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書きながらも、「いっぱい描きたい!」ってなって夢中で書いてました。 追加したい描写とかいろいろあるので、適宜修正していきます。 ~~~~~~~~~ 開店からものの30分ほどで店内は満席となり、キャパシティをオーバーした分だけ外にもズラリと入店待ちの列が形成されていた。 あっという間に人気店となったメイドカフェだが、新人であるランたちに余裕などない。 もちろん業務について最低限の説明はされていたものの、初めてこなす仕事の数々をとにかく身体で覚えていく他なかった。 「メイドさーん、注文いい?」 「あ、はい! すぐに伺います!」 全体的な雰囲気はメイド喫茶と呼べるものだが、淫魔が楽しむことを中心に様々なシステムが用意されていた。 提供される食事やドリンクといったメニューは淫魔たちにとっては嗜好品であり、おまけのようなものらしい。 ここでのメインは、店員である少年退魔師のメイドたちとのやり取りの方にある。 「あと、そのままこっちに来て座ってくれる?」 「わ、わかりました……」 そのため娼館街らしく、1人のメイドを指名して一定時間好きにできるシステムが設けられていた。 オーダーを取りに行った同僚がさっそく淫魔に気に入られて、促されるまま隣に座る。 どちらかといえば淫魔専用のキャバクラのようなものだろうか。いるのは女性ではなく少年メイドなのだが。 「紅茶と、スコーンと、君をオーダーするよ」 「私は誰にしよっかな~♪」 店内はすべてテーブル席で、それぞれに客である淫魔たちが座っている。 角や尻尾、メイドたち以上に露出の激しいい衣装に目をつむれば、絶世の美女ばかりで圧巻の光景ではある。 しかし元退魔師のメイドたちを妙に緊張させるのは、客がみなすさまじい魔力を秘めた魔族だという事実だった。 1人だけでも追い払うのがやっとだった存在が、店内に十人以上も集まり、そしてドアの向こうにも列をなしている。 もし、彼女たちが本気を出せば……街一つを堕落させることくらい容易いだろう。 いままでは人を襲う魔物としての恐ろしさとセットで捉えていた彼女たちが、大挙してやってくるこの状況……覚悟はしていたものの、実際に目の前にすると自然と緊張してしまう。 「やった、ちゃんと来てくれた~♪」 「……よろしくお願いします」 ランもまた、さきほど指名された淫魔の相手をしていた。 開店直後の激しすぎるハグからペースをもっていかれている気がするものの、警戒心を緩めているわけではない。 待機期間があったとはいえ、退魔師としての感覚は健在だ。彼女の行動に少しでも敵意や欺瞞があれば察知できる。しかし―― 「キミは何歳? シフトは何曜日なの?」 「あ、えっと……」 彼女も、他の淫魔たちも、本心から楽しんでいるようにしかみえなかった。 アイドルでも愛でるかのように少年メイドを可愛がり、逆に緊張している淫魔さえいるくらいだ。 困惑しているのは自分だけでなく他の退魔師たちも同様で、淫魔たちに可愛がられながら、どう反応すればいいのか困っている状況だった。 「肌白くてお人形さんみたい~♪ 何食べたらこんなになれるかしら」 「あ、えっと、その……」 小柄なミツハなどは、大柄な淫魔に気に入られたようで、その膝の上に乗っけられている。 魔族ゆえか長身の美人が多く、少年メイドたちは組み合わせとしては映えていた。 本来の性別とは倒錯しているようにもみえるが、そういったコンセプトの店なのだから致し方ない。 淫魔にもそれぞれ好みがあるらしく、意外とばらけている。 中にはすぐには指名せず、空いてる子を手招きして独り占めしてる淫魔もいた。 「こんな風に愉しめるお店ができるなんて♪」 さすっ、 ランも例外ではなく、隣に座らされて、撫でさすられている。 ご満悦という表現がピッタリくる様子で、ランの身体を堪能する淫魔。 こんな経験は初めてで、困惑としか言いようがない。 「あの……」 「ん~?」 「オレたちを嫌ったりとか、しないんですか……?」 相手を刺激しないよう、言葉を選びながら尋ねる。 退魔師だった自分たちに対して、敵愾心の欠片も感じないことがどうしても気になっていた。 ランの緊張と困惑をよそに、彼女は愛撫する手を止めずに言葉を返す。 「別に? 何度も戦ったとかなら別だけど、初めて会ったメイドさんなんだし……いいじゃない?」 あまりにも無頓着かつ、楽観的ともいえる返答。 唖然として言葉を返せないランだったが、しかし彼らにとって悪いことではないのも事実だった。 「こんな可愛い子から精をもらえるなら、何年だって過ごせるわ♡」 「そ、そうですか……」 ランを含め、少年退魔師たちが知らなかったことではあるが、そもそもサキュバスという魔族は性的なことにしか興味がない。 いままでは誰を狙っても人間を害する存在しとして敵対視されてきたが、逆に「ここでなら自由にヤっていいよ」と性欲のはけ口を用意されたら、そこで存分に愉しむのだ。 そんな背景もあって、店はとても順調に進んでいるといっていい。 「普通にヤるのは飽きちゃうし、こういうプレイができるのって新鮮だわ♪」 「そ、そうですか……」 説明のあった通り、基本はメイドカフェとあまり変わらない。 こういった業務は初めてだが、退魔師として夜の街を飛び回るよりはずっと楽だ。 あとは、自分の許容できる範囲内で、彼女たちの行為を受け止めればいい。 ……ただ、そこは性の魔物、サキュバスである。 「そこそこ筋肉もついてるのね」 さす…… 「ひっ!」 あくまで娼館街の店であり、いまは淫魔が主導権を握っていろいろできる時間だ。 性に特化した彼女たちが、愛撫だけで終わる方がおかしい。 彼女も次第にテンションが上がってきたようで、後ろから抱きしめるように腕を回し、両腋のスリットから胸にむけて両手を差し込んだ。 唐突な行動にランの緊張も一気に高まるが、彼女の動きに攻撃しようとか、堕としてしまおうといった意思は感じられない。 ただ基本となる価値観が淫乱であり、息を吐くように肉体的な接触を愉しんでいるのだ。 「うわ、腰ほっそ! ちゃんと食べてるの?」 「あの……ひゃっ!?」 「少年らしい良い匂いする~♪ もっと嗅がせて?」 「ちょ、ちょっとそんな場所を嗅がれるのは……っ!?」 周りをみれば第一陣の淫魔たちが、各々の少年メイドたちをより濃密に堪能していた。 敵対していたことなど些末なことに過ぎず、むしろ彼らの初心な反応すらも興奮のスパイスとしてした。 くにゅ 「ふあぁっ!?」 そして……愛撫されているメイド側も、無反応というわけにはいかなかった。 指先が肌をツゥッとなぞるだけで、ゾクゾクとした快感が走り抜ける。 いままで淫魔と相対したことは何度もあったが、肉体的な接触はほぼなかった。 淫魔の手が身体に触れて魔力を注ぎ込まれれば、それは退魔師としての負けを意味する。 ゆえに退魔師たちはみな淫魔の性技をその身で受けたことは皆無といっていい。 魔力や淫術を抜きにした手つきだけでも、ランは翻弄されかけていた。 さすっ、ふにゅ、むにっ…… しなやかな筋肉と少しの皮下脂肪を堪能するように両手がうごめき、メイド服ごしにももぞもぞと胸元がうねっている。 ただ胸まわりを指でなぞっているだけ、それだけなのに、淡い快感を覚えてしまう。 メイド服の内側でもぞもぞとうごめく指先は、ランの胸板の中でわずかに隆起した2点……乳首へと伸びていく。 くにゅっ 「んひぅ!?」 両乳首を同時に押しつぶされ、ビクリと背筋が跳ねた。 いままで感じたことのなかった場所が、肌よりも敏感な場所だなのだと意識させられる。 「初めてでしょ、男の子もここで気持ちよくなれるんだよ~」 「あっ……んっ……!」 ランの反応を楽しみながら、カリカリと乳頭を軽くひっかく淫魔。 むず痒いような、しかし心地よさも混じっている絶妙な力加減。 じんわりと広がっていく暖かな心地よさが、男なのに胸を弄られているというわずかな嫌悪感を塗りつぶしてしまう。 このぐらいで音をあげるつもりはない。男娼たちの街なのだから、むしろ可愛い方だろう。 しかし、未知の感覚に上半身の筋肉が緊張してしまう。 「初心でほんとに可愛いわぁ♡ じゃあ、こっちの方も……」 興が乗ってきた淫魔の両手をスリットから引き抜き、そのまま下に伸ばしていく。 しなやかな指先は太腿には触れず、その奥を目指していく。 フリルつきのスカートの内側へと潜り込み―― 「ひっ、いやっ!」 ランは反射的に身をよじり、淫魔の手を拒絶してしまった。 しかし淫魔の方も気分を害した様子もなく、すっと手をひっこめる。 「あ、ごめんなさい。初めてだものね、ダメそうなラインがあったらすぐ教えて?」 やり過ぎてしまったと、申し訳なさそうな態度。 退魔師だった頃では考えられない淫魔の反応に、ランの方が動揺してしまう。 「あ、もう時間になっちゃった。また来るからね!」 ランの頭を名残惜しそうに撫でて、席を立つ淫魔。 その足取りはとても軽やかで、本心から愉しんでいたのが一目わかる。 「じゃーね♪」 「あ、ありがとうございました……」 手を振りながら店を出て行く淫魔を一礼して見送るラン。 彼女は明日以降、長蛇の列を並んででも来るだろう、そんな確信があった。 (これが、オレの仕事か……) 客1人分の対応をおえて、ランは内心で呟く。 困惑はある。メイド服の羞恥心だってまだ消えてはいない。 しかし……これなら十分に許容範囲内だった。 必死の思いで戦っていた退魔師のときと比べれば、ずっと優しく、和やかな世界だ。 これで淫魔たちが満足してくれるなら、お釣りがくるくらいだろう。 カランカラン…… 「い、いらっしゃいませ~」 ランは入れ違うように入ってきた新たなお客様を、笑顔をつくって迎えた。 時間は飛ぶように流れ……。 大きなトラブルもなく、少年退魔師たちは初のメイドとしての役目を果たしきった。 「はぁ……」 店の隣に用意された、自分たちの部屋。 ではなく、1人1人に十分すぎるほどのスペースと設備が用意されていた。 一晩中、淫魔たちの相手をし続けて、気付けば空はうっすらと明るくなってきている。 メイド服を脱ぎ、身体を洗って脱力する。 愛撫された肌がまだ痺れているが、慣れていないのもあるだろう。 堕ちたり、犯されたりはしていない。 そして、最初に会った淫魔がそうだったように、客としてきた淫魔たちは、ランたちが嫌がるようなプレイを強制してこなかった。 初めてのことが多すぎて、すべてが呑み込めたとは言い難い。でも―― (しばらくは、ここで過ごしてみてもいいか……) どうしようもなければ、すぐにでもやめるつもりだった。 しかし、予想以上に環境は良く……そして、働き甲斐がある。 少なくとも、続けてみる価値はあると思えた。 「ふぁ……」 小さく欠伸がこぼれる。 慣れないことした精神的な疲労感が全身に重くのしかかる。 ランはベッドに倒れこみ、わずかに肌に残る甘い残り香を感じながら眠りについた。

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