすごくないと否定したい。しかし、言葉の代わりに薄くなった精液を漏らすだけだ。

 

「否定しないとは、やはり私のちんぽを気に入ってくれたのだね。もっと、喰らわせてあげよう」


 尻をがっしりと固定するやいなや、猛然と腰を叩きつけてきた。

 テクニックなんて放棄して、とにかく子宮を叩くだけのピストン運動だった。「雄」の力強さで圧倒し、征服する。子を孕むための穴であることを骨の髄まで刻み込むパワーで膣と子宮を蹂躙する。

 

「お゛ぉー❤お、んおぉおおぉ❤❤ちんぽおぉおぉ❤ちんぽしゅごいぃいぃ❤❤だめなのに゛、むり❤我慢でぎないのぉおおぉおぉ❤❤❤❤」


 絶頂。

 

「ちんぽおぉ❤ちんぽ❤あ、おおああぁ、おおぉ❤❤ちんぽでいがざれるうぅうぅう❤❤❤」


 絶頂。また絶頂。さらに絶頂。

 

「ん゛っひぃいぃ❤❤んっおっおおぉおぉおぉん❤❤❤いぐのどまらないぃいぃ❤❤❤お゛っおっおっおっ❤❤まだいぐぅうぅ❤❤❤」


 逞しかった足は情けなく内股になっており、押し寄せる絶頂に崩れ落ちないようにするのがやっとだった。首を左右に振りたくり、乳や尻を躍らせて喘ぎ狂った。激しい動きに引きずられるようにして、じっとり濡れた毛皮が宙を舞う。愛液で濡れた尻の毛も海藻のうねりを見せる。

 栓の抜けた毛穴が更に開き、ねっとりした生汗を滲みださせていた。のたうちまわる全身は汗で濡れてかり、スポーツでは決して醸し出せない雌の匂いを発散していた。

 

「ちんぽぉお゛ぉおぉ❤❤ちんぽがっ❤ごんなにぅ、よがったなんでえぇぇえぇ❤❤❤❤」


 「あるふぁ」のちんぽは萎えることなく、その腰は鈍りも力抜けもせず、鍛冶場の金槌といった趣でマンコを貫き続けてくる。武芸の荒稽古じみた強烈な一撃に、黒が着こんでいた雄としての甲冑はガラスのはかなさで打ち砕かれた。

 

「そうだ、これがちんぽの素晴らしさだよ。マンコで理解できたかね」


 ちんぽとケツから潮を噴き上げさせながら、犬男はマンコを掘り進めていく。全身から体液を垂れ流し、頭が快楽で壊れかけていたとしても容赦は無い。黒と違い一度も精液を漏らしていないちんぽは硬度を保ったままであり、自分のものになるオナホを調整するつもりで子宮をガツガツと突き上げていく。

 

「ん゛ぃいい゛ぃいいぃぃ❤❤❤あぁ、まだ、ぐるぅううぅ❤❤ザーメンでちゃうぅう゛ぅうぅ❤いぐのおぉおぉ❤❤またオマンコでいっちゃうぅううぅぅ❤❤❤」


 ついに自分の尻穴をマンコと呼び、黒は悦びの咆哮をあげる。それは雄としての敗北を宣言するものであり、自分から尻を動かしてちんぽを子宮で迎え入れようとする。子宮はもはや鈴口だけでなく亀頭までもめりこませており、新しい命を宿す神聖なる部屋さえもオナホ代わりにしてちんぽを扱いていた。

 

「しょれよすぎるの゛ほぉおぉおぉ❤❤❤らめぇえぇ❤お゛ホッ❤❤ごわれる゛ぅうぅ❤❤❤赤ちゃんの、部屋ごわれちゃうがらああぁぁ❤❤」


 子宮にちんぽが出入りする快楽は黒の処理を越えていた。全身の筋肉が情けなく震え。柱にすがりついていた身体は下がり、犬男に支えられている尻だけが高々と突き上げられていた。

 身体を床に溜まった精液に擦り付けて、美しかった黒の毛皮を汚していく。それは雄として、人しての尊厳を無くした姿だった。

 

「きみたちは頑丈だからこの程度では壊れないよ。安心してイっていいんだよ」


 どれだけ泣きわめいても腰の速度が落ちることはない、痙攣する膣の感触を楽しむだけだ。

 壊れるなどとわめいてもそれは口だけであると「あるふぁ」はみな理解している。この肉袋どもは淫乱であり、オナホにされて子宮を亀頭で埋められても歓喜するのだと。

 さらに強く腰をぶつけることで、ちんぽは勢いを増して雄膣へ「あるふぁ」の逞しさが刻みつけられる。

 精液と愛液の混ざりあったものに汗が飛び散り、清浄なる空気は消え失せ淫らな場へと変わってしまった。それを嘆き悲しむものはなく、終わりを迎えようとしている「おめが」に興奮を沸き立たせる。

 

「精液が薄くなっているね。そろそろ終わりにしようか」


 まだ精液が出るのが黒にも不思議だった。粘り気も失いかけた水っぽい精液が床にぶちまけられて、ちんぽが壊れてしまったかのようだった。尻穴から子宮までぐちゃぐちゃにされて、イっているのかどうかも分からなくなっていた。


「射精してあげるから、子宮が破けないように受け止めるんだよ、いいね」

「……あ゛ああぁ❤」


 射精を宣告された時、黒の口角は弧を描いた。

 子宮を犯されるだけでも壊れそうなのに、射精なんてされれば自分を保っていられるはずがない。

 それでも腰は止まらない。子種が欲しい。自分を満たしてくれるものを求めて貪欲に尻を振り立てる。

 

「いぎぃいぃいぃ❤❤❤いぐのぉおぉ❤おっほぅ❤❤おちんぽいぐうぅうぅ❤❤❤❤」


 今も精液を漏らしっぱなしなのに、黒は射精を叫び赤く腫れた肛門を締め付ける。ちんぽの根本から溜まった熱は、熱いけれど微かなもので、自分に残っていた最後の雄性であると理解する。雄として終わるため、ちんぽが射精のために身構える。


「ほら、孕みなさい」


 そして、最後の仕上げをしようと犬男は思いっきり腰を打ち付ける。

 子宮口の輪を越えたちんぽが、子宮の内部へと完全にめりこんだ。

 

 同時に喘ぎ声をかき消すような音が黒の尻から響き、多量の液体がぶちまけられる音が胎内で拡がる。熱い、滾った精液が子宮を満たしていく感覚は淫売の脳みそを超える快楽をもたらして、ついに処理落ちを起こした。

 

「お゛う゛おおぉおおぉぉぉぉっ❤❤❤❤❤❤」


 断末魔の雄たけびと共に灼熱の精液が雌肉の一番奥深くを焼く。畜生が交尾をする体位となった黒は、熱く濃厚なフェロモン精液を子宮へ浴びせかけられて雄として最後の絶頂をした。

 ちんぽからは間欠泉を思わせるほどの精液がぶちまけられて、舞台の上を白く彩った。

 

「んぎぃいいぃいぃぃぃザーメン出るぅううぅうぅうぅ❤❤❤❤」


 長い、永遠にも思える射精は黒の人生を終わらせるもの。

 これまでの人生全てがごみに覚える絶頂が終わったあと、狼ちんぽから精液がボトリとこぼれた。胎内に吐き出された本物の雄の精液と違い薄く、量も少ないそれは舞台へ玉となって落ちた。夏の風に晒されて、すぐにでも蒸発してしまいそうな微かなものだった。

 

 射精を終えた犬ちんぽが引き抜けると、力を失った身体がべしゃりと落ちた。ちんぽの形に開いたままのアナルはポンプのように収縮し、白濁を溢れさせていた。

 

「ん、ぉおぉおぉ❤❤あっあぁぉえひっひぃぃ❤うぇ、うぉおおぉぉぉ……❤❤」


 敗北を迎えた黒狼は白目をむいたまま意味をなさない言葉を吐いていた。雌の悦びにやられた脳は言葉を発するだけの知能を失い、ザーメンを逆流させるだけのオナホに成り果てている。

 

 かくして、哀れな狼兄弟の一人はただ一回の射精をされただけで敗北した。人としても、雄としても、兄としても。

 

 ザーメン塗れのアクメ顔に人の尊厳は無く。

 子宮で蠢く精液に歓喜する姿に雄らしさは欠片も無く。

 幸せな脳みそには愛する弟のことなんて残っていなかった。

 

 今ここにいるのは島のいくらでもいる「おめが」。愚かな雌畜生だ。

 

「さて、次はきみの番だね。お兄さんよりは楽しめるかな?」


 獣が一匹倒れたとて、観客たちの興奮が冷めることはない。

 舞台の上にはもう一匹、哀れな獲物がいる。

 兄とは反対の白く軽やかな毛皮をした狼は、宵闇の中で実に良く映えた。この毛皮が精液と愛液で徐々に汚れていくさまを観客たちは心待ちにする。

 

 次の狼はどれだけ吠えて、牙と爪を向けて抵抗してくれるのか。狩りを終えたばかりの捕食者は堪えきれぬと唾液を口端からこぼす。

 

「あぁ……❤へ、へへぇ❤❤」


 しかし、「あるふぁ」たちの期待は叶えられそうになかった。

 もう一匹の狼は紐パンを硬くして太ももに愛液の川を作っていた。自分の兄を壊した忌まわしい雄と、その股間にそびえる肉の槍を愛おしそうに見つめながら。

 

 神社にこもった雄たちのフェロモンは、見ていただけの白を完全に狂わせてしまったようだ。

 

「お、おりぇ❤❤おれが兄ちゃんの敵を取ってみせるからなぁ❤ふへへ❤❤❤」


 黒の隣に這いつくばって。

 黒よりも高く尻を掲げて白は吠える。

 

「一緒に島を出ようなあぁ、兄ちゃん❤❤ずっと一緒だぜぇ❤」


 二人で交わした約束を口にしてデロリと顔を崩れさせる。

 兄への想いなんて欠片ほども残っていない。

 ハートを浮かべた目は兄の顔ではなく、逞しいちんぽを凝視していた。

 

 自ら飼い犬になろうとしている狼を見て、「あるふぁ」は苦笑を漏らす。

 狩りの楽しみが台無しになってしまったが、これも儀式では良くある事だ。支配者の体臭を嗅いだだけで肉親との約束も人としての誇りも投げ捨ててしまうのは、彼ら「おめが」の生まれ持った性質なのだ。

 

 これが運命。

 決して変わることのない「おめが」の末路。

 

「……きみはお兄さんほどは楽しめそうにも無いが、いいだろう。満足できなければ後で二匹纏めて可愛がってあげよう」


 かくして、今年の儀式も終わりを迎える。

 これまでと変わらず自由を得た「おめが」は一人も無く。ただ、新たなツガイを得た「あるふぁ」の家では朝まで嬌声が止むことは無く。

 

 これまでも、これからも雄袋島では儀式が続く。

 「おめが」に偽りの希望という餌を与え、夏の夜を盛大に盛り上げる為に。

 

 次の夏では、黒と白の狼が見事なボテ腹を揺らして舞い踊ったという。

 

 

 終

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