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本にしたいss『退魔師娼館』、3章となります。 今回は肉体変化シーン入れていく予定 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「ぼ、『母乳メイドカフェ』!?」 これは、和睦が行われた直後の話。 少年退魔師たちは本部基地を中心とした街で待機となり、今後についての処遇を待っている状況。 退魔師である彼……ランもまた、出撃ができず自室での待機を言い渡されていた。 今後について、淫魔のための男娼になる道が用意されていることは前もって知らされている。 ショックではあるが、それ自体は百歩譲って仕方ないと思う部分はあった。だが、問題はその中身だ。 娼館街には様々な店や設備が予定されているため、どこに配属されるかによって仕事内容も大きく変わってくる。 そしてちょうど今、彼に新たな配属先が通知され……その突飛な文字の並びに叫び声をあげていた。 「なんだよこれ……悪い冗談だろ!?」 まず、単語からしておかしい。 メイドカフェなんて浮ついたものに行ったことはないし、「母乳」というのはどういうつもりなのか見当もつかない。 そして働く人材……従業員になるのは自分を含めた少年退魔師たち、つまり男子なのだ。 もちろんそんな場所で働いた経験なんてないし、そんな趣味もなかった。 「ふざけてんのか……こんな仕事やるわけないだろ!」 文字を何度見返してもどういった内容なのか分からないし、想像したくもない。 淫魔に奉仕するだけでも屈辱なのに、こんな内容でどうしろというのか。 ランは通知の紙をしわができる力で握りしめつつ、同室の退魔師、ミツハへと声をかけた。彼の通知にもまた、同じ所属先が記されていた。だが―― 「僕は……受けようと思う」 「お、おい! 正気か!?」 このとんでもない通知を受け入れるという同僚の態度に、ランは動揺で声が裏返ってしまう。 信じられないといった視線を受けつつも、彼は静かに、どこか空虚な微笑みを返した。 「他にあると思う?」 「っ……」 諦観に満ちたミツハの言葉に、ランは言い返すことができなかった。 少年退魔師となる経歴や事情は様々だが、普通の人生を送ってきたものは皆無といっていい。 つまるところ、帰る場所のない者たちがほとんどだ。 戦闘スキルばかり磨いてきた自分たちが、和睦で平和となった世の中で働けるだろうか。 淫魔と戦ってきたときとは別種の苦しみが待っているだろうことは、容易に想像できた。 そして仮にやっていけたとしても、この中途半端な状態のまま淫魔たちを放置して、この街を去ることに納得できるとは言い難い。 (どう転んでもきついのなら、オレは……) ランは険しい表情のまま、自分の手にある通知をじっと見つめる。 彼がミツハとともに配属を受け入れる決断をしたのは、それから数時間後のことだった。 数日後、以前は会議に使われていた部屋。 「ランさん、ですね。よろしくおねがいします」 「……ああ」 就業についての説明が個別に行われており、彼はそこにいた。 机をはさんで相対するのは、紫色のショートヘアをした女性。 しかし左右から角を生やしており、肌も血の気とは縁遠い青色、一目で淫魔だとわかる。 とても落ち着いた雰囲気で、いままで戦ってきた好色の化け物というイメージとは少し違っていた。 「ランさんが配属される母乳メイドカフェですが、初めてということもありますし、しばらくは通常のメイドカフェとして運用されます」 彼女から淡々とした説明がなされるが、ランの心境は穏やかではない。 聞けば聞くほど自分が酔狂な店で働くという事実を、いやが上にも認識させられてしまうのだ。 説明がわずかに途切れたタイミングで、相手をさえぎるように口を開いた。 「……何でオレがこんな仕事に就かされるんだ?」 「適性が高い所に配属されます」 同じく淡々とした淫魔の回答に、何が適正だ、と心の中で呟く。 少年である自分に、メイドとしての適正があるとでもいうのだろうか。 もし母乳の素質などというものがあるのだとしたら、それはそれで変態であることは間違いないだろう。 胸中の靄は晴れないまま、淫魔は説明を再開する。 「淫魔の方からの需要も多くて、始まればすぐに人気が出ると思いますよ」 「…………」 淫魔の言葉に、ランはただ黙っていることしかできなかった。 敵だったはずの存在を前にして、何もできない悔しさ。 まったく異なる価値観の存在に主導権を握られている気持ち悪さ。 しかし彼女は自分の仕事を淡々と続けていく。 「また、最低限の淫紋を下腹部に刻ませていただきます。心身の負担軽減などのためで、これ自体にデメリットはありません」 「……勝手にしろ」 半ば自棄になって吐き捨てる。 ぶつけようのない苛立ちを抱えながら、目の前にいる淫魔から視線を外す。 普段であれば取ることのない態度、しかし溜まっていたもの の様子をみて、それまでは業務的な受け答えに終始していた淫魔が、じっとランを見据えて口を開いた。 「そちらにも葛藤があるのは理解しています。……ただ私たちも、安心して過ごせる場所を得るために全力を尽くしています」 淫魔にとって精を得るのは食事と同義だ。 無用な争いは避けたいし、しかしヤる相手がいなければ生きていくこともままならない。 だからこそ、この和睦が行われたのだ。 「そして娼館街……性的なものについては、こちらの領域です。ここで誰かを苦しめたり、相手に苦痛を与えるようでは淫魔の名折れです」 静かな、しかし力強さを感じさせる口調。 魅了や魔力を使っているわけではない。それでも、どこか気圧されるものがあった。 「淫魔にも、プライドというものがあります……後悔はさせません」 真剣なその表情に一瞬だけ心が動いたものの、退魔師としての思考が警戒心を引き戻す。 どんなに言葉を重ねられても、自分がこれからやることは男娼街の母乳メイドカフェだ。 戯れ言だと聞き流すよう、ランは自分に言い聞かせた。

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