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以前から構想していた、本にしたい内容のオープニングです。 細かいところは今後も推敲していく予定。 ~~~~~~~~~~~~ かつて人間と淫魔は敵対していた。 淫魔……サキュバスとも呼ばれるこの種族は、高い知性と魔力を有する高位の悪魔である。 美しい女性の姿をしており、その顔立ちや肢体は性的な魅力に溢れている。 また人間の精が食料かつ至上の好物で、ゆえに能力も魅了や搾精など性的なものに特化していた。 彼女たちはみな好色かつ欲望に忠実で、単なる食事という目的だけでなく、快楽を貪るために人を犯し、堕落させることを好む。 ゆえに人間を襲っては精を搾り取り、ときには気に入った相手を淫らに堕として同族へと変えてしまうのだ。 無事に解放されたとしても、魔力や肉体や精神に性的な影響が残る者は非常に多かった。 夜な夜な行われる彼女たちの食事は、防ぐことも抵抗することもほぼ不可能……目をつけられた時点で終わりで、被害者は増えるばかり。 淫らで美しく……そして恐ろしい存在だった。 ただ人類も、脅威に対して手をこまねいて見ていたわけではない。 恐ろしい魔の手から人々を守る……その重要な役割を担ったのが『退魔師』である。 若い少年たちで構成されたこの集団は、高い身体能力と戦闘能力を持ち、さらに人類の英知である科学によって生み出された数々の武器を駆使する。 これらによって、淫魔たちに多少なりともダメージを与える事ができたのだ。 ……しかし、彼らが全力を尽くしてなお、戦力はほぼ拮抗していた。 戦闘で淫魔を追い払うことはできても、淫魔を倒す・排除しきることはできなかったのだ。 退魔師が設立されて以降、両者の戦いは長い膠着状態が続いていた。 「いつになったら終わるんでしょうね」 夜の街を駆けながら、退魔師の少年が呟くように漏らす。 淫魔との終わりのない戦いに、疲労感や無力さを滲ませた声音だ。 しばらくして、隣にいた先輩にあたる退魔師が口を開いた。 「終わらせてみせるさ、必ず」 誰もが安心して過ごせる夜にするんだ。 少年退魔師は静かな街並みを睨むように見つめつつ、その心に誓うのだった。 ……しかし、人と魔の対立は唐突に終わりを迎えることになる。 思いがけず訪れた平和に、歓喜する人々。夜は恐ろしいものではなくなったのだ。 そして平和な世界で、退魔師だった少年は―― 「おにーさん、ヒマならボクと遊ばない?」 立派な男娼へと転職していた。