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クライマックス~エピローグです。8500字くらい ~~~~~~~~~~~ 「そんな寂しそうな顔しないの。これで終わるわけないでしょ?」 シュウの様子をみて愉悦に浸りつつ、なだめるように声をかける淫魔。 彼女からしてみれば、いままでの行為はすべてムードを高めるための前戯にすぎない。 夜はこれからが本番なのだ。 シュウは促されるままベッドにうつ伏せにもたれかかり、両脚は絨毯の上に残しつつ尻を後方へと突き出した。 いわゆるバックの体勢の変形で、ベッドの上に乳肉を預けることで上半身を安定させている。 パイズリで座っていた間はたわみこそすれど爆乳に遮られて見えなかった尻だが、こうして無防備な状態で晒されると胸に匹敵するボリュームがあることがうかがえる。 「ほんっと、下品なくらい肉の詰まったデカ尻ね」 サスッ……ムニッ 「ふぁ♥」 乳肉よりもハリと弾力のある尻を、淫魔はネットリとした手つきで撫でさすり、ときおり感触を楽しむように揉みしだく。 白く滑らかな肌は発情と絶頂の連続で、うっすらと火照ったように赤くなっている。 黒いロンググローブの両手で尻肉をかき分けるように左右に開くと、肉に埋もれていたその奥には、ぱっくりと縦に割れた菊門……アナルが顔を覗かせた。 「ほら、お待ちかねのケツマンコ♪」 綺麗なピンク色をしたすぼまりはパックリと縦に割れ、そこを取り囲むように周りがぷっくりと陰唇のように盛り上がっている。 奥へと続く割れ目は物欲しそうにクパクパとうごめいて、まるで性器のよう……むしろそれ以上に淫猥なものに見えてくる。 「もうトロットロじゃない」 クニュ 「んひぃ♥」 ヒクヒクと震える肉色の粘膜を指先で弄った途端、電気を流されたようにビクリと彼の腰が跳ねる。 巨根に合わせて開発されたそこは完全にほぐれきっており、指の動きに合わせて柔らかくグニグニと形を変えていく。指どころか手首まで飲み込めてしまいそうだ。 そして刺激に反応するように透明な液体が溢れ出し、よだれのようにラダラと内腿を伝って流れだす。 「コレが欲しいんでしょ?」 「んっ♥ うあぁ♥」 亀頭をスリスリと尻の谷間で素股のように動かすふたなり淫魔。 それだけでも準備万端の下半身はビクビクと嬉しそうに震え、女性よりもボリュームのある巨大な尻肉が、腰の震えに合わせてダプダプと揺れている。 クチュ…… 「ほーら、ケツマンコとふたなりチンポのキスよ」 「ひぐっ♥」 亀頭を押し当てると吸いつくようにアナルが絡みつき、もっと奥へとねだるように粘膜が収縮を繰り返す。 シュウが感じているのは言うまでもないが、淫魔もまた興奮の中にいた。 ゾクゾクとした快感が下半身を走り、ペニスが切迫感にも似た疼きを湧き上がらせる。 あまりにも美味しそうな性器に、彼女もまた高まっているのだ。 前戯は十分すぎるほどした。あとは思いっきりヤるための本番。 彼女は自分にそう言い訳して焦らすのを止め、シュウの腰に両手をあてながら体重を乗せて一気に突きこんだ。 「ちゃんと奉仕しなさいよ……っ!」 ズブブッ 「うあぁぁぁっ♥♥」 張り詰めた肉棒は緩みきった括約筋を容易にくぐり抜け、そのままの勢いで挿入されていく。 ゴリゴリと腸壁を押し拡げながら逆流していく極太の肉竿をケツマンコは抵抗なく受け入れ、心地よい締め付けとともに柔らかく包み込む。 そして腸壁がふたなりチンポを味わうかのように絡みつき、精を放ってくれるようグニグニと蠕動で奉仕する。 尻の厚みとは打って変わって細い腰まわりゆえに、肉棒が進むにつれて彼の下腹部がボコリと盛り上がっていく。 押し潰された前立腺が感じるのはもちろん、精嚢や膀胱、粘膜のヒダ1つに至るまで、すべてが性感帯と化していた。 彼女のペニスに最適化された、専用のオナホになっているのだ。 小さな絶頂が数え切れないほど連続して、イキっぱなしのシュウ。甲高い嬌声とともにガクガクと震える両脚。 ペニスは数秒で直腸の最奥まで突きこまれ、亀頭が腸壁とキスをする。 「こっちも好きだったわよね~♪」 「あっ……そこはっ、やあっ♥」 しかし挿入は終わりではない。 さらに少し曲がった先……S字結腸の入口までコツコツとつつくように責め立てる。 本来アナルとしての機能を想定していないそこは締めつけることができず、ずっぷりと亀頭が押し込まれてジィンと下腹部に響くような快楽が垂れ流しになる。 ジュブグッ……! 「おっ♥んぐぅ♥」 しかし恍惚に浸る余裕もシュウには与えられない。肉棒は切り替えるように動きを反転させ、ゆっくりと引き抜かれていく。 張り出したエラが返しになってゴリゴリと腸壁を削り、引きずり出されるような刺激が下半身を渦巻く。 淫魔されるがまま、強烈な責めに喘ぎ続けるシュウ。 両者の繋がった接合部から、ケツマンコの愛液で濡れぼそったペニスが艶やかな光沢を放ちながら露わになる。 亀頭のエラが菊門に引っかかる位置まで抜いたところで動きを止め、そこからふたたびの挿入。 ジュプッ! 「ひゃうあぁ♥♥」 肉棒の形に拡張された腸壁はすんなりと受け入れ、より鋭敏にペニスの動きを快感に換えていく。 弛緩しきった括約筋は、ペニスを締めつけるためだけの性器官と化していた。 ズリュッ、グチュッ、ヌププッ! 「あーもう、普段の態度は悪いのに、こっちは極上のメス穴なのよね」 「いひっ♥ んぐぅ♥ ひあぁっ♥」 突き込むたび下腹部と衝突した尻たぶがむっちりとたわみ、肌色の波を広げていく。 溢れだした先走りがケツマンコに塗りつけられ、擦り込まれ、下半身がビクビクと雌の悦びに打ち震える。 そもそも、ふたなりサキュバスの精液は強力な媚薬なのだ。 これまでも何度も挿入され、中出しされ……彼の身体はふたなりチンポを受け入れるために最適化されていた。 快楽責めに近いシュウの喘ぎとは裏腹に、彼のアナルは全体がキュンキュンと締まって肉棒の責めをねだる。 パンッ、パチュッ、グチュッ、ヌチュッ! 「イグッ♥クるっ♥きちゃうぅ♥♥」 ビュルッ、グビュ、プシッ! 尻肉と下腹部の衝突音にも水気が混じり、腰の動きも加速していく。 くわえて彼の上半身では、シーツの上でどっぷりたわんだ乳肉が自重で押し潰されピストンのたびこねるように前後していた。圧力と快感に屈した乳首からは母乳が挿入に合わせて噴き出していく。 ペニスのための肉孔となったアナルからは許容量を遥かに超えた快楽が注ぎ込まれ、溢れだしたそれは下半身を満たすだけでは足りずに背筋をせり上がる。 さらにベッドの上でこねくり回される両乳首と乳肉からも快楽の波が押し寄せて、全身にメスの快楽が詰め込まれていく。 「んぐぅ♥あひっ♥ふあぁ……うあぁ♥♥」 頭の中まで快感が流れ込んできて、意識はぼんやりと白く濁っている。 もう立っていることもできないが、ベッドに身体を預けている格好ゆえに姿勢が崩れることはなく、淫魔に腰を掴まれて逃げ場もない。 アナルから脳天まで衝撃が突き抜け、全身がメスとして悦びの声をあげる。 ベッドに上半身を預けながら喘ぐシュウは、退魔師としての名残は微塵もない。 ふたなり淫魔にケツマンコを犯されて喘ぐ男娼がそこにいた。 「私も、そろそろヤバいかも……!」 淫魔の声音にも、先ほどまでの余裕は感じられない。 ふたなりチンポに最適化された極上の名器に搾られて、湧き上がる衝動のままに突き込んでいく。 まるでサキュバス自信の淫穴のように、快楽と搾精に特化したシュウのケツマンコは、性の権化たる淫魔でも抑えきれない興奮を生んでいた。 「射精る……っ♥」 ドブプブリュルルルッ!!!! 限界まで怒張していた剛直が、さらに大きく膨れ上がるようにして脈打つ。 ケツマンコの一番奥に叩きつけるように大量の精液が迸った。 これまでの射精の中でもいっそう濃厚なゼリー状で、ベッタリと腸壁に張りつき染み込んでいく白濁。 淫魔のふたなりザーメンを注ぎ込まれた腸壁は、反射的に締め付けを強くする。 それは肉棒とザーメンの刺激をより強めことになり、シュウも一気に絶頂へと至った。 「ひあぁぁぁぁっ♥♥♥」 全身が快楽に包まれて、もうどこでイっているのかも分からない。 あまりにも深いメスイキに、意識が真っ白に染まって全身の肌が心地よく痺れていく。 五感はほとんど快楽に塗り潰され、ベッドと淫魔の両手に支えられただけの肉人形と化している。 ただケツマンコに挿入されたチンポの動きと、シーツの上で擦れている乳首の快感だけがやけに明瞭に認識できていた。 法悦に浸りながら、お腹いっぱいにザーメンが注ぎ込まれ続けていく。 ケツマンコは精液を味わうかのように無意識に収縮を繰り返し、一滴も逃さないように締めつけながらさらなる射精を促していく。 ふたなりチンポの本気射精は数分にも及んだ。 「ふぅ……」 ズブプッ……チュポッ くびれた腰を掴みながら自らの逸物を引き抜く淫魔。 ぽっかりと空いた尻穴は薔薇が咲いたように肉ヒダを晒しつつ、しかし精液をこぼさないように奥から徐々に締まっていく。 腰を掴んでいた両手を離すと、完全に脱力していたシュウの身体は崩れ落ちるようにベッドの上に倒れ込んだ。 絶頂の余韻に浸り、ぐったりと横たわるシュウ。 ほとんど気絶と言ってもいいだろう。 「うあっ……ふあぁ……♥」 常人とは比べ物にならない敏感メスボディは、余韻でさえも絶頂と大差ない快感が駆け巡っている。 淫魔の全力の責めを叩きこまれた以上は、しばらく絶頂からは戻ってこれないだろう。 蕩けさせながら、メスとして幸せそうな顔で気を失っている元少年退魔師。 「ほんっと、普段の態度以外は最高の男娼よね……って、聞こえてないか」 そんな姿を見下ろしながら、淫魔はなんともいえない複雑な表情を浮かべていた。 この娼館ができてから、彼を何度も犯してきた。 自分の好みに合わせて淫紋を刻み、淫らな身体にして、イかせまくる。 なのに……どれだけイかせても、完全には堕ちないのだ。 男娼として喘ぎ、犯されて、メスイキしまくって……それでも、彼は負けるものかと自分に抗ってくる。 普通の人間であれば簡単に堕ちてしまうレベルの快楽を、その身の絶頂ひとつで受け止め続けているのだ。 思いっきり責めてなお、底が見えない。 むしろ自分が快楽に飲み込まれるんじゃないかとすら思えてくる。 そしてメスイキから戻ってきたら、彼また宿敵の相手として自分を見るのだろう。 他の男娼たちとは、決定的に何かが違う。不快なようで、しかし男娼として信用してしまっている。 むしろ、いままでヤってきた中で一番―― 「…………」 性に特化した淫魔のプレイだ、堕ちることはあれど危ないわけではないのだが、これ以上責め立てる気も起きなかった。 「ちょっと休んでなさい」 淫魔はベッドに倒れ込んだままのシュウにそう言い残して部屋を出た。 高層階は長期間の使用を想定したエリアである。 一晩といわずヤりまくるケースが多いゆえに、他の利用者たちとすれ違うことはめったにない。 ゆえに廊下に人気は全くなく、どこか寒々しさすら覚える。 しかしそれが丁度いいとばかりに、彼女は壁にもたれかかりながら熱くなった身体を冷ましていた。 ガチャ 唐突に物音が響いて振り向く。 一部屋がかなり広いので、そこそこ離れた隣の部屋のドア。 そこが開かれ、顔を出してくる人影があった。 「ホント激しくヤってるわね……部屋の外まで聞こえてきたわよ」 現れたのは顔見知りの淫魔だった。単独行動が多い彼女ではあるが、数少ない友人と言ってもいい。 ここ一帯の部屋はヤりまくっても大丈夫なように、防音などはしっかりとと施されているはずだが……どうやら追いかけっこの際に走り回ったり、シュウが尻もちをついた際の振動は伝わってしまったらしい。 プレイの一貫だったとはいえ、少しばかり激しすぎたかと内心少し反省する。 「ごめんなさいね、気をつけるわ」 「いいわよ、他の行為を感じるのもそそるもん♪」 爽やかに、しかし性欲丸出しの笑みで応じる友人。淫魔というのは、総じて変態らしい。 文句を言いにきたわけではないようで、そのまま隣りに並んで壁にもたれかかりながら話かけてくる。 「久しぶりね~、この街ができるとき以来? いつも部屋に籠っちゃってるからさ~」 嬉しそうな声色で雑談をはじめる。 そもそも群れるタイプではなかったため、前々から会う頻度はとても低かったのだが……。 いまは常に相手が確保されていることもあり、淫魔同士でとくに顔を合わせる機会もないのだ。 「ここ、本当に素敵な場所だよね~。かわいい子が食べ放題だし♪」 あからさまに好色な発言をする友人と、無反応の淫魔。 しかし普段からこういう調子なので友人は気にすることもなく、ワンテンポおいて思い出したように口を開く。 「そうだ、聞きたいことがあったんだよね。あなたがいつもヤってる彼だけどさ」 どうやら本題は、シュウに関する疑問のようだった。 黙って聞いていた彼女の眉がピクリと動く。 「……男娼を専属で選べるって知らされたとき、真っ先にあの子を取ったでしょ」 それは、ラディールが作られる際の、シュウが知らない淫魔側の話。 男娼となった退魔師たちを選べる……という仕組みは説明されたのだが、これを希望する淫魔はごく少数だった。 専属で選ぶ必要は決してない。 現に大多数が下層階や街で男娼たちを指名して一夜を共にしている。 「もちろん、悪いことじゃないけどさ……あんなに鬼気迫った様子は初めて見たのよ」 彼女は高位の淫魔であり、2人の因縁も知れ渡っていたこともあって、取り合いなどは起きなかった。 とはいえ感情を露わにしないタイプの彼女の珍しい姿は、友人の記憶に強く残っていたのだろう。 沈黙を続ける彼女に向けて、友人はさらに続ける。 「淫魔としては、精を搾り取ったら終わり。別の子を相手にするのが普通でしょう?」 サキュバスの性行為というものも人間とほぼ大差なく、一夜だったり長くても数日間で終わるものだ。 一回ごとに様々な男娼をとっかえひっかえしつつ、多種多様のプレイと快楽を愉しむ……そういった過ごし方が、ほとんどの淫魔たちのスタンダードだ。 1人の相手に拘る必要はない。男娼となった退魔師たちを選べるようになった今ならなおさらだ。 ライバルだった退魔師を手中に収めたとしても、堕ちた相手の面倒を見続けること自体がレアケースなのだ。 「……なのに、あの子だけとずーっとヤり合ってるでしょ。どうして?」 ともすればサキュバスとしての性質に矛盾しそうな彼女の行動に、純粋に抱いた疑問なのだろう。 質問が終わっても、彼女は無言だった。 静寂が辺りを包んだまましばらくして、口を開いた。 「あいつとは、数え切れないくらい戦ってきたわ」 どこか遠くを見るように、視線を友人から逸らしつつ、淡々と語りだす。 「どこまでもつきまとってきて、こっちも全力で応じて……鬱陶しいにも程があった」 最初は、いつも返り討ちにしてきた退魔師がまたやって来た、くらいに思っていた。 しかしシュウは強く、倒しきることはできないまま、何度も自分のもとにやってくる。 全力でぶつかり合う、終わりの見えない戦いの日々。 「でも、そのときに決めたの。『あいつを犯すのは私だ』って」 それはシュウに勝利し、完全に堕としてやるという決心だった。 ただ、思いもよらない形で決着がつかないまま終わってしまったわけだが。 「和睦は、まぁ仕方ないと思う。あのまま戦ってたら、どちらかが倒れるまで続いてたわけだし。でも……」 一拍言葉を詰まらせ、瞳が揺れ動く。 そして胸の内に秘めていたものを吐き出すように続けた。 「あいつが、他の奴に犯される……それを想像したら、酷い悪寒が走った」 自分自身に向けて、呆れにも似た表情を浮かべる淫魔。 おそらく誰にも言わずにいた心の内を、友人に向けて告げる。 「あれは私のものよ。他の誰にも渡さない私専用の男娼。これで満足した?」 独占、征服、嫉妬……どの表現も当てはまらない複雑な感情が渦巻く言葉。 ふーん、と黙って聞いていた友人は納得したようにウンウンと頷き、そして結論を出した。 「お似合いのカップルじゃん」 「……なっ!?」 予想外の単語に、彼女の反応は数秒おくれた。 普段はみることのできない驚愕ぶりで目を見開き、フリーズ。 頭の中を混乱が渦巻き、言葉に詰まってしまう。 「あっ、あんた、今なんて……」 「あ、これは怒られる前に退散しとこっかな。じゃーね♪」 顔を赤らめつつ、パクパクと口を開閉する淫魔。 そんな反応をみて、愉快そうに笑いながら去っていく友人。 感情と言葉の整理がつく前に、隣の部屋のドアが閉められる。 彼女は、廊下に1人残された。 「…………」 顔を赤くしてしばらく立ち尽くしていたのだが、キッと表情を険しくする。 そして乱暴な足取りで踵を返し、ズカズカと大股で自分の部屋へと戻った。 バタンッ! 勢いよくドアを開け、さっきまでヤりまくっていた部屋に踏み入る。 すぐに湿度と熱気が顔を包み込み、シュウの母乳や自分の体液の混じったむせ返りそうなほど甘ったるい性臭が鼻をつく。 部屋がこんな匂いなのはいつものことだが、廊下の空気で嗅覚がリセットさせたせいで余計に感じられる。 そしてベッドには絶頂から戻ってきたらしいシュウが腰掛けていた。 「……な、なんだよ血相を変えて」 普段の彼ならば、淫魔に対する拭いきれない敵対心と快楽で乱れまくった羞恥で黙ってしまうのだが……戻ってきた彼女の様子をチラリとみて、今回ばかりはそうもいかなかった。 いつもとは違う淫魔の様子に、困惑気味のシーメール男娼。 本人に自覚はないだろうが、少年らしいまっすぐな瞳で彼女をみつめてくる。 淫魔は淫魔で行き場のない感情をもて余しており……気が付けば普段なら口にしない質問を彼にぶつけていた。 「……アンタ、私に買われたこと、どう思ってんの?」 「どうしたんだよ、突然」 「いいから答えて」 「……わかった」 昔を思い出すその気迫に何かあったんだなと察しつつ、応じるシュウ。 勢いに押されつつも、質問の意味を理解したタイミングですっと真剣な表情になり、しばらく考え込む。 そして、ゆっくりと口を開いた。 「退魔師として戦っていたとき……負けるなら、お前にだろうと思っていた」 目の前にいる淫魔と相対し続けた日々、その中で彼もまた、覚悟をもって戦っていた。 「和睦の内容を知らされ、それを受け入れたとき、淫魔に奉仕する覚悟は決めた。ただ――」 そこで口をつぐむシュウ。 わずかに羞恥に頬を赤らめ、言葉を選びながら、しかし真剣に答える。 「他の淫魔に股を開く想像だけは……できなかった」 お前に買われたのは予想外だったがな、と苦笑しながら付け加える。 本心から彼に嫌われまくっていたと思っていた彼女にとっても、その言葉は予想外だった。 「屈服したいとは思わない。ただ淫魔の性欲を満たすのが今の俺の役目なら――」 シュウは顔を上げて、淫魔をじっと見つめ返す。 退魔師として、そして男娼としての、自分の言葉を。 「俺は……お前以外の奴に、奉仕したくない」 「っ!」 本心から出た告白。 淫魔は驚きに目を見開き、その瞳が揺れ動く。 その感情が悦びなのか安堵なのか、彼女自身にも分からなかった。 「……ユウ」 「ん?」 「私の名前よ、まだ言ってなかったでしょ」 シュウという名を一方的に知っておきながら、自分の名を伝えていなかった。 「お前」と言われ慣れて長いが……たぶん、これからも長い付き合いになる相手なのだ。これぐらいは教えておかないとフェアじゃない。 それは、ほんの少しだけ、彼に心を許したともいえるだろう。 「本当に一体どうした? 何があったんだ?」 しかし、シュウにしてみれば、その心情を察することはできなかった。 むしろあまりの態度の変化に、むしろ眉をひそめられてしまう。 何か重大なことが起きたのでは、という心配すら声音から感じられる。 「っ……!」 鈍感な彼にイラ立ちを覚えつつ、脳裏に浮かんだのはさっきまでの友人の会話と……「カップル」という単語。 緩みそうになった顔が一気に赤く、熱くなっていく。 名前くらいはいい、ただ自分の弱みまで知られるのは、どうしてもシャクだった。 「あーもう! 全部アンタのせいなのよ!」 「ちょ、ちょっと待て、何の事だよ!?」 自分の感情を誤魔化すように、一気に襲い掛かってベッドに押し倒す。 もちろん廊下でのやり取りを聞いているはずもなく、淫魔の極端なテンションの上下に訳が分からず困惑するシュウ。 身体の動きに引っ張られた乳房が一拍おいて押し寄せ、仰向けにされた胸板の上で鏡餅のようにドプンとたわむ。 マウントをとってくるユウを両手で押し返そうと抵抗するものの、顔よりもデカい弱点を晒したまま防ぎきることはできない。 ユウは両腕の間でグニムニとたわみまくっている彼の爆乳を鷲掴みにし、勢いよく揉みしだく。 「こんなデカ乳ぶら下げて!」 「お前がこんなサイズにしたんだろ……んっ♥」 特大のパン生地のようにこねくり回される乳肉に、シュウの表情もみるみる蕩けていく。 「そんなに奉仕したいんなら、とことん付き合いなさいよ!」 「い、いやっ♥ そういう意味じゃ……ひぁ♥」 今夜は体力が尽きるまで、責め倒してやることに決めた。 長く戦い合った両者の関係は、和睦を経てもなお形を変えつつ続いている。 ともすると、戦場がベッドの上に移っただけなのかもしれない。 相手に対して抱いている感情が何なのかは、お互いに分かっていないのだろう。 想いは交錯し、歪み、絡み合ったまま……。 2人の夜は、終わらない。

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